JPH076012Y2 - 車両用差動制限装置 - Google Patents

車両用差動制限装置

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JPH076012Y2
JPH076012Y2 JP1988088575U JP8857588U JPH076012Y2 JP H076012 Y2 JPH076012 Y2 JP H076012Y2 JP 1988088575 U JP1988088575 U JP 1988088575U JP 8857588 U JP8857588 U JP 8857588U JP H076012 Y2 JPH076012 Y2 JP H076012Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、2つの回転部材又は回転要素の間の差動を制
限するように構成された車両用差動制限装置に関するも
のである。
〔従来の技術〕
車両の駆動力伝達機構において、入力された駆動トルク
を2つの駆動系に差動回転可能に伝達するとともに、両
駆動系間の差動回転を抑制する差動制限装置を備えた車
両用動力伝達装置又はディファレンシャル装置が知られ
ている。このような差動制限装置機構付きの装置は、例
えば、四輪駆動車において、前後輪間に駆動トルクを配
分するための駆動力伝達経路において介挿される。
ここに、上記の差動制限装置の機構としては、例えば、
実開昭62−3328号公報に開示されているように、前輪駆
動系と後輪駆動系との間に介装されたベーン式オイルポ
ンプを備えた四輪駆動車の動力伝達装置が知られてい
る。この形式のものにおいては、ポンプのロータが、一
方の車輪に駆動トルクを伝達する回転部材と一体的に回
転し、カムリング部材が他方の車輪に駆動トルクを伝達
する回転部材と一体的に回転する構造となっている。こ
の構造においては、両輪間に差動が生じて、ロータとカ
ムリング部材との間に相対回転が生じると、オイルポン
プが両者の相対回転を抑制するように機能する。
即ち、オイルポンプとオイル溜との間で作動流体、即ち
油を循環させる油圧回路が設けられ、この油圧回路に
は、オイルポンプの吐出油量が増加したときに油圧回路
を循環する油の量を可変的に絞る可変絞り機構が設けら
れている。この可変絞り機構は、ロータとカムリング部
材との間に相対回転が生じて吐出油量が増加したときに
オイルポンプの吐出油量を絞り、これによってポンプ室
内の油圧を上昇させてロータとカムリング部材との間の
回転差を抑制させるように機能する。
〔考案が解決しようとする問題点〕
しかしながら、この作動制限装置では、両輪のいずれの
側の回転数が高いのかに応じてロータとカムリング部材
の回転方向が変わり、これらの両方向の相対回転を抑制
するために、逆方向に作動油を供給する2系統の油圧回
路が必要である。
このため、油圧回路が複雑となり、又各油圧回路に対応
した複数の可変絞り機構が必要となる。この結果、作動
制限装置が大形化し、過大な設置スペースが必要とな
る。更には、装置の複雑化且つ大形化によって製造コス
トが増大する。
本考案は、かかる点に鑑みてなされたものであり、簡単
且つ単純化された油圧回路を備え、これによって、コン
パクト且つ安価に製造できる車両用差動制限装置を提供
することを目的とする。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
上記目的を達成するために、本考案においては、先ず、
第1の駆動系に駆動トルクを伝達する回転要素に連結さ
れたロータと、第2の駆動系に駆動トルクを伝達する回
転要素に連結された、前記ロータを収容するハウジング
とを有するベーン式ポンプを用いた車両用差動制限装置
において、前記ハウジングは、ロータのベーンが摺接す
るカムリング面を有するカムリング部材と、該カムリン
グ部材を挟んでポンプ室の側部を構成する第1のリング
部材及び第2のリング部材とを有し、前記第1のリング
部材には、前記ロータとハウジング間の相対回転の方向
に係わらず、ポンプ室からの吐出流体をベーンバック圧
力孔に導入する流体導入路が形成されている。
一方、前記第2のリング部材には、ベーンバック圧力孔
から吐出流体を導出させるための流体流出路が形成さ
れ、この流出路には可変絞り機構が設けてある。
この可変絞り機構は、ベーンバック圧力孔の吐出圧力が
上昇すると、それに応じて前記吐出流体の前記流体流出
