JPH0739433B2 - サイクリツク・ビスデスモシドおよびその製造法 - Google Patents

サイクリツク・ビスデスモシドおよびその製造法

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JPH0739433B2
JPH0739433B2 JP61181119A JP18111986A JPH0739433B2 JP H0739433 B2 JPH0739433 B2 JP H0739433B2 JP 61181119 A JP61181119 A JP 61181119A JP 18111986 A JP18111986 A JP 18111986A JP H0739433 B2 JPH0739433 B2 JP H0739433B2
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bisdesmosides
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 技術分野 本発明は、新規サポニン(サイクリック・ビスデスモシ
ド)およびその製造法に関する。この化合物は、假貝母
(Bolbostemma Paniculatum(Maxim.)Franquet)の塊
茎(別名土貝母(tu-bei-mu))より抽出単離すること
ができる。
先行技術 サポニンは、その精製単離の困難性と構造の複雑性のた
めに、研究の進展を見せたのはここ十数年のことであ
る。
サポニンの特性は、水溶液中の起泡性と赤血球破壊作用
(溶血活性)、魚毒性、コレステロール(ステロイド
類)とのコンプレックス形成能で代表されるが、医薬品
としては、去痰、鎮咳、抗炎症、中枢抑制、抗疲労、抗
潰瘍、コレステロール代謝促進、脂質代謝の促進、核
酸、タンパクの合成促進の他に感染防御、抗腫瘍などの
薬理作用が近年見出だされている。
サポニンは、周知の通りアグリコンと糖より構成され、
アグリコンの構造によりトリテルペノイドサポニンとス
テロイドサポニンとに分類される。
生薬サポニンの多くは、前者のトリテルペノイドサポニ
ンに属している。そして、これらトリテルペノイドサポ
ニンは、例えば、アケビ(Akebia guinata Decne.)〔C
hem.Pharm.Bull.24、1021(1976)〕、ルイヨウボタン
(Caulophyllum robustum Maxim,)〔Chemical Abstrac
ts(C.A.)85、106644h(1976)〕、ヤツデ(Fatsia ja
ponica Decne.)〔Phytochemistry15、781(1976)〕、
ムクロジ(Sapindus mukurossi Gaertn.)〔C.A.73、77
544、110062m、110071p(1970)およびC.A.74、13384f
(1971)〕、Lecaniodiscus cupanioides Plamch.ex Be
nth.〔Phytochemistry20、1939、(1981)〕などの植物
から種々得られている。
一方、後者のステロイドサポニンは数種の植物または一
部の海洋動物(特開昭59-231022号公報参照)から発見
されているのみである。
ところで上記トリテルペノイドサポニンは、化学構造に
基づいてさらに、モノデスモシド類およびビスデスモシ
ド類に分類されるが〔Fortschritteder Chemie Organis
cher Naturstoffe、30、p461、Springer-Verlag(197
3)〕、本発明のビスデスモシド・サポニンの両糖鎖が
有機酸で架橋されたサイクリック・ビスデスモシドに関
しては、今のところ報告がなされてない。
発明の概要 要旨 本発明は、ビスデスモシドの両糖鎖が有機酸で架橋され
たサイクリック・ビスデスモシドに関するものである。
すなわち、本発明によるサイクリック・ビスデスモシド
は、下式(I)で示されるものである。
また、本発明による下式(I)で示されるサイクリック・
ビスデスモシドの製造法は、假貝母からサイクリック・
ビスデスモシドを取得すること、を特徴とするものであ
る。
効果 本発明によるサイクリック・ビスデスモシドは、これを
添加することにより他の物質の水に対する溶解性を増加
させることができる。従って、本発明サイクリック・ビ
スデスモシドは各種の有用物質、特に水に対する溶解度
の低いもの(たとえば、ステロイド類など)、の溶解性
増加への応用が期待できる。
発明の具体的説明 化合物 本発明による化合物は、前記の式(I)で表わされるサイ
