JPH0740311A - 鉄化合物含有木材および木材処理方法 - Google Patents

鉄化合物含有木材および木材処理方法

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JPH0740311A
JPH0740311A JP19065193A JP19065193A JPH0740311A JP H0740311 A JPH0740311 A JP H0740311A JP 19065193 A JP19065193 A JP 19065193A JP 19065193 A JP19065193 A JP 19065193A JP H0740311 A JPH0740311 A JP H0740311A
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wood
aqueous solution
iron compound
iron
ferrite
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JP19065193A
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Inventor
Takao Yamauchi
隆夫 山内
Kazuya Shimizu
和也 清水
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Taiho Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Taiho Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、木材を、アルカリ水溶液、および
金属イオン含有水溶液に順次に浸漬し、鉄化合物を木材
の内部に生成させることを特徴とする木材処理方法であ
り、この木材処理方法によって得られる鉄化合物含有木
材である。 【効果】木材の内部まで確実に、しかも安価に鉄化合物
を含有させることができる。本発明によって得られる鉄
化合物が充填された木材は、磁性特性を有する材料とし
て、また鉄化合物の生成により着色された着色木材とし
て、床、柱、壁板等の建築内装材や椅子、机、箪笥、ベ
ット等の家具建具類の素材として、あるいは燃料として
利用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄化合物含有木材およ
び木材処理方法に関し、詳しくは、鉄イオン含有水溶液
における鉄イオンの種類に応じて木材に磁性を付与する
ことができ、場合によっては木材を着色することがで
き、また場合によっては燃料として、金属担持触媒とし
て、また金属含有充填剤として活用することのできる鉄
化合物含有木材およびそのような鉄化合物含有木材を形
成することのできる木材処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来から
木材は、たとえば家屋などの建築のための建材、家屋や
ビルの内装に使用される内装材料、机、箪笥等の家具調
度品材料、彫刻等の装飾品材料等に、非常に幅広い用途
を有している。これらの用途の外に、木材はそれ自体を
燃料として使用することができるし、また、木材を炭化
することによりたとえば木炭の形態で燃料として使用す
ることができる。木材の用途は、その他様々あり、たと
えば木粉を合成樹脂の充填剤として使用したりすること
もある。木材を炭化した場合には、その炭化粉末を吸着
剤、各種触媒の担体として使用することもある。
【0003】木材を内装材料や家具調度品材料、装飾品
材料等に使用する場合、木材を塗装したり、木材を使っ
て形成された板壁や家具調度品あるいは装飾品の表面を
塗装することがある。木材表面や木材使用の完成品の表
面を塗料で塗装すると、使用状態により、塗装面がはげ
て外観が醜悪になるという問題点がある。また、白木の
ままでたとえば屋内の壁面を形成し、その後に木製壁面
を塗装するのは、塗料の乾燥に長時間を要したり、塗装
するべき壁面以外を塗料で汚したりするという塗装作業
に、基づく各種のやっかいな問題点がある。
【0004】木材をそのままあるいは炭化してから燃料
として使用する場合、着火を迅速に行うことができず、
紙などの焚き付け用素材を先ず燃焼させることにより木