路への流出を可変的に絞るように構成してある。
この構成によれば、ロータとハウジングの間の相対回転
数が上昇すると、即ちこれらがそれぞれ連結された回転
駆動系の間の差動量が多くなると、ポンプからの吐出流
体の圧力が上昇し、この上昇に応じて可変絞り機構の作
用の下に、流出路に流出される吐出流体の量が可変的に
絞られる。この結果、ポンプ室内の流体圧が上昇して、
ロータとハウジングとの相対回転が制限される。即ち、
両回転駆動系の間の差動が制限されるようになる。
〔実施例〕
以下、図面を参照して、本考案の実施例を詳細に説明す
る。
第1図は、本考案による差動制限装置付きのセンタディ
ファレンシャル(以下、センタデフという)を組み込ん
だ四輪駆動車の駆動系を示す構成図である。
四輪駆動車の全体構成 第1図に示すように、エンジン1の動力は、エンジン1
の側方に配置された変速機2に伝達され、変速機2の変
速歯車機構3を介して、出力ギア4から前後輪間の差動
装置であるセンタデフ14に出力される。センタデフ14に
入力された動力即ち駆動トルクは、センタデフ14を介し
て前輪側及び後輪側の駆動系に分配される。駆動系には
前輪間差動装置であるフロントデフ13が介装されてお
り、前輪側に伝達されたトルクはここを介して左右の前
輪11、12へ分配される。また、後輪側の駆動系にも、リ
アデフ40が介装されており、後輪側に伝達されたトルク
はここを介して左右の後輪43、44に配分される。
センタデフ14はダブルピニオン式遊星歯車機構19として
構成されており、フロントデフ13のデフケース16の外周
には相対回転可能に嵌合された筒状中間部材26が設けら
れ、この部材の外歯部には出力ギア4と噛合した状態に
リングギヤ24が配置されている。リングギア24の内歯部
には複数のピニオン22が噛み合っており、これらのピニ
オン22はピニオンキャリア23によって支持されている。
一方のフロントアクスル5の外周には回転可能にサンギ
ア21が支持され、このサンギアはピニオン22に噛合して
いる。
センタデフ14のピニオンキャリア23には、他方のフロン
トアクスル6の外周に回転可能に支持されたフロントデ
フ13のデフケース16が一体的に連結されている。このデ
フケース16には、相対向する一対のピニオン17、17がピ
ニオン軸20を介して回転可能に支持されている。これら
のピニオン17の夫々には、フロントアクスル5、6に夫
々連結された一対のサイドギア18、18が噛合し、フロン
トアクスル5、6にはジョイント7、8及びドライブ軸
9、10を介して、左右の前輪11、12が夫々連結されてい
る。
出力ギア4から出力された駆動トルクがセンタデフ14の
リングギア24に入力されると、センタデフ14の遊星歯車
機構19を介して前輪用駆動トルクが取り出され、このト
ルクが遊星歯車機構19のピニオンキャリア23を介してフ
ロントデフ13のデフケース16に伝達される。デフケース
16に伝達された駆動トルクは更に、フロントデフ13にお
いてピニオン軸20、ピニオン17、17、サイドギア18、18
によって左右の前輪駆動用トルクとして分配され、それ
ぞれフロントアクスル5、6、ジョイント7、8及びド
ライブ軸9、10を介して前輪11、12に伝達される。
また、センタデフ14は、その筒状中間部材26のフロント
アクスル6の側の延長部分27と、フロントデフ13のデフ
ケース16の延長部分28との間に、デフロック機構25を有
し、このデフロック機構25によって、センタデフ14とフ
ロントデフ13との差動を禁止でき、これによってセンタ
デフロックの四輪駆動状態がえられるようになってい
る。
一方、センタデフの差動制限装置15が、センタデフ14の
フロントアクスル5側に配置されており、差動制限装置
15のハウジング31はサンギヤ21に対して一体回転するよ
うに連結され、またハウジング31の外周部分には伝達ギ
ア34が一体的に設けられている。伝達ギア34は、ギア3
5、中間軸36、ギア37、38、プロペラシャフト39、リア
デフ40、及び左右のドライブ軸41、42からなる後輪駆動
系33に連結され、これらを介して後輪43、44に夫々連結
されている。
従って、出力ギア4からセンタデフ14のリングギア24に
入力された駆動トルクから、センタデフ14の遊星歯車機
構19を介して後輪駆動用トルクが取り出され、これがサ
ンギア21及び差動制限装置15のハウジング31を介して伝
達ギア34から後輪駆動系33に出力される。
