JPH0743678A - 液晶装置の駆動方法及び液晶装置 - Google Patents

液晶装置の駆動方法及び液晶装置

Info

Publication number
JPH0743678A
JPH0743678A JP6111895A JP11189594A JPH0743678A JP H0743678 A JPH0743678 A JP H0743678A JP 6111895 A JP6111895 A JP 6111895A JP 11189594 A JP11189594 A JP 11189594A JP H0743678 A JPH0743678 A JP H0743678A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pulse
liquid crystal
pixel
information
line
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6111895A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinjiro Okada
伸二郎 岡田
Yutaka Inaba
豊 稲葉
Kazunori Katakura
一典 片倉
Hirokatsu Miyata
浩克 宮田
Katsuhiko Shinjo
克彦 新庄
Shuzo Kaneko
修三 金子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP6111895A priority Critical patent/JPH0743678A/ja
Publication of JPH0743678A publication Critical patent/JPH0743678A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度による閾値特性の変動を補償して、良好
な諧調表示を行う。 【構成】 消去パルスV0 、書き込みパルスV1 、補正
パルスV2 を連続且つ極性を反転しながら液晶層に印加
し、且つ、V2 パルスは次ラインの走査線上の画素の諧
調情報により決定し、V1 は該V2 に本来の画素の諧調
情報を加えて決定し、1ライン毎に上記パルスの極性を
反転させて印加する液晶装置の駆動方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、テレビ受像機、コンピ
ュータの端末ディスプレイ、ビデオカメラのビューファ
インダーの他、多くの情報処理装置の表示に用いられる
液晶装置に関し、特に、強誘電性液晶を用いた液晶装置
とその駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】クラーク(Clark)とラガーウォル
(Lagerwall)はApplied Physi
cs Letters 第36巻、第11号(1980
年6月1日発行)p.899〜901、特開昭56−1
07216号公報、米国特許第4,367,924号明
細書、米国特許第4,563,059号明細書等で、表
面安定化FLC(Surface−stabilize
d ferroelectricliquid cry
stal)による双安定性FLC素子を明らかにした。
この双安定性FLC素子は、バルク状態のカイラルスメ
クティックC相(SmC* )、H相(SmH* )等にお
ける液晶分子のらせん配列構造の形成を制御するのに十
分に小さい間隔に設定した一対の基板間に液晶を配置さ
せ、且つ、複数の液晶分子で組織された垂直分子層を一
方向に配列させることによって実現された。
【0003】また、このようなFLCを用いた表示素子
に関しては、特開昭61−94023号公報などにも示
されているように、内面に透明電極を形成し配向処理を
施した2枚のガラス基板を1〜3μm位のセルギャップ
を保って向かい合わせて構成した液晶セルに、FLCを
注入したものが知られている。
【0004】FLCを用いた上記表示素子の特徴はFL
Cが自発分極を持つことにより外部電界と自発分極の結
合力をスイッチングに使えることと、FLC分子の長軸
方向が自発分極の分極方向と1対1に対応しているため
外部電界の極性によってスイッチングできることであ
る。即ち、前記カイラルスメクティック相の状態におい
て、印加された電界に応答して第1の光学的安定状態と
第2の光学的安定状態とのいずれかをとり、且つ電界が
印加されないときはその状態を維持する性質、即ち双安
定性を有し、また電界の変化に対する応答が速やかで、
高速且つ記憶性が求められる表示装置等の分野における
広い利用が期待されている。
【0005】FLCは、上述のように、一般にカイラル
スメクティック液晶(SmC* 、SmH* )を用いるの
で、バルク状態では液晶分子長軸がねじれた配向を示す
が、上述の1〜3μm位のセルギャップのセルに入れる
ことによって液晶分子長軸のねじれを解消することがで
きる(p.213〜234,N.A.Clark et
al,MCLC,1983,vol.94)。
【0006】かかるFLC素子で形成した表示パネルを
備えた液晶表示装置は、例えば神辺らの米国特許第4,
655,561号明細書などに記載されたマルチプレク
シング駆動方式を用いることによって大容量画素の表示
画面に画像を形成することができる。上述の液晶表示装
置は、ワード・プロセッサ、パーソナル・コンピュー
タ、マイクロ・プリンタ、テレビジョンなどの表示画面
に利用することができる。
【0007】FLC素子は2つの安定状態を光透過及び
遮断状態(明状態及び暗状態)とし、主として2値(白
・黒)の表示素子として利用されているが、多値即ち中
間調表示も可能である。中間調表示法の1つは画素内の
双安定状態の面積比を制御することにより中間的な光透
過状態を作るものである。以下、この方法(面積変調
法)について詳しく説明する。
【0008】図1はFLC素子のスイッチングパルス振
幅と透過率の関係を模式的に示した図で、はじめ完全な
光遮断(黒)状態にあったセル(素子)に一方極性の単
発パルスを印加した後の透過光量Iを単発パルスの振幅
Vの関数としてプロットしたグラフである。パルス振幅
が閾値Vth以下(V<Vth)の時は透過光量は変化せ
ず、パルス印加後の透過状態は図2(b)に示すように
印加前の状態を示す図2(a)と変わらない。パルス振
幅が閾値を越えると(Vth<V<Vsat )画素内の一部
分が他方の安定状態、即ち図2の(c)に示す光透過
(白)状態に遷移し全体として中間的な透過光量を示
す。更にパルス振幅が大きくなり、飽和値Vsat 以上
(Vsat <V)になると同図(d)に示すように画素全
部が光透過状態になるので光量は一定値に達する。即
ち、面積変調法は電圧をパルス振幅がVth<V<V
sat )となるように制御して中間調を表示するものであ
る。
【0009】しかし、このような単純な駆動方式では、
図1の電圧と透過光量の関係がセル厚と温度にも依存す
るため、表示パネル内にセル厚分布や温度分布がある
と、同じ電圧振幅の印加パルスに対して異なった階調レ
ベルが表示されてしまう。
【0010】図3はこのことを説明するための図で、図
1と同じく電圧振幅Vと透過光量Iの関係を示したグラ
フであるが、異なった温度即ち高温及び低温での関係を
それぞれ曲線H及び曲線Lで示してある。即ち、表示サ
イズの大きいディスプレイ(表示素子)では同一パネル
(表示部)内に温度分布が生じてくることは珍しくな
く、従ってある電圧Vapで中間調を表示させようとして
も、図3に示すようにI1 からI2 までの範囲にわたっ
て中間調レベルがばらついてしまい、均一な表示が得ら
れないのである。
【0011】そこで考え出されたものの一つが、特開平
4−218022号において提案されているような「4
パルス法」である。この駆動方法は、図4及び図5に示
すようにパネル内の同一走査線上の低閾値部用と高閾値
部用に複数のパルス(図5中、A,B,C,D)を印加
することにより、最終的には等しい反転面積を得るよう
にしたものである(図4中(D))。
【0012】更に、特願平3−320524号公報で
は、書き込み時間を「4パルス法」より短縮した「画素
シフト法」が提案されている。
【0013】画素シフト法は複数の走査信号線に、同時
に異なる走査信号を入力して選択することにより、複数
の走査信号線にまたがった電界強度の分布を作り、階調
表示する方式である。尚、同様の考え方が特開昭63−
