JPH0755332A - 低温設備の異常検出方法 - Google Patents

低温設備の異常検出方法

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JPH0755332A
JPH0755332A JP5202144A JP20214493A JPH0755332A JP H0755332 A JPH0755332 A JP H0755332A JP 5202144 A JP5202144 A JP 5202144A JP 20214493 A JP20214493 A JP 20214493A JP H0755332 A JPH0755332 A JP H0755332A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液体空気等の極低温物質を取り扱う設備に破
損等の異常が発生した場合に、その発生個所を容易に特
定することを可能とする。 【構成】 空気分離装置10における精留塔14、配管
16の外側に光ファイバ20を配設し、光ファイバ20
に光を入射した際に入射側に戻ってくるラマン散乱光を
時分割で検出し、各時間毎に検出されたラマン散乱光に
含まれるストークス光/アンチストークス光の強度比か
ら散乱点の温度を求めると共に、上記ラマン散乱光の戻
り時間から上記散乱点の位置を特定することにより、上
記光ファイバに沿った任意の位置の温度を測定すると共
に、温度変化が検出された位置の近傍に異常が発生した
と判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低温設備の異常検出方
法、特に空気分離装置等の極低温物質を取り扱う設備に
発生する設備破損等の異常を検出する際に適用して好適
な低温設備の異常検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】空気分離装置やアルゴン精製装置等の極
低温物質を取り扱うプラント(低温設備)では、該プラ
ントを構成する容器や配管類等の内部設備は全て断熱材
に覆われているため、これら容器や配管類に破損が生じ
た場合には、その破損個所を断熱材の外側から特定する
ことは非常に難しい。そこで、上記破損等の異常が生じ
た場合には、通常は断熱材を取り除き、内部設備自体を
見えるようにして破損個所の調査を行っている。
【0003】例えば、空気分離装置では、熱交換器や精
留塔等の主要装置や、それらを繋ぐ配管類等の内部設備
(低温物質収容部)が保冷槽と呼ばれる箱の中に収めら
れ、且つ該保冷槽の内壁と精留塔等の内部設備との間に
パーライト等の断熱材が密に充填されている。
【0004】従って、上記内部設備に破損等の異常が生
じた場合には、そこに収容されている酸素や窒素等の低
温ガスが保冷槽内に漏出することによって該保冷槽内の
圧力が上昇することから破損等の異常が発生したという
事実は検知可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように保冷槽内の圧力上昇のみによっては、異常発生個
所を特定することができないため、保冷槽内の内部に充
填してあるパーライト等の断熱材を取り除かなければ上
記異常発生個所を特定することができないという問題が
あった。
【0006】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、低温物質を取り扱う設備に破損等の
異常が発生した場合に、その発生個所を容易に特定する
ことができる低温設備の異常検出方法を提供することを
課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、低温設備の低
温物質収容部の外側に光ファイバを配設し、上記光ファ
イバを温度センサとする温度分布測定装置により該光フ
ァイバに沿った位置の温度を測定し、温度変化が検出さ
れた位置の近傍に異常が発生したと判定することによ
り、前記課題を解決したものである。
【0008】
【作用】本発明においては、低温設備における低温物質
収容部の外側に光ファイバを配設すると共に、該光ファ
イバを温度センサとする温度分布測定装置により該光フ
ァイバに沿った位置の温度を測定することにより、温度
変化が検出された場合にはその測定位置の近傍に異常が
発生したと判定するようにしたので、断熱材を取り除く
ことなく、低温物質収容部のどの位置に破損等の異常が
発生したことを正確に検出することが可能となる。
【0009】従って、例えば、空気分離装置等のように
極低温物質を取り扱うプラントにおいて設備破損が発生
した場合には、破損個所から漏れ出る液体窒素や液体酸
素等の極低温物質による破損個所近傍の温度変化を検知
することにより、上記破損個所を特定することが可能と
なる。
【0010】上記温度分布測定装置としては、光ファイ
バに光を入射した際に入射側に戻ってくるラマン散乱光
を時分割で検出し、各時間毎に検出されたラマン散乱光
に含まれるストークス光/アンチストークス光の強度比
から散乱点の温度を求めると共に、上記ラマン散乱光の
戻り時間から上記散乱点の位置を特定することにより、
上記光ファイバに沿った任意の位置の温度を測定する機
能を備えているものを使用できる。
