JPH0750316B2 - フィルムカセット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は写真機におけるフィルムロールを収納したフィ
ルムカセットに関する。

［従来の技術］ 例えば米国のイーストマンコダック社（Eastman Kodak
co.）や富士フィルム株式会社で製造されている従来の3
5mmフィルムのフィルムカセットにおいては、フィルム
ストリップは円筒状シェル内に回転支持されたフランジ
付きスプールに巻かれている。フィルム先端部分は約2.
33インチ（約59.2mm）の長さを有していて一般に「フィ
ルム先導部分」と呼ばれ、カセットシェルの遮光スリッ
トから突出している。スプールの一端はシェルから突出
した短い軸方向延長部を有していて、手でスプールを回
転させることができる。スプールを巻出し方向に回転さ
せたときには、フィルムストリツプの内端をスプールに
取り付けてあるので、シェルの内部のフィルムロールは
半径方向に膨張するが、スリットから突出した曇りのあ
るフィルム先導部分は静止したままである。フィルムロ
ールの最外側巻回部分とシエルの湾曲内壁とが係合して
フィルムが滑らなくなるまで、フィルムロールは半径方
向へ膨張する。この非滑り係合のため、フィルムロール
とシエルとの間に結合効果が生じ、巻出し方向へのスプ
ールの更なる回転を阻止する。巻出し方向へスプールを
回転させてもフィルムストリップをシェルから押し出す
ことができず、典型的な35mmカメラにおいては、突出し
たフィルム先導部分に係合してフィルムストリップをシ
ェルから引き出す手段を設ける必要がある。

上述の従来のフィルムカセットとは異なり、フイルムス
プールを巻出し方向に回転させることによりフィルムス
トリップをカセットシェルから自動的に押し出すように
作動できる35mmフィルムカセットが提案されている。こ
のフィルムカセツトにおいては、フィルム先導部分はカ
セットシエルから突出していない。特に、米国特許第4,
423,943号明細書に開示されたフィルムカセットにおい
ては、フィルムスプールに巻かれたフィルムロールの最
外側巻回部分を、スプールに設けた２つの軸方向に離間
したフランジの円周方向リップ部（唇部）によって拘束
することにより、最外側巻回部分がカセットシェルの湾
曲内壁に接触するのを阻止している。フィルムストリツ
プの後端はフィルムスプールに固定され、フィルムスト
リップの前端はその一方の長手方向縁部が僅かに傾斜し
ていて先細りとなっており、円周方向リップ部間から自
由に延出でき、シールの壁に当接できる。巻出し方向へ
のフィルムスプールの初期の回転期間中に、フィルムス
トリップの前端はシエルの壁に沿って前進し、カセット
シェル内のフイルム通路への入口に到達する。次いで、
フイルムストリップの前端は通路を通ってカセットシェ
ルの外部へ出る。通路の幅はフィルムストリツプの幅よ
り若干狭くなっていて、フィルムスプールから巻出され
たフィルムストリップを長手方向に沿って横断方向に湾
曲させ、フランジの円周方向リップ部の下方でのフィル
ムの長手方向両縁部の運動を容易にする。

［発明が解決しようとする課題］ しかし、円周方向リップ部の下方でのフィルムの長手方
向両縁部の運動を容易にするためフィルムストリップを
横断方向に湾曲させ過ぎると、フイルムストリップとカ
セットシェルとの間の摩擦が増大して、シェルからのフ
ィルムストリップの前進運動を阻害し、フィルムストリ
ップを損傷させてしまう。また、フィルムストリップの
前端部分が（この前端部におけるフィルム駆動孔の数か
ら判断して）約1.125インチ（約28.6mm）ないし1.25イ
ンチ（約31.8mm）の長さを有することにより、別の問題
点が生じる。すなわち、高温、高湿環境下では、スプー
ルのまわりに巻かれたフィルムストリップはその外側へ
膨張しようとする弾性力が弱まり、内側へカールしよう
とする傾向が強まる。その結果、フィルム前端部は、そ
の長さが長いため、シェルの壁から離れるようにカール
し、フィルムスプールを巻出し方向に回転させたときに
フィルム前端がフィルム通路へ進入し難くなってしま
う。

