JPH0755686A - 膜物性評価方法およびその装置 - Google Patents

膜物性評価方法およびその装置

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JPH0755686A
JPH0755686A JP19838893A JP19838893A JPH0755686A JP H0755686 A JPH0755686 A JP H0755686A JP 19838893 A JP19838893 A JP 19838893A JP 19838893 A JP19838893 A JP 19838893A JP H0755686 A JPH0755686 A JP H0755686A
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JP
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solution
drug
permeation
membrane
sample
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Application number
JP19838893A
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Inventor
Masa Sakurai
雅 桜井
Seiichi Shibata
誠一 柴田
Tatsuhiro Nagamatsu
龍弘 永松
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 膜物性評価用セル13のレセプターセル13
b内の溶液は、サンプル液としてロータリーバルブ4内
を循環しており、所定のサンプリング時間になると、自
動測定制御装置9の制御によりロータリーバルブ4の流
路切換動作が行われることにより、サンプル液が分析用
ポンプ3からの移動相と共に抵抗管5を介してUV−V
IS検出器6に送られ、サンプル液内の薬物量が測定さ
れる。 【効果】 所定の検出時間になると、サンプル液が自動
的にUV−VIS検出器6に送液されるので、実験者が
手作業でサンプルを採取する必要がなくなり、測定時間
の管理等が不要になるので、実験者の負担が軽減される
と共に、より正確な膜物性評価を行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリコーン、熱可塑性
樹脂等の合成高分子膜や、皮膚、眼球角膜等の生体膜に
ついて薬物の透過実験を効率良く行える膜物性評価方法
およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば湿布剤等の外用医薬品において
は、含有される薬物が皮膚を透過して毛細血管に吸収さ
れる速度を測定する試験が行われ、熱可塑性樹脂からな
るカプセル等の内部に薬物を含むものにおいても、カプ
セル内の薬物が外側に透過してくる速度を測定する試験
が行われる。
【0003】従来では、このような薬物の膜透過性を試
験する場合、薬物を所定の濃度で溶解した溶液を入れた
ドナーセルと、薬物を含まない溶液を入れたレセプター
セルとの間に、評価対象となる膜をセットし、レセプタ
ーセル側の溶液を所定の時間ごとにサンプル液として採
取する。そして、このサンプル液を、例えば紫外吸光光
度計等を検出器とする液体クロマトグラフィ装置にか
け、検出されたピークを基に、各時間ごとの薬物濃度を
測定している。
【0004】すなわち、上記のように、濃度の異なる溶
液の間に薬物に対する透過性を示す膜をセットすると、
時間の経過に伴って、薬物はこの膜を透過して濃度の高
い方から低い方に移動する。この際に、レセプターセル
側の薬物濃度を経時的に測定することにより、膜透過速
度を測定することができ、拡散係数、分散係数等の膜物
性を評価できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な場合には、レセプターセルからのサンプル液の採取
は、所定の時間ごとに、例えばマイクロシリンジ等を使
用して手作業で行い、これを液体クロマトグラフィ装置
にかけて測定を行うようになっているので、煩雑な作業
が必要となるだけでなく、このような試験を例えば数日
間にわたり継続して行う場合には、測定時間の管理など
実験者の負担が大きく、さらに、測定時間の誤差等も生
じ易いので、測定誤差も大きくなるという問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る膜
物性評価方法は、上記の課題を解決するために、薬物が
溶解された供給側溶液と薬物が溶解されていない透過側
溶液との間に膜を設置し、上記供給側溶液から透過側溶
液に膜透過した薬物量を薬物量検出手段で検出する膜物
性評価方法において、上記透過側溶液をサンプル注入手
段に循環させておき、供給側溶液を入れた時点から所定
の時間間隔で上記サンプル注入手段の流路切換動作を行
って上記透過側溶液の一部を薬物量検出手段に送液する
ことを特徴としている。
【0007】また、請求項2の発明に係る膜物性評価装
置は、上記の課題を解決するために、薬物が溶解された
供給側溶液と薬物が溶解されていない透過側溶液との間
に膜が設置された膜透過実験手段と、透過側溶液の薬物
量を検出する薬物量検出手段と、上記透過側溶液の流路
を上記膜透過実験手段との循環流路および薬物量検出手
段に送液する流路との間で切換えるサンプル注入手段
と、このサンプル注入手段に上記膜透過実験手段からの
透過側溶液を送液する送液手段と、上記膜透過実験手段
に供給側溶液を入れた時点から所定の時間間隔でサンプ
ル注入手段から上記薬物量検出手段に透過側溶液の一部
を送液させるように、サンプル注入手段の流路切換動作
を制御する制御手段とを備えていることを特徴としてい
る。
【0008】また、請求項3の発明に係る膜物性評価方
法は、上記の課題を解決するために、薬物が溶解された
供給側溶液と薬物が溶解されていない透過側溶液との間
に膜を設置し、上記供給側溶液から透過側溶液への薬物
の膜透過量を薬物量検出手段により検出する膜物性評価
方法において、複数の透過側溶液をサンプル注入手段に
個々に循環させ、供給側溶液を入れた時点から所定の時
間間隔でサンプル注入手段を動作させて、循環している
複数の透過側溶液の中から指定された透過側溶液を採取
し薬物量検出手段に送液することを特徴としている。
【0009】また、請求項4の発明に係る膜物性評価装
置は、上記の課題を解決するために、薬物が溶解された
供給側溶液と薬物が溶解されていない透過側溶液との間
に膜が設置された複数の膜透過実験手段と、透過側溶液
の薬物量を検出する薬物量検出手段と、上記複数の膜透
過実験手段からの各透過側溶液が個々に循環されてお
り、指定された膜透過実験手段の透過側溶液を採取して
薬物量検出手段に送液するサンプル注入手段と、このサ
