JPH0748265A - ネフローゼ症候群及び肝障害症状の寛解剤 - Google Patents
ネフローゼ症候群及び肝障害症状の寛解剤Info
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Abstract
る水溶性多糖類よりなるネフローゼ症候群及び肝障害症
状の寛解剤、丹参から水または水性溶媒で抽出されうる
下記の特性を有する多糖類。 糖含量:60〜100% 糖組成:ウロン酸 40〜80%(ほとんどD−ガラク
ツロン酸) 中性糖 10〜30% 中性糖組成:ラムノース 0〜15% グルコース 0〜15% ガラクトース 25〜55% アラビノース 30〜60% マンノース 0〜15% 分子量 150,000〜300,000。 丹参の水性抽出液を多孔性ポリマー樹脂を通過させ限外
濾過、ゲル濾外クロマトグラフィーで精製する上記多糖
類の製造法。 【効果】 上記の新規な多糖類は水溶性で副作用が少
く、尿蛋白の排出を抑制してネフローゼ症候群の寛解や
肝障害症状の改善に用いることができる。
Description
年層で増加傾向にある腎臓疾患、とりわけ慢性腎不全に
至る前段階であるネフローゼ症候群と診断された患者に
対し、あるいはウイルス性及び薬物性肝炎等の肝障害の
症状を有する患者に対し、通院可能で安全な経口及び筋
肉内投与治療剤を提供する発明に関する。
として、合成薬であるステロイド剤或いは抗血小板薬で
あるジピリダモールが用いられているが、長期間使用し
なくてはならず、若年層に投薬する際には特に満月様顔
貌,月経不順,めまい,頭痛,悪心,嘔吐など、重篤な
場合には感染症,消化管出血,代謝異常,骨粗症,血栓
症,副腎不全,精神障害などの副作用が懸念されてい
る。
もあるがウイルス性のものが大半を占めており、それら
の治療薬としてはインターフェロン、インターロイキン
2のようなバイオロジカル・レスポンス・モディファイ
アー(BRM)、グリチルリチンの静注用注射剤である
ネオミノファーゲンCなどが用いられている。しかしな
がらBRMには発熱等の副作用が見られることにより長
期投与には問題がある。またグリチルリチンは基本的に
は抗炎症剤であり、長期に使用する場合は血圧、電解質
濃度の管理が必要となる。この他にも生薬成分であるサ
イコサポニン、サポニン、ゴミシンなどが知られている
が、いずれも臨床応用されるには至っていない。
もよい〕を構成成分とする水溶性多糖類としては、たと
えば水溶性ペクチン質(pectic substan
ce)が知られている。これは柑橘類の果皮などを酸性
水溶液で抽出し、必要に応じてさらに酸、アリカリ、酵
素で脱メチル化し、アルコール等の有機溶媒を加えて沈
澱させて得られる水溶性多糖類で、ポリD−ガラクツロ
ン酸を主な構成成分とする。そしてポリD−ガラクツロ
ン酸の構造式中のカルボキシル基のメチルエステル化率
の大小により水溶性ペクチン質はペクチンとペクチニン
酸に別けられ、また実際上メチルエステルが残っていな
いものはペクチン酸と呼ばれている。
主として食品工業に用いられるが、医薬としては粘膜被
覆に供される程度でほとんど用いられていない。
が用いられるが、丹参は中国では、血液循環,血行停止
の改善に良いとされ伝統的に使用されている薬草であ
る。近年、血管拡張作用(大浦彦吉:和漢医薬学会
誌.,5:227−237.,1988.)、降圧作用
(中山医学院論:医歯薬出版,東京.,257−25
8.,1980.)、抗凝血作用(羅厚蔚ら:Acta
PharmaceuticaSinica.,23
(11):830−834.,1988.)、細胞内コ
レステロールの合成抑制作用(Sun Xi−min
g;中草薬.,22(1):20−23.,199
1.)、肝細胞保護(戚心広ら:中西医結合雑誌.,1
1(2):102−104.,1991.)及びラジカ
