JPH0740911B2 - 酵母入りビ−ル - Google Patents

酵母入りビ−ル

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JPH0740911B2
JPH0740911B2 JP61181121A JP18112186A JPH0740911B2 JP H0740911 B2 JPH0740911 B2 JP H0740911B2 JP 61181121 A JP61181121 A JP 61181121A JP 18112186 A JP18112186 A JP 18112186A JP H0740911 B2 JPH0740911 B2 JP H0740911B2
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beer
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    • C12CBEER; PREPARATION OF BEER BY FERMENTATION; PREPARATION OF MALT FOR MAKING BEER; PREPARATION OF HOPS FOR MAKING BEER
    • C12C12/00Processes specially adapted for making special kinds of beer
    • C12C12/002Processes specially adapted for making special kinds of beer using special microorganisms
    • C12C12/006Yeasts
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12HPASTEURISATION, STERILISATION, PRESERVATION, PURIFICATION, CLARIFICATION OR AGEING OF ALCOHOLIC BEVERAGES; METHODS FOR ALTERING THE ALCOHOL CONTENT OF FERMENTED SOLUTIONS OR ALCOHOLIC BEVERAGES
    • C12H1/00Pasteurisation, sterilisation, preservation, purification, clarification, or ageing of alcoholic beverages
    • C12H1/003Pasteurisation, sterilisation, preservation, purification, clarification, or ageing of alcoholic beverages by a biochemical process
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12CBEER; PREPARATION OF BEER BY FERMENTATION; PREPARATION OF MALT FOR MAKING BEER; PREPARATION OF HOPS FOR MAKING BEER
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の背景〕 技術分野 本発明は、製品ビールとして発酵が実質的に終了してい
てしかも酵母が分散させてある容器入りビールに関す
る。
さらに具体的には、本発明は、容器に充填したあとでの
香味の変化を防止した容器入りビールに関する。
ビール工場で製造された直後の新鮮なビールは美味であ
るが、それが生ビールであれあるいは熱処理を施したビ
ールであれ、日時が経過すると香味に変化が生じてくる
ことが避け難い。
このビール香味の変化は一つには酸化によるものと考え
られており、ビールが消費者用の容器に充填されてから
消費者が飲用する頃には多かれ少なかれ酸化された状態
になっていることは否めないところより、上記のような
香味の変化の問題が生じる訳である。酸化も極めて低度
のものであれば香味に問題となるような変化が生じるこ
とはないが、酸化が進行すると酸化臭と呼ばれる不快な
臭気が指摘されるようになる。
従来の技術 容器充填後のビールの酸化を防止すべく、ビール生産者
は容器中への空気の混入を少なくするための工夫や市場
滞留日数を短くするため努力をしている。
このような消極的な酸化防止、換言すれば酸化予防、に
対して、抗酸化剤としてアスコルビン酸を添加する方法
があり、事実酒酒税法上もアスコルビン酸のビールへの
添加は認められているところである。
ところで、酵母入りビールというものが、外国、特にヨ
