JPH0747248Y2 - 傾斜地用運搬車 - Google Patents

傾斜地用運搬車

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JPH0747248Y2
JPH0747248Y2 JP5508089U JP5508089U JPH0747248Y2 JP H0747248 Y2 JPH0747248 Y2 JP H0747248Y2 JP 5508089 U JP5508089 U JP 5508089U JP 5508089 U JP5508089 U JP 5508089U JP H0747248 Y2 JPH0747248 Y2 JP H0747248Y2
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transmission
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昭治 内田
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Description

【考案の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本考案は、傾斜地に敷設された単軌条または複軌条の上
を載荷用の台車を牽引しながら走行するようにした傾斜
地用運搬車に関するものである。
[従来の技術] この種の運搬車として、例えば、ラック部を有してなる
軌条に走行可能に乗駕され前記ラック部に噛合する駆動
輪を有してなる車体と、この車体に搭載したエンジン
と、このエンジンの動力を前記駆動輪に伝達する変速機
とを具備してなる自走式のものが知られている。そし
て、建材や生コンクリート等を高地に存在する工事現場
に運搬する際等に使用される重量物輸送用の運搬車にお
いては、前記変速機として、前進および後進に対してそ
れぞれ高速と低速の2段階に切換え得るようにしたもの
が一般に採用されている。
なお、このような運搬車には、荷物を積んで坂を降りる
際に速度が過剰になるのを防止するための安全対策とし
て、降坂ブレーキ装置を装備することが義務付けられて
いる。
しかして、近時の降坂ブレーキ装置としては、変速機の
切換歯車よりも後段の回転軸を固定ブレーキドラムの軸
心部に延長してブレーキ軸を構成し、このブレーキ軸
に、遠心力によりブレーキシューを固定ドラムに押付け
て制動作用を発揮させ得るようにした遠心式ブレーキ機
構を装着したものが知られている。
ところで、従来のものは、単一の遠心式ブレーキ機構に
よって切換歯車よりも後段側の回転軸に制動をかけ得る
ようにしている。そのため、予め定めた一定の作動設定
速度に達すると、前記遠心式ブレーキ機構が作動して運
搬車に制動がかけられるが、その作動設定速度は、台車
に大量の荷物を積載して低速で降坂する際の安全性を最
優先させて決定すべきものであるため、あまり高い値に
設定することはできない。したがって、変速機を高速位
置にセットして空又はそれに近い台車を高所から載荷位
置に戻すような場合に、その高速化に大きな制限を受け
る。
このような不具合に対処する方策として、前記変速機が
高速位置に切換られた場合のみ前記低速用の遠心式ブレ
ーキ機構を前記回転軸から切離すためのブレーキ切離機
構を付設したものが開発されている。
しかして、このようにすれば、例えば、高所に存在する
工事現場への資材輸送に使用するような場合に、その運
搬作業を能率よく行うことが可能となる。すなわち、こ
の装置では、変速機を高速位置にセットして、空車で工
事現場から載荷場に降坂しつつ復帰する際に、前記遠心
式ブレーキ機構により回転軸に制動がかけられることが
なくなるので、エンジンブレーキのみによって軽快に降
坂することが可能になる。そのため、載荷低速時の安全
性を損ねることなしに、空車高速降坂が可能となり、前
進、後進を繰返し行う資材輸送作業等の能率を向上させ
ることができる。
[考案が解決しようとする課題] ところが、このように単一の遠心式クラッチ機構を高速
セット時に切離すように構成しておくと、変速機を高速
位置にセットした状態で、若干荷物を積み込んで前記工
事現場から載荷場へ降坂させるような場合に、エンジン