上記差動制限装置15は、ピニオンキャリア23と一体的に
回転し且つフロントアクスル5に回転可能に嵌合された
円筒状部材20と、伝達ギア34及びサンギア21と一体とな
って回転するハウジング31と、円筒状部材30とハウジン
グ31との間に配置されたベーン式の油圧ポンプ部32とを
その主要構成部としている。
差動制限装置の構成及び作動 第2図乃至第5図を参照して、差動制限装置15を説明す
る。
第2図は差動制限装置15の概略構成を概念的に示す概略
構成図であり、第3図乃至第5図は差動制限装置15の具
体的構成を示す概略断面図である。
まず、第2図に示すように、差動制限装置15のポンプ部
32は、ハウジング31の楕円形の内面を形成するカムリン
グ部材31aと、円筒状部材30に結合されたロータ32aとを
有し、これら両部材間に一対のポンプ室102a、102bが形
成されるようになっている。ロータ32aは、その外周面
に、周方向に等間隔で幅方向に延びる多数の溝部52を有
し、各々の溝部52には、カムリング部材31aの内周面53
に摺接しうるベーン32bが嵌装されている。かかる構成
により、ロータ32aとカムリング部材31aとの間に相対回
転が生ずると、その回転数に比例した油圧が発生する。
また、差動制限装置15は、ポンプ室102a、102bと作動油
を収容しているオイル溜109との間に作動油を循環させ
るための油圧回路101を有する。
なお、このポンプ部32は、ロータ32aとカムリング部材3
1aとの間に相対回転が生ずると油圧ポンプとして機能し
て油圧を発生し、その回転数に比例した油量を吐出する
ものである。
ポンプ部32の2つのポンプ室102a、102bには、ハウジン
グ31に形成された複数の吸引口103a〜d及び吐出口104a
〜dが図示の如く交互に開口している。吸引口103a〜d
には、吸引側油路106の一部をなす複数の油路106aが夫
々連結され、各々の油路106aは、チェック弁107及び油
路106bを介して各々の油路106bを相互に連通させる油路
106c及び油路108に連通している。油路108は、その末端
にストレーナ108aを有し、ストレーナ108aを介してオイ
ル溜109と連通している。
一方、吐出口104a〜dは、吐出油路110の一部をなす油
路110aが夫々連結され、各々の油路110aは、チェック弁
111、油路110bを介して各々の油路110bを相互に連通さ
せる油路110c及び油路112と連通している。油路112は更
に、可変絞り機構113及び油路114を介してオイル溜109
と連通している。
上述の如く、吸引口103a〜dと吐出口104a〜dを図示の
ごとく円周方向に交互に配置するとともに、油路106及
び110に、吸引口103a〜d及び吐出口104a〜dのに対応
する複数のチェック弁107及び111を夫々油の吸引及び吐
出方向にのみ作動油が流れるように配設したことによ
り、例えば、ロータ32aがカムリング部材31aに対して図
示の矢印の如く時計廻りに回転するときには、吸引口10
3a、103c及び吐出口104a、104cが夫々吸引口及び吐出口
として機能する。即ち、油は、オイル溜109から矢印で
示す経路に従って油路108、106を通り、ポンプ室102a、
102bに吸引され、吐出口104a、104cから油路110に吐出
される。これに対し、ロータ32aがカムリング部材31aに
対して破線で示す反時計廻りに回転するときには、吸引
口103b、103d及び吐出口104d、104bが夫々吸引口及び吐
出口として機能する。即ち、油は、吸引口103b、103dか
らポンプ室102a、102bに吸引され、吐出口104b、104dか
ら吐出される。従って、ロータ32aとカムリング部材31
との相対回転の方向にかかわらず、常に吐出圧力は吐出
側油路110に作用し、また吸引圧力は教員側油路106に作
用することになる。
ポンプ室102a、102bから油路110に吐出された油は、油
路112を介して可変絞り機構113に送られる。
可変絞り機構113は、スリーブ113aと、スリーブ113aの
側面に設けられ、油路112から分岐した油路112b及び油
路114に夫々連通する流入ポート113d及び流出ポート113
eと、スリーブ113aの端面に形成され、油路112から分岐
した油路112aに開口する開口部113fと、スリーブ113a内
に位置し、軸線方向に移動可能なスプール113bと、開口
