JPH0751889B2 - ロータリー弁装置 - Google Patents

ロータリー弁装置

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JPH0751889B2
JPH0751889B2 JP1155894A JP15589489A JPH0751889B2 JP H0751889 B2 JPH0751889 B2 JP H0751889B2 JP 1155894 A JP1155894 A JP 1155894A JP 15589489 A JP15589489 A JP 15589489A JP H0751889 B2 JPH0751889 B2 JP H0751889B2
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巧 室木
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はロータリー弁装置に係り、特にガソリン機関や
ディーゼル機関等の内燃機関の吸排気弁に好適なロータ
リー弁装置に関する。
〔従来の技術〕
現在、4サイクルガソリン機関の吸排気弁としては茸弁
(poppet valve)が一般的に使用されている。この茸弁
は密閉性、潤滑性に優れており、かつ装置としての信頼
性も高いため、実用に耐える吸排気弁装置として広く普
及し、自動車用機関の主流をなしている。然しこの茸弁
は弁体を揚げ下げする往復運動により吸排気を行う構成
であるため、機関の高速化には必ずしも適当な装置では
ない。この隘路を解決するためカムシャフト型の弁装置
が提案され、現在乗用車エンジンの主流となろうとして
いる。然しこの弁装置でも限界があり、機関の回転数が
一定限度を超すと機関の効率が急激に低下したり、極端
な場合には機関の破壊等破滅的な結果が生じることにな
る。
即ち、このカムシャフト型の弁装置では弁機構全体が比
較的剛性の低い弾性系でできているため、この系の有す
る固有振動数のうち何れか一つでもカムが与える強制力
の調和成分の一つと同調すると、系全体の作動順序が不
規則となり、所謂「ジャンピング」と称する現象を呈す
ることになる。さらに弁に一定の強制力を与えているバ
ルブスプリングも正常な運動から外れた波打ち現象(サ
ージング)を呈することになる。このような状態に至っ
た機関は、騒音が高くなり、かつ弁の開閉タイミングが
狂い、機関の出力は急激に低下してしまう。
このように茸弁を用いた弁装置では、その機構上、機関
の高速化が進むにつれて問題点が露呈してくる。このた
め現在に至るまでに、茸弁とは作動の異なる各種の弁装
置が提案され、かつ試作されているが、主として信頼性
の欠如を理由としてこれら各種の弁装置の開発は全て失
敗し、茸弁に代わって現在実用化している弁装置は皆無
であるのが実情である。
ここで、現在までに提案されている4サイクル機関の吸
排気弁装置の種類を分類すると以下のとおりとなる。
先ず、弁体を揚げ下げすることにより開閉する揚弁式
と、弁体を滑らすことにより開閉動作を行う滑り弁式と
に分類され、このうち揚弁式弁装置としては前記茸弁が
分類される。一方滑り弁式弁装置としては、弁体が往復
運動を行うスリーブ弁と、弁体が回転運動を行うロータ
リー弁に分類される。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上の弁の分類のうち、先ず揚弁式では前述の如き利点
を有するものの、機関の高速化には不向きであり、更に
弁体の作動機構が複雑であること、機関の騒音が大きい
こと、耐ノック性が低いこと等の問題がある。
また滑り弁の一つであるスリーブ弁は耐ノック性が向上
し、かつ弁体の作動機構も茸弁よりは簡素化できるもの
の、弁の作動形態が往復運動であるため機関の高速化に
は限界がある等の問題があり、その他機関の騒音等の点
でも必ずしも満足できるものではない。
次にロータリー弁は、通気孔を形成した摺動面に対して
弁体が等速回転運動を行うことにより、吸気通路、排気
通路の開閉を行うようにしているため、機関の高速化に