ル消去作用(胡 天喜:上海中医薬雑誌,9:28−3
0.,1988.)などの多彩な生理活性作用があるこ
と、また腎機能の改善(大浦彦吉:第二回和漢薬の医学
薬学的研究に関する日中シンポジウムpp.148−1
57,1988.)、慢性腎疾患及び尿毒症の患者に対
して有効(張 鏡人:上海中医薬雑誌.,1.17−1
8.,1981.)であることが内外において報告され
ているが、その本質については何等言及されていない
か、言及されていても本願発明とは全く異なる低分子物
質である。
の研究も盛んに行われていて、低分子のフェナントレン
キノン類であるタンシノン類似物並びにカフェイン酸4
量体であるマグネシウムリトスペルミン酸B等が単離さ
れているが(T.Yoozawa,H.Y.Chun
g,H.Oura,G.Nonaka,and I.N
ishioka,Chem.Pharm.Bull.,
36,316(1988))、何れも有機溶媒含有下で
抽出される脂溶性の高い物質だけであり、まだ臨床応用
には至っていない。
球体由来の原発性とそれ以外の疾患に由来する続発性に
分類され、前者が約80%以上を占め、しかも低年齢層
ほど多くて約90%に達する。病理組織所見からは微小
変化群,単状糸球体硬化症,膜性腎症,メサンギゥム増
殖性腎症(IgA腎症,非IgA腎症),膜性増殖糸球
体腎炎,半月体形成糸球体腎炎などに分類される。蛋白
尿は臨床所見の特徴として、いずれの組織学的病型にも
共通して認められ、重篤な場合にはネフローゼ症候群と
して診断されている。また近年腎臓疾患、特に腎臓の器
質的な衰えにより誘発される疾患は老人にとどまらず若
年層に増加しつつあるため、器質を改善して疾患を治療
する副作用発現の少ない植物成分で水溶性のある経口或
いは筋肉内に投薬し治療する薬剤の開発が望まれてい
る。
とアルコール等の薬物によるものがあるが、B型及びC
型肝炎ウイルスによるものが圧倒的に多い。近年治療薬
として特にインターフェロンがC型肝炎に対して有効で
あることが報告されており、使用頻度も高まってきてい
る(飯野司郎ら:基礎と臨床.26:339,199
2;鈴木宏ら:肝・胆・膵・23:1065,199
1)。しかしながら、短期投与で発熱等のインフルエン
ザ様症状が表れ、長期投与でも体重減少、下痢、嘔吐、
不整脈、脱毛、自己免疫異常等の副作用が見られる。ま
たこれらの薬剤はすべて注射剤であることからより簡便
に使用できる新たな治療薬あるいはインターフェロン等
との併用補助薬として副作用発現の少ない生薬、漢方薬
成分で水溶性のある経口或いは筋肉内に投与し治療する
薬剤の開発が望まれている。
されている蛋白尿排泄を顕著に起こし、さらに腎臓の器
質変化を示すことで良く知られるピューロマイシンで惹
起したラットのネフローゼ症候群モデルを利用して鋭意
検討した結果、丹参の水抽出物より上記モデルに対して
有効な多糖類が存在すること、その多糖類がポリD−ガ
ラクツロン酸を主要構成成分とすることを見い出した。
(I)ポリD−ガラクツロン酸を有効構成成分とする水
溶性多糖類よりなるネフローゼ症候群及び肝障害症状の
寛解剤、(II)丹参から水または水性溶媒で抽出されう
る下記の特性を有する多糖類 A.糖含量:60〜100% (1)糖組成:ウロン酸 40〜80%(ほとんどD−
ガラクツロン酸) 中性糖 10〜30% (2)中性糖組成:ラムノース 0〜15% グルコース 0〜15% ガラクトース 25〜55% アラビノース 30〜60% マンノース 0〜15% B.分子量 150,000〜300,000、および (III)丹参を水または水性溶媒で抽出し、抽出液から残
渣を除去した液を無極性多孔性ポリマー樹脂を通過さ
せ、限外濾過で濃縮し、ついでゲル濾過クロマトグラフ
ィーに付することを特徴とする上記の多糖類の製造法で
ある。