部113fの反対側に配設されてスプール113bを開口部113f
の側に付勢するスプリング113cとを有し、流入ポート11
3d及び流出ポート113eの開度を変化させることによって
油路112と油路114との間の作動油の流量を調整するよう
に構成されている。
例えば、ポンプ32の吐出圧が上昇すると、吐出圧が油路
112aに開口した開口部113fを介してスプール113bの一端
面に作用し、スプール113bがスプリング113cに抗して軸
線方向に押圧移動され、流入ポート113d及び流出ポート
113eと油路112b及び114とが互いに遠ざかるように相対
移動する。この結果、油路112a及び114の間の流路が徐
々に閉塞して、流通油量を減少させ、ついには油の通過
を遮断する。これに対し、ポンプ部32の吐出圧が下降し
た場合には、スプール113bがスプリング113cに付勢され
て押圧移動され、流入ポート113d及び流出ポート113eと
油路112b及び114との間の開口が重なるように相対移動
し、この結果、可変絞り機構113は、油路112a及び114の
間の流路を徐々に開いて、流量が増大する。
このように、可変絞り機構113がポンプ部32の吐出油圧
の上昇に対応して吐出側流量を可変的に絞るため、ロー
タ32aとカムリング部材31aとが相対回転してポンプ室10
2a、102b内の油圧が上昇して、ポンプ部32の吐出圧が上
昇すると、吐出油量は可変絞りの機構113の上記作動に
よって絞られる。この結果、ポンプ室102a、102b内の油
圧は更に上昇し、この油圧上昇に伴ってロータ32aとカ
ムリング部材31aとの相対回転が抑制されて、ついには
ロータ32aとカムリング部材31aとがポンプ室102a、102b
内の油の静圧によって剛体の如く連結されて一体的に回
転することになる。
次に、第3図乃至第5図を参照して、差動制限装置15の
具体的構成について説明する。
第3図及び第4図に示すように、円筒状部材30がフロン
トアクスル5の外周に相対回転可能に嵌合され、円筒状
部材30の外周部には、略同心状にベーン32bを有するロ
ータ32aがスプライン結合している。ロータ32aの外周に
は、カムリング部材31aと第1リング部材31bと第2リン
グ部材31cとを複数のボルト(図示せず)によって一体
的に連結してなるハウジング31が円筒状部材30に対し相
対回転可能に支持されている。第2リング部材31cは、
そのサンギア21の側における延長部分の外周に形成され
たスプライン31fがサンギア21のスプライン21aとスプラ
イン連結し、これによってハウジング31がサンギア21と
一体回転するようになっている。また、第1リング部材
31bは、その外周部分にサンギア31の反対側に延在する
環状部分31b′を有し、環状部分31b′の内側には、その
外周面が環状部分31b′の内周面に摺接する第3リング
部材31dが、第1リング部材31bに対し相対回転可能に配
設されている。
オイル溜109と連通する吸入管路108aが、第3リング部
材31dに形成された油路108bに連結されている。油路108
bは、吸引側油路106の一部をなす油路106cに連通してい
る。油路106cは、第3リング部材31dに外周溝として形
成され、第1リング部材31bに形成された複数の油路106
bに連通し、各油路106bは、第1リング部材31bに設けら
れたチェック弁107、油路106a及び吸引口103を介してポ
ンプ室102a、102bに連通している。
一方、ポンプ室102a、102bの各々の吐出口104は、第1
リング部材31bに形成され、吐出側油路110を構成する複
数の油路110a、チェック弁111及び油路110bを介して、
第3リング部材31dに外周溝として形成された油路110c
に連通している。
油路110cは、第5図に示すように、チェック弁111とは
円周方向にずれた位置で第1リング部材31bに形成さ
れ、油路112の一部をなすバックアップ孔導入路112cと
流体連通する。バックアップ孔導入路112cは更に、第1
リング部材31aのポンプ室102a、102bの側の端面に複数
のベーンバック圧力孔112eと流体連通しうるように形成
された環状溝112dを介して、ベーンバック圧力孔112eに
連通している。
ベーンバック圧力孔112eは、ロータ32aの長さ方向に亘
って延び、その孔内油圧によってベーン32bを半径方向
外方に付勢して、ベーンをカムリング部材31aに摺接さ