［課題を解決するための手段並に作用効果］ 本発明によれば、（イ）カセットシェル内でフイルム巻
出し方向及びフィルム巻取り方向に回転可能なフィルム
スプールと、（ロ）フィルムスプールのまわりにコイル
状に巻かれ、最外側の巻回部分をフィルム先導部分とす
るフィルムロールと、（ハ）カセットシェルの内壁に対
するフィルム先導部分の接触を実質上阻止すべくフィル
ム先導部分を半径方向において拘束するためフィルムス
プール上にこれと同軸に配置された一対のフランジと、
（ニ）フィルムスプールのフィルム巻出し方向への回転
に応答して、フランジからフィルム先導部分を離脱させ
フィルム通路を通してカセットシェルの外部へフィルム
先導部分を案内するため、フィルム先導部分の前端とこ
のフィルム先導部分に続くフィルムロールの次の巻回部
分との間に位置するフィルム剥取りガイドとを備えたフ
ィルムカセットが提供され、その特徴とするところは、
カセットシェル及びフィルム先導部分が、フィルム剥取
りガイドと上記次の巻回部分との間へフィルム先導部分
が来るのを阻止するように、フィルム巻取り方向へのフ
ィルムスプールの回転に応答してフィルム先導部分をそ
の前端近傍で固定するための相互係合手段を有すること
である。

上記構成のため、フィルム先導部分がフィルム剥取りガ
イドの作用を受けないほどに内側にカールすることはで
きない。

好ましい実施例においては、相互係合手段は、フィルム
先導部分に設けたスロット（孔）と、カセットシェルの
内壁に設けた係合部分とを有する。係合部材は、フィル
ム巻取り方向へのフィルムスプールの回転に応答してフ
ィルム先導部分に係合すべくスロットに進入しかつフィ
ルム巻出し方向へのフィルムスプールの回転に応答して
フィルム先導部分から離脱すべくスロットから出るよう
になっている。

［実施例］ 以下、35mmフィルムカセットとして具体化したものにつ
き本発明を説明する。この種のフィルムカセットの一般
構造は既知なので、本発明を構成し本発明に直接関連す
る部品について特に説明することにする。しかし、特に
図示説明しない素子については、当業者が適宜修正、変
形できることは言うまでもない。

添付図面を参照すると、第１図及び第２図には、遮光カ
セットシェル３と、このカセットシェル内で軸線Ｘのま
わりをフィルム巻出し方向Ｕ及びフイルム巻取り方向Ｒ
に回転できるフィルムスプール５とを有する改良した35
mmフィルムカセット１を示す。カセットシェル３は溝付
き縁11と段付き縁13とにより組合わされた２つのシェル
半部分７、９を有する。組合わせたシェル半部分７、９
は、スプールコア23の比較的短い延長端部19及び反対側
の比較的長い延長端部21をそれぞれ収容するための上方
及び下方の整合した円形開口15、17を画定し、また、カ
セットシェル３の外部へのフィルム通路25をも画定す
る。スプールコア23の短い延長端部19及び長い延長端部
21はそれぞれ環状の溝27を有し、これらの溝は収容開口
15、17の対応する縁部29と係合して、軸線Ｘのまわりで
フィルム巻出し方向Ｕ及びフィルム巻取り方向Ｒへ回転
できる状態でフィルムスプール５を支持する。既知の黒
色のビロードまたはフラシ天材料31をフイルム通路25の
内側に貼り、周囲の光がフィルム通路の内部へ侵入する
のを阻止する。

35mmフィルムストリップのフィルムロール33はスプール
コア23のまわりに巻かれ、重複する巻回部分を形成す
る。第３図を参照すると、フイルムロール33は前端部37
を有するフィルム先導部分となる最外側巻回部分35を含
み、この最外側巻回部分のすぐ内側の次の巻回部分39を
も含む。フィルムロール33の最内側巻回部分（図示せ
ず）の後端はスプールコア23に固定してある。