ンプル注入手段に複数の膜透過実験手段からの透過側溶
液をそれぞれ送液する送液手段と、上記膜透過実験手段
に供給側溶液を入れた時点から所定の時間間隔で複数の
膜透過実験手段の中から指定された膜透過実験手段の透
過側溶液を採取し、薬物透過量検出手段に送液するよう
に、上記サンプル注入手段を制御する制御手段とを備え
ていることを特徴としている。
【0010】また、請求項5の発明に係る膜物性評価装
置は、上記の課題を解決するために、請求項2または4
記載の膜物性評価装置において、上記薬物量検出手段に
おける透過側溶液の保持時間を増大させる抵抗管が、上
記サンプル注入手段に接続されていることを特徴として
いる。
【0011】また、請求項6の発明に係る膜物性評価装
置は、上記の課題を解決するために、請求項2または4
記載の膜物性評価装置において、上記透過側溶液に複数
種類含まれている薬物を通過時間の差により分離するカ
ラムが、上記サンプル注入手段に接続されていることを
特徴としている。
【0012】
【作用】請求項1の方法では、供給側溶液から時間の経
過に伴い次第に薬物が膜透過してくる透過側溶液の薬物
濃度変化を把握し、膜物性評価を行うことを目的とし
て、透過側溶液を入れた時点から所定の時間間隔で透過
側溶液の薬物量を検出する場合に、サンプル注入手段の
流路切換動作を上記所定の時間間隔で行うことにより、
このサンプル注入手段に循環されている透過側溶液を薬
物量検出手段に送液し、各時間ごとの透過側溶液の薬物
量を検出するようになっている。
【0013】このように、所定の時間間隔で透過側溶液
を薬物量検出手段に送液するサンプル注入手段を利用し
て透過側溶液の薬物量検出を行うことにより、透過側溶
液の採取等を所定の時間ごとに実験者が手作業で行う必
要がなくなり、また、測定時間の管理等も不要になるの
で、実験者の負担が大幅に軽減されると共に、測定時間
の誤差等も小さくなり、より正確な膜物性評価を行え
る。
【0014】また、請求項2の構成によれば、膜透過実
験手段における透過側溶液では、時間の経過に伴い供給
側溶液から膜を透過した薬物が移行してくるため、薬物
濃度が次第に上昇していく。送液手段によりサンプル注
入手段に送液されている透過側溶液は、制御手段の制御
により膜透過実験手段に供給側溶液を入れた時点から所
定の時間間隔でサンプル注入手段の流路切換動作が行わ
れることにより、薬物量検出手段に送られ、透過側溶液
に含まれる薬物量が検出される。この薬物量検出手段で
検出した薬物量から、透過側溶液の薬物濃度を求めるこ
とができ、このような薬物濃度の検出を上記所定の時間
間隔で繰り返し行うことにより得られた薬物濃度変化を
基に、膜物性を評価できる。
【0015】このように、所定の時間間隔で、自動的に
透過側溶液が薬物検出手段に送られる膜物性評価装置を
利用して、膜透過性の実験を実施することにより、透過
側溶液を所定の時間ごとに手作業で採取するという煩雑
な作業が不要になるだけでなく、例えば実験が長期間に
わたり継続される場合でも、実験者の負担が大きくなる
ことはなく、また、誤差の少ない検出結果が得られるこ
とにより、より正確な膜物性評価を行える。
【0016】また、請求項3の方法では、サンプル注入
手段には複数の透過側溶液が個々に循環されており、上
記複数の透過側溶液の中から指定された透過側溶液が、
供給側溶液を入れた時点から所定の時間間隔でサンプル
注入手段により採取され薬物量検出手段に送られるよう
になっている。したがって、複数の透過側溶液を個々に
循環できるサンプル注入手段を利用し、例えば各透過側
溶液の薬物量測定時間を互いにずらして設定することに
より、1つの薬物量検出手段で複数の透過側溶液につい
て、薬物量の測定を行うことが可能になると共に、請求
項1に係る作用と同様に、実験者の負担が軽減され、正
確な膜物性評価を行える。
【0017】また、請求項4の構成によれば、サンプル
注入手段には、送液手段により複数の膜透過実験手段の
透過側溶液が個々に循環されており、制御手段が、供給
側溶液を入れた時点から所定の時間間隔で、上記複数の
膜透過実験手段の中から指定された膜透過実験手段の透
過側溶液を採取して薬物量検出手段に送るよう、上記サ
ンプル注入手段を制御する。したがって、1つの薬物量
検出手段に対して、複数の膜透過実験手段を接続するこ
とが可能となり、例えば各透過側溶液の薬物量測定時間
を互いにずらして設定することにより、1セットの薬物
量検出手段で、複数の膜透過実験手段を同時に実験する
ことができる。
【0018】ところで、膜物性評価装置に1つの膜透過
実験手段しか備えられない場合には、複数の膜について
物性評価を行う際に、膜物性評価装置を複数用いるか、
あるいは1セットの膜物性評価装置で長時間かけて各膜
を順次測定しなければならなかった。しかしながら、上
記のように、1セットの膜物性評価装置に複数の膜透過
実験手段を接続可能とすることにより、複数の膜物性評
価装置を用いたり、また長時間かけて順次測定を行わな
くても、1セットの膜物性評価装置で複数の膜に対し
て、短時間で測定を行えると共に、請求項2に係る作用
と同様に、実験者の負担が軽減され、正確な膜物性評価
を行える。
【0019】また、請求項5の構成によれば、薬物量検
出手段における透過側溶液の通過時間を増大させる抵抗
管がサンプル注入手段に接続されているので、例えば薬
物量をピークとして検出する場合には、そのピーク幅が
増大して良好なクロマトグラムが得られる等、薬物量検
出手段における透過側溶液の薬物量検出精度を向上でき
る。また、このような抵抗管を設けることにより、薬物
量検出手段への透過側溶液の送液性を安定化することも
できる。
【0020】また、請求項6の構成によれば、混合して
注入された薬物を保持時間の差により分離するカラムが
設けられたことにより、供給側溶液に複数の薬物が溶解
されている場合でも、一回の測定により、各薬物につい
ての膜透過性を測定することが可能になる。
【0021】
【実施例】
〔実施例1〕本発明の一実施例について図1ないし図4
に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0022】本実施例に係る膜物性評価装置は、液体ク
ロマトグラフィを応用して薬物の膜透過速度等を自動的
に測定するものであり、図1に示すように、薬物が所定
濃度で溶解している溶液(供給側溶液)を収容するドナ
ーセル13aと、薬物を含有していない溶液(透過側溶
液)を収容するレセプターセル13bとを備えた膜物性
評価用セル(膜透過実験手段)13が、循環ポンプ(送
液手段)12を介して液体クロマトグラフィ装置11に
接続されている。
【0023】上記膜物性評価用セル13では、透過性の
評価対象となる膜14は、その一方側の面に上記ドナー
セル13a内の溶液が、他方側の面にレセプターセル1
3b内の溶液がそれぞれ接するように、両セル13a・
13b間にセットされる。尚、本実施例では、両セル1
3a・13bの容量がそれぞれ55mlで、膜面積が4.
