JPH074258B2 - プラスミドベクタ− - Google Patents

プラスミドベクタ−

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JPH074258B2
JPH074258B2 JP61156862A JP15686286A JPH074258B2 JP H074258 B2 JPH074258 B2 JP H074258B2 JP 61156862 A JP61156862 A JP 61156862A JP 15686286 A JP15686286 A JP 15686286A JP H074258 B2 JPH074258 B2 JP H074258B2
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dna
trimethoprim
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博史 高木
康 森永
和彦 松井
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/74Vectors or expression systems specially adapted for prokaryotic hosts other than E. coli, e.g. Lactobacillus, Micromonospora
    • C12N15/77Vectors or expression systems specially adapted for prokaryotic hosts other than E. coli, e.g. Lactobacillus, Micromonospora for Corynebacterium; for Brevibacterium

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、プラスミド及びそれを有する細菌に関し、
詳しくは、コリネ型細菌細胞内で増殖しうるプラスミド
ベクターとそれを有するコリネ型細菌に関する。
(従来の技術) コリネ型細菌は、ブレビバクテリウム・フラバム等のグ
ルタミン酸等のアミノ酸を大量に生産するものを含み、
工業的に極めて重要な微生物群である。
このようなコリネ型細菌を宿主として利用して、組換え
DNA技術によりこれらのコリネ型細菌の発酵生産物の生
産性を高めるため、既にいくつかのプラスミドベクター
が開発されている(欧州特許出願公開0093611)。これ
らのプラスミドベクターはいずれもコリネ型細菌細胞内
で増殖できるクリプティック(Cryptic)プラスミドに
プラスミド選別のためのマーカー遺伝子を挿入したもの
であり、それぞれコリネ型細菌細胞内で固有のコピー数
で存在している。これらのプラスミドベクターに有用遺
伝子を組み込んでコリネ型細菌細胞を宿主として有用物
質の生産に利用する場合、その有用遺伝子が表現される
強度はプラスミドベクターのコピー数にほぼ比例するこ
とが知られている。従って、有用遺伝子を強く表現した
い場合、コピー数の多いプラスミドベクターにその遺伝
子を組み込むことによって高い遺伝子増幅効果を得るこ
とができる。しかしながらこれまで開発されているコリ
ネ型細菌用プラスミドベクターはいずれもコピー数が一
定であり、叙上のごとき使い方はできなかった。
(発明が解決しようとする問題点) 従ってこの発明の目的は、コリネ型細菌細胞内で増殖し
うるものであって、多コピー数で存在し得る変異型プラ
スミドベクターを得ることにある。
(問題点を解決するための手段) 叙上の問題点を解決するため本発明者は、先ず、コリネ
型細菌細胞内で増殖し、同細胞内に導入されたときトリ
メトプリム耐性を表現するプラスミドを造成した。次に
このプラスミドより多コピー数の変異型プラスミドを得
た。ここでトリメトプリム耐性を表現する遺伝子は、コ
リネ型細菌由来のものである。トリメトプリムはジヒド
ロ葉酸の構造類似体であり、ジヒドロ葉酸還元酵素に対
する阻害剤である。
コリネ型細菌細胞内に導入されたときトリメトプリム耐
性を表現する遺伝子は、以下のようにして得られる。先
ずコリネ型細菌よりトリメトプリムに耐性を有する株を
選択する。コリネ型細菌の野性株は通常トリメトプリム
に感受性であり、従ってトリメトプリム耐性株を得るに
は変異株を誘導するのがよい。
トリメトプリム耐性変異株は、コリネ型細菌である親株
に、X−線,γ−線,紫外線等を照射するか、N−メチ
ル−N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン等の変異誘
起剤に曝した後、トリメトプリム耐性を獲得した株を選
別すればよい。トリメトプリム耐性を獲得した株は、例
えば最少培地(グルコース2g/dl、硫安1g/dl、尿素0.25
g/dl、KH2PO40.1g/dl、MgSO4・7H2O0.04g/dl、サイアミ
ン塩酸塩200μg/、ビオチン50μg/、寒天1.5g/dlを
含み、pH7.0に調整したもの)等の培地を用い、これに1
00μg/mlより好ましくは200μg/ml以上のトリメトプリ
ムを添加し、この培地上に生育してくる株を分離するこ
とにより得られる。
トリメトプリム耐性を表現する遺伝子を分離する方法
は、コリネ型細菌のトリメトプリム耐性を表現する遺伝
子を有している株より、まず染色体遺伝子を抽出し(例
えばH.Saito and K.Miura,Biochem Biophys Acta 72619
(1963)の方法が使用できる)、これを適当な制限酵素
で切断する。染色体遺伝子を切断するには、切断反応時
間等を調節して、切断の程度を調節すれば、巾広い種類
の制限酵素が使用できる。制限酵素により切断された染
色体遺伝子は、ついで、コリネ型細菌で増殖し得るプラ
スミドベクターに接続し、得られた組換えDNAを用いて
コリネ型細菌を形質転換せしめ、トリメトプリム耐性を
保有するにいたった菌株を分離し、それよりトリメトプ
リム耐性を表現する遺伝子を分離できる。
この際用いられるコリネ型細菌は、トリメトプリムに感
受性のものであり、従って、トリメトプリム耐性を表現
する遺伝子を有する形質転換株は、上述の通りトリメト
プリム耐性株として得られる。
