JPH0750584B2 - ガス遮断器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の目的］ （産業上の利用分野） 本発明は、絶縁ガスをアークに吹付けて消弧するパッフ
ァ形ガス遮断器に関するものであって、特に、パッファ
シリンダ及びパッファピストンの配置と、可動接触部に
おける通電接触子の構造に改良を施したガス遮断器に係
るものである。

（従来の技術） 近年、ガス遮断器の形状はより小型で遮断点数がより少
ないものになりつつあるが、大都市では地下に変電所を
設けることが多くなってきているため、ガス遮断器に対
する信頼性向上がいっそう強く求められるとともに、遮
断器のより小型化が要求されている。

第３図は、従来のパッファ形ガス遮断器の消弧室の一例
を示す断面図である。極間絶縁筒１内には主遮断部が収
納され、この主遮断部は固定側接触部２と可動側接触部
３から構成されている。固定側接触部２には、中心部に
固定電極４が設けられ、この固定電極４の基端は、端子
５を介して外部機器と連結されている。一方、可動側接
触部３は、図示しない駆動機構部に絶縁ロッド６および
排気口７を有する操作ロッド８を介して連結されたパッ
ファシリンダ９と、その内側に固定されるパッファピス
トン10とを有し、これらシリンダ９とピストン10よりパ
ッファ室11が形成されている。

前記パッファシリンダ９の先端中央には、固定電極４に
接触する可動電極12と、この可動電極12を取囲むように
絶縁ノズル13が設けられている。パッファシリンダ９の
外周にはフィンガー形状の通電接触子14が配設され、パ
ッファシリンダ９と導体接続部15との電気的接触が図ら
れている。この導体接続部15の一端は、主遮断部を収納
している前記極間絶縁筒１の外周に設けられた取付部16
にボルト17で締結され、他端は導体接続部15を機械的に
支持する支持絶縁筒18に接続されている。

また、前記パッファピストン10の軸方向両端の内周に
は、操作ロッド８の軸受部19が取付けられている。そし
て、前記極間絶縁筒１、導体接続部15、支持絶縁筒18等
は、図示していないSF₆ガス等の絶縁ガスを密封した金
属性接地タンク内に電気的に絶縁しつつ、機械的に保持
されている。

このような構成を有する遮断器に、遮断指令が与えらえ
ると、図示していない駆動機構部が作動して、前記操作
ロッド８が右方向へ駆動され、操作ロッド８に連結され
た可動電極12と固定電極４とが開離されアークが発生す
る。一方、操作ロッド８が右方向へ駆動される結果、操
作ロッド８へ装着された前記パッファシリンダ９も右方
向へ駆動され、パッファ室11内の消弧性ガスが圧縮さ
れ、パッファシリンダのガス流出口よりガスが吹付けら
れ、固定と可動の両電極4,12間に発生したアークが消弧
される。

（発明が解決しようとする問題点） ところで、上記のようなガス遮断器では、パッファピス
トン10の軸方向両端に操作ロッド８の軸受部19が設けら
れているため、操作ロッド８の排気口７を軸受部19の外
側に形成してガスの排気が行なわれていたので、操作ロ
ッド８を長手方向に長くしなければならなかった。

また、パッファシリンダ９の外周に設けられた通電接触
子14がフィンガー形状のため、パッファシリンダ９を収
納している極間絶縁筒１を通電接触子14の外側まで延長
しなければならないので、極間絶縁筒１も長く形成さ
れ、これに伴って遮断器全体が大きくなっていた。

更に、極間絶縁筒１が長くなると、この極間絶縁筒１の
強度を保持するため、極間絶縁筒１の厚さを厚くするこ
とになり、極間絶縁筒１の支持物に負担がかかるばかり
でなく、取扱いも困難であった。

また、導体接続部15と極間絶縁筒１との接続部分をボル
ト締結により接続しているため、ボルト等の部品点数が
多くなり、接続作業および部品管理に多大な労力を要し
た。

本発明は、上記のような従来のガス遮断器の問題点を解
消するために提案されたもので、その目的は、構成が簡
単で部品点数が少なく、小型で信頼性が高いガス遮断器
を提供することである。

［発明の構成］ （問題点を解決するための手段） 本発明のガス遮断器は、可動側接触部と固定側接触部の
間に、固定側接触部から可動側接触部の可動電極付近ま
で達する長さの極間絶縁筒を形成し、この極間絶縁筒の
可動電極側端部に取付部を装着し、この取付部内にパッ
ファピストン及びパッファシリンダを配設すると共に、
取付部外周に遮断器外部と接続する導体部とを一体形成
し、さらに、取付部の内周壁には溝を設け、この溝にマ
ルチプルコンタクト等の通電接触子を挿入し、この溝の
両側にリング嵌合孔を形成し、この嵌合孔にテフロン等
の有機物で成る軸受部を嵌め込んだものである。

（作用） 本発明のガス遮断器においては、従来極間絶縁筒内部に
配設されていたパッファピストンとおよびパッファシリ
ンダを極間絶縁筒外の取付部内に配設すると共に、通電
接触子を極間絶縁筒の取付部の内周壁に設けたので、極
間絶縁筒の短縮が可能となり、それい伴い操作ロッドを
短縮して遮断器の小型化を図ることができる。

（実施例） 進んで本発明のガス遮断器の一実施例を第１図および第
２図を用いて説明する。

なお、従来の技術と同一部分については同一符号を付し
て説明を省略する。

＊実施例の構成＊ 第１図は本発明によるパッファ形ガス遮断器の消弧室を
示す断面図であり、第２図は極間絶縁筒取付金具部の詳
細図である。

第１図において、主遮断部を構成する可動電極12と固定
電極４との間に極間絶縁筒21が設けられ、この極間絶縁
筒21の一端は固定電極４の基端部に支持され、他端はピ
ストン10の端面外側付近に配設されている。

