JPH0754788A - 密閉形圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】密閉容器１内に圧縮機構部２と駆動用電動機部
３を配設し、上部空間１６，中部空間１７および下部空
間１８を形成する。下部空間１８の底部には油溜り４が
形成され、又下部空間１８内には円筒部材２２が配設さ
れている。そして上部空間１６から円筒部材２２の側面
部に対向するようにパイプ２４で連通する通路が形成さ
れている。 【効果】密閉形圧縮機において、圧縮された冷媒ガス中
に含まれる油を分離して油溜りに戻す作用を良好に行う
ことが出来、更に駆動用電動機を効果的に冷却すること
が出来る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は密閉形圧縮機に係り、特
に、吐出ガスに伴われて潤滑油が圧縮機の外へ出て行
く、いわゆる、油上がりを防止するための改良に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】密閉形スクロール圧縮機は特開昭63−21
2796号で開示されているように、スクロール圧縮機構部
で圧縮された冷媒ガスと潤滑油の混合ガスは、固定スク
ロール上部に設けられた吐出孔より圧縮機構部上方の上
部空間に吐出され、密閉容器内壁に衝突することによ
り、冷媒ガスと潤滑油に分離する。フレーム外周には各
々通路抵抗が異なる複数個の通路が設けられている。潤
滑油は粘度が高いため通路抵抗の小さい通路を通過す
る。一方冷媒ガスは粘度が低いため通路抵抗の大きい通
路を通過する。このようにして冷媒ガスと潤滑油は各々
圧縮機構部と駆動用電動機部の間の中部空間に流入す
る。冷媒ガスは駆動用電動機の外周に設けられたカット
部を通過し駆動用電動機下方の下部空間に流入し、駆動
用電動機を冷却し、再び、駆動用電動機外周のカット部
を経て中部空間に流入する。一方、潤滑油は中部空間よ
り駆動用電動機外周のカット部を経て油溜めに流入す
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、下
部空間より中部空間に流入する冷媒ガスが、上部空間か
ら中部空間に流れてきた潤滑油を吹き上げるため、冷媒
ガスと潤滑油が混合状態で密閉容器外へ流出するため油
上がりが増大する。

【０００４】上記の冷媒ガスによる潤滑油の吹き上げを
防止するため、フレーム外周の通路の横断面積もしくは
通路の個数を変更し、下部空間に流れる冷媒ガスの速度
を遅くすることにより潤滑油の吹き上げを減らすことは
可能であるが、このようにすることにより下部空間を流
れる冷媒ガスの流量が減少するため駆動用電動機の冷却
効果が低下する。

【０００５】このように従来技術では、油上がりの低減
と、駆動用電動機の冷却は相反する問題となる。

【０００６】本発明の目的は、この相反する問題である
油上がりの低減と、駆動用電動機の冷却を解決すること
にある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】油上がりの低減と駆動用
電動機の冷却効果を高めるため、密閉容器内に、圧縮機
構部を上部に、駆動用電動機部を下部に連設して収納
し、密閉容器底部に油溜りを形成し、上記圧縮機構部に
て密閉容器内空間を圧縮機構部上方の上部空間と、圧縮
機構部下方の下部空間に分割した密閉形圧縮機におい
て、上部空間から下部空間内に配設された側面部に対向
するように連通する通路を有するものである。

【０００８】

【作用】吸入管から吸入された冷媒ガスは圧縮機構部で
圧縮され、又、油溜りから吸い上げられ、各軸受や摺動
部を給油した油との混合ガスの状態で上部空間へ吐出す
る。この冷媒と油の混合ガスは、パイプを通り、下部空
間内に配設された側面部に衝突する。この時、衝突速度
が大きいため冷媒と油は分離される。その後、冷媒ガス
の速度を小さくすることにより、油は自重により油溜り
に落下する。一方、冷媒ガスは、駆動用電動機の隙間を
通り、冷却し、吐出管より密閉容器の外へ流出する。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１により説明す
る。図１は本発明を実施した密閉形スクロール圧縮機の
断面図を示す。

