JPH0746272Y2 - 墜落防止用安全器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本願考案は送電線鉄塔，建築現場等において昇降時の墜
落を防止する為に用いる墜落防止用安全器に関するもの
である。

（従来の技術および問題点） 送電線鉄塔等高層物への昇降においては本出願人の開示
になる実開昭54−12648号等の墜落防止用安全器を昇降
経路に添って垂下張設した母線ロープに装着し、昇降者
との間を連結して行うものであった。

上記墜落防止用安全器の使用によって昇降移動中の墜落
事故は妨げるものであるが、昇降中に作業を行う必要が
ある場合、例えば、鉄塔の塗装工事を行う場合等におい
ては、昇降用の安全器を外し、腰部に装着した安全帯の
ロープを塔体に結着し直して作業を行うものであった。
塗装作業は比較的短時間で移動を必要とする為、再三に
わたるロープのかけ替えが必要となり、作業能率が低下
するばかりではなく、ロープかけ替えの間には無防備状
態が発生する為危険であった。

よって、墜落防止用の安全器の連結ロープを長くし、昇
降位置より横方向へ出て昇降と作業を一挙に行う方法が
用いられようとした。

墜落防止用の安全器は第１図に示すよう、親ロープ挿通
部内へ回動する梃子杆で親ロープを押圧して停止を行う
ものであり、墜落の非常時のみ梃子杆が回動作用し、親
ロープを押圧して落下阻止を行う使い方と、所定位置で
レバーによって梃子杆を押圧状態とし、親ロープの定位
置に停って、定位置作業を行う２通りの使用形態に対応
できるものである。

連結ロープを長くして昇降と作業を一挙に行う方法にお
いては、先ず、梃子杆に附勢するバネをレバーによって
解除し、昇降を行い、塔頂付近に至れば、レバー操作に
よって梃子杆にバネを附勢し、親ロープの定位置に安全
器を停めて塔体内へ移動し、塗装作業を行うものであ
る。

ところが所定範囲の塗装が終了し、下位置の次作業範囲
へ移動しようとするが、安全器は、上位置に停ってお
り、塗装直後の塔体は昇ることが出来ず、身動きのとれ
ない状態が発生する。

よって本願では以上のような問題を解決する手段を開示
するものである。

（問題点を解決するための手段） 上記の問題を解決する為には、下方よりの操作で梃子杆
を回動させ、親ロープとの押圧係合状態を解けば安全器
は親ロープに添って降下し、次の作業範囲に適した位置
迄安全器を移動させ得るものである。

その手段として、ローラ挿通保持体の上部、つまり、梃
子杆のロープ結合環より上位置にローラーを設け、梃子
杆のロープ結合環近辺に引ロープ一端を固定して、ロー
ラーで下方へ反転させ、連結ロープの人体係止部近辺迄
連続させておけば、必要時に、引ロープを引いて梃子杆
を回動させ、親ロープの押圧を解いて、下方へ向け、ス
ライド落下させることができるものである。

（実施例） 本願考案の一実施例を示すと、端面近似Ｕ状のロープ挿
通保持体１のＵ字底部を親ロープ挿通部２とし、該親ロ
ープ挿通部２内へ回動するロープ止爪３と、それに連続
するロープ結合環４で梃子杆６を形成し、該梃子杆６の
中央部に軸９を嵌挿して、ロープ挿通保持体１の一側で
蝶着10し、他側を開閉自在な開閉部11とする。開閉部11
の開放操作によって、親ロープ挿通部２が開放され、親
ロープＲへの装着が可能となるものである。

梃子杆６にはバネ12を配して、常時にはロープ止爪３が
親ロープ挿通部２のＵ字底をゆるく押圧するものとし、
又、レバー13をバネ14を配して設け、梃子杆６と係合さ
せて、親ロープ挿通部２底方向を強く押圧する位置と、
レバー13を解除して梃子杆６が自由に回動する位置を選
択可能に構成する。ロープ挿通保持体１の上方端にはロ
ーラー７を突出して設け梃子杆６のロープ結合環４近辺
には、ピン15を設け、該ピン15には細径の引ロープ８を
固定し、ローラー７上へ引き通す。

ロープ結合環４には、作業予定範囲を全て網羅できる長
さのロープ５を結着し、人体腰部の安全帯との連結用フ
ック16を設ける。ロープ５が長尺になるにつれ墜落防止
時の衝撃荷重も増加する為、ロープ５中間所定部には衝
撃緩衝体17を配するものである。

前記した引ロープ８とロープ５はその径が異る為、見分
けはつくものであるが、念の為、着色を異らせるもので
ある。又、引ロープ８の先端にはロープ５のフック部近
辺へ仮留めしておく為の引ロープ止め具18を設ける。

以上の構成の本願考案であるが、第４図に示すよう、工
事予定の鉄塔へ垂下した親ロープＲに装着し、昇塔を行
い、塔頂部に達すれば、レバー13を操作して安全器を定
位置に停止させ、塗装作業に入るものである。

上部より順に塗装を行い下方へ移動し、ロープ５の長さ
が一杯になった地点で引ロープ８を引くと、ローラー７
で反転した引き方向で、梃子杆６が上方へ引かれて回動
し、親ロープＲの押圧係止が解かれ、安全器は滑り降り
て来るものである。一気に滑り落ちるのを防ぐには、引
ロープ８の引き方を短時間づつ繰り返すことにより、レ
バー13のバネの附勢により開放，押圧を繰り返しながら
徐々に降りて来るものである。

（考案の効果） 以上のように本願考案を用いることにより、塗装作業の
ように、再び安全器を操作不可能となるような状況にお
いても、墜落防止用安全器の使用が可能となり、よって
安全帯ロープの付け替えによる無防備状態も発生せず、
安全な作業が行えるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本案安全器の正面図、 第２図はその底面図、 第３図は本案のセット状態図、 第４図は使用状態説明図。 図中の符号 １…ロープ挿通保持体、２…親ロープ挿通部 ３…ロープ止爪、４…ロープ連結環 ５…連結ロープ、６…梃子杆 ７…ローラー、８…引ロープ ９…軸、10…蝶着 11…開閉部、12,14…バネ 13…レバー、15…ピン 16…連結用フック、17…衝撃緩衝体 18…引ロープ止め具

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ロープ挿通保持体１の親ロープ挿通部２内
   へ回動するロープ止爪３とそれに連続したロープ結合環
   ４に人体との連結ロープ５を設けた梃子杆６を有する墜
   落防止用安全器において、親ロープＲへ装着状態におい
   てロープ挿通保持体１上部にローラー７を設け、梃子杆
   ６のロープ結合環４近辺に一端を固定し、ローラー７に
   引通して下方へ向け反転して、連結ロープ５とほぼ同長
   の引ロープ８を設けたことを特徴とする墜落防止用安全
   器。