7cm2 の膜物性評価用セル13を使用している。膜14
としては、例えば皮膚、眼球角膜等の生体膜や、ポリエ
チレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレ
ン、シリコーン等の合成高分子膜が用いられる。また、
膜14の膜厚は、5μm〜5mm程度のものが使用さ
れ、膜強度や、使用する薬物の透過性に応じて選択され
る。
【0024】さらに、上記両セル13a・13bの外周
壁は各々二重構造になっており、所望温度の媒体を流通
させることにより、セル13a・13b内を所望の温度
に保つことができると共に、例えば薬物を使用する状況
が、膜透過の前後で大幅に温度差がある場合等において
は、ドナーセル13aとレセプターセル13bとをそれ
ぞれ異なる温度に設定することができる。
【0025】両セル13a・13b内には、それぞれ回
転子15a・15bが収容されており、図示しないマグ
ネットスターラによりこの回転子15a・15bが回転
することで、各セル13a・13b内の溶液が各々攪拌
されるようになっている。このような構成の膜物性評価
用セル13では、時間の経過に伴い、ドナーセル13a
内の薬物が、上記膜14を透過してレセプターセル13
bに移動し、両セル13a・13b内溶液の薬物濃度が
ほぼ平衡状態になるまで、レセプターセル13b側の溶
液の薬物濃度が上昇していく。
【0026】上記液体クロマトグラフィ装置11には、
循環ポンプ12の作動により、膜物性評価用セル13内
の溶液がサンプル液として送液されている。この液体ク
ロマトグラフィ装置11は、移動相貯槽1と、脱気ユニ
ット2と、分析用ポンプ3と、ロータリーバルブ(サン
プル注入手段)4と、抵抗管5と、UV−VIS(紫外
光−可視光)検出器(薬物量検出手段)6と、示差屈折
計検出器(薬物量検出手段)7と、シグナルセレクタ8
と、自動測定制御装置(制御手段)9と、廃液槽10と
を有している。尚、予め脱気処理を行った移動相を使用
する場合には、上記液体クロマドグラフィ装置には、上
記脱気ユニット2を設ける必要はない。
【0027】移動相貯槽1に収容される移動相は、上記
膜物性評価用セル13内に収容されている溶液に応じて
選択され、例えば膜物性評価用セル13内に薬物の水溶
液が収容されている場合には、移動相として例えば蒸留
水が使用される。移動相は、分析用ポンプ3の作動によ
り、脱気ユニット2に送られて脱気処理された後、ロー
タリーバルブ4に送られる。
【0028】このロータリーバルブ4には、6個の接続
部が設けられており、これらの接続部には、循環ポンプ
12、上記サンプル液を循環させるための容量10μl
のサンプリングループ4aの一端部、抵抗管5、分析用
ポンプ3、サンプリングループ4aの他端部、およびレ
セプターセル13bが、この順序で、各々接続されてい
る。
【0029】このロータリーバルブ4においては、所定
のサンプリング時間でなければ、図2(a)に示すよう
に、循環ポンプ12とサンプリングループ4aの一端
部、抵抗管5と分析用ポンプ3、サンプリングループ4
aの他端部とレセプターセル13bをそれぞれ接続する
ように流路が形成されるようになっている。すなわち、
この状態のロータリーバルブ4では、分析用ポンプ3か
ら送られた移動相をそのまま抵抗管5に送液すると共
に、循環ポンプ12から送られたサンプル液を上記サン
プリングループ4aに通した後、再度レセプターセル1
3bに戻す、すなわちサンプル液をレセプターセル13
bとの間で循環させるようになっている。
【0030】尚、上記循環ポンプ12としては、できる
だけ短時間で、レセプターセル13bから採取したサン
プル液を循環させる必要があるので、本実施例では、例
えば0.3〜3.7ml/minの範囲で流量設定が可能な
ポンプを用いており、循環ポンプ容量は約1.8mlとな
っている。また、分析用ポンプ3としては、UV−VI
S検出器6および示差屈折系検出器7における検出精度
を考慮すると、流通される移動相の脈動をなるべく抑制
できるものが望ましく、通常は液体クロマトグラフィに
使用されるポンプが用いられている。尚、本実施例で使
用されている分析用ポンプ3では、0.001〜9.999
ml/minの範囲で流量設定が可能である。
【0031】一方、所定のサンプリング時間になると、
ロータリーバルブ4は、同図(b)示すように、循環ポ
ンプ12とレセプターセル13b、サンプリングループ
4aの一端部と抵抗管5、分析用ポンプ3とサンプリン
グループ4aの他端部がそれぞれ接続されるように流路
を切換える。すなわち、この状態のロータリーバルブ4
では、分析用ポンプ3からの移動相がサンプリングルー
プ4aに送液され、流路の切換前にサンプリングループ
4aを循環していたサンプル液が、上記移動相と共に抵
抗管5に送液されると共に、この間、循環ポンプ12か
ら送液されるサンプル液は、そのままレセプターセル1
3bに戻されるようになっている。
【0032】抵抗管5は、上記分析用ポンプ3の脈動を
抑制し、送液性を安定させることと、この抵抗管5に接
続される各検出器で検出されるピークに幅を持たせ、良
好なクロマトグラムを得ることを目的として設けられた
ものである。一例として、本実施例では、内径0.5mm
φ、外径1.6mmφ、長さ2mのものと、内径0.1mm
φ、外径1.6mmφ、長さ2mのものとをジョイントし
て抵抗管5として使用しており、内径0.5mmφのもの
を上流側(ロータリーバルブ4側)に設けることによ
り、送液性の安定を図ると共に、内径0.1mmφのもの
を下流側(検出器6側)に設けることにより、ピーク幅
の付与を図るようになっている。
【0033】このような抵抗管5を設けることにより、
分析用ポンプ3の送液性が安定して、液体クロマトグラ
フィ装置11における流路全体に一定の圧力(例えば4
0〜60kg/cm2 )を付与することが可能になる。ま
