JPH0739939U - 再生原料用廃フイルムの洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 洗浄槽内における廃フイルムの洗浄と移送を
確実に行うこと。 【構成】 上部開口で下部が内方に傾斜するホッパー状
とされた略長方形の洗浄槽の一端を投入口とし、他方の
上向き傾斜部の端を送出口となし、洗浄槽の傾斜始端部
に多孔板を設置し、該多孔板の上部に空気噴出管を配設
して洗浄槽内に空気を噴出させ、前記の投入口側に洗浄
槽内に水流を生じさせる水流発生用噴出管を設け、前記
の洗浄槽の上部には、洗浄水中に挿入されて洗浄水中を
移動される掻き寄せ具を多数装着した無端チェーンを配
設し、前記の無端チェーンに装着の掻き寄せ具で廃フイ
ルムを移送するようにした再生原料用廃フイルム洗浄装
置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えばビニールハウス等に使用されその後廃棄されたポリ塩化ビニ ールやポリエステル等の熱可塑性合成樹脂フイルムを再生原料として利用するた めの第一段階である該廃フイルムを粗洗浄する装置に関する。

【０００２】

【考案の背景及び従来技術】

農業用の施設園芸に用いられるビニールハウスに使用される塩化ビニール等の 熱可塑性合成樹脂フイルムは、前記の施設園芸の普及とともにその使用量は増加 しているが、その耐用年数は極めて短く、したがって、その廃棄量も増大してい る。そして、この廃棄された熱可塑性合成樹脂フイルムに関しては公害問題等か ら焼却は困難であり、更に腐食することもないのでその処理に困惑していたが、 近年これの再利用が図られその成果も挙げられている。しかしながら、再利用す るにしても前記の廃棄物の廃棄状態は、屋外に野積みの状態で風雨にさらされた ままが通常であり、その結果、前記フイルムには土砂はもとより汚泥が付着し、 更に小石あるいは針金等も混入しているのが現状である。

【０００３】 上記の廃棄された塩化ビニールフイルム等を再利用するには、前記したように 付着した土砂その他の付着物等を完全に取り去り洗浄する必要があり、これが完 全に洗浄されないと再利用の原料とはなりえないものである。そして、前記した 小石や針金等の比較的大きいものは水中における攪拌による異物分離作用によっ て除去されるが、前記フイルム面に付着する土砂や汚泥の除去は極めて困難であ る。そのうえ、廃棄後の経年変化に伴う硬化と、さらに集積時の結束のための押 圧力による皺や折り目等が固定化され、該皺や折り目に汚泥が付着し、洗浄時に 前記の皺等は伸びることがなくこれに付着の汚泥等は洗浄時に分離しがたいもの となっている。そして、これらの洗浄されているフイルムは洗浄水中を移送する ことにも問題がある。

【０００４】 そして、前記した問題点を解決したものとして特公昭６１−２３０２７号公報 がある。該公報に開示される技術は、先ず、処理すべき合成樹脂廃フイルムの塊 状物を粗砕し、該粗砕された廃フイルムを洗浄槽へ搬送供給し、超音波振動によ って洗浄し、洗浄される廃フイルムの槽内及び槽外への移送搬出はネットコンベ ヤで行っている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前記した従来技術においては、上記したように、粗砕され洗浄 される廃フイルムの洗浄槽内及び槽外の移送はネットコンベヤを用いるのでその 設備が大掛かりとなり、またその設備費も高価となる。そこで本考案は、前記し た問題点を解決し、集積された廃フイルムを粗砕したものの粗洗浄と前記の廃フ イルムの切断物の洗浄槽内の移送を確実簡単に実施可能な洗浄装置の提供を目的 とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る再生原料用廃フイルムの洗浄装置は、前記の目的を達成するため に、一端を被洗浄物の投入口とし、他方側の上向き傾斜部の端部を送出口とした 上部開放の長方形の洗浄槽の底部を下向き傾斜のホッパー状をなす汚泥堆積部と なし、前記の洗浄槽に嵌入可能な長方形の多孔板を装着するとともに該多孔板の 上部に空気噴出管を配設し、前記投入口側に洗浄槽内に水流を生じさせる水流噴 出口を開口し、前記洗浄槽の上部において、該洗浄槽内の洗浄水中に挿入して走 行せしめられる被洗浄物掻き寄せ具を多数装着した無端チェーンを巻回したこと をその特徴とするものである。