クリック・ビスデスモシドである。
この化合物の物理化学的性状は、下記の通りである。
(1) 外観:白色粉末 (2) 旋光度:▲〔α〕17 D▼+14.6゜(C=1.09,MeO
H) (3) 13C‐NMR(ピリジンd5):後記表I、II参照 (4) 1H‐NMR(ピリジンd5): δ5.05(1H,d,J=7.3Hz) δ5.61(1H,d,J=7.7Hz) (5) EI-MS:m/z349(−Xyl(TMS)3) (6) FD-MS:m/z1341(M+Na) 化合物の製造 本発明によるサイクリック・ビスデスモシドは、假貝母
から抽出によって得ることができる。
假貝母 假貝母(Bolbostemma Paniculatum(Maxim.)Franquet)
は、中国の河北、河南、山東、山西、陜西、甘粛、雲南
省等に生育するウリ科に属する多年生草木である。その
詳細については、中華人民共和国江ソウ新医学院編「中
薬大辞典」第82-83頁(1977年7月上海人民出版社出
版)を参照されたい。
この假貝母からサイクリック・ビスデスモシドを取得す
る場合は、材料となる部分はこの植物の任意の部分であ
りうるが、とりわけ塊茎部(土貝母、土貝、大貝母、地
苦胆または草貝とも言う)が好ましく、これを乾燥する
か、またはそのままの状態で抽出に供することができ
る。
抽出 抽出は合目的的な任意の態様で行なうことができるが、
一つの好ましい態様は下記の単位工程からなるものであ
る。
(イ) 抽出 假貝母(好ましくは土貝母)を含水または非含水であっ
て水と混和可能な有機溶媒に浸漬して抽出を行う。
抽出剤として使用すべき有機溶媒は、低級アルコール
(炭素数1〜3の1価アルコールがふつうである)、ア
セトンあるいはアセトニトリル等の水と混和可能なもの
であり、特に好ましいのは炭素数1〜3の低級1価アル
コールである。
抽出は、加温下でも常温下でも行うことができるが、40
〜70℃で2〜4時間程度温浸に付すのが好ましい。ま
た、抽出効率を上げるために、対象植物体は、破砕した
ものであることが好ましいのは言うまでもない。
(ロ) 分画 上記抽出液は、抽出溶媒を留去した後、ポリスチレン‐
ジビニルベンゼン系共重合体樹脂によるカラムクロマト
グラフィーに付して、水で、次いで含水または非含水で
あって水と混和可能な有機溶媒で、順次溶出させ、含水
または非含水であって水と混和可能な有機溶媒で溶出す
る画分を採取する。なお、ここでいう有機溶媒とは、前
記と同様、低級アルコール(通常は炭素数1〜3の1価
アルコール)、アセトン、あるいはアセトニトリル等の
水と混和可能なものであり、特に好ましいのは炭素数1
〜3の低級1価アルコールである。
(ハ) 順相および逆相カラムクマロマトグラフィーによ
る精製。
上記溶出画分を、溶媒を留去した後、順相カラムクロマ
トグラフィーで精製し、次いで逆相クロマトグラフィー
で精製することにより、目的物質であるサイクリック・
ビスデスモシドを得ることができる。
ここでいう順相カラムクロマトグラフィーは、ケイ酸、
シリカゲル等の極性の大きい固相担体を用いたカラムク
ロマトグラフィーをいい、移動相としては通常、クロロ
ホルム、ジクロロメタン、ヘキサンあるいは酢酸エチル
等の非極性溶媒と含水または非含水の低級アルコールと
の混合液等の固相担体に比べて極性の小さい溶媒を用い
ることができる。なお、上記方法の一具体例としては、
後記実施例に示すように、シリカゲルクロマトグラフィ
ー〔展開溶媒:クロロホルム‐メタノール‐水(6:4:
1)〕を用いて精製することができる。
一方、逆相クロマトグラフィーは、上記シリカゲル等
に、ジメチルシラン、オクタデシルシラン、オクチルシ
ラン等の炭素数1〜18の炭化水素残基を持つシランを化
学結合させたものや、前記スチレン‐ジビニルベンゼン
系共重合体あるいはゲル過剤等、極性の小さい固相担
体を用いたカラムクロマトグラフィーをいい、移動相と
しては上記固相担体より極性の大きい任意の溶媒を用い
ることができる。例えば、含水または非含水の低級アル
コール、あるいはアセトン、アセトニトリル等の水と混
和可能な有機溶媒と水との混和液等が使用できるが、前
者の含水または非含水の低級アルコールを用いるのが好
ましい。ここでいう低級アルコールとは、前記と同様、
炭素数1〜3のもの(通常は1価アルコール)であり、
特に好ましいのはメタノールである。
化合物の有用性 本発明によるサイクリック・ビスデスモシドは、これを
添加することにより、他の物質の水に対する溶解性を増
加させる作用を有する。その一例として、本発明化合物
(サイクリックビスデスモシド)の添加によるサポニン