水溶性多糖類としては、一般に植物から抽出される水溶
性ペクチン質が用いられ、それはガラクツロン酸のカル
ボキシル基が約7.5%以上メチルエステル化されてい
るペクチンでも、メチルエステル化率がそれよりも低い
ペクチニン酸でも、実際上メチルエステルがすべて加水
分解されているペクチン酸でもよい。水溶性ペクチン質
は一般に少量のアラバン、ガラクタン、ラムノースなど
を伴う場合が多いが、そのまま用いることができる。
丹参から抽出される水溶性ペクチン質も用いられる。
iorrhiza Bunge)の根および根状の茎で
あるが、同属植物の南丹参(S.bowleyana
Dunn)、甘粛丹参(S.przewalskii
Maxim)、雲南丹参(S.yunnanensis
C.H.Wright)等の根も用いられ、本発明で
はこれらを総称して丹参という。
されるものではないが、好ましくは中国,四川地区産の
丹参が本発明の多糖類を効率よく抽出精製することがで
きる。
望ましい。抽出溶媒として水または水性溶媒が用いら
れ、水性溶媒としてはリン酸緩衝液、酢酸緩衝液等の緩
衝液または食塩等の塩類水溶液を用いるのが好ましい。
が好ましい。抽出は約50〜約100℃で行うのが好ま
しく、さらに好ましくは70〜90℃である。たとえ
ば、丹参を予め50〜100℃好ましくは70〜90℃
にした温水或いはpH2〜9の範囲にある緩衝液または
塩類溶液に入れるか、入れたあと温浴中などで所定の温
度になるまで加温して抽出する。
時間抽出すれば粗出液が得られる。抽出液中に混在する
丹参の残渣は目の粗い濾布やヌッチェなどで濾去するこ
とができる。
極性の多孔性ポリマー樹脂を充填材とするカラムクロマ
トグラフィーによりさらに精製する。このポリマー樹脂
としては、たとえばHP−20およびMCI−ゲル(三
菱化成社製)やアンバーライトXAD−2(オルガノ社
製)などが挙げられる。
着分画で、50%メタノール溶液で溶出される低分子物
質であるマグネシウムリトスペルミン酸Bが報告されて
おり、発明者らも、同様の分画に蛋白尿排泄を抑制する
活性のあることを確認した。しかし、非吸着部分を含め
溶出された全画分について、詳細に蛋白尿排泄を抑制す
る作用を試験した結果、当初の予想に反して、素通り画
分にも上記作用を示す成分のあることが判明した。この
時点で、この処理からの素通り画分は、極性が低いこと
が予想され、又、蛋白質に固有の紫外部吸収スペクトル
を示さないから蛋白質以外の成分であろうと思われた。
過膜(カットオフ,分子量300,000及び50,0
00の)システムに通し、濃縮且つ精製ステップの検討
を行った。実際には分子量300,000以上、50,
000〜300,000及び50,000以下の各物質
群に分け、各成分についてピューロマインシン惹起ラッ
トモデルを用いて、蛋白尿排泄を抑制する活性を試験し
た。その結果、強い活性が分子量50,000〜30
0,000に範囲のある分画に見られ、50,000以
下にも弱い活性が見られた。
000のカットオフ,限外ろ過膜を用いた。この工程で
の限外ろ過膜はカットオフのサイズが同じであれば何れ
の種類のものでも本発明の物質の濃縮に用いることが可
能である。
範囲に限定するために、ゲルろ過カラムクロマトグラフ
ィーによる精製を行った。一般に蛋白質などの場合に
は、ゲルろ過クロマトグラフィーの担体としては、セフ
ァデックス及びセファロース類(ファルマシア社製),
セルロファイン(生化学工業社製),バイオゲル(バイ
オラッド社製)などが使用されており、本発明の物質の
クロマトグラフィーにも上記のものが使用できるが、好
ましくは合成手段によって調製された材質によるクロマ
ト材、例えばバイオゲルが本発明の物質の精製に適して
いる。クロマト材には編目サイズ、即ち排除限界により
各種のものがあるが、分画範囲として10000〜30
0,000のものであればいずれでも構わない。発明者