この極間絶縁筒21の可動電極12側端部には、極間絶縁筒
21の取付部22が装着され、この取付部22内にパッファピ
ストン10およびパッファシリンダ９が配設されている。
また、取付部22の外周の一部には、外部と電気的に接続
する導体部23が装着され、先端には極間絶縁筒21に嵌め
込むための係止部24が形成されており、これら導体部23
および係止部24は取付部22に一体形成されている。

更に、第２図に示すように取付部22の先端部内周壁、す
なわち、係止部24と導体部23との間の内壁には、通電接
触子25を挿入するための溝26が形成されている。この溝
26には、中央部に溝方向のリング状バネ突起が形成され
た通電接触子25（例えばマルチプルコンタクト等）が挿
入されている。更に、この溝26の両端にはリング嵌合孔
27,28が設けられ、この嵌合孔27,28には、パッファシリ
ンダ９の外周に配設されたテフロン加工等の有機加工を
施したリング29,30が嵌め込まれている。このリング29,
30がパッファシリンダ９およびこれに連結された操作ロ
ッド８を含む可動部全体の軸受部となると同時にごみよ
けを兼ね、極間絶縁筒21内へ埃およびパッファシリンダ
９の摩擦埃等が入るのを防止している。

＊実施例の作用＊ このように構成された本実施例のガス遮断器では、極間
絶縁筒21の取付部22の内周壁に通電接触子が設けられ、
この通電接触子25の両端にテフロン等の加工有機物リン
グ29,30が嵌め込まれていることにより、このリング29,
30が軸受けおよびごみよけとなるばかりでなく、通電接
触子25の過度の接触が避けられ、通電接触子25の撓み過
ぎを防止をすることができる。

また、軸受けがパッファシリンダ９の外周でなされるた
め、操作ロッド８に軸受けを設けなくて済む。故に、操
作ロッド８の排気口７を可動電極12側に近付けて形成す
ることができるので、操作ロッド８の長さを短縮するこ
とができると共に、主遮断部と排気口７の距離が短くな
るため、ガス流通が容易となり、遮断状態が向上する。

更に、従来の通電接触子14は、フィンガー状でパッファ
シリンダ９の外周に設けられていたが、本実施例では、
中央部にリング状バネ突起を形成した通電接触子25を極
間絶縁筒21の取付部22の内周壁に設けたことにより、極
間絶縁筒21を可動電極12付近まで短縮できる。その結
果、極間絶縁筒21の強度は従来より増すので、極間絶縁
筒21の厚さを従来のものより薄くすることが可能であ
り、部材量の軽減が図れる。

また、取付部22の係止部を一体形成したことにより、部
品点数を減らすことができ、部品取付および部品管理等
の労力を省力化することができる。その上、前記のよう
に極間絶縁筒21および操作ロッド８が短縮できることに
より、遮断器の長手方向が小型化できる。

＊他の実施例＊ 本実施例においては、通電接触子の形状を板状でその中
央部に溝方向にリング状バネ突起を有するものとした
が、通電接触子の形状は本実施例に限定されるものでは
なく、通電の機能を達せられるものであればよい。

［発明の効果］ 以上の通り本発明によれば、パッファシリンダおよびパ
ッファピストンを極間絶縁筒の取付部内側に配設したの
で、極間絶縁筒および操作ロッドが短縮でき、更に取付
部に絶縁筒の係止部を一体形成したことにより部品点数
が削減でき、小型で信頼を有し、遮断性能の向上が図
れ、経済的なガス遮断器の提供が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のガス遮断器の一実施例を示す断面図、
第２図は第１図の極間絶縁筒の取付部を示す一部拡大断
面図、第３図は従来のガス遮断器を示す断面図である。 １……極間絶縁筒、２……固定側接触部、３……可動側
接触部、４……固定電極、５……端子、６……絶縁ロッ
ド、７……排気口、８……操作ロッド、９……パッファ
シリンダ、10……パッファピストン、11……パッファ
室、12……可動電極、13……絶縁ノズル、14……通電極
接触子、15……導体接続部、16……取付部、17……ボル
ト、18……絶縁筒、19……軸受部、21……極間絶縁筒、
22……取付部、23……導体部、24……係止部、25……通
電接触子、26……溝、27,28……リング嵌合孔、29,30…
…リング。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】消弧性ガスを充填した金属容器内に、固定
   側接触部および可動側接触部を配設し、可動側接触部の
   遮断動作に伴ってパッファピストンとパッファシリンダ
   で形成されるパッファ室内のガスを圧縮し、このガスを
   固定側接触部の固定電極と可動側接触部の可動電極との
   間に生じたアークに吹付けることにより、アークを消弧
   するようにしたガス遮断器において、 可動側接触部のパッファピストンと固定側接触部との間
   に、極間絶縁筒を設け、この極間絶縁筒の可動電極側端
   部に取付部を装着し、この取付部内にパッファピストン
   及びパッファシリンダを配設すると共に、取付部外周に
   遮断器外部と接続する導体部を一体形成し、さらに、取
   付部の内周壁には溝を設け、この溝に通電接触子を挿入
   し、この溝の両側にリング嵌合孔を形成し、この嵌合孔
   に有機物で成る軸受部を嵌め込んだことを特徴とするガ
   ス遮断器。