ブレーキのみでは制動が不十分になり、速度が上昇しす
ぎることがある。そのため、かかる状況で使用した場合
には、危険性が高くなり、また、この車両を所定位置で
停止させるための停車ブレーキに大きな負担がかかるこ
とになる。
本考案は、以上のような課題を解消することを目的とし
ている。
[課題を解決するための手段] 本考案は、このような目的を達成するために、次のよう
な構成を採用したものである。
すなわち、本考案に係る傾斜地用運搬車は、傾斜地に設
置された軌条に沿って走行する運搬車であって、前進お
よび後退に対してそれぞれ高速および低速の切換位置を
有してなる変速機と、この変速機の切換歯車よりも後段
の回転軸にそれぞれ制動をかける高速用の遠心式ブレー
キ機構及び低速用の遠心式ブレーキ機構と、前記変速機
が高速位置に切換られた場合に連動して自動的に前記低
速用の遠心式ブレーキ機構を前記回転軸から切離すブレ
ーキ切離機構とを具備してなることを特徴とする。
変速機の大型化を招くことなしに2種類の遠心式ブレー
キ機構を装着するには、1本の軸を中間で切断して軸心
が一致する2本の独立した軸にし、一方の軸に低速用の
遠心式ブレーキ機構を設けるとともに、他方の軸に高速
用の遠心式ブレーキ機構を設けるのが特に好ましい。
[作用] このような構成のものであれば、変速機を低速位置にセ
ットしている場合には、低速用の遠心式ブレーキ機構及
び高速用の遠心式ブレーキ機構の両方が、変速機の切換
歯車よりも後段の回転軸に接続された状態にある。一
方、変速機を高速位置に切換えると、それに連動して、
ブレーキ切離機構の働きにより低速用の遠心式ブレーキ
機構のみが変速機の切換歯車よりも後段の回転軸から切
離されることになる。すなわち、前記回転軸には、高速
用の遠心ブレーキ機構のみが接続された状態となる。
そのため、変速機を高速位置にセットし、空車または若
干の荷物を積み込んで降坂するような場合に、勾配が比
較的急であったり、その載荷重量が比較的大きいことに
起因して、その速度が所定の高速用作動設定速度に達す
るようなことがあると、高速用の遠心式ブレーキ機構が
制動作用を発揮する。したがって、いかなる場合でも、
その速度が過大になることがない。
よって、空車時のみならす荷物を積んだ場合でも、その
荷物が比較的軽量である場合には、変速機を高速位置に
セットして、迅速かつ安全に降坂させることが可能とな
り、運搬作業の能率を飛躍的に向上させることができ
る。そして、この運搬車の最高速度は、前述のように高
速用の遠心式ブレーキ機構により一定以下の値に抑制さ
れるので、該運搬車を所定位置で停止させる際に使用す
る停止ブレーキへの負担も過大になることがない。その
ため、該停止ブレーキの耐久性を向上させることもでき
る。
しかも、このようなものであれば、変速機を低速に切換
えた状態で、降坂する際には、低速用の遠心式ブレーキ
機構の作動により回転軸に制動がかけられるので、積載
した荷物が重い場合でも、降坂速度が過大になるという
事態を招くことはないのは勿論である。なお、従来のも
のは、仮に、重い荷物を積載した状態で、遠心式ブレー
キ機構が故障してその制動機能を失った場合又は、ニュ
ートラル状態を一瞬生じさせた場合には、運搬車がその
重い荷物と共に暴走し非常に危険であるが、本考案で
は、万が一、低速用の遠心式ブレーキ機構がその制動機
能を失っても、ある程度速度が上昇すると次に高速用の
遠心式ブレーキ機構がその制動機能を発揮するので、最
悪の事態は回避できる。すなわち、2つの遠心式ブレー
キが同時に故障する確率は、単一の遠心式ブレーキが故
障する確率よりも遥かに低いため、その安全性を大幅に
向上させることもできる。
[実施例] 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明する。
運搬車1と、この運搬車1に連結した台車2とを、傾斜
面3に敷設した軌条4に沿って走行させ得るようにして
いる。
運搬車1は、前記軌条4に走行可能に跨座させた車体5
を有しており、この車体5に、前記軌条4の上面に転接
する上部車輪(図示せず)と、前記軌条4の下面に設け
たラック歯に噛合する駆動輪6とを軸着している。そし
て、この車体5上にエンジン7を搭載するとともに、車
体5の一側部に前記エンジン7の動力を前記駆動輪6に
