JPH0742528Y2 - 超音波式霧化装置 - Google Patents

超音波式霧化装置

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JPH0742528Y2
JPH0742528Y2 JP1991094057U JP9405791U JPH0742528Y2 JP H0742528 Y2 JPH0742528 Y2 JP H0742528Y2 JP 1991094057 U JP1991094057 U JP 1991094057U JP 9405791 U JP9405791 U JP 9405791U JP H0742528 Y2 JPH0742528 Y2 JP H0742528Y2
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horn
vibration
conical surface
vibration output
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勝 井草
宏信 黒沢
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は消毒用の液剤を霧化して
手指に散布する消毒装置等に用いられる超音波式霧化装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の超音波式霧化装置に関す
る発明が出願人から既に提案されている(特願平2−9
890・特願平2−9891)。
【0003】この超音波式霧化装置は、高周波信号を印
加することによって一定振幅の振動を発生する振動子
と、振動子に上端を連結され、且つ該上端から入力した
振動子の発生振動の振幅を拡大しその下端の振動出力部
から出力する柱状のホ−ンとを備え、該振動出力部に供
給された消毒液を出力振動によって霧化し、手指等の消
毒対象物に散布している。また、ホ−ンの振動出力部は
ホ−ンの下端面をそのまま用いた単なる平面だと霧化し
た消毒液の散布方向が垂直方向に集中して充分な広がり
を得られないため、ホ−ンの周面側からその軸心に向か
って徐々に下方に突出するような形状、即ち角錐状に形
成している。また、他の形状としては円錐や球形等も考
えられる。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】ところで、前記振動子
の発生する振動は、製品のバラツキ等から振幅の大きさ
が個々に異なる。しかしながら、従来の振動出力部の形
状は所定の振幅の大きさに対して最適な散布方向が得ら
れるように設計されているため、振幅の大きさが異なれ
ば散布方向も一定ではなくなる。
【0005】ここで、前記各形状における散布方向の変
化について、図1乃至図1を参照して説明する。
【0006】図1は、振動出力部が平面、球形、円錐
(角錐も同様)の各形状におけるホ−ンの振幅変化に伴
う散布形態の広がり幅Lの特性を示すものである。散布
形態の測定はホ−ンの振動出力部から150mm下方で
行い、この位置での広がり幅は100〜180mm程度
が最適な範囲と言える。この特性図によれば、平面形状
の特性曲線aは振幅の大小に拘らず常に50mm前後の
広がりしか得られず問題外である。球形の特性曲線bは
振幅が大きくなるに従って広がり幅Lも大きくなり、小
振幅時(10〜20μm)及び大振幅時(30μm以
上)では適正範囲内に入らなくなる。また、円錐形の特
性曲線cは小振幅時は適正範囲内にあるが、中振幅時
(20〜30μm)に達すると減少し、大振幅時では平
面形状の特性曲線aとほとんど変わらないほど小さくな
ってしまう。
【0007】 ここで、球形における広がり幅Lの変化
を図12を参照して説明する。但し、出力振動(ホーン
の軸心方向)の振幅をA、消毒液の霧化に必要な最小振
幅をA0、ホーン10の振動出力部10aの最下点P
1、中間点P2、上位点P3における散布方向の振幅を
それぞれA1、A2、A3、各点P1、P2、P3にお
ける出力振動の方向と散布方向とのなす角をφ1、φ
2、φ3、(φ1<φ2<φ3)とする。
【0008】 まず、図12(a)に示す小振輻時(1
0〜20μm)において、ホーンの出力振動の振幅Aが
A0(A=A0)であるとすれば、散布方向は各点P
1、P2、P3の法線方向であるから、各法線方向の
幅A1、A2、A3は、点P1では出力振動の方向と散
布方向とが一致(φ1=0゜)するのでA=A0とな
