JPH0745709B2 - 表面硬化処理方法 - Google Patents

表面硬化処理方法

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JPH0745709B2
JPH0745709B2 JP63125322A JP12532288A JPH0745709B2 JP H0745709 B2 JPH0745709 B2 JP H0745709B2 JP 63125322 A JP63125322 A JP 63125322A JP 12532288 A JP12532288 A JP 12532288A JP H0745709 B2 JPH0745709 B2 JP H0745709B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、表面硬化処理方法に関するものであり、さら
に詳しくは鉄鋼材料にて形成した物品の表面硬化処理方
法に関するものである。
[従来の技術と解決しようとする課題] スパッタリング法あるいはイオンプレーティング法など
の物理的薄膜形成法(PVD法)を鉄鋼材料などの表面硬
化処理に用いることは、従来より数多く行なわれてお
り、射出成形用金型やドットプリンタの印字ワイヤなど
では、スパッタリング法により窒化チタンなどの金属窒
化物による表面硬化被膜を形成したものが知られてい
る。
ところで、近来では、金属粉末混入型硬化プラスチック
などの高硬度プラスチック、あるいはフェライト混入型
の磁性プラスチックなどの需要が高まっており、それに
ともなって成形用金型にもより高度な耐摩耗性が要求さ
れている。またドットプリンタの長寿命化のためには、
プリンタヘッドを構成する印字ワイヤの耐摩耗性の向上
が不可欠である。このように、現在、各技術分野におい
て、高度な耐摩耗性を付与することができる表面硬化処
理技術が要求されており、この要求に応えるため、高硬
度素材である炭化ケイ素を表面硬化処理に用いることが
検討されている。
ところが、炭化ケイ素は、金属窒化物に比べて極めて高
い硬度を有する反面、衝撃時にクラックが発生し易く、
しかも鉄鋼材料表面との密着性が悪いため衝撃時に剥離
し易く、耐衝撃性に劣り、また加熱冷却時において鉄鋼
材料との熱膨張差に起因して剥離し易く、耐熱衝撃性に
劣り、実用化に至っていないのが実情である。
[発明の目的] 本発明の目的は、極めて高い耐摩耗性、耐衝撃性および
耐熱衝撃性を付与できる表面硬化処理方法を提供するこ
とにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、鉄鋼材料からなる被処理材の表面に物理的薄
膜形成法により表面硬化被膜を形成する表面硬化処理方
法であって、被処理材の表面に窒化チタン被膜を形成
し、当該窒化チタン被膜の表面に10〜25重量パーセント
の酸化ケイ素を含有する炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物
被膜を表面硬化被膜の最外層被膜として形成するかある
いは被処理材の表面に金属チタン被膜を形成し、当該金
属チタン被膜の表面に窒化チタン被膜を形成し、当該窒
化チタン被膜の表面に10〜25重量パーセントの酸化ケイ
素を含有する炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜を表面
硬化被膜の最外層被膜として形成することを特徴として
いる。
[作用] 炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜が表面硬化被膜の最
外層被膜として形成され、この複合物被膜に含有されて
いる酸化ケイ素が当該複合物被膜の密着性を高めて衝撃
時の該複号物被膜の剥離防止に寄与するとともに、当該
酸化ケイ素が炭化ケイ素同志のバインダとしても作用し
て衝撃時のクラックの発生防止に寄与する。特に、酸化
ケイ素の含有量が10〜25重量パーセントの範囲であるた
め、高い表面硬度を維持したまま衝撃時の剥離やクラッ
クの発生防止に有効に寄与する。
また、炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜と被処理材と
の間に両者の結合力を高め、かつ両者の中間の熱膨張係
数を有する窒化チタン被膜単独あるいは窒化チタン被膜
と金属チタン被膜とが介在され、これらが衝撃時の炭化
ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜の剥離防止に寄与し、か
