JPH0737672A - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents

内燃機関用スパークプラグ

Info

Publication number
JPH0737672A
JPH0737672A JP18103193A JP18103193A JPH0737672A JP H0737672 A JPH0737672 A JP H0737672A JP 18103193 A JP18103193 A JP 18103193A JP 18103193 A JP18103193 A JP 18103193A JP H0737672 A JPH0737672 A JP H0737672A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spark plug
internal combustion
combustion engine
copper
copper alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18103193A
Other languages
English (en)
Inventor
Takafumi Oshima
崇文 大島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP18103193A priority Critical patent/JPH0737672A/ja
Priority to BR9402290A priority patent/BR9402290A/pt
Publication of JPH0737672A publication Critical patent/JPH0737672A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 中心電極の変形や絶縁碍子の割れを防止する
ことができ、且つ中心電極の熱伝導率の低下を防止して
耐プレイグニッション性を向上し、中心電極の耐火花消
耗性を向上するようにする。 【構成】 突出し型のスパークプラグ1に、ニッケル合
金製の電極母材7内に、銅との過飽和固溶体を形成する
金属元素を含有し、且つその金属元素若しくは金属間化
合物が銅の母相から析出した状態で均一に分散して存在
するか、或いは銅に0.2重量%〜1.5重量%のセラ
ミック粉末が均一に分散して存在すると共に、室温での
熱伝導率が200W/m・Kの銅合金製の芯材9を封入
した中心電極4を設けた。そして、中心電極4の胴径部
の面積に対する銅合金の面積比を60%〜90%にし、
絶縁碍子3の先端面から中心電極4の先端までの距離を
Amm、絶縁碍子3の先端面から芯材9の封入先端までの
距離をBmmとしたとき、1≦A≦10で、且つB≦A−
0.5の関係を満足するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、耐食性に優れたニッ
ケル合金の内部に、熱伝導性および高温時の機械的強度
に優れた銅合金を封入してなる中心電極を備えた内燃機
関用スパークプラグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、耐食性に優れたニッケル合金
製の電極母材の内部に、熱伝導性に優れた純銅製の芯材
を封入してなる複合構造部材よりなる中心電極を備え、
この中心電極が内燃機関の燃焼室の中央部まで突き出し
た突出し型のスパークプラグが知られている。通常のス
パークプラグでは、中心電極の先端位置が主体金具の先
端面から3.0mm〜4.0mm程度突出しているが、突出
し型のスパークプラグのように、4.5mm〜10.0mm
程度突き出して燃焼室の中央部で点火させる方が希薄燃
焼下での着火性を向上できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の技術
においては、内燃機関の燃焼室側への突出し量が大きい
程、中心電極の受熱温度が増加することによって、純銅
に加わる熱的および熱応力的負荷が非常に大きくなり、
純銅とニッケル合金との熱膨張係数の差に起因する熱応
力が増大する。これにより、芯材を被覆する電極母材が
塑性変形し、その蓄積により中心電極の形状が変形す
る。なお、変形具合は、純銅中に発生するミクロボイド