材に着火を行うという煩雑な操作が必要であるという問
題点がある。
【0005】一方、近年においては各種の電子機器から
発する電波を遮蔽し、あるいは外部から到来する電波を
遮蔽する必要性が高まっている。その必要性を満たすた
めに、電子機器における電波遮蔽材料として金属粉を合
成樹脂に配合してなる複合材料を用いて電子機器筐体が
構成され、あるいはそのような複合材料を用いた電波遮
蔽板が作成されたりしている。小型の電子機器用の筐体
を前記複合材料で構成するときには、成形金型を使用す
ると、前記筐体を大量生産するのに便利である。しかし
ながら、大きな室内を電波から遮蔽するときには、部屋
の内部形状が各種各様であることから、成形金型で形成
された規格品としての前記複合材料製の内装板で部屋の
壁面全体を覆うことは非常に煩雑な作業になる。
【0006】ところで、特開平3−112602号公報
および特開平3−112604号公報には、床材あるい
は内装材などの木材を、カチオン含有処理液とアニオン
含有処理液との一方に含浸させた後に他方に含浸させる
ことにより、内部に不溶性不燃性無機物を含む改質木材
の製造方法が記載されている。これらの公報によると、
カチオン含有処理液として塩化マグネシウムなどの各種
の金属塩が例示されている。また、不溶性不燃性無機物
として、ホウ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、炭酸塩、
硫酸塩、硫酸水素塩、ケイ酸塩、硝酸塩、水酸塩等の各
種塩が例示されている。そして、これらの公報による
と、不溶性不燃性無機物中に、B47 、BO4 、PO
4 を含むときには炭化促進による難燃化効果、CO3
含むときには不燃性ガスを発生することによる難燃化効
果、ハロゲンを含むときには不燃性ガスを発生すること
による難燃化効果が、それぞれ期待できるとしている。
また、これらの公報の記載によると、上記の難燃化効果
の外に、耐候性、耐水性、寸法安定性、力学的強度、耐
摩耗性の向上が発明の効果として挙げられているが、そ
の実験的裏付けは全く記載されていない。もっとも、こ
れらの公報の記載によると、前記両処理液で処理された
木材は腐敗に対する耐久性は実施例において記載されて
いる。
【0007】以上のように、木材にカチオン含有液およ
びアニオン含有液を含浸させて腐敗に対する耐久性に優
れた技術が前記公報に開示されてはいるが、木材を改質
して磁性を付与させ、木材の内部にまで着色をして塗料
層の剥離をなくし、あるいは木材の燃焼を容易にするこ
とにより燃料に好適な木材に改質するなどといった改質
技術は前記公報には全く記載も示唆もされていない。
【0008】木材は有史以前から汎用されている素材で
あり、切り出し、研磨等の加工が非常に容易である。こ
のような加工の容易な素材に更に新たな特性ないし性質
を付与することができるのであれば、木材の用途は更に
広がるものと期待される。
【0009】この発明は前記事情に基づいてなされたも
のである。
【0010】すなわち、この発明は、木材中に鉄化合物
を含めることにより、その鉄化合物の種類によって木材
に磁性を帯びさせ、その鉄化合物の種類により独特の発
色を木材に付与し、その鉄化合物の存在により木材の燃
焼特性を改善することのできる木材処理方法を提供し、
またそのように鉄化合物を含有して独特の特性を発現し
た鉄化合物含有木材を提供することを、目的にする。
【0011】
【前記課題を解決するための手段】前記課題を解決する
ための請求項1に記載の発明は、木材中に鉄化合物を含
有してなることを特徴とする鉄化合物含有木材であり、
請求項2に記載の発明は、アルカリ水溶液と鉄イオン含
有水溶液とに順次に木材を浸漬して木材中に鉄化合物を
形成させることを特徴とする木材処理方法である。
【0012】以下、この発明について詳細に説明する。
【0013】本発明における木材としては、その樹木の
種類に特に制限がなく、針葉樹であっても広葉樹であっ
てもよく、例えば、アカマツ、イチョウ、ウド、エゾマ
ツ、カシ、カツラ、カラマツ、キリ、クスノキ、クロマ
ツ、クリ、ケヤキ、コナラ、シイノキ、シナノキ、シラ
カバ、スギ、トドマツ、ハリギリ、ハルニレ、ヒッコリ
ー、ヒノキ、ヒバ、ブナ、ホウ、マホガニー、ミズナ
ラ、モモ、ラワン等のいずれの樹種であっても良い。
【0014】木材中に含有される鉄化合物としては、酸