29733号公報においても示されている。
【0014】画素シフト法の概略を次に説明する。
【0015】使用できる液晶セルは、図6にその一例を
示したように、1画素内の閾値が分布を有するものであ
る。図6に示したセルでは、電極間のFLC層55の層
厚が変化しているのでFLCのスイッチングの閾値も分
布を持つことになる。このような画素への印加電圧を増
加していくとセル厚が薄い部分から順にスイッチングし
ていくことになる。
【0016】この様子を図7(a)に示した。図7
(a)中、T1 、T2 、T3 はパネル内の観察している
部分の温度を示している。FLCのスイッチングの閾値
電圧は、温度が高くなるにつれ低くなるが、上記3つの
温度における印加電圧と光透過率との関係を3本の曲線
で示している。
【0017】尚、閾値変動の原因は温度変化以外にも有
るが、説明の便宜上主として温度の変化を用いてその態
様を説明する。
【0018】図7(a)からわかるように、先ず画素全
体を暗状態にリセットした後温度T1 でVi の電圧を画
素に印加した時にはX%の透過率を得ることができる
が、温度がT2 もしくはT3 まで上昇すると、同じVi
の電圧を画素に印加しても透過率が100%になってし
まい、階調表示が正しく行なわれなくなる。図7(c)
は、上記各温度における書き込み後の画素の反転状態を
示している。このような条件では、温度変動によって書
き込んだ階調情報が失われるので、表示素子としての用
途範囲が極めて限られたものとなってしまう。
【0019】そこで、図7(d)に示したように、1画
素の情報を2つの走査線S1 、S2にまたがって表示す
ることにより、温度変動に対して安定した階調表示が可
能となる。
【0020】以下、この駆動方式について詳しく説明す
る。
【0021】画素内に連続的な閾値分布を持つFLC
セルを用意する:液晶セルの構成は図6に示すような、
画素内のセル厚が連続的に分布したものを用いることが
できる。また、特開昭62−125330号公報中で提
案されているような画素内に電位の勾配を有する構成、
又は容量勾配を持つ構成でも良い。いずれにしても、画
素内の閾値を連続的に分布させることにより、明状態に
対応した領域(ドメイン)と暗状態に対応した領域(ド
メイン)を画素内に混在させることができ、これらのド
メインの面積比によって階調表示を可能としている。
【0022】この方法は光量をステップ的に変調する場
合(例えば16階調など)でも使用できるがアナログ的
な階調表示のためには連続的な光量変化が必要である。
【0023】2つの走査信号線を同時に選択する:こ
の操作について図8を用いて説明する。図8(a)は、
2つの走査信号線上の画素をひとまとめにした時の透過
率−印加電圧特性を示す。図8(a)中では、透過率0
%〜100%を走査線2上の画素Bの表示領域とし、透
過率100%〜200%を走査線1上の画素Aの表示領
域として示している。即ち、走査線1本につき1つの画
素を構成するので、2本同時に走査した場合には、画素
A、画素Bの両方が全部光透過状態になった時の透過率
を200%としている。ここでは、1つの階調情報に対
して同時に2つの走査線を選択するのだが、1つの階調
情報を表示するために1画素分の面積を持つ領域を割り
当てるようにしている。これについて図8(b)を用い
て説明する。
【0024】温度T1 では入力した階調情報は印加電圧
0 のとき0%、V100 のとき100%に対応する範囲
に書き込まれる。図から明らかなように、温度T1
は、この範囲(画素領域)は全て走査線2上にある(図
8(b)中、斜線部参照)。ところが、温度がT1 から
2 に上昇すると液晶の閾値電圧が下がっているため、
同じ電圧を画素に印加した場合に画素内で、温度T1
時よりも広い領域が反転してしまう。
【0025】これを補正するために、温度T2 の時の画
素領域を走査線1と走査線2に亘って設定する(図8
(b)の温度T2 の場合を示した斜線部)。
【0026】次に、温度が更に上昇してT3 になった時
には、印加電圧をV0 〜V100 まで変化させて描画され
る画素領域を、走査線1上のみに設定する(図8(b)
の温度T3 の場合を示した斜線部)。
【0027】以上のように温度によって階調表示をする
画素領域を、2つの走査信号線上でずらして設定するこ
とにより、T1 からT3 の温度範囲において正しい階調
表示を保つことができるようになる。
【0028】同時に選択した2本の走査線に印加する
走査信号を互いに異なるものとする:上記で説明した
ように、温度変化による液晶反転の閾値変動を、2つの
走査線を同時に選択することによって補償するために
は、2つの選択された走査線に印加される走査信号を互
いに異なるものとしなければならない。この点について
図7を用いて説明する。
【0029】走査線1と走査線2に印加される走査信号
は、走査線2上の画素Bと走査線1上の画素Aの閾値が
連続的に変化するように設定する。図7(b)におい
て、温度がT1 の時の透過率−電圧曲線は、透過率10
0%までは走査線2上の領域で表示されることを示し、
その後200%までが走査線1上の領域で表示されるこ
とを示す。このように透過率−電圧曲線が画素Bから画
素Aにかけて連続的、且つ等しい勾配で設定する必要が
有る。
【0030】従って図9に示すように走査線1上の画素
Aと走査線2上の画素Bのセル形状(図9(b)参照)
を等しく設定しても、実質的に画素A、画素Bに連続的
な閾値特性を与えた場合(図7(b)のセル)と同様の
表示が可能となる。
【0031】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来の
画素シフト駆動法においては、N番目の走査線(N)と
その1ライン前の隣接するN−1番目の走査線(N−
1)に同時に異なる選択信号を入力して書き込みを行な
い、走査線(N)上の情報を温度変動等による画素内の
閾値変動に対応して走査線(N−1)上へシフトさせて
いくことで、温度変動等による閾値の変動を補正する方
式である。
【0032】しかしながら、このような方式では、走査
線を連続して線順次走査しなければならず、選択する走
査線を物理アドレスに対して不連続に設定するインター
レス方式を用いることができない。
【0033】一方FLC素子においては1画面を書き込
む時間(1フレーム走査時間)は1走査時間を100μ
s、走査線数を1028本とすると1フレーム走査時間
は102.8msで駆動周波数としては9.73Hzと
なる。つまり、1秒間に9.73回画面の書き換えを行
なえるわけである。
【0034】また、表示画面内で輝度むらが規則性を持
って移動した場合には、人の目にはこの状態がフリッカ
現象と呼ばれる画面のちらつきとして観察される。この
フリッカ現象を解決する方法としては、駆動周波数を約
40Hz程度に上げるか、インターレス(間引き走査)
方式を取る必要がある。
【0035】駆動周波数を40Hzに上げるためには、
前記した1028本走査の場合には1走査時間を24μ
s程度に設定しなければならず、(A)液晶パネル内で
の印加電圧波形の伝搬遅延の存在、(B)階調信号をパ
ルス幅変調で構成すること、を考えると大面積且つ高精
細の表示パネルへの適用が難しい。
【0036】また、見かけ上駆動周波数を上げてフリッ
カを防止する方法として本発明者等が特願平4−105
285号で提案した方法があるが、この方法ではコント
ラストの低下が避けられないという問題点が有った。
【0037】フリッカ防止の為のインターレス方式には
数種類存在するが、そのうち走査線の間引きの規則性を
弱める方式が最も望ましい。例えば、第1走査で1番目
を選択、第2走査では2番目を選択せず5番目を選択、
例えば8番飛び走査を行ない、更に第3走査で2番目を
最初選択して8番飛び走査を行なう等、間引き間隔を不
規則にする方式である(いわゆるランダムインターレス
方式)。しかしながら、このランダムインターレス方式
は、前記した現行の画素シフト駆動法においては連続線
順次が必須であるために用いることができないという問
題点が有った。以上詳述した課題が、本発明が解決しよ
うとする技術課題の1つである。
【0038】一方、従来の液晶装置には、次のような技
術課題もあった。
【0039】FLC素子においては、非らせん構造をと
るために液晶層は前述の通り1〜3μ程度と非常に薄
く、従って該液晶層に電圧を印加するための上下電極間
の距離も短く、そのため上下電極間の電気的短絡を防止