コリネ型細菌は好気性,グラム陽性桿菌であり、非抗酸
性でバーヂース・マニュアル・オブ・デターミネティブ
バクテリオロジー第8版599頁(1974)に記載されてい
る。その内、特に以下に例示するようなL−グルタミン
酸を大量に生産するものが知られていて、これらはいず
れも同一属に属するものと考えられる。
ブレビバクテリウム・ディバリカタム ATCC 14020
ブレビバクテリウム・サッカロリティクム ATCC 14066
ブレビバクテリウム・インマリオフィルム ATCC 14068
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC 1386
9 ブレビバクテリウム・ロゼウム ATCC 13825 ブレビバクテリウム・フラバム ATCC 13826 ブレビバクテリウム・チオゲニタリス ATCC 19240
コリネバクテリウム・アセトアジドフィルムATCC 1387
0 コリネバクテリウム・アセトグルタミクム ATCC 15806
コリネバクテリウム・カルナエ ATCC 15991 コリネバクテリウム・グルタミクム ATCC 13032,13060 コリネバクテリウム・リリウム ATCC 15990 コリネバクテリウム・メラセコーラ ATCC 17965 ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム ATCC 15354
コリネ型細菌には上記のようなグルタミン酸生産性を有
するもののほかに、グルタミン酸生産性を失った変異株
及び他の変異株も含まれる。
コリネ型細菌細胞内で増殖しうるようなプラスミドとす
るためには、トリメトプリム耐性を表現する遺伝子はコ
リネ型細菌細胞内で増殖しうるプラスミドの複製開始領
域DNAと接続される。複製開始領域DNAとしては、コリネ
型細菌細胞内で増殖しうるプラスミドの野性型のものの
全部又はその複製開始領域を含むDNA断片が使用でき
る。更にこれら野性型プラスミド又はその複製開始領域
を含むDNA断片にコリネ型細菌由来のDNAが接続されたも
のも複製開始領域DNAとして使用できる。
コリネ型細菌細胞内で増殖しうる野性型プラスミドとし
ては、特開昭58−67699に記載されているpAM330、pAM28
6、特開昭58−77895に記載されているpHM1519、特開昭5
7−134500に記載されているpCG1、特開昭58−35197に記
載されているpCG2、特開昭57−183799に記載されている
pCG4、pCG11等が知られている。
複製開始領域DNAを有するプラスミドは、トリメトプリ
ム耐性を表現するDNAと接続するため、染色体遺伝子を
切断した際に用いられた制限酵素により切断される。染
色体DNA切断フラグメント及び切断されたプラスミドDNA
はそのまま、あるいは必要があればそれぞれの両端に相
補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドを接続せし
めて、ついでプラスミドDNAと染色体DNAフラグメントと
のライゲーション反応に付される。
このようにして得られた、染色体DNAとプラスミドDNAと
の組換えDNAをコリネ型細菌に属する受容菌へ導入する
には、エシェリヒア・コリK−12について報告されてい
る様な(Mandel,M.and Higa,A.,J.MolBiol.,53159(197
0))受容菌細胞を塩化カルシウムで処理してDNAの透過
性を増す方法、またバチルス・ズブチリスについて報告
されている様に(Duncan,C.H.,Wilson,G.A.and Young,
F.E.,Gene,,153(1977))細胞がDNAを取り込み得る
様になる増殖段階(いわゆるコンビテントセル)に導入
する方法により可能である。あるいは、バチルス・ズブ
チリス、放線菌類および酵母について知られている様に
(Chang,S.and Choen,S.N.,Molec.Gen.Genet.,168,111
(1979);Bibb,M.J.,Ward,J.M.and Hopwood,O.A.,Natur
e,274,398(1978);Hinnen,A.,Hicks,J.B.and Fink,G.
R.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,751929(1978))、DNA受
容菌を、プラスミドDNAを容易に取り込むプロトプラス
トまたはスフェロプラストにしてプラスミドをDNA受容
菌に導入することも可能である。
プロトプラスト法では上記のバチルス・ズブチリスにお
いて使用されている方法でも充分高い頻度を得ることが
できるし、特開昭57−183799に記載されたコリネバクテ
リウム属またはブレビバクテリウム属のプロトプラスト
にポリエチレングリコールまたはポリビニルアルコール
と二価金属イオンとの存在下にDNAをとり込ませる方法
も当然利用できる。ポリエチレングリコールまたはポリ
ビニルアルコールの代わりに、カルボキシメチルセルロ
ース、デキストラン、フイコール、プルロニックF68
(セルバ社)などの添加によってDNAのとり込みを促進
させる方法でも同等の結果が得られる。
形質転換の後、トリメトプリム耐性を獲得した菌株を所
望の形質転換株として分離する。このような形質転換株
は、トリメトプリム耐性を表現する遺伝子が組み込まれ
ている組換えDNAを有している。組換えDNAを単離する方
法は、例えば形質転換株をリゾチーム・SDS処理により
溶菌させ、フェノール処理ののち、2容のエタノールを
加えてDNAを沈澱回収する。
(作用) このようにして得られたコリネ型細菌細胞内で増殖し同
細胞内に導入されたときトリメトプリム耐性を表現する
プラスミドは、異種のDNAを含んでいないので、コリネ
型細菌由来の遺伝子を挿入してコリネ型細菌により発現
させるのに特に適している。挿入,発現される遺伝子と
しては、アミノ酸生合成に関与する遺伝子等が考えられ
る。
実施例1 pAJ228の作成 (1) ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ
12036より変異誘導されたトリメトプリム耐性変異株AJ1
2146(FERM P−7672、FERM BP−785)を1のCM2G2
培地(ペプトン1g/dl、酵母エキス1g/dl、グルコース0.
