JPH0741800A - 健康衛生用皮革 - Google Patents

健康衛生用皮革

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JPH0741800A
JPH0741800A JP18374493A JP18374493A JPH0741800A JP H0741800 A JPH0741800 A JP H0741800A JP 18374493 A JP18374493 A JP 18374493A JP 18374493 A JP18374493 A JP 18374493A JP H0741800 A JPH0741800 A JP H0741800A
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antibacterial
health
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polyurethane resin
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Yoshinobu Fujimoto
良伸 藤本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 皮革素材の風合いを損なうことなく、高い抗
菌作用を長期間保持することのできる実用的な健康衛生
用皮革の提供。 【構成】 健康衛生用皮革1においては、水を含む分散
媒を用いたエマルジョン系のポリウレタン樹脂6を皮革
素材2の表面8に付着させるようにしたが、このポリウ
レタン樹脂6は、水の蒸発により固化した後に適度の可
撓性を有し比較的透明であって、皮革素材2に対する接
着力も比較的大きい。そこで、熱エネルギーを受けるこ
とにより遠赤外線を放射するセラミックス粉末5を、ポ
リウレタン樹脂6を介して皮革素材2の表面8に担持す
るようにしたので、皮革素材2の風合いを損なうことな
く、セラミックス粉末5を長期間安定に担持することが
できる。その結果、セラミックス粉末5からの遠赤外線
の作用による血行促進等の温熱効果を奏し、これに起因
する抗菌効果を長期間保持するものとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗菌性を有しこの抗菌
性を長期間保持し得る健康衛生用皮革に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】抗菌性を付与した衣料製品が市場に出回
って久しいが、これらは衣料を構成する繊維に抗菌性薬
剤を塗布したものや、血行促進効果に起因して抗菌性を
奏する遠赤外線放射セラミックスを繊維に付着・保持さ
せたもの等がある。
【0003】このような遠赤外線放射セラミックスを適
用してなる繊維としては、例えば特開平2−10473
1号,特開平3−21266号,特開平4−11282
2号の各公報に開示されたものがある。これらは、例え
ば芯糸の外周に遠赤外線放射セラミックスのパウダを被
着し、このパウダの外周を繊維外皮で被ったもの,遠赤
外線放射セラミックス・樹脂複合繊維とこの複合繊維に
水分を供給する木綿等の吸湿・保湿性物質とを組み合わ
せて遠赤外線放射能力を高めるようにしたもの,或い
は、鎮痛・消炎効果を有するゲルマニウムと遠赤外線放
射セラミックスと防臭・抗菌・防湿作用を有する繊維素
材とをシート状に組み合わせたものである。
【0004】これらの遠赤外線放射セラミックスを付着
・保持してなる繊維は、遠赤外線放射セラミックスの陽
イオンの作用,放射遠赤外線の作用,この放射作用の効
力増強効果を利用したものであり、人の皮下層にて吸収
された遠赤外線がその部位の水分を活性化して昇温させ
ることにより、微細血管の拡張,血液循環や新陳代謝の
促進等の効能を奏することがよく知られている。更に、
これらの副次的な効能として水虫等の雑菌に対する繁殖
抑制効果、即ち抗菌性を有することとなる。
【0005】ところで、装身用素材の一種である皮革素
材は、コート,ジャンパ,手袋,シューズ等のように身
に付ける製品として、広く普及している。特に、近年に
おける装身用皮革製品の普及率には、目をみはるものが
ある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
皮革製品には著しい抗菌作用を持たせたものがほとんど
見当たらず、また、何らかの抗菌性を有するものであっ
ても、その効能を長期間に亘って持続し得るものがなか