するための絶縁層と、更にFLC分子を一定方向にそろ
えるための配向層を設ける必要が有る。
【0040】これらの層は通常は電気的な絶縁性を有す
る物質により構成されるが、FLCの場合には、液晶層
自体が自発分極を持つために、液晶層内に内部電場を生
じ、その内部電場を打ち消すために液晶層を挟んで正負
の電荷分布を生じる。これらの自発分極による内部電場
のカウンターとしての電場の形成は、液晶層内或いは配
向膜、絶縁膜中のイオン性物質の移動によって形成され
る場合が多い。このようなイオン性物質は一般にある移
動度を持つ物質で、液晶などの媒体中をある電界を受け
てある距離を移動するには一定の時間を必要とする。
【0041】FLCの自発分極の方向をUP(上基板か
ら下基板に向けて自発分極が配向している状態)とDO
WN(下基板から上基板に向けて自発分極が配向してい
る状態)に分けて考えると、UPの状態に画素内が統一
されている時、DOWN状態に変える方向の電界を画素
に印加すると、液晶分子はDOWN状態にスイッチング
するが、液晶層を挟んで存在するUP状態での内部電場
を打ち消すためのカウンター電場は即時には解消され
ず、一定時間残留する。その大きさは自発分極の大きさ
や、絶縁層(配向層を含めて)の容量により異なる。
【0042】この残留電場は経時的に解消され、次にD
OWN状態の自発分極による内部電場及びこれを打ち消
すためのカウンター電場が形成される。しかしながら、
残留電場が解消されるまでの間、液晶分子はDOWN状
態にあるものの、該残留電場によってUP状態へ再び戻
され易い、非常に不安定な状態にある。特に、DOWN
状態とUP状態との界面、即ちドメイン・ウォール付近
ではDOWN状態に反転した液晶分子はUP状態に戻り
易い状態にある。従って、残留電場が解消されないうち
にUP状態への反転電圧と同極性の電圧が印加された場
合、該電圧が所定の反転電圧値以下であってもUP状態
へ戻ってしまう場合が有る。
【0043】また、FLCの電圧パルスによる反転現象
は(パルス幅)×(電圧)A =一定という関係(Aは実
験的に求められる値であり、1<A<3)にある。従っ
て電圧が極めて低い値(1〜2[V])であっても、そ
の電圧が液晶層に印加される時間が長ければ、DOWN
からUPへの再反転が生じることがある。
【0044】更に上記カウンター電場が問題となるの
は、画素内に反転閾値の分布が存在し、且つ複数のドメ
イン・ウォールを存在させて階調表示を行なう場合であ
る。例えば、前述した「画素シフト法」等温度による閾
値変動を複数のパルスを印加することにより補正する駆
動方式において、既にドメイン・ウォールの存在する画
素(第1の書き込み後)へ更に書き込みを行なう場合で
ある。温度変動を駆動方法によって補償する原理は、温
度変動により第1の書き込みで書き過ぎた分を第2の書
き込みで「書き戻す」ことであり、このプロセスは必然
的に画素電極内に複数のドメイン・ウォールを共存させ
ることになる。
【0045】温度補償を行なう上では、第1の書き込み
状態に影響されずに第2の書き込みが行なわれなければ
ならない。これを図10を用いて説明すると、図10
(a)、(b)はこの条件を満たした状態である。画素
消去後、第1の書き込みを行ない、(a)及び(b)に
それぞれ異なる情報を書き込んだ後に同じ第2書き込み
を行なう時、(a)及び(b)の画素の温度変動量が同
じ場合には、第2書き込みにおいて同じ面積の黒ドメイ
ンを書き込まなくてはならない。図10において、A=
Bという条件が成り立っている。しかるに、(c)、
(d)を見ると、第2書き込みにおいて、(c)ではC
の黒ドメインの生成の他に、既に第1書き込みにおいて
形成されたドメイン・ウォールが移動してC’が形成さ
れている。同様に、(d)においても、第2書き込みに
よるDの他に、第1書き込みのドメイン・ウォールの移
動によるD’、及びDとD’との連結が生じている。こ
れは上記したドメイン・ウォール付近の液晶分子が再反
転され易い不安定な状態のうちに、反転電圧が印加され
たため、本来であれば再反転しない領域の不安定な液晶
分子まで再反転させてしまった結果である。
【0046】C’、D’やドメインの連結等が生じる
と、第1書き込みと第2書き込みの間に、階調濃度の加
算性(第2書き込みが第1書き込み状態の影響を受けな
いこと)が成り立たず、正確な温度補正が行なわれな
い。C’、D’やドメインの連結は第1書き込みの量
(即ち第1書き込み時の電界強度の強さ)によっても異
なり、更には、スメクティック相の形成方向によっても
異なってくるが、一般的にはドメイン・ウォール間を近
い距離に設定する必要がある時には加算性が成り立ちに
くい。
【0047】電極上に日立化成株式会社製の液晶配向膜
LQ−1802(膜厚300Å)を設け、液晶としては
後述する実施例に示したものを用い、絶縁層として20
00ÅのTa25 膜を用い、図6に示すセル構成で画
素内に閾値分布を形成した。このセルの場合、ドメイン
・ウォール間隔は20〜30μm以上近づけると加算性
が正確に成立しなかった。
【0048】このように、FLC素子においては、内部
電場に対するカウンター電場の存在により、反転後の液
晶分子が安定するまでに一定の時間が必要となるため、
複数回のパルスを印加して表示を行なう場合、各書き込
み間に一定の時間を置き、1画素の書き込み期間が長く
とるか、或いはある程度の過剰書き込みを行なうかしな
ければならなかった。特に、複数のドメイン・ウォール
を形成して階調表示を行なう場合には、ドメイン・ウォ
ール間で連結してしまうため、より高い温度補償が妨げ
られていた。
【0049】以上詳述した課題が、本発明が解決しよう
とする別の技術課題である。
【0050】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の第一
は、対向配置した一対の電極基板間に強誘電性液晶層を
挟持してなる液晶装置の駆動方法において、選択した走
査線上の画素に印加されるパルスが、少なくとも、消去
パルスと、該消去パルスとは逆極性の書き込みパルス
と、該書き込みパルスとは逆極性の補正パルスからな
り、次ラインの走査線上の画素に印加される各パルスと
は極性が反転し、更に選択された走査線上の画素に印加
される補正パルスが次ラインの走査線上の画素の階調情
報により決定し、且つ書き込みパルスが本来の画素の階
調情報と上記補正パルスにより決定された波形を有する
ように、選択した走査線に所定の走査信号を印加すると
同時に情報線に所定の情報信号を印加することを特徴と
する液晶装置の駆動方法にある。
【0051】本発明の第二は、対向配置した一対の電極
基板間に強誘電性液晶を挟持し、それぞれの電極基板に
設けた走査電極群と情報電極群との交差部を画素とする
液晶セルと、走査信号印加手段と、情報信号印加手段を
有する液晶装置において、上記強誘電性液晶層と上記電
極との間に体積抵抗が108 Ωcm以下の薄膜層を有
し、各画素に複数回の書き込みを行なって白及び黒のド
メイン・ウォールを混在させることにより所定の階調表
示を行なう駆動手段を有することを特徴とする液晶装置
である。本発明の第二において、上記体積抵抗が108
Ωcm以下の薄膜としては、強誘電性液晶側に位置し、
該液晶の配向を制御するための有機層と、電極側に位置
する無機層との少なくとも2層以上で構成された薄膜が
好ましく用いられる。
【0052】本発明第一の一実施態様による駆動信号の
波形を図11に示す。
【0053】図中、S1 、S2 、S3 、S4 は互いに隣
接する1番目から4番目の走査線に印加される信号を示
し、Iは走査線に印加される選択信号に同期して画素の
表示状態を決める為の情報信号である。I−S2 は走査
線S2 と情報線Iとの交点にある画素に印加される電圧
を示している。
【0054】消去パルス(A)は、情報線に印加される
情報信号がいかなる表示状態を生じさせようとも、必ず
明又は暗状態のいずれかに画素の表示状態をリセットす
る為のパルスであり、パルス幅t1 と波高値VSOをも
つ。
【0055】選択パルス(書き込みパルス)(B)は、
これに同期して情報線に印加される情報信号(Vi1)と
協働して、リセットされた画素のうち0〜100%の選
択された領域を反転させる為のパルスであり、パルス幅
2 と波高値VS1をもつ。
【0056】パルス(C)は、次ライン(S2 )の画素
に本来表示されるべき表示情報に応じて定められた情報
信号(Vi2)に対応した表示状態を、S1 ライン上の画
