JPH075105A - 光散乱体中に局在する光吸収体の濃度測定方法および装置 - Google Patents

光散乱体中に局在する光吸収体の濃度測定方法および装置

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JPH075105A
JPH075105A JP5141883A JP14188393A JPH075105A JP H075105 A JPH075105 A JP H075105A JP 5141883 A JP5141883 A JP 5141883A JP 14188393 A JP14188393 A JP 14188393A JP H075105 A JPH075105 A JP H075105A
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JP
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light
absorber
concentration
scatterer
light absorber
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JP5141883A
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English (en)
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Yuichi Yamashita
優一 山下
Fumio Kawaguchi
文男 川口
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 散乱体中に局在する吸収体の濃度の定量化を
実現するための計測方法と装置を提供すること。より具
体的には、光を用いて生体機能を計測する計測方法およ
び装置において、生体機能の定量化に必要な生体内に含
まれる光吸収体の濃度の正確な計測方法および装置を提
供すること。 【構成】 光散乱体中に局在する光吸収体の濃度の測定
方法であって、内部に前記光吸収体を局所的に含む前記
光散乱体に光を照射し、該光散乱体を透過もしくは反射
して検出された光の、当該光散乱体内で実質的に同一領
域とみなせる光吸収体領域の通過回数の分布から前記光
吸収体の濃度を測定することを特徴とする光散乱体中に
局在する光吸収体の濃度測定方法および装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光散乱体中に局在する光
吸収体の濃度測定方法および装置に関し、特に、生体内
部の情報を光を用いて測定するに好適な濃度測定方法お
よび装置に関する。
【0002】
【従来の技術】生体機能を、簡便かつ生体に害を与えず
に測定する装置が、臨床医療で望まれている。この要望
に対しては、光計測が非常に有効である。その第一の理
由は、生体機能を反映する生体内酸素分圧は、生体中の
特定色素の濃度に対応し、この色素濃度は光(可視から
近赤外領域の波長)吸収量から求められるからである。
この特定の色素としては、酸素分圧によって光吸収スペ
クトルが変化することが知られているヘモグロビン(血
液中に存在する),チトクロームaa3(細胞内に存在す
る)もしくはミオグロビン(筋肉中に存在する)などがあ
る。また、光計測が有効である第二,第三の理由として
は、光は光ファイバにより扱いが簡便であり、更に、安
全基準の範囲内での使用により生体に害を与えないこと
が挙げられる。このような光計測の利点を利用して、可
視から近赤外の波長の光を用いて生体機能を測定する装
置が、例えば、特開昭57-115232号公報,特開昭63-2753
23号公報もしくは特開平2-290534号公報等に開示されて
いる。更に、このような光による生体機能計測技術をよ
り効果的に医療診断に適用するために、生体機能を画像
化する光CT装置が、例えば、特開昭60-72542号公報も
しくは特開昭62-231625号公報等に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の例にも示される
ように、生体機能計測に光を用いることは非常に有望で
あるが、上記従来技術には、以下に述べる如き問題があ
る。この問題とは、ヘモグロビンなどの生体機能計測の
対象となる光吸収体は、生体中に局在して含まれている