は最も適した弁作動形態であるといえる。また機関の騒
音も少なく、しかも弁装置全体の構造も簡素化すること
ができる。更にまた、茸弁に比較して単位時間当たりの
吸・排気口開口面積を大きくとれるため、時間当たりの
吸気量を大きく設定することができる等の利点を有す
る。
このようにロータリー弁は多くの利点を有するにも係わ
らず、現在に至るも実用化されていないのは次のような
理由によると考えられる。
即ち、ロータリー弁は後述するように回転部分の形状や
構造に基づいて、または流動する空気や排気ガスの通路
の構成に基づいて複数の種類に分けることが可能である
が、何れの種類のロータリー弁でもほぼ共通して、
(i)気密性が悪い、(ii)従って気密性を高めるため
に摺動面に対してロータを圧接し、このため摺動摩擦抵
抗が大きくなる等の欠点が指摘されている。
第11図及び第12図はミネルバのロータリー弁として知ら
れている切欠き型のロータリー弁の構造を示す。図中、
符号50は弁体であるロータを示し、このロータの側壁
(円周面)には切欠き51a、51b、51cが形成してある。
図示の位置では切欠き51cが燃焼室52を閉止した状態と
なっており、排気が終了し、さらに弁体50がA方向に回
転することにより切欠き51cが吸気通路53と連通して吸
気を行おうとしている状態を示す。さらに弁体の回転に
より吸気通路53と燃焼室52とは遮断され、この状態で燃
焼室で燃焼が行われ、さらに弁体が回転することにより
切欠き51bを介して燃焼室52と排気通路54とが接続して
排気を行う。
第12図はこの構成の弁装置における気密性保持機構を示
す。56は螺子55等の調整手段により作動するくさび部材
であり、このくさび部材56を図の右方向に移動させるこ
とにより押さえ片57を弁体50側に圧接する。これにより
弁体50はハウジング側の摺動面55a、55bに強く圧接さ
れ、この摺動面に形成された排気口や燃焼室上部を密閉
するようになっている。
この方式による気密性の保持は、弁体と摺動面との接触
面積を比較的大きく設定することと、この摺動面に対す
る弁体の接触圧力を大きくすることにより成り立つもの
であって、弁体の回転に対する抵抗が大きく、潤滑にも
問題を生じ、ロータリー弁の利点を大幅に削ぐ結果とな
っている。
即ち、以上の構成では気密性と摩擦抵抗とはほぼ裏腹の
関係になり、摩擦抵抗を低減しようとすると気密性が低
下し、反対に気密性を高めようとすると油膜による粘性
抵抗増加により、摩擦抵抗が増大するという問題があ
る。
更に、当然のことながらロータの接触圧は内燃機関の最
大負荷時にもシール性が確保されるように設定され、か
つその接触圧は固定化されているため、特にロータが低
速回転している内燃機関の低負荷時において大きな抵抗
を発生することになる。
また吸気通路と排気通路か近接するため吸気が加熱され
て体積効率が低下するという問題もある。
結局ロータリー弁装置における最大の問題は気密性の保
持であり、より具体的には摩擦抵抗を増大することなく
装置としての気密性を向上させることにあり、この技術
的課題が達成されればロータリー弁の実用化を達成する
ことができる。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は以上の技術的課題に鑑み構成したものであり、
回転駆動する弁体(以下「ロータ」と称する)に一個所
または複数個所形成した切欠き部分(切欠き型ロータリ
ー弁の場合)や、吸気口や排気口として機能とする開口
部(軸流式ロータリー弁の場合)を囲むように、ロータ
軸心方向および円周方向にシール材を配置してこれら切
欠きや開口を独立のシール空間としてシールし、かつシ
ールを配置することによりロータとハウジングとの間に
は隙間が形成されてロータの円滑な回転を保証する。ま
たこれらシール材を収納する溝部と前記シール空間とは
連通させることによりシール空間内の圧力に対応してハ
ウジングに対するシール材の接触圧が変化するようにし
て常時適正なシール性を保持する。これにより各シール
材のハウジング接触面積は気密性を保持し得る範囲で極
力小さく形成することができ、摩擦抵抗の増大を最小限