せる。ベーンバック圧力孔112eは更に、第2リング部材
31cのポンプ室102a、102b側の端面に環状溝112dと対称
的に形成された環状溝112fに流体連通している。環状溝
112fは第2図における油路112bの一部及び油路112aに相
応する機能をともに有する。
第2リング部材31cには可変絞り機構113が設けられ、可
変絞り機構113は、第2リング部材31cに設けられたスリ
ーブ113aと、スリーブ113a内に軸線方向に移動可能に嵌
装されたスプール113bと、スプール113bをベーンバック
圧力孔112eの側に付勢するスプリング113cとから構成さ
れている。スリーブ113aのポンプ室102a、102b側の部分
は直径が拡大されており、スプール113bの外周との間に
油路112bを形成している。スプール113bには油路112bを
介して環状溝112fと連通可能な複数の流入ポート113dが
形成され、また、スリーブ113aのサンギア21側端面には
スリーブ113aと、オイル溜109に連通する油路114とを連
通させる流出ポート113eが形成されている。
スプール113bは、そのポンプ室103側端面が円周溝112f
に面し、ベーンバック圧力孔112e内の油圧が上昇する
と、この油圧上昇によってスプール113bがスプリング11
3cのばね圧に抗してサンギア21側へ移動する。スプール
113bが移動するにつれて、流入ポート113dと油路112bと
の間の流路が徐々に閉塞し、その結果、流出ポート113e
及び油路114を介してオイル溜109に吐出する油量が絞ら
れる。流入ポート113dが完全に閉じると、オイル溜109
への油の吐出は完全に行われなくなる。この結果、ポン
プ室102a、102b内の油圧が上昇し、ロータ32aとカムリ
ング部材31aとの相対回転が抑制され、ついにはポンプ
室102a、102b内の静圧によってロータ32aとカムリング
部材31aとが一体的に回転することになる。
かくして、ロータ32aと一体回転するピニオンキャリア2
3と、ハウジング31と一体回転する伝達ギア34との間の
回転差が抑制されて、前輪−後輪間の差動が制限され
る。
このように、ベーンバック圧力孔112eを吐出側油路112
の一部として用い、可変絞り機構113を吸引口103及び吐
出口104が形成された第1リング部材31bと対向する第2
リング部材31cに設けることにより、差動制限装置15を
全体的にコンパクトな構成とすることができる。
差動制限装置の作動特性 次に、以上の構成からなる差動制限装置15における作動
特性を第7図の線図をもとに説明する。
第7図には、従来の差動制限装置における作動特性を特
性線A線で示し、上記差動制限装置15における差動特性
を特性線Bで示してある。図示の如く、本差動制限装置
15においては、差動回転数の小さい低差動回転領域では
ポンプ部32の吐出圧が低いため可変絞り機構113が吐出
油量をさほど制限せず、従って伝達トルクの上昇は特性
線Aに比較して緩慢である。差動回転数が所定値N1に近
づくにつれて、ポンプ32の吐出圧が上昇して可変絞り機
構113が吐出油量を絞るために伝達トルクは比較的急上
昇して伝達トルクT1まで上昇し、以降特性線Aと同様に
差動回転数ΔNの増大に従って伝達トルクTが上昇す
る。
このように、差動制限装置15においては、低差動回転領
域では伝達トルクの上昇が比較的緩慢になるため、例え
ば、低速走行時におけるコーナーリングブレーキ現象を
防止できる。
変形例 第6図には、本差動制限装置の他の実施例を示す。
差動制限装置15′の吐出側油路112には更に、第2リン
グ部材31cに形成された油路120及び円周溝121からなる
副油路が設けられている。油路120は、一端が環状溝112
fと流体連通し、他端が円周溝121と流体連通している。
また、環状溝121は油路112bの端部より更にサンギア21
側においてスリーブ113a内に開口し、ポンプ吐出圧の上
昇に伴うスプール113bの移動によって吐出側流路が閉塞
した後に、スプール113bが更にサンギア21の側に移動し
たとき、油路120と流入ポート113dとを流体連通するよ
うな位置に設けられている。
従って、ポンプ部32における内圧が、所定の圧力まで上
昇したときに、油路120及び円周溝121が環状溝112fと流
入ポート113dとを流体連通させ、これによって吐出側油
路112と油路114とを流体連通させてポンプ部32からの吐
出油を再びオイル溜109に排出させる。