った。これは、皮革素材も、一般の繊維製品と同様に、
素材自体が可撓性を有するので、使用時の撓み変形を余
儀なくされ、しかも製品の表面形態が繊維製品と比べて
一様状であるため、単に皮革素材表面に抗菌性薬剤を塗
布しただけでは、製品の使用回数や皮革専用の洗濯回数
によって抗菌性が急激に低下するためである。
【0007】一方、皮革素材にとって、その風合い(手
で触れたときの軟らかさ等)は商品価値を大きく左右す
るものであるから、抗菌性の持続力を高めるための処理
によって、特有の風合いが損なわれてはならない。
【0008】本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなさ
れたものであって、皮革素材の風合いを損なうことな
く、高い抗菌作用を長期間保持することのできる実用的
な健康衛生用皮革の提供を目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る健康衛生用皮革は、水を含む分散媒を
用いたエマルジョン系バインダを介して、抗菌性材料を
皮革素材の表面に担持してなることを特徴とするものと
して構成されている。
【0010】ここで、水を含む分散媒を用いたエマルジ
ョン系バインダとしては、皮革素材の表面に付着させた
後、水の蒸発により固化したバインダが適度の可撓性を
有し比較的透明であって、皮革素材の風合いを損なわせ
ることなく当該表面に強力に固着されるものであればよ
い。このようなものとして、例えば、ポリウレタン樹
脂,ポリアクリル樹脂,ポリエステル樹脂,ポリブタジ
エン・アクリロニトリル共重合体(NBR),ポリブタ
ジエン・スチレン共重合体(SBR),ポリビニルアル
コール樹脂(PVA),ポリエチレン・酢酸ビニル共重
合体(EVA),天然ゴム樹脂(ラテックス),Ros
in樹脂(松ヤニ),植物タンニン樹脂,ポリエポキシ
樹脂等を分散質とするものが好ましい。
【0011】一方、抗菌性材料として、好ましくは、変
成高級脂肪酸エステル系化合物,2,4-ジクロロベンジル
- 2-ヒドロキシフェニルエーテル化合物(HPDE),
シリコーン系第4級アンモニウム塩,芳香族ハロゲン化
合物,グアニジン系ピグアニド系化合物,有機窒素硫黄
化合物,芳香族単環炭化水素誘導体,芳香族一価フェノ
ール誘導体,芳香族イミダゾール誘導体,芳香族ピリミ
ジン誘導体,銀置換無機イオン交換体等を用いることが
できる。
【0012】また、抗菌性材料が、熱エネルギーを受け
ることにより遠赤外線を放射するセラミックス粉末より
構成されてなるものであってもよい。
【0013】ここで、セラミックス粉末としては、アル
ミナ系(Al2 3 ),マグネシア系(MgO),ジル
コニア系(Zrn x ),シリカ系(SiO2 ),クロ
ム系(Cr2 3 ),チタン系(TiO2 ),鉄系(F
2 3 )等の微粉末や、これらを適宜組み合わせ焼結
・粉砕して得た焼結合金の微粉末を用いるのが好まし
い。
【0014】
【作用】本発明に係る健康衛生用皮革においては、水を
含む分散媒を用いたエマルジョン系バインダを皮革素材
の表面に付着させるようにしたが、このバインダは皮革
素材の風合いを損なうことがなく、皮革素材に対する接
着力も比較的大きい。そこで、この水を含む分散媒を用
いたエマルジョン系バインダを介して、抗菌性材料を皮
革素材の表面に担持するようにしたので、皮革素材の風
合いを損なうことなく、抗菌性材料を長期間安定に担持
することができる。
【0015】また、抗菌性材料として、熱エネルギーを
受けることにより遠赤外線を放射するセラミックス粉末
を用いた場合は、遠赤外線の作用による血行促進等の温
熱効果を奏し、これに起因して抗菌効果を奏するものと
なる。
【0016】
【実施例】本発明の一実施例となる健康衛生用皮革につ
き、添付図面を参照しつつ以下説明する。ここに、図1
は本発明の一実施例に係る健康衛生用皮革の要部を示す
要部側断面図である。
【0017】図において、1は健康衛生用皮革、2は表
層である乳頭層3と裏層である網状層4とから主として
なる皮革素材(いわゆる、真皮)、5は熱エネルギーを
受けることにより遠赤外線を放射するセラミックス粉
末、6はセラミックス粉末5を包み込み皮革素材2の乳
頭層3の表面近傍に担持・固化した状態の可撓性を有す
るポリウレタン樹脂(バインダの一例)である。
【0018】尚、例えば牛皮の場合、皮革素材2の全皮
厚Dを1とすると、一般に乳頭層3と網状層4の厚み比
率は、約0.4:0.6といわれている。また、乳頭層