り、点P2では散布方向の成分がA2=ACOSφ2
(=A0COSφ2)となり、点P3ではA3=ACO
Sφ3(=A0COSφ3)となる。故に、A1=A0
であるから点P1ではA1が最小振幅A0を満足してい
るので霧化されるが、点P2及び点3ではA2及びA3
が共にA0よりも小さくなり、消毒液を霧化することが
できない。従って、小振幅時は点P1近辺からしか散布
されず、広がり幅Lは100mm以下の小さなものとな
り適正範囲には達しない。
【0009】 また、図12(b)に示す中振幅時(2
0〜30μm)に、点P2おいてAs2=0が満た
されるとすれば、出力振動の振幅AはA=As2/CO
Sφ2(=A0/COSφ2)となる。そして、前記理
論に基づいて点P1及び点P3における散布方向の振幅
As1、As3を求めると、点P1ではAs1=Aであ
るからAs1=As2/COSφ2(=A0/COSφ
2)となり、点P3ではAs3=ACOSφ3であるか
ら、A=As2/COSφ2及びAs2=0を代入し
てAs3=0COSφ3/COSφ2となる。故に、
点P1及び点P2ではAs1及びAS2最小振幅A0を
満足するので霧化され、点P3ではAs3がA0より小
さくなり(φ2<φ3から、COSφ3/COSφ2<
1)、消毒液は霧化されない。従って、中振幅時は点P
1及び/点P2近辺から散布され、広がり幅Lが150
mm前後の最適な広がりを形成する。
【0010】 また、図12(c)に示す大振幅時(3
0μm以上)に、点P3において、As3=A0が満た
されるとすれば、出力振動AはA=As3/COSφ
、即ちA0/COSφ3となる。また、点P1、P2
における散布方向の振幅As1、As2、はそれぞれA
s1=A0=COSφ3、As2=A0COSφ2/C
OSφ3となり、共に最小振幅A0を上回る。故に、P
1、P2、P3の何れの点でも霧化されるが、点P3の
散布方向はほぼ水平方向であるために散布形態が広がり
すぎてしまい、また、消毒液は振動出力ぶ10aの上方
から流れ落ちてくるので、そのほとんどが点P3から点
P2にかけて霧化され、点P1近辺からは霧化されな
い。従って、大振幅時は広がり幅Lが200mm近くに
達し、しかも傘状に広がって中央部に散布霧が行き渡ら
ないことから、実用的な散布形態を形成することはでき
ない。
【0011】次に、円錐形における広がり幅Lの変化を
第1図を参照して説明する。但し、前記球形の場合は
理解を容易にするために消毒液の散布方向を球の各点に
おける法線方向と一致しているとして説明したが、実際
の散布方向はこの法線方向と先端の振動方向との中間の
法線に近い方向になるが、その原因についての理由付け
は現時点では明らかにされていない。従って、これから
説明する円錐形における広がり特性も実際の現象から仮
定した推論である。
【0012】 ホーン20の振動出力部20aにおける
散布方向が、ホーン軸心方向の出力振動と、振動出力部
20aの表面に直交する方向の振動との合成ベクトルV
c1(図中一点鎖線)によって表されると仮定すると、
小振幅時の散布形態は図13(a)に示すように適度な
広がりを持ち、広がり幅Lも130mm程度の適正な大
きさを示す。但し、ここでは表面に直交方向の振幅Ac
1は消毒液の霧化に必要な最小振幅であり、また、振動
出力部20aの頂角はこの時に散布方向の広がりが最適
になるように設定されている。ここで、振動出力が大き
くなるとホーン軸心方向の振幅Aが増大するが、振動出
力部20aの表面に直交する方向の振幅Ac1はほとん
ど変わらないと仮定すると(表面に直交する方向の振幅
がAc1になると消毒液は表面から離れ、霧化されるか
らAc1は一定と考えられる。)、中振幅時では振幅A
増大した振幅をA′とすると振幅A′と振幅Ac1と
の台成ベクトルVc1′、即ち散布方向が図13(b)
に示すように垂直方向に近づき、散布形態の広がり幅L
が小さくなる。また、大振幅時になると、振幅Aが更に
増大した振幅をA″とすると振幅A″と振幅Ac1との
台成ベクトルAc1″の向きが図13(c)に示すよう
に中振幅時よりも垂直方向に近づき、散布形態の広がり
幅Lはは一層小さくなっていく。
【0013】このように、従来の超音波式霧化装置で
は、振動出力部を球形または円錐等に形成することによ
って散布形態に充分な広がりを持たせることはできる
が、ホ−ンの振幅Aの大きさが変わると散布方向が変化
し、適正な広がりを持つ散布形態を形成できなくなると
いう問題点があった。
