JPH0755409A - 変位センサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 油圧シリンダなどの構造体に取り付けが容易
で、構造簡単、機械的強度が高く、引きずられて電線が
ない変位センサを提供する。 【構成】 ピストン（変位部材）７ｃにスライダ３を取
り付け、シリンダ（ガイド）７ａに並べて抵抗素子２
ａ，２ｂを配置し、スライダ３の摺動部３ｄを導電体で
形成し、スライダ３で抵抗素子２ａ，２ｂを電気的に短
絡し、短絡により直列に接続された抵抗素子２ａ，２ｂ
の抵抗値Ｒ（図３）の変化から変位部材の位置を検出す
るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば建設機械などで
使用する油圧シリンダのピストンのストローク位置を検
出する場合などに適用できる変位センサに関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】移動量や位置を検出する方法として、従
来から磁気を応用したマグネットスケール、シリンダロ
ッドなどをマーキングし、シリンダロッドが移動する際
のマークの移動又は通過数をカウントする方法、リニア
ポテンショメータ、差動トランスなどが用いられている
ことは知られている。

【０００３】前記マグネットスケールやマーク移動又は
通過数をカウントする方式は、いずれもカウンタが必要
であると共に、相対的な位置は計測できるが絶対的な位
置を求めるには何らかの方法で基準となる位置を予め計
測しておく必要がある。またリニアポテンショメータ
は、位置検出端に電線を取り付ける必要があるので、電
線が動き回り、対象によっては取り付けが困難な場合が
ある。また差動トランスは、計測範囲より長いコイルを
設ける必要がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、油圧ショベ
ルなどの大型建設機械に使用する油圧シリンダのピスト
ンのストローク長さは一般に数十〜数百cmあり、従来の
各変位センサの一般的計測可能長さより遙に長いもので
ある。更に、ピストンは極めて強い力で駆動され、しか
も振動・衝撃を伴う場合があるので、変位センサは十分
に頑丈なものでなければならない。また油圧シリンダの
ピストンは、シリンダに対してある程度回動可能に製作
されている。したがって、ピストンのストローク位置検
出用の変位センサは、変位する部材が回転した場合に追
随できることが要求される。

【０００５】これに対して、従来の変位センサは、いず
れも精度の高い工業計測器として普及しているものであ
るが、建設機械に使用される油圧シリンダのように振動
・衝撃が加わる部材に取り付け、長期間高い精度を保持
させることは、前記説明から明らかなように困難であ
る。また回転可能に軸支した腕と直線又は曲線運動体に
軸支した腕とで、リンクを形成した装置により直線又は
曲線運動を回転運動に変換したり、ドラムに巻き付けた
ワイヤの自由端側を変位対象に取り付けるなどして、直
線又は曲線運動を回転運動に変換し、回転角度センサを
用いて長さを計測する方法もあるが、構造が複雑にな
り、しかも角度を長さに逆変換する演算が必要になるな
どの問題がある。

【０００６】本発明は、前記問題に着目してなされたも
のであり、例えばシリンダ内をストロークするピストン
などのように変位幅が大きく、また振動・衝撃が加わる
構造体に直接取り付けることができ、しかも構造が簡単
で、機械的強度が高く、油洩れもなく検出対象の構造体
に取り付けることが容易で、しかも電線を引きずって動
く部分がない変位センサを提供することを第１の目的と
している。

【０００７】本発明の第２の目的は、第１の目的に加
え、例えばボルトに螺合したナットのように回転しなが
ら変位するような場合でも使用可能な変位センサを提供
することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記第１の目的を達成す
るための本発明の変位センサの構成は、ガイド上を移動
する変位部材の位置を検出するセンサであって、前記ガ
イドに沿って、２本の導体を並べて配置し、前記導体の
少なくとも１本を抵抗体素子とし、これら２本の導体を
電気的に短絡するスライダを、前記導体上を摺動可能、
且つ前記変位部材に従動して移動可能に取り付け、前記
スライダで直列接続された前記導体の抵抗値を検出する
回路を設け、抵抗値の変化から変位部材の位置を検出す
るようにしたものである。

【０００９】前記ガイド及び変位部材を有する構造体
は、特に限定がなく、予め定めた一定の経路を移動する
部材を有する構造体であればよい。例えば油圧シリンダ
装置の場合は、シリンダがガイドであり、ピストンが変
位部材を構成する。またガイドは、曲線状のものであっ
てもよい。前記導体のうち、抵抗体素子は特に限定しな
い。例えば、絶縁体からなる芯に抵抗線を密に巻き付け
たものであってもよく、また直線又は曲線の棒状のもの
であってもよい。抵抗体素子としない導体は、電気の良
導体であれば特に限定はない。またスライダは、通常の
摺動抵抗器などに使用するものと同様の構造のもの、即
ち導電体からなるブラシやローラを抵抗体に弾性的に押
し付ける手段のものを採用することができる。

