JPH0740540Y2 - ジャカード織機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ジャカード織機の改良に関する。

（従来の技術） 柄や模様パターンを織り込む機能を備えた直織機として
例えば実公昭63-2464号に示すようなジャカード織機が
知られている。

このようなジャカード織機は第３図に示すように上端に
フック２を形成した数多くの経針１を備え、このフック
２に係合して経針１を引き上げるナイフをナイフ箱10の
内側に各々備えている。経針１の下端には図示されない
織糸がそれぞれ連結され、ナイフがフック２を介して経
針１を引き上げることにより、経針に連結した織糸が織
機本体11の内部に供給されるようになっている。

また、柄や模様に合せて織糸を選択的に使用するため
に、ナイフ箱10の下方には第４図に示すような緯針３が
経針１と直交して水平方向に配設される。緯針３は各経
針１に対応して同数が配設され、緯針３の対応する経針
１との交差部には経針１の水平変位を拘束する、第５図
に示すような形状をしたテング５と呼ばれる拘束部が形
成される。

緯針３の一部を駆動手段を介して第２図の矢印に示すよ
うに水平方向に動かすと、緯針３に形成したテング５が
経針１を側方へ駆動し、経針１とナイフとの係合が解
け、ナイフが上方へ動いても経針１は動かずにそのまま
の位置に止どまる。このため、この経針１に連結した織
糸は織機本体11に供給されず、引き上げられた他の経針
１に連結する織糸のみが織機本体11に供給される。この
ようにして織機本体11に織糸を選択的に供給すること
で、柄や模様のパターンが織り上げられる。

（考案の課題） ところで、緯針３を動かさない場合には、経針１はナイ
フの駆動に応じてテング５の内側を上下方向に変位する
ので、この変位をテング５が妨げないよう、経針１とテ
ング５とを良好な潤滑状態に保つ必要がある。このた
め、通常は経針１の上部に潤滑油を供給し、この潤滑油
が経針１を伝ってテング５に至ることで、これらの潤滑
を図っている。しかし、テング５に至った潤滑油の一部
は引き続き緯針３を伝って緯針の末端3Aに至り、織機本
体11の内部に侵入して内部を汚染する恐れがあった。

本考案は以上の問題点を解決すべく、経針に供給する潤
滑油が緯針の末端に達しないようにすることを目的とす
る。

（課題を達成するための手段） 本考案は、上端にフックを形成し、下端に織り糸を連結
して垂直方向に配設された経針と、このフックと係合し
て経針を上方へ駆動するナイフと、各経針に対応して水
平方向に配設された緯針とを備えるとともに、対応する
経針の垂直変位を許容し、かつ水平変位を拘束する拘束
部を各緯針に形成したジャカード織機において、各緯針
の前記拘束部と末端との間にＯリングを装着している。

（作用） 拘束部から末端に至る途中にＯリングを装着したので、
経針に供給された潤滑油が拘束部を介して緯針末端に伝
わるのを途中で阻止することができる。

（実施例） 第１図及び第２図に本考案の実施例を示す。

第１図において、１は上下方向に配設された経針であ
り、第２図に示すように上端にナイフ４に係合するフッ
ク２が形成され、下端に織糸７が連結される。また、こ
のフック２とナイフ４の係合を解くために経針１を水平
方向に駆動する緯針３が、経針１と直交して水平方向に
配設される。

緯針３は経針１に対応して同数が配設され、図示されな
い駆動手段により個別に軸方向に駆動される。各緯針３
には対応する経針１の垂直変位を許容し、水平変位を拘
束する拘束部として、経針１との交差部に前記従来例と
同様のコの字形に屈曲したテング５が形成される。経針
１はこのテング５の内側を通り、緯針３の水平方向変位
に応じて同方向へ変位する。

これらの各緯針３にはテング５から末端に至る途中に第
１図に示すようなＯリング６が取り付けられる。他の構
造は前記従来例と同じである。

次に作用を説明する。

織機は前記従来例と同様に作動する。すなわち、ナイフ
４が図示されない駆動手段を介して上下に駆動され、フ
ック２をナイフ４に係合する経針１が引き上げられ、経
針１の下端に連結する織糸７を織機本体に供給する。織
物の柄や模様に応じた織糸供給を行うために、使用しな
い織糸７については、その織糸７を連結した経針１に対
応する緯針３が水平方向に駆動され、テング５が内側に
係合する経針１を横に動かして経針１のフック２をナイ
フ４との係合から解放し、不要な織糸７に連結した経針
１を引き上げないようにする。このようにして、緯針３
を水平方向に駆動することにより、所定の柄や模様を織
り上げるのに必要な織糸７のみが織機本体に供給され
る。

この作業においては、数多くの経針１がそれぞれテング
５の内側を通って上下に変位するので、経針１とテング
５の潤滑を良くするために、各経針１の上部に潤滑油が
供給される。この潤滑油は経針１を伝ってテング５に至
り、経針１とテング５の間を潤滑するが、一部の潤滑油
はさらにテング５から緯針３上を水平方向に伝播する。
しかしながら、この潤滑油も緯針３に取り付けたＯリン
グ６に達すると、それ以上水平方向に伝わることができ
ず、Ｏリング６の手前に溜まった潤滑油はＯリング６か
ら下方へ落下する。このため、緯針３の末端3Aに潤滑油
が伝わることはなく、緯針３の末端3Aから潤滑油が織機
本体の内側へ侵入して織物を汚染するなどの不都合を起
こす恐れはない。

（考案の効果） 以上のように、本考案は緯針の経針拘束部から末端に至
る途中にＯリングを取り付けたので、このＯリングによ
り経針から緯針へと伝わった潤滑油の緯針末端方向への
伝播が阻止され、潤滑油が緯針末端から織機本体に侵入
して内部を汚染する不都合を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示すジャカード織機の経針と
緯針の交差部を拡大した正面図、第２図は経針とナイフ
及び織糸の位置関係を示す正面図である。 また、第３図は従来例を示すジャカード織機の側面図、
第４図は第３図のＡ部を拡大した側面図、第５図はテン
グの形状を示す平面図である。 １……経針、２……フック、３……緯針、４……ナイ
フ、５……テング、６……Ｏリング、７……織糸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上端にフックを形成し、下端に織り糸を連
   結して垂直方向に配設された経針と、このフックと係合
   して経針を上方へ駆動するナイフと、各経針に対応して
   水平方向に配設された緯針とを備えるとともに、対応す
   る経針の垂直変位を許容し、かつ水平変位を拘束する拘
   束部を各緯針に形成したジャカード織機において、各緯
   針の前記拘束部と末端との間にＯリングを装着したこと
   を特徴とするジャカード織機。