化鉄、フェライト、ベンガラ、ヘマタイト、マグネタイ
ト、ゲーサイト、鉄アルミナ複合体などを挙げることが
できる。前記鉄化合物の具体例として、FeOOH、α
−Fe23 、β−Fe23 、FeO、Fe23
Fe34 、MnFe24 、CoFe24 、NiF
24 、CuFe24 、ZnFe24 、MgFe
24 、SrO・6Fe23 、BaO・Fe23
PbO・6Fe23 、BaO・2FeO・8Fe2
3 、BaO・2FeO・Fe23 、BaO・ZnO・
FeO・Fe23 、SrO・2ZnO・8Fe2
3 、SrO・2CoO・8Fe23 などを挙げること
ができる。
【0015】木材中に前記各種の鉄化合物を含有するこ
とにより、木材に種々の新たな特性が付与される。
【0016】たとえば、鉄化合物の種類によって磁性の
木材が得られる。たとえばマグネタイト、フェライトな
どを含有することにより磁性の木材が得られる。磁性を
有する木材においては、木材中に含有される鉄化合物と
してはフェライトが好ましい。このフェライトは、(M
eO)m ・(Fe23n (ただし、式中、MeはF
e、Mn、Zn、Cu、Co、Mg、Ca、Ni等の二
価金属の一種または二種以上を示し、mとnとはそれぞ
れ正数である。)で示すことができる。
【0017】鉄化合物がα−Fe23 (ベンガラ)を
含有するとその木材は赤色に着色され、Fe34 (鉄
黒)を含有するとその木材は黒色に着色され、γ−Fe
OOH(黄鉄)を含有するとその木材は黄色に着色さ
れ、Znフェライト(タン)を含有するとその木材は黄
褐色に着色され、Mgフェライト(タン)やゲーサイト
を含有するとその木材は赤色に着色される。
【0018】鉄化合物含有木材における鉄化合物の含有
量は、鉄化合物含有木材にどのような特性を発現させる
かによりその好適な含有量が適宜に決定されるのであ
り、また、そのような特性を発現させるにせよ鉄化合物
の含有量は、通常、少なくとも0.1重量%である。
【0019】鉄化合物含有木材は種々の形態で使用され
ることができる。たとえば、鉄化合物含有木材は、丸
太、角材、板材、木片、合板、木粉などいかなる形態で
あっても良い。また、場合によっては、炭化した木材で
あっても良い。
【0020】上記各種の形態を有する鉄化合物含有木材
は、様々の用途に供される。たとえば、鉄化合物含有木
材は、一般住宅、集合住宅、公共住宅その他居住空間等
に用いられる内装材として、壁部分では木質タイル、木
質レンガ、木質ALCパネルに、天井部分では天井板
に、床部分ではフローリング材料として好適に使用され
る。鉄化合物含有木材が磁性を有するときには、電波遮
蔽材として使用され、たとえば各種電子機器の電波遮蔽
板、あるいは筐体として使用されることができる。鉄化
合物含有木材を燃料として使用する場合、たとえば小木
片にして携帯燃料とすることができ、あるいは丸太材に
してキャンプファイヤーなどの焚き火材料とすることが
できる。また場合によっては、鉄化合物含有木材を粉状
にし、得られた木粉を適当なバインダーで適宜の形状に
成形して、簡易固形燃料とすることもできる。
【0021】この鉄化合物含有木材を木粉にしたときに
は、この木粉を樹脂に分散させることにより複合材料を
形成することもできる。かかる複合材料は、合成樹脂の
成形加工技術を用いて様々の加工法たとえば射出成形
法、押出成形法などを利用して様々の形状、たとえば電
子機器の筐体などに加工することができる。
【0022】この発明の鉄化合物含有木材には、炭化し
た木材中に鉄化合物を含有させた鉄化合物含有木材(以
下において、鉄化合物含有炭化木材と称することがあ
る。)が含められる。炭化した木材中に鉄化合物を含有
させた鉄化合物含有木材は、炭化した木材の吸着作用お
よび鉄化合物の触媒作用により種々の用途が開発され
る。たとえば、鉄化合物含有炭化木材を使用した水浄化
装置が挙げられる。
【0023】本発明の鉄化合物含有木材は本発明の木材
処理方法により製造することができる。
【0024】すなわち、アルカリ水溶液と鉄イオン含有
水溶液とに順次に木材を浸漬して木材中に鉄化合物を形
成させることにより鉄化合物含有木材を製造することが
できる。
【0025】この木材処理方法を適用することのできる
木材の樹種については特に制限がなく、具体例としては
前述したとおりである。木材の形態についても前述した
通りである。
