JPH0742683A - 圧縮機 - Google Patents
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- JPH0742683A JPH0742683A JP5187813A JP18781393A JPH0742683A JP H0742683 A JPH0742683 A JP H0742683A JP 5187813 A JP5187813 A JP 5187813A JP 18781393 A JP18781393 A JP 18781393A JP H0742683 A JPH0742683 A JP H0742683A
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Abstract
が良く互いに摺動面の摩耗が低減でき、長期間の運転に
耐え得る改良されたローラを備えた圧縮機を実現するこ
とにある。 【構成】ローラを、重量組成比でT・C2.0〜3.9、Si
2.0〜3.0、Mn0.3〜1.0、S0.10以下、V0.50以下、P
0.3〜1.0、Sb0.01〜0.5、残部Feからなる連続鋳造
鋳鉄合金で構成する。さらに好ましくはB0.001〜0.5を
含有させることが望ましい。 【効果】最適組成に制御されたP、Sb及びBが、ロー
ラの耐摩耗性を飛躍的に向上させ、しかもベーンの摩耗
をも低減できるという効果がある。
Description
ョナーや冷蔵庫等の冷凍サイクルに使用される偏心ロー
ラとベーンとを有するロータリー圧縮機に係り、特に冷
媒としてクロロフルオロカーボン(以下、CFCと略
称)に代わるハイドロフルオロカーボン(以下、HFC
と略称)を使用するのに好適な圧縮機に関するものであ
る。
を得るために、一般にベーンはローラ面とのシール性を
維持するため油圧、バネ等の弾性手段によりローラ面に
押圧され、ローラは常時このようにベーンが押圧された
状態で偏心回転する。高圧化するにしたがいローラの回
転数も高くなるためベーンとローラの摺動面の摩耗が著
しく大きくなる。このようにローラは、常に回転主面が
ベーンと、またその側面がシリンダと接して摺動してい
るため、ローラに要求される特性は、ローラ自身が摩耗
しないのと同時に相手のベーンやシリンダも摩耗させな
いことである。
もしくは共晶黒鉛鋳鉄あるいはCu-Cr系、Cu-Mo
系、Mo-Ni-Cr系の低合金鋳鉄により形成されてい
る。その中でも連続鋳造鋳鉄は、他の材料に比べて表面
層の組織が緻密で耐摩耗性に優れていることが知られて
いる。なお、この種の材料に関連するものとしては、例
えば特公昭60−1943号公報が挙げられる。
用されている冷媒は、CFC系のフロンであるが、周知
のようにCFCは成層圏にまで拡散した後、紫外線に当
たって分解し、塩素を放出してそれがオゾン層を破壊す
るため、世界的に環境問題として取上げられ、西暦20
00年までに全廃する計画で、これに代替えする冷媒の
開発が進められている。
系のフロンが最も有望であり、例えばR-134aとし
て知られている1,1,1,2テトラフルオロエタン
〔CH2FCF3〕等が挙げられる。しかし、この種のフ
ロンは環境への害は少ないが、従来のCFC系のフロン
を使用するものと比較して、以下のような問題点が指摘
される。
加わる負荷が高くなる。 (3)冷媒の吸湿性が大きい。 (4)潤滑油の潤滑性が劣る。 (5)潤滑油の吸湿性が大きくなる。 (6)シリンダ、ローラ、ベーン等の摺動部における摩
耗が大きくなる。
従来のCFC系のフロンには塩素が含まれていたため
に、これが摺動部に安定な保護膜(塩化物)を形成し、
好ましい耐摩耗性を付与していた。しかし、代替えフロ
ンとなるHFC系フロンは環境問題は解消するものの、
塩素を含まないため、CFC系フロンのような耐摩耗性
を増強するような効果は期待できず、実用化の上で新た
な問題が生じてきた。
造鋳鉄が耐摩耗性に優れているとしても、ベーンとの摺
動摩耗が極端に加速され、甚だしくはベーンとの咬りを
起こすなど実用的な圧縮機としての寿命が得られないこ
とが明らかとなってきた。
C系フロンを冷媒とした場合の上記従来のローラの問題
点を解消することにあり、副次的にはベーンとの相性が
良く互いに摺動面の摩耗が低減でき、長期間の運転に耐
え得る改良された圧縮機を提供することにある。
内に冷媒を吸入する吸入口と、吸入された冷媒をシリン
ダー内で偏心回転するローラと弾性体にって常時ローラ
に押圧されたベーンとで圧縮し、シリンダー外に吐出す
る吐出口とを備えた圧縮機において、前記ローラ材を、
組成が重量比でT・C2.0〜3.9、Si2.0〜3.0、Mn0.
