JPH0754158A - 鋼材の表面改質方法 - Google Patents

鋼材の表面改質方法

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JPH0754158A
JPH0754158A JP20165993A JP20165993A JPH0754158A JP H0754158 A JPH0754158 A JP H0754158A JP 20165993 A JP20165993 A JP 20165993A JP 20165993 A JP20165993 A JP 20165993A JP H0754158 A JPH0754158 A JP H0754158A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 十分な研掃効果を持ちながら、同時に優れた
塗装密着性と耐食性を、被処理鋼材表面に付与するこ
と。 【構成】 主成分がMg, AlおよびSiの酸化物およびスラ
グ特性に特に影響を与えない微量成分を含有して構成さ
れた高炭素フェロクロム精錬スラグの粒状物を、被処理
鋼材の表面に吹付けることにより、該鋼材表面に、地鉄
と主としてMg, AlおよびSiの酸化物からなる酸化物浸透
層を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼材の表面に改質層を
形成する方法に関し、とくに、鋼の表面塗装を行う際
に、塗料と塗装面の密着性を向上させるために有益な鋼
材の表面改質方法について提案する。
【0002】
【従来の技術】一般に、普通鋼、特殊鋼あるいは合金鋼
等の鋼材(以下、「被処理鋼材」という。)の表面に塗
装を施す場合、その塗装処理の前に、鋼材表面に研掃材
を吹き付ける、いわゆる、“ブラスト処理”が行われ
る。このブラスト処理の目的の1つは、被処理鋼材表面
の酸化層、汚染物または古い塗装面などを剥離除去し、
塗装に適する清浄な表面を形成することにより、塗料と
被処理材表面との密着性を高めるところにある。この処
理では、被処理材表面の酸化層、汚染物または古い塗装
等を可能な限り除去することが重要なポイントであり、
この除去性能の目安としては通常、“研掃効果”という
指標を用いて判断している。また、この処理の他の目的
は、塗装の密着性を高めるために、被塗装表面に適当な
粗さの凹凸をつけることにある。
【0003】一般に、塗装の密着性と被塗装面の表面粗
さとは、密接な関係があるとされており、塗装密着性向
上のための被処理鋼材の表面形状は、細かくかつ深い凹
凸を呈していることが好ましい。それは、該被処理鋼材
の表面をこのような表面粗さとすることにより、いわゆ
るアンカー効果が高くなり、塗装の密着性が向上するか
らである。そのために、従来、上記ブラスト処理を行う
ことにより、鋼材表面を所定の粗さにすることにより、
事実、それなりに満足すべき塗装密着性が得られている
のが実情である。なお、こうしたブラスト処理に使用す
る研掃材としては、サンド、グリッド、ガーネット、ガ
ラスビーズ、鋼球、転炉スラグ等がよく知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、塗装密着性
を向上させる目的で行われている上記ブラスト処理を施
しても、例えば海水と接触するような、より過酷な腐食
環境に曝される個所や、再塗装が困難な場所での被処理
鋼材の塗装には、なお不十分であった。そこで最近で
は、主としてこのことに対処するために、塗料そのもの
を改善して耐候性や耐食性を向上させる工夫がなされて
いる。しかしながら、被処理鋼材と塗料との塗装密着性
を向上させるための下地処理技術の方は研究が比較的遅
れており、従来のようなブラスト処理では、全く不十分
と言わざるを得ない状態にあった。しかも、このような
従来ブラスト処理の方法は、処理された被処理鋼材のう
ち、特に耐食性のない軟鋼などでは、ブラスト処理後ま
さに数秒にして既に錆が発生してしまうことすらあっ
た。従って、耐食性の乏しい被処理鋼材を塗装する場
合、例えばブラスト処理後に直ちに塗装を施さないと錆
の影響により塗料が被処理鋼材に密着せずに剥離しやす
くなるという課題があった。
【0005】しかしながら、ブラスト処理後、直ちに塗
装を施すということは、技術的にも時間的にも多くの障
害があった。このような事情から、従来の場合、厳密に
は、錆の上から塗装を行っているというのが実情であ
る。なお、ブラスト処理後に発錆するという問題は、何
も過酷な腐食環境下に曝されるに供される塗装のみに限