5g/dl、及びNaCl0.5g/dlを含み、pH7.2に調整したも
の)に植菌し、30℃で約3時間振盪培養を行ない、対数
増殖期の菌体を集めた。この菌体をリゾチーム・SDSで
溶菌させたのち、通常のフェノール処理法により、染色
体DNAを抽出精製し、最終的に3.0mgのDNAを得た。
(2) ベクターとしてpAM330を用いた。pAM330は次の
様にして調製した。
まずpAM330をプラスミドとして保有するブレビバクテリ
ウム・ラクトファーメンタムATCC13869を100mlのCM2G培
地に接種し、30℃で対数増殖期後期まで培養したのち、
リゾチームSDS処理により溶菌させ、30,000×g、30分
の超遠心により上清を得た。フェノール処理ののち、2
容のエタノールを加えてDNAを沈澱物として回収した。
これを少量のTEN緩衝液(20mMトリス塩酸塩、20mM NaC
l,1mM EDTA(pH8.0)に溶解後、アガロースゲル電気泳
動にかけ分離後、切り出してpAM330プラスミドDNA約15
μgを得た。
(3) (1)で得た染色体DNA20μgと(2)で得た
プラスミドDNA10μgとを制限エンドヌクレアーゼMbo I
でそれぞれを37℃、30分間処理し、部分切断した。65
℃,10分の熱処理後、両反応液を混合し、ATP及びジチオ
スレイトール存在下、T4ファージ由来のDNAリガーゼに
よって10℃,24時間DNA鎖の連結反応を行った。65℃,5分
の熱処理後、反応液に2倍容のエタノールを加えて連結
反応終了後のDNAを沈澱採取した。
(4) トリメトプリム感受性のブレビバクテリウム・
ラクトファーメンタムAJ12036を受容菌として用いた。
形質転換の方法としては、プロトプラストトランスフォ
ーメーション法を用いた。まず、菌株を5mlのCM2G液体
培地で対数増殖期の初期まで培養し、ペニシリンGを0.
6ユニット/ml添加後、さらに1.5時間振盪培養し、遠心
分離により菌体を集め、菌体を0.5Mシュークロース、20
mMマレイン酸、20mM塩化マグネシウム、3.5%ペナッセ
イブロス(Difco)からなるSMMP培地(pH6.5)0.5mlで
洗浄した。次いで10mg/mlのリゾチームを含むSMMP培地
に懸濁し30℃で20時間プロトプラスト化を図った。6000
×g、10分間遠心分離後、プロトプラストをSMMPで洗浄
し0.5mlのSMMPに再度懸濁した。この様にして得られた
プロトプラストと(3)で調製したDNA10μgを5mM EDT
A存在下で混合し、ポリエチレングリコールを最終濃度
が30%になる様に添加した後、DNAをプロトプラストに
取り込ませる為に室温に2分間放置した。このプロトプ
ラストをSMMP培地1mlで洗浄後、SMMP培地1mlに再懸濁
し、形質発現の為、30℃で2時間培養した。この培養液
をpH7.0のプロトプラスト再生培地上に塗布した。プロ
トプラスト再生培地は蒸留水1あたりトリス(ヒドロ
キシメチル)アミノメタン12g,KCl0.5g,グルコース10g,
MgCl2・6H2O8.1g,CaCl2・2H2O2.2g,ペプトン4g,粉末酵
母エキス4g,カザミノ酸(Difco社)1g,K2HPO40.2g,コハ
ク酸ナトリウム135g,寒天8g及びトリメトプリム(Sigma
社)25μg/mlを含む。
30℃で1週間培養後、約100個のコロニーが出現してき
たので、これをトリメトプリムを含む最少培地(2%グ
ルコース、1%硫酸アンモニウム、0.25%尿素、0.1%
りん酸二水素カリウム、0.04%硫酸マグネシウム7水
塩、2ppm鉄イオン、2ppmマンガンイオン、200μg/サ
イアミン塩酸塩、50μg/ビオチン、pH7.0、寒天1.8
%、トリメトプリム50μg/ml)にレプリカし、トリメト
プリム耐性1株を得た。
(5) これらの株より(2)で述べた方法により、溶
菌液を調製し、アガロースゲル電気泳動法により、プラ
スミドDNAを検出したところ、ベクターのpAM330よりも
明らかに大きなプラスミドが検出された。この株をAJ12
147(FERM P−7673、FERM BP−786)と名付けた。
(6) AJ12147が有するプラスミド(pAJ228)上にト
リメトプリム耐性遺伝子が存在することを確認するた
め、このプラスミドDNAを用いブレビバクテリウム・ラ
クトファーメンタムAJ12036を再度、形質転換した。
生じたトリメトプリム耐性を有するコロニーのうちそれ
ぞれ10個を釣り上げアガロース電気泳動法によりプラス
ミドDNAを検出したところ、これらのいずれにもpAJ228
と同じ大きさのプラスミドが存在していた。上記組換え
プラスミド上にトリメトプリム耐性を表現する遺伝子が
