JPH0738175U - 整経機用クリール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】整経過程において、対象の巻糸体の巻径が解舒
に伴って減少しても解舒張力が略々均等に保てることを
目的とする。 【構成】ペッグ（２）を多数備えるペッグ機構（３）を
所定位置に固定する一方、ガイド（４）を多数有するガ
イド機構（５）を前記ペッグ機構（３）に対して遠近方
向に移動可能に構成し、解舒対象巻糸体の巻径減少に伴
って、両機構（３）（５）間の距離を連続的に又は間欠
的に減少せしめる駆動源及びこれに連結する伝達機構を
ガイド機構（５）に付設する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は製織準備工程に使用する整経機のクリール構造に関するものであり、 更に詳しくは、解舒対象の糸巻体を支承するペッグと解舒糸を案内するガイド間 の距離を所定値に調整しながら解舒・整経する整経機のクリール構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】

整経機は、織物設計で決定された経糸の本数，長さ，密度，巾及び配列順序に 応じてボビン（チーズ管）又は枠に巻き返した経糸を、等しい張力下で整経ドラ ムに巻着する装置であり、該装置のボビンクリール形状としては、一般的に、チ ーズ等の巻糸体を装着するペッグの多数を備えるペッグ機構と、各巻糸体より解 舒した経糸群を夫々案内するガイドを多数備えるガイド機構の両者を対峙せしめ た構成となっており、前記ペッグ機構のペッグとガイド機構のガイドとは１対１ で対応しており、ペッグ上の巻糸体より解舒した経糸はガイドを経由した後、多 数本が集束し、シート状となって走行した後、整経ビームに巻き上げられる。

【０００３】 上記公知の整経機用クリールにおいて、枠体に形成されたペッグ機構には各ペ ッグが縦横に整然と配列されており、又同様に枠体に形成されたガイド機構には 各ガイドが縦横に整然と配列と配列している。そして両者の設置間隔、即ち各ペ ッグとガイド間の距離は、時に空満両ボビンの交換時にガイド機構を移動させ、 その間隙を大きくしてその交換作業が容易に出来る様にする場合以外は、ペッグ 機構，ガイド機構共定位置に保たれており、その結果連続操業時はペッグとガイ ドとの間隔が一定であり、その状態を保って解舒作業が連続的に実施されている 。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところがペッグとガイド間の距離を一定に保ちながら行う解舒は、解舒過程に おいてその張力変動を起生し、結果として整経機においても最も問題となる個々 の経糸における巻取張力の変動を生じている。 その理由は、巻糸体の径は解舒初期の大径から解舒終期の小径まで解舒期間が 経由するに従ってその径が順次減少するが、それに伴って解舒バルーニングの形 状が異なり、発生する張力が変動する。 又、解舒直径の変動に基づくバルーニング形の変動に加えてペッグ〜ガイド間 に発生するバルーニング数自体の数も変化し、これによる張力増加も大きな問題 となる。例えばペッグ〜ガイド間距離を一定に保って解舒した場合、解舒終期の バルーニング数は解舒初期より大きく増加し、結果として張力増加を起生してい る。 本考案はクリール内で生ずる上記問題点の解消を目的として考案されたもので 、巻糸体の解舒過程における張力変化を減少させ、整経時の経糸張力を略々均等 に維持することのできる新規な整経機用クリールを提供しようとするものである 。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

前記課題を解決するために本考案は次の構成を備えている。即ち巻糸体装着用 ペッグの多数を縦横に配列したペッグ機構と前記ペッグに対向して設置した解舒 糸案内用ガイドの多数を縦横に配置したガイド機構の両者からなり、ペッグ機構 を所定位置に固定する一方、ガイド機構を前記ペッグ機構に対して遠近方向に移 動可能に構成し、解舒対象巻糸体の巻径減少に伴って、両機構間の距離を連続的 に又は間欠的に減少せしめる駆動源及びこれに連結する伝達機構をガイド機構に 付設したことを特徴とする構成である。

【０００６】

【作用】

本考案に係る上記構成によれば、ペッグを多数備えるペッグ機構と、ガイドを 多数備えるガイド機構とは対向しており、しかも両機構の間隔が巻糸体径の減少 に伴って順次接近するので、ペッグ〜ガイド間における解舒バルーニング形及び その発生度数の変化がなく、その結果ガイドから出た直後の解舒糸張力を解舒初 期から終期まで略々均等に保つことが出来る。

【０００７】

【実施例】

以下図面に示す実施例により本考案を具体的に説明する。 図１は整経機用クリールと整経機との位置関係の概要を示す斜視図、図２は整 経機クリールの全体を整経機側から見た立面図の正面図、図３は同クリールの平 面図、図４は同クリールの右側面図である。

【０００８】 図１に示すように、整経機用クリール（１）は、巻糸体（図示しない）を支承 するペッグ（２）の多数を縦横に規則正しく配列したペッグ機構（３）と、解舒 糸を案内するガイド（４）の多数を縦横に規則正しく配列したガイド機構（５） と、ピンガイド（６）の多数を縦横に規則正しく配列した集束機構（７）の３者 を主要構成要素とするものであって、ペッグ（２）上の巻糸体から解舒された糸 条（８）（図ではその内の１本のみを図示）はボビン軸線方向に引き出され、該 軸線に沿って走行した後ガイド（４）に入り、該ガイド（４）で略々９０°方向 を転換し、ピンガイド（６）を経て多数本がシート状に配列し、次いで該シート 状態を維持して整経機（９）の巻取ドラム（１０）に巻き取られる。