素に生じさせる為の第2の選択パルスである。
【0057】このパルス(C)は、従来より知られた、
走査線上のDC成分をキャンセルする為の補助信号とは
異なることに注意されたい。
【0058】つまり、従来の補助信号は、その印加によ
って既に表示されている画素の状態を変化させないよう
に、そのパルス幅や波高値が決められる。
【0059】これに対して本発明のパルス(C)は、温
度変動等により画素の反転閾値が変動した場合に、それ
を補償するようにして、次ラインの画素の表示情報に応
じて当該ラインの画素の表示状態を変えられるように、
パルス幅及び波高値が設定されている。
【0060】本発明のパルス(C)は、図5に示したパ
ルス(C)と比べれば判るように、選択パルス(B)に
続いて印加されており、パルス(B)とパルス(C)の
間の期間には、図5のような他の走査線の選択パルス
(B)は印加されていない。つまり、n番目のライン
に、消去パルス(A)、選択パルス(B)、パルス
(C)が印加され終わってから、n+1番目に同様のパ
ルス(A),(B),(C)が印加される。
【0061】従って、n番目のライン上の画素への書き
込みが、閾値変動の補償分を含めて終了した後に、次の
ラインを選択できるので、次のラインがn+1番目であ
る必要はなく、n+10やn+100といった任意のラ
インが次のラインとして選択できる。
【0062】好ましくは、インターレス走査により走査
線を選択する方式と組み合わせれば、画素シフト法を用
いて低フレーム周波数で駆動してもフリッカが抑えられ
る。
【0063】更には、全走査線のうちの一部分、例えば
m番目からm+k番目の走査線のみを繰り返し選択し
て、表示状態を部分的に書き換える部分書き換え方式と
組み合わせれば、マルチウインド表示をフリッカレスで
行え、表示品位も高くなる。
【0064】先に提案した画素シフト法では、n番目の
走査線の画素にパルス(C)が印加される前に、n+1
番目の走査線の画素にパルス(A)とパルス(B)が印
加される構成を採っていた為に、インターレスのような
間引き走査や、部分書き換えのようなランダムアクセス
を行うと、表示画像が乱れてしまっていた。
【0065】これに対して、本発明は、走査線のランダ
ムアクセスが可能である為に、“ランダム画素シフト
法”ということもできる。
【0066】図12(a)に示したような連続パルスを
FLC素子の液晶層に印加すると、V0 の電圧パルスに
よって液晶の配向状態が一方の状態(以下「DOWN」
と記す)に揃えられる(リセット状態)。次にV1 パル
スを入力することでDOWNの配向状態から他方の配向
状態(以下「UP」と記す)に再反転させることができ
る。この時、画素内に閾値の分布、例えばセル厚分布が
有れば階調表示が可能である。
【0067】画素内に閾値分布を持たない画素の場合
に、V0 パルスでリセットした後V1パルスでUPに書
き込み、更にV2 パルスを印加してDOWNに書き込む
ことを考える。この時V2 パルスの入力によって、画素
内が全部DOWNに配向するために必要なV2 パルス電
圧はV1 パルス電圧に大きく依存する。
【0068】次に、後述する実施例1と同じセルを作製
して、該セルを駆動した。駆動波形は図12(b)に示
したような1周期における電圧の平均値で直流成分が液
晶層に印加されない波形を用いて約30Hzでリフレッ
シュ書き込みを行なった(t=40μs)。
【0069】図13にV1 パルスとV2 パルスによる再
反転電圧の関係を示した。
【0070】図13の横軸にはリセット後の書き込み電
圧V1 パルスを取り、縦軸には横軸に示されたV1 パル
スに続いてV2 パルスを入力した場合の再反転に必要な
2パルスの波高値を示し、30℃及び40℃における
それぞれのデータを示している。
【0071】図13によると、30℃においてV0 パル
スでDOWNの状態にリセットされ、続いてV1 パルス
でUPの状態に書き込まれる。この時のV1 パルスの電
圧値が10.08volt(パルス幅は40μs)の時
は、該V1 パルスに続いてパルス幅40μs、電圧値
2.0voltのV2 パルスを入力することで配向状態
をDOWNに再反転させることができる。しかるに、V
1 パルスの電圧値が11voltの時はV2 パルスは5
volt必要となる。
【0072】このように、V2 パルスによる再反転に必
要な電圧値はV1 パルスによって異なり、図13に示す
ようなあるV1 パルス電圧になれば飽和するようにな
る。V1 パルス電圧が10.08voltの時も、12
voltの時も、V2 パルスが0voltの時は画素全
体がUP状態に書き込まれることから、同じUP状態に
なるパルス立下り時の状態からDOWN状態に書き込む
場合にも直前に印加されるパルスによって再反転閾値が
異なることがわかる。また、このUP状態は光学的には
同じように見えるが、分子配向の内容が異なっているこ
とが考えられ、V2 パルスの印加される分子状態によっ
て、V2 パルスによって再反転される閾値電圧が異なる
ことを示しているとも言える。
【0073】上記したV1 の電圧値によってV2 パルス
による再反転閾値が変動し、且つあるV1 電圧において
2 パルスの再反転閾値が飽和するという現象は、温度
によらず成立する(図13)。このV1 パルスとV2
ルスの関係を更に詳しく調べると、次のことがわかる。
【0074】図13において、再反転電圧V2 が飽和す
る、V1 、V2 電圧を「1」となるように規格化する
と、図14に示すようになる。図14は、上記特性の温
度に対する依存性が低いことを示している。即ち、温度
に依らず、再反転電圧V2 がV1 に対して飽和する電圧
を基準として、V1 が変化すれば、V2 も一定比率だけ
変動することを示している。具体的には、V1 が基準値
に対して0.8に減少すれば、温度が30℃でも40℃
でもV2 は基準値に対して0.2程度まで減少すること
が示されている。
【0075】図13及び図14に示した特性により、図
12(a)、(b)にような駆動波形をFLC素子の液
晶層に印加した場合において、画素内に閾値分布が有れ
ば、V1 パルスによる書き込み量がV2 パルスの印加に
よって戻される量(再反転する)が予測可能であること
がわかる。図14によれば、画素内でセル厚が変化して
いるような場合に、あるセル厚d1 まで書き込みを行な
い、V1 =1(基準値)、次いでV2 =0.6のパルス
が印加された場合には、d1 /d2 =0.8のセル厚の
場所まで1〜0.8の範囲で再びドメインウォールが反
転してしまうことがわかる。
【0076】この現象を図15を用いて説明する。低温
時にV1 パルスでW%の書き込みを行ない、V2 パルス
によってδW1 %だけ戻される。高温時にはW2 %まで
書き込まれる(T2 >T1 )が、δW2 %だけ戻され
る。この時δW1 =δW2 である。これはV1 、V2
ルスが連続したことによる書き込み量の変動量δW1
δW2 は温度に依らず一定で、従って温度の変動によっ
て生じた書き込み変動量δW2 ’を除いた情報量δΔは
温度に依存していないことを示す。従って温度による書
き込み変動量(上例でδW2 ’)を別途補正することが
できれば、V1 、V2 のような連続パルスで階調情報の
書き込みを行なうことができる。
【0077】図16にV1 パルスとV2 パルスの機能を
示した。図16において、高温部も低温部もV0 パルス
の入力によってリセットされ(全黒)、次にV1 パルス
によって白書き込みが行なわれる。V1 パルスによる白
書き込み量は、高温と低温によって異なるが、その温度
変動分をV2 パルスによって補正する。つまり、V2
ルスをV1 パルスに続いて印加することで、(イ)V1
パルスで形成された書き込み状態の修正と、(ロ)温度
変動分の補正を行なう。電圧値の決め方は、(ロ)の温
度補正のためのV2 電圧が先ず決定されて、次にそのV
2 電圧を後続させた時、所望の書き込み量を得ることの
できるV1 電圧を入力するようにする。
【0078】図14によれば、V2 電圧が決定されてい
れば、V1 電圧による戻り量の違いを知ることができる
ので、それを考慮してV1 電圧を決めれば任意の階調を
書き込むことができる。
【0079】このような考え方は図6に示したような画
素内にセル厚の勾配があるものに適用できることは明ら
かであるが、セル厚勾配(画素内の電界強度分布)では
なくとも、反転閾値分布が画素内に構成できれば応用で
きることがわかる。
【0080】ここまででV1 、V2 の連続パルスの入力