つ加熱冷却時に被処理材と炭化ケイ素−酸化ケイ素複合
物被膜との間に生ずる熱膨張差に起因する剥離に対する
緩衝材として作用して熱衝撃時の炭化ケイ素−酸化ケイ
素複合物被膜の剥離防止に寄与する。なお、窒化チタン
被膜は炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜と被処理材と
の間、あるいは炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜と金
属チタン被膜との間に介在され、これらの結合材および
これらの加熱冷却時における熱膨張差に起因する剥離に
対する緩衝材として作用する。また、金属チタン被膜は
窒化チタン被膜と被処理材との間に介在され、これらの
結合材およびこれらの加熱冷却時における熱膨張差に起
因する剥離に対する緩衝材として作用する。
そして、炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜の高い表面
硬度の維持により、高い耐摩耗性を付与でき、炭化ケイ
素−酸化ケイ素複合物被膜の衝撃時の剥離やクラックの
発生防止作用および窒化チタン被膜単独あるいは窒化チ
タン被膜と金属チタン被膜による炭化ケイ素−酸化ケイ
素複合物被膜の衝撃時の剥離防止作用の相互作用によ
り、高い衝撃性を付与でき、窒化チタン被膜単独あるい
は窒化チタン被膜と金属チタン被膜による炭化ケイ素−
酸化ケイ素複合物被膜の熱衝撃時の剥離防止作用によ
り、高い熱衝撃性を付与できる。
[実施例] 以下、図面に基づいて本発明の実施例について説明す
る。
(実施例1) 本発明の表面硬化処理方法を磁場成形用金型に適用した
実施例について説明する。
実施例1A 第1図に本発明による表面硬化処理を施した磁場成形用
金型1の金属組織写真を示す。本実施例では、金型1を
非磁性超硬合金鋼にて形成している。
先ず、スパッタリング装置(図示せず。)内をアルゴン
ガス雰囲気とし、成形用金型1を載置した電極テーブル
を陰極として逆スパッタリングを行なう。これにより金
型1がスパッタエッチングされる。ついで該雰囲気をア
ルゴンガス雰囲気としたまま金属チタンをターゲットと
して高周波スパッタリングを行なう。これにより金型1
の表面に金属チタン被膜2が形成される。その後、スパ
ッタリング装置内をアルゴンガスに窒素ガスを少量混入
した雰囲気とし、金属チタンをターゲットとして高周波
スパッタリングによる反応性スパッタリングを行なう。
これにより金属チタン被膜2の表面に窒化チタン被膜3
が形成される。その後、再びアルゴンガスのみの雰囲気
とし、予め作成しておいた炭化ケイ素−酸化ケイ素複合
物(酸化ケイ素含有量20重量パーセント)をターゲット
として高周波スパッタリングを行なう。これにより、窒
化チタン被膜3の表面に20重量パーセントの酸化ケイ素
を含有する炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜4が表面
硬化被膜の最外層被膜として形成される。
なお、上述した工程は、それぞれ同一スパッタリング装
置において連続して行なったものであり、各工程におけ
る処理条件は以下の通りである。
スパッタエッチング 高周波出力 5Watt/cm2 アルゴンガス圧 6.0×10-1Pa 到達真空度 1.0×10-3Pa スパッタリング時間 10min 金属チタンスパッタリング 高周波出力 8Watt/cm2 アルゴンガス圧 6.0×10-1Pa 到達真空度 1.0×10-3Pa ワーク温度 240℃ スパッタリング時間 20min 窒化チタンスパッタリング 高周波出力 8Watt/cm2 混合ガス圧 6.0×10-1Pa 窒素分圧 3.0×10-2Pa 到達真空度 1.0×10-3Pa ワーク温度 240℃ スパッタリング時間 3hour 炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物スパッタリング 高周波出力 8Watt/cm2 アルゴンガス圧 6.0×10-1Pa 到達真空度 1.0×10-3Pa ワーク温度 300℃ スパッタリング時間 6hour この条件によって金属チタン被膜2の膜厚は0.4μm、
窒化チタン被膜3の膜厚は約3.0μm,炭化ケイ素−酸化
ケイ素複合物被膜4の膜厚は約6.0μmが得られた。そ
して、最外層の炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜4の