らは、好んでバイオゲルP−30,−60,−100、
中でもバイオゲルP−60を使用した。そこで、濃縮液
を水で平衡化したバイオゲルP−60を充填したカラム
に通した。モニターは暫定的に280nmの吸収で行
い、吸収のある分画と吸収のない分画をカラム容量の2
倍量まで数分画に分け、次いでピューロマイシン惹起ラ
ットモデルでの蛋白尿排泄の抑制作用を試験したところ
高分子領域に活性を有する多糖類が溶出されていること
がわかった。
処理すると活性を失う。また本物質は血小板凝集抑制作
用,赤血球膜保護作用を有することがin vitro
の実験結果より明らかになった。さらにピューロマイシ
ン惹起ネフローゼモデルラットまたは四塩化炭素誘発肝
障害モデルラットにおいてはラジカルが関与することが
知られているが、本物質には直接ラジカルを消去する作
用はないことがESRを用いた実験により示された。丹
参の抽出液を無極性ポーラスポリマー樹脂及びゲルろ過
クロマトグラフィーで精製(精製画分)した多糖類の特
性を下記のように試験した。
dge,J.E.and Hofreiter,B.
T.(1962)Methods in Carboh
ydrate Chemistry(Academic
Press).Vol.1,p.338) 試験溶液0.5mlを試験管にとり5%(w/v)フェ
ノール液0.5mlを加え、濃硫酸2.5mlを速やか
に液面に直接に加えよくまぜ、室温に20分保った後、
480nmの吸光度を測定する。標準溶液にはグルコー
ス(10〜90μg/ml)水溶液を用いた。
ェニル法(Blumenkrantz,N.and A
sboe Hansen,G.(1973)Anal.
Biochem.54,484−489.) 試料溶液0.2mlに0.0125Mホウ酸ナトリウム
の濃硫酸溶液1.2mlを添加し、氷冷後攪はんする。
100℃で5分間処理した後氷冷し、0.15%メタヒ
ドロキシジフェニルの0.5%水酸化ナトリウム溶液2
0μlを加え、520nmの吸光度を測定する。標準溶
液にはガラクツロン酸溶液を用いた。
ト−GC−MS法)(Borchardt,L.G.a
nd Piper,C.V.(1970)Tappi.
53,257−260.) 丹参の精製画分50mgを72%(v/v)硫酸3ml
に溶かし、30℃,1時間処理したものに蒸留水84m
lを加え、120℃で1時間オートクレープする。内部
標準としてイノシトール4mgを加え、その30mlを
水酸化バリウムを加えてpH5.5に調整した後、遠心
分離して上清を得る。その25mlに水素化ホウ素ナト
リウム80mgを添加し、室温で2時間処理後、酢酸で
反応をとめる。濃縮乾燥後、蒸留水に溶かしDEAEセ
ファデックスカラムにかけ素通り画分を集める。濃縮乾
燥後、無水酢酸とピリジンによりアセチル化した後、ジ
クロルメタンと1N塩酸の混液で抽出する。有機層を蒸
留水で洗った後、濃縮し、アセトンに溶かしてガスクロ
マトグラフィーマススペクトロメトリー(GC−MS)
にて定量した(カラム:Supelco糖分析用キャピ
ラリーカラムを使用)。また標品は上記の還元操作によ
り処理して同様に分析した。
ックGS−520(旭化成社製)カラム(7.6mmI
Dx500mm)を接続し、ミリQ水を用いて、本願物
質試料溶液10μlをカラムに付加して分子量を測定
(温度:室温、流速:0.5ml/分、検出:RID)
した。分子量マーカーにはアミロースキット(中埜酢店
社製):分子量10200,30100,75200,
111400,364200を用い、これらの溶出パタ
ーンから得た検量線より、本願物質の分子量を算出し
た。
候群モデルラットによる評価 1)ネフローゼ症候群モデルラットの作製:ウィスター
系雌性ラット(約9週令、体重約150g)にピューロ
マイシンアミノヌクレオシド(:以下ピューロマイシ