の影響を強く受け、ミクロボイドが拡大成長すると電極
母材の変形が加速する。
【0004】図10は中心電極101の変形の様子を示
した図であり、熱応力の繰り返しにより純銅102の中
のミクロボイド103が成長することにより、図10
(a)に示すように、中心電極101が径方向に膨張
し、軸方向に縮む。なお、中心電極101の初期形状を
二点鎖線、変形後形状を実線で示す。
【0005】そして、5000rpm全開1分とアイド
リング1分とを6000回繰り返してさらに熱応力が加
わると、図10(b)の実線に示すように、更にミクロ
ボイドが成長することから中心電極101が径方向に膨
張して、絶縁碍子104を押し割るという不具合が発生
する。
【0006】また、通常、純銅に他の添加元素を添加す
るとその銅合金の熱伝導率は急速に低下する。このた
め、純銅に他の添加元素を所定量添加して製造した銅合
金を中心電極に用いた場合には、純銅に対して熱伝導率
が著しく低下することによって、スパークプラグの耐プ
レイグニッション性能が低下したり、ニッケルの高温酸
化が起き易く、ニッケルの酸化に起因して電極消耗度合
が早くなったりするという問題点もあった。
【0007】この発明は、中心電極の変形や絶縁碍子の
割れを防止することができ、且つ中心電極の熱伝導率の
低下を防止して耐プレイグニッション性を向上し、中心
電極の耐火花消耗性を向上することができる内燃機関用
スパークプラグの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、内燃
機関に取り付けるための主体金具と、この主体金具の先
端面より前記内燃機関の燃焼室側へ突出するように前記
主体金具に支持された筒状の絶縁碍子と、この絶縁碍子
の先端面より突出した状態で前記絶縁碍子内に嵌め合わ
され、耐食性に優れたニッケル合金の内部に、熱伝導性
および高温時の機械的強度に優れた銅合金を封入してな
る中心電極とを備えた内燃機関用スパークプラグにおい
て、前記中心電極に対する前記銅合金の封入割合を60
%以上90%以下とし、前記絶縁碍子の先端面から前記
中心電極の先端までの距離をAmm、前記絶縁碍子の先端
面から前記銅合金の封入先端までの距離をBmmとしたと
き、1≦A≦10、0≦B≦A−0.5の関係を満足す
ることを特徴とする技術手段を採用した。
【0009】請求項2の発明のように、銅との過飽和固
溶体を形成する添加元素を含有し、且つその添加元素若
しくは金属間化合物が銅の母相から析出した状態で均一
に分散して存在する銅合金を用いても良い。請求項3の
発明のように、銅合金に、クロム又はジルコニウムのう
ち少なくとも一方の添加元素を含有するようにしても良
い。請求項4の発明のように、銅合金への添加元素の総
量を、0.5重量%以上1.5重量%以下にしても良
い。
【0010】請求項5の発明のように、銅に0.2重量
%以上1.5重量%以下のセラミック粉末が均一に分散
して存在した銅合金を用いても良い。請求項6の発明の
ように、銅合金の常温での熱伝導率を、レーザーフラッ
シュ法の測定で200W/m・K以上にしても良い。
【0011】
【作用】請求項1の発明によれば、銅合金の封入先端が
絶縁碍子よりも内燃機関の燃焼室側に突き出されている
(B≧0)。そして、銅合金の封入割合を増し、銅合金
の封入位置を中心電極の先端近くまで深くすることによ
り、絶縁碍子からの輻射熱を効率良く吸収し、絶縁碍子
の先端温度が低下すると共に、中心電極の先端温度も低
くなる。さらに、銅合金とニッケル合金との位置関係
は、A−B≧0.5、すなわち、電極消耗代を考慮し、
0.5mm以上のニッケル合金は確保する。0.5mmより
小さくすると電極消耗の面で成立しない。銅合金の封入
割合は60%以上90%以下であり、60%未満である
と十分な熱伝導率効果が得られず、耐プレイグニッショ
ン性の向上または電極消耗の改善が達成されない。ま
た、90%よりも大きいと、外皮のニッケル合金が薄
く、熱応力的に持ちこたえきれず変形が起きる。
【0012】請求項2の発明によれば、添加元素若しく
は金属間化合物が銅の母相から析出した状態で均一に分
散して存在するので、銅合金の高温時の機械的強度が向
上し、熱サイクルを繰り返しても結晶粒が微細状態を維
持する。すなわち、結晶粒の粗大化が阻止されるので、
