JPH07376U - 使い捨ての歯科用注射針 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 歯科医が、患者の口腔内において、薬液の注
射を注射器により行なう際に、注射器の先端部に装着し
た注射針の先端の斜めに削ぎ落された刃先からの注射液
の射出方向の選択・設定が、注射針をそれの刃先の目視
が困難な場所に配した場合においても適確に行なえるよ
うにする。 【構成】 針体３０を保持する合成樹脂材の成形体より
なるホルダー３３の先端側の周面で、前記針体３０の先
端側の刃先３１の斜めの切削面に揃う部位と、刃先３１
の斜めの切削面と反対側に位置する部位とに、それぞれ
彩色した指標５・６を付設し、かつ、それら一対の指標
５・６のそれぞれの彩色を色違いに設定する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、歯科治療において、歯科医が、患者の口腔内の歯肉に麻酔薬を注射 器により注射する際に、その注射器の先端に装着するように用いる使い捨ての歯 科用注射針についての改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

歯科医が歯科治療において患者の口腔内に注射する麻酔薬等の注射液を封入し ておくアンプルａは、通常、図１に示している如く、一端側をゴム膜１０の装着 により封緘したガラスチューブ１１の内部に、他端側の開口端から注射液を充填 して、その開口端に、ガラスチューブ１１内にピストン状に嵌入していく形状に 形成したゴム栓１２を嵌合して封緘することで構成してあって、注射液は、この ガラスチューブ１１よりなるアンプルａ内に滅菌して封入された状態として用意 されている。

【０００３】 そして、歯科医が注射の施術を行なうときは、図１にあるようにシリンダ２０ とこれに抜き差し自在に嵌合するプランジャー２１とで構成される注射器ｂのシ リンダ２０内に、前述のガラスチューブ１１よりなるアンプルａを、ゴム膜１０ の側が先行する状態として装入し、次いで、注射器ｂのプランジャー２１を押し 込んで、それの内端を、アンプルａのガラスチューブ１１の基端側に嵌装してあ るゴム栓１２に突き当てる。また、注射器ｂのシリンダ２０の先端の連結軸部２ ００に、針体３０の基端側と先端側との両方に尖鋭な刃先３１・３２を具備せし めてホルダー３３に保持せしめてある別体の注射針ｃを、それの基端側の刃先３ ２が、注射器ｂのシリンダ２０の連結軸部２００の軸芯の透孔を介しシリンダ２ ０内に突入する状態としながら、ホルダー３３の基端側の嵌合筒部３３０を、注 射器ｂの前記連結軸部２００の外周に螺合して嵌着していき、これにより、注射 針ｃの基端側の刃先３２を、注射器ｂのシリンダ２０内に装填してあるアンプル ａのガラスチューブ１１の先端側のゴム膜１０に突き刺して、そのガラスチュー ブ１１内に連通させ、図２の状態とする。

【０００４】 次いで、この状態から注射器ｂを持って、注射針ｃの針体３０の先端側の刃先 ３１を患者の口腔内の歯肉に突き刺し、プランジャー２１を押し込むことで、ア ンプルａのガラスチューブ１１の基端側に嵌挿してあるゴム栓１２をガラスチュ ーブ１１内に押し込んでいくことにより、ガラスチューブ１１内の薬液を注射針 ｃの先端の刃先３１の切削面に開口している孔から歯肉内に注入していくように 用いる。注射器ｂは、図示する例においてはプランジャー２１を手動操作で押し 込む形態のものとなっているが、プランジャー２１をモーターの駆動で自動的に 押し込む形態の場合においても同じである。