【0014】本考案は前記問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、ホ−ンの振幅の大き
さが変わっても常に適正な広がりを持つ散布形態を形成
することのできる超音波式霧化装置を提供することにあ
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本考案は前記目的を達成
するために、請求項1では、高周波信号を印加すること
によって振動を発生する振動子と、振動子に上端を連結
され、振動子で発生した振動振幅を拡大して下端の振動
出力部から出力する柱状のホ−ンとを備え、該振動出力
部に供給された液体を出力振動によって霧化する超音波
式霧化装置において、前記振動出力部をホ−ンの周面側
からホ−ンの軸心側に向かって下方に突出するように形
成するとともに、振動出力部の表面の少なくとも一部に
振動出力部の先端に近い方が頂角の大きい異なった複数
の錐面を設けている。
【0016】また、請求項2では、前記各錐面のうち振
動出力部の先端に近いものを、その頂角が100°乃至
140°、ホ−ン軸心方向の投影面積が全体の40%以
上になるよう形成している。
【0017】
【作用】請求項1の超音波式霧化装置によれば、頂角の
異なる複数の錐面がその頂角の大きいものから順に振動
出力部の先端側から形成されていることから、振動出力
部の先端に近い方の錐面に直交する方向の振幅が大き
く、且つその振動方向がホーンの軸心方向に近い。従っ
て、ホーンの振幅が小さいときは霧化に必要な最小振幅
が振動出力部の先端寄りの錐面でのみ現れ、この錐面を
中心に霧化される。また、前記振幅が大きいときは先端
から遠い方の錐面にも前記最小振幅以上の大きさの振幅
が現れ、その錐面を中心に霧化される。この時、各錐面
における散布方向は各錐面に直交する振幅の大きさとホ
ーン軸心方向の振幅の大きさとの合成ベクトルの向きに
よって決まり、且つ振幅が大きくなるに従って各合成ベ
クトルの向きはホーン軸心方向に近づくことから、小振
幅時のホーン先端寄りの錐面での散布方向と、大振幅時
のホーン先端から遠い方の錐面での散布方向とがほぼ一
致し、振幅の大小に拘らず散布方向が常に一定となる。
そしてホーンの下端寄りの外周にホーンに供給する液体
を一時貯溜し、必要とされる方向に液体を導出するため
の液溜ホルダが設けられており、その底面に液体を振動
出力部の所定の位置に流出させる流出口と突部とを設け
ているので、大中小の各振幅時にも必要な液体の散布形
態が得られる。
【0018】また、請求項2の超音波式霧化装置によれ
ば、請求項1の作用を有するとともに、前記各錐面のう
ち振動出力部の先端に近いものが、その頂角100°
乃至140°にホ−ン軸心方向の投影面積が全体の4
0%以上になるよう設定されていることから、小振幅時
において液体の温度が低い場合でも霧化不良を来すこと
がない。
【0019】
【実施例】図1乃至図9は本考案の一実施例を示すもの
である。
【0020】同図において、1は高周波信号を印加する
ことによって振動を発生する、例えばランジュバン型の
振動子であり、この振動子1には振動子1に所定の振動
を生じさせるための発振回路2が導線を介して接続され
ている。また、発振回路2は家庭用交流電源等からなる
電源3より供給される電圧によって駆動するようになっ
ている。
【0021】4は振動子1で発生した振動を振幅を拡大
して下端から出力するホ−ンで、上端から下端に向かう
に従ってその径を段階的に小さくする計3つの異なった
外径の円柱からなる。このホ−ン4はその大径部の上端
を振動子1に連結され、上端寄りの異径段差部分には取
付板5が貫通止着されている。また、小径部の下端は略
円錐状に形成され、振動出力部4aをなす。この振動出
力部4aは異なった頂角を有する計4つの錐面からな
り、各錐面を、振動出力部4aの先端側から順に第1錐
面4a−1、第2錐面4a−2、第3錐面4a−3及び
第4錐面4a−4とする。各錐面は振動出力部4aの先
端に近い方の頂角が大きく、本実施例では、第1錐面4
a−1の頂角θ1 を120°、第2錐面4a−2の頂角
θ2 を90°、第3錐面4a−3の頂角θ3 を76°、
第4錐面4a−4の頂角θ4 を60°としている。尚、
各頂角は所望の散布形態に応じて任意に決定してもよい
が、手指散布用として用いるならθ1 を100°〜14
0°、θ3 及びθ4 を10°〜80°程度に設定するの
が適当である。また、本実施例ではホ−ン4の外径をD