存在することが明らかとなった。
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ12146
は、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ1203
6を1,000μg/mlのN−メチル−N′−ニトロ−N−ニト
ロソグアニジンに0℃にて20分間接触せしめて変異処理
し、最少培地(グルコース2g/dl、硫安1g/dl、尿素0.25
g/dl、KH2PO40.1g/dl、MgSO4・7H2O0.04g/dl、サイアミ
ン塩酸塩200μg/、ビオチン50μg/、2ppm鉄イオ
ン、2ppmマンガンイオン、寒天1.5g/dlを含み、pH7.0に
調製したもの)にトリメトプリム100μg/mlを加えた培
地で生育しうる菌株として分離したものである。
AJ12036は、AJ12147より宿主細胞を損うことなく宿主細
胞中の複合プラスミドを除去することにより容易に得ら
れる。即ち、プラスミドは宿主より自然に失なわれるこ
ともあるし、「除去」操作によって除くこともできる
(Bact.Rev.,36,p361−405(1972))。除去操作の一例
は以下の通りである:宿主の生育を不完全に阻害する濃
度(2−50μg/ml)のアクリジンオレンジを含む培地
に、1ml当り約104細胞程度になる様に少量の菌株を接種
し宿主菌の生育を不完全に阻害してから27−37℃で一夜
培養する(J.Bacteriol.,88,261(1964))。培養液を
寒天培地に塗布し、27−37℃で一夜培養する。
培地上に出現したコロニーのうち、トリメトプリム(50
μg/ml)に感受性を示す株はプラスミドが除去されてい
る株で即ち、AJ12036である。
(7) pAJ228DNAの性質 (a) pAJ228の分子量の決定はアガロースゲル電気泳
動によった。
アガロースゲル電気泳動はシャープ(P.A.Sharp)らの
方法(Biochemistry 12,3055(1973))により、0.8%
ゲルを用い、ゲル長さcm当り、5Vで15時間、定電圧で泳
動した。分子量はpAJ228を1ケ所切断する制限酵素Cla
I 0.5ユニットをpAJ2280.5μgに37℃、1時間反応さ
せ、切断し、直線状にした後、分子量既知の分子量マー
カー、λファージのHind IIIフラグメント(BRL社)と
の移動度の比較によって算出し、7.6Kbと計算された。
また、同様の方法で市販されている各種制限酵素による
切断箇所を第1表に示した。
第 1 表 制限酵素 切断箇所の数 Ava I 5 BamH I 0 Bcl I 4 Bgl II 0 BstE II 3 Cla I 1 EcoR I 0 EcoR V 1 Hae II 4 Hind III 2 Hpa I 1 Kpn I 0 Mlu I 2 Mst I 1 Pst I 0 Pvu II 0 Sal I 0 Sca I 2 Sma I 1 Sst I 0 Sst II 0 Xba I 1 Xma I 1 Xor II 0 Xho I 1 (b) pAJ228DNAの制限酵素切断地図の作成 制限酵素はBRLの市販品を使用し、制限酵素によるpAJ22
8DNAの切断は、少なくとも3倍過剰以上の酵素を使用し
て、各酵素毎に指定された条件で行なった。制限酵素切
断地図作成のためにプラスミドDNAを1種以上の制限酵
素で切断する場合には、第1の制限酵素切断断片を分離
用アガロースゲルよりタナカらの方法(T.Tanaka,B.Wei
sblum.J.Bacteriol.,121,354(1975))により単離後、
エタノール沈澱により濃縮し第2の制限酵素で切断し
た。切断断片をアガロースゲル電気泳動にかけ、分子量
を算出し、制限酵素切断地図を作成した。作成した制限
酵素地図を第1図に示す。
(c) pAJ228のコピー数の測定 pAJ228を保持するブレビバクテリウム・ラクトファーメ
ンタムAJ12147をトリメトプリム50μg/mlを含む5mlのCM
2G液体培地に接種し、30℃で一晩培養後、その0.1mlを
トリメトプリム50μg/mlを含む5mlのCM2G液体培地に再
度接種した。30℃で対数増殖期の初期まで培養し1000μ
g/mlになるようにアンピシリンを添加後、さらに2時間
培養し、遠心分離により菌体を集め10mg/mlのリゾチー
ムを含むトリス・EDTA・NaClバッファー1.5mlに懸濁し3
7℃で2時間インキュベート後、SDS(最終濃度4%)を
添加し65℃、20分間溶菌した。プロトプラストは完全に
溶菌したことを確認した後、フェノール抽出し、ついで
2倍量のエタノールを加え−20℃でDNAを沈澱させ、沈
