JPH0739213Y2 - 電磁装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、蛍光灯用安定器等の電磁装置に関するもの
である。

〔従来の技術〕

従来、第６図に示すように、例えば鉄心の積み厚が少な
く容量も少ない10ワット程度の蛍光灯用安定器50は、照
明器具本体51内に収納されるため、第７図のようなコ字
形鉄心52とＴ字形鉄心53を組み合わせてなる鉄心形状で
積み厚を薄くしたものが設計されている。しかし、さら
に小型化するために、第８図に示すように、鉄心54とボ
ビン55とを一体成型したものがある。

〔考案が解決しようとする課題〕

第８図のような一体成型は、金型内に鉄心54を入れてボ
ビン55を形成する材料を注入して行うが、金型内面で鉄
心54を支持するため、その支持部はボビンを一体成型す
ることができなかった。従来は、金型内での鉄心54の安
定性を良くするために、鉄心54を水平姿勢に配置し、第
９図に示すように、斜線で示す３箇所56,57,58で支持し
ており、この部分は鉄心が露出することになる。しか
し、支持部56はコイルが巻かれる箇所なので、鉄心54と
コイルが絶縁破損しないように、絶縁処理を施さねばな
らないという煩わしさがある。

したがって、この考案の目的は、鉄心とボビンが一体成
型されるものであり、しかも鉄心とコイルの絶縁処理が
不要であり、さらに共通のボビンを用いて容易に鉄心の
ギャップ間隔の調整が行える電磁装置を提供することで
ある。

〔課題を解決するための手段〕

この考案の電磁装置は、コ字形鉄心と、このコ字形鉄心
と脚部の先端との間にギャップを形成して前記コ字形鉄
心に組み合わせたＴ字形鉄心と、このＴ字形鉄心に一体
成型したボビンとを備え、Ｔ字形鉄心のギャップと反対
側両端部の片面に一対の非ボビン成型部を形成し、Ｔ字
形鉄心の脚部の先端にボビンから突出した円柱凸面を形
成し、コ字形鉄心に円柱凸面が嵌合可能な円柱凹面を形
成し、ギャップに円柱凸面の円柱軸と平行に延びる線材
からなるスペーサを介装したことを特徴とするものであ
る。

〔作用〕

この考案の電磁装置によると、Ｔ字形鉄心に一対の非ボ
ビン成型部と、ボビンから突出した円柱凸面とを形成し
たので、これら３箇所で鉄心を支持しながら金型内でボ
ビンを一体成型することができる。また、ボビンから突
出した円柱凸面はコ字形鉄心の円柱凹面に嵌合してお
り、円柱凸面にはコイルは巻回されず、突出した鉄心と
コイルとの絶縁処理は不要である。さらに、Ｔ字形鉄心
の円柱凸面とコ字形鉄心の円柱凹面との間のギャップ
に、線材からなるスペーサを介装したので、スペーサを
径の異なる線材に変更することで、ギャップの間隔を調
整することができる。

〔実施例〕

この考案の一実施例を第１図ないし第５図に基づいて説
明する。

この実施例は、第２図に示すように、コ字形鉄心10とＴ
字形鉄心11とを組み合わせてなるものであり、Ｔ字形鉄
心11には第１図に示すようにボビン12を一体成型する。
ボビン12の成型は、金型内にＴ字形鉄心11を設置し、ボ
ビン成型材料を注入して行う。Ｔ字形鉄心11は、金型内
で、第３図中の斜線で示す脚部13の先端の円柱凸面14
と、その反対側の両端部15,16の計３箇所にて支持され
る。このため、ボビン12を一体成型した際には、第３図
中の斜線部分14〜16にはボビン12が成型されず、非ボビ
ン成型部となる。第１図は、Ｔ字形鉄心11にボビン12を
一体成型してなる完成斜視図を示している。ボビン12を
成型したＴ字形鉄心11をコ字形鉄心10に組み合わせる
と、第２図に示すように、Ｔ字形鉄心11の円柱凸面14
は、コ字形鉄心10に形成した円柱凹面17に嵌合する。な
お、円柱凸面14と円柱凹面17との間にはギャップ18が形
成される。

