JPH0747744Y2 - 電源チェック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、コンセントに負荷を接続するためのパワーデ
ィストリビュータに一体化することが望ましい電源チェ
ック装置に関し、更に詳細には、電源ラインの接地又は
非接地を判断する電源チェック装置に関する。

［従来の技術］ オーディオ機器等を商用交流電源コンセントに接続する
際に使用するためのパワーディストリビュータは公知で
ある。典型的なパワーディストリビュータは複数のアウ
トレット（コンセント）を有する他に極性チェック端子
を有する。極性チェック端子と一対の電源ラインの一方
との間にはネオン管が接続されている。コンセントに接
続さている一対の電源ラインのどちらがグランド（アー
ス）に接続されているかをチェックする時には、極性チ
ェック端子に指先等を接触させる。もし、ネオン管が接
続されている電源ラインが接地されていない場合には人
体を通って微小電流が流れるためにネオン管が点灯し、
またネオン管が接続されている電源ラインが接地されて
いる場合にはネオン管が点灯しない。

［考案が解決しようとする課題］ 従来の極性チェック回路は低コストであるという特長を
有する反面、ネオン管に流れる電流が小さいために明る
い表示が出来ないという欠点を有する。即ち、感電防止
のためにネオン管に直列に高抵抗（例えば5MΩ）が接続
され、更に極性チェック端子とグランドとの間に人体及
び床の抵抗（数100kΩ〜数10MΩ）が存在するので、100
Vが入力した時にネオン管に流れる電流は、抵抗の合計
値を1MΩと仮定すると、16.6μＡであり、ネオン管の明
るさは極めて低い。

なお、実開昭54−135580号公報、特開昭51−26578号公
報、実開昭52−53770号公報等によってトランジスタ回
路を使用して電源ラインの極性をチェックする回路が知
られているが、いずれもトランジスタ回路を駆動するた
めの直流電源を有する構成であり、且つ極性をチェック
するために検出端子を交流電源ラインに接触させること
が必要であった。このため、回路構成が複雑になり、装
置がコスト高になるばかりでなく、使い勝手が悪かっ
た。

そこで、本考案の目的は、構成が簡単であり、且つ低コ
ストであるにも拘らず、取扱いが容易であり且つ感電の
危険性がなく且つ発光表示素子を明るく発光させること
ができる電源チェック装置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するための本願考案は、コンセントに接
続して交流電源ラインの接地又は非接地をチェックする
ためのチェック装置において、前記コンセントに接続さ
れる一対の電源ラインと、前記一対の電源ライン間に接
続されたトランジスタと発光表示素子との直列回路と、
前記一対の電源ラインの接地又は非接地をチェックする
時に人体を接触させるためのチェック端子と、前記トラ
ンジスタのベースと前記チェック端子との間に接続され
た抵抗とを備え、前記トランジスタ及び前記発光表示素
子を駆動するための直流電源を備えていないことを特徴
とする電源チェック装置に係わるものである。

なお、請求項２に示すように、ベース・エミッタ間接合
に逆方向並列にダイオードを接続し、一対の電源ライン
間にトランジスタ保護用抵抗を接続することが望まし
い。

［考案の作用及び効果］ 各請求項の考案によれば次の作用効果が得られる。

（イ）トランジスタのベースに抵抗を介して接続された
チェック端子に人体を接触させると、一対の電源ライン
の一方が非接地側か、接地側かの相違によって人体を通
るベース電流の有無の変化が生じ、発光表示素子の発光
と非発光の変化が生じ、一方の電源ラインが非接地側か
接地側かを知ることができる。この時、人体は抵抗とト
ランジスタとを介して電源ラインに接続されるので、人
体に危険なレベルの電流は流れない。従って、感電によ
る危険性のない装置を提供することができる。

（ロ）人体をチェック端子に接触させるという簡単な取
扱い方法が可能な装置であるにも拘らず発光表示素子と
電源との間には人体が直列に介在しないので、発光表示
素子に十分な電流を流し、明るく発光させることができ
る。

（ハ）特別に直流電源を設けないで、交流電源でトラン
ジスタ及び発光表示素子を駆動する回路であるので、装
置の低コスト化を達成することができる。

なお、請求項２の考案によれば、チェック端子に静電気
又は安全規格試験等で高電圧が印加されても、ダイオー
ドとトランジスタ保護用抵抗の分路が形成されるために
トランジスタの破壊が防止される。

［実施例］ 次に、図面を参照して本考案の実施例に係わるオーディ
オ及びビデオ機器用の電源チェック機能を有するパワー
ディストリビュータを説明する。

商用交流電源のコンセント１は非接地ライン２と接地ラ
イン３に接続されている。パワーディストリビュータ４
は点線で囲んで示す本体部分4aと、ケーブル部分4bと、
コンセント１に差し込むためのプラグ５を有する。なお
プラグ５には極性を示すマークが付けられている。ま
た、本体部分4aは容器（図示せず）に収容されている。