銅合金中のミクロボイドが粒界で発生し難くなり、その
成長も阻止される。更に、添加元素若しくは金属間化合
物を析出物として銅の母相から出しているので、銅の母
相自体は添加元素の固溶が少なく、銅合金は純銅本来の
特性である優れた熱伝導性が維持される。
【0013】請求項3の発明によれば、クロム、ジルコ
ニウム共に、各々少量の添加で、高温での熱伝導率が改
善され、且つ銅合金の高温時の機械的強度が向上する。
請求項4の発明によれば、添加元素の総量が0.5重量
%未満であると銅の母相中での過飽和固溶体の析出量が
少ないので銅合金の高温時の機械的強度があまり向上せ
ず、熱サイクルにより結晶粒が粗大化し、ミクロボイド
が発生して成長する可能性がある。また、添加元素の総
量が1.5重量%を越えると熱伝導率特性が大幅に悪化
する可能性がある。
【0014】請求項5の発明によれば、0.2重量%以
上1.5重量%以下のセラミック粉末を銅に添加して分
散した銅合金は、銅の優れた熱伝導性を損なわせること
なく、高温時の機械的強度を増大させる。なお、セラミ
ック粉末が0.2重量%未満であると銅合金の高温時の
機械的強度の増大効果が不十分となり、1.5重量%を
越えると銅合金の熱伝導率が大幅に低下する可能性があ
る。請求項6の発明よれば、銅合金の常温での熱伝導率
を、レーザーフラッシュ法の測定で200W/m・K以
上に設定してあるので、中心電極の熱引き性に優れ、耐
プレイグニッション性能の向上、高温酸化や電極消耗の
改善に寄与する。
【0015】
【実施例】この発明の内燃機関用スパークプラグを図1
ないし図9に示す複数の実施例に基づき説明する。 〔第1実施例の構成〕図1ないし図7はこの発明の第1
実施例を示したもので、図1は内燃機関用突出し型のス
パークプラグの主要部を示した図で、図2は中心電極の
全体構造を示した図である。内燃機関用突出し型のスパ
ークプラグ1は、内部に軸孔2を有する棒状の絶縁碍子
3と、先端部が絶縁碍子3の先端面から突出した状態で
軸孔2内に嵌め込まれた断面形状が丸棒状の中心電極4
と、先端部方向にL字状に屈曲する断面形状が方形状の
接地電極5と、この接地電極5を先端面に溶接し、絶縁
碍子3を嵌め込んで固定する筒状の主体金具6とを備え
ている。
【0016】中心電極4と接地電極5は、ニッケル合金
製の電極母材7、8の内部に銅合金製の芯材9、10を
封入した複合構造部材11、12を採用している。ま
た、中心電極4の先端は、絶縁碍子3の先端面から0.
5mm〜9.5mm突き出されており、スパークプラグ1が
内燃機関の気筒に取り付けられたときに、内燃機関の燃
焼室の内壁面から4.5mm〜17.0mm燃焼室内に突き
出される。なお、接地電極5の電極母材8には、高ニッ
ケル合金(例えばインコネル600:商品名や、Ni−
Mn−Si合金、Ni−Mn−Si−Cr合金、Ni−
Mn−Si−Al合金)が用いられ、芯材10には銅合
金が用いられている。
【0017】図2に示す中心電極4において、電極母材
7は耐食性(とくに耐火花消耗性)、耐熱性に優れたニ
ッケル合金(例えばインコネル600:商品名や、Ni
−Mn−Si合金、Ni−Mn−Si−Cr合金、Ni
−Mn−Si−Al合金)が用いられている。また、芯
材9は、銅との過飽和固溶体を形成する下記の表1に示
す一種以上の金属元素を含有し、且つ添加する金属元素
の総量を0.5重量%〜1.5重量%に調製して製造し
た熱伝導性(熱引き)および高温時の機械的強度に優れ
た銅合金であり、金属元素若しくは金属間化合物が銅の
母相から析出した状態で均一的に分散して存在するよう
にしている。
【0018】但し、表1に示す一種以上の金属元素は、
クロム(Cr)又はジルコニウム(Zr)の少なくとも
一方を含有している。なお、表1中、実施例の芯材9
(10)の構成材料は銅合金B、銅合金D〜銅合金Kと
銅合金M〜銅合金Oであり、比較例の芯材9(10)の
構成材料は銅合金A、銅合金C、銅合金L、銅合金P、
銅合金Qで、従来例の芯材の構成材料は純銅(OFH
C)Rである。
【0019】
【表1】
【0020】なお、表1において、銅合金A〜Qおよび
純銅Rの室温(25℃)の熱伝導率はレーザーフラッシ
ュ法により測定した。また、0.1mm引込み変形時の熱
サイクル数は、2000ccの6気筒ガソリンエンジン
にスパークプラグ1を装着して、6000rpm×W.