に押さえるように構成してある。
〔作用〕
ロータの軸心方向に形成したシール材は、ロータの円周
方向に対するシールを行い、ロータの円周方向に配置し
たシール材はロータの軸心方向に対するシールを行う。
これら両シール材のうち少なくとも一部はシール空間の
圧力に対応してハウジングに対する接触圧が変化するた
めシール材は各シール空間が必要とするシール性を常時
保持することが可能となり常時適正なシールを確保でき
る。
〔実施例〕
以下本発明の構成を図面を参照に具体的に説明する。
第1図ないし第5図は本発明の第1の構成を示す。なお
この構成のロータリー弁は前記従来型の切欠き式とは別
の軸流式であるため、まずこの形式の弁装置の概略を第
6図を用いて説明する。
図中符号1は弁本体を構成するロータであり、エンジン
の回転軸と接続することにより軸心Sを中心として回転
するようになっている。2はロータ1の摺動面である側
壁部に形成した吸気ポートであり、ロータ内に形成して
ある吸気通路3と接続している。また4は同様にロータ
の側壁部に形成した排気ポートであり、やはりロータ1
内に形成してある排気通路6と接続している。
ロータ1が回転することによりこれら吸気ポート2、排
気ポート4およびこれらポートを形成していないロータ
側壁面が順次燃焼室5と接続することにより、吸気通路
3側からの吸気、圧縮、爆発、および燃焼室5からの排
気を順次行うことになる。
次に第1図および第2図により本発明の構成を説明す
る。
先ず図示のロータリー弁装置は第6図にその気体流路の
概念を示す如く、軸流式のロータリー弁装置である。
ロータ1は吸気ポート2及び排気ポート4を開口形成し
てあるロータ本体1aと、このロータ本体1aの両端に形成
してある支持軸部1bとを一体的に構成することより形成
してある。この支持軸部1bは機関のハウジング7側に固
定してある軸受8により軸支され、回転軸9を中心とし
てロータ1全体が回転するようになっている。なお、ロ
ータ全体の回転を円滑にするためロータ1を収納したハ
ウンジング内面7aと、ロータ1の外周面との間には僅か
ではあるが一定の隙間が形成してある。
10はこのロータ1に取り付けたスプロケットであって、
動力伝達手段であるチェーン11を介して機関の回転軸と
接続し、機関の回転数に対応してロータが回転するよう
になっている。この場合、ロータリー弁装置の装着対象
が4サイクルエンジンであれば、このロータ1の回転は
クランク軸の回転数の1/2となるように設定される。
12a、12bは潤滑油の注入部、13a、13b(第2図参照)は
点火プラグや燃焼室内圧力測定センサ等の取り付け部、
14はピストンである。なお、潤滑油の注入部12a、12bの
形成位置は図示の位置に限るものではない。
次に以上に示したロータのシールの構造について説明す
る。
第3図はロータのうち中央のロータ本体1aの部分を示
す。
ロータ本体1aの側壁部円周方向において、この側壁部は
(a)吸気ポート2を形成してある部分、(b)排気ポ
ート4を形成してある部分、及び(c)開口部を形成し
ていない盲部の3つの部分に分けられ、これらの3つの
部分を気密に分割するようにシール部材を形成配置す
る。具体的には次のとおりである。
ロータ本体1aの円周方向には環状のシール材(以下「リ
ングシール」と称する)14が嵌挿してある。このうち14
a及び14bで示すリングシールと、14c及び14dで示すリン
グシールとがそれぞれ対をなし、前記吸気ポート2、排
気ポート4およびポート無形成の盲部を含む部分を中心
として取り付けてあり、これらの部分をロータ本体軸心
方向に対してシールするようになっている。このリング
シール14a〜14dはピストンリングとほぼ同様の構造及び
材料により形成できる。但し、ピストンリングが接触面
に対してリングの軸方向に対して摺動するのに対し、こ
のリングシールはロータリー弁の機構上、リングの周方
向に摺動することになる。なお、図示の場合、リングシ
ールは合計4本使用した構成となっているが、2本もし
くは6本等、シール性と摩擦抵抗との兼ね合いにおいて