【0026】前記アルカリ水溶液としては、アンモニ
ア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液等を
挙げることができる。なお、アルカリ水溶液を使用する
代わりに、アンモニアのようにガス状のアルカリ成分
を、木材へ浸透させることもできる。
【0027】前記各種の無機物および有機物はその一種
を単独で使用することができるし、その二種以上を併用
することもできる。なかでも、水酸化ナトリウムおよび
/またはアンモニアを含有する水溶液が好ましい。もっ
とも、木材中でどのような鉄化合物を形成するかによ
り、換言すると鉄イオン含有水溶液を形成するための鉄
塩の種類に応じて、アルカリ水溶液の種類が適宜に決定
される。
【0028】前記アルカリ水溶液を調製するために使用
されるアルカリ成分の濃度としては、通常0.01〜1
0モル/リットルであり、好ましくは0.05〜5モル
/リットルである。アルカリ水溶液中のアルカリ成分の
濃度が前記範囲内にあると、後述する鉄イオン含有水溶
液とによって木材中での鉄化合物の形成を有効に行うこ
とができ、種々の特性を木材に付与することができる。
【0029】鉄イオン含有水溶液は、前記アルカリ水溶
液と混合することにより木材中に鉄化合物を形成するこ
とができ、かつ、水中で鉄イオンとなる鉄塩を含有す
る。
【0030】その鉄塩としては、硫酸第一鉄、硫酸第二
鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄
などを挙げることができる。
【0031】この鉄イオン含有水溶液中には、前記アル
カリ水溶液と混合することにより発生するところの、所
望の鉄塩の種類に応じて他の金属塩を含有させ、組み合
わせることができる。たとえば、アルカリ水溶液たとえ
ば水酸化ナトリウム水溶液と接触させてマグネタイトを
得るには、鉄イオン含有水溶液として硫酸第一鉄と硫酸
第二鉄とを溶解する水溶液、アルカリ水溶液たとえばア
ンモニア水と接触させてゲーサイトを得るには塩化第一
鉄と塩化第二鉄とを溶解する水溶液、アルカリ水溶液た
とえば水酸化ナトリウム水溶液と接触させてマンガン亜
鉛系フェライトを得るには硫酸マンガンと硫酸亜鉛と硫
酸第二鉄とを溶解する水溶液、アルカリ水溶液たとえば
アンモニア水と接触させてマグネシウム亜鉛系フェライ
トを得るには塩化マグネシウムと塩化亜鉛と塩化第二鉄
とを溶解する水溶液、アルカリ水溶液たとえば水酸化ナ
トリウム水溶液と接触させて鉄アルミナ複合体を得るに
は硫酸第一鉄と硫酸アルミニウムとを溶解する水溶液、
アンモニア水溶液と接触させてコバルト亜鉛フェライト
を得るには塩化コバルトと塩化亜鉛と塩化第二鉄とを溶
解する水溶液等を挙げることができる。
【0032】鉄イオン含有水溶液中に溶解する鉄塩の濃
度としては、通常0.01〜5モル/リットル、好まし
くは0.05〜2モル/リットルである。鉄塩の濃度が
前記範囲にあると木材中での鉄化合物の形成を支障なく
行うことができる。
【0033】また鉄塩以外の、必要に応じて加えられる
金属の濃度としては、通常0.01〜5モル/リット
ル、好ましくは0.05〜2モル/リットルである。金
属の濃度が前記範囲にあると木材中での鉄化合物の形成
を支障なく行うことができる。
【0034】この発明の木材処理方法においては、任意
の形態の、任意の樹種の木材を、前記アルカリ水溶液お
よび鉄イオン含有水溶液のいずれか一方に浸漬し、次い
で他方に浸漬する。いずれの水溶液を先にして木材を浸
漬するかは任意である。
【0035】アルカリ水溶液に木材を浸漬するときの、
そのアルカリ水溶液の温度は、特に制限的ではない。多
くの場合、そのアルカリ水溶液は、溶媒である水が沸騰
しない範囲で加温され、常温から〜100℃までの任意
の温度が適宜に選択される。
【0036】アルカリ水溶液に木材を浸漬して置く時間
は、アルカリ水溶液が木材のほとんど全ての空隙に浸透
するのに十分な時間であれば良く、したがって木材の形
態、大きさなどにより浸漬して置く時間が異なり、一義
的に決定することはできない。もっとも、概括的に言え
ば、アルカリ水溶液に木材を浸漬して置く時間は、通常
1時間以上であれば良い。
【0037】場合によっては、高圧容器内に充填したア
ルカリ水溶液に木材を浸漬し、次いでその高圧容器内に
更にアルカリ水溶液を圧入し、木材全体をアルカリ水溶