差動制限装置15′の作動特性を第7図に特性線Cで示
す。作動制限装置15′においては、伝達トルクが所定の
値T2まで増大し、即ちポンプ室102a、102bにおける油圧
が所定の値まで上昇すると、上述の如く吐出油が再度排
出される結果、ポンプ室102a、102b内の油圧上昇が抑制
される。かくして、複雑な保護回路を設けることなく、
コンパクト且つ安価な構造で、ポンプ部32に生じうる過
剰な内圧を防止し、ポンプ部32を保護することができ
る。
なお、上記実施例においては、本考案の作動制限装置を
ディファレンシァル装置14用の作動制限装置15、15′と
して説明した。しかしながら、従来技術において説明し
た四輪駆動用動力伝達装置(実開昭62−3328号公報)の
差動制限装置として本考案の差動制限装置を使用し得る
ことは、いうまでもない。
〔効果〕
このように、本考案によれば、簡単且つ単純化された油
圧回路を備え、これによって、コンパクト且つ安価に製
造できる車両用差動制限装置を提供することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本考案による差動制限装置を適用した四輪駆
動車の実施例を示す概略全体構成図である。 第2図は、本差動制限装置の実施例の概略構成を概念的
に示す概略構成図である。 第3図は、本差動制限装置の実施例を第1図のA−A線
に沿って示す部分省略断面図である。 第4図は第3図のB−B線における概略断面図であり、
第5図は第3図のC−C線における概略断面図である。 第6図は、本差動制限装置の別の実施例を示す部分的に
省略した概略断面図である。 第7図は、上記差動制限装置の実施例の作動特性を示す
線図である。 1……エンジン 2……変速機 4……出力ギア 13……フロントデフ 14……センタデフ 15、15′……差動制限装置 16……デフケース 19……遊星歯車機構 21……サンギア 22……ピニオン 23……ピニオンキャリア 30……円筒状部材 31……ハウジング 31a……カムリング部材 31b……第1リング部材 31c……第2リング部材 31d……第3リング部材 32……ポンプ部 32a……ロータ 32b……ベーン 33……後輪駆動系 34……伝達ギア 101……油圧回路 102a、102b……ポンプ室 103……吸引口 104……吐出口 106……吸引側油路 107、111……チェック弁 108、112、114……油路 109……オイル溜 110……吐出側油路 112e……ベーンバック圧力孔 113……可変絞り機構

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】ベーン式オイルポンプを備え、このポンプ
    を構成するロータとハウジングとの間の相対回転量に応
    じて発生する吐出流体圧力によって、相対回転可能な2
    つの回転部材の間の差動を制限するように構成された車
    両用差動制限装置において、 前記ロータは、第1車軸にトルク伝達可能に連結された
    第1回転部材に一体回転可能に連結され、 前記ハウジングは、第2車軸にトルク伝達可能に連結さ
    れた第2回転部材に一体回転可能に連結され、 前記ハウジングは、前記ロータの外周に取付けたベーン
    が摺動するカムリング内周面を備えたカムリング部材
    と、このカムリング部材の両側に取付けられて、前記ハ
    ウジングの側部を形成する第1及び第2のリング部材と
    を有し、前記ロータは、前記ベーンを前記カムリング内
    周面に押圧するためのベーンバック圧力を得るベーンバ
    ック圧力孔を有し、 前記第1のリング部材には、前記ロータとハウジングと
    の相対回転によって生ずる吐出流体を前記ベーンバック
    圧力孔に導入する流体導入路が設けられ、前記第2のリ
    ング部材には、前記ベーンバック圧力孔に連通した流体
    導出路と、前記ベーンバック圧力孔から前記流体導出路
    に流出する流体の流量を流体圧力の上昇に応じて制限可
    能な可変絞り機構とが設けられている、ことを特徴とす
    る車両用差動制限装置。
JP1988088575U 1988-07-04 1988-07-04 車両用差動制限装置 Expired - Lifetime JPH076012Y2 (ja)

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