JPH0760513A - 旋盤加工用チャック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 完全に焼成したセラミック材料は非常に硬度
が高いためこれを加工することはダイヤモンド工具等を
使用しても大変な時間を要する。特に加工代が多い場合
には実質的にはほとんど不可能となる。そこで半焼成状
態で加工を済ませ焼成後は仕上げ研磨のみを行う方法が
進められている。しかし、半焼成状態のセラミックは、
脆く破損しやすいので、この様な脆い材料を加工するた
めに有効で能率的な旋盤加工用チャックを提供する。 【構成】 旋盤加工用のチャックの開閉把握機構とワー
クの間に円周方向に可撓性を有する緩衝材を設け、該緩
衝材を前記開閉把握機構と相互に噛み合う段差を用いて
弾性嵌合により結合するごとく構成している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は半焼成状態のセラミック
材料等小さな力で破損し易い材料を旋盤加工する時に、
ワークを把握する為に使用する旋盤加工用チャックに関
するものである。近来特に応用範囲の拡がってきている
セラミック材料は、完全に焼成したときは非常に硬度が
高いため、これを加工することはダイヤモンド工具等を
使用しても大変な時間を要する。特に加工代が多い場合
には実質的にほとんど不可能となる。そこで、半焼成状
態で主な加工を済ませ、焼成後は仕上げ加工のみ行う方
法が進められている。しかし半焼成状態のセラミックは
脆く破損しやすいので、この様な脆い材料を加工するた
めに有効で能率の良い旋盤加工用のチャックの実現が望
まれている。

【０００２】

【従来の技術】従来、この様な材料を加工するためには
適当な方法が無く、その為に極めて弱い力で把握して注
意深く少しずつ削るしかなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のごとき状態で
は、加工のために熟練した作業者が一つのワークを加工
するのに２０分から３０分も掛りコスト的にも非常に高
価なものとなっていた。この様な状態を解決するのが本
発明の課題である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの本発明の手段を以下に述べる。

【０００５】第１の手段として、開閉把握機構とワーク
との間に円周方向に可撓性を有する緩衝部材を設け、該
緩衝部材を前記開閉把握機構に相互に噛み合う段差を用
いて弾性嵌合により取り付けるごとく構成したことを特
徴とする旋盤加工用チャックを提供するものである。

【０００６】第２の手段として、緩衝部材の材質を硬質
合成樹脂としたことを特徴とする前項記載の旋盤加工用
チャックを提供するものである。

【０００７】

【作用】下記に本発明のチャックの作用を説明する。

【０００８】上記のごとく構成した旋盤加工用チャック
は、ワークを把握する時、把握機構が弛緩している状態
でワークを緩衝部材の所定の位置に嵌合せしめ、把握機
構を半径方向に作動させると、緩衝部材は円周方向に撓
んで拡がりワークを把握する。

【０００９】この時のワークの微小な凹凸は緩衝部材の
弾性変形によって吸収され、幅広い面で把握する。 従
って把握時の応力集中が大幅に軽減されワークの破損を
防止する事ができる。以下構造及び作用の詳細を図につ
いて説明する。

【００１０】

【実施例】図１は、本発明の１実施例の構造を示す側面
図であり、説明の為一部を断面表示している。

【００１１】図１において、チャック本体１には、図示
しない旋盤側から供給される油圧によって半径方向に作
動するセレーション移動機構２が設けられ、該移動機構
２の中心側に接してテーパー面３を持つコマ４が設けら
れ、該テーパー面３と接して回転軸方向に動くスリーブ
５と、該スリーブ５にボルト６によって固着されたコレ
ット７が設けられている。コレット７には複数の割り溝
８と、テーパー面９が設けられており、該テーパー面９
に接する内テーパー面１０を有するコレットベース１１
がチャック本体１の正面に固着されている。コレット７
の内面には段差部１２を有し、該段差部１２には、左右
から軸方向に設けられた複数の割り溝１３及び外形段差
部１４を有する円筒状の緩衝部材１５が弾性的に嵌合さ
れている。スプリング１６は、スリーブ５及び、コレッ
ト７を右方向に付勢する為の物であり破線で示す１７は
加工すべきワークである。

【００１２】以上のごとき構造の本発明の作用を説明す
る。移動機構２及びコマ４が外形方向に移動している状
態では、スリーブ５及び、コレット７はスプリング１６
の力で右方向に移動しており、テーパー面９とテーパー
面１０の噛み合いは浅くなり、コレット７及び、緩衝部
材１５は弛緩した状態となっている。油圧により移動機
構２及びコマ４が中心方向に移動すると、テーパー面３
の作用によりスリーブ５及び、コレット７が左方向に移
動し、テーパー面９とテーパー面１０の噛み合いは深く
なり、コレット７の内径部は緩衝部材１５を介してワー
ク１７を把握する。