ーロッパ、において製造されている。この公知の酵母入
りビールは、典型的には、製品ビールとしての発酵が実
質的に終了している状態に達する前のビールに酵母を添
加して、その最終的な発酵、すなわち後発酵、をビン内
で行なわせたものであって、小麦麦芽の使用あるいは乳
酸菌の作用の併用等による効果をも含めて特徴のある香
味のビールを醸出することを目的としたものである。
〔発明の概要〕
要旨 本発明はビールに酵母を分散させることによって、製品
ビールの経時的香味変化を防止しようとするものであ
る。
従って、本発明による酵母入りビールは、容器に充填さ
れた、製品ビールとして発酵が実質的に終了していて外
観最終発酵度と外観発酵度との差が7%未満であるビー
ルに102〜106cells/mlの濃度で酵母を分散させてなり、
さらに下記の条件の少なくとも一つを充足すること、を
特徴とするものである。
(イ) 分散させた酵母が、マルトースおよび(また
は)マルトトリオース難資化性酵母であること。
(ロ) 分散させた酵母が、呼吸能欠失酵母であるこ
と。
効果 本発明による酵母入りビールは製品ビールとして発酵の
実質的に終了しているビールに酵母を少量分散させてな
るものであって、分散させた酵母によって香味の経時変
化が有意に防止されている(後記実験例参照)。
前記のように、ビールをあまり長く保存しておくとビー
ルの新鮮さが失なわれるのは、諸成分がしだいに酸化さ
れて、酸化臭と呼ばれる変性臭味が発生するからであ
る。酸化臭の全体像は現在のところ必ずしも明らかでは
ないが、揮散性アルデヒドの増加がその原因であるとみ
られている。酸化臭の本体が明らかではないので、本発
明での酵母の作用は必ずしも明確ではないが、酵母の添
加によって酸化臭の生成が抑制されるのはアルコール類
のアルデヒド類への酸化が抑制されるためであろう(酵
母の添加によっていったん生成した酸化臭が消失するこ
とも認められたが、それも生成したアルデヒド類がアル
コール類に還元されるためであろう)。
本発明によってもたらされる主たる効果は上記の酸化臭
生成の抑制にあるが、これ以外にも、次のような本発明
の効果も期待できる。そのひとつは、ダイアセチルある
いはその前駆体であるα−アセト乳酸を闘値以上に含有
するビールであっても、酵母との接触によってダイアセ
チル臭の感じられないビールとして飲用することができ
ることである。ダイアセチルはビールに不快な未熟な臭
味を与える成分であるが、このような酵母の効果は、ダ
イアセチルが酵母との接触によってアセトイン、さらに
は2,3−ブタンジオールに変換されるからである。
さらに、もうひとつの本発明の効果は、保存にともなう
濁り(非生物的溷濁)の発生を抑制できることである。
ビールの保存にともなう非生物的溷濁発生の機構は、ビ
ール中のポリフェノール類が酸化重合して高分子化し
て、溷濁の元となる蛋白質との親和力を増して不溶化す
るためであると考えられている。このような不溶化は飲
用時の冷却によって促進され、寒冷溷濁となって飲用時
のビールの外観を著しく損ねることもある。酵母の添加
によって溷濁の生成が抑制されるのは、ポリフェノール
類の乳化重合が抑制されるためであろうと想像される。
本発明による容器に充填された酵母入りビールは、酵母
を分散させるべきビールが製品ビールとして発酵が実質
的に終了しているという点において前記したような従来
の酵母入りビールと区別されるものである。このよう
に、酵母を分散させる時点で対象ビールは製品ビールと
して発酵が実質的に終了しているので、容器内で進行す
るかもしれない更なる発酵が少なく、従って容器充填時
と消費者飲用時のビールの物性値、たとえばアルコール
濃度、エキス濃度、二酸化炭素濃度、の変化は最少に抑
えられている。容器へ充填したあとは、そのビールの服
すべき環境はもはやビール生産者の抑制の及ばないとこ
ろであるから、本発明のこの要件は近代的量産品として
のビールにとって重要なものである。
〔発明の具体的説明〕
対象ビール 本発明で酵母を分散させるべきビールは、製品としての
発酵が実質的に終了したビール、である。
ここで、製品として発酵が実質的に終了したビールとい
うのは、低温で行なわれる後発酵が実質的に終了したビ
ールということである。
発酵の終了の程度は、外観最終発酵度と外観発酵度との
差が好ましくは7%未満、さらに好ましくは5%以下、
である、と考えることができる。なお、これらの発酵度
の定義および測定法は、Methods of Analysis of the A
SBC 7th revised edition 1976に記載されている。外観
最終発酵度は500ml容三角フラスコに200mlの試料を入
れ、圧搾酵母1gを加えてよく懸濁させ、25℃で2日間発
酵させたときの外観発酵度である。これは、酵母によ