によって温度変動分を除いて一定の情報を表示できるこ
とを示したが、次にV2 による温度補償作用について図
17を用いて説明する。
【0081】図17において横軸は透過率を表し、図7
に示した様に画素内に一様な閾値勾配を有し、透過率W
とパルス幅一定の印加電圧(lnV)の関係が線型にな
っている場合を考える。実際にこのようにセル厚勾配を
設定することは可能である。
【0082】走査線(N)上の画素の書き込みにおい
て、この走査線(N)が黒リセット、白書き込みの場合
には、補正パルスV2 は黒書き込み方向である。従って
(N+1)ラインは、白リセット、黒書き込み、白補正
である。これは、(N)ライン上に、(N+1)ライン
上の情報を、温度変動に応じてシフトするためで、該情
報がV2 として(N)ラインに入るためには当然黒書き
込み方向であり、従って(N+1)ラインにおいて本来
の階調表示を行なうV1 は黒書き込みとなる必要がある
からである。
【0083】本発明第一において、補償される温度範囲
1 〜T2 は、画素内の閾値比をxとすると、温度変動
によるFLCの反転閾値の変動が1/xになる温度範囲
である。従って、T1 の閾値分布の下限がT2 の閾値分
布の上限となる温度範囲である。V2 は上記T2 の閾値
(V1 の影響を受ける前)に対して0〜100%の階調
表示を行なえる電圧値V21〜V22を取る。
【0084】図17において、横線iが低温(T1 )時
のリセット後の反転閾値である。従ってiより大きな電
圧を印加すればFLCはその状態を反転する。ここで、
1パルスとV2 パルスは極性が異なるが、閾値が対称
であるので、図17においては符号を同じにして表記し
ている。
【0085】次にV2 と本来の階調情報によるV1 の設
定について説明する。図13及び図14で説明したV1
による反転閾値変動を考慮した上で、V21により0%表
示にまで戻されてしまうようなV1 をV11、V22を印加
しても100%表示を維持できるV1 をV12とし、この
11〜V12がV1 が取ることのできる電圧値である。図
17の実線a〜dがV12、V11、V22、V21であるが、
実際には画素内の閾値分布により、電界強度が勾配を有
するためa〜dは傾きを有する。
【0086】図17において、V11を印加した場合、画
素の階調表示はQ1 (%)でこの位置にドメインウォー
ルができている(以後「波面Q1 」と記す)。このV11
の印加により反転閾値がiから破線eへと変動する。反
転閾値の変動比率は前述したように一定である。この波
面Q1 に対し、V21〜V22のいずれの電圧値も上記eを
越えているため、V2 印加によって0%表示に戻され
る。また、V1 としてV11より少し高い値のVq を印加
した場合、Qよりも高い階調表示のQ2 (%)を表示
し、反転閾値は破線fとなる。このfに対して、V22
下回ることがないため、波面Q1 はV22の印加により0
%表示にまで反転してしまうが、V21は一部fを下回る
ため、その部分のみ反転できなくなってしまう。その部
位が図中のQ3 である。従って、表示すべき階調表示が
0%であれば、次ラインの走査信号線の階調情報により
決定したV2 がV21〜V22のいずれでもV1 はV11を印
加すれば良く、表示すべき階調表示がQ3 であれば、V
21の場合にはVq を印加すれば良く、V22であればV1
がVq では0%表示になるため、より高い電圧値を取れ
ば良い。更に、階調表示が100%の場合は、V21に対
しては図中のQ4 を、V22に対してはQ5 をそれぞれ示
すV1 を選択する。即ちQ5 はV12である。尚、階調表
示は100%が上限であるから、Q4 もQ5 も実際には
100%表示であるが、前記した通り、反転閾値のV1
による変動特性は100%を越えた場合にも存在するた
め、それを100%を越えた形で示した。破線g及びh
はそれぞれの変動閾値である。
【0087】次に、図17において温度変動を生じた場
合は、液晶の反転閾値に対して相対的に印加電圧V1
びV2 が高くなることと考えられるので、図中の0%の
位置と100%の位置が軸Kに向かって平行移動してい
くことと同視できる。従って、図17では[−100,
0]の領域に[0,100]が平行移動することにな
る。
【0088】温度が上昇すれば、V2 パルスによって0
%側に書き込みが生じる。これは(N)ラインのV2
(N+1)ラインの階調表示に従って決定されるため
で、温度上昇によって閾値が低値側へ変動したことによ
り、その変動分だけ、(N+1)ラインの階調情報が
(N)ラインへ書き込まれることとなる。(N)ライン
においてV2 とV1 は極性が逆であり、(N)ラインと
(N+1)ラインは書き込み方向が逆である。従って、
2 による(N+1)ラインの階調情報のシフトは本来
の(N)ラインが白書き込みであれば黒書き込みで加わ
ってくる。(N)ラインの階調表示は(N+1)ライン
の階調表示が加わった分、(N−1)ラインにV2 とし
て階調情報をシフトしている。従って、順次階調情報が
ずれて表示されることとなる。例えば、(N+1)ライ
ンの階調情報が50%であった時、T1 においては、V
1 による黒書き込みで50%黒に反転しているため、温
度上昇により階調情報が50%(N)ラインにシフトし
たとしても、(N)ラインにシフトする階調情報は、上
記50%黒書き込みで残された白(50%)であるか
ら、(N)ラインにV2 による黒書き込みは起こらな
い。同じ50%のシフトの場合でも(N+1)ラインが
黒80%表示をしていれば、残された20%の白表示と
30%の黒表示が階調情報として(N)ラインへシフト
し、結果として30%の黒書き込みをV2 によって行な
う。(N+1)が100%黒であれば、50%黒書き込
みである。
【0089】これを図17で説明すると、一点鎖線jと
実線iの交点の横軸上への投影点Q6 が[−100,
0]のちょうど中点に位置し、[−100,Q6 ]の範
囲ではjが反転閾値を越え、[Q6 ,0]の範囲では反
転閾値を下回っている。従ってV2 パルスがV2jの電圧
値の場合には、温度変動によって閾値が書き込み量で5
0%以上なければ、0%側に書き込みを生じないことが
わかる。
【0090】本発明に係るV1 パルス、V2 パルスを連
続印加して温度補償を兼ねた駆動を行なうための条件
は、V1 パルスで書き込んだ後の液晶閾値分布が、画素
に印加される電界強度の分布より急峻であることであ
る。
【0091】上述の原理を用いると、図17に短冊で示
したように、走査信号線(N)上に表示される情報(図
中斜線部分)は、低温時(T1 )から高温時(T2 )に
かけて連続的に変化し、低温時には本来(N+1)ライ
ン上で書かれる情報が高温時には(N)ライン上に表示
される。
【0092】本発明の駆動方法では、例えば液晶パネル
全体の温度がT1 の時には、全ての画素が本来の階調表
示を行ない、液晶パネル全体の温度がT2 の時には、全
ての画素が次ラインの走査線の階調情報を表示する。従
って、1走査線分だけ表示がずれることになるが、実際
の液晶パネルの走査線数が膨大であるために1本のずれ
は実質的に無視できる範囲である。また、一方がT1
もう一方がT2 のように温度勾配ができた場合には、T
1 側では本来の表示を行ない、T2 側に向かって徐々に
階調情報のシフトが増加する。しかしながら上記したよ
うに、1本分のずれが実質的に無視できること、隣接す
る2本の走査線に着目すれば同じ温度であるとみなすこ
とができるため、表示上問題はない。
【0093】図18は前記液晶セルを用いた液晶装置に
おいて、図11に示した駆動波形を出力する駆動回路の
ブロック図である。図18において、21は画像情報の
供給源であるが、本発明においては、選択した画素の情
報I1 と隣接ラインの画素の情報I2 が1組として送ら
れる。これらの情報は22のA/Dコンバーターによっ
て、2値化される。24,25はそれぞれ情報信号発生
回路であり、得られた2つの画素の情報を用いて、24
においてI2 よりVi2を決定し、25においてVi2より
i1を決定する。その後信号情報側シフトレジスタ2
6、デコーダー27、アナログスイッチ28を経てFL
Cに電圧が印加される。
【0094】走査信号は、一定の電圧波形で構成される
ので、走査アドレス情報に従って走査信号側シフトレジ
スタ29、デコーダー30、アナログスイッチ31を経
てFLCに印加される。
【0095】本発明第二の液晶装置においては、電極と