ことに起因するものである。例えば、血液中に含まれる
ヘモグロビンは、胸部では主に心臓に局在しており、腹
部では主に肝臓に局在している。また、脳においても、
生体機能の異常に伴い、脳内の血液量が局所的に増減す
ることが知られている。このような光吸収体領域を含む
生体自体は光散乱体でもあり、光はこの散乱体中で複雑
に散乱されるため、散乱体つまり生体中に局在する吸収
体の濃度の定量化は非常に困難となる。この困難の理由
を、非散乱性の透明媒体中に局在する吸収体の濃度定量
化の場合と比較することで説明する。図1に示す如く、
透明媒体中に吸収体が局在する場合、入射光は吸収体領
域を1回だけ通過して透過する。このとき、透過光量は
吸収体の濃度にのみ依存するため、この吸収体の単位濃
度当りの光の減衰率を既知とすると、透過光量から吸収
体濃度を決定できる。一方、図2に示す如く、散乱体中
に吸収体領域が局在する場合、入射光は散乱体中におけ
る複雑な散乱のために同一吸収体領域を複数回通過して
透過することになる。この場合、透過光量は吸収体濃度
の他に吸収体領域の通過回数にも依存する。従って、吸
収体領域の通過回数が未知ならば、吸収体濃度の定量化
は非常に難しくなる。生体機能に関する酸素分圧は、前
述の如く、ヘモグロビン,チトクロームaa3などの 吸
収体濃度から導出されるため、この吸収体濃度が定量化
されなければ酸素分圧の定量化も必然的に困難となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的と
するところは、従来の技術における上述の如き問題を解
消し、散乱体中に局在する吸収体の濃度の定量化を実現
するための計測方法と装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、光
散乱体中に局在する光吸収体の濃度の測定方法であっ
て、内部に前記光吸収体を局所的に含む前記光散乱体に
光を照射し、該光散乱体を透過もしくは反射して検出さ
れた光の、当該光散乱体内で実質的に同一領域とみなせ
る光吸収体領域の通過回数の分布から前記光吸収体の濃
度を測定することを特徴とする光散乱体中に局在する光
吸収体の濃度測定方法、および、可視から近赤外の波長
の中から1つもしくは複数の波長のパルス光を放射する
光源部と、該光源部からの光を内部に光吸収体を局所的
に含む光散乱性の物体に照射する光導入部と、前記内部
に光吸収体を局所的に含む光散乱性の物体を透過もしく
は反射して検出された光量の時間依存性を計測する光検
出部と、該光検出部により検出された光検出時間から前
記内部に光吸収体を局所的に含む光散乱性の物体内の同
一光吸収体領域の通過回数の分布を計算して光吸収体の
濃度を算出する演算部と、該演算部による演算結果を表
示する表示部と、前記演算結果および光強度の時間依存
性の計測結果を記憶する記憶部および前記各部を制御す
る制御部とから構成されることを特徴とする光散乱体中
に局在する光吸収体の濃度測定装置によって達成され
る。
【0005】
【作用】前述の如く、散乱体中に局在する吸収体の濃度
の定量化を困難にしている原因は、吸収体領域の光通過
回数が未知であることから生ずる。そこで、本発明に係
る光散乱体中に局在する光吸収体の濃度測定方法および
装置においては、吸収体濃度を決定する際に、散乱体中
に局在し実質的に同一領域とみなせる吸収体領域の光通
過回数を利用することで、正確な吸収体濃度を計測す
る。すなわち、内部に吸収体を局所的に含む散乱性の物
体に光を照射して、その物体を透過して検出された光に
対する同一吸収体領域通過回数から正確な吸収体濃度を
計測する。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。まず、本発明に係る計測方法および装置
を、生体の散乱特性を模擬したファントムに適用した実
施例(実施例1)を示す。まず、実施例1の装置構成を、
図3に従って説明する。光源部1は、波長812nm,パ
ルス幅80ps,パルス繰返し周波数100MHzの光を発生
する。この光を、光ファイバ2により生体の散乱特性を
模擬したファントム3に照射する。このファントム3を
透過した光は、光ファイバ5を介して、光強度の時間依
存性を時間分解能10psで計測する時間分解光検出部6
で検出される。得られた透過光量時間依存性のデータ
は、演算部7で後に示す方法によりデータ処理され、そ
の結果は、ファントム3内に局所的に含まれる吸収体4
