JPH0744389Y2 - パイル溶接用自動溶接機におけるレール位置決め装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、パイル溶接用自動溶
接機において、パイルに溶接機走行用レールを位置決め
して取付けるための位置決め装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、パイル溶接用自動溶接機は、パ
イルの周囲に固定脚を介して円環状のラック式レールを
取付け、このレールに沿って溶接台車を駆動旋回させ、
この溶接台車に取付けた溶接トーチにより接合する上下
のパイルの溶接開先部を自動的に溶接するように構成さ
れている。

【０００３】そのため、溶接機走行用レールの取付に当
たっては、溶接トーチの先端がパイルの溶接開先におけ
る溶接線に対向するようにレールを位置決めして取付け
る必要があるが、従来においては予めパイル周面にレー
ル位置を設定するための位置決め線を引いておき、この
線にレールの固定脚のセットボルトを位置合わせして取
付けていた。

【０００４】ところがこのような従来の位置決め手段で
は、一般に施工前のパイルは多数横に近接して置かれて
いるため、位置決め線を引く際にパイルを転がして隣接
パイルと離隔させた状態で線を引かねばならず、この作
業に多大の時間と労力を要すると共に、線の寸法に誤差
を生じ易く、またセットボルトの位置合わせも容易でな
く、誤差も生じ易い等、種々の問題があった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】この考案は、上記従来
の位置決め線を引き、これにセットボルト位置合わせし
て取付けるために多大の時間と労力を要し、正確性も期
し難いという問題を解決することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】溶接機走行用レール１に
取付けた固定脚７に、先端に軸心に対して横向きに位置
決め係止部９’を突設したゲージ棒９を上下にスライド
自在に保持したスライドガイド１０を設け、このゲージ
棒９にスライドガイド１０の端面に係止される位置決め
ストッパー１１を設け、またスライドガイド１０にゲー
ジ棒９を固定するゲージ固定ネジ１３を設け、さらにス
ライドガイド１０には、ゲージ棒９をその軸心廻りに所
要角度回転することにより、位置決めストッパー１１を
スライド自在に嵌合するスライド孔１２’を設けてなる
パイル溶接用自動溶接機におけるレール位置決め装置を
提案するものである。

【０００７】

【作用】ゲージ棒９をその位置決めストッパー１１がス
ライドガイド１０の下方に抜けるまで引き出して、位置
決め係止部９’をその先端が溶接機走行用レール１の内
側方向に向くように回転させると共に、ゲージ棒９の位
置決めストッパー１１をスライドガイド１０の端面に係
止した状態でゲージ固定ネジ１３によりゲージ棒９を締
結固定し、このゲージ棒９の位置決め係止部９’をパイ
ル２の端面に当てがった状態で、溶接機走行用レール１
をその固定脚７のセットボルト１４によりパイル２の周
囲に固定する。

【０００８】これによって、溶接機走行用レール１は位
置決め固定され、このレール１に溶接機の溶接台車１５
を走行自在にセットすれば、これに取付けた溶接トーチ
１６の先端がパイル２の溶接開先１７の溶接線に自動的
に対向して位置することになる。

【０００９】その後、溶接台車１５の溶接トーチ１６の
旋回にゲージ棒９が邪魔にならないように、ゲージ棒９
のゲージ固定ネジ１３を緩めて軸心廻りに所要角度回転
し、位置決めストッパー１１をスライドガイド１０のス
ライド孔１２’に嵌合してゲージ棒９をスライドガイド
１０に沿って上方に押し上げ、この状態でゲージ固定ネ
ジ１３によりゲージ棒９を固定するか、あるいはゲージ
棒９を下方に抜き取る。

【００１０】

【実施例】溶接機走行用レール１は、溶接すべきパイル
２の周面に沿った円弧型に形成され、その外周面には周
方向に沿ってラックレール３が固定され、また上下には
溝型レール４，５が設けられている。

【００１１】溶接機走行用レール１の内側には、周方向
に所要間隔をおいてスペーサー６を介して縦向きの固定
脚７が締結ボルト８により取付けられ、この固定脚７の
側面にはゲージ棒９を上下にスライド自在に挿通したス
ライドガイド１０が取付けられている。

【００１２】ゲージ棒９は、その一端に軸心に対してほ
ぼ直角横向きに位置決め係止部９’が突設され、さらに
この位置決め係止部９’から中間部にかけて板状の位置
決めストッパー１１がゲージ棒９の周面における周方向
の一部に突設されている。