【０００７】

【作用】

本考案に係る再生原料用廃フイルムの洗浄装置は、粗砕された廃フイルムを長 方形の洗浄槽の一端の投入口より投入すると、洗浄槽の下方に配設の空気噴出管 より噴出する気泡と投入口側に設けた噴出口よりの水流形成用の圧力水とにより 前記の廃フイルムに付着の土砂等は分離され、分離された土砂等は、多孔板に穿 設の小孔を介してホッパー状の汚泥堆積部に集積され排出されるものであり、ま た、洗浄槽内における廃フイルムの取出口への移送は、前記した水流形成用の圧 力水及び洗浄槽の上部において走行する無端チェーンに固定されて該洗浄槽の洗 浄水中に挿入されて走行する被洗浄物掻き寄せ具によって移送するので、その移 送は円滑に行うことができ、更に取出口に至る槽内の上向き傾斜部においても前 記の掻き寄せ具によって廃フイルムは容易に移送されるものである。

【０００８】

【実施例】

本考案の実施例を図に基づいて説明する。１は上部が開口された長方形の洗浄 槽で、該洗浄槽１の下部は、下方に向かって内側に傾斜されたホッパー状の汚泥 堆積部２に形成され、また、前記の洗浄槽の一端は粗砕された廃フイルムの投入 口３に、他端は送出口４とされている。５は、前記した洗浄槽１の下部の傾斜始 端部に装着した多数の小孔が穿設された長方形の多孔板であり、該多孔板５の上 部には長方形の枠状とされた角型の空気噴出管６が設けられ、該枠状の長手方向 及び短手方向の中間部にはそれぞれ複数の空気噴出管を連結・連通させるととも に、流量調整弁７を介してブロワー８に接続してある。前記したそれぞれの角型 の空気噴出管の側方には多数の空気噴出口が穿設されている。また、前記した多 孔板５の送出口４側は、該送出口４側手前より送出口に向けて上向きの傾斜部９ とされている。そして、前記の傾斜部９は被洗浄物の移送時の滑り等を考慮して 無孔の平板とするのがよい。

【０００９】 １１は、洗浄槽１の投入口３側に挿入配設された水流形成用の噴出管であり、 該噴出管１１は洗浄槽１の幅方向に上下に複数設けられるとともに該噴出管１１ には多数の空気噴出口が噴出の方向性を持たせて設けられている。また、前記の 噴出管１１は、配管に配装される流量調整弁１２を介して分離タンク１３に設け られる水中ポンプ１４に接続される。１６は洗浄槽１の送出口４側に設けられる オーバーフロー穴であり、該オーバーフロー穴１６は配管を介して前記分離タン ク１３に連通されている。したがってオーバーフローした汚泥等の混入した洗浄 水は分離タンク１３に送られ汚泥等はろ過され配管を介して循環され前記噴出管 １１より洗浄槽１内に噴射され、廃フイルムに付着の土砂あるいは汚泥を取り除 くとともに廃フイルムを送出口４側に移送する水流を形成するものである。

【００１０】 １８，１８は、前記した洗浄槽１の両側壁内の上方において相対して長手方向 上下に巻回された無端チェーンであり、該無端チェーン１８，１８は可変速モー タ１９に軸止した駆動軸の両端のスプロケットによって駆動され、方向変換用の スプロケットを介して洗浄槽１の長手方向に走行され、また、該無端チェーン１ ８は前記した洗浄槽１の送出口４側に形成される上向き傾斜部９の上方には該傾 斜部と同様の傾斜角を有して走行せしめられている。２０，２０，２０，・・・ ・・・は、前記相対する無端チェーン１８，１８の複数リンク毎に取り付けられ た被洗浄物掻き寄せ具であり、該掻き寄せ具２０，２０，２０，・・・・・のそ れぞれは櫛状あるいはフォーク状に形成され、洗浄時には前記の掻き寄せ具２０ ，２０，２０，・・・・・が洗浄水中に挿入されて無端チェーン１８の走行とと もに走行し、洗浄水中の廃フイルムを引っかけるようにして移送するものである 。

【００１１】 ２２は洗浄槽１の下部に配設されたスクリュウコンベヤであり、汚泥堆積部２ に堆積された汚泥は開閉部の開閉によりスクリュウコンベヤ２２上に排出し汚泥 タンク２４に投入される。２３は洗浄水の供給口である。また前記した多孔板５ は例えば開閉扉等の手段によって開閉可能とするのがよく、このように開閉可能 とすることにより洗浄時に多孔板５の小孔を通過しない釘、針金等が多孔板５上 に溜ったとき、これを下部のホッパー状汚泥堆積部２内に落とすのに役立つから である。

【００１２】 本考案は、上記のように構成されるので、洗浄槽１中に洗浄水を所定の水位ま で入れ、空気噴出管６の噴出口より気泡を噴気させ、また、洗浄槽１の投入口側 の水流形成用の噴出管１１より圧力水を噴出させ、更に洗浄槽１の上方の無端チ ェーン１８，１８の複数リンク毎に取り付けた多数の被洗浄物掻き寄せ具２０， ２０，・・・を洗浄水中に挿入して該無端チェーン１８，１８を駆動し前記の掻 き寄せ具２０，２０，２０，・・・を走行させ、次いで、投入口３より粗砕され た廃フイルムを投入すると該廃フイルムに付着している土砂や汚泥あるいは釘、 針金等は下方からの気泡が浴びせられるとともに前記の噴出する圧力水によって 分離され、釘等は多孔板５上に載せられ、土砂、汚泥等は多孔板５の小孔より下 部の汚泥堆積部２に沈下し集積される。