プラグ５に接続された一対の電源ライン６、７間には、
PNP型トランジスタ８とダイオード９と100kΩの電流制
限抵抗10と発光素子としてのネオン管11との直列回路が
接続されている。トランジスタ８のエミッタは一方の電
源ライン６に接続され、トランジスタ８のベースと極性
チェック端子12との間には6200kΩのベース抵抗13が接
続されている。トランジスタ８のベースとエミッタとの
間には抵抗14とダイオード15とが接続されている。一対
の電源ライン間６、７には複数のアウトレット（コンセ
ント）16及び220kΩの保護用抵抗17及びノイズ吸収回路
18がそれぞれ接続されている。また、一方の電源ライン
６に直列にヒューズ19が接続されている。アウトレット
16及びネオン管11の表面及び極性チェック端子12は容器
から露出している。

このパワーディストリビュータ４の内部の一方の電源ラ
イン６が外部の非接地電源ライン２に接続されている状
態において、極性チェック端子12に指先を接触させる
と、外部の非接地電源ライン２と内部の電源ライン６と
トランジスタ８のエミッタ・ベース間とベース抵抗13と
人体20とグランドとから成る閉回路でトランジスタ８の
ベース電流が流れる。このベース電流はトランジスタ８
で増幅され、ベース電流よりも大きいコレクタ電流がネ
オン管11に流れ、このネオン管11が点灯する。

一方、パワーディストリビュータ４の内部の一方の電源
ライン６が外部の接地電源ライン３に接続されている時
には、トランジスタ８のベース電流及びコレクタ電流が
流れないので、ネオン管11は点灯しない。これにより、
パワーディストリビュータ４のプラグ５及びアウトレッ
ト16の極性（接地、非接地）を判定することができる。
なお、目標とする極性でない時にはプラグ５を方向を変
えて差し換える。

ネオン管11に流れる電流は次の通りである。今、人体20
の抵抗Rcと床の抵抗Rbとの合計抵抗Raを1000kΩ、ベー
ス抵抗13を6.2MΩ、抵抗14を220kΩ、、電流制限抵抗10
を100kΩ、電源電圧を100Vとすれば、トランジスタ８の
ベース電流は約13.4μＡとなる。従って、トランジスタ
８の電流増幅率を300とすれば、コレクタ電流を13.4×3
00＝4mAまで流すことが可能になる。ネオン管11の放電
電圧を70V、トランジスタ８のエミッタ・コレクタ間電
圧を0.2V、ダイオード９の順電圧を0.6Vとすれば、抵抗
10に加わる電圧は29.2Vとなり、ここを流れる電流は0.2
92mAとなる。ネオン管11の定格電流を0.3mAとすれば、
この定格電流に近い電流がネオン管11に流れることにな
り、十分に明るい点灯状態を得ることができる。

このパワーディストリビュータ４の安全規格の試験又は
静電気によって極性チェック端子12とグランドとの間に
例えば1000Vが印加されることがある。もし、保護抵抗1
7がなければ、トランジスタ８のベース・コレクタ間に1
000Vが印加され、トランジスタ８が破壊するおそれがあ
る。しかし、例えば220kΩの保護抵抗17を接続すると、
抵抗14及びダイオード15と抵抗17とから成る分路が形成
され、おおむね6.2MΩの抵抗13と220kΩの抵抗17とで10
00Vが分割されるので、トランジスタ８のベース・コレ
クタ間の電圧は極めて低い値（約30V）になり、トラン
ジスタ８の保護が達成される。

［変形例］ 本考案は上述の実施例に限定されるものでなく、例えば
次の変形が可能なものである。

（１）複数のアウトレット16の相互間に電源スイッチを
接続し、選択されたアウトレット16から出力を得るよう
にすることができる。

（２）電流容量検出回路を設け、所定容量以上の電流が
流れた時にこれをブザー等で知らせるようにすることが
できる。

（３）トランジスタ８をダーリントン接続トランジスタ
や多段増幅器に置き換えることができる。

（４）ネオン管11の代りに発光ダイオード等の別の発光
素子又は表示素子を使用することができる。

（５）実施例では電源ライン６が非接地の時にネオン管
11が点灯するが、電源ライン６が接地の時にネオン管11
が点灯するようにトランジスタ８、ダイオード９及びネ
オン管11の極性を変えることができる。

（６）本考案の回路を、アンプやCDプレーヤ等のオーデ
ィオ機器内に設けることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例に係わるパワーディストリビュー
タを示す回路図である。 １……コンセント、４……パワーディストリビュータ、
５……プラグ、８……トランジスタ、11……ネオン管、
12……極性チェック端子、13……抵抗。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】コンセントに接続して交流電源ラインの接
   地又は非接地をチェックするためのチェック装置におい
   て、 前記コンセントに接続される一対の電源ラインと、 前記一対の電源ライン間に接続されたトランジスタと発
   光表示素子との直列回路と、 前記一対の電源ラインの接地又は非接地をチェックする
   時に人体を接触させるためのチェック端子と、 前記トランジスタのベースと前記チェック端子との間に
   接続された抵抗と を備え、前記トランジスタ及び前記発光表示素子を駆動
   するための直流電源を備えていないことを特徴とする電
   源チェック装置。
2. 【請求項２】更に、前記トランジスタのベース・エミッ
   タ間接合に対して逆方向並列に接続されたダイオード
   と、 前記一対の電源ライン間に接続されたトランジスタ保護
   用抵抗とを有していることを特徴とする請求項１記載の
   電源チェック装置。