JPH0765712A - 酸化物陰極の製造方法 - Google Patents

酸化物陰極の製造方法

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JPH0765712A
JPH0765712A JP21582293A JP21582293A JPH0765712A JP H0765712 A JPH0765712 A JP H0765712A JP 21582293 A JP21582293 A JP 21582293A JP 21582293 A JP21582293 A JP 21582293A JP H0765712 A JPH0765712 A JP H0765712A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、長時間、高電流密度で動作させ
ても電子放射特性の劣化が少ない酸化物陰極の製造方法
を提供することを目的とする。 【構成】 この発明は、ニッケルを主体してこれに還元
剤を微量添加した陰極基体金属11を非酸化性雰囲気中
で加熱処理する工程と、その後この陰極基体金属を酸化
性雰囲気中で加熱処理する工程と、その後この陰極基体
金属を非酸化性雰囲気中で加熱処理する工程と、その後
この陰極基体金属面上に電子放射物層12を付着させる
工程とを具備する酸化物陰極の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、熱電子管に用いられ
る酸化物陰極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に酸化物陰極構体は、図2に示すよ
うに、陰極基体金属11としてニッケルを主体としてこ
れに微量のマグネシウムやケイ素等の還元剤を含む合金
が使用される。この合金により構成された陰極基体金属
は、所要の形状、厚さにプレス成形されたうえで陰極ス
リーブの先端に接合固定される。そしてこの基体金属面
上に、電子放射物質層12となるバリウム、ストロンチ
ウム、カルシウム等からなるアルカリ土類金属炭酸塩粉
末を吹き付け法などで塗布する。この陰極構体を電子管
内に組み込み、排気工程で炭酸塩を加熱分解し、アルカ
リ土類金属酸化物を形成する。このアルカリ土類金属炭
酸塩は、バリウムを主成分とするアルカリ土類金属の複
塩または混合塩であるが、一般的にはバリウムが57重
量%、ストロンチウムが39重量%、カルシウムが4重
量%の複塩である三元炭酸塩が広く用いられている。こ
のアルカリ土類金属酸化物のうち酸化バリウムが電子放
射に寄与する。この酸化バリウムは、酸化物陰極の動作
中に基体金属中を拡散してくる還元剤のマグネシウム、
ケイ素等により、基体金属と酸化物の境界で還元され、
例えばマグネシウムを還元剤として用いた場合、次式の
反応により電子放射に寄与する遊離バリウムが形成され
る。 BaO+Mg → Ba+MgO 従って、酸化物陰極においては、還元剤と電子放射物質
である酸化物との反応が基体金属と酸化物との界面近傍
で進行するため、両者の中間には中間層と呼ばれる反応
物が形成される。
【0003】ところで、このような従来の酸化物陰極に
おいては、陰極基体金属11の両表面部近傍にそれぞれ
微細結晶粒層13,14が生成することが知られてい
る。この微細結晶粒層の生成は、陰極基体金属の表面部
に存在するプレス加工等による加工歪、陰極スリーブの
表面に黒色層を形成するための湿潤水素処理、あるいは
電子放射物質の炭酸塩から酸化物への分解反応のための
加熱工程等に関係していることが判明している。電子放
射物質層12に接しない方の微細結晶粒層14は、電子
放射性能に格別の影響がないので問題にならないが、電
子放射物質層12に接する方の微細結晶粒層13は、陰
極基体金属中の還元剤の電子放射物質層に接する表面へ
の拡散を阻害し、電子放射能力を著しく低下させる。
【0004】この微細結晶粒層を除去する方法として、
電子放射物質の塗布前に切削加工によりこの微細結晶粒
層除去する方法、あるいは化学的に研磨する方法等が提
案されているが、完全に除去することは困難である。ま
た、従来の酸化物陰極は、動作時間と共に、前記した微
細結晶粒層の生成が増加し、長時間の安定した電子放射
が得られない場合が多い。その理由は、陰極動作中に電
子放射物質中の酸化バリウムから解離した酸素が陰極基
体金属中へ固溶し微細結晶粒層に達して、まだ安定でな
い微細結晶粒層の成長を促進するものと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたような従来