ン、シグマ社製)60mg/kgを1回、頸静脈内投与
してネフローゼ症候群モデルラットを作製した(東條静
夫ら:ネフローゼ症候群 京極方久 編,ソフトサイエ
ンス社出版,479−488,1984)。
与の開始の日から1日1回各試料溶液を胃カニューレを
通じて21日間経口或いは筋肉内投与した。陰性対照群
には注射用水を、陽性対照群にはジピリダモール溶液を
用いた。
ューロマイシン投与終了後5日目から、2〜3日おきに
24時間尿をラット代謝ケージを用いて採尿し、尿量を
計測した。次いで遠心分離(3000rpmx10分)
して得た上清1mlにスルホサリチル酸3mlを加え、
室温で10分間放置した後、波長660nmの吸収を測
定し、検量線より尿中のタンパク質濃度を求め、更に尿
容量を乗じて尿中への総蛋白質排泄量を算出した。検量
線作成に当たっては牛血清アルブミン(シグマ社製)を
標準タンパク質に用いた。
ン,血清中の総蛋白質量及び血清過酸化脂質の測定:ピ
ューロマイシン投与終了後7日目,14日目,21日目
に各群のラットをエーテル麻酔を施した後、静脈より採
血し、血清中のコレステロール,アルブミン,総蛋白質
量及び過酸化脂質量を測定した(いずれも和光純薬工業
社製)。
評価 1)肝障害モデルの作成:Wistar系雌性ラット
(9−11週令、体重160g前後)に対し、オリーブ
油に等量の割合で混合した四塩化炭素(和光純薬製)溶
液1.5ml/kgを腹空内に1回投与することにより
作成した。(炎症学書:炎症炎症動物実験法、実験的肝
繊維症.医学書院出版,253−277)
前から投与前日まで試料を1日1回筋肉内投与あるいは
7日前から投与前日まで経口投与を行った。陰性対象群
には注射用水を投与した。
4時間御にエーテル麻酔下で回胸、心臓より2mlの血
液を採血し、常温に1時間放置後、遠心分離して血清を
得た。血清トランスアミナーゼ(GOT:glutam
ic oxaloacetic transamina
se,GPT:glutamic pyruvictr
ansaminase)活性の測定は和光純薬製キット
を用いて行った。
べて平均±S.Eで示し、Student’sのt検定
により統計解析した。
多糖類は動物実験でネフローゼ症候群の寛解や肝障害症
状の改善に有効であり、ネフローゼ症候群の寛解剤また
は肝障害症状改善剤として、通常成人1人当たり1日
量、経口的に約10〜150mg、筋肉内注射として約
0.5〜10mg投与することができる。
さらに説明する。 実施例1 中国,四川地区産の丹参の根部の小片10kgに水80
Lを加え、投げ込みヒーターを投じ80℃にした後、3
時間攪はんしながら抽出した。抽出液中の根部残渣はヌ
ッチェでろ過して取り除き、回収した根部残渣に更に水
80Lを加えて1回目と同様に処理して再抽出液を得
た。1回目と2回目の抽出液(130L)を合わせ、減
圧下、40℃でエバポレーターを用いて濃縮し濃縮液
(10L)を得た。
成社製)を充填したカラム(11×45cm)に負荷し
た。平衡化液及び展開液には水を用い、室温下でクロマ
トグラフィーを行い、素通り分画及び水洗浄分画(非吸
着)液を回収した。カラムは50%メタノール及びアセ
トニトリルで洗浄した後、最後に水に完全に置換して再
使用した。上記非吸着画分は繰り返し3回程同様に処理
して完全に非吸着分画の液(55L)を得た。この全非
吸着液は分子量カットオフ3000の限外ろ過膜を装備
した限外ろ過装置SEP−1013(旭化成)を用いて
限外ろ過濃縮し、通過液(分子量 約3000以下,S
EP−OUT)と非通過液(分子量 約3000以上,
SEP−IN)を得た。濃縮した非通過液(SEP−I
N)を水で平衡化したバイオゲルP−60を充填したカ
ラム(1.5×100cm)に付加し、水を展開液とし
て用いクロマトグラフィーを行った。モニターは暫定的