第１、２、５図に示すように、同形で極めて薄い一対の
上方及び下方の可撓性フィルム拘束フランジ41、43がス
プールコア23に沿って同軸的に位置している。２つのフ
ランジ41、43は、一体のディスク45、47と、ディスクか
ら円周方向に延びた一体の環状リップ部49、51とをそれ
ぞれ有する。２つのディスク45、47は、フィルムロール
の各巻回部分の対応する長手方向両縁53、55により画定
されたフィルムロール33の平坦な両側部を覆う。更に、
ディスクは、フランジ41、43に関するスプールコアの回
転を許容する状態でスプールコア23を軸方向に延在させ
る中央貫通孔（図示せず）を有する（第５図参照）。環
状リップ部49、51はフィルムロール33の最外側巻回部分
（フィルム先導部分）35の両縁部53、55に係合して巻回
部分の半径方向運動を規制し、最外側巻回部分が半径方
向に膨張即ち弾性変形してカセットシェル３の湾曲内壁
57に実質的に接触するのを阻止する。前端37の近傍で最
外側巻回部分（フィルム先導部分）35の長手方向縁部55
にリップ部収容切欠き59を設け、環状リップ部51の周辺
部分51′を収容する。このため、前端37と切欠き59との
間の（最外側巻回部分即ちフィルム先導部分35の）比較
的短い縁部61が半径方向外方で環状リップ部51と係合
し、フィルムロール33の次の巻回部分39から半径方向に
距離Ｄだけ隔てて前端37を維持することができる（第
３、６図参照）。前端37は最外側巻回部分35の長手方向
縁部53から他方の長手方向縁部55へ向かつて傾斜してい
て、巻回方向の最前方タブ即ちチツプ部65を形成し、こ
のチップ部は、縁部分61と同様に、環状リップ部51と半
径方向外方で係合する（第５図参照）。カセット半部分
７に形成したフィルム剥取りガイド67はフィルム通路25
のすぐ内側に位置していて、最外側巻回部分（フィルム
先導部分）35の前端37と次の巻回部分39との間に進入
し、巻出し方向Ｕへのフイルムスプール５の回転に応答
して前端37を摘出しフィルム通路内へ案内する。前端37
は、フイルム剥取りガイド67上で前進し、この前端37が
次の巻回部分39から距離Ｄだけ離れているので、フィル
ム剥取りガイドと次の巻回部分との間ではなく、フィル
ム通路25内へ案内される。従って、第３図に示すよう
に、前端37は、次の巻回部分39から離れているから、フ
ィルム剥取りガイド67の（作用）範囲内に位置する。

最外側巻回部分（フィルム先導部分）35の前端37が巻出
し方向Ｕへのフィルムスプール５の回転に応答してフィ
ルム剥取りガイド67上で前進したとき、最外側巻回部分
の長手方向縁部53、55は、第８図に示すように、互いに
軸方向に離れた２つのフランジ41、43を緩やかに撓ませ
始め、切欠き59がリップ部の周辺部分51′から離脱し、
次いでフィルムが順次フランジ間からカセットシェル３
の外部へ送り出されるようにする。長手方向縁部53、55
間のフィルムの幅WFが環状リツプ部49、51間の軸方向間
隔ASより僅かに小さいので、フランジ41、43の局部的な
撓みが生じる。更に、フィルムロール33の連続する巻回
部分は局部的に撓むべきフランジ41、43の抵抗よりも大
きな横断方向の湾曲に対する抵抗を有する。一対の平坦
な弓状の軸受部材69がカセットシェル３の内壁57から突
出していて、フランジ41、43が互いに離れるように軸方
向に撓んだときに２つのディスク45、47の環状部分に平
らに係合し、フランジの撓んだ部分を元の撓んでいない
状態に戻す。

最外側巻回部分（フィルム先導部分）35の前端37の近傍
にスロット（孔）71が設けられている。カセットシェル
３の内壁57に固定した爪73は尖った自由端75を有し、こ
の自由端75は、第４図に示すようにフィルムスプール５
が巻取り方向Ｒに回転したときにはスロット71内に進入
して最外側巻回部分（フィルム先導部分）35に係合し、
また、第３図に示すようにフィルムスプールが巻出し方
向Ｕに回転したときにはスロットから出て最外側巻回部
分から離脱する。巻取り方向Ｒへのフィルムスプールの
回転に応答しての最外側巻回部分35と爪73との係合によ
り、最外側巻回部分の前端37がフィルム剥取りガイド67
と次の巻回部分39との間の位置へ来るのを阻止する。

（カメラ内で）スプールコア23が最初に巻出し方向Ｕへ
回転したとき、２つのフランジ41、43は一時的に静止状
態を維持し、フィルムロール33は、その内端がスプール
コアに固定されているので、半径方向に膨張即ち弾性変
形して、フイルムロールの最外側巻回部分（フィルム先
導部分）35とフランジの環状リップ部49、51との間の強
固な非滑り係合を保証する。次いで、スプールコア23が
更に回転すると、フランジ41、43も回転する。その結
果、最外側巻回部分（フィルム先導部分）35の前端部37
はフィルム剥取りガイド67上で前進し、第８図に示すよ
うにフランジ41、43の環状部分を互いに離れるように軸
方向に撓ませる。このため、切欠き59がリツプ部の周辺
部分51′から離脱し、次いで、フイルムロール33のフィ
ルム部分が（その前端37から出発して）フランジ間を通
ってカセットシェル３の外部へ送り出される。