A(特開昭58-57400号公報)および色素イエローOBの水
またはリン酸緩衝液(pH6.5)に対する溶解性の変化を
下表に示す。
(ここでサポニンAは、3-0-〔α‐L-アラビノピラノシ
ル‐(1→3)‐α‐L-ラムノピラノシル‐(1→2)
‐α‐L-アラビノピラノシル〕‐ヘラゲニンを示す。) この実験例では、本発明サイクリック・ビスデスモシド
が、サポニンAの水に対する溶解度をサイクリック・ビ
スデスモシド1mg/ml溶液中で1765倍にまで増加させ、ま
た水に不溶な色表イエローOBのリン酸緩衝液(pH6.5、
イオン強度0.02)に対する溶解度をサイクリック・ビス
デスモシド0.4mM溶液中で50.3μMまで増加させた。
本発明サイクリック・ビスデスモシドは、上記実験例の
みならず、さまざまな有用物質、特に水に対する溶解度
の小さい有用物質(例えば、ステロイド類など)の溶解
性増加への応用が期待できる。本発明サイクリック・ビ
スデスモシドをこのような溶解補助剤として用いる場合
には、この性質が利用できるさまざまな用途、たとえ
ば、医薬品の製造工程あるいは製剤化工程に用いるこ
と、また本発明化合物それ自体を用いた製品として有害
物質の除去などに利用すること、が考えられる。
また、本発明のサイクリック・ビスデスモシドを溶解補
助剤として使用する場合は後記の操作などによって得ら
れたサイクリック・ビスデスモシド類化合物を含有する
ものであればよく、含有させるべきサイクリック・ビス
デスモシド化合物は単一化合物であっても他の溶解補助
作用を有するビスデスモシド類化合物(特開昭59-20299
号および特開昭59-16293号各公報参照)の混合物であっ
てもよい。また、上記溶解補助剤は、必要ならば、この
サイクリック・ビスデスモシド類化合物と他の機能を有
する物との混合物であってもよい。そして、上記溶解補
助剤は、その定義的な意味においてはいわゆる可溶化剤
と区別されるものではなく、結果的に対象の物の水溶性
を実質的あるいは見かけ上増加させるものに他ならな
い。
本発明によって溶解補助されるべき対象物は、溶解補助
のメカニズムが明確でない(このこと自体は本発明では
さして重要なことではない)ところから、例えば前記実
験例のようなモノデスモシド類化合物(配糖体であって
ゲニン部の1個所に糖鎖を有するもの)に限定しなけれ
ばならない理由はない。
本発明のサイクリック・ビスデスモシドを有効成分とす
る上記溶解補助剤を用いて水に難溶性または不溶性の化
合物を水に溶解させるには、任意の方法が可能である。
例えば、本発明の溶解補助剤をあらかじめ水に溶解して
おき、得られた水溶液に目的化合物を溶解する方法、目
的化合物と本発明の溶解補助剤とを予じめ混合したもの
または必要ならばこの混合物について両者をよく溶かす
有機溶質に溶解後、溶媒を完全に留去したものを水に溶
解させる方法などが一般的である。
本発明のサイクリック・ビスデスモシドの使用量は、溶
解しようとする化合物に応じて適宜変えることができ
る。一般に、溶解させる水1mlあたり0.02mg〜10mg、特
に0.1〜2mg、程度が望ましい。
なお、前述のように、この種のサポニンの本格的な薬理
学的研究は進んでおらず、本発明化合物が一般的サポニ
ンのような薬理作用を有する可能性が否定できないこと
はいうまでもない。
実 施 例 製造法 假貝母の乾燥した塊茎(土貝母)500gを粉末とし、メタ
ノールで次いで50%メタノールで、順次温浸抽出(70
℃)し、抽出液を合わせた後、溶媒を減圧濃縮して、抽
出物261gを得た。
この抽出物を、ダイアイオン HP-20(三菱化成)によ
るカラムクロマトグラフィーに付し、水、メタノール、
アセトンで順次溶出を行い、メタノールで溶出される画
分から混合物(粗配糖体分画)49.5gを得た。この混合
物について、シリカゲルクロマトグラフィー〔展開溶
媒;クロロホルム‐メタノール‐水(6:4:1)〕を行
い、フラクションNo.1(6.4g)、No.2(13.5g)、No.3
(12.8g)およびNo.4(5.7g)の4つに画分に分画し
た。さらに、このうちフラクションNo.2の2.1gをリクロ
プレップ(Lichroprep) Rp-8(メルク社)による逆相
クロマトグラフィーに付し、65%メタノールで精製し、
溶媒を留去して、サイクリック・ビスデスモシド1.5gを
得た。
構造の確認 サイクリック・ビスデスモシド(以下化合物Aと記す)
は、1%KOH水溶液中0℃で、3時間処理した後、塩酸
酸性とし、エーテルで抽出することにより、下式(2)で
示される3-ヒドロキシ‐3-メチルグルタル酸を与えた
