JPH07622Y2 - 引戸閉鎖装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、手動で開かれた引戸を自動的に閉じる引戸閉
鎖装置に関する。

〔従来の技術〕

水平なレールに吊下げられた引戸を、手動で開くときの
動力で閉じ動力を蓄積し、開いた引戸から手を離すと、
蓄積された閉じ動力で引戸を自動的に閉じる引戸開閉装
置は、引戸を吊下げ支持するレールに沿ってプーリーと
スプロケットで張設されたチェーンなどの無端鎖条と、
前記スプロケットを回転させて無端鎖条を介して引戸に
閉じ動力を伝達する引戸駆動部とで構成されている。前
記引戸駆動部は、引戸の閉じ動力源となるコイルスプリ
ング、および、引戸の閉じ速度を調整する油圧機構を内
蔵した中心吊オートヒンジのような駆動本体と、この駆
動本体より突出させた回転駆動軸の回転力を前記スプロ
ケットに回転数を増大させて伝達する増速歯車とを有
し、引戸の真上に駆動本体、増速歯車、スプロケットが
並行に配置されて、次の動作をする。

閉じられた引戸を手動で開くと、その動力で引戸に連結
された無端鎖条が回動してスプロケットが一方向に回転
し、その回転力が引戸駆動部の増速歯車を介して駆動本
体の回転駆動軸に伝達され、回転駆動軸が回転してコイ
ルスプリングを捩じって閉じ動力を蓄積する。開いた引
戸から手を離すと、引戸駆動部の捩じられたコイルスプ
リングの蓄積された閉じ動力の復元力で回転駆動軸が逆
方向に回転し、増速歯車を介してスプロケットが逆回転
して無端鎖条が逆回動し、引戸が自動的に閉じられる。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、上記引戸閉鎖装置は、引戸の真上に引戸開閉
方向に平行に設置された横長のカバーケースに収納され
るが、引戸駆動部は駆動本体が嵩高く、その側方に増速
歯車とスプロケットを配置した構造で、全体の高さ、奥
行が大きく、そのため、前記カバーケースの見付寸法、
見込寸法が大形化し、カバーケースが引戸から大きく突
出して引戸周辺の外観が悪く、また、引戸の上方に前記
カバーケースを配置する大きなスペースを必要とすると
いった不具合があった。

本考案は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、引戸
駆動部を小形コンパクト化して装置全体の、特に高さ方
向の見付寸法、奥行の見込寸法の縮小化を実現した引戸
閉鎖装置を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本考案は、引戸の真上に張設
された引戸開閉用無端鎖条を引戸開閉方向に回動させる
スプロケットに、引戸閉じ方向に回転力を伝達する引戸
駆動部であって、この引戸駆動部を、引戸の閉じ動力源
となるコイルスプリング、および、引戸の閉じ速度調整
油圧機構を同軸に内蔵し、片端に前記コイルスプリング
に連結された回転駆動軸を上記スプロケットに平行に向
けて略水平に突出させて配置された駆動本体と、上記駆
動本体の回転駆動軸の回転方向を略90°に変換する１対
の笠歯車と、この１対の笠歯車を介して前記回転駆動軸
の回転数を増大させて前記スプロケットに伝達する１対
の平歯車からなる歯車連動機構部とで構成したことを特
徴とする。

〔作用〕

上記構成からなる本考案における引戸駆動部は、横長の
駆動本体と、その回転駆動軸の回転力をスプロケットに
伝達するための歯車連動機構部が１対ずつの笠歯車、お
よび、平歯車と、スプロケットとが略直列状に配置され
た構造になるため、全体が横長になるが、高さ、奥行が
小さくなり、引戸駆動部を含む引戸閉鎖装置を収納する
カバーケースを小形化する作用を呈する。

〔実施例〕

以下、実施例について図面を参照して説明する。

第１図は本考案の引戸閉鎖装置（１）を具えた引戸
（２）の部分正面図、第２図はそのＡ−Ａ線拡大断面図
で、第１図の引戸（２）の実線位置は閉じた位置、鎖線
は開いた位置を示す。引戸（２）は、その上端に固定さ
れた１対の吊金具（３）（３′）に軸支されたコロ
（４）（４′）を介して水平に固定されたレール（５）
に支持される。レール（５）の両端部にはプーリー
（６）とスプロケット（７）が回転可能に固定され、こ
の両者で無端鎖条（８）が水平に張設される。無端鎖条
（８）はチェーン（９）とワイヤ（10）の両端を連結し
たもので、チェーン（９）とワイヤ（10）の片端が吊金
具（３）に連結され、チェーン（９）がスプロケット
（７）に噛み合う。スプロケット（７）はレール（５）
の片端部に固定配置された引戸駆動部（11）で引戸閉じ
方向に回転力を付与される。以上の引戸閉鎖装置（１）
は引戸（２）の上方に設置された横長のカバーケース
（12）に収納される。