の濃度として表示部8で表示されるとともに、記憶部9
で記憶される。なお、各々の構成要素は、制御部10に
より制御される。
【0007】ここで用いるファントム3は、内径30m
m,長さ30mmの円筒容器中に散乱体を充たし、中心部
に吸収体4を局所的に配置したものである。この散乱体
の換算散乱係数((1−g)μs:ここで、gは散乱角平均
余弦,μsは散乱係数)は1.1(1/mm)であり、生体に
近い値である。また、吸収体4としては、外径29mm,
厚さ2.5mmの円形の色フィルターガラスを用いる。こ
の吸収体4の(光学)濃度を変化させるために、同一形状
で透過率の異なる3種類の色フィルターガラスを用意す
る。この3種類の吸収体の透過率は、それぞれ0.9
3,0.63,0.40であり、以下、これらの吸収体
を、それぞれ A93,A63,A40と表わすことに
する。散乱体中に局在する吸収体の濃度は、通常、ある
基準状態からの透過光量の変化で計測される。吸収体の
透過率すなわち吸光度が波長変化するヘモグロビン,チ
トクロームaa3などの場合は、多波長計測により ある
特定の波長に対する透過光量を基準として、他の波長に
よる透過光量の変化から吸収体濃度を求めることにな
る。
【0008】この多波長計測の詳細は、次に説明する実
施例で述べることとし、本実施例では、多波長計測と物
理的に同等な一波長測定系で、本発明の有用性を具体的
に示すことにする。この一波長測定系では、A93吸収
体を含むファントム3を基準状態とする。そして、A6
3およびA40吸収体を含むファントム3の透過光量か
ら、A93吸収体の光透過率を基準とした、A63,A
40吸収体の相対透過率(T)0.68,0.43をそれぞ
れ正確に導出することが、吸収体濃度の定量化に対応す
る。ここで述べている吸収体の相対透過率と濃度とは、
一対一に対応する量である。次に、吸収体濃度を定量化
する演算部7でのデータ処理フローの概略と詳細を示
す。まず、図4に基づいて、その概略を説明する。時間
分解光検出部6から、各吸収体をそれぞれ含むファント
ム3の光検出結果を演算部7へ入力する(ステップ31)。
次に、A93吸収体を含むファントム3の光検出結果を
基準として、他の吸収体を含むファントム3の透過光量
比を求める(ステップ32)。この透過光量比から吸収体の
相対透過率を、透過光の吸収体通過回数から計算する
(ステップ33)。
【0009】そして、計算された相対透過率を、あらか
じめ決められた検出時間領域で、例えば、加算平均など
の統計処理により、最終的に吸収体の相対透過率すなわ
ち濃度を決定する(ステップ34)。このようにして得られ
た結果は、表示部8および記憶部9に出力される(ステ
ップ35)。このデータ処理フローの個々の内容につい
て、更に詳細に説明する。時間分解光検出部6から演算
部7に入力される、各々の吸収体を含むファントム3の
透過光量の時間依存性を、図5に示す。図5の横軸は、
ファントム3への光入射時間を原点とした透過光検出時
間を、縦軸は任意の単位で表わした透過光量を示す。多
重散乱により、光が散乱体中を複雑に伝播するため、透
過光は入射光のパルス幅80psから時間的に大きく広が
って検出されている。また、ファントム3に含まれる吸
収体4の透過率の減少(すなわち吸収体濃度の増加)に従
う透過光量の減少が確認できる。このデータを用いて、
A93吸収体を含むファントム3の透過光量の検出時間
(t)依存性I(A93,t)を基準とする A63およびA
40吸収体を含むファントム3の各々の透過光量比I
(A63,t)/I(A93,t)およびI(A40,t)/I
(A93,t)が求められる。
【0010】次に、この透過光量比から、吸収体4の相
対透過率を、透過光の吸収体通過回数を利用して計算す
る。このために、透過光の吸収体通過回数は、例えば、
次に示す方法で、予め求めておく。このファントム3を
透過した光は、吸収体の1回通過光と3回通過光により
構成されるとし、5回以上吸収体を通過する光を無視す
る。ここで、吸収体の通過回数を1回と3回とに限定し
た理由は、このファントム3の構造では、吸収体を奇数
回通過した光のみが透過するからである。もし、このフ
ァントム3で反射光を検出する場合には、同様な理由
で、通過回数を0回と2回として扱うことができる。こ
こで、透過光量比I(A63,t)/I(A93,t)は、A
63吸収体の相対透過率Tと x(t)(時間tで検出され