3〜1.0、S0.10以下、V0.50以下、P0.3〜1.0、Sb0.
01〜0.5、残部Feからなる連続鋳造合金(鋳鉄)で構
成して成る圧縮機により、達成される。なお、T・Cは
トータル・カーボンの略称で、合金中のカーボンの総量
を示している。
Bを0.001〜0.5を含有させた連続鋳造合金でローラを構
成することである。また、この連続鋳造合金中には、特
殊合金成分として、重量組成比でCu0.05〜1.0、Mo
0.05〜1.0、Cr0.05〜1.0をそれぞれ添加、含有させる
ことができる。
に摺動による摩耗が低減できる好ましいベーン材として
は、重量組成比でT・C1.0〜2.5、Si1.5以下、Mn
1.0以下、Cr3.0〜6.0、W20.0以下、Mo12.0以下の
1種がW+2Moで15.0〜28.0、V、Nbの1種または
2種を3.5〜10.0、Co、Niの1種または2種を1.0〜
15.0含み、残部Feからなる合金で構成したもの、その
他、例えばアルミ・カーボン複合体(アルミ含浸カーボ
ン)で構成したもの等が挙げられる。
棒)をローラ幅に合わせて切断し、その中心部を抉り抜
き、表層部を残して環状に加工するが、通常は強度を向
上させるために熱処理し、表層部に耐摩耗性の熱処理層
を形成する。本発明の好ましいローラ材は表層部に、8
80〜940℃、1.0〜2.5時間の油焼き入れと、
180〜250℃、1.0〜2.5時間の非酸化性雰囲
気での焼戻し処理により形成された熱処理層を有してい
る。
R-134aとして知られている1,1,1,2テトラ
フルオロエタン〔CH2FCF3〕の如きHFC系フロン
であり、塩素を含まないフロンである。また、潤滑油と
しては、このようなHFC系フロンと相性の良い例えば
ポリオール系のエステル油が挙げられる。
成(重量比で表示)を限定した理由を始めに説明し、次
いで相性の良いベーン材の組成限定理由についても説明
する。ローラ材のカーボンはT・Cにて2.0より少ない
と耐摩耗性に必要な炭化物の生成が得られず、3.9より
多くなると脆化をもたらし好ましくない。よって好まし
い量として2.0〜3.9を設定した。
0より多くなると脆化をもたらし好ましくない。また、
2.0より少ないと鋳造性の低下を招く。よって好ましい
量として2.0〜3.0を設定した。
があり、多過ぎると鋳鉄の収縮が大きくなり、少ないと
SをMnSにして材料の脆化を防止しにくくなると共
に、パーライトの安定化が悪いので、好ましい範囲を0.
3〜1.0とした。
した。
が、0.50より多くは不必要であることから0.50以下とし
た。
作用を示す元素である。すなわち、Pはステダイト(リ
ン共晶化合物)を形成し、成分中の炭化物(カーバイ
ド)との複合体となり、カーバイドを安定化させる作用
が有り、耐摩耗性向上に寄与する。これをマトリックス
内に緻密、かつ均一に分散させることが望ましい。多過
ぎると材質が脆化し、少な過ぎると耐摩耗性向上の効果
が十分でないことから、好ましくは0.3〜1.0であり、よ
り好ましくは0.4〜0.6である。
過ぎると結晶粒界に晶出して材質が脆化し強度低下を招
くので、適量添加して固溶させることが重要である。ま
た、少な過ぎると耐摩耗性向上の効果が不十分あること
から、好ましくは0.01〜0.5であり、より好ましくは0.0
5〜0.12である。
に熱処理時の焼き入れ工程において効果を発揮する。多
過ぎると材質が脆化し、少な過ぎると耐摩耗性向上の効
果が不十分あることから0.001〜0.5が好ましく、より好
ましくは0.07〜0.13である。このローラ材は、耐摩耗性
向上のために、熱処理条件が重要であり、880〜940℃
(さらに好ましくは920±5℃)、1.0〜2.5時間の油焼き
入れと、180〜250℃(さらに好ましくは230℃±5℃)、
1.0〜2.5時間の非酸化性雰囲気での焼戻し処理により、
表層部に熱処理層を形成することである。油焼き入れ時
には植物油を用いるのが一般的であり、焼戻し処理時の
非酸化性雰囲気としては窒素ガスの如き中性雰囲気、も
しくは水素ガスの如き還元性ガス雰囲気が用いられる。
安全性と経済性とから、通常は窒素ガス雰囲気中での焼
戻し処理が行われる。