液で加圧処理するようにしても良い。木材全体をアルカ
リ水溶液で加圧処理すると、木材中へのアルカリ水溶液
の浸透が極めて迅速になり、しかも木材中のほとんど全
ての空隙にアルカリ水溶液が浸透することになる。
【0038】鉄イオン含有水溶液に木材を浸漬するとき
の、その鉄イオン含有水溶液の温度は、特に制限的では
ない。多くの場合、その鉄イオン含有水溶液は、前記ア
ルカリ水溶液と同様に溶媒である水が沸騰しない範囲で
加温され、常温から〜100℃までの任意の温度が適宜
に選択される。
【0039】鉄イオン含有水溶液に木材を浸漬して置く
時間は、鉄イオン含有水溶液が木材のほとんど全ての空
隙に浸透するのに十分な時間であれば良く、したがって
木材の形態、大きさなどにより浸漬して置く時間が異な
り、一義的に決定することはできない。もっとも、概括
的に言えば、鉄イオン含有水溶液に木材を浸漬して置く
時間は、通常1時間以上であれば良い。
【0040】場合によっては、高圧容器内に充填した鉄
イオン含有水溶液に木材を浸漬し、次いでその高圧容器
内に更に鉄イオン含有水溶液を圧入し、木材全体を鉄イ
オン含有水溶液で加圧処理するようにしても良い。木材
全体を鉄イオン含有水溶液で加圧処理すると、木材中へ
の鉄イオン含有水溶液の浸透が極めて迅速になり、しか
も木材中のほとんど全ての空隙に鉄イオン含有水溶液が
浸透することになる。アルカリ水溶液に浸漬した後の木
材を鉄イオン含有水溶液に浸漬した後、あるいは鉄イオ
ン含有水溶液に浸漬した後の木材をアルカリ水溶液に浸
漬した後に、直ちに乾燥を行っても良いが、場合によっ
ては一定時間の間、その木材を養生しても良い。養生期
間としては、その木材の表面が自然乾燥する程度の時間
が見込まれる。
【0041】浸漬処理後の木材の乾燥条件としては、通
常20〜120℃の加熱温度雰囲気下で、1〜100時
間をかけて乾燥するのが良い。加熱温度が高温になると
短時間に、低温であると長時間をかけることが望まし
い。
【0042】浸漬処理をされる木材が粉状であるときに
は、粉状の木材をアルカリ水溶液および鉄イオン含有水
溶液のいずれか一方に浸漬し、要すれば撹拌し、所定の
温度の下で所定時間の浸漬処理をする。浸漬処理の後
に、粉状の木材を濾別し、濾別した木材を他方の水溶液
に浸漬し、要すれば撹拌し、所定の温度の下で所定時間
の浸漬処理をする。浸漬処理の後に、粉状の木材を濾別
し、要すれば養生してから、乾燥処理をする。
【0043】以上のように処理することにより、鉄化合
物含有木材が製造される。
【0044】
【実施例】
(実施例1)1Mの硫酸第1鉄水溶液100mlと、1
Mの硫酸第2鉄水溶液100mlを混合した水溶液中
に、予め恒温槽内(80℃)で乾燥しておいた10×1
0×30mmの大きさのシナノキの四角柱状の木片を一
晩浸漬した。次に、4M水酸化ナトリウム水溶液200
ml中に一晩浸漬し、その後水道水で洗浄し、恒温槽内
(80℃)で10時間かけて乾燥させた。
【0045】このようにして得られた処理済木片につい
て下記の項目に関して、評価した。評価結果を表1に示
した。
【0046】(比重の測定)重量と体積とから算出し、
処理前の比重の差を「比重増分」とした。
【0047】(磁場感応性)電子磁気工業株式会社製の
「直流磁化特性自動記録装置BH−5300S」によ
り、磁化を測定した。測定値は、3kOeの磁場におけ
る磁化を示す。
【0048】(着色)処理済の木片を、目視により判定
した。
【0049】(燃焼性)試料であるシナノキを15×1
5×15mmの大きさに切断し、ルツボに入れて600
℃の電気炉中に3時間放置し、燃焼させたときの形状な
いし形態を目視により観察した。
【0050】(実施例2)実施例1とは逆の順序に浸漬
を行なった。すなわち、4M水酸化ナトリウム水溶液2
00ml中に予め恒温槽内(70℃)で乾燥しておいた
10×10×30mmの大きさのシナノキの四角柱状の
木片を一晩浸漬した。次に、1Mの硫酸第1鉄水溶液1
00mlと、1Mの硫酸第2鉄水溶液100mlを混合
した水溶液中に一晩浸漬し、その後水道水にて洗浄に、
恒温槽内(70℃)で乾燥させた。前記実施例1におけ
るのと同様にしてこの処理済木片を評価した。評価結果
を表1に示した。
【0051】(実施例3)実施例1における硫酸鉄水溶
液およびアルカリ水溶液の浸漬処理の後に、続けてオレ