た、後段のUV−VIS検出器6において検出されるピ
ークは、抵抗管5が設けられていない場合には、図3
(a)に示すようにほぼ一直線でほとんど幅のないもの
であるが、ロータリーバルブ4とUV−VIS検出器6
との間に抵抗管5を設けることにより、同図(b)に示
すように、適度な幅を有するものとなり、ピーク面積等
を検出し易い良好なクロマトグラムを得ることができ
る。
【0034】UV−VIS検出器6は、ドナーセル13
a内の溶液に溶解された薬物が有する吸収波長に応じ
て、その測定波長が予め設定されており、光の吸収量を
測定することで、上記抵抗管5を通過した後のサンプル
液に含まれる薬物量をピークとして検出するものであ
る。本実施例では、190〜900nmの範囲で波長設
定可能な検出器を使用している。また、示差屈折計検出
器7は、光の屈折率を測定することで、サンプル液内の
薬物量をピークとして検出するものであり、その屈折率
範囲は1.0〜1.75である。この示差屈折計検出器7に
は、廃液槽10が接続されており、検出を行った後のサ
ンプル液や移動相は、この廃液槽10に収容されるよう
になっている。
【0035】尚、サンプル液中の薬物量を検出する検出
器としては、上記した紫外吸光光度計、示差屈折計を利
用したものの他、例えばけい光光度計、水素炎イオン化
型、赤外吸光光度計、あるいは電気電導度計等を、使用
する薬物の特性に応じて選択することが可能である。ま
た、検出器を接続する個数は、本実施例の2個に限定さ
れるものではなく、1個でも、また3個以上接続するこ
とも可能である。
【0036】自動測定制御装置9は、分析用ポンプ3の
流量設定や、タイムプログラムに応じて分析用ポンプ3
の駆動を制御すると共に、予め設定されたサンプリング
時間に応じて流路切換を行うようロータリーバルブ4の
駆動を制御するプログラムを記憶しており、このプログ
ラムに応じて分析用ポンプ3およびロータリーバルブ4
等を制御している。また、この自動測定制御装置9は、
UV−VIS検出器6および示差屈折計検出器7が検出
したピークを基に所定の演算を行い、ピーク面積等を算
出すると共に、クロマトグラムの表示および所定の用紙
への記録を行うようになっている。尚、本実施例では、
2チャンネルの自動測定制御装置9が使用されている。
【0037】また、シグナルセレクタ8は、UV−VI
S検出器6および示差屈折計検出器7の検出データを上
記自動測定制御装置9に送信するか否かを、この自動測
定制御装置9からの入力に応じて指示するものである。
したがって、例えば自動測定制御装置9のチャンネル数
よりも、設置された検出器の数が多い場合や、自動測定
制御装置9を除いて上述のような構成の膜物性評価装置
が2系列以上設けられた場合に、上記シグナルセレクタ
8で自動測定制御装置9に検出データを入力する検出器
を測定対象の特性に応じて選択することにより、複数の
自動測定制御装置9を設ける必要がなく、1つの自動測
定制御装置9を共用することが可能になる。
【0038】上記の構成において、膜物性評価を行う場
合には、予め、自動測定制御装置9により、分析用ポン
プ3を作動させて、液体クロマトグラフィ装置11に1.
0ml/minで移動相を流し、検出器6・7を安定さ
せる。このとき、ロータリーバルブ4は、図2(a)に
示すような状態であり、分析用ポンプ3から送られる移
動相は、サンプリングループ4aを通過せず、そのまま
抵抗管5に送りだされる。
【0039】そして、図1に示す膜物性評価用セル13
に透過性の評価対象となる膜14をセットし、薬物を溶
解していない溶液をレセプターセル13b側に入れる。
この状態で、循環ポンプ12を作動させると、図2
(a)に示すように、膜物性評価用セル13から採取さ
れたサンプル液は、循環ポンプ12、ロータリーバルブ
4、サンプリングループ4a、レセプターセル13bの
順に循環する。
【0040】次に、図1に示すように、薬物を溶解した
溶液をドナーセル13a側に入れる。尚、上記両セル1
3a・13b内の溶液は、マグネットスターラによりそ
れぞれ攪拌される。レセプターセル13b内に溶液を入
れた後、予め設定された所定のサンプリング時間になる
と、上記自動測定制御装置9の制御によりロータリバル
ブ4の流路切換動作が行われて、図2(b)に示すよう
に、分析用ポンプ3からの移動相がサンプリングループ
4aに流れ、流路切換前にサンプリングループ4aを循
環していたサンプル液が、上記移動相と共に、抵抗管5
に送られる。抵抗管5を通過した後、サンプル液は、U
V−VIS検出器6および示差屈折計検出器7に送液さ
れ、これらの各検出器6・7において、サンプル液内に
含まれる薬物量に応じたピークが検出される。UV−V
IS検出器6、あるいは示差屈折計検出器7で検出され
たピークは、自動測定制御装置9においてその面積等が
算出され、また、この自動測定制御装置9によりクロマ
トグラムの表示、あるいは演算結果の記録等が行われ
る。
【0041】また、サンプリングループ4a内のサンプ
ル液が、抵抗管5に送出された時点で、再度自動測定制
御装置9によりロータリーバルブ4が制御され、分析用
ポンプ3からの移動相をそのままカラム5に送出すると
共に、循環ポンプ12からのサンプル液をサンプリング
ループ4aに循環させるように流路の切換えが行われ
る。
【0042】上記のようなロータリーバルブ4の切換を
所定の時間間隔で繰り返し行うことにより、各サンプリ
ング時間ごとに検出されたピークの面積が算出される。
また、測定に先立って、予め薬物濃度が既知のサンプル
を用い、同じ条件において同様に測定を行ってクロマト
グラムを得た後、薬物濃度とピーク面積との関係を示す
検量線を作成しておくことにより、薬物濃度が未知のサ
ンプル液を測定して得られた各サンプリング時点でのピ
ーク面積から、レセプターセル13b内の溶液の薬物濃