た光に対して吸収体を1回だけ通過した光の比率)によ
り、下記の式(1)で示される。
【数1】
【0011】この式は、x(t)について、以下のように
書き換えられる。
【数2】 ここで、A93およびA63吸収体を含むファントム3
の透過光量の測定データI(A63,t)/I(A93,t)
と A63吸収体の相対透過率T=0.68とから、式
(2)に従って求めたx(t)を、図6に示す。ここでは、
x(t)は、時間の線形の結果が得られている。この結果
を最小自乗フィッテングして求めた、吸収体の1回通過
比率x(t)の実験式を、式(3)で表わすとともに、図6
において実線で示す。
【数3】 このフィッティングの相関係数の絶対値は0.92であ
り、このことは フィッティングの妥当性を示してい
る。この式(3)により、時間tでの検出光の吸収体通過
回数、すなわち、1回通過比率x(t)と3回通過比率
(1−x(t))が明らかとなった。
【0012】上述の吸収体通過回数を、以下の方法で、
吸収体濃度の定量化に具体的に利用する。これまでのデ
ータ処理により、各検出時間tごとに透過光量比とx
(t)とが既に数値として求められているため、式(1)
は、ファントム3に含まれる吸収体4の相対透過率Tに
関する三次方程式となる。その解は、方程式の係数の性
質から、一つの実根と二つの共役複素根をもち、その実
根は、次に示す式(4)で表わされることが、例えば、飯
田修一等編「新版物理定数表」(朝倉書店1978年発行)に記
載されている。
【数4】 この式(4)の計算により、検出時間ごとに吸収体の相対
透過率が求まる。もし、透過光に対する吸収体通過回数
が未知のままであり、この回数を、図1に示した透明媒
体中における場合と同様に1回と仮定したとする。この
場合、ファントム3に含まれる吸収体4の相対透過率の
定量化を試みるならば、透過光量比I(A63,t)/I
(A93,t)およびI(A40,t)/I(A93,t)の値
そのままを、A63およびA40吸収体の相対透過率と
して計算することになってしまう。
【0013】そこで、吸収体の光通過回数を考慮した本
実施例による相対透過率の計算結果と、光通過回数を考
慮しない上述の場合の計算結果を比較してみる。この比
較結果について、図7でA63吸収体を、図8でA40
吸収体の場合を示す。吸収体の光通過回数を考慮しない
場合(○印で示される)は、検出時間の増加とともに、A
63,A40吸収体いずれも、それぞれの正確な相対透
過率の値0.68,0.43から計算結果は大きく異なっ
てくる。一方、吸収体の通過回数を考慮すること(△印
で示される)により、検出時間の幅広い領域で、良好な
結果が両吸収体で得られていることがわかる。次に、図
7,図8に示される如き、本実施例により得られた相対
透過率を、ある特定の時間領域内で統計的に処理し、最
終的に吸収体の相対透過率すなわち濃度として決定す
る。この結果は、表示部8および記憶部9へ出力され
る。このように時間領域を限定することで、吸収体が小
さい場合でもその検出に際して空間分解能を向上させる
ことが可能となる。このような方法は、例えば、特開平
02-290534号公報において、時間ゲート法として開示さ
れている。
【0014】以上、詳細に説明したように、本実施例に
よれば、吸収体の相対透過率すなわち濃度の定量化に対
する本発明の有効性が確認できた。このことから、本発
明による計測方法および装置が、散乱体中に局在する吸
収体濃度の定量化に広く利用可能であることが示され
る。次に、本発明の他の実施例(実施例2)を示す。実施
例2では、本発明に係る計測方法および装置を、生体の
ように外部形状や内部構造が複雑な被検体へ適用した例
を示す。まず、この装置構成を、図9に基づいて説明す
る。光源部1は、可視から近赤外領域の複数波長により
構成され、数十ピコ秒のパルス幅で光を発生する。この
光源部1からのある波長の光を、光ファイバ2により被
検体11に照射する。この被検体11を透過した光を、
光ファイバ5を用いて時間分解光検出部6で検出する。
この一連の計測が終了すれば、制御部10により光源部
1から放射する光の波長を変化させて、同様な計測を繰
り返す。あらかじめ決められている所定の波長数で上記
の計測が終了した後、各波長での透過光は演算部7で処
理され、被検体11中における生体機能を示す酸素分圧
として表示部8で表示されるとともに記憶部9で記憶さ
れる。
【0015】次に、各波長での被検体11の透過光量か