成分として、重量組成比でCu0.05〜1.0、Mo0.05〜
1.0、Cr0.05〜1.0をそれぞれ添加、含有させることが
できるが、Cu及びMoは共に耐摩耗性の向上及び熱処
理(焼き入れ)の効果を有し、Crは炭化物を形成し耐
摩耗性を向上するが、いずれも多過ぎると材質が脆化し
て強度が低下し、少な過ぎると耐摩耗性向上の効果が不
十分あることから上記の好ましい範囲としたものであ
る、また、圧縮機においてはローラ材とベーンとの相性
も重要であり、相互に摺動による摩耗が低減できるもの
が好ましく、本発明では前述したようにベーン材として
は、重量組成比でT・C1.0〜2.5、Si1.5以下、Mn
1.0以下、Cr3.0〜6.0、W20.0以下、Mo12.0以下の
1種がW+2Moで15.0〜28.0、V、Nbの1種または
2種を3.5〜10.0、Co、Niの1種または2種を1.0〜
15.0含み、残部Feからなる合金で構成したもの、その
他、例えばアルミ・カーボン複合体(アルミ含浸カーボ
ン)で構成したものが望ましい。
W、Mo、Vなどと結合して硬い炭化物を形成し、耐摩
耗性を高め、ローラ材との咬りを少なくする効果があ
る。1.0より少な過ぎると耐摩耗性向上の効果が不十分
であり、多過ぎると材質が脆化することから1.0〜2.5が
好ましい。Siも多過ぎると材質が脆化することから1.
5以下とした。Mnも多過ぎると材質が脆化することか
ら1.0以下とした。Crは炭化物を形成して耐摩耗性を
高める効果がある。添加量が少ないと効果が少なく、多
過ぎると材質が脆化することから3.0〜6.0とした。W及
びMoはCと結合して、耐摩耗性、耐咬り性を高める。
を形成し、ベーンの摩耗が減少すると共に、ローラの摩
耗を抑えることができる。添加量が少ないと効果が少な
く、多過ぎると材質が脆化することから上記の範囲とし
たものである。
果がある。添加量が少ないと効果が少なく、多過ぎると
材質が脆化することから上記の範囲としたものである。
と同様にローラ及びベーンを作成し、冷媒を除く疑似の
圧縮機を組立てローラの摩耗試験を行った結果について
説明する。 (1)ローラの摩耗試験用試料の作成 表1に示す4種のローラ材を周知の連続鋳造法により製
造し、得られた円柱状の鋳鉄をローラ幅に切断し、中心
部を抉ってリング状のローラに加工し、これを熱処理し
てベーンとの摩耗試験に供した。熱処理条件は、植物油
中での油焼入れ処理(焼入温度920℃で2時間)、窒
素ガス中での焼戻し(230℃で2時間)を行った。
ローラとして使用されている代表的な連続鋳造鋳鉄であ
り、GS−1(比較例2)は実施例1及び2と組成が類
似しているが、Pの含有量を本発明の実施例よりも少な
く本発明の組成範囲外としたものである。なお、この表
に示された成分の残部は、Fe及び避けられない微量の
不純物から構成される。
関係することから、市販のAl含浸C及びSKH51の
他に、本発明のローラと特に相性の良いベーン1及びベ
ーン2を作成した。Al含浸Cを除く、これらベーン材
の成分組成を表2に示す。
験を行った。潤滑油としての冷凍機油は、VG32のポ
リオールエステル油を用い、強制試験のため全酸価値を
0.17mgKOH/gとして腐食摩耗を加速した。な
お、圧縮機の温度は実際の運転条件に合わせて130
℃、ローラの摺動速度は5.7m/sとした。その結果
を表3に示した。
たもの、△はローラの摩耗量が少なくかなり良いもので
あるが、ベーンとの相性が悪くベーンの摩耗が無視でき
ない程度に大きかったもの、×はローラの摩耗量が大き
く本発明の目的を達成することのできない比較例を示し
たものである。
の摩耗試験データから明らかなように、いずれの特性に
おいても優れている。特に実施例2のローラ(GS−
3)とベーン2との組合せは摩耗量が格段に少なく、摩
擦係数が著しく小さい。表1のローラ材の成分組成と表
3の結果から、適量のP、SbさらにはBが有効に作用
して良好な特性を発揮しているものと思われる。
ンとなるHFC系フロンの例としてR−134aと称さ
れている1,1,1,2テトラフルオロエタン〔CH2
FCF3〕を用いて、実際のロータリー圧縮機により性
能試験を行った結果について説明する。
