JPH0741400B2 - 生型鋳造における吸引鋳造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、生型鋳造における吸引鋳造方法に関する。

（従来の技術） 砂型で形成した生型鋳型により鋳造する場合、注湯時に
鋳型や中子から多量のガスが発生し、該ガスが製品内に
入り込んでガス欠陥が生じる。

そこで、従来は、鋳型にガス抜き穴や、揚がりを設けて
ガスを大気中に放出し、ガス欠陥の発生を防止してい
た。

しかし、ガス抜き穴や揚がりを設けても、ガスを完全に
大気中に放出することができず、残ったガスは鋳物製品
の表面層にガス欠陥として残ると言う問題があった。

そこで、例えば、特開昭57-160565号公報に記載のよう
に、鋳造時に発生する鋳型ガスをガス吸引ポンプにより
強制的に吸引して、鋳型外に排出するようにした吸引鋳
造方法が提案されている。

（発明が解決しようとする課題） 前記従来の吸引鋳造方法によれば、ガス欠陥の発生は防
止されるが、しかし、この従来法は、鋳型に、中子に達
するガス抜き穴を設け、このガス抜き穴に吸引管を接続
してガスを吸引排出するものであるから、鋳型には、押
し湯や揚がり（ハケ湯）を従来と同様に設けなければな
らなかった。

従って、従来の吸引鋳造方法では、鋳型製作時に、押し
湯や揚がりの穴明け作業が必要となり、かつ、注湯時に
は、押し湯や揚がりに不要な湯を供給しなければならず
鋳造歩留りが悪くなり、更に、製品の出荷に際して、押
し湯や揚がりをグラインダ等で取り除く作業が必要とな
り、また、加工に際しては、押し湯跡や揚がり跡を機械
加工しなければならず、コスト高を招いていた。

そこで、本発明は、押し湯や揚がりを不要とした吸引鋳
造方法を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じ
た。即ち、本発明の特徴とする処は、砂型からなる生型
の鋳型に注湯するときに該鋳型から発生する鋳型ガスお
よび砂型からなる中子から発生する中子ガスを、鋳型の
表面から個別に吸引し、かつ、鋳型ガスと中子ガスの吸
引圧力を個別に調整自在とした点にある。

（作用） 本発明によれば、鋳型から発生する鋳型ガス、および、
中子から発生する中子ガスは、個別に吸引される。そし
て、この吸引圧力は個別に調整される。従って、ガス発
生量に見合った適切な吸引が行われ、かつ、鋳型内の製
品形成中空部内の空気も吸引排出されるので、押し湯や
揚がりがなくとも、湯は鋳型内を充満することができ
る。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。

第１図及び第２図に示すものは、本発明方法に使用され
る鋳造装置である。同図において、１は下枠、２は上
枠、３は下部鋳型、４は上部鋳型、５は中子である。前
記下枠１は図示省略のパレット上に置かれている。この
パレットは、造型場、注湯場、砂処理場を循環するエン
ドレスコンベヤ上に載置されている。

前記上、下部鋳型3,4及び中子５は砂型から成る生型で
ある。上・下部鋳型3,4と中子５間に、製品成形用の中
空部６が形成され、この中空部６に湯道７が連通してい
る。この鋳型には、従来のような押し湯や揚がりは形成
されていない。

前記中子５は中空中子であり、該中子５の中空部８に連
通するガス抜き孔９が、上部鋳型４に形成されている。
このガス抜き孔９は上部鋳型４の上面に開口している。
また、このガス抜き孔９は、上枠２の周辺部に複数個配
置されている。

前記上枠２及び上部鋳型４の上面（注湯口を除いて）を
覆うように吸引パッド10が着脱自在に載置されている。
このパッド10と上枠２及び上部鋳型４間にシール材11が
介在されて気密が保持されている。

前記吸引パッド10内は、複数のブロックＡ〜Ｅに区画さ
れている。各ブロックＡ〜Ｅに制御弁12を介して吸引パ
イプ13が接続され、この吸引パイプ13は真空ポンプ（図
示省略）に接続されている。

前記各ブロックＡ〜Ｅ毎に設けられた制御弁12は吸引圧
力を個別に制御し、かつ、入・切制御する。

次に、前記鋳型装置を用いて鋳造する方法を説明する。

パレット上に載置された鋳型が注湯場に来ると、湯道７
を除いた上部鋳型４の上面及び上枠２の上面が吸引パッ
ド10で覆われる。次に、湯道７から溶湯が注湯される。
湯道７を通った湯は製品中空部６を充満する。

前記注湯に際し、溶湯からガスが発生し、かつ上部鋳型
４から鋳型ガスが発生する。また中子５から中子ガスが
発生する。これらのガスは吸引パッド10を介して強制吸
引される。

即ち、中子ガスは中子５の中空部８及びガス抜き孔９を
介してパッド10のブロックＡに吸引される。また、溶湯
ガスや鋳型ガスは、上部鋳型４の上面からブロックＢ〜
Ｅに吸引される。本実施例では、中子ガスが多量に発生
するので、ブロックＡの吸引圧力が他のブロックよりも
強くなるよう制御弁12が自動制御されている。

本実施例によれば、注湯に際して強制吸引するので、鋳
型内の製品中空部６の空気も吸われるので、従来のよう
な押し湯や揚がりがなくとも、溶湯は中空部６に充満す
る。従って、押し湯や揚がりが不要になる。

前記パッド10による吸引時間は、注湯開始前から、溶湯
が凝固するまでである。この吸引が終了すると制御弁12
は閉じられ、パッド10は鋳型から取外され、該鋳型は次
工程に移動する。そして、パッド10は、新しく来た鋳型
の上面に取付けられる。

尚、製品の形状に応じて、パッド10内のブロックＡ〜Ｅ
の吸引圧力は制御弁12により個別に調整される。

本発明は前記実施例に限定されるものではない。

（発明の効果） 本発明によれば、ガス欠陥が防止され、高品質の製品を
鋳造することができ、かつ押し湯や揚がりが不要とな
り、製造コストの低減が図れるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明方法に使用する鋳型装置の断面図、第２
図はパッド内部を区画した状態を示す平面図である。 1,2……上下枠、3,4……上下鋳型、５……中子、10……
吸引パッド。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木挽 謙治 大阪府大阪市大正区南恩加島７丁目１番22 号 久保田鉄工株式会社恩加島工場内 (72)発明者 飯塚 育生 大阪府大阪市大正区南恩加島７丁目１番22 号 久保田鉄工株式会社恩加島工場内 (56)参考文献 特開 昭61−245941（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】砂型からなる生型の鋳型に注湯するときに
   該鋳型から発生する鋳型ガスおよび砂型からなる中子か
   ら発生する中子ガスを、鋳型の表面から個別に吸引し、
   かつ、鋳型ガスと中子ガスの吸引圧力を個別に調整自在
   としたことを特徴とする生型鋳造における吸引鋳造方
   法。