O.T(スロットル全開)で1分間高速運転とアイドリ
ングで1分間低速運転とを繰り返す運転条件(熱サイク
ル)を与えて、熱サイクル数が1000回に達してから
100回毎に中心電極4が0.1mm引込んでいるか否か
を測定した。
【0021】さらに、熱サイクルが1000回でのミク
ロボイドの有無は、上述の熱サイクル数が1000回に
達したときのミクロボイドの発生状態を調査した。そし
て、析出硬化型芯材を構成するもの、すなわち、Cr又
はZrを含む金属元素を表1に示した添加割合で調製
し、金属元素若しくは金属間化合物が銅の母相から析出
した状態で分散して存在するようにした銅合金は○を記
した。
【0022】表1からも明らかなように、銅合金材B〜
銅合金材Kと銅合金材M〜銅合金材O、すなわち、Cr
又はZrを含む金属元素を表1に示した添加割合で調製
し、金属元素若しくは金属間化合物が銅の母相から析出
した状態で分散して存在するようにした析出硬化型芯材
9を使用した実施例のものは、銅合金の高温時の機械的
強度が向上し、結晶粒が微細状態を維持し、結晶粒の粗
大化が抑制される。
【0023】このため、析出硬化型芯材9を有する中心
電極4には、2000ccの6気筒ガソリンエンジンで
6000rpm×W.O.Tの高速運転とアイドリング
開度の低速運転とを1分間毎に繰り返す熱サイクルを1
000回与えてもミクロボイドの発生は認められず、
0.1mm引込み変形するのに3500回〜4000回の
熱サイクル数が必要となる。これにより、非常に過酷な
運転条件が与えられても中心電極4が変形し難くスパー
クプラグ1の耐久性を飛躍的に向上できる。
【0024】なお、室温の熱伝導率が200W/m・K
以上で、熱サイクル数が1000回でミクロボイドの発
生が無い銅合金、つまり熱伝導性および耐久性に優れる
銅合金は、実施例の銅合金B、銅合金D、銅合金F〜銅
合金J、銅合金M〜銅合金Oである。
【0025】以上のように、この実施例の中心電極4の
場合には、純銅に、過飽和固溶体として銅の母相から析
出するCr、Zr等の金属元素を添加することにより、
芯材9の高温時における熱伝導率を向上させることがで
きる。この結果、この芯材9を中心電極4に採用した場
合には、使用時の中心電極4の先端部の温度の過昇温を
防止することができ、耐プレイグニッション性能を向上
することができ、中心電極4の高温酸化を防止すること
ができ、電極消耗割合を低減することができる。
【0026】そして、下記の表2に示したように、銅
に、0.2重量%以上1.5重量%以下のアルミナ(A
2 3 )やマグネシア(MgO)等のセラミック粉末
を分散させて添加した場合も、これらセラミック粉末が
銅の内部で微粒子として存在するため、純銅(熱伝導
率:390W/m・K)に対する熱伝導率の著しい低下
を防止でき、且つ高温時の機械的強度を増大できるの
で、中心電極4に用いる芯材9として適当である。
【0027】
【表2】
【0028】〔第1実施例と比較例の実験結果〕次に、
実施例の銅合金B、銅合金D、銅合金F〜銅合金J、銅
合金M〜銅合金Oを構成材料として用いた芯材9を図3
に示した構造の中心電極4に組み込んで、芯材9の封入
位置や芯材9の封入面積比を変化させて、耐プレイグニ
ッション性および耐火花消耗性について調査した4つの
実験について説明する。
【0029】実験に用いる突出し型スパークプラグ1と
しては、図3に示したように、絶縁碍子3が主体金具6
の先端面から内燃機関の燃焼室側に突き出している距離
(突出し寸法)Cが2.5mmで、絶縁碍子3の先端面か
ら中心電極4の先端までの距離(突出し寸法)Aが5.