3は比較的細径の膠原線維より網状構造をなしており、
この乳頭層3の表面8は、銀面と称され、非常に細径
(約0.05μmφ)の線維(フィブリル)7からなっ
ている。
【0019】そして、セラミックス粉末5としては、M
gO,Al2 3 ,Zrn x の混合物を焼結して焼結
合金を得、更にこれを粉砕して得た平均粒径約8μmφ
の白色の微粉末を用いた。このセラミックス粉末5は、
熱エネルギーを受けることにより、約8〜10μmの波
長の遠赤外線を放射し、人体の皮下約0.2〜1.0m
mの部位で吸収され、当該部位の水分を活性化させて血
行を促進させるものである。因に、波長が約4〜14μ
mの遠赤外線が最も大きな水分活性効果を奏することは
よく知られている。
【0020】引続き、上記した構成の健康衛生用皮革1
を製造する手順につき、以下に説明する。先ず、無黄変
型(直鎖状のポリエーテルアミン重合体型)のポリウレ
タン樹脂をバインダ成分とするエマルジョン液(界面活
性剤や架橋剤は無添加、分散媒の水が約70wt%,ポ
リウレタン樹脂固形分が約30wt%の組成であって、
粘度が1000cSt以下(25℃)で、pHが6.5
〜8.0のもの)を1リットルのビーカに適量入れる。
【0021】次いで、このエマルジョン液の3重量部に
対し、1重量部のセラミックス粉末5をビーカに加え、
更にエマルジョン液とセラミックス粉末5を合わせた全
量に対して4倍重量部の温湯(約30℃)を添加した
後、攪拌ペラ等を用いて1〜2分間攪拌・混合してバイ
ンダ・セラミックス混合物とする。
【0022】一方、水平軸心回りに回転する密封可能の
ドラムに、皮革素材2の乾燥重量に対し200wt%の
温湯(約30℃)を入れ、次いで上記のバインダ・セラ
ミックス混合物を注入した後、ドラムを回転させてバイ
ンダ・セラミックス混合物を温湯に十分混合させて白濁
状の温浴を調製する。続いて、皮革素材2を温浴中に浸
漬し、ドラムを約1時間回転させてバインダ・セラミッ
クス混合物を皮革素材2の表面に十分に馴染ませる。
【0023】その後、蟻酸を注入して温浴のpHを3程
度までおとす。このとき、ポリウレタン樹脂6がセラミ
ックス粉末5を包み込んだ状態で皮革素材2の表面に比
較的強固に吸着される。それに伴って、温浴がほぼ透明
になる。
【0024】そして、温浴をドラムから全量抜き出した
後、吸着処理後の皮革素材2に対し、洗浄水をドラムに
注入して回転させることにより、水洗処理を10分間程
度施す。このときも、水洗処理後の洗浄水はほぼ透明で
あった。即ち、吸着しているポリウレタン樹脂6やセラ
ミックス粉末5は水洗処理程度では皮革素材2の表面か
ら容易に脱離しないことが判る。
【0025】こうして、水洗処理後の皮革素材2から水
分を蒸発させ乾燥させると、図1に示した如くの健康衛
生用皮革1が仕上がるのである。
【0026】ところで、固化後の樹脂が比較的透明であ
ったとしても、例えば顔料等の粉体(例えば、白色の粉
体)をその樹脂により担持させると、その粉体の色合い
(白っぽさ)が現れるのが一般的である。
【0027】しかしながら、本実施例では、ポリウレタ
ン樹脂6に担持されたセラミックス粉末5自身の色合い
(白色)は現れなかった。これは、抗菌性材料としてセ
ラミックス粉末5に代えて、抗菌性薬剤を用いた場合
も、同様であった。また、上記のように皮革素材2の表
面8に皮膜層として固着したポリウレタン樹脂6は、皮
革素材2自体の柔らかさと変わらない質感を有し、比較
的透明である。
【0028】即ち、この健康衛生用皮革は、ポリウレタ
ン樹脂6や、セラミックス粉末5又は抗菌性薬剤を用い
て表面処理しても、皮革特有の風合いを損なうものでは
なかった。
【0029】上記したように調製された健康衛生用皮革
1の効能を調べるため、以下の抗菌試験及び熱特性試験
を行った。
【0030】尚、本発明の抗菌性材料としては、上記し
た遠赤外線を放射するセラミックス粉末に限るものでは
ないので、これの代替物として抗菌性を有する抗菌性薬
剤(この例では、ポリフィノールとベンジルを主として
反応させて得た変性脂肪酸エステル化合物(メーカ名:
三木理研工業(株),製品名:リケンレジンDPC−
1)を用いた。)を用い、この抗菌性薬剤を水分散媒エ
マルジョン系のバインダ(この例では、ポリウレタン樹
脂を分散質として用いた。)に混合したものを適用した
健康衛生用皮革についても抗菌試験及び熱特性試験を行
った。この場合、ポリウレタン樹脂をバインダ成分とす
るエマルジョン液に対する抗菌性薬剤の混合比率も、上
記したセラミックス粉末の場合と同様に、3:1の重量