その使用本数は適宜選択することができる。
次に符号15は前記リングシール14bと14cとの間におい
て、ロータ本体軸心方向に形成配置した直線状のシール
材(以下「ラジアルシール」と称する)である。このラ
ジアルシール15はロータ本体円周方向に対してほぼ等し
い間隔を以て3本取り付けられる。これによりロータ本
体は、吸気ポート2を中心とした部分、排気ポート3を
中心とした部分、および開口部を形成していない盲部の
3つの部分に区画され、かつ各々がシールされる。
このように構成することによりロータ1をハウジング内
に装着した際に、ハウジングのロータ収納部壁面と、前
記リングシール14a〜14d及びこのラジアルシール15との
係合によりロータ本体1aには3つの密封空間が区画形成
されることになる。
なお、図示しないが、リングシールと吸気、排気の各ポ
ートとの間にラビリンスを形成して、非接触式のラビリ
ンスシールを構成し、シール性をさらに高めるようにす
ることも可能である。
第4図及び第5図はラジアルシールの形状及び取り付け
構造を示す。ラジアルシール15の断面形状のうち、摺動
部の断面形状は略円形に形成してあり、ラジアルシール
15とその摺動面との間に良好な油膜が形成できるように
なっている。このラジアルシール15はロータ本体1aに形
成してある溝1c(第5図参照)内に収納配置される。こ
の場合、溝1cの底部とラジアルシール15底面との間に形
成される空間部には板バネ16を介在配置させ、この板バ
ネ16の弾発によりラジアルシール15の上端部をハウジン
グ7のロータ収納空間壁面7aに接触させる。
また上記溝1cはラジアルシール15よりも幅広く形成され
ており、これにより溝1cの側壁とラジアルシール15との
間には隙間25が形成される。また前記板バネ16は第4図
に示す如く一枚のバネ材を屈曲形成したものであるた
め、板バネ16が配置される空間内には板バネ配置後も空
隙が形成されており、この空隙は前記隙間25を介してシ
ールを行う加圧空間と連通している。このようにしてお
くことにより、シールを行う側の空間の加圧気体が第5
図の矢印の如く、隙間25を経てラジアルシール15の下部
に位置する板バネ配置空間内に流入する。これによりシ
ール空間内の圧力はロータの回転による遠心力、及び板
バネ16の押圧力と共同し、ラジアルシール15上端をロー
タ収納空間壁面7aに押圧する。この押圧力は、ロータの
回転数に対応して発生する遠心力及び加圧気体の圧力に
対応するため、内燃機関高負荷時の高いシール性を確保
したい時には押圧力が増加してシール性が特に向上し、
反対に低回転時等、機関低負荷時には押圧力は減少し、
ラジアルシールが不必要に高い圧接力をもって摺動面に
接触しないようになっている。
なお、ラジアルシール15の上端部は断面が略半円に形成
してあるため、ラジアルシール15全体としては前記ロー
タ収納空間壁面7aに対しては線接触もしくはこれに近い
状態で接触することになる。また、内燃機関の運転状態
によっては、この加圧空間側が一時的に負荷となる場合
があるが、このような状態を考慮して、負圧状態でもラ
ジアルシールが摺動面に対して効果的に接触するよう板
バネの弾性を設定しておく。
ラジアルシール15の構成材料としては自己潤滑性の高い
炭素系材料や、摺動部を中心として焼き入れを行った金
属材料等が利用可能である。また、ラジアルシール15の
うち摺動面に接触する部分の形状は断面が前述の如く略
円周状等となるようにしておけば、摺動面とラジアルシ
ールとの間に良好な油膜が形成され、効果的なシールを
行うことができる。
以上のようにシール部を構成することにより、リングシ
ール14a〜14d及びラジアルシール15はロータの回転に伴
ってハウジング7の内壁面7aを摺動し、この間ロータの
各区画のうち円周方向の圧力に対してはラジアルシール
15が、ロータ軸心方向に対する圧力に対してはリングシ
ール14a〜14dがシールを行うことによりロータリー弁の
弁体として作動することになる。なおこの場合、ハウジ
ング内壁面7aに対するラジアルシール15の摺動面積は、
このラジアルシールの全長に等しい部分であって、摺動
