JPH0746639Y2 - まき網漁船の付属作業艇のプロペラガード装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案はまき網漁船が漁撈作業を行う際、網やロープを
曳くために漁船に曳航、或いは搭載されて漁場に随伴す
る付属作業艇のプロペラ（スクリュー）ガード装置に関
する。

〈従来の技術〉 上記付属作業艇は漁船が漁場で漁撈作業中に仕掛けたま
き網の浮子、浮子網の上を横切って海面を自走し、網や
ロープを曳くなどの補助作業を行うため、船底の自走用
プロペラを堅固なガードで囲み、網やその付属物がプロ
ペラに巻付くのを防止する。

〈考案が解決しようとする課題〉 船底のプロペラを囲むガードは多くは船底に固定設備と
して設けられている。このため、ガードの水中での抵抗
によって艇速が制限され、遅い。又、漁船に曳航されて
漁場に向かい、或いは港に帰るときは漁船の曳航速力を
低下させる。

このため、従来の付属作業艇は漁撈作業中の付属作業を
する以外に用途がなく、魚群を探索したり、追尾したり
する漁撈作業以外の目的に使用できない。

〈課題を解決するための手段〉 そこで本考案ではまき網漁船の付属作業艇のプロペラガ
ード装置として、船尾の横軸に基端を固定した一対の旋
回アームと、これらアーム間に取付けたプロペラガード
と、上記横軸に固定したスプロケットホイールと、上記
スプロケットホイールの船外側半周に中間部分を巻付け
た短いチェーンと、上記チェーンの両端それぞれを船内
方向へけん引するよう船体に、上下に並べて取付けた二
本の油圧シリンダとを備え、 上側の上記油圧シリンダが上記チェーンを引き込んでい
る時、上記プロペラガードは上向き旋回して海面上の定
位置に保持され、下側の上記油圧シリンダがチェーンを
引き込んでいる時は上記プロペラガードは下向き旋回し
て、プロペラを囲む定位置に保持されるようにした事を
特徴とする。

〈作用〉 漁撈作業の付属作業に従事するときは油圧装置により旋
回アームを下向き旋回させ、該アームに固定したガード
で船底のプロペラを囲む。

又、漁船に曳航されるとき、或いは漁撈作業以外の作業
に従事するときは油圧装置で旋回アームを上向き旋回さ
せ、ガードを海面上に引き上げて置く。

〈実施例〉 図示の実施例において、１は付属作業艇、２は船底後部
にある自走用のプロペラ、３は該プロペラを囲むガード
を示す。

付属作業艇１の船尾外板の海面上に左右の軸受4,4で横
軸５を架設し、前記ガード３は上記横軸５に一端を結合
した対の旋回アーム6,6に固定してある。

そして、横軸５には、スプロケットホイール７を固定
し、このスプロケットホイールに半周を巻付けたチェー
ン８の各端部を艇内に固定した対の同ストロークの油圧
シリンダ９と10の各ピストン端に連結してある。上記対
のピストンシリンダ９と10は、一方がピストンをシリン
ダから伸長させる際、他方は伸長したピストンをシリン
ダ中に引っ込めるよう互いに反対に作動するように油圧
回路で同調関係にする。そして、各シリンダ9,10のスト
ロークはチェーン８を介してスプロケット６と一体に横
軸５を回動し、これにより旋回アーム６が第１図の実線
の状態に旋回してガード３でプロペラ２を囲む下向き旋
回後の定位置と、第１図の鎖線の状態に旋回してガード
３を海面上に引き上げる上向き旋回後の定位置になるよ
うに定める。

従って、漁撈作業の付属作業に従事するときは上のシリ
ンダ９のピストンを伸長し、下のシリンダがピストンを
引っ込めて旋回アーム６を下向き旋回させ、ガード３で
プロペラ２を囲む。

又、曳航されるとき、漁撈作業以外の魚群の探索や追尾
に従事するときは上のシリンダ９のピストンを引っ込
め、下のシリンダ10のピストンを伸長して旋回アーム６
を上向き旋回させ、ガード３を海面上に引き上げる。こ
れによりガード３は水中での抵抗にならないため自走の
際の艇速は増すと共に、曳航される場合に漁船の曳航速
力を増すことができる。

この実施例ではガード３がプロペラ２を囲んでいる状態
を確保するため、船底のガードと当接する部分には窪み
11、ガードには上記窪み11の一部に突入する突出片12を
夫々設けると共に、窪み11の内部にはピストンシリンダ
13で操作されるロックアーム14を枢着し、該シリンダの
ピストンの伸長によりロックアームに設けたピン15が突
出片12の孔12′に突入し、ガードを保持するようにして
ある。

しかし、このロック装置は必ずしも必要ではなく省略す
ることもできる。

〈考案の効果〉 ガードを海面上に引き上げて自走すると、ガードでプロ
ペラを囲っていた場合に比べて付属作業艇の自走速度は
約35％も向上する。このため、従来はまき網漁船の漁撈
作業の手助けしか行えなかった付属作業艇を広範囲の魚
群の探索や、魚群の追い込みの用途に使用できるように
なり、まき網漁船の漁獲確率の向上に寄与させることが
できる。

又、まき網漁船に曳航される際、その漁船の曳航速力を
増すことができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図は付属作
業艇の側面図、第２図は同上の要部の拡大側面図、第３
図は第２図の平面図である。 図中、１は付属作業艇、２はプロペラ、３はガード、４
は軸受、５は横軸、６は旋回アーム、７はスプロケット
ホイール、８はチェーン、９と10は油圧シリンダを示
す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】船尾の横軸に基端を固定した一対の旋回ア
   ームと、これらアーム間に取付けたプロペラガードと、
   上記横軸に固定したスプロケットホイールと、上記スプ
   ロケットホイールの船外側半周に中間部分を巻付けた短
   いチェーンと、上記チェーンの両端それぞれを船内方向
   へけん引するよう船体に、上下に並べて取付けた二本の
   油圧シリンダとを備え、 上側の上記油圧シリンダが上記チェーンを引き込んでい
   る時、上記プロペラガードは上向き旋回して海面上の定
   位置に保持され、下側の上記油圧シリンダがチェーンを
   引き込んでいる時は上記プロペラガードは下向き旋回し
   て、プロペラを囲む定位置に保持されるようにした事を
   特徴とするまき網漁船の付属作業艇のプロペラガード装
   置。