0mmのものを用いている。
【0030】絶縁碍子3の先端面から芯材9の封入先端
までの距離(芯材9の封入位置)Bを変化させる第1の
実験および第3の実験では、芯材9の封入割合、つまり
(銅合金の面積)/(中心電極4の胴径部の面積)×1
00%=芯材9の封入面積比が80%のものを採用して
いる。また、芯材9の封入面積比を変化させる第2の実
験および第4の実験では、芯材9の封入位置Bが3.0
mmのものを用いている。
【0031】第1の実験および第2の実験は、図3の突
出し型スパークプラグ1を1600ccの4気筒エンジ
ンに装着して6000×W.O.Tで高速運転して様子
を観察したものである。第1の実験は、芯材9の封入位
置Bを−4mmから4mmまで変化させ、プレイグニッショ
ン発生進角について調査したもので、その実験結果を図
4のグラフに示した。この図4のグラフからも確認でき
るように、絶縁碍子3の先端面から芯材9の封入先端ま
での距離(芯材9の封入位置)が0mm以上になると耐プ
レイグニッション性が低熱価側より高熱価側に上昇する
傾向にあることが分かる。
【0032】第2の実験は、芯材9の封入面積比を40
%から100%まで変化させ、プレイグニッション発生
進角について調査したもので、その実験結果を図5のグ
ラフに示した。この図5のグラフからも確認できるよう
に、芯材9の封入面積比が60%以上になると耐プレイ
グニッション性が低熱価側より高熱価側に上昇する傾向
にあることが分かる。
【0033】第3の実験および第4の実験は、図3の突
出し型スパークプラグ1を2000ccの6気筒エンジ
ンに装着して6000×W.O.Tで高速運転し、20
0時間経過後の様子を観察したものである。第3の実験
は、芯材9の封入位置Bを−4mmから4mmまで変化さ
せ、中心電極4の電極消耗量について調査したもので、
その実験結果を図6のグラフに示した。この図6のグラ
フからも確認できるように、絶縁碍子3の先端面から芯
材9の封入先端までの距離(芯材9の封入位置)が0mm
以上になると、中心電極4の電極消耗量が0.3mm以下
の最適量となることが分かる。
【0034】第4の実験は、芯材9の封入面積比を40
%から100%まで変化させ、中心電極4の電極消耗量
について調査したもので、その実験結果を図7のグラフ
に示した。この図7のグラフからも確認できるように、
芯材9の封入面積比が60%以上になると、中心電極4
の電極消耗量が0.3mm以下の最適量となることが分か
る。なお、中心電極4の電極消耗量が0.2mm以下とな
る芯材9の封入位置が70%以上が良好である。なお、
封入面積比が90%よりも大きくなると、ニッケル合金
外皮(電極母材7)が薄く、熱応力的にも耐えられず、
変形が発生する。
【0035】〔第1実施例の効果〕以上のように、この
実施例では、芯材9の封入割合を60%以上90%以下
の範囲に増加し、芯材9の封入位置Bを0mm以上9.5
mm以下の範囲となるように中心電極4の先端まで深くす
ることにより、絶縁碍子3からの輻射熱を効率良く吸収
し、絶縁碍子3の先端温度を低下させることができるの
で、絶縁碍子3の温度が起因となるプレイグニッション
を抑制できる。これにより、高負荷、高速運転から低負
荷、低速運転までの広い運転条件下でスパークプラグ1
の先端部の過熱によるプレイグニッションを抑制できる
ので、ワイドレンジ化を図ることができる。さらに、中
心電極4の先端温度も低く保つことができるので、電極
消耗も抑制できる。
【0036】また、この実施例の中心電極4の場合に
は、過飽和固溶体の結晶粒の微細化により銅の母相から
析出した析出物により、高温での結晶粒の粗大化を抑制
でき、粒界部での割れを防止でき、高温時の機械的強度
の低下も抑制できる。この結果、中心電極4の芯材9を
構成する銅合金中のミクロボイドの発生を少なくするこ
とができ、且つミクロボイドの成長を抑えることができ
るので、中心電極4が変形することはない優れた性能を
具備した突出し型のスパークプラグ1を製造することが
できる。したがって、この実施例の構造は、通常のスパ
ークプラグに比較して中心電極4の燃焼ガスから受ける
温度、熱量が共に高く厳しい突出し型のスパークプラグ
1に特に有効な構造となる。
【0037】〔第2実施例の構成〕図8はこの発明の第
2実施例を示したもので、内燃機関用突出し型のスパー
クプラグの発火部を示した図である。この実施例では、
多極構造のスパークプラグ1に第1実施例の構成の芯材
9を採用している。これにより、中心電極4の電極母材
7の先端温度を低減できるので、中心電極4の電極消耗
を抑制することができる。
【0038】〔第3実施例の構成〕図9はこの発明の第
3実施例を示したもので、内燃機関用突出し型のスパー
クプラグの発火部を示した図である。この実施例では、
中心電極4の電極母材7の先端に円板形状の貴金属電極
13をレーザー溶接や抵抗溶接等の溶接法を用いて接合
している。なお、貴金属電極13は、Ir、Pt−Ir
