JPH0753623B2 - 黒鉛化に併せて黒鉛電極表面に炭化珪素皮膜を形成する方法 - Google Patents

黒鉛化に併せて黒鉛電極表面に炭化珪素皮膜を形成する方法

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JPH0753623B2
JPH0753623B2 JP62210816A JP21081687A JPH0753623B2 JP H0753623 B2 JPH0753623 B2 JP H0753623B2 JP 62210816 A JP62210816 A JP 62210816A JP 21081687 A JP21081687 A JP 21081687A JP H0753623 B2 JPH0753623 B2 JP H0753623B2
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洋一郎 富永
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Description

【発明の詳細な説明】 <発明の目的> 産業上の利用分野 本発明は黒鉛化に併せて黒鉛電極表面に炭化珪素皮膜を
形成する方法に係り、詳しくは、黒鉛化炉内で成型され
た炭素成型体を黒鉛化するのにとどまらず、これに併せ
て、黒鉛電極の表面に耐酸化性に優れたSiC皮膜を形成
する方法に係る。
従来の技術 従来、製鋼、金属精錬その他の電気炉の電極は、主に人
造黒鉛電極が用いられているが、特に最近では大電力、
あるいは超高負荷操業に適した黒鉛電極の要求が高まっ
ている。この黒鉛電極に要求される大きな特性として
は、電流容量を増大させるための導電性と電極の消耗、
特に高温での消耗を防止するための耐酸化性が要求され
る。
これら黒鉛電極の特性を改善する方法としては、例え
ば、リン酸アルミニウム水溶液を黒鉛電極に含浸させ、
次いで加熱することにより、アルミニウムとリンおよび
酸素との網状構造物を黒鉛電極の表面および気孔中に形
成する方法(特公昭57−61090号公報)、タングステ
ン、チタン、ジルコニウム、モリブデン等の元素と熱分
解黒鉛との化合物で、黒鉛化炉で焼成、黒鉛化された黒
鉛電極の表面を被覆した黒鉛電極(特公昭58−18753号
公報)等が提案されている。
しかしながら、このようにして形成された皮膜は、単に
電極表面上に物理的に付着しているにすぎない等の欠点
を有し、電極の使用時にアーク炉の高温や機械的振動等
によって剥離してしまい十分な耐酸化性が期待できなか
った。従って、このようにしてその表面に皮膜を形成し
た炭素成型体を、黒鉛化炉において、焼成、黒鉛化する
方法が提案されている(例えば、特開昭61−96095号公
報)。このようにして得られた黒鉛電極は電極表面に形
成された炭化物皮膜が剥離することなく耐酸化性は向上
し、電極の消耗、特に高温における消耗が防止される。
しかし、表面の皮膜コート工程が付加されることもあっ
て、コスト高となる点に問題がある。
発明が解決しようとする問題点 本発明はこれらの問題点の解決を目的とし、具体的に
は、黒鉛化されるべき炭素成型体を黒鉛化炉中で黒鉛化
すると同時に、黒鉛化された黒鉛電極の表面に強固なSi
C皮膜を形成する方法を提案することを目的とする。
<発明の構成> 問題点を解決するための手段ならびにその作用 すなわち、本発明方法は、黒鉛化炉内において、2つの
導電用電極間に炭素成型体を配置し、これら導電用電極
によって炭素成型体に直接通電して、黒鉛化し、併せて
SiC皮膜を形成する際に、炭素成型体の周囲に、重量比
でC/SiO2=90/10〜20/80のコークス/珪石混合物を含む
詰め粉を充填し、その後、3000℃まで昇温して炭素成型
体を黒鉛化してから、1700℃〜2200℃の冷却ゾーンで冷
却して、黒鉛化した黒鉛電極の周囲にSiC皮膜を形成す
ることを特徴とする。
以下、図面によって本発明の手段たる構成ならびに作用
を説明すると、次の通りである。
第1図(a)は本発明方法を実施する際に使用する横型
黒鉛化炉の一例の説明図であり、第1図(b)は(a)
のA部の拡大断面図である。
まず、第1図(a)ならびに(b)に示すように、黒鉛
化炉の炉型1内において、後記のように、両端の導電用
電極1、2によって、その間の炭素成型体5に直接通電