【０００５】 そして、施術後は、注射針ｃを注射器ｂから外して廃棄し、伝染病を予防する ようにする。このため、注射針ｃは、滅菌した状態において、図３・図４・図５ に示している如く、注射針ｃの先端側から被せるように嵌挿するキャップ状のケ ース本体４０と、注射針ｃの基端側から被せるように嵌挿して前述のケース本体 ４０の基端側の外周に嵌合させるキャップ状の蓋体４１とにより、被覆封緘して おいて、患者ごとに開封して使用する使い捨ての形態のものに作られている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上述の如く、注射器ｂのシリンダ２０の先端に装着して使用される使い捨ての 歯科用注射針ｃは、先端部に、針体３０の先端を斜めに切断して尖鋭な刃先３１ を形成していることから、注射液が尖鋭な刃先３１を形成する斜めの切断面に対 して垂直な方向に射出されるようになリ、従って、針体３０の軸線方向に対し斜 めに射出されるようになる。このため、歯科医は、注射針ｃを患者の歯肉に突き 刺すときに、刃先３１の形状を見て、注射液が射出される方向を見定め、注入す る注射液が歯のまわりに向わない状態とし、これにより、注射液がしみ込むこと による患者の苦痛をやわらげるようにする。

【０００７】 ところが、治療の場所によっては、刃先３１が歯のかげになって見えにくいこ とで、この注射液の射出方向を選択・設定する操作が適確に行なえない場合がで てくる。

【０００８】 このことから、注射針ｃの針本体３０を支持しているホルダー３３の先端側で 、針本体３０の先端の尖鋭な刃先３１の斜めの切断面の方向と一致する部位に指 標を付しておいて、施術する歯科医がこの指標を見ることで、針本体３０の先端 側が歯のかげにかくれて見にくい場合に対処するようにしている。

【０００９】 しかし、このようにしても、注射する患部によっては、注射液の射出方向を逆 に歯の側に向うようにした方が患者に与える苦痛が少ない場合もあり、その場合 にはこの指標が施術する歯科医の視線に対し裏側に位置することになって、指標 により針本体３０の刃先３１の切断面の方向を見定めることが困難な問題がでて くる。

【００１０】

【目的】

本考案は、従前手段に生じている上述の問題を解決するためになされたもので あって、歯科医が、患者の口腔内において、薬液の注射を注射器により行なう際 に、注射器の先端部に装着した注射針の先端の斜めに削ぎ落された刃先からの注 射液の射出方向の選択・設定が、注射針をそれの刃先の目視が困難な場所に配し た場合においても適確に行なえるようにする新たな手段を提供することを目的と する。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

そして、本考案は、上述の目的を達成するための手段として、金属材により細 い中空の針状に形成した針体を、合成樹脂材により軸筒状に成形したホルダーの 軸芯部位に、その針体の先端側と基端側とがそれぞれ該ホルダーから突出する状 態に保持せしめ、その針体の先端側および基端側には斜めに切削した刃先をそれ ぞれ形成し、前記ホルダーには、基端側に、注射器のシリンダの先端の連結軸部 と嵌合する嵌合筒部を設け、そのホルダーの先端側の周面で、前記針体の先端側 の刃先の斜めの切削面に揃う部位と、刃先の斜めの切削面と反対側に位置する部 位とに、それぞれ彩色した指標を付設し、かつ、それら一対の指標のそれぞれの 彩色を色違いに設定したことを特徴とする使い捨ての歯科用注射針を提起するも のである。

【００１２】

【実施例】

次に実施例を図面に従い詳述する。なお、図面符号は、従前手段のものと同効 の構成部材については同一の符号を用いるものとする。

【００１３】 図６は、本考案を実施せる使い捨ての歯科用注射針ｃの正面図、図７は同上注 射針ｃの側面図である。

【００１４】 注射針ｃは、金属材により細い中空の針状に形成した針体３０を、合成樹脂材 で軸筒状に成形したホルダー３３の軸芯部位に、先端側と基端側との両方がそれ ぞれ突出する状態に挿通して、該針体３０の長手方向の中間部位をホルダー３３ に一体的に連結止着し、その針体３０の先端側と基端側とには、針体３０を斜め に削ぐことで尖鋭な刃先３１・３２をそれぞれ形設し、合成樹脂材のホルダー３ ３には、それの基端側に、図１および図２に示している如く、注射器ｂの先端に 形設せるねじ軸状の連結軸部２００に嵌合して連結する嵌合筒部３３０を形成し 、外周に、図３・図４・図５に示している如く、キャップ状のケース本体４０お よび蓋体４１を嵌合させる嵌合部を形成して構成することについては、従前手段 のものと変わりがない。