面積としては大きいが、前述のようにラジアルシール15
とハウジング内壁面7aとは線接触となっているので、ラ
ジアルシールとハウジング内面との間に形成される油膜
の粘性抵抗等が少なく、従ってロータ回転時にこのラジ
アルシール15の摺動が大きな抵抗となることはない。
第7図乃至第10図は第2の構成を示す。
この構成は前記構成のリングシールに代えてロータ本体
1aの両端面部において、このロータ円周方向に対てシー
ル材を配置し、かつこれらシール材とロータ本体両端に
配置した部材とにより各区画をシールするようにしてあ
る。
先ず主として第8図(A)〜(C)を用いてシール材の
配置状態及びその構造を説明する。
17は前述のラジアルシール15と同様の構成及び材料から
なるラジアルシールであるが、このラジアルシールの場
合には、全長がロータ本体1aの全長とほぼ等しく形成し
てあり、従ってラジアルシール17の両端はロータ本体1a
の両端に各々位置するようになっている。18はロータ本
体1aの端面に対し、その端面形状にほぼ対応するよう環
状に嵌挿配置したシール部材(以下「サイドシール」と
称する)である。このサイドシールは、同様にロータ本
体1aの端面にその端部が位置する3本のラジアルシール
17により3分割された状態に形成してあり、その各々が
各ラジアルシール端部の間に介在位置するようにしてロ
ータ本体1aの端面に固定される。このサイドシール18は
ロータ端部に形成した溝部1d(第9図参照)に配置され
る。この場合サイドシール18と溝部1d底面との間にはウ
エーブスプリング20を配置しておく。
なお、図示の如く、サイドシール18の場合には、摺動面
に対する部分の形状が前述のラジアルシールとは相違す
る。即ち、ラジアルシールの場合、摺動面接触部が摺動
面に対して線接触するよう、その断面形状が略円周状に
形成してあるのに対して、サイドシール18の場合にはや
や平坦に形成することにより摺動面に対してこのサイド
シール18が面接触するようにし、シール性を確保するよ
うにしてある。
次に各サイドシール18をロータ端部に装着した場合に、
第8図に示すようにサイドシールの曲率半径をロータと
は相違させて全体形成が例えば略おむすび型となるよう
にする等して、摺動面であるサイドプレート23に対する
摺動面積をやや広くとるような形状とし、サイドプレー
ト23の特定部分のみが摩耗するのを防止するようにして
いる。なお、サイドシール18と摺動面とは面接触となっ
ているが、排気ポート等から遠いロータ本体端部では、
前記ラジアルシール設置部に比較して圧力もやや低くな
っているため、シールの接触圧も低く設定でき、従って
面接触することによってこのラジアルシールの摺動抵抗
が大きくなる虞れはない。
19はこれらラジアルシール17端部とサイドシール18との
接続部におけるシールを行うコーナーシールであって、
サイドシール18と嵌合する溝19aを切り欠いた形の略円
筒形に形成してあり、ロータ1の端部に形成した溝部22
に対して嵌挿配置してある(第10図参照)。なお、この
場合、コーナーシール19と溝部22の底面との間にも弾性
体としてラジアルシールスプリング21を配置する。
23はハウジング7側に固定したサイドプレートであっ
て、ロータ本体1aの両端部に位置するラジアルシール17
端部、サイドシール18およびコーナシール19は全てこの
サイドプレート23に接触し、これらシール部材とサイド
プレート23との係合によりロータ本体の軸方向に対する
シールを行うようにする。この場合サイドシール18下部
に配置したウエーブスプリング20及びコーナーシール19
下部に配置したコーナーシールスプリング21の弾発力に
より各シール部材は前記サイドプレート23に良好に接触
し、高いシール性を保持することになる。
また第9図に示すようにサイドシール18と溝1dとの間で
は、加圧気体の位置する空間部、即ちサイドシール18の
外周側に隙間24を形成するようにしておけば加圧気体が
この隙間24からサイドシール下部に入り、第5図に示し
たラジアルシール15の場合と同様、加圧気体の押圧力に