の酸化物陰極の電子放射特性、特に寿命特性は、陰極基
体金属の表面近くに形成される微細結晶粒層の形成量に
大きく依存している。つまり、基体金属中の還元剤の表
面への拡散が、前記微細結晶粒層の形成量の増加により
阻害されて基体金属表面へ達しないため、界面での還元
剤と酸化バリウムとの反応が減少し、遊離バリウムの生
成が著しく低下する。この微細結晶粒層の形成量の増加
は、動作時間および放出電流密度に依存するため、長時
間、高電流密度の電子放射能力を維持することができな
くなる。
【0006】この発明は、以上のような従来の酸化物陰
極の製造方法が持つ不都合を解決し、長時間、高電流密
度で動作させても電子放射特性の劣化が少ない酸化物陰
極の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、ニッケルを
主体してこれに還元剤を微量添加した陰極基体金属を非
酸化性雰囲気中で加熱処理する工程と、その後この陰極
基体金属を酸化性雰囲気中で加熱処理する工程と、その
後この陰極基体金属を非酸化性雰囲気中で加熱処理する
工程と、その後この陰極基体金属面上に電子放射物層を
付着させる工程とを具備する酸化物陰極の製造方法であ
る。
【0008】
【作用】この発明によれば、陰極基体金属の表面近くの
微細結晶粒層を安定で強固なものにでき、その結果、従
来の酸化物陰極にみられるような動作時間と共に微細結
晶粒層の形成量が増加することがなく、安定して高電流
密度を長時間取り出すことが可能となる。また、酸化性
雰囲気中で陰極基体金属を加熱処理する工程で陰極基体
金属の表面に超微細な凹凸ができて電子放射物質層との
付着強度が高まり、長時間の動作でも電子放射物質層が
剥がれるおそれはほとんどない。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の一実施例を
詳細に説明する。この発明による酸化物陰極構体は図1
に示すように構成される。すなわち、圧延により得られ
る微量の還元剤を含有したニッケル合金からなる陰極基
体金属11を、上下面から挟んでプレス加工により圧縮
してニクロム合金からなる陰極スリーブ15の内径に密
に嵌合できる外径寸法にしてこの陰極スリーブに圧入
し、レーザ溶接により接合固定する。そして、陰極スリ
ーブ15を加湿水素中で熱処理を行って選択酸化し、表
面を黒化する。次に陰極スリーブに3本の短冊状支持体
16を溶接し、これを円筒状のカソードホルダ17の開
口部に溶接して陰極構体を組立てる。
【0010】そして、陰極基体金属12の加工歪を緩和
するために、水素炉のような非酸化性雰囲気中で、70
0〜900℃の範囲の温度、例えば800℃で約10分
間の熱処理を施す。次に、空気のような酸化性雰囲気中
で、700〜850℃の範囲の温度、例えば780℃で
約10分間の加熱処理をする。この工程では、陰極基体
金属表面に酸化層ができるが、表面近くの微細結晶粒層
(図2の13,14に相当)も幾分内部酸化する。更
に、水素炉のような非酸化性雰囲気中で、700〜90
0℃の範囲の温度、例えば800℃で約10分間の加熱
処理をし、陰極基体金属の表面酸化層を還元する。そし
て最後に、陰極基体金属面上に電子放射物層12を塗布
して酸化物陰極構体を完成する。
【0011】このように組立てた酸化物陰極構体と、比
較のために水素雰囲気中で700℃で10分間の加熱処
理をして清浄化した後に電子放射物質を塗布した従来の
製法による陰極構体とを各々カラーブラウン管に組込
み、排気工程中で陰極を加熱して電子放射物質を炭酸塩
から酸化物に分解させ、排気管をチップオフした後にエ
ージング工程で陰極の活性化処理を行ない、完成させ
た。そして、各々のブラウン管の長時間動作に伴う電子
放射特性の測定を行った。
【0012】図3は、電流密度2.0A/cm2 で長時
間動作をさせた場合の寿命試験結果である。同図に示す
曲線Xはこの発明の酸化物陰極の場合、曲線Yは従来の
酸化物陰極の場合である。この特性比較で明確なよう
に、この発明の酸化物陰極は、従来の酸化物陰極に比べ
て長時間動作による電子放射特性の劣化が非常に少な
く、その効果は動作時間が長くなるほど顕著なことが明
らかである。
【0013】また,10000時間の動作試験終了後に
本発明の陰極をブラウン管から取出し、陰極基体金属の
表面近傍の微細結晶粒層を観察した結果、従来の陰極基
体金属に見られた微細結晶粒層の増加はほとんど認めら
れなかった。
【0014】なお、上述の実施例では、陰極基体金属の
加工歪を緩和するために水素雰囲気中で800℃、10
分間の熱処理を施した場合について説明したが、この処