フィルムストリップの残りの部分を後で使用するため、
フィルムストリップの全部を露光する前に（カメラ内
で）フィルムスプール５を巻取り方向Ｒへ回転させた場
合は、フィルムスプールは、スロット71が爪73の自由端
75を収容して最外側巻回部分（フィルム先導部分）35を
爪に係合させるまで、実質上回転する。その後、（カメ
ラ内の）フィルムストリップの残りの部分を使用するた
めには、フィルムスプール５を巻出し方向Ｕに回転させ
て最外側巻回部分（フィルム先導部分）35を爪73から離
脱させ、フィルムストリツプをカセットシェル３の外部
へ再度送り出す。

以上、好ましい実施例につき本発明を説明したが、本発
明の要旨を逸脱することなく種々の変形、修正が可能で
あることは言うまでもない。例えば、一方のフランジ41
又は43のみに環状リップ部49又は51を設け、他方のフラ
ンジに（リップ部を設けず）ディスク45又は47のみを設
けてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係る改良したフィルムカセ
ットの分解部品斜視図、 第２図はフィルムスプールのまわりに巻かれたフィルム
ロールを示すためカセットシェルの内部を示すフィルム
カセットの立面図、 第３図及び第４図はカセットシェル、フィルムロール及
びフィルムスプールの断面端面図、 第５図及び第６図はフィルムスプールにフィルムロール
を装着した状態で示すフィルムロール及びフィルムスプ
ールの立面図、 第７図及び第８図は第５図及び第６図と同様の立面図で
あるが、フィルムスプールからフィルムロールを巻出す
状態を示す図である。 符号の説明 1:フィルムカセット、3:カセットシェル 5:フィルムスプール、25:フィルム通路 33:フィルムロール 35:最外側巻回部分（フィルム先導部分） 37:前端、39:次の巻回部分 41、43:フランジ、57:内壁 67:フィルム剥取りガイド、71:スロット 73:爪、75:自由端

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−214854（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−234155（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−201441（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−114257（ＪＰ，Ａ)

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】カセットシェル内でフィルム巻出し方向及
   びフィルム巻取り方向に回転可能なフィルムスプール
   と、該フィルムスプールのまわりにコイル状に巻かれ、
   最外側の巻回部分をフィルム先導部分とするフィルムロ
   ールと、前記カセットシェルの内壁に対する前記フィル
   ム先導部分の接触を実質上阻止すべく該フィルム先導部
   分を半径方向において拘束するため前記フィルムスプー
   ル上にこれと同軸に配置された一対のフランジと、前記
   フイルムスプールのフィルム巻出し方向への回転に応答
   して、該フランジから前記フィルム先導部分を離脱させ
   フィルム通路を通して前記カセットシエルの外部へ該フ
   ィルム先導部分を案内するため、該フィルム先導部分の
   前端とこのフィルム先導部分に続く前記フィルムロール
   の次の巻回部分との間に位置するフィルム剥取りガイド
   とを備えたフイルムカセットにおいて、 前記カセットシェル及び前記フィルム先導部分が、前記
   フィルム剥取りガイドと前記次の巻回部分との間へ前記
   フィルム先導部分が来るのを阻止するように、フィルム
   巻取り方向への前記フィルムスプールの回転に応答して
   該フィルム先導部分をその前端近傍で固定するための相
   互係合手段を有することを特徴とするフィルムカセッ
   ト。
2. 【請求項２】請求項１に記載のフィルムカセットにおい
   て、前記係合手段が、前記フィルム先導部分に設けたス
   ロットと、フィルム巻取り方向への前記フィルムスプー
   ルの回転に応答して該フィルム先導部分に係合するよう
   該スロットに進入しかつフィルム巻出し方向への該フィ
   ルムスプールの回転に応答して該フィルム先導部分から
   離脱するよう該スロツトから出るように、前記カセット
   シェルの前記内壁に設けた係合部材とを有するフィルム
   カセット。
3. 【請求項３】請求項２に記載のフィルムカセットにおい
   て、前記スロットが前記フィルム巻出し方向及びフィル
   ム巻取り方向において実質上細長くなっており、前記係
   合部材が前記スロットに対して出入りするように前記カ
   セットシェルの前記内壁から突出した自由端を有するフ
   ィルムカセット。