式的に示した概略図で、ベーン1は、スプリング4によ
り常時ローラ2に押しつけられており、ローラ2の偏心
回転によって、ローラ2とシリンダ3によって形成され
る空間の容積変化により気体(冷媒)を圧縮する。5は
冷媒の吸入口、6は圧縮された冷媒を冷凍サイクルに吐
き出す吐出口である。
機を実際の冷凍サイクルに据付け、潤滑油として粘度V
G32のポリオールエーテルを用い、回転数3000/
rpmで90日間連続運転した後におけるローラ2及び
ベーン1の摩耗の状態を測定したものであり、その結果
を表4に示した。
して従来の圧縮機である市販品の連続鋳鉄製のローラ及
びベーン(溶製高速度工具鋼SKH51)の摩耗量をそ
れぞれ100とした時の相対値で表示した。
機においては、ローラの摩耗量が従来に比較して格段に
少なく優れた特性を有していることがわかる。また、ベ
ーンの摩耗量も少なく、ローラのベーンに対する摺動時
の相性が良好であることを示している。
の目的を達成することができた。すなわち、冷媒に代替
えフロンとなるHFC系フロンを用いても性能低下を起
こすことがなく、十分に実用性あるローラを備えた圧縮
機を実現することができた。
概略図。
3…シリンダ、4…スプリング、 5…吸入
口、 6…吐出口。
Claims (10)
- 【請求項1】シリンダー内に冷媒を吸入する吸入口と、
吸入された冷媒をシリンダー内で偏心回転するローラと
弾性体にって常時ローラに押圧されたベーンとで圧縮
し、シリンダー外に吐出する吐出口とを備えた圧縮機に
おいて、前記ローラ材を、組成が重量比でT・C2.0〜
3.9、Si2.0〜3.0、Mn0.3〜1.0、S0.10以下、V0.5
0以下、P0.3〜1.0、Sb0.01〜0.5、残部Feからなる
連続鋳造合金で構成して成る圧縮機。 - 【請求項2】シリンダー内に冷媒を吸入する吸入口と、
吸入された冷媒をシリンダー内で偏心回転するローラと
弾性体にって常時ローラに押圧されたベーンとで圧縮
し、シリンダー外に吐出する吐出口とを備えた圧縮機に
おいて、前記ローラ材を、重量組成比でT・C2.0〜3.
9、Si2.0〜3.0、Mn0.3〜1.0、S0.10以下、V0.50
以下、P0.3〜1.0、Sb0.01〜0.5、B0.001〜0.5を含
み、残部Feからなる連続鋳造合金で構成して成る圧縮
機。 - 【請求項3】上記ローラ材組成に、重量組成比でCu0.
05〜1.0、Mo0.05〜1.0、Cr0.05〜1.0をそれぞれ添
加、含有せしめて成る請求項1もしくは2記載の圧縮
機。 - 【請求項4】上記ベーン材を、重量組成比でT・C1.0
〜2.5、Si1.5以下、Mn1.0以下、Cr3.0〜6.0、W2
0.0以下、Mo12.0以下の1種がW+2Moで15.0〜28.
0、V、Nbの1種または2種を3.5〜10.0、Co、Ni
の1種または2種を1.0〜15.0含み、残部Feからなる
合金で構成して成る請求項1もしくは2記載の圧縮機。 - 【請求項5】上記ベーン材を、アルミ・カーボン複合体
で構成して成る請求項1もしくは2記載の圧縮機。 - 【請求項6】上記ローラ材組成中のPの含有量を0.4〜
0.6、Sbの含有量を0.05〜0.12、Bの含有量を0.07〜
0.13として成る請求項1もしくは2記載の圧縮機。 - 【請求項7】上記ローラ材は表層部に、880〜940
℃、1.0〜2.5時間の油焼き入れと、180〜25
0℃、1.0〜2.5時間の非酸化性雰囲気での焼戻し
処理により形成された熱処理層を有して成る請求項1も
しくは2記載の圧縮機。 - 【請求項8】上記熱処理層を920±5℃、1.0〜
2.5時間の油焼き入れと、230℃±5℃、1.0〜
2.5時間の非酸化性雰囲気での焼戻し処理により形成
された熱処理層で構成して成る請求項1もしくは2記載
の圧縮機。 - 【請求項9】上記冷媒をハイドロフルオロカーボン系の
フロンで構成して成る請求項1もしくは2記載の圧縮
機。 - 【請求項10】上記冷媒をハイドロフルオロカーボン系
のフロンで構成すると共に、潤滑油をエステル油で構成
して成る請求項1もしくは2記載の圧縮機。
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