伝達する変速機8を装着している。
変速機8は、図示しない操作レバーの操作により、高速
前進(空車又は軽い荷物を積載した状態での前進)、低
速前進(積荷前進)、高速後進(空車又は軽い荷物を積
載した状態での後進)、低速後進(積荷後進)の4段階
に切換え得るようにしたものである。具体的に説明すれ
ば、この変速機8は、例えば、第1図に概略的に示すよ
うに、遠心クラッチ9を介して入力されたエンジン7の
動力を第1の回転軸11、高速用の切換歯車12、13または
低速用の切換歯車14、15、第2の回転軸16、歯車17、18
または歯車17、19、21、第3の回転軸22、歯車23、24、
第4の回転軸25、歯車26、27、28、29、第5の回転軸3
1、歯車32、33、第6の回転軸34を介して駆動輪6に伝
達し得るようになっている。第1の回転軸11の外周に
は、第2図に示すように、スプライン部11aが形成され
ており、そのスプライン部11aに、前記高速用切換歯車1
2と前記低速用切換歯車14とを軸心方向にスライド可能
に装着している。前記両切換歯車12、14はシフトスリー
ブ36により一体化構成されており、一体的にスライドし
得るようにしてある。そして、前記操作レバーの操作に
より軸A回りに回動する回動アーム37の先端部にシフト
ピン38を突設し、そのシフトピン38を前記シフトスリー
ブ36の外周に形成した係合溝36aに係合させている。し
かして、このシフトピン38は、回動アーム37の回動によ
り、高速位置aから低速位置bまでの間で移動し得るよ
うになっており、このシフトピン38に付勢されて前記両
歯車12、14がスライド移動するようになっている。一
方、前記高速用切換歯車13および前記低速用切換歯車15
は、前記第2の回転軸16に一定の間隔をあけて固着され
ており、前記両高速用切換歯車12、13同士が噛合する高
速位置a(第3図参照)では、前記低速用切換歯車14、
15同士の噛合が解除され、前記両低速用切換歯車14、15
同士が噛合する低速位置b(第2図参照)では、前記高
速用切換歯車12、13同士の噛合が解除されるようにして
ある。そして、前記高速位置aと前記低速位置bの中間
に設定した中立位置cにおいては、前記高速用切換歯車
12、13同士の噛合および前記低速用切換歯車14、15同士
の噛合がそれぞれ解除されるようになっている。また、
第2の回転軸16の外周にスプライン部16aを形成し、こ
のスプライン部16aに前後進切換用の歯車17を軸心方向
に進退可能に嵌装している。一方、前記歯車18,21は、
第3の回転軸22に一定の間隔をあけて固着されており、
前記歯車21には、反転用歯車19が噛合させてある。な
お、前記歯車17の一側には、シフトスリーブ41が形成さ
れており、このシフトスリーブ41の外周に形成した係合
溝41aに、操作レバーの操作により軸B回りに回動する
回動アーム42のシフトピン43を係合させている。しかし
て、このシフトピン43は、正転位置dから逆転位置eま
での間で移動し得るようになっており、このシフトピン
43に付勢されて、前記歯車17がスライド移動するように
なっている。そして、前記前後進切換用の歯車17は、正
転位置dにおいて前記歯車18に噛合し(第2図参照)、
逆転位置eにおいて前記反転用の歯車19に噛合する(第
3図参照)ようになっている。なお、前記第3の回転軸
22の一端部22aは、ブレーキ軸44の内方端部44aの内周に
軸受45を介して相対回転可能に支持されており、このブ
レーキ軸44は対をなすベアリング46を介してケーシング
47に支持されている。そして、このブレーキ軸44の内方
端部44aの外周に歯車48を固着し、この歯車48を第2の
回転軸16に軸装した歯車49に噛合させている。ブレーキ
軸44の外方端側はケーシング47の外面に固着したブレー
キドラム51の軸心部に位置させており、このブレーキ軸
44の外方端側に低速用の遠心式ブレーキ機構52を装着し
ている。低速用の遠心式ブレーキ機構52は、前記ブレー
キ軸44の外周に固設したボス部53にブレーキシュー54を
径方向に進退可能に保持させ、このブレーキシュー54を
スプリング55の付勢力により内方に弾性付勢するように
した通常のもので、遠心力が前記スプリング55の付勢力
に打勝って前記ブレーキシュー54が前記ブレーキドラム