合金等が使用されている。以上のように、この実施例の
中心電極4の場合には、電極母材7を構成するニッケル
合金と貴金属電極13のように熱膨張係数の異なる異種
金属との接合部分の熱応力を低減することができるの
で、貴金属電極13が電極母材7の先端面より剥離する
ことを防止する耐剥離性を改善することができる。
【0039】〔変形例〕本実施例では、電極母材7に耐
食性、耐熱性に優れたニッケル合金を用い、芯材9に熱
伝導性に優れた銅合金を用いて二層のスパークプラグ用
複合電極を構成したが、電極母材に耐食性、耐熱性に優
れたニッケル合金を用い、芯材に比較的に熱伝導性に優
れたニッケル合金を用い、芯材を被覆し電極母材内に嵌
め込まれる嵌合材に熱伝導性に優れた銅合金を用いて三
層のスパークプラグ用複合電極を構成しても良い。
【0040】
【発明の効果】請求項1の発明は、芯材9の封入先端が
絶縁碍子よりも内燃機関の燃焼室側に突き出されてい
る。そして、芯材9の封入割合を増し、芯材9の封入位
置を中心電極の先端近くまで深くすることにより、絶縁
碍子からの輻射熱を効率良く吸収し、絶縁碍子の先端温
度を低下させることができるので、プレイグニッション
を抑制できる。また、中心電極の先端温度も低く保つこ
とができるので、中心電極の電極消耗も抑制することが
できる。
【0041】請求項2の発明は、銅合金の高温時の機械
的強度が向上し、過酷な熱サイクルを与えても結晶粒が
微細状態を維持することができる。すなわち、結晶粒の
粗大化を防止することができるので、銅合金中のミクロ
ボイドが粒界で発生し難くなり、その成長も防止するこ
とができる。この結果、熱サイクルによる電極の変形は
起き難くなるのでスパークプラグの耐久性を向上するこ
とができる。
【0042】請求項2の発明は、銅の母相自体の添加元
素の固溶が少なく、銅合金は純銅本来の特性である優れ
た熱伝導性を維持することができる。この結果、熱引き
特性を十分得られるので、耐プレイグニッション性能の
向上を図ることができ、耐食金属の高温酸化を防止する
ことができるので、火花放電により消耗する電極消耗割
合を大幅に低減することができる。
【0043】請求項3の発明は、クロム、ジルコニウム
共に、各々少量の添加で、高温での熱伝導率を改善する
ことができ、且つ銅合金の高温時の機械的強度を向上す
ることができる。請求項4の発明は、銅合金の高温時の
機械的強度と熱伝導率を向上することができる。
【0044】請求項5の発明は、セラミック粉末を銅に
添加して分散した銅合金をニッケル合金内に封入した場
合に、銅の優れた熱伝導性の著しい低下を防止すること
ができ、且つ高温時の機械的強度を増大させることがで
きる。請求項6の発明は、銅合金の常温での熱伝導率
を、レーザーフラッシュ法の測定で200W/m・K以
上に設定してあるので、中心電極の熱引き性に優れ、耐
プレイグニッション性能、耐高温酸化や耐電極消耗性を
改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例にかかる内燃機関用突出
し型のスパークプラグの主要部を示した断面図である。
【図2】図1のスパークプラグの中心電極の全体構造を
示した断面図である。
【図3】図1のスパークプラグの中心電極の発火部を示
した断面図である。
【図4】プレイグニッション発生進角と芯材の封入位置
との関係を示したグラフである。
【図5】プレイグニッション発生進角と芯材の封入面積
比との関係を示したグラフである。
【図6】中心電極の電極消耗量と芯材の封入位置との関
係を示したグラフである。
【図7】中心電極の電極消耗量と芯材の封入面積比との
関係を示したグラフである。
【図8】この発明の第2実施例にかかる内燃機関用突出
し型のスパークプラグの発火部を示した断面図である。
【図9】この発明の第3実施例にかかる内燃機関用突出
し型のスパークプラグの発火部を示した断面図である。
【図10】(a)中心電極内にミクロボイドが存在する
状態を示した説明図で、(b)は従来例の中心電極内の
ミクロボイドの成長の様子を示した説明図である。
【符号の説明】
1 スパークプラグ 2 軸孔 3 絶縁碍子 4 中心電極 6 主体金具 7 ニッケル合金製の電極母材 9 銅合金製の芯材

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関に取り付けるための主体金具
    と、 この主体金具の先端面より前記内燃機関の燃焼室側へ突
    出するように前記主体金具に支持された筒状の絶縁碍子
    と、 この絶縁碍子の先端面より突出した状態で前記絶縁碍子
    内に嵌め合わされ、耐食性に優れたニッケル合金の内部
    に、熱伝導性および高温時の機械的強度に優れた銅合金
    を封入してなる中心電極とを備えた内燃機関用スパーク
    プラグにおいて、 前記中心電極に対する前記銅合金の封入割合を60%以
    上90%以下とし、 前記絶縁碍子の先端面から前記中心電極の先端までの距