【０００９】 前記整経機用クリール（１）は図１及び図２に示す通り、整経機（９）の方向 より見て２台のペッグ機構（３）（３）が左右に配置され、且つこれに対応して ２台のガイド機構（５）（５）、及び集束機構（７）（７）が夫々左右に配置さ れている。しかしてペッグ機構（３）（３）は定位置に固定されており、一方ガ イド機構（５）（５）、及び集束機構（７）（７）はペッグ機構（３）（３）に 対して遠近方向に移動可能となっている。尚枠体に形成された集束機構（７）（ ７）は左右に夫々１台ずつ配置されているが、ペッグ機構（３）（３）、及びガ イド機構（５）（５）は図３及び図４に示す通り、左、右夫々３基の枠体からな り、計６ケの枠体でもって全体が夫々構成されている。

【００１０】 次いでガイド機構（５）（５）及び集束機構（７）（７）を移動させる駆動機 構についてその片側を例にとって説明する。図３に示す通り、ガイド機構（５） を構成する片側の各枠体（１１）（１１）（１１）は２本の接合板（１２）（１ ２）と両端部を支える支持板（１３）（１３）でもって一体化されており、接合 板（１２）（１２）上には下側に歯の付いたラック（１４）（１４）（１４）（ １４）が固着しており、各ラック（１４）（１４）（１４）（１４）はガイド機 構（５）の上部を貫通する回動軸（１５）のピニオン（１６）（１６）（１６） （１６）と喰み合い、前記回動軸（１５）の正逆転によりラック（１４）（１４ ）（１４）（１４）を、ピニオン（１６）を介して左右動させ、それに伴ってガ イド機構（５）の各枠体（１１）（１１）（１１）を一斉に左右動し、且つその 移動量及び移動時期を同期させる機構となっている。

【００１１】 更に、前記回動軸（１５）を駆動させる機構について説明する。ガイド機構（ ５）の整経機（９）と反対側の端部には、図４に示す通り、間欠的又は低速に連 続回転する電動機（１７）が設置されており、該電動機（１７）の駆動力は、電 動機（１７）の軸に固着するＡプーリー（１８）、ベルト（１９）、回動軸（１ ５）の軸に固着するＢプーリー（２０）を介して回動軸（１５）に伝達される構 成になっている。尚Ａプーリー（１８）には図示しない回転用ハンドルが固着し 、電動機（１７）の回転方向と逆方向にベルト（１９）を回転出来るようになっ ている。

【００１２】 実施例の装置の使用に当たっては、先ずペッグ機構（３）の位置を固定し、次 いで満管巻糸体の解舒に最も適切なペッグ（２）〜ガイド（４）間の位置と、空 管直前の巻糸体解舒に最も適切なペッグ（２）〜ガイド（４）間の位置を設定し て、ガイド機構（５）の移動範囲を定める。 一方、整経ドラムの巻取速度から空満両巻糸体間の要解舒時間を算出し、設定 した移動範囲と要解舒時間を勘案して先に説明した電動機の回転速度、及び延運 転時間を設定する。 予めこの様な機構設定がなされた上で、先に説明したＡプーリー（１８）のハ ンドルを用いてガイド機構（５）を動かし、これを解舒初期の位置に停止させ、 次いで電動機（１７）を回転させ、ガイド機構（５）を解舒終期の位置方向へ移 動させるのである。

【００１３】 上記実施例における電動機（１７）の運転状態としては、連続運転でも又タイ マーを用いた間欠運転でも良い。後者の場合はガイド機構（５）の移動は当然間 欠移動となる。尚集束機構（７）をガイド機構（５）の端部に連結すれば自動的 にこれを所定範囲移動させることが出来る。

【００１４】

【考案の効果】

整経機用クリールにおけるボビン交換は満管巻糸体を一斉に装着し、空満巻糸 体の交換が一斉になされるのが普通であるが、本考案においてはかかる際、巻糸 体の大小によるテンション管理が可能となり、巻糸体の径が減少してもテンショ ンを均一にすることが出来、その結果、整経時の糸切れを減少させることが出来 る。

【図面の簡単な説明】

【図１】整経機用クリールと整経機との位置関係の概要
を示す斜視図である。

【図２】整経機用クリールの全体を示す正面図である。

【図３】整経機用クリールの全体を示す平面図である。

【図４】整経機用クリールの全体を示す右側面図であ
る。

【符号の説明】

２ ペッグ ３ ペッグ機構 ４ ガイド ５ ガイド機構

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 巻糸体装着用のペッグ（２）の多数を縦
   横に配列したペッグ機構（３）と、前記ペッグ（２）に
   対抗して設置した解舒糸案内用ガイド（４）の多数を縦
   横に配列したガイド機構（５）の両者からなり、ペッグ
   機構（３）を所定位置に固定する一方、ガイド機構
   （５）を前記ペッグ機構（３）に対して遠近方向に移動
   可能に構成し、解舒対象巻糸体の巻径減少に伴って、両
   機構（３）（５）間の距離を連続的に又は間欠的に減少
   せしめる駆動源及びこれに連結する伝達機構をガイド機
   構（５）に付設したことを特徴とする整経機用クリー
   ル。