られず、通常の環境における塗装においても同じような
問題はあった。
【0006】このような背景の下で、ブラスト処理後、
少なくとも数時間から数日間、被処理鋼材の表面を清浄
に保持できれば、塗装の工程管理が一層容易なものとな
り、かつ、塗装の密着性も確保されるという観点から、
下地鋼材表面の改質を目的としたブラスト処理技術の確
立が強く望まれていた。このような要請に鑑み、本発明
者らは、被処理鋼材の表面と塗料との塗装密着性を、上
述のようなアンカー効果のみにより解決することは自ず
と限界があり、塗装密着性をさらに向上するためには、
塗装表面の表面形状に関係なく、被処理鋼材表面に、塗
装の接着性に優れる何らかの手段, 即ち改質処理を施す
必要があるとの結論に達した。すなわち、本発明の目的
は、十分な研掃効果を持ちながら、同時に優れた塗装密
着性と耐食性を、被処理鋼材表面に付与することができ
る表面処理技術、即ち表面改質方法を提案するところに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上掲の目的を達成するた
めに鋭意研究した結果、次の事項を要旨構成とする課題
解決手段に想到し、本発明を開発した。すなわち、本発
明は、主成分がMg, AlおよびSiの酸化物ならびにその他
の少量の酸化物を含有して構成された精錬スラグの粒状
物を、被処理鋼材の表面に吹付けることにより、該鋼材
表面に、地鉄と主としてMg, AlおよびSiの酸化物からな
る酸化物浸透層を形成することを特徴とする鋼材の表面
改質方法であり、さらに本発明の好ましい態様として
は、上記精錬スラグの粒状物が、主成分が、MgO:20〜
40wt% 、Al2O3 :20〜40wt% およびSiO2:25〜45wt% 、
残部がその他の酸化物からなる高炭素フェロクロム精錬
スラグの粒状物であること、被処理鋼材の表面に、精錬
スラグの粒状物中に含まれるMg, AlおよびSiの酸化物浸
透層を形成するに足る吹き付け荷重以上で、被処理鋼材
の表面に吹付けること、あるいは、被処理鋼材の表面
に、精錬スラグの粒状物中に含まれるMg, AlおよびSiの
酸化物浸透層を形成するに足る吹き付け荷重以上で、前
記粒状物の90%以上が変形もしくは圧壊しない吹き付け
荷重以下の範囲内にある吹き付け荷重にて、被処理鋼材
の表面に吹付ける、ことを提案する。なお、上記粒状物
は、球形あるいは略球形を呈すること、硬度(Hv)が 700
以上, 好ましくは 700〜900 であること、粒径が 0.1〜
5.0 mm, 好ましくは 0.1〜3.0 mmであること、そして、
急冷凝固により製造したものであることが好ましい。ま
た、このような上記粒状物を鋼表面に吹き付ける際の吹
き付け荷重としては、4 〜7 kg/cm2にコントロールする
ことが好ましい。
【0008】
【作用】本発明にかかる鋼材の表面改質方法の特色は、
少なくともMg, AlおよびSiの酸化物を含む精錬スラグ,
例えば高炭素フェロクロム精錬スラグの粒状物を用いる
ことにある。そして、この精錬スラグを所定の吹き付け
条件により鋼材表面に吹き付けることにより、十分な研
掃効果を持つと同時に、鋼材表面に、前記Mg, Alおよび
Siの酸化物と被処理鋼材たる鋼表面近傍のFeとの混合、
もしくは反応を起こして拡散浸透したような酸化物浸透
層を形造った状態の表面改質層を形成する方法である。
このような表面改質層であれば、優れた塗装密着性を該
被処理鋼材に賦与することができるとともに、該表面改
質層の有する耐食性により、塗装までの間に多少時間的
に間隔が生じてもそれほど発錆の影響が出ることはな
く、それ故に塗装工程の管理が従来技術に比べて一層容
易なものとなる。
【0009】上記の本発明方法において用いる吹き付け
材としては、上記酸化物精錬スラグ, 即ち、高炭素フェ
ロクロム精錬スラグの粒状物が用いられる。特に、この
粒状物としては、高炭素フェロクロムを電気炉で溶融し
て製造する際に副次的に生成される溶融スラグを粒状化
したものが好ましく、その成分組成の一例を表1に示
す。
【0010】
【表1】
【0011】本発明において、精錬スラグとして高炭素
フェロクロム精錬スラグに注目した理由は、Mg, Alおよ
びSiの酸化物を含むために、これを被処理材たる鋼表面
に強く吹き付けた場合、鋼材表面のFeと混合して機械的
に結合し、または互いに反応して、被処理鋼材表面に、
あたかも合金層の如き酸化物浸透層を形成する。しか
も、この酸化物浸透層は、容易に剥離することなく、い
わゆる鋼材表面の改質層として存在するものである。何