ら、被検体内の酸素分圧を定量化する演算部7のデータ
処理フローを、図10で説明する。ステップ41では、時
間分解光検出部6から各波長での光検出結果を演算部7
に入力する。次に、ステップ42で、ある波長での光検出
結果を基準として、他波長における透過光量比を求め
る。この透過光量比から、ステップ43で、被検体11中
における実用的に同一とみなせる吸収体領域の光通過回
数から吸収体の濃度を計算する。ここで、吸収体領域の
光通過回数は、被検体11の外部形状および入射・検出
間距離などの条件で異なるため、これらの条件を外部か
らあらかじめ演算部7に入力しておき(ステップ46)、こ
の条件に最も適した吸収体領域の光通過回数を用いて
(ステップ47)、吸収体濃度を計算する。このために、被
検体11の外部形状および入射・検出間距離の多様な個
々の条件に対して、吸収体領域の光通過回数をデータベ
ースとして、演算部7に内蔵しておく。このデータベー
スの作成には、例えば、実施例1で具体的に示した手法
によるモデル実験、もしくは、モンテカルロ法によるシ
ミュレーションなどの手法を用いる。
【0016】ステップ44では、上記処理で求められた吸
収体濃度を、ある特定の時間領域内で統計処理し、最終
的に吸収体濃度を決定する。次に、この吸収体濃度を酸
素分圧値に変換する。この変換は、例えば、次に示す方
法で行う。吸収体として酸素化ヘモグロビンと脱酸素化
ヘモグロビンの濃度を定量化したとすれば、酸素分圧と
これら吸収体濃度とは、例えば、山林一等編「血液ガス
−わかりやすい基礎知識と臨床応用−第2版」(医学書
院,1985年発行)に記載されている対応方法により関係付
けられていることを利用する。このようにして得られた
結果は、ステップ45で、表示部8および記憶部9に出力
される。本実施例によれば、実際の被検体に対する吸収
体の相対透過率すなわち濃度の定量化に対する本発明の
有効性が確認できた。次に、本発明の他の実施例(実施
例3)を示す。実施例3では、本発明に係る計測方法お
よび装置の応用例を示す。まず、この装置構成を、図1
1に基づいて説明する。
【0017】光源部1は、可視から近赤外領域中の複数
の波長から構成され、数十ピコ秒のパルス幅で光を放射
する。この光源部1からのある波長の光を、光ファイバ
2により、多入力・多出力光スイッチ21に導入し、被
検体11の周囲の複数部位に接触している、光ファイバ
22−1〜22−nの中の任意の1つの光ファイバに接
続する。光ファイバ2と接続している光ファイバを、こ
こでは、仮に光ファイバ22−1とする。この光ファイ
バ22−1によって、被検体11に光が照射される。被
検体11を透過した光は、光ファイバ22−2〜22−
nでそれぞれ捉えられ、再び、光スイッチ21に導入さ
れる。更に、これらの光ファイバ22−2〜22−n
は、多入力・多出力光スイッチ21の内部で、光ファイ
バ23−1〜23−mに、それぞれ、1対1に接続され
る。これらの光ファイバ23−1〜23−mの他の一端
は、マルチチャンネル時間分解光検出部24に導入さ
れ、それぞれの光ファイバ23−1〜23−mについ
て、独立に透過光量が計測される。これらの光検出量
は、透過光量記憶部25で記憶される。
【0018】この一連の計測が一つの波長で終了すれ
ば、制御部10により光源部1を制御して、測定波長を
変化させる。同様な計測を、所定のすべての波長で終了
することにより、光ファイバ22−1に相当する光入射
位置に対する複数検出位置における投影像を求めるため
のデータが取得されたことになる。次に、制御部10に
より、多入力・多出力光スイッチ21を制御して、光源
部1から多入力・多出力光スイッチ21に導入している
光ファイバ2を、例えば、光ファイバ22−2に接続変
更して、前回とは異なった位置から被検体11へ光を照
射する。このとき、被検体11を通過した光は、光ファ
イバ22−1および光ファイバ22−3〜22−nで捉
え、それぞれ、制御部10で制御された多入力・多出力
光スイッチ21により、光ファイバ23−1〜23−m
に1対1に接続される。このようにして、順次、被検体
11への光照射位置を変化させて投影像測定を繰り返
す。
【0019】所定の測定をすべて終了すると、透過光量
記憶部25のデータは、演算部7で吸収体濃度分布画像
として処理され、その結果は、表示部8で表示されると
同時に、画像記憶部26で記憶される。次に、各波長,
各測定位置での透過光量から、吸収体濃度を定量化し画