さらに、第４図に示すように、ギャップ18の間隔を調整
するために、ギャップ18に鉛線や軽銅線等の線材からな
るスペーサ19を介在させる。

このように構成された電磁装置によると、金型内ではＴ
字形鉄心11の円柱凸面14と非ボビン成型部15,16の３箇
所を支持するので、ボビン12の一体成型時にＴ字形鉄心
11を安定して支えることができる。

また、ボビン12から突出した円柱凸面14は、コ字形鉄心
10の円柱凹面17に嵌合しており、円柱凸面14にはコイル
は巻回されない。このため、後工程で絶縁処理を施す手
間が不要である。

また、Ｔ字形鉄心11に円柱凸面14を形成しても、コ字形
鉄心10の円柱凹面17に嵌合されるので、磁束の通過経路
に悪影響を及ぼす磁路がなく、かつ寸法も増大しない。

また、Ｔ字形鉄心11の円柱凸面14とコ字形鉄心10の円柱
凹面17との間のギャップ18に、線材からなるスペーサ19
を介装したので、スペーサ19を径の異なる線材に変更す
ることで、ギャップ18の間隔を調整することができる。
すなわち、ギャップ18の間隔の調整に際しては、スペー
サ19のみを変更すればよく、ボビン12は共通のものを使
用することができ、低コストでかつ部品の種類数も少な
くて済み在庫管理も容易に行える。

また、スペーサ19は円柱凸面14の円柱軸と平行に延びて
設けられており、第５図に示すように、スペーサ19を円
柱凹面17に置くだけでスペーサ19は円柱凹面17の最下部
である中央に自然に位置決めされ、ギャップ18の間隔の
調整が容易に行える。

また、ボビン12には、ギャップ18に介装してギャップ18
の間隔を調整する部分が不要であり、ボビン12の成型も
容易に行える。

さらに、円柱凸面14が横ずれした状態で円柱凹面17に入
っても、ギャップ18の間隔は極端に変化せず、かつギャ
ップ18が連続的に設けられているので、調整もし易い。

〔考案の効果〕

この考案の電磁装置によると、Ｔ字形鉄心に一対の非ボ
ビン成型部と、ボビンから突出した円柱凸面とを形成し
たので、これら３箇所で鉄心を支持しながら金型内でボ
ビンを一体成型することができる。また、ボビンから突
出した円柱凸面はコ字形鉄心の円柱凹面に嵌合してお
り、円柱凸面にはコイルは巻回されず、突出した鉄心と
コイルとの絶縁処理も不要となる。さらに、Ｔ字形鉄心
の円柱凸面とコ字形鉄心の円柱凹面との間のギャップ
に、線材からなるスペーサを介装したので、スペーサを
径の異なる線材に変更することで、ギャップの間隔を調
整することができるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例の部分斜視図、第２図はそ
の鉄心の平面図、第３図はその部分平面図、第４図はそ
の部分平面図、第５図はそのギャップの調整についての
説明図、第６図は従来からある照明器具の概略図、第７
図は従来例の鉄心の斜視図、第８図は他の従来例の部分
斜視図、第９図はその部分平面図である。 10……コ字形鉄心、11……Ｔ字形鉄心、12……ボビン、
13……脚部、14……円柱凸面、15,16……非ボビン成型
部、17……円柱凹面、18……ギャップ、19……スペーサ

フロントページの続き (72)考案者 小川 明利 兵庫県姫路市西延末404―１ 池田電機株 式会社内 (56)参考文献 実開 昭56−2232（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】コ字形鉄心と、このコ字形鉄心と脚部の先
   端との間にギャップを形成して前記コ字形鉄心に組み合
   わせたＴ字形鉄心と、このＴ字形鉄心に一体成型したボ
   ビンとを備えた電磁装置において、 前記Ｔ字形鉄心の前記ギャップと反対側両端部の片面に
   一対の非ボビン成型部を形成し、前記Ｔ字形鉄心の脚部
   の先端に前記ボビンから突出した円柱凸面を形成し、前
   記コ字形鉄心に前記円柱凸面が嵌合可能な円柱凹面を形
   成し、前記ギャップに前記円柱凸面の円柱軸と平行に延
   びる線材からなるスペーサを介装したことを特徴とする
   電磁装置。