とした場合、第1錐面4a−1及び第2錐面4a−2の
境界部分の直径を2/3Dとし、第1錐面4a−1のホ
−ン軸心方向の投影面積が全体の40%強を占めるよう
になっている。
【0022】 6はホーン4の下端寄りの外周に所定
量の消毒液を一時貯溜し必要とされる方向に消毒液を導
出する液溜ホルダで、略筒状に形成されている。液溜ホ
ルダ6の底面は中央に向かうに従って低くなる斜面をな
しており、その中央部にはホーン4の下端側が貫通され
ている。本実施例ではこの貫通縁両側の互いに対抗する
計2箇所には、その一部を凹状に切り欠いてなる消毒液
の流出口6aが形成されている。また、各流出口6aの
端縁には流出口6aと同一幅の突部6bが下方に延びる
ように形成され、突部6bとホーン4との間には僅かな
間隙が形成されている(本実施例で一対の流出口6a及
び突部6bを設けているが必要な散布形態によりその数
の増減が可能であることは勿論である。)。更に、液溜
ホルダ6はその内側面上部に周設された環状突部6cを
ホーン4の中径部分の下部に周設された環状溝部4bに
嵌合し固定されており、この固定部分はホーン4の振動
の節に対応している。更に、液溜ホルダ6の側面には、
その底面から所定の高さ位置に、過剰に供給された消毒
液を排出するための廃液孔6dが設けられている。ま
た、この廃液孔6dには消毒液供給用のノズル7が挿入
されている。
【0023】8は液溜ホルダ6内に消毒液を給送する電
磁ポンプで、一端をノズル7に、他端を消毒液の貯留タ
ンク(図示省略)にそれぞれ接続されている。
【0024】ここで、前記超音波式霧化装置の動作につ
いて説明する。
【0025】まず、電磁ポンプ8が起動し、発振回路2
には電源3からの電圧が供給される。これにより、タン
ク9から液溜ホルダ6内に消毒液が一定の流量で給送さ
れるとともに、振動子1には発振回路2から所定の高周
波信号が印加され、振動子1で発生した振動はホ−ン4
によって振幅を拡大され、下端の各振動出力部4aから
出力される。この時、ホ−ン4にはその軸方向に振動の
節及び腹が交互に現れ、その振動出力部4aは前記振幅
の最も大きな腹に対応している。
【0026】 この振動状態でノズル7から消毒液が
吐出されると、該消毒液は液溜ホルダ6内に供給されホ
ーン4の周囲に一旦溜まり、各流出口6aから徐々に
定量の消毒液が流出する。流出した消毒液は振動出力部
4aに接触すると同時に霧化される。また、各流出口6
aから流出した消毒液は毛管現象の作用によって突部6
bとホーン4との間に案内されるとともに、各流出口6
aがホーン4を挟んだ両側に位置していることから、振
動出力部4aには各流出口6aに対応する箇所に集中的
に消毒液が供給される。これにより、霧化された消毒液
の飛散方向に指向性が生じ、図5に示すように横方向に
広がり、且つ図6に示すように水平方向の断面が略長方
形、即ち消毒対象物である手のひらを横に並べた場合に
適した散布形態Sが形成される。
【0027】次に、製品のバラツキ等によってホ−ン4
の振幅の大きさが異なるときの散布形態の広がりについ
て第7図及び第8図を参照して説明する。但し、出力振
動の振幅をA、各錐面4a−1,4a−3,4a−4に
直交する方向の振動の振幅をそれぞれAM1,AM3,AM
4、同方向における霧化に必要な最小振幅をAM0とし、
第2錐面4a−2については第3錐面4a−3とほぼ同
様と考え、その説明を省略する。
【0028】 まず、従来例の球形の場合で説明した
ように、各錐面4a−1,4a−3、4a−4には、そ
れぞれの面に直交する方向の振動と、ホーン4の軸心方
向の振動、即ち出力振動とが現れる。ここで、図7
(a)に示す小振幅時(10〜20μm)において、第
1錐面4a−1の垂直方向の振幅AM1の霧化に必要な
最小振幅がAM0であるとすれば、球形の理論によって
第3錐面4a−3、第4錐面4a−4の振幅AM3(A
M3=A・cosφ3=(AM1/ cosφ1)co
sφ3=(AM0/cosφ1)cosφ3=AM0c
osφ3/cosφ1<AM0、何故ならばφ1<φ2
<φ3であり、cosφ3<cosφ1であるか
ら。)、AM4(AM3と同様に、AM4=AM0co
sφ4/cosφ1<AM0、ここでφ1<φ2<φ3
<φ4であり、cosφ4<cosφ1であるから。但
しφ1、φ2、φ3、φ4は出力振動の方向と散布方向
とのなす角である。)は最小振幅AM0よりも小さくな
る。従って、小振幅時においては第1錐面4a−1のみ
から霧化される。また、その散布方向は、前記円錐形の