51の内周に押付けられた場合に、前記ブレーキ軸44に制
動がかかるようになっている。換言すれば、切換歯車1
2、13、14、15よりも後段の回転軸16の回転が予め定め
た低速用作動設定値を上回ると、前記低速用の遠心式ブ
レーキ機構52が作動して、該回転軸16に制動力が作用す
るようになっている。そして、前記ブレーキ軸44と前記
第2の回転軸16との間に、ブレーキ切離機構56を設けて
いる。
ブレーキ切離機構56は、前記歯車49を第2の回転軸16の
外周に形成したスプライン部16aに軸心方向に進退可能
に嵌装するとともに、この歯車49の一側にシフトスリー
ブ57を形成している。そして、前記切換歯車12、14を軸
心方向に付勢するための回転アーム37の基端を反先端側
に延長し、その延長端37aに設けたシフトピン58を前記
シフトスリーブ57の外周に設けた係合溝57aに係合させ
ている。しかして、前記回動アーム37を低速位置bおよ
び中立位置cに回動させている場合には、前記歯車49が
前記ブレーキ軸44の歯車48に噛合しているが、前記回動
アーム37を高速位置aに回動させた場合には、前記歯車
49が前記歯車48から外れるように設定してある。
また、前記第3の回転軸22の他端部22bは、ケーシング4
7の外面に固着したブレーキドラム62の軸心部に位置さ
せており、この回転軸22の他端部22bの外方端側に高速
用の遠心式ブレーキ機構63を装着している。高速用の遠
心式ブレーキ機構63は、前記回転軸22の他端部22bの外
周に固設したボス部64にブレーキシュー65を径方向に進
退可能に保持させ、このブレーキシュー65をスプリング
66の付勢力により内方に弾性付勢するようにした通常の
もので、遠心力が前記スプリング66の付勢力に打勝って
前記ブレーキシュー65が前記ブレーキドラム62の内周に
押付けられた場合に、前記ブレーキ軸61に制動がかかる
ようになっている。換言すれば、切換歯車12、13、14、
15よりも後段の回転軸22の回転が予め定めた高速用作動
設定値を上回ると、前記高速用の遠心式ブレーキ機構63
が作動して、該回転軸22に制動力が作用するようになっ
ている。高速用作動設定値は、前記低速用作動設定値よ
りも高速側に定めてあるのは勿論であり、低速用の遠心
式ブレーキ機構52が回転軸16に接続されている場合に
は、該遠心式ブレーキ機構52が優先して制動作用を営む
ようになっている。しかして、この実施例のものは、1
本の軸を途中で中断して軸心が一致する2本の独立した
軸22、44にし、一方の軸(ブレーキ軸)44に低速用の遠
心式ブレーキ機構52を設けるとともに、他方の軸(回転
軸22)に高速用の遠心式ブレーキ機構63を設けている。
ブレーキ軸44は、対をなすベアリング46を介してケーシ
ング47に支持させてあり、前記回転軸22の一端部22aは
軸受45を介して前記ブレーキ軸44の内方端部44aに支持
させてある。そして、その回転軸22の他端近傍部をベア
リング61を介してケーシング47に支持させている。
なお、前記第4の回転軸25には、従来の単軌条運搬車
(モノレール)と同様に、停止ブレーキ71および緊急ブ
レーキ72が設けてある。
次いで、この実施例の作動を説明する。例えば、低地に
設定した載荷場Iから建材や生コンクリート等の資材を
高所の工事現場IIに運び上げる場合には、まず、載荷場
Iで台車2に資材を積載し、操作レバーを低速前進にセ
ットする。この場合には、回動アーム37のシフトピン38
が低速位置bに移行して低速用の切換歯車14、17同士が
噛合するとともに、回動アーム42が正転位置dに移行し
て歯車17が歯車18に噛合する。そのため、エンジン7の
動力が、第1図および第2図に示すように、第1の回転
軸11→低速用の切換歯車14、15→第2の回転軸16→歯車
17、18と伝達されることになり、従来のものと同様に低
速高トルク状態で前進し傾斜面3を登ることになる。そ
して、工事現場IIに到着し、資材を下ろした後に、操作
レバーを高速後進にセットする。この場合には、第3図
に示すように、回動アーム37のシフトピン38が高速位置
aに移行して高速用の切換歯車12、13が噛合するととも
に、回動アーム42のシフトピン43が逆転位置eに移行し