像化する演算部7でのデータ処理フローを、図12によ
り説明する。まず、光ファイバ22−1に相当する光入
射位置に対する複数検出位置における吸収体濃度投影像
を求める(ステップ51)。この光入射位置に対する複数検
出位置における各波長の光検出結果を、透過光量記憶部
25から演算部7に入力する(ステップ52)。次に、ある
波長での光検出結果を基準として、他波長での透過光量
比を各々の検出位置に対して求める(ステップ53)。これ
らの透過光量比に対して、それぞれの光入射・検出位置
を結ぶ被検体11内部の直線上に存在する吸収体領域の
光通過回数から、この光吸収体の濃度を計算する(ステ
ップ54)。
【0020】ここで、吸収体領域の光通過回数は、被検
体11の外部形状および入射・検出間距離などの条件で
異なるため、これらの条件を外部から、予め演算部7に
入力しておき(ステップ60)、この条件に最も適した吸収
体領域の光通過回数を用いて(ステップ61)、吸収体濃度
を計算する。このために、被検体11の外部形状および
入射・検出間距離の多様な個々の条件に対して、吸収体
領域の光通過回数をデータベースとして演算部7に内蔵
しておく。このデータベースの作成には、例えば、先に
実施例2で示した方法を用いる。以上、計算された吸収
体濃度を、ある特定の時間領域内で統計処理し、最終的
にそれぞれの検出位置に対する吸収体濃度を決定し(ス
テップ55)、これをこの光入射位置における投影像とす
る(ステップ56)。一つの光入射位置における投影像が求
まれば、次に、異なった光入射位置に対する複数検出位
置における吸収体濃度投影像を、同様にして求める。画
像化のために必要な所定数の投影像が求められたら(ス
テップ52〜58)、次に、これらの投影像から吸収体の画
像化処理を行う。この画像再構成処理については、例え
ば、G.T.Hermanによる著書”Image Reconstructio
n From Projections”(米国Academic Press社1980
年発行)に記載されている方法で行う。
【0021】このようにして得られた吸収体濃度画像
は、表示部8および画像記憶部26に出力される(ステ
ップ59)。本実施例によれば、実際の被検体に対する吸
収体の相対透過率すなわち濃度の定量化に対する本発明
の有効性が確認でき、合せて、吸収体濃度の定量結果を
画像化できるので、視認性が向上するという効果が得ら
れた。なお、上記実施例は本発明の一例を示したもので
あり、本発明はこれに限定されるべきものではないこと
は言うまでもないことである。
【0022】
【発明の効果】以上、詳細に説明した如く、本発明によ
れば、散乱体中に局在する吸収体の濃度の定量化を実現
するための計測方法と装置を実現できるという顕著な効
果を奏するものである。より具体的には、光を用いて生
体機能を計測する装置において、生体機能の定量化に重
要な生体内に含まれる光吸収体の濃度の正確な計測が可
能となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明媒体中に局在する吸収体の濃度測定原理を
示す図である。
【図2】散乱体中に局在する吸収体の濃度測定の問題点
を説明する図である。
【図3】本発明の第一の実施例に係る計測装置の構成図
である。
【図4】第一の実施例における演算部でのデータ処理フ
ローチャートである。
【図5】ファントム試料透過光量の時間依存性を示す図
である。
【図6】透過光に対する光吸収体領域1回通過比率を示
す図である。
【図7】A63吸収体の相対透過率の計算結果を示す図
である。
【図8】A40吸収体の相対透過率の計算結果を示す図
である。
【図9】本発明の第二の実施例に係る計測装置の構成図
である。
【図10】第二の実施例における演算部でのデータ処理
フローチャートである。
【図11】本発明の第三の実施例に係る計測装置の構成
図である。
【図12】第三の実施例における演算部でのデータ処理
フローチャートである。
【符号の説明】
1:光源部、2,5:光ファイバ、3:ファントム、
4:吸収体、6:時間分解光検出部、7:演算部、8:
表示部、9:記憶部、10:制御部、11:被検体、2
1:多入力・多出力光スイッチ、22−1〜22−n,
23−1〜23−m:光ファイバ、24:マルチチャン
ネル時間分解光検出部、25:透過光量記憶部、26:
画像記憶部。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光散乱体中に局在する光吸収体の濃度の
