JPH0742379Y2 - 衣服ハンガー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ジャケット、ブラウス
等の衣服を懸吊する衣服ハンガーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ジャケット、ワイシャツ、ブラ
ウス等の衣服を、例えば洋服ダンス等に収納したり、洋
服売り場等で陳列する場合、これらの衣服を懸吊する衣
服ハンガー（以下、ハンガーと称する）が用いられる。

【０００３】上記ハンガーは、ハンガー本体の上端部に
金属製のフック等の掛止部が設けられて構成されてい
る。そして、上記ハンガー本体としては、木製のものや
非発泡性合成樹脂製のもの等がある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のハンガーは、ハンガー本体の厚みが薄く、衣服を支
持する面積が少ないため、ずり落ち易く、衣服の肩部に
おけるハンガーに支持されている部位に集中的に衣服の
重量がかかるので、この部位は特にしわになり易く型崩
れが起こり易い。また、衣服における肩部よりも下の部
分は何ら支持されないで、正面側と背中側とが殆ど引っ
ついた状態で懸吊されることになる。衣服は、人が着服
した状態ではしわにならないが、上記のように厚みのな
いハンガーで懸吊された場合、弛みが生じてしわが発生
する。特に、女性の体型を考慮して作られたブラウス等
の女性用の洋服の場合、背中側よりも正面側に弛みが集
中し、衣服の正面側の型崩れは大きい。

【０００５】特に、ハンガーを長期間連続して使用する
ことによってこれらの傾向は大きくなる。しかし、通常
において、シーズン終了後、季節の衣服を来期まで洋服
ダンス等に収納しておくといったように、ハンガーを長
期間使用することも少なくない。また、衣服の素材によ
っては、ハンガーの型がついたままとれなくなってしま
うといった事態も発生する。特に、高級で型崩れし易い
衣服の扱いには細心の注意が必要となり、ハンガーの長
期使用が行えないものもある。

【０００６】このように、上記従来のハンガーは、その
使用が長期になるほど衣服の保型性が低下し、衣服の品
質低下を招来するといった問題点を有している。そし
て、この衣服の品質の低下は、衣服を商品として扱うブ
ティック等の衣服店においては特に重要な問題となって
いる。

【０００７】このため、ハンガー本体の厚みを増すこと
によって衣服の保型性を向上させるるという方法が考え
られる。しかし、これではハンガー本体の厚みが増加し
た分ハンガー自体の重量が増加することになるので、使
用者にとっては取り扱い難くなり、その上、コストの上
昇を招来することになってしまう。

【０００８】このため、本出願人は、発泡性ポリスチレ
ン等の発泡性合成樹脂を材質として、内部空洞の略人体
形状を成す保型体を有したハンガー（実願平２−１０８
６７９号）の提案を行っているが、このハンガーにおい
ては、複雑な組み立てが必要である。さらに、ハンガー
本体の厚みが増加したことからハンガーが大型化し、上
記ハンガーを搬送する際に数量的に多くを搬送できない
し、また、広い保管スペースが必要になるという不都合
を招来している。

【０００９】本考案は、上記に鑑みなされたものであっ
て、その目的は、長期間使用しても型崩れすることがな
く、衣服の品質を保持することが可能であり、且つ、軽
量で取り扱い易く、その上製造が容易でありコストの削
減を図ることができる衣服ハンガーを提供することにあ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本考案の衣服ハンガー
は、上記の課題を解決するために、ハンガー本体の上端
部に掛止部を有し、衣服を懸吊する衣服ハンガーにおい
て、以下の手段を講じている。

【００１１】即ち、上記ハンガー本体は、発泡性合成樹
脂シート、例えば発泡性ポリスチレンシートを略人体の
正面側形状に成形して成る背面凹状の保型体により構成
されている。

【００１２】

【作用】上記の構成によれば、上記ハンガー本体は略人
体の正面側形状を成す保型体により構成されているの
で、衣服がハンガー本体に掛けられたとき、衣服の正面
側は、実際に人が衣服を着服したのと略同様な状態でハ
ンガー本体に支持される。

【００１３】このため、衣服がハンガー本体からずり落
ち難くなり、さらに、しわの発生を防止することができ
るので、上記衣服ハンガーを長期間使用した場合であっ
ても衣服が型崩れを起こし難い。

【００１４】また、上記衣服ハンガーに衣服を懸吊した
ままでも、しわ、型崩れのない衣服本来の奇麗なシルエ
ットが得られるため、例えば、衣服を商品としてあつか
うブティック等の衣服店において、店内やショーウイン
ドにそのまま展示することができる。

【００１５】また、上記保型体は、例えば発泡性ポリス
チレンシート等の発泡性合成樹脂シートを成形したもの
であり、その背面は凹状である。このため、上記衣服ハ
ンガーは大変軽量であり、取り扱い易い。

【００１６】また、上記保型体の背面が凹状であるの
で、複数の衣服ハンガーを同方向に重ね合わせれば、重
ね合わせ下方の正面凸部が、重ね合わせ上方の背面凹部
に嵌合し、コンパクトにまとめることができる。従っ
て、一度に多量の衣服ハンガーを搬送することができ、
また、保管スペースも最小限で済む。