よりも特徴的なのは、このような酸化物浸透層からなる
表面改質層を該鋼材表面に形成すると、被処理鋼材と塗
料との優れた塗装密着性と耐食性とを同時に賦与するこ
とかできる。
【0012】なお、この処理においては、精錬スラグの
うち、特に、破砕し整粒したものではなく溶融したスラ
グを噴霧する方法等により製造した急冷凝固物;即ち、
粒形状が球形または略球形を呈する粒状物を用いること
が好ましい。その理由は、このような粒状スラグの場
合、被処理鋼材に衝突したときの衝突エネルギーが極め
て高く、主としてMg, AlおよびSiの酸化物と被処理鋼材
の表面近傍のFeとの混合、もしくは反応して合金化した
ような酸化物浸透層からなる表面改質層を容易に形成す
ることができるからである。
【0013】本発明方法によってこのような表面改質層
が得られる理由は、必ずしも明確に解明されたわけでは
ないが、本発明法に対して同じような精錬スラグでも、
転炉スラグの球状物やニッケル精錬スラグを吹き付けて
も、上記表面改質層が形成されないことが確認されてお
り、このことから、おそらくは高炭素フェロクロム精錬
スラグ特有の組成と硬度との関係、ならびにこのような
特性のスラグを吹き付けるときの粒状物の吹き付け荷重
(吹き付け圧力)、このような精錬スラグを吹き付けた
ときの衝撃によって粒状物が塑性変形しないような吹き
付け荷重等に制御することと何らかの相関関係があるも
のと考えられる。
【0014】ところで、本発明において、上述したMg,
AlおよびSiを含む酸化物の精錬スラグを使用することに
より、本発明の効果を実現することができるが、当然の
ことながら、本発明のこのような効果は、高炭素フェロ
クロム精錬スラグのみに限らず、同様の成分を有する組
成物を、単独で電気炉等で製造して粒状物としたものを
使用しても実現されることはいうまでもない。
【0015】ここで、上記精錬スラグの主要成分は、Al
2O3 :20〜40wt%、MgO :20〜40wt%、SiO2:25〜45wt
%のものを用いる。このスラグの成分組成を上記の範囲
に限定する理由は次のとおりである。まず、Al2O3 , Mg
O , SiO2の組成を上記のように限定したのは、この組成
のスラグだと、鋼表面に改質層を形成するのに最も好ま
しいからである。解明が十分に行われているわけではな
いが、発明者らの考えでは、Al2O3 の量が多くなると、
硬度, 靱性がともに高くなり好ましいが、あまりに多く
なりすぎると脆くなりやすいので、上記の範囲に限定さ
れる。また、MgO , SiO2は、鋼表面改質のための硬度,
靱性改善に影響を与える要因であり、特にMgO は、Al2O
3 とスピネルを形成し、硬度が高くなり、他の成分, 特
にAl2O3 とのバランス上、上記範囲に限定される。
【0016】なお、上記の他に、CaOを含有してもよい
が、このCaは、多くなるとスラグがアルカリ性となると
ともに、やわらかく、かつ脆くなるので、10wt%以下、
好ましくは4.0 wt%以下であることが好ましい。
【0017】なお、本発明において、上記精錬スラグの
硬度、破壊靱性値、かさ比重を限定する理由は、それぞ
れ次のとおりである。 硬度(Hv)を 700以上好ましくは700 〜900 とした理
由は、浸透層のごとき表面改質層を得るのに最高な硬度
であり、 700未満だと改質層の形成ができない。 粒径を0.1 〜5.0mm 好ましくは 0.1〜3.0 mmとした
理由は、小さすぎると、おそらく衝突エネルギーが小さ
くなり、有効な表面改質層の形成ができず、大きすぎる
と割れやすくなり、有効な表面改質層が得にくい。 吹き付け荷重を4〜7kg/cm2とした理由は、7kg/c
m2以上だと、割れて粉塵も立ちやすくなり、再使用もで
きにくくなるからであり、4kg/cm2以下だと表面改質層
が得にくく、かつ研掃効果も得られない。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。高
炭素フェロクロムの精錬工程で副生した溶融スラグを取
鍋に収容し、これを噴霧急冷することにより、球形およ
び略球形を呈する粒状体、即ち、精錬スラグの粒状体を
得た。次いで、この粒状体から 0.6mm以下のものを選別
して研掃材〔A〕とし、次いで 0.6〜、2.5 mmのものを
選別して研掃材〔B〕とした。そこで、一般構造用軟鋼
SS 400 材の鋼板(100× 100×1.6 mm) を被処理鋼材と
し、これを通常のブラスト処理装置内に設置し、次いで
ISO Sa 2.5に規定された方法により、上記研掃材〔A〕