して焼成、黒鉛化し、その後、冷却ゾーンの1700〜2200
℃で冷却する間にSiC皮膜を形成する。なお、炭素成型
体5の周囲には、後述の詰め粉2がつめられている。
従来、炭素成型体を黒鉛化するために、一般には、アチ
ソン型黒鉛化炉と呼ばれる横型加熱炉内にコークスを主
成分とする詰め粉を装入し、その詰め粉内に炭素成型体
を埋め、詰め粉に通電し、この詰め粉を介して炭素成型
体を加熱、焼成して黒鉛化する方法がとられている。こ
の際に、時々、詰め粉中の不純物のために黒鉛の表面に
SiCが付着することがある。このSiCの付着は加工を困難
にするため、最も嫌われる現象である。
しかし、この現象を逆に有効に利用すると、黒鉛化に併
せて、SiC皮膜が形成できることに着目し、これに基づ
いて本発明は完成したものである。
すなわち、珪砂などのSiO2とコークスなどのCからSiC
を生成する化学式を(1)式に示す。
SiO2+3C=SiC+2CO ……(1) この反応は1700℃以上で起り、2200℃以上ではSiCは分
解する。従って、黒鉛化炉で最高温度(3000℃)付近ま
で昇温し黒鉛化するときには、この最高温度附近では、
一旦(1)式によって生成したSiCは分解する(SiC皮膜
は生成しないが)。その後、黒鉛化炉内で自然冷却する
と、冷却ゾーン(1700〜2200℃)において、分解したSi
Cが黒鉛化された黒鉛電極表面に付着し、SiC層が形成さ
れる。この場合、2200℃以上でSiCが分解する際に熱分
解黒鉛が生成し、炭素成型体の表面に多量に残存するこ
とがある。このときには、冷却ゾーンの範囲を通過する
間に形成されたSiCは、割れやすくなる危険がある。こ
れを防止するためには、予め炭素成型体の周囲に50〜20
0mmの厚みで炭素粉の層を設けておき、その外周囲に後
記の詰め粉をつめるのが望ましい。
黒鉛化炉としては、通常、通電方向と直角方向に炭素成
型体を並べるアチソン型と通電方向に直列に炭素成型体
を並べるLWG型黒鉛化炉があるが、本発明方法において
はLWG型黒鉛化炉を使用する。その理由は、 1)直接に炭素成型体に通電するので電力原単位をアチ
ソン型に較べ大幅に低減できる。
2)通電時間を大幅に短縮できるので炉の回転率を向上
できる。
3)黒鉛電極端面にはSiCが全く形成されないのでねじ
切り等の端面加工が容易である。
等の利点がある。
特に電気炉用電極の場合には、電極端面に電極同志を接
続するためのねじ切り等の端面加工を必要とするので、
3)の利点は極めて重要な理由である。
しかし、これらの利点がある反面、詰め粉があまり昇温
しないため、SiCが電極表面に付着し難い欠点がある。
このため、SiCが生成し易い条件を選定する必要があ
り、そのために炭素成型体の周囲に詰め粉として、重量
比でC/SiO2=90/10〜20/80のコークス/珪石混合物、ま
たは、50〜200mmの厚みで炭素粉でおおってから、その
外周囲に、重量比でC/SiO2=90/10〜20/80のコークス/
珪石混合物を充填する。また、昇温中のガス抜けを良く
するため、詰め粉に少量のもみがら、おがくずなどを混
合しても良い。
第1図(a)は本発明に係るLWG型黒鉛化炉を使用した
黒鉛化炉の説明図であって、導電用電極3および4の間
に複数個の炭素成型体5を黒鉛スペーサー6を介して直
列に配置し、その周囲には、重量比でC/SiO2=90/10〜2
0/80のコークス/珪石混合物からなる詰め粉2を充填す
る。
この際、炭素成型体5の表面に50〜200mmの厚みで炭素
粉2′を充填しておおったのち、その外周囲に、上記組
成の詰め粉2を充填することもできる。
また、炭素成型体5の間には、第1図(b)に示すよう
に、炭素粒、黒鉛粒、黒鉛板などの耐熱良導電性材料7
を介在させることもできる。
上記のように、黒鉛化炉内において、導電用電極3およ
び4に通電し、従来法と同様に約3000℃に昇温して炭素
成型体5を黒鉛化してから、自然冷却し、このときに、
冷却ゾーンの温度域を通過させ、その後、炉出しするこ
とによって黒鉛化した黒鉛電極は側面全体に均一に0.5
〜1.0mm厚のSiC層が形成される。本発明の目的である耐
酸化性に優れた黒鉛電極が得られ、更に、黒鉛電極端面
にはSiCが形成されていないので、ねじ切り等の端子加
工には全く支障がない。
実 施 例 以下、実施例によって更に説明する。