り、最大限消費されたエキスの量を示す指標となる。な
お、外観発酵度は、橋谷義孝監修、中川淳著「麦酒工業
試験法」(昭和30年11月15日、槙書店発行)第169頁に
記載された式に従って算出される。
また、「ビール」はアルコール発酵を行なうべき微生物
およびその基質に関して産物がビールの範疇に入る限り
任意であるが、微生物としてビール酵母を、その基質と
して主として大麦を、使用して得られたもの、すなわち
酒税法上のビールの定義に従うもの、が代表的である。
酵母 上記のような製品ビールに混在させるべき酵母は、微生
物分類上酵母の範疇に入るものはすべてが本発明の対象
となる。ただし、本発明製品中での酵母は直接飲用され
る可能性があるから、酒類などの食品の製造に用いられ
るもの、その他の無害なもの、であることが望ましい。
そのような酵母の典型的なものはビール酵母であるが、
その他にも清酒酵母、ワイン酵母、その他がある。
本発明は酵母を分散させるべき対象ビールとして、製品
ビールとして発酵が実質的に終了したものを用いること
によって、容器内でのビールの更なる発酵を防止してい
るのであり、そのような配慮の下では慣用のビール酵母
は本発明で適当なものの一つであるが、この目的をより
良く達成するためにはそれに適した酵母を選択して使用
することもできる。
そのような観点から選択される酵母の一群は、呼吸能欠
失酵母である(「化学大辞典」、第3巻、第623頁。共
立出版株式会社刊)。そのような酵母は、それが酵母で
あることに相当して本発明で期待する能力を持っている
が、そのうえに呼吸能が欠失していることに相当して発
酵能力が低下しているので、このような酵母を本発明に
従って容器中のビールに分散させればビールの容器内で
の更なる発酵を極力防止した状態で容器内ビールの香味
の変化を防止することができる。なお。ビール酵母の呼
吸能欠失株は、ビール酵母培養中に小さなコロニーとし
て見られるものであるので、それをそのままあるいはそ
のコロニーのみを更に培養してこの株を増殖させること
によって本発明に使用すべき呼吸能欠失酵母として使用
することができるが、このような手段の代りに突然変異
を生じさせることによって呼吸能欠失株を得ることもで
きる。なお、呼吸能欠酵母はビール中での増殖が少ない
ので、本発明製品の酵母による濁りを少なくすることが
できるという利点がある。
容器内でのビールの更なる発酵を防止して本発明の効果
を発揮させるべく選択される酵母の他の一群は、マルト
ースおよび(または)マルトトリオース難資化性酵母で
ある。ビール酵母として実用されているものはマルトー
スおよび(または)マルトトリオースをも資化しうるよ
うに育成されたものであることがふつうであるが、その
ような酵母を使用した場合であっても、発酵終了後すな
わち本発明に則していえば外観最終発酵度と外観発酵度
との差が7%未満となっているビールは、残存糖の大部
分がマルトースおよび(または)マルトトリオースとな
っていることが多い。従って、マルトースおよび(また
は)マルトトリオース難資化性の酵母を本発明に従って
容器内ビールに混在させれば、そのような酵母に対する
基質が不在であるところより容器内での発酵は事実上生
起しないことになる(そのような酵母であっても、本発
明の効果を得ることができる)。ここでマルトースおよ
び(または)マルトトリオース難資化性ということは、
これらの糖を全く資化しない性質をも包含するが、この
ような性質を持つ酵母もまた公知であって、適当なもの
を選択し、あるいはそれを更に改変ないし育種して使用
することができるばかりでなく、寒天培地上での選択
(これらの糖を糖源とする倍地で培養したときに増殖な
いし発酵しにくい酵母を選択する)または突然変異等の
手段によって容易に入手することができる。なお、この
ような酵母の処理ないし取扱いはよく知られているとこ
ろであって、たとえば、橋谷義孝編「酵母学」(岩波書
店)および柳島直彦、大嶋泰治、大隅正子編「酵母の解
剖」(講談社サイエンティフィック)にその例をみるこ
とができる。
このマルトースおよび(または)マルトトリオース難資
化性酵母の範疇に属する酵母の代表例はビール酵母のそ
れであるが、前記した清酒酵母およびワイン酵母もこの
範疇に属する酵母であるということもできよう。
酵母は、ばらばらの菌体からなるものであっても、所謂
固定化酵母(詳細後記)であってもよい。
本発明酵母入りビールおよびその製造 本発明による酵母入りビールは、前記のような製品ビー
ルとして発酵が実質的に終了しているビールに酵母を所
定濃度、すなわち102〜106cells/mlの割合で分散させて
なり、しかも容器入りのものである。
ここで、酵母を分散させるということは、対象ビール中
に酵母が分散する状態に到らせるということを意味する
ものであって、合目的的な任意の手段によることができ