引戸駆動部（11）の具体例を第３図乃至第５図に基づき
説明すると、これは引戸（２）の閉じ動力源となるコイ
ルスプリング（13）、および、閉じ速度調整用の油圧機
構（14）を同軸に内蔵し、片端からコイルスプリング
（13）に連結された回転駆動軸（15）を突出した横長円
筒状の駆動本体（16）と、回転駆動軸（15）の回転力を
スプロケット（７）に伝達する１対の第１の笠歯車（1
7）、および、第２の笠歯車（18）と、１対の第１の平
歯車（19）および第２の平歯車（20）とからなる歯車連
動機構部（35）とで構成される。駆動本体（16）はスプ
ロケット（７）の略真横に、片端から突出させた回転駆
動軸（15）をスプロケット（７）に向けて水平に配置さ
れる。回転駆動軸（15）に第１の笠歯車（17）が同軸に
固定され、第１の笠歯車（17）に第２の笠歯車（18）が
90°で噛合し、第２の笠歯車（18）と同軸に第１の平歯
車（19）が固定され、第１の平歯車（19）に、より小径
でスプロケット（７）と同軸に固定された第２の平歯車
（20）が噛合して、回転駆動軸（15）の回転数を増大さ
せてスプロケット（７）に伝達する。

駆動本体（16）は横長の円筒本体（21）の略半分にコイ
ルスプリング（13）とその中心線に沿わせて回転駆動軸
（15）を収納し、他の半分に油圧機構（14）を収納した
もので、コイルスプリング（13）の一端（13a）は円筒
本体（21）に固定されたリング状のスプリング受座（2
2）に連結され、他端（13a）が回転駆動軸（15）に連結
される。油圧機構（14）は回転駆動軸（15）の内側端に
固定されて円筒本体（21）内に回転可能に挿入されたシ
リンダ（23）と、シリンダ（23）の内面に部分的に形成
された多条ネジ（24）に螺装された円筒状のピストン
（25）と、ピストン（25）とシリンダ（23）の外側端部
に固定された軸受（26）を貫通して、円筒本体（21）に
固定されたセレーション軸（27）と、セレーション軸
（27）を貫通する調速棒（28）と、シリンダ（23）内に
充填されたオイル（29）を有する。ピストン（25）はセ
レーション軸（27）で軸方向のみ往復移動するよう動き
が規制され、ピストン（25）とセレーション軸（27）の
間にオイル（29）の逃げ溝（30）が形成され、ピストン
（25）と調速棒（28）の間にチェクバルブ（31）を有す
るリング（32）が装着され、リング（32）はピストン
（25）に固定される。調速棒（28）には軸方向にオイル
流量を可変するテーパ溝（33）が形成され、調速棒（2
8）のセレーション軸（27）からの突出長は外部に設け
た調節ネジ（34）で調整される。

次に、上記引戸閉鎖装置（１）の動作を説明する。引戸
（２）が閉じた位置に在るとき、引戸駆動部（11）の駆
動本体（16）は第４図に示すように、油圧機構（14）の
ピストン（25）が回転駆動軸（15）の近くの位置にあ
る。この状態で、引戸（２）を手動で開くと、その動力
で無端鎖条（８）を介してスプロケット（７）が第１図
の正面から見て左回転し、この回転が第２の平歯車（2
0）から第１の平歯車（19）に減速して伝達し、第１の
平歯車（19）と一体の第２の笠歯車（18）が回転して第
１の笠歯車（17）を介して回転駆動軸（15）を回転させ
る。回転駆動軸（15）の回転でコイルスプリング（13）
が捩じられて引戸（２）の閉じ動力が蓄積されると同時
に、回転駆動軸（15）と一体にシリンダ（23）が回転し
て、その中のピストン（25）がセレーション軸（27）に
沿って第４図の左方向に移動する。このとき、ピストン
（25）内のオイル（29）がチェックバルブ（31）を押し
て開き、オイル（29）はピストン（25）の、第４図にお
ける左方から右方へとスムーズに流れる。