て前記歯車17が反転用歯車19を介して歯車21に接続され
ることになる。そのため、エンジン7の動力が、第3図
に示すように、第1の回転軸11→高速用の切換歯車12、
13→第2の回転軸16→歯車17、19、21と伝達されること
になる。そして、この切換を行うために、回動アーム37
が回動すると、その延長端37aのシフトピン58に付勢さ
れて歯車49が軸心方向にスライドし、ブレーキ軸44の歯
車48から外れる。その結果、回転軸16とブレーキ軸44と
の連結が断たれ、低速用の遠心式ブレーキ機構52が回転
軸16から切離される。そのため、運搬車1は、低速側の
遠心式ブレーキ機構52の影響を一切受けることなしに、
空の台車2とともに高速で傾斜面3を降りることにな
る。したがって、載荷場Iへの倍速復帰が可能となり、
このような往復動作を繰返す資材搬入作業の能率を向上
させることができる。しかも、このものは高速用の遠心
式ブレーキ機構63をも備えており、このブレーキ機構63
は変速機が高速位置にセットされた場合でも回転軸22か
ら切り離されることがないので、この高速後進時にも、
ある程度の荷物を載置することが可能となり、運搬効率
がさらに向上する。すなわち、この運搬車1によれば、
高速後進により降坂する際に、台車2に積載した荷物の
影響で速度が上昇しはじめても、その速度が高速用作動
設定値に達すると、高速用の遠心式ブレーキ機構63が作
動を開始し、回転軸22に制動がかけられる。そのため、
運搬車1が暴走することはなく、比較的高速ではあるが
安全に載荷場Iに向けて降坂することができる。したが
って、この台車2に資材の一部や工具等の荷物を積載し
た場合でも、その荷が比較的軽い場合には、変速機を高
速位置にセットして運転することが可能となり、種々の
態様の運搬を安全性を損ねることなしに効率よく行うこ
とができる。そして、このように運搬車1の最高速度が
高速用の遠心式ブレーキ機構63により一定以下に規制さ
れるようになっていると、この運搬車1を載荷場I等で
停止させるための停止ブレーキ71に不測の負荷が作用す
ることがなくなる。そのため、この停止ブレーキ71の耐
久性の低下を防止することもできる。
しかも、このようなものであれば、変速機8を低速後進
に切換えた状態で、重い荷物を積んで降坂する際は、回
動アーム37が低速位置bにセットされるため歯車49が歯
車48に噛合して回転軸16とブレーキ軸44とが連結され
る。そのため、走行速度が低速用作動設定値に達する
と、低速用の遠心式ブレーキ機構52が作動して回転軸16
に制動がかけられる。したがって、荷重が大きい場合
も、降坂速度が過大になるという事態が生じるのを防止
することができるのは勿論であり、安全性を確保するこ
とができる。特に、この運搬車1では、万が一、低速用
の遠心式ブレーキ機構52がその制動機能を失うようなこ
とがあっても、ある程度速度が上昇すると次に高速用の
遠心式ブレーキ機構63がその制動機能を発揮するので、
最悪の事態は回避できる。すなわち、2つの遠心式ブレ
ーキ52、63が同時に故障する確率は、単一の遠心式ブレ
ーキが故障する確率よりも遥かに低いため、その安全性
を大幅に向上させることもできる。
なお、運搬車および台車を支持する軌条は、単軌条式の
ものであると複軌条式のものであるとを問わない。
また、ブレーキ切離機構の構成も、図示実施例に限定さ
れるものではなく、要するに切換歯車が高速位置に切換
えられた際に、低速用の遠心式ブレーキ機構を自動的に
変速機の回転軸から実質的に切離し得るものであればよ
い。
[考案の効果] 以上詳述したように、本考案は変速機を高速位置に切換
えた場合に設定作動速度の低い低速用の遠心式ブレーキ
機構を該変速機の回転軸から実質的に切離すようにして
いるので、高所から低所への無理のない倍速復帰が可能
となる。そのため、荷物を低所から高所に運搬し、空で
高所から低所に復帰する動作を繰返すような態様の輸送
作業を能率よく行うことができる。したがって、迅速に
工事用の資材を高所の現場に運び上げたいというような
要望にも十分に応えることができるものである。
しかも、変速機の切換状態の如何にかかわらず、高速用
の遠心式ブレーキ機構で最高速度を規制し得るようにし
ているので、荷物を積んで高所から低所に向けて降坂す
るような場合でも、その荷が比較的軽い場合には、変速