【００１０】前記第２の目的を達成するための本発明の
変位センサの構成は、前記抵抗体素子が前記スライダに
接する面を、円筒面状に形成し、前記摺動部が円筒面を
摺動しながら円筒の周囲を回動できるようにスライダを
形成したものである。導体を２本とも抵抗体素子とする
場合には、抵抗体素子が前記スライダに接する面を、又
はスライダと相手部材とが接する面を、縦方向に分割し
た円筒面状に形成しするようにするとよい。なお、第２
の目的を達成する手段として、スライダが変位部材と係
合する部分を、スライダ本体に対して回転可能に形成す
る手段とすることもできる。

【００１１】

【作用】少なくとも１本の導体を抵抗体素子とした２本
の導体と、スライダとで変位センサを構成し、スライダ
が接する部分で抵抗体素子を短絡し、抵抗値の変化から
スライダの位置（即ち変位部材の位置）を検出する前記
手段は、変位部材の位置をスライダによって変位の絶対
値を正確且つ直接的に計測可能にする作用がある。しか
も、前記構成は、構造を簡単にし、対象とする構造体に
取り付けことが容易で、しかも機械的強度を高くするこ
とを容易にする。また可動部分に電線を取り付ける必要
がない。

【００１２】また、前記スライダと相手部材、即ち抵抗
体素子及び導体と接触する面を円筒面状に形成する前記
手段は、被計測物が回転しながら移動することを可能に
する。

【００１３】

【実施例】以下添付の図面を参照して実施例により本発
明を具体的に説明する。図１，２に示す実施例１の変位
センサ１は、基本的には２本の抵抗体素子２ａ，２ｂ
と、これに摺動自在に嵌合したスライダ３とからなるも
のである。そして抵抗体素子２ａ，２ｂは、細長い板状
の抵抗体を、棒状の絶縁体からなる軸４に、互いに接触
しないように貼り付け、外側表面が円筒面をなすように
形成したものである。

【００１４】また、前記スライダ３は、リング状の板か
らなる導電部３ａをねじ３ｂによって絶縁体からなるス
ライダ本体３ｃに取り付けたものである。導電部３ａ
は、リング内側の複数箇所（図では６箇所）に摺動部３
ｄを突出させ、折り返してブラシ状に形成した。したが
って抵抗体素子２ａ，２ｂは、摺動部３ｄが接する部分
で導電部３ａを通じて電気的に短絡される。また、前記
のとおり摺動部３ｄが接する抵抗体素子２ａ，２ｂの表
面は円筒面であるので、スライダ３はリング周方向に回
転することができる。なお、図１，２に示す符号４ａ
は、軸４を計測対象に螺合するねじであり、符号５ａ，
５ｂは、それぞれ抵抗体素子２ａ，２ｂを検出回路に接
続する引出し線である。

【００１５】図３は、図１，２に示す変位センサ１によ
る変位検出回路の一例を示したものである。変位センサ
１は、引出し線５ａ，５ｂを介して外部抵抗Ｒe と直列
に接続しバッテリ６（電圧Ｖp ）に接続したものであ
る。そして、引出し線５ａ，５ｂを抵抗体素子２ａ，２
ｂに接続した部分から、摺動部３ｄが接する部分までの
長さをＬとし、Ｋを抵抗体素子２ａ，２ｂによって決ま
る定数とし、引出し線５ａと５ｂとの間の抵抗値をＲと
すると、 Ｌ＝Ｋ・Ｒ (1) で表すことができる。なお、図３において、図１，２に
説明した部材には同じ符号を付け説明を省略する。また
回路に流れる電流Ｉは、 Ｉ＝Ｖp ／ (Ｒ＋Ｒe) (2) で与えられるから、外部抵抗Ｒe の両端に発生する電圧
Ｖは、 Ｖ＝Ｒe ×Ｉ (3) であり、前記式(1) 〜(3) から、 Ｌ＝Ｋ（Ｖp ／Ｖ−１）Ｒe (4) が得られる。式(4) は電圧Ｖ以外は一定値であるから、
電圧Ｖを検出することにより、長さＬ、即ち摺動部３ｄ
の位置を知ることができる。