理論により、第1錐面4a−1の振幅AM1の大きさ
と、出力振動の振幅Aの大きさとの合成ベクトルVM1
の向きとなり、散布形態の広がり幅Lは130mm前後
となる。
【0029】 次に、図7(b)に示す中振幅時(20
〜30μm)に、第3錐面4a−3の振幅AM3の霧化
に必要な最小振幅がAM0であるとすれば、球形の理論
によって、第1錐面4a−1の振幅AM1は最小振幅A
M0よりも大きく、第4a−4の振幅AM4は最小振幅
がAM0よりも小さくなる。従って、中振幅時において
は第3錐面4a−3から集中的に霧化される。また、そ
の散布方向は、円錐形の理論により、第3錐面4a−3
の振幅AM3の大きさと、出力振動の振幅Aの大きさと
の合成ベクトルVM3の向きとなり、出力振動の振幅A
が前記小振幅時よりも大きくなっても、第3錐面4a−
3の振幅AM3の振動方向は第1錐面4a−1の振幅A
M1より水平方向において軸心に近いので、合成ベクト
ルVM3の向きはVM1とほとんど変わらず、散布形態
の広がり幅Lは150mm前後となる。
【0030】 また、図7(c)に示す大振幅時(30
μm以上)に、第4錐面4a−4の振幅AM4が霧化に
必要な最小振幅をAM0であるとすれば、前記理論と同
様、出力振動の振幅Aが前記小振幅時及び中振幅時より
も大きくなるが、第4錐面4a−4の振幅AM4の振動
方向は第3錐面4a−3の振幅AM3りも更に水平方
向において軸心に近いので、合成ベクトルVM4の向き
はVM1及びVM3とほとんど変わらず、散布形態の広
がり幅Lは130mm前後となる。
【0031】従って、ホ−ン4に供給された消毒液は各
振幅時に対応する錐面からそれぞれほぼ同一の方向に散
布され、出力振動の振幅Aの大きさが変わっても散布形
態の広がり幅Lは第8図の特性図に示すようにほぼ一定
となる。
【0032】次に、本実施例において第1錐面4a−1
の頂角θ1 を120°に設定した理由を説明する。
【0033】まず、錐面の頂角が小さくなると霧化に必
要な最小振幅も小さくなることは先に述べたとおりであ
る。また、霧化しようとする液体の温度が低いと消毒液
が霧化しにくくなり、良好な霧化を行うための条件が悪
くなる。従って、小振幅時に対応する第1錐面4a−1
の頂角θ1 はできるだけ大きいほうが好ましいと言え
る。しかしながら、頂角θ1 を大きくすると第1錐面4
a−1が平面に近い形状となるため、離液性が悪くな
る。つまり、もし一度、霧化不良を起こすと消毒液が表
面張力の作用によって第1錐面4a−1に残る。そし
て、この状態で再びホ−ン4が振動を開始すると前記残
存液がホ−ン4の駆動を阻害し、ホ−ン4が共振状態に
入るのが遅れる。そして、ホ−ン4が共振状態に入る前
に新たな液体が供給されるとこれを霧化することができ
ず、液だれを起こして霧化不能となる。そこで、出願人
の検討結果によって以下のような結論を得た。即ち、図
9に示すように第1錐面4a−1の頂角θ1 が100°
未満の場合、低温時(摂氏0℃位)においては良好な霧
化を行えなくなる可能性が高く、θ1 としては不適当で
ある。また、θ1 が100°〜110°では霧化不能と
なる可能性は低温時においても低く、適当であると言え
る。更に、θ1 が110°〜130°の場合では霧化不
能となる可能性が低下し、霧化するときは常に良好な散
布状態を得ることができ、しかも離液性も悪くないこと
から、θ1 としては最適な角度である。また、θ1 が1
30°〜140°の場合は離液性がやや低下するが実用
上では問題がないので適当である。更に、θ1 が140
°を越えると離液性の低下が顕著になり、前記液だれを
起こす可能性が高く、不適当である。従って、第1錐面
4a−1の頂角θ1 は120°前後が最適であるが、1
00°〜140°の範囲内ならば実用に供することが可
能である。
【0034】また、第1錐面4a−1は小振幅時に対応
するようになっているため、単位時間当たりの散布量が
中振幅時及び大振幅時に比べて少なくならないようにす
るためには、第1錐面4a−1の面積を他の錐面よりも
大きくする必要がある。そこで、出願人の検討結果によ
れば、第1錐面4a−1のホ−ン軸心方向の投影面積が
全体の40%以上あれば、小振幅時でも霧化の安定性が
得られることが実証され、本実施例ではホ−ン4の外径
をDとした場合、第1錐面4a−1及び第2錐面4a−
2の境界部分の直径を2/3Dとし、第1錐面4a−1
のホ−ン軸心方向の投影面積が全体の40%強を占める
ようにした。