比に設定した。
【0031】また、洗剤を用いた洗濯による抗菌性能へ
の影響についても調査した。
【0032】〔試験試料〕いずれも牛皮を用い、素材ロ
ットの違いにより、素材サンプル名:A1,A2,A
3,B1の皮革素材を各試験に供試した。ここで、A
1,A2,A3は、抗菌性材料として、セラミックス粉
末5を適用したサンプルを示し、B1は抗菌性薬剤を適
用したサンプルを示す。
【0033】〔抗菌試験(ハローテスト)〕 (1)試験概要 菌種として黄色ブドウ球菌を用い、汎用のハローテスト
により上記の試験試料の試験片に対して、それぞれの抗
菌性を試験片からの菌退避距離(抗菌距離(mm))と
して測定した。
【0034】(2)測定条件 a)試供菌:黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus
IFO12732) b)試験方法:AATCC−90準用 c)培地基:普通寒天培地(p.H7.0とし、オートクレー
ブ滅菌) d)試験片:直径30mm円形(試供前、紫外線にて30分滅
菌) e)菌体:150ミリリットルにつき1ミリリットル 24
時間培養 f)培養:37℃ 24〜48時間培養 g)洗濯条件:JIS 103法(使用洗剤名:モノゲ
ンユニ(プロクターアンドギャンブル社製))
【0035】(3)試験結果 ハローテストの試験結果を、以下の表1に示す。尚、表
中に記したブランクは、当該サンプルに係る皮革素材2
を、何ら処理を施すことなくそのまま供試したものであ
って、標準サンプルである。また、後述する表2におい
ても、同様である。
【0036】
【表1】
【0037】(4)試験結果の評価 表1からも明らかなように、抗菌性材料としてのセラミ
ックス粉末5をポリウレタン樹脂6により担持させた健
康衛生用皮革(A1)は、未処理品(ブランク)よりも
大きな抗菌性を奏した。そして、洗濯後の健康衛生用皮
革(A1)は、その抗菌性が更に増大した。
【0038】一方、抗菌性材料として抗菌性薬剤をポリ
ウレタン樹脂6により担持させた健康衛生用皮革(B
1)は、未処理品(ブランク)よりも、かつ健康衛生用
皮革(A1)よりも大きな抗菌性を奏した。また、特筆
すべきは、抗菌性薬剤を担持させた健康衛生用皮革(B
1)の洗濯後における抗菌性が著しく向上した。
【0039】上記のように、洗濯後の抗菌性がそれぞれ
向上したのは、洗濯に用いた洗剤の影響も考えられる
が、洗濯時におけるポリウレタン樹脂皮膜層の表面の研
磨により、新たなセラミックス粉末5の粒子や抗菌性薬
剤が当該表面に露出したことによるものとも考えられ
る。即ち、ポリウレタン樹脂皮膜層が皮革素材2の表面
8に残っている限り、使用によりポリウレタン樹脂皮膜
層が削られて新たなセラミックス粉末5の粒子や抗菌性
薬剤が皮膜表面に露出することとなるので、これらの実
施例による健康衛生用皮革(A1,B1)は長期間使用
しても、それらの抗菌性を比較的高いレベルに保持する
ことができるのである。
【0040】〔熱特性試験〕 (1)試験概要 熱特性試験は、次のように、接触温冷感に係るものと、
熱伝導性に係るものとに大別されるが、この実施例で
は、いずれも熱伝導測定器(メーカ名:カトウテック
(株),製品名:KES F−7)を使用してそれぞれ
の熱特性値を測定した。
【0041】接触温冷感:人間が物に触れた瞬間に感
じる暖かさや冷たさを数値によって表したものである。
測定手法としては、センサを一定温度(例えば体温)に
保持する熱エネルギーをセンサに与え、それよりも低温
(例えば常温)の試料に触れたときの熱の移動量を測定
する。この接触温冷感は、qmax 値(J/cm2/se
c)で表され、その値が大きいほど冷たく、逆に小さい
ほど暖かく感じることを示している。
【0042】熱伝導性:熱の伝わりやすさ、又は伝わ
りにくさをを数値によって表したものである。測定手法
としては、試料の片面を高温に、試料の他面を低温にそ
れぞれ保ち、その時の熱の伝わりかた(ヒータ電力量)
を熱伝導率k(W/(cm2 ・h・℃))で表すもので
ある。熱伝導率kの値が大きいほど熱が伝達しやすく、
逆に小さいほど熱が伝達しにくいことを示している。
【0043】(2)試験結果 熱特性試験の試験結果を、以下の表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】(3)試験結果の評価 先ず、接触温冷感に関しては、抗菌性材料としてセラミ
ックス粉末5をポリウレタン樹脂6により担持させた健
康衛生用皮革(A1,A2,A3)の何れについても、