    測定方法であって、内部に前記光吸収体を局所的に含む
    前記光散乱体に光を照射し、該光散乱体を透過もしくは
    反射して検出された光の、当該光散乱体内で実質的に同
    一領域とみなせる光吸収体領域の通過回数の分布から前
    記光吸収体の濃度を測定することを特徴とする光散乱体
    中に局在する光吸収体の濃度測定方法。
  2. 【請求項2】 前記光散乱体にパルス光を照射して、該
    光散乱体からの検出光を時間分解計測し、各時間におけ
    る検出光の前記光散乱体内の同一吸収体領域の通過回数
    の分布から、光吸収体の濃度を測定することを特徴とす
    る請求項1記載の光散乱体中に局在する光吸収体の濃度
    測定方法。
  3. 【請求項3】 前記光散乱体を透過した光に対し該光散
    乱体内の同一光吸収体領域を通過した回数を1回および
    3回とし、検出光量に対するそれらの比率をモデル実験
    もしくはモデル計算から決定し、この比率を用いて光吸
    収体の濃度を測定することを特徴とする請求項2記載の
    光散乱体中に局在する光吸収体の濃度測定方法。
  4. 【請求項4】 前記光散乱体から反射した光に対し該光
    散乱体内の同一光吸収体領域を通過した回数を0回およ
    び2回とし、検出光量に対するそれらの比率をモデル実
    験もしくはモデル計算から決定し、この比率を用いて光
    吸収体の濃度を測定することを特徴とする請求項2記載
    の光散乱体中に局在する光吸収体の濃度測定方法。
  5. 【請求項5】 可視から近赤外の波長の中から1つもし
    くは複数の波長のパルス光を放射する光源部と、該光源
    部からの光を内部に光吸収体を局所的に含む光散乱性の
    物体に照射する光導入部と、前記内部に光吸収体を局所
    的に含む光散乱性の物体を透過もしくは反射して検出さ
    れた光量の時間依存性を計測する光検出部と、該光検出
    部により検出された光検出時間から前記内部に光吸収体
    を局所的に含む光散乱性の物体内の同一光吸収体領域の
    通過回数の分布を計算して光吸収体の濃度を算出する演
    算部と、該演算部による演算結果を表示する表示部と、
    前記演算結果および光強度の時間依存性の計測結果を記
    憶する記憶部および前記各部を制御する制御部とから構
    成されることを特徴とする光散乱体中に局在する光吸収
    体の濃度測定装置。
  6. 【請求項6】 前記各手段に加えて、前記内部に光吸収
    体を局所的に含む光散乱性の物体への光照射位置および
    該物体からの光検出位置を順次変化させる手段と、該手
    段により変化させたそれぞれの光入射・検出位置での計
    測データに基づいて、前記内部に光吸収体を局所的に含
    む光散乱性の物体内の光吸収体領域の分布画像を再構成
    する手段とを有することを特徴とする請求項5記載の光
    散乱体中に局在する光吸収体の濃度測定装置。
  7. 【請求項7】 前記内部に光吸収体を局所的に含む光散
    乱性の物体への光照射位置および該物体からの光検出位
    置を順次変化させる手段が、光ファイバによる多入力・
    多出力光スイッチであることを特徴とする請求項6記載
    の光散乱体中に局在する光吸収体の濃度測定装置。
JP5141883A 1993-06-14 1993-06-14 光散乱体中に局在する光吸収体の濃度測定方法および装置 Pending JPH075105A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016515855A (ja) * 2013-03-12 2016-06-02 ローレンス リヴァーモア ナショナル セキュリティ,エルエルシー 時間分解光散乱分光法を使用する組織又は損傷深度の評価

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JP2016515855A (ja) * 2013-03-12 2016-06-02 ローレンス リヴァーモア ナショナル セキュリティ,エルエルシー 時間分解光散乱分光法を使用する組織又は損傷深度の評価

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