表面硬度はマイクロビカース硬度で2000〜2300HVを得る
ことができ、衝撃試験および熱衝撃試験においても優れ
た特性を示した。なお、金型1の内層組織には何等変態
を生じず、所要の非磁性特性および靭性を維持している
ことが確認された。
その結果、耐摩耗性、耐衝撃性、耐熱衝撃性および磁気
特性に優れた磁場成形用金型を得ることができた。
なお、本実施例において、金属チタン被膜2および窒化
チタン被膜3は耐摩耗性向上のための表面硬化被膜とな
っているだけでなく、以下の作用をも有する。すなわ
ち、金属チタン被膜2は、金型1の表面と窒化チタン被
膜3との密着性を向上させる結合材としても作用して衝
撃時の炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜4の剥離防止
に寄与する。窒化チタン被膜3は金属チタン被膜2と炭
化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜4との密着性を向上さ
せるための結合材として作用して衝撃時の炭化ケイ素−
酸化ケイ素複合物被膜4の剥離防止に寄与する。さら
に、この金属チタン被膜2および窒化チタン被膜3は、
加熱冷却時において鉄鋼材料表面と炭化ケイ素−酸化ケ
イ素複合物被膜4との間に生じる熱膨張差に起因する剥
離に対する緩衝材としても熱衝撃時の複合物被膜4の剥
離防止に寄与する。
また、炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜4に含有され
ている酸化ケイ素は、窒化チタン被膜3と複合物被膜4
との密着性を高めて衝撃時の複合物被膜4の剥離防止に
寄与するとともに、炭化ケイ素同志のバインダとしても
作用して衝撃時のクラックの発生防止に寄与する。
なお、炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜4における酸
化ケイ素の含有量は、10重量パーセント以下であると密
着性が低下して衝撃時に剥離が生じ易くなり、25重量パ
ーセント以上であると高い表面硬度を維持できないこと
が確認された。すなわち、高い表面硬度を維持したまま
衝撃時の剥離やクラックの発生防止に有効に寄与するた
めには、複合物被膜4の酸化ケイ素の含有量は、10〜25
重量パーセントであることが望ましい。
実施例1B 第2図はオーステナイト系ステンレス(一例としてSUS3
04)の磁場成形用金型4に本発明の表面硬化処理方法を
施したものの金属組織写真である。なお第2図において
第1図のものと実質的に同一にものには同一符号が付し
てある。
本実施例は、オーステナイト系ステンレスが一般に非磁
性であって磁場成形用金型の材料として適しているこ
と、およびステンレス鋼の表面に形成されている酸化ク
ロム被膜が窒化チタンに対して極めて優れた結合性を有
することに着目したものである。
本実施例では、実施例1Aにて形成した金属チタン被膜2
(第1図示)の形成を省略し、金型5の表面に窒化チタ
ン被膜3をダイレクトに形成し、その上層に炭化ケイ素
−酸化ケイ素複合物被膜4を形成した。なお各被膜の形
成方法は実施例1Aと同様にスパッタリング法により、そ
の条件も同一のものとした。
その結果、実施例1Aと同等の優れた耐摩耗性、耐衝撃
性、耐熱衝撃性および磁気特性を有する磁場成形用金型
を得ることができた。
表1に本発明による表面硬化処理を施した試料の試験結
果を示す。表1において◎は表面硬化層に何等変化を示
さない極めて優秀なもの、○は極めて小さな剥離が観察
されるが、特性上◎とほとんど変らないもの、△は若干
の剥離が観察されるが実用上支障のないもの、×は実用
上使用困難な剥離が観察されるものである。
なお、表2は各試料の素材および表面硬化処理による形
成被膜を示す。なお、表2において、試料IIIないしV
は、それぞれ各素材に本発明の表面硬化処理を施したも
のである。また、試料VIは、本発明との比較のために示
したものであって、超硬合金鋼の表面にスパッタエッチ
ングを施した後、純粋の炭化ケイ素を直接に被覆したも
のである。なお、試料VおよびIVはそれぞれ前記実施例
1A,1Bに対応する。
表1から判るように、試料Iは試料VI(比較試料)に比
べて優れた特性を示す。これは、炭化ケイ素−酸化ケイ
素複合被膜に含有されている酸化ケイ素が、鉄鋼材料表
面と該複合物被膜との密着性を高めて衝撃時の炭化ケイ
素−酸化ケイ素複合被膜の剥離防止に寄与するとともに