    離をAmm、前記絶縁碍子の先端面から前記銅合金の封入
    先端までの距離をBmmとしたとき、 1≦A≦10、 0≦B≦A−0.5 の関係を満足することを特徴とする内燃機関用スパーク
    プラグ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の内燃機関用スパークプ
    ラグにおいて、 前記銅合金は、銅との過飽和固溶体を形成する添加元素
    を含有し、且つその添加元素若しくは金属間化合物が銅
    の母相から析出した状態で均一に分散して存在すること
    を特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の内燃機関用スパークプ
    ラグにおいて、 前記銅合金への添加元素は、クロム又はジルコニウムの
    うち少なくとも一方を含有することを特徴とする内燃機
    関用スパークプラグ。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の内燃機関用スパークプ
    ラグにおいて、 前記銅合金への添加元素の総量は、0.5重量%以上
    1.5重量%以下であることを特徴とする内燃機関用ス
    パークプラグ。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の内燃機関用スパークプ
    ラグにおいて、 前記銅合金は、銅に0.2重量%以上1.5重量%以下
    のセラミック粉末が均一に分散して存在することを特徴
    とする内燃機関用スパークプラグ。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のうちのいずれ
    かに記載の内燃機関用スパークプラグにおいて、 前記銅合金は、常温での熱伝導率がレーザーフラッシュ
    法の測定で200W/m・K以上であることを特徴とす
    る内燃機関用スパークプラグ。
JP18103193A 1993-07-22 1993-07-22 内燃機関用スパークプラグ Pending JPH0737672A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18103193A JPH0737672A (ja) 1993-07-22 1993-07-22 内燃機関用スパークプラグ
BR9402290A BR9402290A (pt) 1993-07-22 1994-07-21 Vela de ignição para motor de combustão interna

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18103193A JPH0737672A (ja) 1993-07-22 1993-07-22 内燃機関用スパークプラグ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0737672A true JPH0737672A (ja) 1995-02-07

Family

ID=16093565

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18103193A Pending JPH0737672A (ja) 1993-07-22 1993-07-22 内燃機関用スパークプラグ

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPH0737672A (ja)
BR (1) BR9402290A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6068712A (en) * 1998-01-08 2000-05-30 Kawasaki Steel Corporation Steel products having superior weathering, method of producing the steel products, and method of forming weathering protective rust on steel product surfaces
US7529098B2 (en) 2004-09-30 2009-05-05 Kabushiki Kaisha Toshiba Electronic card formed of a printed circuit board
JP2014524647A (ja) * 2011-08-19 2014-09-22 フェデラル−モーグル・イグニション・カンパニー 温度制御機能を有するコロナ点火器
US9184570B2 (en) 2012-08-20 2015-11-10 Denso Corporation Spark plug for internal combustion engine of motor vehicles