る。そのような手段の最も代表的なのは、製造時に使用
した酵母を過あるいは加熱によって除去あるいは失活
させた製品ビールに、酵母を所定濃度となるように添加
することである(この場合の対象製品ビール中の酵母濃
度は102cells/ml未満であることはいうまでもない)。
酵母を分散させる手段の一つは、酵母の過または失活
の工程を抑制した条件下で行なって、この工程後に所定
濃度の酵母が残存しているビールを得ることである。本
発明製品中の酵母濃度の調節あるいは酵母種類の調節の
点から、前記の酵母の別途添加を併用してもよい。
ビール中の酵母濃度は、102〜106cells/ml、好ましくは
102〜104cells/mlである。酵母濃度の測定は、寒天培地
上での平板培養によるコロニー計数法(「実験農芸化
学」、下巻、第3版、東京大学農学部農芸化学教室著
朝倉書店)による。ここでいうビール中の酵母濃度は、
本発明ビール容器充填直後のそれである。
本発明製品は容器入りのものであるが、その場合の「容
器」は消費用容器、具体的にはタル(たとえば100リッ
トル程度までのもの)、ビン、カンその他である。
実施例 以下の実施例における官能検査(酸化臭、香味の総合評
価、ダイアセチル臭等)は、8℃にした試料を10名のパ
ネルにより試飲して行なったものである。
実施例1 製品ビール(酵母濃度0cell/ml(以下、「製品ビール」
において同様))に2×105cells/mlのビール醸造用下
面酵母(Saccharomyces cerevisiae(以下「ビール醸造
用下面酵母」において同様))あるいはそれから得られ
た呼吸能欠失株(チトクローム系の酵素を欠き、酸素の
吸収が少なく、増殖しにくい)を添加して、20℃あるい
は30℃で保存し、酵母を添加しないビールを対照とし
て、プロファイルテストによって酸化臭の強さ、香味の
総合評価の変化を調べた。いずれの試料についても、大
びんのヘッドスペースの空気量は1.8mlに調整した。
第1表に示すように、酵母の添加によって明らかに酸化
臭の生成は抑制され、保存にともなう香味の総合評価の
低下も小さくなった。呼吸能欠失株であっても効果が認
められた。
また、保存後のビールの品質は下記の通りであった。
なお、外観最終発酵度は、いずれも87.8%であった。
参考例1 製品ビールにビール醸造用下面酵母を2×102、2×1
03、2×104および2×105cells/ml添加し、30℃で2週
間あるいは1ケ月、20℃で1ケ月あるいは2ケ月保存
し、酵母を添加しないビールを対照として、5試料につ
いて酸化臭の強さ、香味の総合評価を比較した。いずれ
の試料についても大びんのヘッドスペース空気量は1.8m
lに調整した。
第2表および第3表に示すように、2×102cells/mlの
微量添加であっても酵母を添加しない場合に比べて、新
鮮さの保持、香味の総合評価の維持に明らかな効果がみ
られたが、大きな効果を得るには2×103あるいは2×1
04cells/mlの添加が必要であった。
参考例2 製品ビールに0.2ppmとなるようにダイアセチル(闘値は
0.8ppm)を添加し、そのままあるいは106cells/mlのビ
ール醸造用下面酵母を添加して20℃、30℃で8、20日保
存し、官能検査を実施した。
第5表に示すように、酵母を添加しないビールでは保存
期間を通じてダイアセチル量が高く、ダイアセチル臭の
指摘も高い。また、保存とともに酸化臭の指摘も増大し
てくるので香味の総合評価はよくない。これに対して、
酵母を添加するとダイアセチル臭もほとんど指摘されな
くなり、保存にともなう酸化臭の生成も抑制されるの
で、香味の総合評価もわるくはない。
参考例3 製品ビールにダイアセチルとして0.7ppmとなるようにダ
イアセチルの前駆体であるα−アセト乳酸を添加して、
そのままあるいは4×105cells/mlのビール醸造用下面
酵母を添加して20℃、30℃で保存して、ダイアセチル
臭、酸化臭、香味の良さを調べた。
第6表に示すように、ダイアセチルの前駆体としてα−
アセト乳酸が、闘値(ダイアセチルに変換されたとして
0.08ppm)を越えて含まれていて、保存中にダイアセチ
ルに変換されても、酵母が存在していれば、ダイアセチ
ルに変換されると同時にアセトインにまで変換されるの
で、ダイアセチル臭が指摘されることはなかった。ま
た、酵母の添加による酸化臭の抑制効果も認められ、無
添加のものに比べて明らかに香味の総合評価も優れてい
た。なお30℃保存の酵母無添加ビールでダイアセチル臭
の指摘がそれほど高くないのは、あまりにも酸化臭が強
いためであると考えられる。
実施例2 製品ビールに2×105cells/mlのビール醸造用下面酵母
あるいはそれから得た呼吸能欠失株を添加して30℃で2
ケ月保存した後、8℃で24時間冷却し、濁度を測定、酵