液晶層間の抵抗値を下げて、自発分極により発生した電
荷を速やかに電極側へ移動させることにより、1画素に
複数回書き込みを行なう場合に、次の書き込みが行なわ
れる前に画素内に既に形成されているドメイン・ウォー
ルの安定化を図り、温度補償駆動方法における加算性を
高めるものであり、これによって、階調表示時の表示レ
ベルの安定性(温度、書き込みレベル等に対する)が大
幅に改善される。
【0096】本発明第二の好適な実施態様による液晶装
置は、例えば、図6の構成を有し、配向膜を体積抵抗が
108 Ωcm以下の薄膜層で形成したセルを含み、一画
素内を部分的に反転させる駆動方法を用いるものであ
る。
【0097】駆動方法としては、上述した先に提案の画
素シフト法や、前出の本発明第一の実施態様として述べ
たランダム画素シフト法が好ましく用いられる。
【0098】本発明の液晶装置に用いる、電極・液晶層
間に設ける薄膜層はその体積抵抗が108 Ωcm以下で
あり、好ましくは104 〜107 Ωcmである。薄膜層
の抵抗値が104 Ωcm未満の場合、画素間の電気的導
通が無視できなくなるため、該薄膜層を電極同様にパタ
ーニングする必要がでてくる。また、当該薄膜層の膜厚
は1000Å以下が望ましい。
【0099】本発明に係る薄膜層の膜材料としては、S
nO2 、In23 等の微粒子を分散させたポリイミ
ド、ポリシロキサンが挙げられる。或いは、ポリピロー
ル、ポリアニリン、ポリアセチレン等の有機導電性膜を
配向膜として液晶側に、従来の絶縁膜に変わるものとし
てSnxy 、Inxy 等の無機膜を電極側に設けた
2層構成としても良い。
【0100】これらの薄膜層は、その体積抵抗が108
Ωcm以下となるように、その組成比や含有させるドー
パントの量を設定する。
【0101】図19に本発明の液晶装置のブロック構成
図の一例を、図20に画像情報通信タイミングチャート
を示した。
【0102】以下、図面に従って動作を説明する。グラ
フィックスコントローラ102は走査電極を指定する走
査線アドレス情報とそのアドレス情報により指定される
走査線上の画像情報(PD0〜PD3)を液晶表示装置
101の表示駆動回路(走査線駆動回路104と情報線
駆動回路105とによって構成)104/105に転送
する。本実施例では、走査線アドレス情報と表示情報と
を有する画像情報を同一伝送路にて転送するため、前記
2種類の情報を区別しなければならない。この識別のた
めの信号がAH/DLであり、このAH/DL信号がH
レベルの時は、走査線アドレス情報であることを示し、
Lレベルの時は、表示情報であることを示している。
【0103】走査線アドレス情報は、液晶表示装置10
1内の駆動制御回路111側で、画像情報PD0〜PD
3として転送されてくる画像情報から抽出されたのち、
指定された走査線を駆動するタイミングに合わせて走査
線駆動回路104に出力される。この走査線アドレス情
報は、走査線駆動回路104内のデコーダ106に入力
され、デコーダ106を介して、表示パネル103の指
定された走査電極が走査信号発生回路107によって駆
動される。一方、表示情報は情報線駆動回路105内の
シフトレジスタ108へ導かれ、転送クロックにて4画
素単位でシフトされる。シフトレジスタ108にて水平
方向の一走査線分のシフトが完了すると、1280画素
分の表示情報は併設されたラインメモリ109に転送さ
れ、一水平走査期間の間にわたって記憶され、情報信号
発生回路110から各情報電極に表示情報信号として出
力される。
【0104】また、本例では液晶表示装置101におけ
る表示パネル103の駆動とグラフィックスコントロー
ラ102における走査線アドレス情報及び表示情報の発
生とが非同期で行なわれているため、画像情報転送時に
装置間(101/102)の同期を取る必要がある。こ
の同期を司る信号がSYNCであり、一水平走査期間毎
に液晶表示装置101内の駆動制御回路111で発生す
る。グラフィックスコントローラ102側は常にSYN
C信号を監視しており、SYNC信号がLレベルであれ
ば画像情報の転送を行ない、逆にHレベルの時には一水
平走査線分の画像情報の転送終了後は転送を行なわな
い。即ち、図19において、グラフィックスコントロー
ラ102側はSYNC信号がLレベルになったことを検
知すると、直ちにAH/DL信号をHレベルにして一水
平走査線分の画像情報の転送を開始する。液晶表示装置
101内の駆動制御回路111は、SYNC信号を画像
情報転送期間中にHレベルにする。所定の一水平走査期
間を経て表示パネル103への書き込みが終了した後駆
動制御回路(FLCDコントローラ)111は、SYN
C信号を再びLレベルに戻し、次の走査線の画像情報を
受け取ることができる。
【0105】
【実施例】
(実施例1)本発明の第1の実施例として図6に示した
ような断面形状の液晶セルを作成した。図中下基板のの
こぎり歯形状は、金型上に原型を作り、それをアクリル
系UV効果樹脂52でガラス基板53上へ転写して形成
した。UV硬化樹脂52上にストライプ電極51として
ITO膜をスパッタ形成し、更にその上に配向膜54と
して日立化成社製配向膜LQ−1802を約300Åの
厚みに形成した。対向基板側も同様に、ストライプ電極
51上に同じ配向膜を形成しているが、のこぎり歯形状
は形成していない。
【0106】上下基板の配向膜54をそれぞれラビング
処理し、上基板のラビング方向に対して下基板のラビン
グ方向が約6°右ねじ方向にずれるように上下基板を対
向配置してセルを作成した。セル厚の制御は、薄い部分
(のこぎり歯の高い部分)が約1.10μm、厚い部分
(のこぎり歯の低い部分)が約1.64μmになるよう
に設定した。また、のこぎり歯形状の1辺が画素になる
ように、下基板のストライプ電極51をストライプ状
に、畝に沿ってパターニングした。ストライプ電極51
の幅は300μmで、1画素の大きさは300μm×2
00μmの長方形に設定した。使用した液晶材料を下記
表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】本実施例の駆動波形は図11に示したもの
と同じものを用いた。
【0109】各パルス幅や波高値のパラメータは以下の
通りである。 t1 =150μs t2 =40μs VS0=7.0volt VS1=13.1volt VS2=6.9volt −3.1volt≦Vi1≦3.1volt −1.41volt≦Vi2≦1.41volt
【0110】このようにして駆動した場合の表示特性を
図21に示す。図21において、曲線Bは図11におい
てVS2=0、Vi2=0とした場合のもので、温度によっ
て透過率が大きく変動してしまい良好な階調特性が得ら
れていない。これに対し、曲線Aで示す本発明の駆動方
法によれば、温度補償された良好な階調特性が得られ
た。また、駆動波形としては、図11中Yで示される情
報信号間のインターバル期間の長さが長い程、階調表示
が後続する情報信号の影響を受けにくく、Y=200μ
s程度が望ましかった。
【0111】(実施例2)実施例1と同様にして図22
に示したセル厚勾配を有する液晶セルを作成した。セル
厚分布を1.0〜1.4μs、上下基板のラビング方向
のなす角度を約10°に設定した他は実施例1と同じで
ある。駆動波形及び回路は図11、図18にそれぞれ示
したものを用いた。
【0112】本実施例で用いた液晶セルは、図22に示
すAの部分を1走査ラインとするため、従来の技術で述
べたような完全な画素シフトは生じない。しかしなが
ら、画素の明度の調整ができるため、本発明の駆動方法
により温度変動を補償することができた。図23に本実
施例の表示状態を模式的に示す。
【0113】実施例1及び実施例2共に電圧変調による
階調駆動を行なったが、変調方式はパルス幅変調、位相
変調のいずれも可能である。
【0114】(実施例3)図11に示した駆動波形にお
いて、実施例1ではYの長さは200μs程度が最も望
ましい結果が得られたが、本実施例では情報信号によっ
て決定されるクロストーク防止信号を入力することによ
り、期間Yの短縮を図った。その他の構成は実施例1と
同じである。
【0115】クロストーク防止信号を作る方法として、
実験的にVS2パルス印加直後のパルスの効力を時間毎に
調べると、図24のようになる。
【0116】図24(a)に期間Yを除いた波形構成
を、(b)に波形のアドレスを、(c)にVS2パルスに
後続して(a)の波形が印加される場合の実質的な効力
を実験的に求めた。(d)に(a)の波形の電圧値の例