【００１７】また、発泡性合成樹脂シートを成形すれば
容易に製造することができるため、大量生産に適してお
り、低コスト化を実現することができる。

【００１８】

【実施例】本考案の一実施例について図１ないし図５に
基づいて説明すれば、以下の通りである。

【００１９】本実施例の衣服ハンガー（以下、ハンガー
と称する）１は、図１ないし図３に示すように、女性の
上半身の正面側形状を成すハンガー本体２と、このハン
ガー本体２上端部に続いて形成されたフック型の掛止部
３とによって構成されている。

【００２０】即ち、上記ハンガー本体２には、人体の首
部分に相当する首部２ａが形成されており、また、肩部
２ｂ・２ｂおよび胸部２ｃ・２ｃも極力人体形状に倣わ
せて形成されている。従って、ハンガー本体２は女性の
上半身の正面側形状に倣って適度な厚みを有している。

【００２１】上記ハンガー本体２は、図４に示すよう
に、発泡性合成樹脂シートとしての発泡性ポリスチレン
シートを、女性の上半身の正面側形状に成形して成る背
面凹状の保型体４の外表面の全面に布材５を貼着すると
共に、この保型体４の内表面の全面に非発泡性ポリスチ
レンをラミネートしてラミネート層６を形成したもので
ある。上記布材５としては、ポリエステル系繊維を素材
としたベロアが使用されており、保型体４の外表面への
貼着は、ホットメルトタイプの接着剤によってなされて
いる。尚、本実施例においては、上記発泡性合成樹脂シ
ートとして発泡性ポリスチレンシートが用いられている
が、これに限定されるものではない。

【００２２】上記掛止部３は、図５に示すように、上記
ハンガー本体２と一体形成されており、裏面には、非発
泡性ポリプロピレンから成る第１補強部７と発泡性ポリ
プロピレンから成る第２補強部８とが、この順に接着剤
によって貼着されている。

【００２３】上記の構成において、図１に示すように、
ハンガー１に衣服９を懸吊した場合、ハンガー本体２
は、女性の上半身の正面側形状に倣って適度な厚みを有
しているので、衣服９の正面側は、実際に人が衣服９を
着服したのと略同様な状態でハンガー本体２に支持され
る。このため、衣服９がハンガー本体２からずり落ち難
く、さらに、しわの発生を防止することができるので、
上記ハンガー１を長期間使用した場合であっても衣服が
型崩れを起こし難い。このため、高級で型崩れし易い衣
服９であっても長期使用することが可能となる。

【００２４】特に、女性の体型を考慮して作られたブラ
ウス等の女性用の衣服９を従来のハンガーに懸吊した場
合では、背中側よりも正面側に弛みが集中していたこと
からも、本ハンガー１は、女性用の衣服９を懸吊する場
合には大変有効であるといえる。

【００２５】また、保型体４は発泡性ポリスチレンシー
トで人体の正面側だけを成形したものであり、背面が凹
状であると共に、ハンガー１における他の部分も全て軽
量な材質でできている。このため、ハンガー１は大変軽
量であり取り扱い易い。

【００２６】また、図３に示すように、ハンガー本体２
の背面が凹状であるので、ハンガー１・１同士を同方向
に重ね合わせれば、重ね合わせ下方にあたるハンガー１
の正面凸部が、重ね合わせ上方にあたるハンガー１の背
面凹部に嵌合する。即ち、複数のハンガー１を重ね合わ
せれば、大変コンパクトにまとめることができ、一度に
多量のハンガー１を搬送することができると共に、保管
スペースも最小限で済む。

【００２７】また、本ハンガー１は、発泡性ポリスチレ
ンシートを成形して、その外表面に布材５を貼着し、ま
た内表面にラミネート層６を形成して、掛止部３に第１
補強部７と第２補強部８とを貼着するだけで簡単に製造
することができ、複雑な組み立て行程を必要とせず、大
量生産に適したものであり、低コスト化を実現すること
ができる。

【００２８】このように、本ハンガー１は、内部空洞の
略人体形状を成す保型体を有したハンガー（実願平２−
１０８６７９号）に比べても、使用材料が略半分で済む
と共に、複雑な組み立てを要さず生産性に優れており、
より軽量化、低コスト化を実現することができ、また、
多数のハンガーを搬送、保管する際のハンガー１つ当た
りの占有スペースが極めて小さい。

【００２９】また、ハンガー本体２表面には、首部２
ａ、肩部２ｂ・２ｂ、胸部２ｃ・２ｃといった人体形状
に倣わせた凹凸部が複数形成されている。これらの凹凸
部はハンガー本体２に対して補強効果を有しており、ハ
ンガー本体２は衣服９を懸吊する上で十分な強度を有す
るものとなっている。