澱物を少量のトリス・EDTA・NaClバッファーに懸濁し
た。このDNA溶液をリボヌクレアーゼで処理(リボヌク
レアーゼI 50μg/mlで37℃、60分間反応)後、再度フェ
ノール抽出し、ついで2倍量のエタノールを加え、−20
℃でDNAを沈澱させ、沈澱物を少量のトリス・EDTA.NaCl
バッファーに懸濁後0.8%のアガロースゲル電気泳動に
かけ、泳動ネガフィルムをデンシトメーターにかけ、染
色体DNAとプラスミドDNAの割合を測定し、染色体DNAの
分子量を3.0×109ダルトン、pAJ228を5.0×106ダルトン
として計算によりコピー数を求めたところ、染色体あた
り16コピー存在することが判明した。同様の方法で求め
たpAM330のコピー数も15コピーであった。
実施例2 実施例1に示したプロトプラスト形質転換法を用いて、
コリネバクテリウム・グルタミカム(ATCC13060)をpAJ
228を用いて形質転換した後、トリメトプリム耐性で選
択し、形質転換株を得た。また、アガロースゲル電気泳
動により、形質転換株がpAJ228を有していることを確認
した。
実施例3 pAJ226の作成 pAJ228は第1表に示したような制限酵素の切断部位を有
しているが遺伝子の挿入に有用な1箇所切断の部位とし
てはCla I,Hpa I,Mst I,Sma I,Xba I,Xho I,Xma Iが知
られているのみである。一方、これまで用いられてきた
コリネ型細菌細胞内で増殖可能なプラスミドベクターに
おいては制限酵素Pst Iによる切断部位が有用な遺伝子
挿入部位として利用されてきている(欧州特許出願公開
0093611)。そこでpAJ228中に新たにPst I切断部位を造
成することにした。
pAJ228のDNA0.1μgを制限エンドヌクレアーゼHpa Iで3
7℃,2時間処理し、完全に切断した後65℃,10分の熱処理
を行なった。この反応液に宝酒造製のPst Iリンカーd
(pG-C-T-G-C-A-G-C)を100pmole添加し、ATP及びジチ
オスレイトール存在下、T4ファージ由来のDNAリガーゼ
によって10℃、24時間DNA鎖の連結反応を行なった。65
℃,5分の熱処理後、反応液に2倍容のエタノールを加え
て連結反応終了後のDNAを沈澱採取した。得られたDNAを
実施例1と同様の方法でトリメトプリム感受性のブレビ
バクテリウム・ラクトファーメンタムAJ12036にプロト
プラストトランスフォーメーション法により導入した
後、トリメトプリム100μg/mlを含むプロトプラスト再
生培地で培養した結果約100個の再生コロニーが出現し
てきたので、これらの株の中から10株を選び、実施例1
に述べた方法により溶菌液を調製し、アガロース・ゲル
電気泳動によりプラスミドDNAを検出したところ、いず
れもpAJ228とほぼ同様の大きさのプラスミドが検出され
た。これらのプラスミドを制限酵素Pst IあるいはHpa I
で37℃,2時間処理し完全に切断した後、アガロース・ゲ
ル電気泳動によりプラスミドDNAを検出したところPst I
により切断され、Hpa Iにより切断されないプラスミド
が検出された。このプラスミドをpAJ226と名付けた。第
2図にpAJ226の制限酵素切断地図を示す。pAJ226はpAJ2
28のHpa I切断部位にPst Iリンカーが挿入された結果、
Hpa I切断部位が消失し、Pst I切断部位が形成された。
実施例4 pAJ228からの発現ベクターpAJ224の造成 プラスミドベクターに遺伝子DNAを組み込む場合、組み
込んだ遺伝子DNA上にその遺伝子の発現を司どるプロモ
ーターが存在する場合にはそのプロモーターの作用によ
って遺伝子発現が行われるが、組み込んだ遺伝子DNA上
にプロモーターが存在しない場合にはベクター中のプロ
モーターを利用して遺伝子を発現させることが必要とな
る。従って、ベクターの有するプロモーター領域の下流
に遺伝子DNA挿入用の制限酵素切断部位を配置したベク
ターは発現ベクターとして極めて有用である。実施例1,
および3に示したプラスミド・ベクターpAJ228,ならび
にpAJ226は、遺伝子DNA挿入用の制限酵素切断部位が必
ずしもプロモーター領域の下流に配置されておらず、発
現ベクターとしての有用性は低かった。そこで本実施例
ではpAJ228中に存在するプロモーター領域の下流に制限
酵素の切断部位を配置した発現ベクターを造成する方法
について示す。
pAJ228中のプロモーター領域の検索には、プロモーター
領域を有さず、かつ、プロモーター領域の下流に組み込
んだ場合に検出可能な表現形質をコリネ型細菌細胞中で
発現するようなDNA断片をプローブとして用いる方法が