を示した。この値は、走査ライン上の画素と、その隣接
画素の情報内容で決定される(実施例1参照)。(e)
は(d)の値を(c)の値で割った値を示す。期間Yは
印加電圧をVY1、VY2とすると、その効力はVY1/3、
Y2/7となる。
【0117】アドレス3〜アドレス10までの(e)の
値の合計は0.037の値を取る。この値が0になるよ
うに期間Y内の電圧を調整すれば良い。この時のVY1
Y2の条件は以下の通りである。
【0118】(VY1/3)+(VY2/7)=0.037 VY1=−VY2 これを連立して解くと、 VY1=0.2volt VY2=−0.2volt となる。
【0119】このようにして、期間Yの内部の波形構成
を決定することで、クロストークの少ない良好な階調表
示を達成することができる。
【0120】(実施例4)本発明の第4の実施例として
図6に示したような断面形状を有する液晶セルを作製し
た。図中、下基板ののこぎり形状は、金型上に原型を作
り、それをアクリル系UV硬化樹脂52でガラス基板5
3上へ転写して形成した。
【0121】UV硬化樹脂52ののこぎり形状の上に、
ストライプ電極(走査電極)51としてITO膜をスパ
ッタ形成し、更にその上に、ポリアニリン(分子量が2
00〜300程度)と有機強酸(例えばCSA、カンフ
ァスルホン酸)をN−メチルピロリドン(NMP)とn
−ブチルセロソルブ(nBC)の混合溶媒中に各0.7
重量%、0.3重量%程度溶解した溶液をスピンナーの
設定条件として1500rpm、20secでスピンコ
ートして薄膜層54を形成した。
【0122】上記条件で最適な膜厚としては、別平滑基
板上でのモニター値によると、約400Åであり、この
膜の体積抵抗を測定したところ約107 Ωcmであっ
た。
【0123】ストライプ電極51の幅を300μmとし
て、画素サイズを300μm×200μmの長方形に設
定した。液晶材料は実施例1の表1に示したものと同じ
ものを用いた。
【0124】本発明における駆動波形を図25に示す。
図中|Ve |=8.0V,|Vs |=17.0V,|V
i |=5.0V,Δt=40μs,δ=26μs、t1
=7μs,t2 =7μsである。
【0125】情報信号の変調方式は、位相変調方式であ
り、図26(b)に情報信号の変調方法について示して
いる。
【0126】電圧波形はI(0%)から、I(100
%)まで(それぞれカッコ内の情報を表示するための情
報信号である)、図中Aの部分のパルス幅を可変変調
し、δの幅の電圧信号が書き込み情報を持つように設定
してある。Aの部分の変調は(δ側のパルス幅)と(δ
と反対側のパルス幅)の比率が、1/γ:(1−1/
γ)となるように設定している。
【0127】このような比率に設定するのは、図25に
おける第1書き込み時の走査信号Aと第2書き込み時の
走査信号Bが印加された画素で反転の閾値を連続にする
ためである。ここでδの幅は、走査信号Aの選択時間Δ
Tの1/γである。この制約も閾値の連続性を保つため
に存在するものである。ここでγは、透過率(T)を縦
軸にとり、変調パラメーター(λ)を横軸にとった時の
傾き、∂T/∂λを示す。
【0128】ここで変調パラメーターについて説明す
る。透過率T(%)−変調パラメーターλの関係を示す
グラフを図27に示した。図26のような変調方式をと
る場合において、横軸のスケールをlnにとるが、これ
は温度変化による液晶の閾値の変化がグラフ上に平行移
動として現れるようにするためのものである。図27に
おいては、選択電圧合成波形Aの変化は14Vの矩形
(b−1)から20Vの矩形(b−3)までの範囲内で
ある。
【0129】そして変調パラメーターとして、電圧で重
みづけした時間をとることにより図27(a)のよう
に、透過率−lnλ特性が直線になるとともに、温度変
化によって平行移動する。
【0130】どのように重みづけをするかについて説明
すると、次のようになる。波高値V1 の部分のパルス長
をt1 (2つに分かれている場合には加算する)、波高
値V2 の部分のパルス長をt2 とすると、 λ=(V2 /V1 )t1 +t2 であり、ここでt1 +t2 =40μs、V1 =14V、
2 =20Vである。このようなλの決め方を図25、
図26の条件下で行なうと、選択電圧波形は10Vの部
分が32μs、22Vの部分が8μsのL字形波形から
図26のA部分のパルス幅を長くしてゆくことによって
40μs、22Vの矩形波形100%の書き込みまで変
調される。
【0131】この範囲で階調表示を行ない、10V、4
0μsのパルスを0%の表示の時に使うようにする。こ
れが図26におけるI(0%)の情報信号により形成さ
れる波形である。
【0132】このように、液晶・電極間に低抵抗な薄膜
層を置くことによって、画素への複数回書き込みにおけ
るドメイン・ウォールの安定性を高めることができ、温
度補償駆動時の加算性も制度を高めることができた。
【0133】また図10(c)、(d)におけるC’、
D’のようなドメインの融合等の不安定性が駆動条件下
で起こる間隔が平均して10〜20μmとなり、改善が
認められた。画素サイズを200μmとすると階調表示
制度として最小保証レベル数を示すと従来例が約8レベ
ルであったのに対し、約13レベルと保証される表示階
調数が格段に改善された。
【0134】(実施例5)本発明の第5の実施例とし
て、図28に示したような凹凸形状基板(41a〜44
a)と平滑基板(41b〜44b)との間にFLCを挟
持した構成を示す。
【0135】図28においてSnO2 層43a、43b
はイオン・プレーティング成膜によって行ない、成膜時
のガス圧、レート調整により抵抗を制御した。Ar,O
2 圧力比を70%として、レートを6Å/secとし
た。膜厚は900Åであった。この時約105 Ωcmの
膜が成膜された。このSnO2 膜に関してはスパッタ法
でも成膜可能であり、106 〜107 Ωcmの膜が得ら
れる。
【0136】このようにして形成したSnO2 膜上に実
施例4と同様なポリアニリン層を約100Åで成膜して
配向膜とした。上記SnO2 膜とポリアニリン層とで構
成される本発明に係る薄膜層の体積抵抗値は1.5×1
7 Ωcmであった。
【0137】図28における41a〜44aの各層で構
成される凹凸基板は紙面に垂直な方向に凸部が連続して
いるストライプ基板であり、ラビング方向はストライプ
方向と平行に行なった。対向側の電極基板のラビング方
向は凹凸基板側からセルを見てラビング方向の捩じれが
10°右ねじ方向になるように設定した。
【0138】図28における凸部のピッチは、凸部間隔
が2μm、3μm、5μmの3間隔構成とし、凸部の幅
は約2μmに設定した。
【0139】このようなセルに実施例1と同様な液晶を
入れることにより凸部ピッチの短い(2μm)方からド
メインが反転を始めることで画素内に階調表示を実現し
た。
【0140】上下基板間のスペーサーとしてSiO2
ーズ(φ=1.4μm)を入れてセルを構成した場合
に、階調レベル−電圧特性は、V=18V(ΔT=40
μm)で一部反転を開始し、V=22Vで100%を表
示する。画素内閾値の分布は約1.22倍となった。凸
部の高さは約2000Åであった。
【0141】このようにセルに上記導電性下地材(Sn
2 層)を使用することにより、ドメインの安定性が向
上し、図25に示すようなマトリクス駆動を行なった場
合に、小ドメイン(2μmφ以下)の消失が低減し、画
素内への複数回書き込みに対してもドメインの安定性が
増して表示特性が改善された。
【0142】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の駆動方法
においては、消去パルスに続く連続したパルスの印加に
よって、温度変動に対しても補正効果を持ち、且つイン
ターレス駆動の可能な諧調表示を実現した。その結果、
フリッカ、コントラストむら等を低減した良好な諧調表
示が実現した。
【0143】また、本発明の液晶装置においては、低抵
抗な薄膜層を用いることにより、反転後、特にドメイン
・ウォール付近の液晶分子の安定化を図り、より精度が
高く安定した階調表示を温度補償下に行なうことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】FLC素子のスイッチングパルス振幅と透過率
の関係の模式図である。
【図2】FLC素子のスイッチングパルス振幅に対する
透過状態を示す図である。
【図3】FLCの閾値特性の温度による変動を示す図で