【００１３】この場合、従来のコレットではわずかな力
でもワークが破壊してしまったが、本発明のチャックで
は、ワーク１７の小さな凹凸に対しては緩衝部材１５が
弾性変形してこれを吸収する為、ワーク１７に応力集中
が少なく、加工に充分な把握力でもワーク１７が破壊す
ることがない。又、緩衝部材１５には、複数の割り溝１
３が設けられているので、コレット７の把握ストローク
が充分に大きくとも緩衝部材１５が繰り返しの伸縮運動
によって破壊することがない。

【００１４】図２は、本発明の他の実施例の構造をしめ
す側面図である。図２において、コレットベース１１の
テーパー面１０をガイドにしてアダプター２１及び、開
きコレット２２がテーパー引棒２３を通してスリーブ５
に取り付けられている。アダプター２１及び、テーパー
引棒２３に設けられたテーパー面２４は開きコレット２
２の内径部にあるテーパー面２５と接している。又、開
きコレット２２の外径部には、図示しない複数個の軸方
向の割り溝と段差部２６が設けられ、該段差部２６には
同様の段差部２７及び、複数個の軸方向の割り溝２９を
有する緩衝部材２８が弾性的に嵌合されている。破線で
示す３０は加工すべきワークである。

【００１５】図２に示す実施例において、スリーブ５が
右側にあるときは、テーパー引棒２３も右側にあり、テ
ーパー面２４とテーパー面２５の噛み合いは浅く、開き
コレット２２は弛緩状態にある。スリーブ５が左方向に
移動すると、テーパー面２４とテーパー面２５の噛み合
いは深くなり、開きコレット２２は半径方向に開き、緩
衝部材２８を介してワーク３０を把握する。この場合の
緩衝部材２８の作用は、図１に示す実施例の緩衝材１５
の場合と同じであるが、開きコレット２２はテーパー面
２４とテーパー面２５によって軸方向の両側から開かれ
るので、偏芯や曲りを生ずることがない。

【００１６】ここで、図１、及び２における実施例にお
いて、緩衝部材１５、及び緩衝部材２８の材質は、ワー
クが半焼成状態のセラミックの場合には、ポリアセター
ル系、塩化ビニール系、及びポリプロピレン等の硬質合
成樹脂がワークの凹凸による部分的な接触によって生ず
る応力集中を軽減するのに適当である。

【００１７】

【発明の効果】上記のごとく構成された本発明は、以下
のごとき効果を奏する。

【００１８】半焼成状態のセラミック製のワークをコレ
ットによって直接ワークを把握するのに比べて、緩衝部
材を介して把握することにより、強い力で把握してもワ
ークが破損することがなく、従来特別な技術を持つ熟練
工が２０〜３０分も掛かった旋盤加工を、熟練工でなく
とも３分程度で完了することができるので極めて能率的
である。

【００１９】又、緩衝部材はコレットと段差部分によっ
て弾性的に嵌合しているので、ワークの着脱時に不用意
に外れることがなく、作業ミスをなくし、事故を未然に
防ぎ、安全性を高めることができる。

【００２０】更に、緩衝部材には複数個の軸方向の割り
溝を有しており、円周方向に可撓性を有するため、ワー
ク着脱の度に多くの回数円周方向の伸び縮みを繰り返し
ても破損することがなく、寿命が長い。

【図面の簡単な説明】

【図 １】本発明の１実施例の構造を示す側面図であ
る。

【図 ２】本発明の他の実施例の構造を示す側面図であ
る。

【符号の説明】

１、チャック本体 ２、移動機構 ３、テーパー面 ４、コマ ５、スリーブ ６、ボルト ７、コレット ８、割り溝 ９、テーパー面 １０、テーパー面 １１、コレットベース １２、段差部 １３、割り溝 １４、外形段差部 １５、緩衝部材 １６、スプリング １７、ワーク ２１、アダプター ２２、開きコレット ２３、テーパー引棒 ２４、テーパー面 ２５、テーパー面 ２６、段差部 ２７、段差部 ２８、緩衝部材 ２９、割り溝 ３０、ワーク

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 開閉把握機構とワークとの間に円周方向
   に可撓性を有する緩衝部材を設け、該緩衝部材を前記開
   閉把握機構に相互に噛み合う段差を用いて弾性嵌合によ
   り取り付けるごとく構成したことを特徴とする旋盤加工
   用チャック。
2. 【請求項２】 緩衝部材の材質を硬質合成樹脂としたこ
   とを特徴とする請求項１記載の旋盤加工用チャック。