度、すなわち各サンプリング時点での薬物の透過量Qを
簡単に求めることができる。
【0043】さらに、上記のようにして求めた透過量Q
から、図4に示すような透過曲線を作成することによ
り、この透過曲線から定常状態における透過速度dQ/
dt、遅れ時間td (dQ/dtを傾きとする直線をx
軸方向に延長したときに、この直線がx軸と交わったと
きのx座標)を求め、下記の式(1)により拡散係数D
を、また式(2)により分配係数Kを算出して、膜透過
性の評価に利用する。
【0044】 D=L2 /6td (1) (dQ/dt)=KDCd /L (2) ここで、Cd はドナーセル13a側の薬物濃度、Lは膜
14の膜厚である。
【0045】次に、抵抗管5を設けた上記構成の膜物性
評価装置において、クロマトグラムの再現性を確かめる
ため、サッカロースを薬物試料として、上記の測定を繰
り返し行った。上記の測定をn回行うことにより示差屈
折計検出器9で得られたn回分のピーク面積Xi (i=
1〜n)をもとに、ピーク面積の平均値Xaおよび標準
偏差値SD を算出すると共に、得られた平均値Xaおよ
び標準偏差値SD を下記に示す式(3)に代入して、変
動係数CV値を算出した。
【0046】 CV(%)=(SD /Xa)×100 (3) このようにして、得られた変動係数CV値は、上記の場
合0.16%であった。このように、本膜物性評価装置で
は、薬物試料としてサッカロースを用いた場合、0.16
%のCV値を得ることができ、他の薬物試料を用いた場
合でも、通常0.3%以下のCV値を得ることが可能なの
で、クロマトグラムの再現性が良好であることがわか
る。以上のように、本実施例の膜物性評価装置では、膜
物性評価用セル13からのサンプル液は、ロータリーバ
ルブ4に設けられたサンプリングループ4a内を常に循
環しており、予め設定された所定のサンプリング時間に
なると、自動測定制御装置9の制御によりロータリーバ
ルブ4の流路が切換られて、サンプル液がUV−VIS
検出器6および示差屈折計検出器7に送られるようにな
っている。
【0047】このように、本膜物性評価装置を用いるこ
とにより、実験者の手間を要することなく、所定のサン
プリング時間になると自動的にサンプル液における薬物
量の測定が行える。したがって、長期にわたり膜透過性
の実験を行う場合には、実験者の負担が大幅に軽減され
ると共に、測定時間の誤差等も減少するので、より正確
な測定データを得ることができ、測定データからより的
確な膜評価が行える。
【0048】また、膜物性評価用セル13におけるドナ
ーセル13a内の溶液に複数種の薬物が溶解されている
場合でも、各薬物の吸収波長が異なっていれば、UV−
VIS検出器6の測定波長を異ならせて各々測定を行う
ことにより、薬物ごとに膜透過性を評価することができ
る。
【0049】また、UV−VIS検出器6として、測定
波長を複数設定できるものを使用した場合には、一回の
測定で得られる各波長の検出データを基に、個々の薬物
の膜透過性を評価することが可能である。
【0050】尚、本実施例では、抵抗管5を介してロー
タリーバルブ4とUV−VIS検出器6とを接続した例
を挙げて説明したが、抵抗管5の代わりに、例えば長さ
10〜50cm、内径4〜8mm程度のステンレス製、
あるいはガラス製のカラムを用いることも可能である。
カラムを用いた場合には、抵抗管5を使用するときと比
較して、分析時間が多少長くなるという欠点はあるが、
例えばドナーセル13a側に収容されている溶液に含ま
れる複数種類の薬物の吸収波長が、ほとんど同じ領域に
ある場合でも、一回の測定で各薬物を分離して検出する
ことが可能である。
【0051】すなわち、サンプル液がカラムを通過する
際、各薬物のカラム充填剤に対する保持時間に応じて、
各薬物ごとにカラムから出てくる時間が異なるので、後
段の検出器においてピークが検出される時間が異なるこ
とになる。尚、カラム充填剤としては、目的に応じて多
種のものが市販されており、実験に使用する薬物の特性
に応じて選択すればよい。また、上記カラムを必要に応
じて温度制御された空気浴槽、あるいは水浴槽に設置す
ることにより、より高精度な分析が行える。
【0052】このように複数種の薬物を混合して溶解し
た溶液について測定を行い、各薬物を単独で溶解した溶
液についてそれぞれ測定を行ったときの結果と比較する
ことにより、各薬物が相互に与えあう影響や、複数種の
薬物を同時に使用することによる膜透過性への影響を調
べることも可能である。
【0053】〔実施例2〕次に、本発明の他の実施例
を、図5ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通り
である。尚、説明の便宜上、前記の実施例の図面に示し
た部材と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付
記し、その説明を省略する。
【0054】本実施例に係る膜物性評価装置は、図5に
示すように、膜物性評価用セル13を3組備えた膜評価
実験装置21と、3連式の定量送液ポンプ(送液手段)
22と、液体クロマトグラフィ装置23とを備えてい
る。
【0055】上記膜評価実験装置21における個々の膜
物性評価用セル13は、前記実施例1で使用したものと
ほぼ同様の構成であり、評価対象となる膜14は、ドナ
ーセル13aとレセプターセル13bとの間にセットさ
れ、各セル13a・13b内には、図示しないマグネッ
トスターラにより回転する回転子15a・15bが収容
されている。
【0056】上記3連式の定量送液ホンプ22における
個々のポンプは、膜評価実験装置21における個々の膜
物性評価用セル13に対応しており、各レセプターセル
13bからのサンプル液を液体クロマトグラフィ装置2
3にそれぞれ送液するようになっている。
【0057】液体クロマトグラフィ装置23は、前記実