(なお、3-ヒドロキシ‐3-メチルグルタル酸部分の13C
‐NMR:スペクトルは後記表1に示した通りである)。
また化合物Aは、0.5%KOH中、0℃で1時間処理した
後、中和し、シリカゲルクロマトグラフィーにて分離す
ることにより、下式(3)で示される3-0-〔α‐L-アラビ
ノピラノシル(1→2)‐β‐D-グルコピラノシル〕‐
バヨゲニンのβ‐D-キシロピラノシル(1→3)‐a-L-
ラムノピラノシル(1→2)‐α‐L-アラビノピラノシ
ルエステル体(以下化合物Bと記す)を与えた(化合物
Bの詳細に関しては、特願昭60-184585号明細書参
照)。
さらに、化合物AのFD-MSスペクトルに(M+Na)
帰属されるm/z1341のイオンが認められることにより、
化合物Aは化合物Bを基本骨格とし、そのいずれか2個
の水酸基に3-ヒドロキシ‐3-メチルグルタル酸がエステ
ル結合したサポニンであることが推定される。
また、化合物Aは弱アルカリ条件下(0.25%KOH、0
℃)にて処理することにより、下式(4)で示される化合
物(以下化合物Cと記す)を与えた。
化合物Cは、その完全メチル化体の糖結合分析および化
合物Bとの13CNMR‐スペクトル(下表‐1および表‐2
を参照)の比較により、化合物Bのラムノース4-位に3-
ヒドロキシ‐3-メチルグルタル酸がエステル結合してい
ると推定される。
また、化合物Aの1HNMR‐スペクトルではδ5.6ppm附近
(第1図中に*で示されている部分)にシグナルが認め
られ、これは化合物Aの1H‐1H相関二次元NMR(第1図
参照)および13C‐1H相関二次元NMR(第2図参照)によ
り、アグリコンの3位糖鎖部の末端アラビノース4-位に
3-ヒドロキシ‐3-メチルグルタル酸がエステル結合して
いるものと推定される。
さらに、化合物AとBの13CNMRスペクトル(下表‐1お
よび表‐2を参照)を比較することにより、化合物Aは
化合物Bのアグリコンであるバヨゲニンの3-位に結合し
た糖鎖のアラビノースの4-位と上記バヨゲニンの17-位
カルボキシル基に結合した糖鎖のラムノースの4-位に有
機酸(3-ヒドロキシ‐3-メチルグルタル酸)が環状に結
合したサポニンであることが明らかとなった。その他の
スペクトルデータおよび性状については、前記した通り
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、化合物Aの1H‐1H相関二次元NMRスペクトル
(C5D5N中)図を模写したものである。 第2図は、化合物Aの13C‐1H相関二次元NMRスペクトル
(C5D5N中)図を模写したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/28 G

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式で示されるサイクリック・ビスデスモ
    シド。
  2. 【請求項2】假貝母からサイクリック・ビスデスモシド
    を取得することを特徴とする、サイクリック・ビスデス
    モシドの製造法。
  3. 【請求項3】假貝母からサイクリック・ビスデスモシド
    を取得する方法が下記の工程からなる、特許請求の範囲
    第2項に記載のサイクリック・ビスデスモシドの製造
    法。 (イ)假貝母の塊茎(土貝母)を、含水または非含水であ
    って水と混和可能な有機溶媒による抽出に付すこと。 (ロ)得られる抽出物をポリスチレン‐ジビニルベンゼン
    系共重合体によるカラムクロマトグラフィーに付して、
    含水または非含水であって水と混和可能な有機溶媒で溶
    出される画分を得ること。 (ハ)得られる画分を、順相カラムクロマトグラフィー、
    および逆相カラムクロマトグラフィーによる精製に付す
    こと。
JP61181119A 1985-08-22 1986-07-31 サイクリツク・ビスデスモシドおよびその製造法 Expired - Lifetime JPH0739433B2 (ja)

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JP18458485 1985-08-22

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JPS62135488A JPS62135488A (ja) 1987-06-18
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