【００１３】なお、位置決めストッパー１１は、ゲージ
棒９の中間部の一箇所に突起状に突設したものであって
もよい。

【００１４】スライドガイド１０には、上下方向に沿っ
てゲージ棒９及びストッパー１１をスライド自在に嵌合
する鍵穴状等、互いに合体したスライド孔１２，１２’
が設けられ、また側面にはゲージ棒９のスライド孔１２
に向かってねじ込み可能なゲージ固定ネジ１３が取付け
られている。

【００１５】位置決めストッパー１１は、そのスライド
孔１２’から抜き出したとき、ゲージ棒９をその軸心廻
りに回転でき、スライド孔１２’に合致しない回転位置
においてスライドガイド１０の端面に係止されてゲージ
棒９のスライドを規制するようになっている。

【００１６】位置決め係止部９’は、位置決めストッパ
ー１１をスライドガイド１０の端面に係止した状態でゲ
ージ棒９をゲージ固定ネジ１３により締結固定すること
により、この位置決め係止部９’から溶接機走行用レー
ル１までの距離が、溶接トーチに対するレール取付位置
となるように予め設定されている。

【００１７】従って、図１に示すように位置決め係止部
９’をパイル２の端面に当てがった状態で、固定脚７の
上下に設けたセットボルト１４を締め込むことにより、
溶接機走行用レール１は位置決め固定され、このレール
１に溶接機の溶接台車１５を走行自在にセットすれば、
これに取付けた溶接トーチ１６の先端がパイル２の溶接
開先１７の溶接線に自動的に対向して位置することにな
る。

【００１８】レール１の固定後、溶接台車１５の溶接ト
ーチ１６の旋回にゲージ棒９が邪魔にならないように、
ゲージ棒９のゲージ固定ネジ１３を緩めて軸心廻りに所
要角度回転し、位置決めストッパー１１をスライドガイ
ド１０のスライド孔１２’に嵌合してゲージ棒９をスラ
イドガイド１０に沿って上方に押し上げ、この状態でゲ
ージ固定ネジ１３によりゲージ棒９を固定するか、ある
いはゲージ棒９を下方に抜き取る。

【００１９】

【考案の効果】以上の通りこの考案によれば、ゲージ棒
の位置決めストッパーをスライドガイドの端面に係止し
た状態でゲージ固定ネジによりゲージ棒を締結固定し、
このゲージ棒の位置決め係止部をパイルの端面に当てが
った状態で、溶接機走行用レールをその固定脚のセット
ボルトによりパイルの周囲に固定すると、溶接機走行用
レールは位置決め固定され、このレールに溶接機の溶接
台車を走行自在にセットすれば、これに取付けた溶接ト
ーチの先端をパイルの溶接開先の溶接線に自動的に対向
して位置させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の位置決め装置の使用状態を示す縦断
側面図。

【図２】この考案の位置決め装置の上側から見た斜視
図。

【図３】この考案の位置決め装置の下側から見た斜視
図。

【図４】この考案の位置決め装置の横断平面図。

【図５】この考案に係る溶接機走行レールの平面図。

【符号の説明】

１ 溶接機走行レール ２ パイル ３ ラックレール ４ 溝型レール ５ 溝型レール ６ スペーサー ７ 固定脚 ８ 締結ボルト ９ ゲージ棒 ９’ 位置決め係止部 １０ スライドガイド １１ 位置決めストッパー １２ スライド孔 １２’ スライド孔 １３ ゲージ固定ネジ １４ セットボルト １５ 溶接台車 １６ 溶接トーチ １７ 溶接開先

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶接機走行用レールに取付けた固定脚
   に、先端に位置合わせ係止部を軸心に対して横向きに突
   設したゲージ棒を上下にスライド自在に保持したスライ
   ドガイドを設け、前記ゲージ棒に前記スライドガイドの
   端面に係止される位置決めストッパーを設け、前記スラ
   イドガイドに前記ゲージ棒を固定するゲージ固定ネジを
   取付けてなることを特徴とするパイル溶接用自動溶接機
   におけるレール位置決め装置。
2. 【請求項２】 スライドガイドには、ゲージ棒をその軸
   心廻りに所要角度回転することにより、位置決めストッ
   パーをスライド自在に嵌合するスライド孔を設けてなる
   ことを特徴とする「請求項１」記載のパイル溶接用自動
   溶接機におけるレール位置決め装置。