イン酸吸着処理を行なった。なお、このオレイン酸吸着
処理は、オレイン酸を含有する水溶液に前記シナノキを
浸漬することにより行われた。このオレイン酸は、シナ
ノキ中に形成されたフェライトの酸化を防止するために
用いられた。このフェライトの酸化防止のための薬剤
は、前記オレイン酸のみに限定されるものではなく、ス
テアリン酸、ナフテン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸
もしくはその塩、その他界面活性剤が使用される。
【0052】前記実施例1におけるのと同様にしてこの
処理済木片を評価した。評価結果を表1に示した。
【0053】(実施例4)実施例2における硫酸鉄水溶
液およびアルカリ水溶液の浸漬処理の後に、続けてオレ
イン酸吸着処理を行なった。前記実施例1におけるのと
同様にしてこの処理済木片を評価した。評価結果を表1
に示した。
【0054】(比較例1)アルカリ水溶液で処理をしな
かった外は前記実施例1と同様に木片を処理した。前記
実施例1と同様にして評価し、その結果を表1に示し
た。実施例1で使用した木片の燃焼性を評価した。表1
中では「未処理」として示した。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明の方法によると、木材をアルカリ
水溶液、および鉄塩の原料となる金属イオン含有水溶液
に順次に浸漬することによって、木材内部まで確実に、
しかも安価に鉄化合物を含有させることができる。得ら
れた木材は、そのまま若しくは角材、板状、木片、木粉
などの形状に加工されて利用されることができる。得ら
れた鉄化合物が内部に存在する木材は、その鉄化合物の
種類により様々の特性を発現し、その特性に応じて様々
な分野において好適に利用される。
【0057】木材に鉄化合物を吸着充填することによっ
て、木材の比重は増加し、さらに、磁性を有したり、着
色を呈したりする。このような木材は、例えば、磁性を
木材に付与することができ、テレビやレーダーの電波障
害を防ぐための電磁波吸収材料や電子機器で外部磁界の
影響を避けるための磁気遮蔽材料などの磁性複合材料と
して使用されることができる。生成する鉄化合物によっ
て着色することにより、または着色した木目等が装飾的
模様を有することより、床、柱、壁板等の建築内装材や
机、椅子、箪笥、ベット等の家具建具類の素材や装飾用
素材として使用されることができる。鉄の燃焼触媒効果
を利用して、燃焼促進効果、発煙防止効果、有害ガス抑
制効果を有する携帯用燃料等の燃焼木材として使用され
ることができる。さらにこの鉄化合物含有木材が炭化し
た木材中に鉄化合物を含有する形態であると、活性炭や
触媒担持担体として利用することもできる。炭化し、あ
るいは炭化していない鉄化合物含有木材を粉状態にする
ときには、この粉状の鉄化合物含有木材を樹脂の充填剤
として使用されることができ、鉄化合物を内包した木粉
を分散した樹脂複合体が形成される。この樹脂複合体を
用いて、各種の樹脂成形法に従って樹脂成形品を形成す
ることができる。また、本発明は、木材を着色すると同
時に、高密度化することもできるので、重厚感のある仏
像等の彫刻物、将棋盤等の製作や鑑賞用に用いる比重の
大きい流木等の製作等に好適に用いることができる。
【0058】以上総括すると、この発明の鉄化合物含有
木材は、含有される鉄化合物の種類およびその含有量に
応じて、磁気特性、導電特性、電磁波遮蔽特性、耐食
性、抗菌性、殺菌性、耐摩耗性、表面硬度、機械的特性
(機械的強度、破断強度、靭性等々)、燃焼性、触媒特
性、寸法安定性、耐熱性、吸湿性、耐光性、断熱性、吸
音特性等が新たに付与され、あるいは向上ないし改善さ
れる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材中に鉄化合物を含有してなることを
    特徴とする鉄化合物含有木材。
  2. 【請求項2】 アルカリ水溶液と鉄イオン含有水溶液と
    に順次に木材を浸漬して木材中に鉄化合物を形成させる
    ことを特徴とする木材処理方法。
JP19065193A 1993-07-30 1993-07-30 鉄化合物含有木材および木材処理方法 Pending JPH0740311A (ja)

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