および研掃材〔B〕を用いてブラスト処理を行い、それ
ぞれ処理鋼材〔1〕,処理鋼材〔2〕を得た。また、比
較例として上記SS 400材鋼板に、通常行われる方法で、
吹き付け荷重6.0 kg/cm2のサンドブラストおよびグリッ
ドブラスト処理を行い、それぞれ処理鋼材〔3〕,処理
鋼材〔4〕を得た。この処理により、全ての上記鋼板上
に故意に塗料および接着剤を汚染物として付着させたも
のを用意したところ、本発明の実施例、比較例ともに表
面の汚染物は完全に除去された。そこで、上記各処理に
より得られた処理鋼材〔1〕から〔4〕について、その
表面をX線微小部分析法(EPMA)およびオージェ電
子分光法(AES)により分析した。
【0019】その結果、EMPA観察によれば、処理鋼
材〔1〕と処理鋼材〔2〕については、一部にスラグ物
質が打ち込まれた部位も観察されたが、試料表面全体に
スラグ成分であるMg, Al, SiおよびCaと下地材料である
Feと酸素の存在が確認された。また、図1に示した表面
の層構造を明確にするためのAES分析によれば、処理
鋼材〔1〕については、処理表面よりスラグ成分である
Mg, Al, Si, Ca及びOが深さ方向に向かって徐々に減少
して、Feが増加していることがわかる。これは、被処理
鋼材表面にあたかも金属層のごとき酸化物浸透層を形成
していることを示している。なお、該表面改質層の厚さ
は、少なくとも 0.5μm以上であることが確認された。
【0020】さらに、処理鋼材〔2〕についても上記と
同じ分析を行ったところ、処理鋼材〔1〕の場合と全く
同じ結果が得られた。これに対し、一般的な研掃処理で
あるサンドフラスト処理およびグリッドブラスト処理を
施した処理鋼材〔3〕,処理鋼材〔4〕の表面は、Feお
よびO以外の元素の顕著な存在は確認されなかった。
【0021】さらに、得られた上記処理鋼材の表面粗さ
を測定し、それぞれについて表面形状指数(Sm/R
z)を算出した。その結果を表2に示す。
【表2】
【0022】表2に示すように、本発明処理を行った処
理鋼材〔1〕と処理鋼材〔2〕は、Sm/Rz値がとも
に5以上であり、この値だけで判断する限り、むしろ良
好な塗装密着性は期待できない値である。これに対し、
一般的な研掃処理であるサンドブラスト処理およびグリ
ッドブラスト処理を施した処理鋼材〔3〕および処理鋼
材〔4〕は、それぞれ 1.4と 2.1であった。これは、一
般的に推奨される値である3以下の値であり、良好な表
面形状を調整できていることになる。
【0023】要するに、この結果を見る限り、本発明の
効果が薄いように思われたので、さらに検討すべく実験
を行った。即ち、上述した処理鋼材〔1〕〜〔4〕の実
際の塗装密着性について、次に示す方法で測定した。す
なわち、市販の錆止め塗料である塗料イ(有機亜鉛系)
と塗料ロ(合成樹脂系)を各処理材上に塗布し、完全に
乾燥固定した後に引張試験用治具をエポキシ系接着剤を
用いて塗装面上に接着し、引張試験を行った。試験用治
具の試料接着面の直径は20φであり、また測定により
得られた破断荷重そのものを塗装の付着強度として比較
した。その結果を、表2に示した。なお、破断箇所を確
認したところ、いずれの試料も概ね塗料と下地金属との
界面で破壊していたことより、得られた強度値は塗料と
下地金属の密着性を反映した値とすることができる。
【0024】表2に示した結果から明らかなように、本
発明の処理である処理鋼材〔1〕と処理鋼材〔2〕は、
表面形状(粗さ)の視点からは明らかに不利であるにも
かかわらず、比較例のサンドブラスト処理およびグリッ
ドブラスト処理を施した処理鋼材〔3〕および処理鋼材
〔4〕と比較して3倍程度の非常に高い付着強度を示し
ていることがわかる。これは明らかに、本発明法によ
り、主としてMg, Al, SiおよびCaの酸化物を含有する精
錬スラグの成分と被処理鋼材の成分であるFeと酸素の混
合反応した表面改質層を形成した結果、該表面改質層の
塗料との接着性が著しく良好となり、両者の密着性が改
善されたことを示している。
【0025】さらに、得られた処理鋼材の塗装前の耐食
性を比較するため、ブラスト処理後、直ちに温度40℃、
湿度85%の環境に保持した恒温恒湿槽中に設置し、錆の
発生する時間を測定した。比較例のサンドブラスト処理
およびグリッドブラスト処理を施した処理材〔3〕およ
び処理材〔4〕は、両者ともに数分以内に錆の発生が目
視により確認されたのに対し、本発明の処理である処理
鋼材〔1〕と処理鋼材〔2〕は、試験開始後6時間後に
はじめて錆の発生が確認された。これは本発明のブラス