【0035】 ところで、前記実施例ではホーン4の各
錐面を計4段階に設けたものを示したが、これを更に微
細な錐面に分割していくと、最終的にはあたかも連続し
た任意の曲面に近似したもののようにできる。この場
合、CAD/CAM等のコンピュータ解析を用いること
により設計や製造が可能である。即ち、図10に示す他
の実施例は、前記各錐面のうち第2、第3及び第4錐面
あたかも近似的な曲面で形成したかのような近似錐面
4a−5を設けたもので、このような形状であっても散
布形態の広がり幅Lは第8図の特性図に示すように出力
振動の振幅に拘らずほぼ一定となる。(理由としては、
近似錐面を拡大すれば頂角の異なった複数の有限の錐面
の集合であるといえるからである。)
【0036】
【考案の効果】以上説明したように、請求項1の超音波
式霧化装置によれば、製品のバラツキや温度変化等によ
ってホーンの振動出力部における振幅の大きさが変化し
た場合でも、常に一定の方向に液体を散布することがで
きるので、常に適正な広がりを有する散布形態を形成す
ることができる。しかも、必要な散布形態には、振幅の
大中小にもかかわらず、液体を一時貯溜し、その底面の
穴部と突部によりホーンの必要位置に液体を供給し、必
要な霧化形態を確保するには合成樹脂等で製作したホー
ンのための液溜ホルダを交換するだけでよく、安価で、
容易に必要な散布形態に対応できる。
【0037】また、請求項2の超音波式霧化装置によれ
ば、請求項1の効果を達成し得るとともに、霧化不良の
発生が極めて少ない上に、たとえ霧化不良を生じた場合
でも連続して発生することがないので、信頼性を格段に
向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す超音波式霧化装置の要
部拡大断面図
【図2】図1のA−A線矢視断面図
【図3】超音波式霧化装置の概略構成図
【図4】振動出力部の拡大図
【図5】消毒液の散布形態を示す側面図
【図6】図5のB−B線矢視断面図
【図7】振動出力部における散布方向の変化を示す説明
【図8】散布形態の広がり特性図
【図9】第1錐面の頂角に対する適否表
【図10】本考案の他の実施例を示す振動出力部の拡大
【図11】従来例を示す散布形態の広がり特性図
【図12】球形の振動出力部における散布方向の変化を
示す説明図
【図13】円錐形の振動出力部における散布方向の変化
を示す説明図
【符号の説明】 1…振動子、4…ホーン、4a…振動
出力部、4a−1…第1錐面、4a−2…第2錐面、4
a−3…第3錐面、4a−4…第4錐面、4a−5…近
似錐面、θ1、θ2、θ3…頂角、6…液溜ホルダ、6
a…流出口、6b…突部

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波信号を印加することによって振動
    を発生する振動子と、振動子に上端を連結され、振動子
    で発生した振動振幅を拡大して下端の振動出力部から出
    力する柱状のホーンとを備え、該振動出力部に供給され
    た液体を出力振動によって霧化する超音波式霧化装置に
    おいて、 前記振動出力部をホーンの周面側からホーンの軸心側に
    向かって下方に突出するように形成し、且つホーンの下
    端よりの外周にホーンに供給する液体を一時貯溜し所定
    位置に導出する液溜ホルダを設けるとともに、 振動出力部の表面の少なくとも一部に振動出力部の先端
    に近い方が頂角の大きい異なった複数の錐面を設けたこ
    とを特徴とする超音波式霧化装置。
  2. 【請求項2】 前記各錐面のうち振動出力部の先端に近
    いものを、その頂角が100°乃至140°、ホーン軸
    心方向の投影面積が全体の40%以上になるよう形成し
    たことを特徴とする請求項1記載の超音波式霧化装置。
JP1991094057U 1990-11-16 1991-11-15 超音波式霧化装置 Expired - Lifetime JPH0742528Y2 (ja)

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JP2-119377 1990-11-16
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JPH0499262U JPH0499262U (ja) 1992-08-27
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