炭化ケイ素同志の結合性を高めるバインダとして作用し
て衝撃時のクラックの発生防止に寄与するからである。
また、試料IIは試料Iに比べてさらに優れた特性を示
す。これは、ステンレス鋼表面に形成されている酸化ク
ロム被膜の存在により、ステンレス鋼表面と炭化ケイ素
−酸化ケイ素複合物被膜との結合力が高くなっているか
らである。
また、試料III、試料IVおよび試料Vは、特に熱衝撃試
験において他の試料と比較して優れた特性を示す。これ
は中間層として位置する窒化チタン被膜単独あるいは金
属チタン被膜と窒化チタン被膜とが、加熱冷却時に鉄鋼
材料表面と炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜との間に
生ずる熱膨張差に起因する剥離に対する緩衝材として作
用するからである。また、試料Vと試料IVとが同等な特
性を示すのは、ステンレス鋼表面の酸化クロム被膜が窒
化チタン被膜に対して優れた結合性を持つためである。
したがって、被処理材がステンレス鋼で形成したもので
ある場合には、金属チタン被膜の形成を省略することが
できる。
(実施例2) 以下に、本発明の表面硬化処理を印字ワイヤに適用した
実施例について説明する。
実施例2A この実施例では第3図に示すようにワイヤ6として鋼材
料バネ用線材の1つである硬鋼線(マイクロビッカース
硬度500〜600HV)を用い、その後端部に高炭素鋼からな
るワイヤピン7をカシメ結合させてある。
ワイヤ6および印字ピン7を含む印字ワイヤ全体に,第
4図示のように順に金属チタン被覆8,窒化チタン被膜9,
炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物10(酸化ケイ素含有量20
重量パーセント)を形成した。表面硬化被膜の形成は、
実施例1と同様にスパッタリング法を用い、金属チタン
スパッタリングを10min,窒化チタンスパッタリングを2h
our,炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物スパッタリングを4h
our行なった。これによって、金属チタン被膜8の膜厚
は約0.2μm,窒化チタン被膜9の膜厚は約2.0μm,炭化ケ
イ素−酸化ケイ素複合物被膜10の膜厚は約4.0μmが得
られた。最外層の炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜9
の表面硬度はマイクロビッカース硬度で2000〜2300HVが
得られた。なおワイヤ6の内層部は硬鋼線の組織に何等
変態を生じず、所要の靭性を維持していることが確認さ
れた。
第5図に印字ワイヤの耐摩耗性の試験結果を示す。本発
明の表面硬化処理を施したワイヤ6は先端中央部で2.5
億ドット以上の耐久性を示し、実用摩耗限界の100μm
に対しては、3.5億ドット以上の耐久性を示し、従来の
硬鋼線ワイヤや粉末ハイスワイヤに比べて優れた特性を
有することが確認された。
また印字ピン7は、3.5億ドット以上においても実用上
支障を来たすような摩耗や変形が認められず、十分な耐
久性を示した。
なお、炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜10の酸化ケイ
素の含有量は、前述の(実施例1)と同様に10〜25重量
パーセントの範囲が望ましい。
実施例2B 本実施例では、ワイヤ11として高硬度ステンレス鋼から
なる線材、更に詳しくはSUS304−Hからなるステンレス
線材を用い、実施例2Aの硬鋼線と同等な硬度(マイクロ
ビッカース硬度500〜600HV)を確保した。
第6図に示すように本実施例では、ワイヤ11の表面に直
接に窒化チタン被膜9を形成し、その上面に炭化ケイ素
−酸化ケイ素複合物を形成して、金属チタン被膜8(第
4図示)の形成を省略した。なお、第6図において、第
4図のもの(実施例2A)と実質的に同一のものには、同
一の符号が付してあり、金属チタン被膜8の形成を省略
した他は実施例2Aと同一条件で各被膜を形成した。
これによって、表面硬度は実施例2Aと同様にマイクロビ
ッカース硬度で2000〜2300HVを得ることができた。な
お、ワイヤ11の内層部は組織に何等変化を生じず、その
靭性を維持していることが確認された。
その結果、第5図に示すように印字ワイヤ11は前記実施
例2Aと同等な優れた特性を備えていることが確認され
た。なお本実施例においては、ワイヤ11としてオーステ
ナイト系ステンレスの1つであるSUS304−Hを用いた例