未処理品(ブランク)よりも暖かく感じられるものであ
ることが明らかである。
【0046】また、熱伝導性に関しては、サンプルによ
って傾向が異なっているが、処理品と未処理品とで、熱
伝導性はほとんど変わらないものと考えられる。
【0047】また、表面を予め染色(黒,茶)処理した
皮革素材に対して、ポリウレタン樹脂6によりセラミッ
クス粉末5を担持させたものについても、熱特性試験を
行った。その結果、黒色染のものの方が茶色染のものよ
りも暖かく感じられるものであった。また、熱伝導性
は、色の違いによっては顕著な差を生じなかった。
【0048】以上述べたように、本実施例の健康衛生用
皮革は、抗菌性を発揮させるためのセラミックス粉末5
やこれに代わる抗菌性薬剤を、皮革素材2の表面8に比
較的馴染みやすく且つ表面8を変質させにくい、水を分
散媒とするエマルジョン系のポリウレタン樹脂6を用い
て、皮革素材2の表面8に担持するようにしたので、高
い抗菌性を長期間保持することができ、そのために皮革
特有の風合いを損なうこともない。
【0049】また、セラミックス粉末5を抗菌性材料と
して用いた健康衛生用皮革の場合は、このセラミックス
粉末5から放射される遠赤外線の効果により、人体の皮
下の血行を促進するので、血行不良部位における雑菌の
繁殖を抑制できるのみならず、当該部位を温めることが
できる。その結果、血行不良にも起因するとされる肩コ
リ,リューマチや、その他の症状、例えば腱鞘炎等によ
く効くものである。また、例えばゴルフ用手袋やゴルフ
用シューズに適用した場合、特に冬場のプレーの際に極
めて重宝なものとなる。
【0050】他方、皮革素材2の表面8に、ポリウレタ
ン樹脂6の皮膜を形成したことにより、引き裂き強度が
皮革素材2自体よりも大きくなる。例えば、約0.4〜
0.5mm厚さのゴルフ用手袋に用いられる皮革素材2
自体の引き裂き強度は、約1.5〜2.0kgf/mm
2 であるが、これにポリウレタン樹脂6の皮膜を形成さ
せたものは約3〜4kgf/mm2 まで強化される。
【0051】尚、皮革素材2自体の伸びを抑制するため
には、バインダとして、ポリアクリル樹脂を用いるのが
好適であり、或いはポリブタジエン・アクリロニトリル
共重合体(NBR),ポリブタジエン・スチレン共重合
体(SBR)を用いてもよい。
【0052】〔用途〕本実施例の健康衛生用皮革は、例
えば、病院内で使用する衛生用の手袋,院内シューズ,
院内サンダル,清掃用皮布、装身用のコート,手袋,バ
ッグ,水虫治療用シューズ、或いはスポーツ用の手袋,
シューズ,各種サポータ,バッグその他、多くの用途に
応用可能である。
【0053】上記した実施例では、遠赤外線を放射する
セラミックス粉末と抗菌性を有する薬剤のいずれか一方
を抗菌性材料として用いたが、無論、セラミックス粉末
と抗菌性を有する薬剤の双方を併用してもよい。
【0054】
【発明の効果】本発明に係る健康衛生用皮革は、以上述
べたように構成されているので、高い抗菌作用を長期間
保持することができ、そのために皮革素材の風合いを損
なうこともない。しかも、皮革素材の強度を高め、或い
は伸びを抑制することもできる。従って、極めて実用的
なものを実現できた。
【0055】また、熱エネルギーを受けることにより遠
赤外線を放射するセラミックス粉末を抗菌性材料として
用いた場合は、セラミックス粉末からの遠赤外線の作用
による血行促進等に起因して抗菌効果を奏するのはもと
より、放射された部位を温めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る健康衛生用皮革の要部
を示す要部側断面図である。
【符号の説明】
1 健康衛生用皮革 2 皮革素材 3 乳頭層 5 セラミックス粉末 6 バインダ 8 表面

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水を含む分散媒を用いたエマルジョン系
    バインダを介して、抗菌性材料を皮革素材の表面に担持
    してなることを特徴とする健康衛生用皮革。
  2. 【請求項2】 抗菌性材料が、熱エネルギーを受けるこ
    とにより遠赤外線を放射するセラミックス粉末より構成
    されてなる請求項1に記載の健康衛生用皮革。
JP18374493A 1993-07-26 1993-07-26 健康衛生用皮革 Pending JPH0741800A (ja)

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