JPH074367Y2 - メカニカルシール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、軸方向二箇所に摺動面を有するダブルシール
型のメカニカルシールに係り、特に、全部品を一体化し
てハウジングにカートリッジ方式で着脱可能にしたもの
に関する。

〔従来の技術〕

第４図を参照して従来例を説明する。第４図はダブルシ
ール型であって静止型のメカニカルシールの構成を示す
半裁断断面図であり、回転軸101の段部103の外周には、
Ｏリング107を介してメイティングリング105が装着され
ており、このメイティングリング105は回転軸101と一体
に回転する。

上記メイティングリング105の一端面には、リテーナ111
に密嵌された非回転のシールリング109が当接配置され
ていて、Ｏリング119を介して機器ハウジング117の一方
の内周段部117aに装着されるケース113に、Ｏリング115
を介して担持されている。一方、メイティングリング10
5の他端面には、リテーナ123に密嵌された非回転の別の
シールリング121が当接配置されていて、上記内周段部1
17aと対応形成した他方の内周段部117b内周にＯリング1
31を介して装着されるケース125に、Ｏリング129を介し
て担持されている。そして両シールリング109,121は、
それぞれコイルスプリング127（シールリング121側のコ
イルスプリングのみ図示）により、軸方向に互いに近接
する方向に付勢されて軸方向両側からメイティングリン
グ105に密封的に摺接する。

なお、図中符号133、135は、機器への未装着状態におい
てシールリング109,121がケース113,125から脱落しない
ように設けたスナップリングである。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記従来の構成によると次のような問題があった。

すなわち、従来の構成では、メカニカルシールの全部品
が一体化されておらず、メイティングリング105側と、
シールリング109側と、シールリング121側が、それぞれ
独立した構成となっていて、しかも機器のハウジング11
7への未装着の状態では、シールリング109,121がそれぞ
れコイルスプリング127の押圧力によってケース113,125
から図示の状態よりも大きく飛び出していることから、
水平二つ割りされたハウジング117に対してカートリッ
ジ方式で全部品を一度に着脱することができず、保管や
取り扱いも煩雑であった。

また、当該メカニカルシールの取付長Ｌが、機器によっ
て仕様の異なるハウジング17の内周段部117a,117bの精
度に大きく左右されるので、コイルスプリング127の圧
縮量、すなわちメイティングリング105に対するシール
リング109,121の面圧にばらつきが発生していた。

本考案はこのような点に基づいてなされたものでその目
的とするところは、全部品を一体化し、カートリッジ方
式による着脱が可能なメカニカルシールを提供すること
にある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するべく、本願考案は、ハウジング側に
固定されスプリングによって軸方向に互いに近接する方
向へ押圧された非回転の一対のシールリングと、回転軸
側に固定されて回転するとともに上記一対のシールリン
グ間に介在して両端面で該両シールリングに対向摺接す
るメイティングリングとを具備してなるメカニカルシー
ルにおいて、上記一対のシールリングをそれぞれ収容す
る一対のケースに設けられ周方向に屈曲した形状の鉤状
連結手段と上記両ケース間に介在させる環状のスペーサ
に設けられ周方向に屈曲した形状の鉤状連結手段が互い
に掛合され、上記スペーサに貫通形成された複数のねじ
穴のそれぞれに上記メイティングリングの外周面と当接
するセットボルトがねじ込まれたものである。

〔作用〕

本考案によるメカニカルシールは、メイティングリング
を両シールリング間に介在させ、該シールリングを収容
したケース同士をスペーサを介して鉤状連結手段で掛合
連結することにより、全部品が一体化されるので、機器
のハウジングに、カートリッジ方式により一度で装着で
きる。

また、スペーサのねじ穴にねじ込んだセットボルトは、
当該メカニカルシールを機器に装着する前の状態におい
てメイティングリングを両シールリング間に同心に保持
するものであり、装着に際して取外される。セットボル
トを取外した後のねじ穴は、シールリングとメイティン
グリングの摺動面を潤滑・冷却するための循環液の流通
孔として利用できる。

〔実施例〕

以下第１図ないし第３図を参照して本考案の一実施例を
説明する。

第１図において、１は回転側となるメイティングリン
グ、3,5はこのメイティングリング１の軸方向両側に配
置された静止側のシールリングである。

シールリング3,5は、軸方向に互いに対向配置されたケ
ース7,9内にそれぞれＯリング11,13を介して気密的かつ
軸方向移動自在に収容されたリテーナ15,17の前面に一
体に嵌着保持されてなるもので、ケース7,9とリテーナ1
5,17との間にそれぞれ装着したコイルスプリング19（図
にはケース７側のコイルスプリングのみを示す）によっ
て軸方向に互いに近接するように付勢されて、メイティ
ングリング１の両端面に密接するとともに、ケース7,9
の内壁にそれぞれ軸方向に突設したノックピン21（図に
はケース９側のノックピンのみ示す）とリテーナ15,17
が周方向に係合することによって回り止めされている。