より良好なシールが望める。またこの隙間により、ロー
タの熱膨張によって溝部1dが狭まってもサイドシールが
溝に挟まれる事態は防止され、サイドシールの運動が拘
束されることはないのでシール性が低下したり、シール
が不可能になる等の事態は発生しない。
このように形成した各シール部材によりロータ本体の円
周方向のシールはサイドシール18、コーナーシール19お
よびラジアルシール17端部が係合連接し、かつこれらシ
ール材がサイドプレート23に接触摺動することにより行
われ、またロータ本体円周方向のシールはラジアルシー
ル17により行われる。
以上に示す第2の構成はロータリーエンジのシールとも
共通点を有するが、ロータリーエンジンのロータ頂部の
軌跡がトロコイド曲線を成し、ロータ回転中に慣性の影
響を複雑に受けるのに対して、本発明のロータリー弁で
はロータは等速円運動を行い、従って慣性の影響も単純
であるため、ロータリーエンジンに比較して幅広い材料
をシール材として利用することが可能である。またロー
タリーエンジン開発時には大きな問題となったハウジン
グ内面の波状摩耗(チャターマーク)が、ロータを収納
するハウジング内面に生じる等の虞れもない。
第13図はロータにおける吸気側と排気側の断熱構造の一
例を示す。
通気通路3と排気通路6と間に形成した隔壁60に対して
は、断熱材61からなる断熱層が形成してあり、これによ
り排気通路6側の熱が吸気側に伝達されるのを極力阻止
するようにしてある。なお、断熱材に代えて、この断熱
材配置部を空隙とし、この空隙部に冷却用の空気を通過
させる等して断熱を図ってもよい。このようにして断熱
を図ることにより、吸気の温度上昇を可能な限り低減
し、以て充填効率の低下を防止する。なお、以上の断熱
部の形成は、隔壁形成部を基準として、吸気側ロータ部
と排気側ロータ部とを別個に形成し、これら各ロータ部
を付き合わせ接続して一体的なロータを形成する際に断
熱材をサンドイッチさせたり、またはこの部分に冷却用
空隙を形成する等の方法により達成される。
以上、本発明の構成を軸流式ロータリー弁を例に説明し
たが、切欠き型のロータリー弁の場合でも、切欠き部を
中心として前記シール材を配置することにより、軸流式
ロータリー弁の場合と全く同様に効果的なシールが可能
であることは当然である。
また、弁装置の装着対象を、主として4サイクルガソリ
ン機構を例に説明したが、もとより本装置の利用対象は
これに限定するものではない。例えば2サイクルガソリ
ン機関、ディーゼル機関等各種の内燃機械に対して利用
可能である。
〔効果〕
本発明は以上にその構成を具体的に説明したように、回
転駆動するロータに一個所または複数個所形成した切欠
き部分(切欠き型ロータリー弁の場合)や、吸気口や排
気口として機能とする開口部(軸流式ロータリー弁の場
合)を囲むように、ロータ軸心方向および円周方向にシ
ール材を配置することによりそれぞれシール空間が形成
され、かつこれらシール材のうち少なくとも一部のシー
ル材が配置された溝はシール空間と連通することによっ
てシール空間の圧力に対応して摺動面に対するシール材
の接触圧が自動的に調節されるため、内燃機関の負荷変
動に対応して過不足なく、常時最適なシールを行うこと
ができる。
また特に高いシール性を要求されるラジアルシールにあ
っては、ロータの回転数の変化による遠心力もシール材
の接触圧の変化に寄与するため前記内燃機関の負荷変動
に対応して摺動面に対する接触圧が自動的に調節され、
極めて効果的なシールが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の構成を示すロータリー弁装置の
側面図、第2図は第1図のI−I線による断面図、第3
図は第1の構成のシール材を取り付けたロータ本体の斜
視図、第4図はラジアルシールと板バネの斜視図、第5
図はラジアルシールとハウジング内面との接触状態を示
すラジアルシール装着部の断面図、第6図は軸流式ロー
タリー弁の概念を示すロータリー弁装置の概念図、第7
図は第2の構成を示すロータリー弁装置の部分図、第8
図(A)は第7図に示すロータリー弁装置のロータ本体