ト処理により、比較例と比べて耐食性が向上したことを
示しており、通常の塗装環境における作業工程管理を容
易にするものである。なお、本実施例においては、ブラ
スト処理に使用する粒状体として、2.5 m以下の粒状体
を使用したが、必要とする研掃特性に応じてそのほかの
形状粒径の粒状体を使用しても、本発明の効果が顕れる
ことができることが確かめられている。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる表
面改質方法によれば、十分な研掃効果を有しながら、被
処理鋼材の表面に、スラグ成分と下地材料の組成物が混
合もしくは反応してできたと思われる表面改質層を形成
することができ、極めて高い塗装密着性が得られる。ま
た、本発明の表面改質法により、塗装作業工程上十分な
耐食性の向上が得られた。このように、本発明の方法
は、塗装の密着性にかかわる塗装特性の著しい向上と塗
装工程改善を、廉価でかつ容易に提供することができ、
塗装技術の発展に寄与するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の結果を示す処理鋼材〔1〕の表面状態
を示すAES深さ分析の結果を示す略線図である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主成分がMg, AlおよびSiの酸化物ならび
    にその他の少量の酸化物を含有して構成された精錬スラ
    グの粒状物を、被処理鋼材の表面に吹付けることによ
    り、該鋼材表面に、地鉄と主としてMg, AlおよびSiの酸
    化物からなる酸化物浸透層を形成することを特徴とする
    鋼材の表面改質方法。
  2. 【請求項2】 上記精錬スラグの粒状物が、主成分が、
    MgO:20〜40wt% 、Al2O3 :20〜40wt% およびSiO2:25
    〜45wt% 、残部がその他の酸化物からなる高炭素フェロ
    クロム精錬スラグの粒状物であることを特徴とする請求
    項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 被処理鋼材の表面に、精錬スラグの粒状
    物中に含まれるMg,AlおよびSiの酸化物浸透層を形成す
    るに足る吹き付け荷重以上で、被処理鋼材の表面に吹付
    けることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 被処理鋼材の表面に、精錬スラグの粒状
    物中に含まれるMg,Al, SiおよびCaの酸化物浸透層を形
    成するに足る吹き付け荷重以上で、前記粒状物の90%以
    上が変形もしくは圧壊しない吹き付け荷重以下の範囲内
    にある吹き付け荷重にて、被処理鋼材の表面に吹付ける
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 上記粒状物は、球形あるいは略球形を呈
    することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記
    載の方法。
  6. 【請求項6】 上記粒状物は、硬度(Hv)が 700以上であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載
    の方法。
  7. 【請求項7】 上記粒状物は、粒径が 0.1〜5.0 mmであ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 上記粒状物は、急冷凝固法により製造し
    たものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    1つに記載の方法。
  9. 【請求項9】 上記吹き付け荷重は、4 〜7 kg/cm2であ
    ることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05305268A (ja) * 1992-04-28 1993-11-19 Daiki Kogyo Kk 鉄鋼品の防食方法

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JPH05305268A (ja) * 1992-04-28 1993-11-19 Daiki Kogyo Kk 鉄鋼品の防食方法

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