【００１３】 前記した洗浄槽１中の粗砕された廃フイルムは、下部からの気泡により洗浄水 の上方に浮き上がり、投入口３側の噴出管１１よりの圧力水による移送が十分に 行われず、上方に浮遊状態となるが、本実施例においては、前記したように洗浄 槽１の上方には多数の掻き寄せ具２０，２０，２０，・・・・・を取り付けた無 端チェーン１８が前記の掻き寄せ具２０を洗浄水中に挿入して走行しているので 、前記した浮遊状態の廃フイルムは、該掻き寄せ具２０にて掻き寄せられチェー ンの走行とともに送出口４方向に移送されるものであり、特に送出口側の傾斜部 ９においても前記の掻き寄せ具２０にて廃フイルムは容易に上昇し送出口４より 槽外へ送り出されるものである。

【００１４】 本実施例においては、廃フイルムより分離された汚泥等は多孔板５の小孔を介 して下方の汚泥堆積部２に集積され下部を開閉することによりスクリュウコンベ ヤ上に排出し汚泥タンク２３に投入する。また、多孔板５上に載せられている釘 、針金等も多孔板５の開閉扉等を開いて下部の汚泥堆積部２に落とし前記と同様 に汚泥タンクに投入するものである。また、空気噴出管６の噴出口を該噴出管６ の側部に穿孔しておけば土砂等が直接空気噴出管６内に侵入することが防止でき る。

【００１５】 粗砕された廃フイルムの洗浄処理においては、廃フイルムに付着している汚泥 等の分離は、廃棄されていた状態より極めて困難であり通常は、先ず粗洗浄し続 いて精洗浄するが、本実施例の洗浄は前記の粗洗浄に用いられる装置であるので 、前記の下部から廃フイルムに浴びせられる気泡の噴出力は強力なものとなるの で前記したような浮遊状態になるものであり、また、粗洗浄であるので未だ汚泥 等の分離は完全でないので粗砕されている廃フイルムは比較的重い状態のためそ の移送に問題があるので、本実施例では、水流による移送と水中を走行する掻き 寄せ具の両者を併用することにより円滑な廃フイルムの移送を実施することがで きたものである。

【００１６】

【考案の効果】

本考案に係る再生原料用廃フイルムの洗浄装置は、洗浄槽内に投入された粗砕 の廃フイルムに下方より噴出される気泡と投入口側の噴出管より噴出する噴流と を浴びせて前記廃フイルムに付着の土砂や汚泥を分離し、また洗浄槽１中の廃フ イルムの移送は前記した投入口側より噴出する水流によって行われるが、該水流 が作用しにくい洗浄水の上部に浮遊する廃フイルムは、本考案においては、洗浄 槽上部に配設した無端チェーンに装着した多数の被洗浄物掻き寄せ具を洗浄水中 に挿入し、該掻き寄せ具を無端チェーンにて走行させ前記した浮遊する廃フイル ムを掻き寄せるようにして送出口へと移送するものである。したがって、本考案 は簡単な構成で効率の良い廃フイルムの洗浄が可能となるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】洗浄装置の横断説明図

【図２】要部の縦断説明図

【符号の説明】

１ 洗浄槽 ２ 汚泥堆積部 ３ 投入口 ４ 送出口 ５ 多孔板 ６ 空気噴出管 ９ 傾斜部 １８ 無端チェーン ２０ 被洗浄物掻き寄せ具

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ０９Ｂ 5/00 ＺＡＢ Ｂ２９Ｂ 17/00 ＺＡＢ 9350−4Ｆ // Ｃ０２Ｆ 1/40 Ｃ Ｂ２９Ｋ 105:26

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一端を被洗浄物の投入口とし、他方側の
   上向き傾斜部の端部を送出口とした上部開放の長方形の
   洗浄槽の底部を下向き傾斜のホッパー状をなす汚泥堆積
   部となし、前記の洗浄槽に嵌入可能な長方形の多孔板を
   装着するとともに該多孔板の上部に空気噴出管を配設
   し、前記投入口側に洗浄槽内に水流を生じさせる水流噴
   出口を開口し、前記洗浄槽の上部において、該洗浄槽内
   の洗浄水中に挿入して走行せしめられる被洗浄物掻き寄
   せ具を多数装着した無端チェーンを巻回したことを特徴
   とする再生原料用廃フイルムの洗浄装置。