の斜視部分図、同(B)はサイドシールとウエーブスプ
リングの斜視図、同(C)はコーナーシールとコーナー
シールスプリングの斜視図、第9図は第8図(A)のII
−II線による断面図、第10図は同III−III線による断面
図、第11図はミネルバ型ロータリー弁装置の断面図、第
12図は第11図に示すロータリー弁装置のシール方法を示
すロータ部断面図、第13図は吸気側と排気側との間の断
熱構造を示す軸流式ロータリー弁の概念図である。 1……ロータ、1a……ロータ本体 2……吸気ポート、3……吸気通路 4……吸気ポート 5……燃焼室、6……排気通路 7……ハウジング 9……ロータ回転軸 14a、14b、14c、14d……リングシール 15、17……ラジアルシール 18……サイドシール 19……コーナーシール 23……サイドプレート 60……隔壁 61……断熱材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒形のロータ本体に切欠きまたは開口部
    が形成されこのロータ本体を円筒形の軸心を回転中心と
    して回転させることにより燃焼室に対する吸気および排
    気を切り換える内燃機関用のロータリー型の弁装置にお
    いて、ロータ本体1aには吸気ポート2及び排気ポート4
    が形成され、これら吸気ポート2及び排気ポート4の形
    成部の両側にはロータ本体1aの円周方向に1以上のリン
    グシール14がそれぞれ設けられ、これらのリングシール
    14に両端が接するよう2本以上のラジアルシール15がロ
    ータ本体1aの軸心方向にそれぞれ設けられることによ
    り、前記リングシール14で区画されたロータ本体1aの表
    面は、少なくとも吸気ポート2の形成部及び排気ポート
    4の形成部の2つのシール空間に分割され、かつ各ラジ
    アルシール15は当該ラジアルシール15よりも幅広に形成
    された溝1c内に配置されかつ当該ラジアルシール15と溝
    1cの底部の空間には当該空間の一部を占める様に弾性体
    が配置され、当該ラジアルシール15はこの弾性体により
    ハウジング内周面7aに圧接され、かつ同溝1cにおける弾
    性体配置空間の空隙部はラジアルシール15と溝1cの一方
    の側壁との間に形成された隙間25を介して前記シール空
    間とそれぞれ連通させ、シール空間の圧力の上昇に応じ
    て前記ハウジング内周面7aに対するラジアルシール15の
    接触圧を上昇させるよう構成することによりハウジング
    内周面7aに対するラジアルシール15の接触圧が各シール
    空間内の圧力の変化に対応して変化するようにし、以て
    内燃機関の負荷変動に係わりなく各シール空間のシール
    性を常時高く保持するようにしたことを特徴とするロー
    タリー弁装置。
  2. 【請求項2】前記ラジアルシール15は3本設けられ、リ
    ングシール14で区画されたロータ本体1aの表面は、吸気
    ポート2の形成部、排気ポート4の形成部及びポート無
    形成部の3つのシール空間に分割されたことを特徴とす
    る特許請求の範囲(1)記載のロータリー弁装置。
  3. 【請求項3】前記リングシール14に代えてロータ本体1a
    の両端面部にはサイドシール18が設けられ、当該サイド
    シール18はロータ本体1aの両端に位置するラジアルシー
    ル17端部とコーナーシール19を介して係合し、各サイド
    シール18はロータ本体11aの両端面部に形成された溝1d
    の底部に配置された弾性体によりサイドプレート23に圧
    接され、同溝1dの弾性体配置空間はサイドシール18と溝
    1dの側壁との間に形成された隙間24を介して前記シール
    空間と連通するよう構成したことを特徴とする特許請求
    の範囲第(1)項又は第(2)項に記載のロータリー弁
    装置。
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