機を高速位置にセットして、迅速かつ安全に降坂させる
ことが可能となり、この点からも、運搬の効率を飛躍的
に向上させることができるものである。また、高速用の
遠心式ブレーキ機構により、速度が過大になるのを防止
できるようにしておけば、運搬車を所定位置に停止させ
るための停止ブレーキに不測の大荷重が作用することが
なくなる。そのため、停止ブレーキの耐久性を向上させ
ることもできる。
なお、変速機を低速位置に切換えると低速用の遠心式ブ
レーキ機構が該変速機の回転軸に連結され、従来通りの
降坂ブレーキとして作用することになるので、重い荷物
を高所から低所へ運搬する場合の安全性が損なわれるよ
うな不都合もない。特に、このものは変速機を低速位置
にセットした場合には、切換歯車よりも後段側の回転軸
に低速用のブレーキ機構と、高速用のブレーキ機構の両
方が接続された状態になるので、台車に大重量の荷物を
満載して降坂するような場合に、万が一、低速用のブレ
ーキ機構が故障しても、次に高速用のブレーキ機構が補
助的に制動作用を発揮することになるので、最悪の暴走
事故を有効に回避することができる。したがって、安全
性並びに信頼性を飛躍的に向上させることが可能とな
る。
また、一本の軸を中間で切断して軸心が一致する2本の
独立した軸にし、それらの軸に低速用及び高速用の遠心
式ブレーキ機構をそれぞれ設けるようにすれば、2種類
の遠心式ブレーキ機構を、あたかも1本の軸の両端に装
着するような態様で配置することができる。そのため、
変速機の内部に格別な軸を付加するためのスペースを確
保する必要がなくなり、大型化を有効に防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
図面は本考案の一実施例を示し、第1図は概略的な構造
説明図、第2図および第3図は要部を示す断面図、第4
図は一部省略した全体図である。 1……運搬車、2……台車 3……傾斜面、4……軌条 7……エンジン、8……変速機 12、13、14、15……切換歯車 16……回転軸 22、24……2本の独立した軸 35……駆動輪 52……低速用の遠心式ブレーキ機構 56……ブレーキ切離機構 63……高速用の遠心式ブレーキ機構

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】傾斜地に設置された軌条に沿って走行する
    運搬車であって、前進および後退に対してそれぞれ高速
    および低速の切換位置を有してなる変速機と、この変速
    機の切換歯車よりも後段の回転軸にそれぞれ制動をかけ
    る高速用の遠心式ブレーキ機構及び低速用の遠心式ブレ
    ーキ機構と、前記変速機が高速位置に切換られた場合に
    連動して自動的に前記低速用の遠心式ブレーキ機構を前
    記回転軸から切離すブレーキ切離機構とを具備してなる
    ことを特徴とする傾斜地用運搬車。
  2. 【請求項2】1本の軸を中間で切断して軸心が一致する
    2本の独立した軸にし、一方の軸に低速用の遠心式ブレ
    ーキ機構を設けるとともに、他方の軸に高速用の遠心式
    ブレーキ機構を設けたことを特徴とする請求項1記載の
    傾斜地用運搬車。
JP5508089U 1989-05-13 1989-05-13 傾斜地用運搬車 Expired - Lifetime JPH0747248Y2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5508089U JPH0747248Y2 (ja) 1989-05-13 1989-05-13 傾斜地用運搬車

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5508089U JPH0747248Y2 (ja) 1989-05-13 1989-05-13 傾斜地用運搬車

Publications (2)

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JPH02145562U JPH02145562U (ja) 1990-12-11
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