引戸（２）を十分に開き、ピストン（25）が第５図に示
すように、軸受（26）の近くに達したところで引戸
（２）から手を離すと、コイルスプリング（13）に蓄積
された閉じ動力でコイルスプリング（13）が回転駆動軸
（15）を逆回転させ、この逆回転でピストン（25）が第
５図の右方向に移動を始める。ピストン（25）が右移動
で、まずチェックバルブ（31）がピストン（25）の右方
のオイル（29）で押されて閉じ、ピストン（25）の右方
のオイル（29）は調速棒（28）のテーパ溝（33）とピス
トン（25）のリング（32）の間を通過してピストン（2
5）内へと流れ、このテーパ溝（33）を流れるオイル（2
9）の流動抵抗でピストン（25）の移動速度、シリンダ
（23）と回転駆動軸（15）の回転速度が制御される。従
って、ピストン（25）が第５図の右方向に移動するに応
じてリング（32）が通過するテーパ溝（33）の断面積が
小さくなるようにテーパ溝（33）の深さをテーパ面状に
設定しておくと、ピストン（25）が右移動するにつれて
上記流動抵抗が大きくなり、ピストン（25）の移動速度
が遅くなって回転駆動軸（15）の回転速度が遅くなる。
このときの回転駆動軸（15）の逆回転で、第１の笠歯車
（17）と第２の笠歯車（18）、第１の平歯車（19）と第
２の平歯車（20）がそれぞれに引戸開放時と逆方向に回
転して、スプロケット（７）を逆回転させ、無端鎖条
（８）を介して引戸（２）が閉じられる方向に徐々に速
度を落して移動する。この引戸（２）の自動で閉じると
きの速度は、調整ネジ（34）で調速棒（28）をピストン
（25）に対して軸方向に相対移動させ、テーパ溝（33）
を通過するピストン（25）のリング（32）通過範囲を変
更させることで調整される。

〔考案の効果〕

以上説明したことから明らかなように、本考案によれば
引戸を自動的に閉じる引戸駆動部における、閉じ動力源
のコイルスプリングと閉じ速度調整用の油圧機構を同軸
に内蔵する横長で水平な駆動本体と、駆動本体の回転駆
動軸の回転方向を略90°に変換し、回転数を増大させて
引戸開閉用のスプロケットに伝達する１対ずつの笠歯
車、平歯車からなる歯車連動機構部とをスプロケットと
略直列状に配列することで、引戸駆動部を高さ、奥行の
小さいものにすることができ、従って、引戸閉鎖装置を
収納するカバーケースの見付寸法、見込寸法の縮小化が
図れて、外観の良い引戸閉鎖装置が提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１実施例を示す引戸閉鎖装置の正面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ線に沿う拡大断面図、第３
図は第１図における引戸駆動部の部分拡大正面図、第４
図及び第５図は第１図における引戸駆動部の引戸閉成時
及び引戸開放時の部分断面を含む平面図である。 （１）……引戸閉鎖装置、（２）……引戸、（７）……
スプロケット、（８）……無端鎖条、（11）……引戸駆
動部、（13）……コイルスプリング、（14）……油圧機
構、（15）……回転駆動軸、（17）（18）……笠歯車、
（19）（20）……平歯車、（35）……歯車連動機構部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】引戸の真上に張設された引戸開閉用無端鎖
   条を引戸開閉方向に回動させるスプロケットに、引戸閉
   じ方向に回転力を伝達する引戸駆動部であって、この引
   戸駆動部を、引戸の閉じ動力源となるコイルスプリン
   グ、および、引戸の閉じ速度調整油圧機構を同軸に内蔵
   し、片端に前記コイルスプリングに連結された回転駆動
   軸を上記スプロケットに平行に向けて略水平に突出させ
   て配置された駆動本体と、上記駆動本体の回転駆動軸の
   回転方向を略90°に変換する１対の笠歯車と、この１対
   の笠歯車を介して前記回転駆動軸の回転数を増大させて
   前記スプロケットに伝達する１対の平歯車からなる歯車
   連動機構部とで構成したことを特徴とする引戸閉鎖装
   置。