【００１５】 しかし、この注射針ｃには、それの合成樹脂材の成形体よりなるホルダー３３ の先端側の周面の、該ホルダー３３に保持されている針体３０の先端部に尖鋭な 刃先３１を形成している斜めの切削面と揃う部位に、赤・青・黒等の色彩を施し た指標５が図６に示す如く付設してあり、かつ、この指標５と周方向において１ ８０度変位した部位である刃先３１の切削面に対し裏側に位置する部位に、もう 一つの指標６が設けてある（図７）。そして、これら一対の指標５・６は、それ らに施す色彩が、例えば、赤と黒、赤と青の如く色違いに設定してある。

【００１６】

【考案の効果】

このように構成せる本考案による使い捨ての歯科用の注射針ｃは、それを滅菌 状態として封緘しているケース本体４０と蓋体４１とを外して開封し、合成樹脂 材の成形体よりなるホルダー３３を、注射器ｂのシリンダ２０の先端の連結軸部 ２００に嵌合して装着し、図２にあるよう注射器ｂのシリンダ２０内に装填して あるアンプルａに接続連通する状態とし、この状態から歯科医が注射器ｂを操作 して、患者の口腔内の所定の部位に注射を行なうときに、例えば、針体３０の先 端の尖鋭な刃先３１の切削面と一致する側に付設した指標５が赤色で、その刃先 ３１の切削面と反対の裏側に付設した指標６が黒色であるとすれば、針体３０の 刃先３１が施術する歯科医の視野から外れた部位に位置する患部に注射する場合 に、針体３０の基端側に位置しているホルダー３３の先端部に設けた一対の指標 ５・６を見て、それらの位置と色彩を視認することにより、針体３０の先端の尖 鋭な刃先３１の切削面の方向の確認が、適確に行なえるようになる。

【００１７】 従って、この注射針ｃのホルダー３３の先端部の周面の、針体３０の刃先３１ の切削面を基準とする表裏の両面に付設した色違いの一対の指標５・６を見て、 それにより注射器ｂを操作することで、注射針ｃの針体３０の先端の刃先３１か らの注射液の射出方向の選択・設定が簡単に行なえるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】注射器および注射液のアンプルならびに注射針
のそれぞれに分離した状態の斜視図である。

【図２】同上注射器とアンプルと注射針とをセットした
状態の斜視図である。

【図３】同上の注射針の側面図である。

【図４】同上の注射針のケース本体を被せた状態の側面
図である。

【図５】同上の注射針のさらに蓋体を被せて封緘した状
態の側面図である。

【図６】本考案を実施せる注射針の正面側から見た斜視
図である。

【図７】同上注射針の図６の状態から９０度回転させた
状態の斜視図である。

【図８】同上注射針の縦断側面図である。

【符号の説明】

ａ…アンプル、ｂ…注射器、ｃ…注射針、１０…ゴム
膜、１１…ガラスチューブ、１２…ゴム栓、２０…シリ
ンダ、２００…連結軸部、２１…プランジャー、３０…
針体、３１・３２…刃先、３３…ホルダー、３３０…嵌
合筒部、４０…ケース本体、４１…蓋体、５・６…指
標。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属材により細い中空の針状に形成した
   針体３０を、合成樹脂材により軸筒状に成形したホルダ
   ー３３の軸芯部位に、その針体３０の先端側と基端側と
   がそれぞれ該ホルダー３３から突出する状態に保持せし
   め、その針体３０の先端側および基端側には斜めに切削
   した刃先３１・３２をそれぞれ形成し、前記ホルダー３
   ３には、基端側に、注射器ｂのシリンダ２０の先端の連
   結軸部２００と嵌合する嵌合筒部３３０を設け、そのホ
   ルダー３３の先端側の周面で、前記針体３０の先端側の
   刃先３１の斜めの切削面に揃う部位と、刃先３１の斜め
   の切削面と反対側に位置する部位とに、それぞれ彩色し
   た指標５・６を付設し、かつ、それら一対の指標５・６
   のそれぞれの彩色を色違いに設定したことを特徴とする
   使い捨ての歯科用注射針。