【００１０】図１において、密閉容器１内の上方には圧
縮機構部２が、下方には駆動用電動機部３がそれぞれ配
設され、また、密閉容器１の底部には潤滑油の油溜り４
が形成されている。圧縮機構部２は、台板上にうず巻状
のラップを有する固定スクロール５と、同じく台板上に
うず巻状のラップを有する旋回スクロール６のラップ同
士を組み合わせた構成となっている。また固定スクロー
ル５の中央には圧縮された冷媒ガスが吐出する吐出孔１
５が設けられている。旋回スクロール６とフレーム７と
の間には、旋回スクロール６の自転を防止するオルダム
リング機構８が設けられ、フレーム７を密閉容器１に締
結することにより、圧縮機構部上方に上部空間１６を形
成し、又、下方に中部空間１７を形成する。

【００１１】駆動用電動機部３は固定子３ａ，回転子３
ｂから成り、固定子３ａは密閉容器１に圧入締結されて
いる。したがって駆動用電動機部３の上方は中部空間１
７、又、下方は下部空間１８が形成される。回転子３ｂ
はクランク軸９に圧入締結されている。

【００１２】クランク軸９はフレーム７に設けられた主
軸受１０と下部軸受１１とで支持され、そのクランクピ
ンは旋回スクロール６の背面に設けた旋回軸受１２と嵌
合されている。

【００１３】クランク軸９内には主軸受１０，下部軸受
１１および旋回軸受１２へ潤滑油を導く給油通路１３が
設けられ、かつ、クランク軸９の軸端には油溜り４の潤
滑油を吸い上げて給油通路１３へ送り込む給油装置１４
が設けられている。

【００１４】また、旋回スクロール６の背面には、圧縮
行程中のガスを導いた中間圧室１９が形成されている。
中間圧室１９の圧力は冷媒ガスの吸入圧力と吐出圧力の
中間の圧力であり、スクロールの摺動部への給油は、吐
出圧力と中間圧力の差圧を利用して行われる。

【００１５】フレーム７の外周部に軸方向（上下方向）
に延び、上部空間１６側に開口し、中部空間１７に閉止
した溝２０を設け、密閉容器１に該溝２０に開口する孔
２１を設ける。

【００１６】又、下部空間１８内に円筒部材２２を密閉
容器１に配設し、円筒部材２２の側面部に対向するよう
に密閉容器１に孔２３を設ける。

【００１７】そして、孔２１，２３を連通するパイプ２
４を設ける。これにより上部空間１６から下部空間１８
内に配設された円筒部材２２の側面部に対向するように
パイプ２４で連通する通路が形成される。

【００１８】図１中、２５は密閉容器１を貫通して密閉
容器１の外部から圧縮機構部２の吸入側に冷媒ガスを導
くための吸入管である。２６は密閉容器１内の圧縮機構
部と駆動用電動機部３との間の空間に接続された吐出管
であり、この吐出管２６から圧縮された冷媒ガスが密閉
容器１の外部へ流出する。

【００１９】次に動作について説明する。駆動用電動機
部３によりクランク軸９を介して旋回スクロール６が旋
回運動すると、吸入管２５から吸入された冷媒ガスは固
定スクロール５と旋回スクロール６との旋回作用で圧縮
される。一方、潤滑油は給油装置１４より給油通路１３
を通り、主軸受１０，下部軸受１１、および旋回軸受１
２を潤滑した後、中間圧室１９を経て圧縮室に流入し、
冷媒ガスと混合した状態で吐出孔１５より上部空間１６
へ吐出する。この吐出冷媒ガスと油の混合ガスは、上部
空間１６よりフレーム７の溝２０よりパイプ２４を通
り、下部空間１８内に配設された円筒部材２２の側面部
へ導かれる。この時、混合ガスは、円筒部材の側面部へ
衝突速度が大きい状態で衝突するため、冷媒と油は分離
される。その後、空間２７の面積は、パイプ２４の断面
積より大きいため、冷媒ガスの速度は小さくなる。した
がって分離された油はその自重により油溜り４に落下す
る。一方、冷媒ガスは、駆動用電動機部３の隙間を通っ
て中部空間へ流れ、吐出管２６より密閉容器１の外へ流
出する。