について説明したが、ステンレス鋼としてはフェライト
系あるいはマルテンサイト系の高硬度ステンレス鋼を用
いてもよいことは言うまでもない。
なお、以上に説明した実施例1および実施例2では、そ
れぞれスパッタリング法によって表面硬化処理を施した
例について説明したが、真空蒸着法やイオンプレーティ
ング法によって表面硬化被膜を形成することも可能であ
る。なおイオンプレーティング法による場合には、蒸発
源として金属ケイ素を用い、反応性雰囲気を炭化水素系
ガス(例えばエチレンガス,アセチレンガスなど)に適
量の酸素ガスを加えた雰囲気として、反応性イオンプレ
ーティング法によって炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被
膜を形成することができる。なお、炭化水素系ガスとし
てアセチレンを用いた場合には、アセチレンガス分圧2
×10-2〜1×10-1Pa,酸素ガス分圧8×10-3〜2×10-2
の範囲内で10〜25重量パーセントの酸化ケイ素を含む炭
化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜を形成することができ
ることを確認した。
そして、この場合には、炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物
を予め作成しておく手間を省くことができ、作業工程を
簡略化できる上、蒸発源として炭化ケイ素−酸化ケイ素
複合物を用いた場合よりも低温で処理できる利点があ
る。
[発明の効果] 以上に詳細に説明したように、本発明によれば、炭化ケ
イ素−酸化ケイ素複合物被膜の高い表面硬度の維持によ
り、高い耐摩耗性を付与でき、炭化ケイ素−酸化ケイ素
複合物被膜の衝撃時の剥離やクラックの発生防止作用お
よび窒化チタン被膜単独あるいは窒化チタン被膜と金属
チタン被膜による炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜の
衝撃時の剥離防止作用の相互作用により、高い衝撃性を
付与でき、窒化チタン被膜単独あるいは窒化チタン被膜
と金属チタン被膜による炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物
被膜の熱衝撃時の剥離防止作用により、高い熱衝撃性を
付与できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1Aにおける金型の金属組織を示す顕微鏡
写真、第2図は実施例1Bにおける金型の金属組織を示す
顕微鏡写真、第3図は印字ワイヤの断面図、第4図は実
施例2Aにおける印字ワイヤの先端部の断面を拡大して示
す模式図、第5図は本発明の印字ワイヤの特性を従来の
印字ワイヤの特性と比較して示した耐久ドット数と先端
部の摩耗量との関係図、第6図は実施例2Bの印字ワイヤ
の先端部の断面を拡大して示す模式図である。 2……金属チタン被膜、 3……窒化チタン被膜、 4……炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜、 8……金属チタン被膜、 9……窒化チタン被膜、 10……炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄鋼材料からなる被処理材の表面に物理的
    薄膜形成法により表面硬化被膜を形成する表面硬化処理
    方法であって、 上記被処理材の表面に窒化チタン被膜を形成し、当該窒
    化チタン被膜の表面に10〜25重量パーセントの酸化ケイ
    素を含有する炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜を上記
    表面硬化被膜の最外層被膜として形成する ことを特徴とする表面硬化処理方法。
  2. 【請求項2】鉄鋼材料からなる被処理材の表面に物理的
    薄膜形成法により表面硬化被膜を形成する表面硬化処理
    方法であって、 上記被処理材の表面に金属チタン被膜を形成し、当該金
    属チタン被膜の表面に窒化チタン被膜を形成し、当該窒
    化チタン被膜の表面に10〜25重量パーセントの酸化ケイ
    素を含有する炭化ケイ素−酸化ケイ素複合物被膜を上記
    表面硬化被膜の最外層被膜として形成する ことを特徴とする表面硬化処理方法。
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