JP2015201368A (ja) * 2014-04-09 2015-11-12 日本特殊陶業株式会社 スパークプラグ
WO2016096462A1 (de) 2014-12-16 2016-06-23 Robert Bosch Gmbh Zündkerzen mit mittelelektrode
WO2021215301A1 (ja) * 2020-04-24 2021-10-28 株式会社デンソー 内燃機関用のスパークプラグ

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6068712A (en) * 1998-01-08 2000-05-30 Kawasaki Steel Corporation Steel products having superior weathering, method of producing the steel products, and method of forming weathering protective rust on steel product surfaces
US7529098B2 (en) 2004-09-30 2009-05-05 Kabushiki Kaisha Toshiba Electronic card formed of a printed circuit board
JP2014524647A (ja) * 2011-08-19 2014-09-22 フェデラル−モーグル・イグニション・カンパニー 温度制御機能を有するコロナ点火器
US9184570B2 (en) 2012-08-20 2015-11-10 Denso Corporation Spark plug for internal combustion engine of motor vehicles
JP2015201368A (ja) * 2014-04-09 2015-11-12 日本特殊陶業株式会社 スパークプラグ
WO2016096462A1 (de) 2014-12-16 2016-06-23 Robert Bosch Gmbh Zündkerzen mit mittelelektrode
CN107005029A (zh) * 2014-12-16 2017-08-01 罗伯特·博世有限公司 具有中心电极的火花塞
US10250015B2 (en) 2014-12-16 2019-04-02 Robert Bosch Gmbh Spark plugs having a center electrode
WO2021215301A1 (ja) * 2020-04-24 2021-10-28 株式会社デンソー 内燃機関用のスパークプラグ

Also Published As

Publication number Publication date
BR9402290A (pt) 1995-03-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4413951B2 (ja) スパークプラグ
JP4283347B2 (ja) スパークプラグ
JP2853111B2 (ja) スパークプラグ
JP3796342B2 (ja) スパークプラグ及びその製造方法
JP5341752B2 (ja) 内燃機関用スパークプラグ及びその製造方法
JP2000243535A (ja) スパークプラグ
JP4471516B2 (ja) スパークプラグ
WO2016189826A1 (ja) スパークプラグ
EP2504896A2 (en) Spark plug with volume-stable electrode material
JPH0737672A (ja) 内燃機関用スパークプラグ
JP4921540B2 (ja) スパークプラグ用の電極材料
JP2007207770A (ja) スパークプラグ
JP2007173116A (ja) スパークプラグ
US9083156B2 (en) Electrode core material for spark plugs
US6472801B1 (en) Spark plug with a corrosion impeding layer
JPH0737678A (ja) スパークプラグ用電極の製造方法
JP4879291B2 (ja) スパークプラグ
JP2992891B2 (ja) 内燃機関用スパークプラグ
US9166380B2 (en) Spark plug electrode material and spark plug
JP2004206892A (ja) スパークプラグ
JP6456343B2 (ja) 点火プラグ
JP2003105467A (ja) スパークプラグ
JPH1140314A (ja) スパークプラグ
JP2007080833A (ja) スパークプラグ
JP6335979B2 (ja) 点火プラグ