便利である。このようなDNA断片としてブレビバクテリ
ウム・ラクトファーメンタムAJ11188(FERM-P 4190)
(特公昭56−3038)由来のホモセリンキナーゼ(HK)を
コードする2.9KbのDNA断片を用いた。このDNA断片はブ
レビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ12079(FER
M P−7237、FERM BP−578)中に存在するHK遺伝子を
挿入した組換えプラスミドpAJ211から制限酵素Pst Iに
よる部分切断で切り出すことが可能である。このDNA断
片にプロモーター領域が存在しないことは実施例3に示
したpAJ226のPst I切断部位に挿入した際に、挿入の方
向のいかんにかかわらずHK遺伝子の発現が認められない
ことから確認された。
次にこのHK遺伝子を含むDNA断片を用いてpAJ228より発
現ベクターを造成する方法について述べる。その方法の
概略を第3図に示した。pAJ211より制限酵素Pst Iによ
る部分切断で切り出した2.9KbのDNA断片の両端にBamH
I,Sal I,Pst Iの切断部位をもった第3図に示したよう
な合成オリゴヌクレオチドリンカーをT4ファージ由来の
DNAリガーゼを用いて連結された後、制限酵素BamH Iで
切断した。得られたDNA混合物をアガロース・ゲル電気
泳動にかけ、約2.9KbのDNA断片を分離抽出し、エタノー
ル沈澱によりDNA断片を回収した。こうして得られたDNA
断片は2.9KbのHK遺伝子を含むDNAを両端にPst I,Sal I,
BamH Iの切断部位が並んだ構造になっている(第3
図)。
一方、pAJ228は制限酵素Mbo Iで部分切断した後65℃,10
分の熱処理をした。この反応液に前述の方法で得たHK遺
伝子を含むDNA断片を加え、T4DNAリガーゼでDNA鎖の連
結反応を行った。反応後、65℃,5分の熱処理をし、2倍
容のエタノールの添加により沈澱採取されるDNAを、実
施例1と同様の方法によりトリメトプリム感受性で、か
つ、HK遺伝子が欠損したブレビバクテリウム・ラクトフ
ァーメンタルAJ12078を受容菌としてプロトプラストト
ランスフォーメーションを行った後、トリメトプリム10
0μg/mlを含むプロトプラスト再生培地で培養した結果
約200個の再生コロニーが出現してきた。
これをトリメトプリム200μg/mlを含み受容菌の要求物
質であるスレオニンを含まない最少培地にレプリカし、
トリメトプリム耐性で、かつスレオニン要求性が消失し
た菌株4株を得た。これらの株より実施例1に示した方
法により溶菌液を調製し、アガロース・ゲル電気泳動に
よりプラスミドDNAを検出したところ14.9Kb,12.2Kb,9.6
Kb,6.5Kbのプラスミドが検出された。このうち最も分子
量の小さい6.5KbのプラスミドをpAJ224HKと名付けた。
次にpAJ224HKを制限酵素Pst Iで完全に切断した後アガ
ロース電気泳動ゲルからベクターpAJ228が小型化したと
考えられる3.6Kb断片を回収し、実施例1と同様の方法
でT4DNAリガーゼによるDNA鎖の連結反応、ならびにトリ
メトプリム感受性のブレビバクテリウム・ラクトファー
メンタムAJ12036を受容菌としてプロトプラストトラン
スフォーメンションを行った。トリメトプリム100μg/m
lを含むプロトプラスト再生培地で培養後、得られた再
生コロニー約100個の中より10株を選び、実施例1と同
様の方法で溶菌液を調製し、アガロース・ゲル電気泳動
によりプラスミドDNAを検出したところ、pAJ224HKよりH
K遺伝子を含む2.9KbのDNAが除去されたと考えられる3.6
KbのプラスミドDNAが検出された。このプラスミドをpAJ
224と名付け、このpAJ224を保持する菌株をブレビバク
テリウム・ラクトファーメンタムAJ12196(FERM P−8
015、FERM BP−787)と名付けた。pAJ224の制限酵素切
断地図を第4図に示す。
実施例5 pAJ226より変異型多コピー数プラスミドベクターpAJ226
copの誘導。pAJ226より多コピー数プラスミドベクター
を誘導するためには、まずコピー数の指標となる遺伝子
をpAJ226に組み込み、コリネ型細菌細胞に導入してその
遺伝子の表現活性の強い細胞を選択することによりコピ
ー数の増加した変異型プラスミドを選び出すことが可能
である。pAJ226内に存在するトリメトプリム耐性の遺伝
子をこの指標遺伝子として用いることも原理的には可能
であるが、pAJ226を保持するコリネ型細菌はすでに高濃
度のトリメトプリムに対して高い耐性を示し、変異型多