理温度が700℃よりも低い場合は陰極基体金属の加工
歪の緩和が充分でなく、微細結晶粒層の生成が多く、初
期特性が問題であった。更にこの処理温度が900℃よ
りも高い場合は、微細結晶粒層の生成は少なくなるが、
陰極スリーブの選択酸化層の脱色、その他陰極構成材料
の機械的強度が低下し、問題であった。これらから最適
温度範囲は、上述のように700℃〜900℃の範囲で
あった。
【0015】また、安定で強固な微細結晶粒層を形成す
る為の酸化性雰囲気中での加熱処理温度は、この処理温
度が700℃よりも低いと、微細結晶粒層の安定化が不
充分であった。また、この処理温度が850℃よりも高
いと、微細結晶粒層の形成位置が深くなり、また縦粒界
の生成が顕著となった。更に,陰極基体金属以外の陰極
構成材料例えば、短冊状の支持体の酸化が顕著になり且
つ機械的強度が低下し、問題であった。これらから、酸
化性雰囲気中での加熱処理温度は、上述のように700
℃〜850℃の範囲が最適であった。
【0016】さらに、陰極基体金属及び他の陰極構成材
料の表面酸化層を還元するための水素雰囲気中での加熱
処理温度は、700℃よりも低いと還元が不充分となり
酸化物が残る。また、この熱処理温度が900℃よりも
高いと、陰極スリーブの選択酸化層の脱色、その他陰極
構成材料の機械的強度が低下し、問題であった。したが
って、この加熱処理温度は、上述のように700℃〜9
00℃の範囲が最適であった。
【0017】なおまた、この発明の酸化物陰極は、ブラ
ウン管に限らず、他の熱電子管に広く使用し得る。ま
た、電子放射物層としては、少量のスカンジウム酸化
物、その他の酸化物等を含めてもよい。
【0018】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、
高電流密度での長時間動作にすぐれ、安定した信頼度の
高い酸化物陰極を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に係わる陰極構体を示す断面
図である。
【図2】一般的な陰極基体金属部の部分拡大図である。
【図3】この発明及び従来のものの寿命比較特性図であ
る。
【符号の説明】 11…陰極基体金属 12…電子放射物層 15…陰極スリーブ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケルを主体してこれに還元剤を微量
    添加した陰極基体金属をプレス成形したうえで陰極スリ
    ーブに接合固定し、上記陰極基体金属面上にアルカリ土
    類金属炭酸塩の電子放射物層を付着させる酸化物陰極構
    体の製造方法において、上記陰極基体金属を非酸化性雰
    囲気中で加熱処理する工程と、その後前記陰極基体金属
    を酸化性雰囲気中で加熱処理する工程と、その後前記陰
    極基体金属を非酸化性雰囲気中で加熱処理する工程と、
    その後前記陰極基体金属面上に上記電子放射物層を付着
    させる工程とを具備することを特徴とする酸化物陰極の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 非酸化性雰囲気中で加熱処理する工程で
    の処理温度は、700〜900℃の範囲である請求項1
    記載の酸化物陰極の製造方法。
  3. 【請求項3】 酸化性雰囲気中で加熱処理する工程での
    処理温度は、700〜850℃の範囲である請求項1記
    載の酸化物陰極の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012059435A1 (de) * 2010-11-05 2012-05-10 Osram Ag Verfahren zum herstellen einer elektrode für eine hochdruckentladungslampe und hochdruckentladungslampe mit mindestens einer derart hergestellten elektrode
US8876570B2 (en) 2010-11-05 2014-11-04 Osram Gmbh Method for producing an electrode for a high-pressure discharge lamp and high-pressure discharge lamp comprising at least one electrode thus produced

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