両ケース7,9の外径部7a,9aの外周面には周溝23,25が形
成されていて、それぞれＯリング27,29が装着されてい
る。

31は上記両ケース7,9の外径部7a,9aの間に配置された環
状のスペーサである。このスペーサ31の両端面には、第
２図にも示すように、周方向に対して互いに逆向きに屈
曲した鉤状の突起33a,35aが突設形成されており、ま
た、上記ケース外径部7a,9aの対向端面には、この鉤状
突起33a,35aが遊嵌可能となる鉤状の切欠部33b,35bが切
欠形成されており、周方向および軸方向に互いに掛合し
て鉤状連結手段33,35を構成している。

37はスペーサ31の周方向等配位置に貫通形成されたねじ
穴で、各ねじ穴37には、先端がメイティングリング１の
外周凹部と当接するセットボルト39がねじ込まれ、これ
によって、メイティングリング１の軸方向、半径方向へ
の移動を規制している。

41,43は、第１図に示す未装着状態においてシールリン
グ3,5がケース7,9から脱落しないように設けたスナップ
リングである。

以上の構成を基にその作用を説明する。

このメカニカルシールは、第３図に示すように、ハウジ
ング45（水平二つ割となっている）とその内周に挿通し
た回転軸47の間に装着されるのであるが、装着に際して
は、まず、ケース７とケース９とを鉤状連結手段33,35
で掛合するスペーサ33を介して連結することにより、当
該メカニカルシールの全部品を一体化するとともに、ス
ペーサ33のねじ穴37にセットボルト39をねじ込んで、メ
イティングリング１の軸方向および半径方向への移動を
規制した状態とする。

そしてこの状態で、メイティングリング１を回転軸47の
外周に装着するとともに、ケース7,9をハウジング45の
内周に装着する。メイティングリング１は、回転軸47の
段部47aとスリーブ49によって挟持されるとともに、Ｏ
リング51によって上記回転軸47との間の気密を保持され
る一方、ケース7,9はハウジング45内周の対向段部45a,4
5b間に固定されるとともに、Ｏリング27,29によって上
記ハウジング45との間の気密を保持される。

また、スペーサ31からはセットボルト39を取外し、セッ
トボルト39を取外した後のねじ穴37は、回転軸47と共に
回転するメイティングリング１と非回転のシールリング
3,5との摺動面の冷却・潤滑用の液を流通させるフラッ
シングポートとして利用できる。

以上、本実施例によると、以下のような効果を奏するこ
とができる。

まず、メカニカルシールの全部品を、水平二つ割りハウ
ジング45に、カートリッジ方式で一度に装着することが
できるようになり、メカニカルシールの着脱作業が容易
になった。

これは、ケース７と９とをスペーサ31を介して一体化さ
せることにより、メイティングリング１、シールリング
3,5を含むメカニカルシールの全部品を、あらかじめ一
体化させる構成としたからである。

また、この構成によると、ケース7,9の鉤状切欠部33b,3
5bへ、スペーサ33の鉤状突起33a,35aを軸方向に挿入し
てから両ケース7,9同士を周方向に適宜捩るようにする
だけで全部品の一体化がきわめて容易にでき、しかもこ
の時の両ケース7,9に多少の過不足があっても、軸方向
の取付長Ｌにばらつきが生じるようなこともない。

なお、本考案は、上記一実施例に限定されるものではな
く、鉤状連結手段の数や大きさなどは任意である。

〔考案の効果〕

以上詳述したように本考案によるメカニカルシールによ
ると、水平二つ割りケーシングに対して、全部品をカー
トリッジ方式で一度に装着することができるので、メカ
ニカルシールの装着が容易になり、また、このメカニカ
ルシールは周方向に屈曲した形状の鉤状連結手段で一体
化されることから、軸方向取付長にばらつきが生じるこ
とはなく、安定したシール性能が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示す図で、第
１図はメカニカルシールの未装着状態の半裁断面図、第
２図は第１図のＡ方向から見た部分正面図、第３図は装
着状態の半裁断面図、第４図は従来のメカニカルシール
の装着状態の半裁断面図である。 １メイティングリング、3,5シールリング 7,9ケース、31スペーサ 33,35鉤状連結手段、37ねじ穴 39セットボルト、45ハウジング 47回転軸

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ハウジング側に固定されスプリングによっ
   て軸方向に互いに近接する方向へ押圧された非回転の一
   対のシールリングと、 回転軸側に固定されて回転するとともに上記一対のシー
   ルリング間に介在して両端面で該両シールリングに対向
   摺接するメイティングリングと を具備してなるメカニカルシールにおいて、 上記一対のシールリングをそれぞれ収容する一対のケー
   スに設けられ周方向に屈曲した形状の鉤状連結手段と上
   記両ケース間に介在させる環状のスペーサに設けられ周
   方向に屈曲した形状の鉤状連結手段が互いに掛合され、 上記スペーサに貫通形成された複数のねじ穴のそれぞれ
   に上記メイティングリングの外周面と当接するセットボ
   ルトがねじ込まれたことを特徴とするメカニカルシー
   ル。