【0011】又、上記温度分布測定装置としては、本出
願人が既に特開平5−13142で提案している、光フ
ァイバの両端のいずれからでも光を入射できるようにし
た光ファイバ式温度分布測定装置を使用することもでき
る。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳
細に説明する。
【0013】図1は、本発明に係る第1実施例を適用す
る空気分離装置(低温設備)と光ファイバ式温度分布測
定装置とを概念的に示す説明図であり、図2は、上記光
ファイバ式温度分布測定装置の概略構成図である。
【0014】本実施例方法が適用される空気分離装置1
0は、保冷槽12と該保冷槽12の内部に設置された精
留塔14や該精留塔14に連結された配管16とを備え
ている。
【0015】上記空気分離装置10では、光ファイバ式
温度分布測定装置(以下、単に測定装置ともいう)を構
成する測定装置本体18と、センサ部である光ファイバ
20が、精留塔14や配管16等の低温物質収容部の外
側に配設されている。
【0016】初めに、上記光ファイバ式温度分布測定装
置について詳述する。この測定装置は、測定対象に沿っ
て敷設した測温用光ファイバ20の一端を測定装置本体
18に接続することにより、該光ファイバ20に沿った
温度分布を測定する機能を有している。
【0017】上記測定装置本体18は、図2に示すよう
に、センサ部である光ファイバ20と、光発振器である
レーザダイオードLD及び光検出器である第1及び第2
のアバランシェフォトダイオードAPD1、APD2を
有する測定部22とを備えている。
【0018】この測定装置では、上記レーザダイオード
LD、ホトダイオードAPD1、APD2が、上記光フ
ァイバ20と光学的に接続されており、パルス駆動回路
24からのパルス信号により上記レーザダイオードLD
からレーザ光がパルス発振されると、該レーザ光は光フ
ァイバ20にその一端から入射されるようになってい
る。
【0019】上記光ファイバ20にレーザ光が入射され
ると、該レーザ光が入射された上記一端に散乱光等が戻
ってくるが、この散乱光は光分波器26に含まれる第1
及び第2干渉フィルタ28A、28Bを経て上記ホトダ
イオードAPD1、APD2によって検出される。
【0020】上記ホトダイオードAPD1、APD2で
検出された光は、電気信号として高速平均化処理装置3
0へ入力され、所定の処理が行われた後、更にデータ処
理装置32を経て温度分布ディスプレイ34に上記光フ
ァイバに沿った位置の温度分布が表示されるようになっ
ている。
【0021】この装置の測定原理を次に説明する。
【0022】上記光ファイバ20に対し、定期的に又は
適宜、レーザ光をパルス状に入射し、その際に該光ファ
イバ20の長さ方向の各ポイントから散乱されて戻って
くるラマン散乱光を時分割で検出する。
【0023】上記のように光ファイバ20にパルス光を
入射すると、その光は光ファイバ内部を伝搬すると共
に、該光ファイバ20の各ポイントは、その温度に応じ
て、散乱光を発生させ、その散乱光の一部が後方散乱光
として入射側に戻ってくる。この散乱光が戻ってくるま
でに要した時間により、後方散乱光の発生位置を特定す
ることができる。
【0024】又、後方散乱光の中には、光ファイバを構
成しているガラスの格子振動により、弾性的に散乱され
て生じるレ−レ散乱光の他に、非弾性的に生じるラマン
散乱光が含まれている。このラマン散乱光は、ストーク
ス光とアンチストークス光からなり、この2つの光の強
度比は、入射光波長とガラスの組成が決まれば理論的に
温度のみに依存している。
【0025】従って、上記の如く、レーザ光を入射した
後に戻ってくるラマン散乱光に含まれるストークス光及
びアンチストークス光をそれぞれ第1及び第2ホトダイ
オードAPD1、APD2で時分割で検出し、時間毎に
前記高速平均化処理装置30で算出されるストークス光
/アンチストークス光の強度比から温度を、又戻ってく
るまでに要した時間から光ファイバ20の長さ方向の位
置を、例えば1m 間隔で特定できる。
【0026】又、測定に使用する光ファイバ20の長さ
は、2km程度まで延ばすことができるため、総延長2km
の間の1m 毎の温度分布を1本の光ファイバで測定でき
ることになる。
【0027】本実施例では、上記光ファイバ20は、低
温物質収容部の中でも破損の可能性の高い部位を中心に
敷設される。その際、光ファイバ20は、配管等の低温
物質収容部に直接接触させると、該収容部に破損が生じ
た場合の温度変化が少なく、測定し難いため、該収容部
から数十センチ程度離して敷設することが好ましい。
【0028】又、図3に示すように、予めステンレス又
はアルミニウム等からなるガイドパイプ32を所定位置
に施工しておき、その中に光ファイバ20を敷設するこ
とが好ましい。又、使用する光ファイバ20としては、
−190℃前後の極低温に晒されるため、このような環
境においても劣化しないファイバ母材とシース材で製作
したものが用いられる。
【0029】本実施例においては、センサ部である光フ
ァイバ20を、精留塔14や配管16等の低温物質収容
部の外側に配設し、該光ファイバ20に沿った位置にお
ける温度分布を測定できるようにしたことから、経時的