ある。
【図4】従来の4パルス法の説明図である。
【図5】従来の4パルス法に用いるパルス波形図であ
る。
【図6】セル厚勾配を有する液晶素子の断面図である。
【図7】画素シフト法の駆動説明図である。
【図8】画素シフト法の駆動説明図である。
【図9】画素シフト法の閾値勾配の説明図である。
【図10】従来のドメイン・ウォールの不安定性を示す
図である。
【図11】本発明の駆動方法の一実施例の波形を示す図
である。
【図12】本発明の作用を説明するための液晶印加パル
ス波形図である。
【図13】本発明に係る、反転閾値変動の説明図であ
る。
【図14】図13に示した閾値特性の変動の温度依存性
の説明図である。
【図15】本発明に係る連続パルスによる諧調情報シフ
トの説明図である。
【図16】本発明に係る連続パルスによる諧調情報シフ
トの説明図である。
【図17】本発明に係る連続パルスによる諧調情報シフ
トの説明図である。
【図18】本発明の実施例で用いた液晶装置のブロック
図である。
【図19】本発明の実施例に係る駆動回路のブロック図
である。
【図20】本発明の実施例の駆動回路のタイミングチャ
ートを示す図である。
【図21】本発明の実施例1の結果を示す図である。
【図22】本発明の実施例2で用いた液晶素子の断面図
である。
【図23】本発明の実施例2の表示状態を示す図であ
る。
【図24】本発明の実施例3の説明図である。
【図25】本発明の実施例4に係る駆動波形を示す図で
ある。
【図26】図25に示した駆動波形の情報信号の構成方
法の説明図である。
【図27】図25に示した駆動波形の情報信号の構成方
法の説明図である。
【図28】本発明の実施例5のセル構成を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮田 浩克 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 新庄 克彦 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 金子 修三 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向配置した一対の電極基板間に強誘電
    性液晶層を挟持してなる液晶装置の駆動方法において、
    選択した走査線上の画素に印加されるパルスが、少なく
    とも、消去パルスと、該消去パルスとは逆極性の書き込
    みパルスと、該書き込みパルスとは逆極性の補正パルス
    からなり、次ラインの走査線上の画素に印加される各パ
    ルスとは極性が反転し、更に選択された走査線上の画素
    に印加される補正パルスが次ラインの走査線上の画素の
    階調情報により決定し、且つ書き込みパルスが本来の画
    素の階調情報と上記補正パルスにより決定された波形を
    有するように、選択した走査線に所定の走査信号を印加
    すると同時に情報線に所定の情報信号を印加することを
    特徴とする液晶装置の駆動方法。
  2. 【請求項2】 対向配置した一対の電極基板間に強誘電
    性液晶を挟持し、それぞれの電極基板に設けた走査電極
    群と情報電極群との交差部を画素とする液晶セルと、走
    査信号印加手段と、情報信号印加手段を有する液晶装置
    において、上記強誘電性液晶層と上記電極との間に体積
    抵抗が108 Ωcm以下の薄膜層を有し、各画素に複数
    回の書き込みを行って白及び黒のドメイン・ウォールを
    混在させることにより所定の階調表示を行なう駆動手段
    を有することを特徴とする液晶装置。
  3. 【請求項3】 上記薄膜層が、強誘電性液晶側に位置
    し、該液晶の配向を制御するための有機層と、電極側に
    位置する無機層との少なくとも2層以上で構成されるこ
    とを特徴とする請求項2記載の液晶装置。
JP6111895A 1993-04-28 1994-04-28 液晶装置の駆動方法及び液晶装置 Withdrawn JPH0743678A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6111895A JPH0743678A (ja) 1993-04-28 1994-04-28 液晶装置の駆動方法及び液晶装置

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12323393 1993-04-28
JP14126893 1993-05-21
JP5-141268 1993-05-21
JP5-123233 1993-05-21
JP6111895A JPH0743678A (ja) 1993-04-28 1994-04-28 液晶装置の駆動方法及び液晶装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0743678A true JPH0743678A (ja) 1995-02-14

Family

ID=27312127

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6111895A Withdrawn JPH0743678A (ja) 1993-04-28 1994-04-28 液晶装置の駆動方法及び液晶装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0743678A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR0167072B1 (ko) 액정 장치 구동 방법
EP0545400B1 (en) Liquid crystal display apparatus
US5092665A (en) Driving method for ferroelectric liquid crystal optical modulation device using an auxiliary signal to prevent inversion
KR0154356B1 (ko) 디스플레이 장치
JP2847331B2 (ja) 液晶表示装置
JP2941987B2 (ja) 液晶表示装置およびその駆動方法
KR0148246B1 (ko) 액정 장치의 구동 방법
US5844536A (en) Display apparatus
US5471229A (en) Driving method for liquid crystal device
US5296953A (en) Driving method for ferro-electric liquid crystal optical modulation device
JP2826744B2 (ja) 液晶表示装置
US5646755A (en) Method and apparatus for ferroelectric liquid crystal display having gradational display
JP3141312B2 (ja) 表示素子
JP3286503B2 (ja) 液晶素子の駆動法、及び該駆動法が用いられる液晶装置
US5657038A (en) Liquid crystal display apparatus having substantially the same average amount of transmitted light after white reset as after black reset
EP0607598B1 (en) Method and apparatus for liquid crystal display
JPH06202081A (ja) 強誘電性液晶表示素子
JPH0743678A (ja) 液晶装置の駆動方法及び液晶装置
JP3101790B2 (ja) 液晶表示素子
JP3093511B2 (ja) 表示装置
JPH06235904A (ja) 強誘電性液晶表示素子
JPH06294951A (ja) 液晶素子の駆動方法
JPH075435A (ja) 液晶素子の駆動方法
CA1258327A (en) Driving method for optical modulation device
JPH06258617A (ja) 液晶表示素子の駆動方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20010703