(実施例1) 第1図(a)に示す横型黒鉛化炉を使用し、導電用電極
3、4の間に400φ×1800mmの炭素成型体5を黒鉛スペ
ーサー6を介して直列に配置し、その周囲に以下に示す
組成の詰め粉2を充填した。なお、この際、第1図
(b)に示すように炭素成型体間には黒鉛粒から成る良
導電性材料7を介在させた。
詰め粉2の組成 珪 砂(6〜20メッシュ) 100重量部 もみがら 5 〃 コークス(20〜35メッシュ) 70 〃 導電用電極3、4間に通電し、3000℃まで昇温後、丸2
日間自然冷却した後、炉出しした結果、黒鉛化された黒
鉛電極の側面は均一に0.5〜1.0mm厚でSiCが形成されて
いた。この際に、炉出し後の電極温度は1000〜1200℃で
あって、従来の方法では表面酸化が避けられないが、本
実施例の場合は黒鉛電極の側面にSiC層が形成されてい
るため、表面酸化は全く起らず、また、黒鉛電極の端面
にはSiCは全く形成されていないため、端子加工(ねじ
切り等)には全く支障が無かった。
(実施例2) 炭素成型体5の周囲に炭素粉2′(6〜20メッシュ)を
充填して厚さ120mmの黒鉛層を形成せしめ、次いで、そ
の外周面に下記組成の詰め粉2を充填した。これ以外は
実施例1と同一条件で加熱、焼成、自然冷却して、炉出
した黒鉛電極の表面にはSiC皮膜を形成され、このよう
な黒鉛電極が得られた。
詰め粉2の組成 珪 砂(6〜20メッシュ) 50重量部 コークス(20〜35メッシュ) 50 〃 得られた黒鉛電極の表面に形成されたSiC皮膜は実施例
1に比し強固でハンマーで強打しても全く剥れることが
なかった。
<発明の効果> 以上詳しく説明したように、本発明方法は、黒鉛化炉内
で、複数個の炭素成型体に直接通電して黒鉛化するとと
もに、冷却する間に黒鉛化された黒鉛電極の表面にSiC
皮膜を形成するもので、炭素成型体の周囲の詰め粉は、
重量比でC/SiO2=90/10〜20/80のコークス/珪石混合物
から成っている。
このため、黒鉛化炉中で1工程で炭素成型体を焼成、黒
鉛化するとともに黒鉛電極表面にSiC皮膜を均一に形成
できるので、従来法に比し安価に耐酸化性に優れた黒鉛
電極を製造できる。更に、黒鉛電極の端面にはSiCは全
く形成されないため、ねじ切り等の端面加工にも全く支
障が無い等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明方法を実施する際に使用する横型
黒鉛化炉の一例の説明図、第1図(b)は(a)のA部
の拡大断面図である。 符号1……炉壁 2……詰め粉 2′……炭素分 3、4……導電用電極 5……炭素成型体 6……黒鉛スペーサー 7……良導電性材料

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】黒鉛化炉内において、2つの導電用電極間
    に炭素成型体を配置し、これら導電用電極によつて炭素
    成型体に直接通電して、黒鉛化し、併せてSiC皮膜を形
    成する際に、 前記炭素成型体の周囲に、重量比でC/SiO2=90/10〜20/
    80のコークス/珪石混合物を含む詰め粉を充填し、その
    後、3000℃まで昇温して前記炭素成型体を黒鉛化してか
    ら、1700℃〜2200℃の冷却ゾーンで冷却して、黒鉛化し
    た黒鉛電極の周囲にSiC皮膜を形成することを特徴とす
    る黒鉛化に併せて黒鉛電極表面に炭化珪素皮膜を形成す
    る方法。
  2. 【請求項2】黒鉛化炉内において、2つの導電用電極間
    に炭素成型体を配置し、これら導電用電極によつて炭素
    成型体に直接通電して、黒鉛化し、併せてSiC皮膜を形
    成する際に、 前記炭素成型体の周囲に50〜200mmの厚みで炭素粉を充
    填し、次いで、その外周面に、重量比でC/SiO2=90/10
    〜20/80のコークス/珪石混合物を含む詰め粉充填し、
    その後、3000℃まで昇温して前記炭素成型体を黒鉛化し
    てから、1700℃〜2200℃の冷却ゾーンで冷却して、黒鉛
    化した黒鉛電極の周囲にSiC皮膜を形成することを特徴
    とする黒鉛化に併せて黒鉛電極表面に炭化珪素皮膜を形
    成する方法。
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