コピー数ベクターを保持する細胞を選び出すには適して
いない。そこでコリネ型細菌細胞内で弱く表現される遺
伝子を、pAJ226に組込むことにした。指標遺伝子として
はエッシェリヒア属のプラスミドpBR322(K.Peden,Gen
e,22,277(1983))のテトラサイクリン耐性遺伝子を利
用した。pBR322をPst Iで切断し、一方、pAJ226をPst I
で切断後、両DNAを混合し、T4DNAリガーゼで連結した。
この反応液でブレビバクテリウム・ラクトファーメンタ
ムAJ12036を形質転換し、テトラサイクリン4μg/mlを
含むプロトプラスト再生培地平板でテトラサイクリン低
濃度耐性を示すコロニーを選択した。次に得られた耐性
コロニーを高濃度テトラサイクリン(20μg/ml)を含む
CM2G培地平板にレプリカし、高濃度耐性株を選択した結
果、1株のテトラサイクリン高濃度耐性株が得られた。
この株からプラスミドを抽出し、Pst Iで切断後アガロ
ースゲル電気泳動にてプラスミドの大きさ、切断パター
ン、ならびにコピー数を検討したところ目的とするpBR3
22(約4.4Kb)とpAJ226(約7.6Kb)の連結した約12Kbの
プラスミドであり、かつコピー数が顕著に増加してい
た。なお、上記のテトラサイクリン低濃度耐性を示すコ
ロニーからも同様にプラスミドを抽出しPst I切断後対
照としてコピー数を比較した。こうして得られた多コピ
ー数プラスミドをpAJ226cop-pBRと命名した。
次にpAJ226cop-pBRをPst Iで切断し約7.6KbのDNA断片を
アガロースゲルより回収し、T4DNAリガーゼ処理にて閉
環後、その反応液でブレビバクテリウム・ラクトファー
メンタムAJ12036を形質転換しトリメトプリム100μg/ml
を含むプロトプラスト再生培地平板上でトリメトプリム
耐性株のコロニーを選択した。得られた耐性株よりプラ
スミドを抽出し、Pst I切断後アガロースゲル電気泳動
にてプラスミドの大きさ、切断パターンおよびコピー数
を野生型のpAJ226のそれと比較したところ約7.6KbのDNA
が閉環して出来たプラスミドであり、かつpAJ226と大き
さが全く同じであるが、コピー数が顕著に増加した変異
型プラスミドベクターであることが確認できた。この変
異型多コピー数プラスミドベクターをpAJ226copと命名
した。
実施例6 pAJ226およびpAJ226copを保持する菌株のジヒドロ葉酸
還元酵素活性とコピー数 コピー数を示す指標としてそのプラスミドに組み込まれ
ている遺伝子の産物、たとえば、それが酵素遺伝子であ
れば、表現された酵素の量(活性)を用いることが可能
である。ここではpAJ226,pAJ226cop上に組み込まれてい
るジヒドロ葉酸還元酵素の活性を測定してコピー数の違
いを調べることにした。
トリメトプリム100μg/mlを含む50mlのCM2G液体培地にp
AJ226あるいはpAJ226copを保持するブレビバクテリウム
・ラクトファーメンタムAJ12036を接種し570nmの吸光度
が0.8となるまで30℃で振盪培養後、集菌、0.2%KClで
洗浄後、0.02Mβ−メルカプトエタノールを含む0.1M Tr
is−HCl緩衝液(pH8.0)に懸濁し、氷冷下200W、15分間
超音波処理により菌体を破砕後、16000rpm、1時間遠心
分離を行ない上清を粗酵素液とした。酵素活性の測定は
Iwakuraらの方法(J.Biochem.,91,1205(1982))によ
った。プラスミドを保持しないAJ12036についても同様
の実験を行なった。結果を第2表に示す。pAJ226cop保
持株はpAJ226保持株に比べ2.7倍の活性を示すことからp
AJ226copが多コピー数存在することが確認された。
また、実施例1と同様の方法を用いてコピー数を測定し
た結果も第2表に示してあるがpAJ226copではあきらか
にコピー数の上昇が認められた。
第 2 表 ジヒドロ葉酸還元酵素活性とプラスミドコピー数 プラスミド 活性(nmole/min・mg蛋白) コピー数 な し 57 − pAJ226 410 20〜30 pAJ226cop 1100 60〜70 宿主菌はブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ
12036 実施例7 pAJ220およびpAJ220copの作成 pAJ226およびpAJ226copは利用できるクローニング部位
の種類が少ない。そこでより有用性を高かめるためプラ
スミド構造を改造した。その方法を第5図に示す。pAJ2
26またはpAJ226copのDNAをPst I,EcoR Vで切断し、約4.