に波長280nmで吸収を測定し、横軸に分画番号を、
縦軸に各分画液の吸収を記載したグラフを作成し、吸収
を示さない分画を中心に全糖の測定を行い、その測定結
果を同じグラフに記載した(図1)。
の分画液(AF)に得られ、ついで凍結乾燥して粉末
(30g,ロットA)を得た。ここで得た精製多糖類の
特性を前述した試験法により試験した結果、以下の持性
を得た。
ジフェニル法) 中性糖含量(17%、アルジトールアセテート−GC−
MS法) (2)中性糖組成(アルジトールアセテート−GC−M
S法) グルコース含量(5.5%) ガラクトース含量(39.7%) アラビノース含量(44.6%) マンノース含量(5.5%) ラムノース含量(4.7%) (3)その他の糖:アミノ糖、アルドヘキソース、2−
デオキシ糖は含まない。
ミラーゼキット、分子量100〜360K)
評価 精製試料10mg/kg,40mg/kgを経口投与、
0.5mg/kg,2.5mg/kgを筋肉内投与した
ところ、図2,図3に示したようにいずれの場合も尿蛋
白排泄が有意に抑制された。また、表1,表2に示した
ように血清コレステロール(Cholesterol)
値,血清アルブミン(Albumin)値及びA/G
比,血清過酸化脂質(MDA)値においても有意な改善
効果が認められた。
価 製糖試料(AF)7mg/kg,35mg/kgを経口
投与、0.3mg/kg,1.5mg/kgを筋肉内投
与したところ、表3に示したようにいずれの場合もAF
前投与群では血清GOT,GPT値の上昇が用量異存的
に抑制された。
り各々精製を行い、1に記載した以外に計3ロット(ロ
ットB,C,D)の精製品を取得し、同様の特性評価を
行った。 1)糖含量(フェノール硫酸):ロットB(65%),
ロットC(80%),ロットD(93%) (1)糖組成
ト−GC−MS法)
ずれもアミノ糖、アルドヘキソース、2−デオキシ糖は
含まない。
ット、分子量100〜360K) ロットB(150,000),ロットC(280,00
0),ロットD(250,000)
評価 薬効評価についてはいずれの精製品も実施例1で得られ
たものとほぼ同等の効果が得られた。
関与について調べる目的で本精製品を以下の操作によっ
て酸化及び還元し、それらの効果について調べた。投与
量はネフローゼ症候群ラットにはそれぞれ40mg/k
gを経口投与し、肝障害ラットにはそれぞれ1.5mg
/kgを筋肉内投与した。 (1)酸化(Noble,D.W.and Sturg
eon,R.J.(1970)Carbohyd,Re
s.12,448による)精製試料600mgを蒸留水
150mlに溶かし、0.2M過ヨウ素酸ナトリウム溶
液150mlを加えて37℃で240時間反応させる。
エチレングリコール150mlを加えて反応を止めた
後、水素化ホウ素ナトリウム500mgを加えて室温2
4時間処理する。酢酸で反応を止め、水に透析した後、
凍結乾燥する。
d Conrad,H.E.(1972)Bioche
mistry.11,1383−1388による)精製
試料50mgを蒸留水に溶かし、EDC(1−ethy
l−3−(dimethyl−aminopropy
l)−carbodiimide)249mgを加えた
後、0.1N塩酸でpH4.75に保ちながら19時間
反応させる。その後、2M水素化ホウ素ナトリウム溶液
10mlを1時間かけて滴下し、その間pH7に保つ。
さらに1時間攪はんした後、水に透析し凍結乾燥する。
酸化及び還元した試料については全く効果が認められな
かった。このことは精製試料中の活性物質は確かに多糖
類であり、中でも特にウロン酸が薬効に大きく寄与して
いることが示された。また還元前後の中性糖含量の比較
から本試料に含まれるウロン酸のほとんどはガラクツロ
ン酸であることがわかった。
に重要であることがわかったので次にポリD−ガラクツ