に温度分布を測定し、異常な温度変化が検出されたとき
には、その検出位置の近傍に異常が発生したことを検知
することができる。
【0030】これを具体的に説明すると、極低温物質を
取り扱うプラントである空気分離装置では、容器(精留
塔14)にひび割れや、配管16に破れなどの設備破損
が生じた場合、設備内部に収容されている極低温のガス
や液体が断熱材中に流出することになるため、破損個所
近傍の温度が低下する。従って、破損等が生じる可能性
が高い部位、例えば配管16であれば、前記図3に示し
たように蛇腹状伸縮部の連結部分近傍の温度を測定する
ようにすれば、その温度変化(急激な温度低下)から破
損等により低温物質のリークが発生したことを検知する
ことができる。
【0031】このように、本実施例によれば、破損の可
能性のある部位の近傍に沿うように光ファイバ20を敷
設しておくだけで、対象となる設備の広い範囲に亘って
破損等の異常の発生を検出することが可能となる。
【0032】従って、上述した異常検出を、測定装置に
より連続的に又は周期的に温度分布を測定し、定常状態
における温度が低温側に大きく変化した場合に、例えば
アラームを発し、温度が変化した位置とその温度をプラ
ントの運転者に対して知らせることにより、適切な対応
を迅速に取ることが可能となる。
【0033】なお、上述した異常検出を、従来のように
センサとして熱電対や測温抵抗体等を用いて行う場合
は、極めて狭い設備範囲の温度しか測定できないため、
設備全体の破損検知を行おうとすると膨大の数のセンサ
が必要となる。
【0034】以上詳述した如く、本実施例によれば、空
気分離装置において、設備破損等の異常が発生した場合
に、その発生を迅速に検知できると共に、その発生個所
を正確に知ることができる。その結果、破損等の異常状
態の修復が容易となり、且つ修復に要する時間を短縮す
ることができる。
【0035】図4は、本発明に係る第2実施例の異常検
出方法に適用される光ファイバ式温度分布測定装置の要
部の概略構成を示す説明図である。
【0036】本実施例に用いられる測定装置は、複数、
例えば40本の光ファイバ20でセンサ部が構成され、
この複数の光ファイバ20が光スイッチ38を介して単
芯の接続用光ファイバ20Aと接続され、該接続用光フ
ァイバ20Aが測定装置本体18と接続されている。
【0037】又、上記装置本体18は、CRTからなる
ディスプレイ34と一体となっているデータ処理装置3
2を備え、このデータ処理装置32から制御信号が上記
光スイッチ38に出力され、該光スイッチ38により測
定を行う光ファイバ20が適宜切り換えられるようにな
っている。
【0038】以上の特徴部分を除き、本実施例に用いら
れる光ファイバ式温度分布測定装置は、前記第1実施例
で用いたものと実質的に同一である。
【0039】本実施例によれば、複数の敷設ルートに複
数の光ファイバ20をそれぞれ敷設し、光スイッチ38
によりルートを順次切り換えて各ルートの温度分布を測
定することができる。
【0040】従って、敷設ルートが非常に複雑であるた
め、該ルートに曲りが多くなる場合のように、1本の光
ファイバ20で全ての範囲をカバーすることができない
場合等でも、正確な温度分布を測定することが可能とな
るため、容易且つ正確に異常発生位置の検出を行うこと
が可能となる。
【0041】以上、本発明について具体的に説明した
が、本発明は、前記実施例に示したものに限られるもの
でなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であ
る。
【0042】例えば、本発明方法が適用可能な低温設備
としては、前記空気分離装置に限られるものでなく、同
様に極低温物質を取り扱うアルゴンやヘリュウム等の精
製装置を初めとして、比較的低温の物質を保冷しながら
取り扱う設備装置であれば任意のものに適用可能であ
る。
【0043】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
低温物質を取り扱う設備に破損等の異常が発生した場合
に、その発生個所を容易に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を適用する空気分離装置の
概略構成を示す説明図
【図2】本実施例方法に適用される光ファイバ式温度分
布測定装置の概略構成図
【図3】光ファイバの敷設方法の一例を示す説明図
【図4】本発明の第2実施例に適用される温度分布測定
装置の要部構成を示す説明図
【符号の説明】
10…空気分離装置 12…保冷槽 14…精留塔 16…配管 18…測定装置本体 20…光ファイバ 22…測定部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低温設備の低温物質収容部の外側に光ファ
    イバを配設し、 上記光ファイバを温度センサとする温度分布測定装置に
    より該光ファイバに沿った位置の温度を測定し、 温度変化が検出された位置の近傍に異常が発生したと判
    定することを特徴とする低温設備の異常検出方法。
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