施例1における液体クロマトグラフィ装置11と同様の
移動相貯槽1、脱気ユニット2、分析用ポンプ3、およ
び廃液槽10を備えていると共に、さらにオートインジ
ェクタ(サンプル注入手段)24、カラム25、システ
ムコントローラ(制御手段)26、検出器(薬物量検出
手段)27、およびデータ処理装置28を備えている。
【0058】尚、検出器27としては、前記実施例1と
同様に、紫外吸光光度計、示差屈折計等、実験に用いる
薬物の特性に応じたものが用いられる。また、設置する
検出器27の個数についても、特に制限を受けるもので
はない。
【0059】上記システムコントローラ26は、分析用
ポンプ3、オートインジェクタ24、および検出器27
等の駆動や、カラム25の温度設定等を制御するもので
ある。上記データ処理装置28としては、前記実施例1
で用いた自動測定制御装置9と同様のものが使用され、
前記実施例1と同様に、自動測定制御装置9が行ってい
たようなプログラム制御と、検出器27で検出されたピ
ーク面積を求めるための演算処理や、得られたクロマト
グラムの表示、あるいは記録等を行うものである。
【0060】尚、前記実施例1と同様に、プログラムを
上記データ処理装置28に記憶させて本膜物性評価装置
を構成した場合には、このデータ処理装置28で分析用
ポンプ3、検出器27等の駆動を制御してもよい。
【0061】オートインジェクタ24には、図6に示す
ような流通型サンプル瓶29が、少なくとも上記膜評価
実験装置21に設けられている膜物性評価用セル13の
個数(本実施例では3個)と同数設けられている。この
サンプル瓶29は、瓶本体30と、上面に開口部31a
が形成されたキャップ31とを有しており、上記キャッ
プ31の開口部31aをふさぐセプタムゴム34が、上
記瓶本体30の上端面に接触するようキャップ31の内
側に設けられている。
【0062】瓶本体30は、その内部に上記送液ポンプ
22に接続される注入管30aを有すると共に、その底
面部に上記レセプターセル13bに接続される排出口3
0bが形成されている。したがって、サンプル瓶29内
には、送液ポンプ22から送られるレセプターセル13
bからのサンプル液が、上記注入管30aを介して注入
されると共に、この注入管30aからのサンプル液の注
入量に応じて、サンプル瓶29内の溶液が排出口30b
からレセプターセル13bに戻される。
【0063】このように、サンプル瓶29内にレセプタ
ーセル13bからのサンプル液を循環させることによ
り、サンプル瓶29内とレセプターセル13b内とをほ
ぼ同じ状態に維持することができる。また、個々の膜物
性評価用セル13に対応させて、それぞれ異なるレセプ
ターセル13bからのサンプル液を収容するようオート
インジェクタ24に複数のサンプル瓶29をセットする
ことにより、1系列の液体クロマトグラフィ装置23に
複数の膜物性評価用セル13を接続することが可能にな
る。尚、上記サンプル瓶29がセットされる位置は、X
YZの座標でそれぞれ設定されている。
【0064】また、上記オートインジェクタ24には、
サンプリングニードル32が設けられている。所定のサ
ンプリング時間になると、上記サンプリングニードル3
2が、XYZの座標で認識された指定されたサンプル瓶
29の真上の位置まで移動して下降することにより、サ
ンプリングニードル32の先端部に設けられた針32a
が、上記サンプル瓶29のキャップ31に設けられた開
口部31aからセプタムゴム34を通過して、瓶本体3
0内に挿入され、所定量(例えば10μl)のサンプル
液を採取するようになっている。
【0065】また、上記オートインジェクタ24には、
図7(a)に示すように前記実施例1で使用したロータ
リーバルブ4とほぼ同様の機能を有する6ポートバルブ
33を備えている。この6ポートバルブ33には、サン
プリングニードル32、分析用ポンプ3、カラム25、
図示しない廃液槽、上記サンプリングニードル32から
のサンプル液が充填されるサンプリングループ33aの
両端部がそれぞれ接続されている。
【0066】この6ポートバルブ33は、上記システム
コントローラ26の制御により、サンプリングニードル
32からのサンプル液をサンプリングループ33aに充
填する流路と、サンプリングループ33aに充填された
サンプル液を分析用ポンプ3からの移動相と共に、所定
の時間間隔でカラム25に送液する流路(同図(b)参
照)との間の切換を行うようになっている。
【0067】上記の構成において、膜透過性の実験を行
う際の動作を説明する。まず、オートインジェクタ24
内の3個のサンプル瓶29に、3個の膜物性評価用セル
13からのサンプル液をそれぞれ個々に循環させると共
に、液体クロマトグラフィ装置23を所定の条件で動作
させる。所定のサンプリング時間になると、オートイン
ジェクタ24がシステムコントローラ26の制御によ
り、指定されたサンプル瓶29からサンプル液を採取
し、6ポートバルブ33のサンプリングループ33aに
サンプル液が充填される。このとき、分析用ポンプ3か
ら送液される移動相は、サンプリングループ33aを通
らずにカラム25に送られるようになっている。尚、サ
ンプリング時間は、膜物性評価用セル13ごとにずれる
ように、予め設定しておく。
【0068】サンプリングループ33aにサンプル液が
充填されると、システムコントローラ26の制御により
6ポートバルブ33の流路切換が行われて、分析用ポン
プ3からの移動相がサンプリングループ33aに送液さ
れ、サンプリングループ33a内のサンプル液と共に、
カラム25に送られる。尚、この間に、サンプリングニ
ードル32の洗浄が行われる。
【0069】上記サンプル液に複数の薬物が溶解されて
いる場合には、このカラム25により、サンプル液内の
各薬物が分離され、各薬物は検出器27で分離したピー
クとして各々検出される。検出されたピークは、データ