【００３０】また、発泡性ポリスチレンの持つ吸音効果
によって、ハンガー１同士の衝突や、ハンガー１と他の
硬質物体との衝突が起こっても衝突音は僅かなものであ
る。

【００３１】また、ハンガー本体２および掛止部３の外
表面は布材５に覆われているので、衣服９とハンガー本
体２との摩擦による生地の傷みが抑制され、さらに保型
体４の保護効果も得られる。また、布材５としてポリエ
ステル系繊維を素材としたベロアが使用されているの
で、このベロアの持つ、色合い、光沢、感触等により高
級感が醸しだされ、現在の高級指向にマッチしたものと
なっている。

【００３２】また、ハンガー本体２の内表面には非発泡
性ポリスチレンから成るラミネート層６が形成されてい
るので、光沢が付与されると共に、手触りの良いものと
なっている。

【００３３】また、ハンガー１に衣服９を懸吊した場
合、衣服９の正面側は、実際に人が衣服９を着服したの
と略同様な状態となるため、しわ、型崩れのない衣服９
本来の奇麗なシルエットが得られる。このため、衣服９
を商品として扱うブティック等の衣服店においては、ハ
ンガー１に衣服９を懸吊したままで、店内やショーウイ
ンドにそのまま展示することができる。この場合、ハン
ガー本体２の首部２ａにスカーフ、ネックレス等を着け
て展示することもできる。

【００３４】このように、上記ハンガー１は上半身用マ
ネキン人形等の代替物ともなり得る。そして、上半身用
マネキン人形等に比べて、安価であり、軽量であり、衣
服９の着けかえが容易であり、さらに同じスペース内に
数多くの衣服９を展示することができる等の利点を有し
ている。

【００３５】尚、本実施例では保型体４の外表面部に、
布材５としてポリエステル系繊維を素材としたベロアを
貼着し、内表面部に、非発泡性ポリスチレンから成るラ
ミネート層６を形成しているが、上記布材５およびラミ
ネート層６の存否、ならびにこれらの素材については何
ら問うものではない。また、保型体４の両表面部に布材
５を貼着することもできる。また、布材５を貼着しない
場合においても、保型体４の表面にペイント等を施し
て、色、艶、模様等を付加することもできる。

【００３６】また、上記掛止部３は、本実施例に限定さ
れるものではなく、例えば金属製のフック等をハンガー
本体２の上端部に取り付けたものであってもよいが、本
実施例の如くハンガー本体２と一体形成されたものであ
れば、ハンガー１の製造を大変容易にすることができ
る。また、上記掛止部３は、非発泡性ポリプロピレンか
ら成る第１補強部７と発泡ポリプロピレンから成る第２
補強部８とによって補強されているが、上記第１補強部
７および第２補強部８の存否、ならびにこれらの素材に
ついては何ら問うものではない。

【００３７】また、本実施例のハンガー１は女性用であ
るが、ハンガー本体２を男性の上半身正面側形状に形成
した男性用のものであってもよい。

【００３８】

【考案の効果】本考案の衣服ハンガーは、以上のよう
に、ハンガー本体は、発泡性合成樹脂シートを略人体の
正面側形状に成形して成る背面凹状の保型体により構成
されたものとなっている。

【００３９】これにより、衣服がハンガー本体に掛けら
れたとき、衣服の正面側は、実際に人が衣服を着服した
のと略同様な状態でハンガー本体に支持されるので、衣
服がハンガー本体からずり落ち難くなり、さらに、しわ
の発生を防止することができる。従って、上記衣服ハン
ガーを長期間使用しても型崩れし難く、衣服の品質を長
期間保持することが可能となる。

【００４０】また、上記衣服ハンガーに衣服を懸吊した
ままでも、しわ、型崩れのない衣服本来の奇麗なシルエ
ットが得られるため、例えば、衣服を商品としてあつか
うブティック等の衣服店において、店内やショーウイン
ドに上記衣服ハンガーに衣服を懸吊して展示することが
できる。

【００４１】さらに、上記衣服ハンガーは大変軽量であ
り取り扱いが容易であると共に、容易に製造することが
できるため大量生産に適しており、低コスト化を実現す
ることができる。

【００４２】その上、複数の衣服ハンガーを同方向に重
ね合わせれば、大変コンパクトにまとめることができる
ので、一度に多量の衣服ハンガーを搬送することがで
き、また、保管スペースも最小限で済む等の効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示すものであり、衣服ハン
ガーを示す斜視図である。

【図２】上記衣服ハンガーの側面図である。

【図３】上記衣服ハンガーの背面図である。

【図４】上記衣服ハンガーにおけるハンガー本体の断面
構造を示す説明図である。

【図５】上記衣服ハンガーにおける掛止部の構成を示す
説明図である。

【符号の説明】

１ 衣服ハンガー ２ ハンガー本体 ３ 掛止部 ４ 保型体 ９ 衣服

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ハンガー本体の上端部に掛止部を有し、衣
   服を懸吊する衣服ハンガーにおいて、上記ハンガー本体
   は、発泡性合成樹脂シートを略人体の正面側形状に成形
   して成る背面凹状の保型体により構成されていることを
   特徴とする衣服ハンガー。