【００２０】このようにして冷媒ガスと油の混合ガスよ
り油を分離するため、油上がりの少ない圧縮機を提供す
ることが出来る。

【００２１】さらに、冷媒ガスが下部空間１８へ導か
れ、駆動用電動機部３の隙間を通るため、電動機の冷却
効果は非常に高い。

【００２２】このように本実施例によれば、潤滑油の分
離と駆動用電動機部３の冷却という、従来の技術では相
反する問題であって現象を解決することができる。

【００２３】以下、他の実施例について説明する。

【００２４】図２は、他の実施例の密閉形スクロール圧
縮機の全体構造断面図を示す。図２は、密閉容器２８内
に圧縮機構部２と駆動用電動機部３を収納し、上部空間
１６，中部空間１７，下部空間１８を形成し、中部空間
１７内に円筒部材２９を密閉容器２８に配設し、上部空
間１６から円筒部材２９の側面部に対向するようにパイ
プ３０で連通する通路を形成したものである。作用，効
果は前述の図１の実施例と同一である。

【００２５】図３は、他の実施例の密閉形スクロール圧
縮機の全体構造断面図を示す。図３は、密閉容器３１内
に圧縮機構部２と駆動用電動機部３を収納し、上部空間
１６，中部空間１７，下部空間１８を形成し、上部空間
１６から、密閉容器３１と駆動用電動機部３の固定子３
ａの外周部カット部３ｃの側面部に対向するようにパイ
プ３２で連通する通路を形成したものである。

【００２６】本実施例では、吐出混合ガスを駆動用電動
機部３のカット部３ｃに衝突させ冷媒と油に分離するも
のである。

【００２７】図４は、他の実施例の密閉形スクロール圧
縮機の全体構造断面図を示す。図４は、密閉容器３３内
に圧縮機構部３４と電動機部３５を収納し、圧縮機構部
３４で密閉容器内を上部空間３６と下部空間３７に形成
する。圧縮機構部３４を形成するフレーム３８に駆動用
電動機部３５の固定子３５ａをボルト３９で固定してい
る。そして、上部空間３６から、固定子３５ａの側面部
に対向するようにパイプ４０で連通する通路を形成した
ものである。

【００２８】本実施例では、吐出混合ガスを電動機部３
５の固定子３５ａの側面部に衝突させ冷媒と油に分離す
るものである。

【００２９】図５は、他の実施例の密閉形スクロール圧
縮機の断面図を示す。図５は、密閉容器４１内に圧縮機
構部４２と電動機部４３を収納し、圧縮機構部４２にて
密閉容器内を上部空間４４と下部空間４５に形成する。
圧縮機構部４２を形成するフレーム４６に駆動用電動機
部４３の固定子４３ａを圧入締結している。そして、上
部空間４４から、フレーム４６の電動機部４３の固定子
４３ａの圧入部外側面に対向するようにパイプ４７で連
通する通路を形成したものである。

【００３０】本実施例では、吐出混合ガスをフレーム４
６の側面部に衝突させ、冷媒と油に分離するものであ
る。

【００３１】

【発明の効果】本発明によれば、密閉形圧縮機におい
て、圧縮された冷媒ガス中に含まれる油を効率よく分離
して油溜りに戻す作用を良好に行うことが出来、更に駆
動用電動機を効果的に冷却することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の密閉形スクロール圧縮機の
断面図。

【図２】本発明の第二実施例の密閉形スクロール圧縮機
の断面図。

【図３】本発明の第三実施例の密閉形スクロール圧縮機
の断面図。

【図４】本発明の第四実施例の密閉形スクロール圧縮機
の断面図。

【図５】本発明の第五実施例の密閉形スクロール圧縮機
の断面図。

【符号の説明】 １…密閉容器、２…圧縮機構部、３…駆動用電動機部、
３ａ…固定子、３ｃ…カット部、４…油溜り、５…固定
スクロール、６…旋回スクロール、７…フレーム、８…
オルダムリング機構、９…クランク軸、１０…主軸受、
１１…下部軸受、１２…旋回軸受、１３…給油通路、１
４…給油装置、１５…吐出口、１６…上部空間、１７…
中部空間、１８…下部空間、１９…中間圧室、２０…
溝、２１，２３…孔、２２…円筒部材、２４…パイプ、
２５…吸入管、２６…吐出管、２７…空間。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】密閉容器内に圧縮機構部を上部に、駆動用
   電動機部を下部に連設して収納し、密閉容器底部に油溜
   りを形成し、上記圧縮機構部で密閉容器内空間を圧縮機
   構部上方の上部空間と、圧縮機構部下方の下部空間に分
   割した密閉形圧縮機において、上部空間から下部空間内
   に配設された側面部に対向するように連通する通路を有
   することを特徴とする密閉形圧縮機。