処理装置28においてピーク面積が算出される。この後
は、検出した結果を基にして、前記実施例1と同様に、
サンプル液の薬物濃度が求められ、各サンプリング時間
ごとに得られた薬物濃度から透過曲線が作成され、さら
に、拡散係数D、分配係数Kが算出されて、膜透過性の
評価が行われる。
【0070】以上のように、本実施例の膜物性評価装置
では、1系列の液体クロマトグラフィ装置23で、複数
の膜物性評価用セル13に対して膜透過性の実験を同時
に行うことが可能になる。また、前記実施例1に係る装
置と同様に、所定のサンプリング時間になると、自動的
に検出器27に指定されたサンプル液が送液されて、薬
物量の検出が行われるので、実験者の負担が軽減される
と共に、より正確な膜物性の評価が行える。また、本膜
物性評価装置での前記CV値は、0.5%以下であり、再
現性も良好であった。
【0071】尚、サンプル液内の薬物を分離する必要が
ない場合等においては、上記カラム25に代えて、前記
実施例1と同様の抵抗管を用いて膜物性評価装置を構成
してもよい。
【0072】
【発明の効果】請求項1の発明に係る膜物性評価方法
は、以上のように、透過側溶液をサンプル注入手段に循
環させておき、供給側溶液を入れた時点から所定の時間
間隔で、上記サンプル注入手段の流路切換動作を行って
上記透過側溶液の一部を薬物量検出手段に送液するもの
である。
【0073】それゆえ、サンプル注入手段により、所定
の時間間隔で透過側溶液が薬物量検出手段に送液される
ので、透過側溶液の採取等を所定の時間ごとに実験者が
手作業で行う必要がなくなり、また、測定時間の管理等
も不要になるので、実験者の負担が大幅に軽減されると
共に、測定時間の誤差等も小さくなり、より正確な膜物
性評価を行えるという効果を奏する。
【0074】また、請求項2の発明に係る膜物性評価装
置は、以上のように、薬物が溶解された供給側溶液と薬
物が溶解されていない透過側溶液との間に膜が設置され
た膜透過実験手段と、透過側溶液の薬物量を検出する薬
物量検出手段と、上記透過側溶液の流路を上記膜透過実
験手段との循環流路および薬物量検出手段に送液する流
路との間で切換えるサンプル注入手段と、このサンプル
注入手段に上記膜透過実験手段からの透過側溶液を送液
する送液手段と、上記膜透過実験手段に供給側溶液を入
れた時点から所定の時間間隔で、サンプル注入手段から
上記薬物量検出手段に透過側溶液の一部を送液させるよ
うに、サンプル注入手段の流路切換動作を制御する制御
手段とを備えている構成である。
【0075】それゆえ、膜透過実験手段における透過側
溶液は、制御手段の制御により所定の時間間隔でサンプ
ル注入手段の流路切換動作が行われることにより、薬物
量検出手段に送液されるので、透過側溶液を所定の時間
ごとに手作業で採取するという煩雑な作業が不要にな
り、また測定時間の管理も不要になるため、実験者の負
担が軽減されると共に、誤差の少ない検出結果が得られ
ることにより、より正確な膜物性評価を行えるという効
果を奏する。
【0076】また、請求項3の発明に係る膜物性評価方
法は、以上のように、複数の透過側溶液をサンプル注入
手段に個々に循環させ、供給側溶液を入れた時点から所
定の時間間隔で、サンプル注入手段を動作させて、循環
している複数の透過側溶液の中から指定された透過側溶
液を採取し薬物量検出手段に送液するものである。
【0077】それゆえ、複数の透過側溶液が個々に循環
されているサンプル注入手段の動作により、所定の時間
間隔で、指定された透過側溶液が薬物量検出手段に送ら
れるので、例えば各透過側溶液の薬物量測定時間を互い
にずらして設定することにより、1つの薬物量検出手段
を使用して複数の透過側溶液について同時に実験を行う
ことができると共に、測定時間の管理や、手作業による
透過側溶液の採取が不要になることから実験者の負担が
軽減され、正確な膜物性評価を行える。
【0078】また、請求項4の発明に係る膜物性評価装
置は、以上のように、薬物が溶解された供給側溶液と薬
物が溶解されていない透過側溶液との間に膜が設置され
た複数の膜透過実験手段と、透過側溶液の薬物量を検出
する薬物量検出手段と、上記複数の膜透過実験手段から
の各透過側溶液が個々に循環されており、指定された膜
透過実験手段の透過側溶液を採取して薬物量検出手段に
送液するサンプル注入手段と、このサンプル注入手段に
複数の膜透過実験手段からの透過側溶液をそれぞれ送液
する送液手段と、上記膜透過実験手段に供給側溶液を入
れた時点から所定の時間間隔で、複数の膜透過実験手段
の中から指定された膜透過実験手段の透過側溶液を採取
し、薬物透過量検出手段に送液するように、上記サンプ
ル注入手段を制御する制御手段とを備えている構成であ
る。
【0079】それゆえ、送液手段により複数の膜透過実
験手段の透過側溶液が個々に循環されているサンプル注
入手段は、制御手段により、所定の時間間隔で指定され
た膜透過実験手段の透過側溶液を採取して薬物量検出手
段に送るように制御されているので、1つの薬物量検出
手段に対して、複数の膜透過実験手段を接続することが
可能となり、例えば各透過側溶液の薬物量測定時間を互
いにずらして設定することにより、複数の膜物性評価装
置を用いたり、また長時間かけて順次測定を行わなくて
も、1セットの膜物性評価装置で複数の膜に対して、短
時間で測定を行えると共に、測定時間の管理や、手作業
による透過側溶液の採取が不要になることから実験者の
負担が軽減され、正確な膜物性評価を行える。
【0080】また、請求項5の発明に係る膜物性評価装
置は、以上のように、上記薬物量検出手段における透過
側溶液の保持時間を増大させる抵抗管が、上記サンプル
注入手段に接続されている構成である。
【0081】それゆえ、例えば薬物量をピークとして検
出する場合には、そのピーク幅が増大して良好なクロマ
トグラムが得られる等、薬物量検出手段における透過側