ロン酸の構造を有する植物由来のペクチン酸を用いてピ
ューロマイシン惹起ネフローゼ及び四塩化炭素誘発肝障
害モデルに対する効果を調べた。ネフローゼモデルに対
しては10,40mg/kgを経口投与、2.5mg/
kgを筋肉内投与し、尿蛋白排泄量及び血清コレステロ
ール、アルブミン量を測定した。肝炎モデルに対しては
1.5mg/kgを筋肉内投与し、血清GOT,GPT
値を測定した。
ーゼにおける尿蛋白排泄はペクチン酸の筋肉内投与で有
意に抑制され、経口投与でも改善傾向を示した。また血
清パラメータについても経口、筋肉内投与で明きらかな
改善が見られた。ただ経口投与の場合はいずれの指標に
おいてもAFの方が高い有効性を示した。肝炎に対して
はペクチン酸はAFと同等の効果を示し、血清GOT,
GPT値を有意に抑制した。
F)に限らず由来の異なるポリD−ガラクツロン酸の構
造を有する多糖類でもAFとほぼ同様の効果を示すこと
がわかった。
酸を有効構成成分とする水溶性多糖類がネフローゼ症候
群及び肝障害症状の寛解剤として提供される。
より展開された分画の波長280nm(A280 )および
480nm(A480 )の吸光度、図2および図3は実施
例1においてネフローゼ症候群モデルラットに本発明の
多糖類(AF)を種々の投与量で経口投与した場合の尿
蛋白排泄量、図4はAFを酸化または還元して同様に投
与した場合の尿蛋白排泄量、をそれぞれ示すグラフであ
る。
評価 精製試料10mg/kg,40mg/kgを経口投与、
0.5mg/kg,2.5mg/kgを筋肉内投与した
ところ、図2,図3に示したようにいずれの場合も尿蛋
白排泄が有意に抑制された。また表1,表2に示したよ
うに血清コレステロール(Cholesterol)
値,血清アルブミン(Albumin)値及びA/G
比,血清過酸化脂質(MDA)値においても有意な改善
効果が認められた。
Claims (9)
- 【請求項1】 ポリD−ガラクツロン酸を有効構成成分
とする水溶性多糖類よりなるネフローゼ症候群及び肝障
害症状の寛解剤。 - 【請求項2】 多糖類が水溶性ペクチン質である請求項
1記載の寛解剤。 - 【請求項3】 多糖類が丹参から水または水性溶媒で抽
出され、下記の特性: A.糖含量:60〜100% (1)糖組成:ウロン酸 40〜80%(ほとんどD−
ガラクツロン酸) 中性糖 10〜30% (2)中性糖組成:ラムノース 0〜15% グルコース 0〜15% ガラクトース 25〜55% アラビノース 30〜60% マンノース 0〜15% B.分子量 150,000〜300,000 を有するものである請求項1記載の寛解剤。 - 【請求項4】 筋肉内または経口投与される請求項1、
2または3記載の寛解剤。 - 【請求項5】 丹参から水または水性溶媒で抽出されう
る下記の特性を有する多糖類 A.糖含量:60〜100% (1)糖組成:ウロン酸 40〜80%(ほとんどD−
ガラクツロン酸) 中性糖 10〜30% (2)中性糖組成:ラムノース 0〜15% グルコース 0〜15% ガラクトース 25〜55% アラビノース 30〜60% マンノース 0〜15% B.分子量 150,000〜300,000 - 【請求項6】 丹参を水または水性溶媒で抽出し、抽出
液から残渣を除去した液を無極性多孔性ポリマー樹脂を
通過させ、限外濾過で濃縮し、ついでゲル濾過クロマト
グラフィーに付することを特徴とする請求項5記載の多
糖類の製造法。 - 【請求項7】 丹参の抽出をpH約2〜約8で行う請求
項6記載の製造法。 - 【請求項8】 水性溶媒が緩衝液または塩類水溶液であ
る請求項6記載の製造法。 - 【請求項9】 丹参の抽出を約40〜約100℃で行う
請求項6、7または8記載の製造法。
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