母を添加しないビールを対照として寒冷溷濁の生成を比
較した。いずれの試料も633ml容透明びんに入れて保存
し、保存前にヘッドスペースの空気量を1.8mlに調整し
た。
第7表に示すように、酵母の添加によって寒冷溷濁の発
生を抑制することができた。
EBC.f.uとは、Analytica EBC,3rd Edition 1975に記載
されたところに従った濁度の単位である。
参考例4 外観発酵度の異なるビール(外観最終発酵度はいずれも
87.4%、酵母濃度は0cell/ml)に2×102〜106cells/ml
のビール醸造用下面酵母を添加してヘッドスペースの空
気量を1.8mlに調整し、20℃で2週間保存してから発酵
度を調べた。
外観発酵度の低いビール(残糖の多いビール)ほど酵母
接触による発酵度の上昇が大きい。
酵母添加量が外観発酵度の上昇に及ぼす影響も大きい。
酵母添加量が2×104cells/ml以下であれば接触させる
ビールの発酵度(残糖)によらず、発酵度の上昇は5%
以内にとどまる。2×105cells/ml以上の酵母添加量で
は外観最終発酵度と外観発酵度との差が5%以内のビー
ルでなければ、5%以上の発酵度の上昇は避けられな
い。
実施例3 ビール醸造で実際に使用している酵母(Saccharomyces
cerevisiae)、Saccharomyces cerevisiae(ATCC 908
0、ビール醸造に実際に使用していないもの。マルトー
スおよびマルトトリオース難資化性酵母、清酒酵母(協
会7号。マルトースおよびマルトトリオース難資化性酵
母)を2×105/mlとなるようにびんビール(633ml容)
(酵母濃度0cell/ml)に添加してヘッドスペースの空気
量を1.8mlに調整し、30℃で1週間保存後8℃に冷却し
て官能検査に供した。
ビール醸造で実際に用いていない酵母であっても明らか
に酸化臭生成に対する抑制効果が認められ、保存後の香
味の総合評価も良好であった。
グルコースは酵母添加前にほとんど消費されており、酵
母添加時に残存している発酵性糖の大部分はマルトース
とマルトトリオースである。ビール酵母はこれらの糖を
摂取するので、保存中の発酵の進行が避けられないが、
ビール酵母以外の2つの酵母はこれから摂取しにくいの
で、保存中の発酵度の上昇は無視できる。
実施例4 ビール醸造用下面酵母あるいは呼吸能欠失酵母を、それ
ぞれ2×105あるいは2×104cells/mlとなるようにびん
ビール(633ml容)(酵母の濃度0cell/ml)に添加し、
ヘッドスペースの空気量を1.8mlに調整して、20℃と30
℃で1週間保存後、8℃で24時間冷却してから、濁度を
測定した。酵母はびん底部にほとんど沈降してしまうの
で、びんから静かに注いだときの濁度(上澄の濁度)と
びんをよく混合してから注いだときの濁度(全体の濁
度)をあわせて測定した。
上澄を飲用する限りにおいては、酵母による濁りは、特
に問題にはならないと考えてよい。しかし、全体の濁度
(混合してから測定)については通常酵母に比べて呼吸
能欠失酵母の方が保存中の濁りの生成は少ない。特に20
℃の保存で顕著である。
また、実施例1の「保存後のビールの品質の分析結果」
から分るように、呼吸能欠失酵母を使用した場合は保存
中の製品ビールの発酵の進行を低くおさえることができ
る。
実施例5 ビール醸造用酵母あるいはSaccharomyces cerevisiae
(NCYC 234、マルトトリオース難資化性酵母)を1.5×1
03および2×104cells/mlとなるように製品びんビール
(633ml容)(酵母濃度0cells/ml)に添加して、それぞ
れ、20℃で4週間保存した。
びんビールでのびん底の沈殿形成は下記の通りであっ
た。
ビール醸造用酵母に比べて、マルトトリオース難資化酵
母の方が、保存中の濁りの沈殿が少なかった。
フロントページの続き (56)参考文献 Brauwelt,124(10)(1984) P.362 Brauwelt,122(17)(1982) P.714

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】容器に充填された、製品ビールとして発酵
    が実質的に終了していて外観最終発酵度と外観発酵度と
    の差が7%未満であるビールに102〜106cells/mlの濃度
    で酵母を分散させてなり、さらに下記の条件の少なくと
    も一つを充足することを特徴とする、酵母入りビール。 (イ) 分散させた酵母が、マルトースおよび(また
    は)マルトトリオース難資化性酵母であること。 (ロ) 分散させた酵母が、呼吸能欠失酵母であるこ
    と。
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