溶液の薬物量検出精度を向上できると共に、薬物量検出
手段への透過側溶液の送液性を安定化することも可能で
あるという効果を奏する。
【0082】また、請求項6の発明に係る膜物性評価装
置は、以上のように、上記透過側溶液に複数種類含まれ
ている薬物を通過時間の差により分離するカラムが、上
記サンプル注入手段に接続されている構成である。
【0083】それゆえ、供給側溶液に複数の薬物が溶解
されている場合でも、一回の測定で各薬物についての膜
透過性を測定することが可能になるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における膜物性評価装置の概
略の構成を示す模式図である。
【図2】上記膜物性評価装置に備えられているロータリ
ーバルブの動作により切換えられるサンプル液の流路を
説明するための模式図であって、(a)はサンプル液を
サンプリングループに充填する状態、(b)はサンプル
液を抵抗管に送液する状態を示すものである。
【図3】(a)は抵抗管を設けない上記膜物性評価装置
により得られるクロマトグラム、(b)は抵抗管を設け
た上記上記膜物性評価装置により得られるクロマトグラ
ムである。
【図4】上記膜物性評価装置において所定のサンプリン
グ時間ごとに得られた検出結果を基に作成された透過曲
線を示すグラフである。
【図5】本発明の他の実施例における膜物性評価装置の
概略の構成を示す模式図である。
【図6】上記膜物性評価装置のオートインジェクタに備
えられるサンプル瓶を示す模式図である。
【図7】上記膜物性評価装置に備えられているオートイ
ンジェクタの作動によるサンプル液の注入動作を説明す
るための模式図であって、(a)はサンプル液をサンプ
リングループに充填する状態、(b)はサンプル液をカ
ラムに送液する状態を示すものである。
【符号の説明】
4 ロータリーバルブ(サンプル注入手段) 5 抵抗管 6 UV−VIS(紫外光−可視光)検出器(薬物量
検出手段) 7 示差屈折計検出器(薬物量検出手段) 9 自動測定制御装置(制御手段) 12 循環ポンプ(送液手段) 13 膜物性評価用セル(膜透過実験手段) 24 オートインジェクタ(サンプル注入手段) 25 カラム 26 システムコントローラ(制御手段) 27 検出器(薬物量検出手段)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薬物が溶解された供給側溶液と薬物が溶解
    されていない透過側溶液との間に膜を設置し、上記供給
    側溶液から透過側溶液に膜透過した薬物量を薬物量検出
    手段で検出する膜物性評価方法において、 上記透過側溶液をサンプル注入手段に循環させておき、
    供給側溶液を入れた時点から所定の時間間隔で上記サン
    プル注入手段の流路切換動作を行って上記透過側溶液の
    一部を薬物量検出手段に送液することを特徴とする膜物
    性評価方法。
  2. 【請求項2】薬物が溶解された供給側溶液と薬物が溶解
    されていない透過側溶液との間に膜が設置された膜透過
    実験手段と、 透過側溶液の薬物量を検出する薬物量検出手段と、 上記透過側溶液の流路を上記膜透過実験手段との循環流
    路および薬物量検出手段に送液する流路との間で切換え
    るサンプル注入手段と、 このサンプル注入手段に上記膜透過実験手段からの透過
    側溶液を送液する送液手段と、 上記膜透過実験手段に供給側溶液を入れた時点から所定
    の時間間隔でサンプル注入手段から上記薬物量検出手段
    に透過側溶液の一部を送液させるように、サンプル注入
    手段の流路切換動作を制御する制御手段とを備えている
    ことを特徴とする膜物性評価装置。
  3. 【請求項3】薬物が溶解された供給側溶液と薬物が溶解
    されていない透過側溶液との間に膜を設置し、上記供給
    側溶液から透過側溶液への薬物の膜透過量を薬物量検出
    手段により検出する膜物性評価方法において、 複数の透過側溶液をサンプル注入手段に個々に循環さ
    せ、供給側溶液を入れた時点から所定の時間間隔でサン
    プル注入手段を動作させて、循環している複数の透過側
    溶液の中から指定された透過側溶液を採取し薬物量検出
    手段に送液することを特徴とする膜物性評価方法。
  4. 【請求項4】薬物が溶解された供給側溶液と薬物が溶解
    されていない透過側溶液との間に膜が設置された複数の
    膜透過実験手段と、 透過側溶液の薬物量を検出する薬物量検出手段と、 上記複数の膜透過実験手段からの各透過側溶液が個々に
    循環されており、指定された膜透過実験手段の透過側溶
    液を採取して薬物量検出手段に送液するサンプル注入手
    段と、 このサンプル注入手段に複数の膜透過実験手段からの透
    過側溶液をそれぞれ送液する送液手段と、 上記膜透過実験手段に供給側溶液を入れた時点から所定
    の時間間隔で複数の膜透過実験手段の中から指定された
    膜透過実験手段の透過側溶液を採取し、薬物透過量検出
    手段に送液するように、上記サンプル注入手段を制御す
    る制御手段とを備えていることを特徴とする膜物性評価
    装置。
  5. 【請求項5】上記薬物量検出手段における透過側溶液の
    通過時間を増大させる抵抗管が、上記サンプル注入手段
    に接続されていることを特徴とする請求項2または4記
    載の膜物性評価装置。
  6. 【請求項6】上記透過側溶液に複数種類含まれている薬
    物を保持時間の差により分離するカラムが、上記サンプ
    ル注入手段に接続されていることを特徴とする請求項2
    または4記載の膜物性評価装置。
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