7KbのDNA断片をアガロースゲル電気泳動により分画精製
した。一方、実施例4で作成したpAJ244のDNAを同様にP
st I,EcoR Vで切断し、約0.7KbのDNA断片を分画精製し
た。こうして精製したpAJ226またはpAJ226cop由来のDNA
断片とpAJ244由来のDNA断片を混合し、T4DNAリガーゼに
よって連結後、ブレビバクテリウム・ラクトファーメン
タムAJ12036にプロトプラスト・トランスフォーメーシ
ョンし、トリメトプリム耐性株を選択した。プラスミド
を抽出後、各種制限酵素による切断パターンを解析した
結果、第6図に示すようなプラスミドであることがあき
らかとなった。そこで、これらのプラスミドをpAJ226由
来のものはpAJ220、またpAJ226cop由来のものはpAJ220c
opと命名した。
次にこれらのプラスミドのコピー数を実施例1と同様の
方法で測定した結果を第3表に示す。pAJ220copはpAJ22
0に比べ約4倍のコピー数を示し、pAJ220copはpAJ226co
pの多コピー数化の原因となっているプラスミド上の領
域を有するものと考えられた。尚pAJ226copを保有する
ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ12296はF
ERM P-8821として微工研へ寄託されている。
第3表 プラスミドコピー数 プラスミド コピー数 pAJ220 20〜30 pAJ220cop 60〜80 宿主菌はブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムAJ
12036 実施例8 pAJ220copの多コピー数化を支配している領域の決定 変異型多コピー数プラスミドpAJ220copの多コピー数化
の原因となっている領域がプラスミド上のどの位置にあ
るかを決定するためpAJ220とpAJ220copを各種制限酵素
で切断し、各領域を組み換えてコピー数の変化を調べ
た。制限酵素としては両プラスミドを2ケ所で切断する
Bcl I,BstE II,Mlu Iの3種を用いて、pAJ220およびpAJ
220copのDNAを切断し、pAJ220由来の大型のDNA断片とpA
J220cop由来の小型のDNA断片とを組み合わせてT4DNAリ
ガーゼによってプラスミドを再構成したものをブレビバ
クテリウム・ラクトファーメンタムAJ12036にプロトプ
ラスト・トランスフォーメーションし、得られたトリメ
トプリム耐性株よりプラスミドを抽出し、そのコピー数
を測定した結果を表4に示した。pAJ220由来の4.5Kb Bs
tE II断片とpAJ220cop由来の0.9Kb BstE II断片を組み
合わせて再構成されたプラスミドの場合にのみ特異的に
コピー数の増大が認められた。このことよりpAJ220opの
多コピー数化を支配している領域が0.9KbのBstE II断片
上に存在し、この領域がこれらプラスミドのコピー数を
調節するDNA領域であることが示された。
実施例9 pAJ221およびpAJ221copの作成 pAJ220およびpAJ220copを小型化して有用性を高めたプ
ラスミドベクターpAJ221およびpAJ221copは第7図に示
したような方法で作成した。pAJ224をSca IおよびEcoR
Vで切断し、約0.5KbのDNA断片を取り除いた後、T4DNAリ
ガーゼによって閉環してpAJ224ESと命名した約3.1Kbの
小型化プラスミドを作成した。次にこのpAJ224ESをPst
IおよびXba Iで切断し、約1.1KbのDNA断片を得た。一
方、pAJ220、およびpAJ220copをPst I,Xba Iで切断し、
約3.8KbのDNA断片を得た。この両DNA断片を混合後、T4D
NAリガーゼで連結しブレビバクテリウム・ラクトファー
メンタムAJ12036にプロトプラスト・トランスフォーメ
ーションして、トリメトプリム耐性株を選択した。得ら
れたトリメトプリム耐性株よりプラスミドを抽出し、各
種制限酵素で切断後、アガロースゲル電気泳動によって
その構造およびコピー数を調べた結果、目的とするプラ
スミドベクターであることが明らかとなった。そこでこ
れらのプラスミドの中でpAJ220由来の小型化プラスミド
をpAJ221,pAJ220cop由来の小型化プラスミドをpAJ221co
pと命名した。第8図にその構造を示す。表5にはpAJ22
1とpAJ221copのコピー数を実施例1と同様の方法によっ
て測定した結果を示した。
表 5 プラスミド・コピー数 プラスミド コピー数 pAJ221 20〜30 pAJ221cop 60〜80 宿主菌はブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム
【図面の簡単な説明】
第1図は、プラスミドpAJ228の制限酵素切断地図であ
る。 第2図は、プラスミドpAJ226の制限酵素切断地図であ
る。 第3図は、発現用プラスミドpAJ224を造成する方法であ
る。 第4図は、プラスミドpAJ224の制限酵素切断地図であ
る。 第5図は、プラスミドpAJ220およびpAJ220copを造成す
る方法である。 第6図は、プラスミドpAJ220およびpAJ220copの制限酵
素切断地図である。 第7図は、プラスミドpAJ221およびpAJ221copを造成す
る方法である。 第8図は、プラスミドpAJ221およびpAJ221copの制限酵
素切断地図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタ
    ムAJ12296(FERM P−8821)細胞内に保持されてお
    り、下記の制限酵素地図で表現され、全長が7.6kbであ
    り、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム細胞内
    で自律複製可能であり、かつ、ブレビバクテリウム属細
    菌細胞内でのコピー数が60〜80である変異型多コピープ
    ラスミドに由来する0.9KbのBstE II−BstE II DNA断片
    上に存在する、該変異型多コピープラスミドの多コピー
    数化を支配する領域。
  2. 【請求項2】ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタ
    ムAJ12296(FERM P−8821)細胞内に保持されてお
    り、下記の制限酵素地図で表現され、全長が7.6kbであ
    り、ブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム細胞内
    で自律複製可能であり、かつ、ブレビバクテリウム属細
    菌細胞内でのコピー数が60〜80である変異型多コピープ
    ラスミドに由来する0.9KbのBstE II−BstE II DNA断片
    上に存在する、該変異型多コピープラスミドの多コピー
    数化を支配する領域を含むプラスミド。
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