【００１６】次に図４によって変位センサ１を建設機械
で使用する複動型油圧シリンダ７に取り付けた場合を説
明する。即ち油圧シリンダ７は、シリンダ７ａに、ロッ
ド７ｂに取り付けたピストン７ｃを嵌入したものであ
り、シリンダ７ａが本発明のガイドを構成し、ピストン
７ｃが本発明の変位部材を構成している。そして、ロッ
ド７ｂの内部には、変位センサ１を嵌入する穴８を設
け、穴８の入口に前記スライダ３を圧入し、ピストン７
ｃがストロークするとスライダ３がこれに従動しなが
ら、抵抗体素子２ａ，２ｂ上を摺動する。なお、図４に
示す符号９ａ及び９ｂはピストン７ｃの前面及び背面側
の作動油給排用ポートである。

【００１７】またシリンダ端部７ｄに、前記ねじ４ａを
螺合して抵抗体素子２ａ，２ｂを取り付け、シリンダ端
部７ｄに開けた貫通穴５ｃから前記引出し線５ａ，５ｂ
を外部に引出し、ターミナル５ｄを取り付けた。なお、
貫通穴５ｃと引出し線５ａ，５ｂとの隙間は密封材で封
印し、ここから作動油が漏洩しないようにした。次に油
圧シリンダ７に取り付けた変位センサ１の動作を説明す
る。図４に示す状態はピストン７ｃがシリンダ７ａのほ
ぼ中央部に位置した状態を示している。いまポート９ａ
側から作動油を供給するとロッド７ｂが押し出され、ま
たポート９ｂ側から作動油を供給するとロッド７ｂがシ
リンダ７ａ内に引き込まれるようにピストン７ｃは作動
する。この間、ピストン７ｃがシリンダ７ａ内で回動す
ると、スライダ３も抵抗体素子２ａ，２ｂに接触しなが
ら一緒に回動することができる。

【００１８】ピストン７ｃがシリンダ７ａにガイドされ
て変位すると、スライダ３の位置、即ち図４の長さＬを
与える位置は、ピストン７ｃに伴われて変化し、電圧Ｖ
（図４）が変化する。したがって電圧Ｖを計測し、前記
式(4) からスライダ３の位置、即ちピストン７ｃ（本発
明の変位部材）の位置を検出することができる。しか
も、図４に示すように変位センサ１の構造は極めて単純
であり、構造体である油圧シリンダ７が持っている機能
を殆ど損なうことなく変位センサ１を組み込むことがで
きる。なお、変位センサ１は作動油の中に配置されてい
るので、作動油温度が抵抗値Ｒに及ぼす影響が無視でき
ない場合には、温度センサを取り付け、抵抗値の温度補
正を行うようにすればよい。

【００１９】次に図５〜９によって実施例２の変位セン
サ１を説明する。実施例２も、実施例１と同様に油圧シ
リンダ装置に組み込んで実施したものであるが、２本の
導体の１方を抵抗体素子２ａとし、他方を良導体２ｃと
し、またロッド７ｂが回転しても、スライダ３は回転し
ないで従動するようにしたこと以外は実施例１と同様に
したので、同様の部材には同じ符号を付し説明を省略
し、実施例２に特徴的部分について以下に説明する。

【００２０】実施例２の変位センサ１の変位検出回路
は、図５に示すようにスライダ３に接する２本の導体の
うち１方を抵抗体素子２ａとし他方を良導体２ｃとした
以外は図３と同様に構成した。したがって前記(4)式を
適用してスライダ３の位置を求めることができる。ま
た、構造的には図６に示すように抵抗体素子２ａ及び良
導体２ｃは細長い板状とし、これらと同様に細長い板状
とした良導体２ｄ（図５に示す回路要素）と共に断面凸
状に形成した軸４に並べて絶縁体２ｅ上に配置し、これ
に円筒形のスライダ３を摺動自在に嵌合させたものであ
る。なお、図６に示す符号２ｆは、抵抗体素子２ａと良
導体２ｄとの短絡板である。

【００２１】以上説明の変位センサ１を油圧シリンダ７
に組付けた様子を図７に示す。即ち、変位センサ１は、
ロッド７ｂに開けた穴８内に実施例１と同様に嵌入し、
シリンダ端部７ｄにねじ４ａによって固定した。そし
て、スライダ３は、ロッド７ｂの取り付け側に穴７ｅに
回転自在に嵌入し、開放端側に２つ割りにしたカバー板
７ｆをねじ７ｇによってロッド７ｂに固定し、スライダ
３がロッド７ｂから脱出しないようにした。なお図７に
示す符号４ｂは、６角レンチ用穴である。

【００２２】スライダ３に摺動部３ｄを取り付ける部分
は、軸４を嵌合するために開けた貫通穴３ｅの連続部分
３ｆであり、その内側にスライダ３に固定した絶縁体３
ｇにねじ３ｈによって固定した。なお図７に示す符号３
ｉは絶縁体３ｇをスライダ３に固定するねじである。ま
た、前記貫通穴３ｅの連続部分３ｆ，３ｊは、スライダ
３が作動油内を移動するときの流体抵抗をなくすための
貫通穴部分である。

【００２３】実施例２の摺動部３ｄは、図８に示すよう
に２つ割りにしたブラシ状のものを反対方向に向けて取
り付け、摺動方向により接触抵抗が変化しないようにし
た。次に図７によって導線引出し部分の説明をする。グ
ランド端子Ｇは、抵抗体素子２ａに取り付けた引出し線
５ｅをシリンダ７ａに導通可能に接続し、グランド端子
Ｇに対して正の電圧を有する良導体２ｃ，２ｄは、それ
ぞれ引出し線５ａ，５ｂと接続し、オイルシール部10を
通じて外部に引き出した。

【００２４】オイルシール部10は、図７に示すようにシ
リンダ７ａに別部材として取り付けたものであり、その
オイルシール部10に開けた貫通穴10ａ内に、絶縁体10ｃ
を鍔状に取り付けた導線10ｂを挿通し、前記絶縁体10ｃ
の前後をＯ−リング10ｄでシールし、内側から絶縁体か
らなる栓10ｅを、また外側から栓10ｆをそれぞれ押し当
てたものである。

【００２５】以上は本発明のガイド（実施例ではシリン
ダ７ａ）が直線の場合であったが、例えば曲線状のガイ
ドの場合でも、抵抗体素子をその曲線に合わせて形成
し、スライダをガイド上を移動する変位部材に取り付け
ることにより、直線の場合と同様に本発明の変位センサ
を形成することができる。また、変位部材が回動しない
で移動する場合には、単に２本の抵抗体素子を並べて配
置し、両方に跨がるスライダを取り付ける構造とするこ
とができる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明の変位センサ
は、シリンダなどのガイドに沿って抵抗体素子を配置
し、前記ガイド上を移動する変位部材に従動するスライ
ダで、前記抵抗体素子の一部を電気的に短絡するように
構成したので、次の効果を得ることができる。

【００２７】１．構造が簡単であり、油圧シリンダな
ど、変位検出対象構造体に容易に耐震・耐衝撃性を有す
るように取り付けることができる。 ２．変位範囲全体にわたり配置した少なくとも１本の抵
抗体素子をスライダで短絡し、抵抗値の変化を検出する
ようにしたので、変位の絶対値を容易に求めることがで
きる。

【００２８】３．油圧シリンダなど、変位検出対象構造
体の本来の機能を損なうことなく、高い精度で変位を検
出することができる。 ４．回転しながら移動する部材の位置を検出するように
形成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１による変位センサの側面図で
ある。

【図２】図１のII−II線矢視図である。

【図３】図１に示す変位センサの変位検出回路図であ
る。

【図４】図１に示す変位センサを油圧シリンダに取り付
けた様子を示す縦断面図である。

【図５】本発明の実施例２による変位センサの変位検出
回路部である。

【図６】図５に示す回路の変位センサの斜視図である。

【図７】図５に示す変位センサを油圧シリンダに取り付
けた様子を示す部分縦断面図である。

【図８】図７のVIII-VIII 線矢視断面巣である。

【図９】図７のIX−IX線断面図である。

【符号の説明】

１ 変位センサ ２ａ 抵抗体素子 ２ｂ 抵抗体素子 ３ スライダ ３ａ 導電部 ３ｂ ねじ ３ｃ スライダ本体 ３ｄ 摺動部 ４ 軸 ５ａ 引出し線 ５ｂ 引出し線 ７ 油圧シリン
ダ ７ａ シリンダ（ガイド） ７ｂ ロッド ７ｃ ピストン（変位部材） ７ｄ シリンダ端
部 ８ 穴 Ｉ 電流 Ｋ 定数 Ｌ 長さ Ｒ 抵抗値 Ｒe 外部抵抗 Ｖ 電圧 Ｖp 電圧

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガイド上を移動する変位部材の位置を検
   出するセンサであって、前記ガイドに沿って、２本の導
   体を並べて配置し、前記導体の少なくとも１本を抵抗体
   素子とし、これら２本の導体を電気的に短絡するスライ
   ダを、前記導体上を摺動可能、且つ前記変位部材に従動
   して移動可能に取り付け、前記スライダで直列接続され
   た前記導体の抵抗値を検出する回路を設け、抵抗値の変
   化から変位部材の位置を検出するようにした変位セン
   サ。
2. 【請求項２】 前記抵抗体素子が前記スライダに接する
   面を、円筒面状に形成し、前記摺動部が円筒面を摺動し
   ながら円筒の周囲を回動できるようにスライダを形成し
   た第１項の変位センサ。