JPH0737630B2 - スチールワイヤの表面処理方法 - Google Patents

スチールワイヤの表面処理方法

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JPH0737630B2
JPH0737630B2 JP1031354A JP3135489A JPH0737630B2 JP H0737630 B2 JPH0737630 B2 JP H0737630B2 JP 1031354 A JP1031354 A JP 1031354A JP 3135489 A JP3135489 A JP 3135489A JP H0737630 B2 JPH0737630 B2 JP H0737630B2
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Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
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Sankyo Kasei Co Ltd
Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
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    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/06Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
    • D07B1/0606Reinforcing cords for rubber or plastic articles
    • D07B1/0666Reinforcing cords for rubber or plastic articles the wires being characterised by an anti-corrosive or adhesion promoting coating

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  • Ropes Or Cables (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスチールワイヤを伸線する際に用いられるスチ
ールワイヤ伸線用潤滑剤、この潤滑剤を用いて行われる
表面処理方法、及びこの表面処理が施されたスチールワ
イヤとゴムとの接着複合体に関する。
〔従来の技術〕
スチールラジアルタイヤ、スチールワイヤ補強コンベア
ベルト、スチールワイヤ補強タイミングベルト、スチー
ルワイヤ補強ホース、スチールワイヤ補強ハンドレール
など、スチールワイヤ又はこれをより合せたとスチール
コードとゴムとの接着複合体においては、スチールワイ
ヤの表面状態が耐食性及びワイヤ−ゴム間の接着強度に
著しい影響を与える。そこで、清浄な表面状態を保つた
めに、現状では例えばスチールワイヤはポリエチレン袋
に入れられ、脱水剤を共存させ、窒素を封入した状態で
出荷され、保存されている。このような過剰包装の結
果、スチールワイヤのコストは高くなっている。しか
も、こうした包装によっても、スチールワイヤの表面状
態を清浄に保つことは困難であった。したがって、スチ
ールワイヤを使用して得られる従来のスチールラジアル
タイアなどの接着複合体においては、ワイヤ−ゴム間の
接着性、製品の耐熱性、耐油性、耐水性に問題があっ
た。
これに対して、本発明者らは、金属の表面をトリアジン
チオール誘導体で処理すると、金属の耐食性、及びゴム
に対する接着性が改善できることを明らかにした(例え
ば、森邦夫:実務金属表面技術,37,373(1989);特公
昭60−41084号;特開昭58−87034号)。これらの公知技
術では、トリアジンチオール誘導体を水又は有機溶剤に
溶解した溶液に、金属を浸漬することにより、金属表面
にトリアジンチオール誘導体の皮膜を形成して表面処理
を行っている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、従来は、浸漬処理工程に長い処理時間を
必要としていた。また、浸漬処理により金属表面に形成
されたトリアジンチオール誘導体の皮膜は緻密性に欠
け、これを使用して製造されたワイヤ−ゴム接着複合体
の耐熱性、耐水性、耐スチーム性、耐疲労性も充分であ
るとはいえなかった。
本発明は前記問題点を解決するためになされたものであ
り、工業生産に適した処理速度を可能にする表面処理方
法、この表面処理に適したトリアジンチオール誘導体を
含有する潤滑剤、及び表面処理が施されたスチールワイ
ヤとゴムとからなり、耐熱性、耐水性、耐スチーム性、
耐疲労性に優れたスチールワイヤ−ゴム接着複合体を提
供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段と作用〕
本発明のスチールワイヤの表面処理方法は、一般式 (前記式中、Rは−OR′,−SR′,−NHR′,−N
(R′)2;R′はアルキル基、アルケニル基、フェニル
基、フェニルアルキル基、アルキルフェニル基、又はシ
クロアルキル基、MはH、Na、Li、K、1/2Mg、1/2Ba、
1/2Ca、脂肪族1級、2級もしくは3級アミン、第4級
アンモニウム塩、又はホスホニウム塩) で示されるトリアジンチオール誘導体を含有するスチー
ルワイヤ伸線用潤滑剤を伸線機に収容し、スチールワイ
ヤを伸線しながら表面処理することを特徴とするもので
ある。
本発明に係る潤滑剤は、いわゆるエマルジョンタイプの
潤滑剤である。この潤滑剤は、前記一般式で示されるト
リアジンチオール誘導体、極圧防止剤、油性剤、乳化
剤、発泡抑制剤を含有し、これらの成分を水(中性もし
くはアルカリ性)、又はエチレングリコール誘導体、ポ
リエチレングリコールもしくはジグライムなどのグリコ
ールに分散させた乳濁液からなっている。なお、前記各
成分のほかにも、例えば鉄防錆剤や防腐防黴剤を含有す
るものもある。この潤滑剤は、処理時にそのまま使用さ
れるか、又は20倍以内、好ましくは5〜10倍に希釈して
使用される。
本発明において用いられるトリアジンチオール誘導体を
具体的に示すと、以下のようなものが挙げられる。例え
ば、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、1,3,5
−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノソジウム、
1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノカリウ
ム、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノエ
タノールアミン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオ
ール・オクチルアミン、1,3,5−トリアジン−2,4,6−ト
リチオール・テトラブチルアンモニウム塩、6−アニリ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−アニリ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノソジウ
ム、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオー
ル・トリエチルアミン、6−ジブチルアミノ−1,3,5−
トリアジン−2,4−ジチオール・トリエチルアミン、6
−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオー
ル、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジ
チオール・モノソジウム、6−ジブチルアミノ−1,3,5
−トリアジン−2,4−ジチオール・エタノールアミン、
6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ
ール・エチルアミン、6−ジブチルアミノ−1,3,5−ト
リアジン−2,4−ジチオール・テトラブチルホスホニウ
ム塩、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジチオール・ブチルアミン、6−ジアリルアミノ−1,3,
5−トリアジン−2,4−ジチオール・エチレンジアミン、
6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ
ール・エチレントリアミン、6−ジアリルアミノ−1,3,
5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−オクチルアミノ
−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−オクチル
アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノソ
ジウムなどがある。これらのうち1種又は2種以上が使
用される。潤滑剤(未希釈)中のトリアジンチオール誘
導体の含有率は通常0.001〜20重量%、好ましくは0.01
〜5重量%であることが望ましい。
極圧防止剤は、伸線中にワイヤの焼き付きを防止する作
用を有するものである。極圧防止剤としては、例えばエ
チレンジアミンリン酸塩、エチレントリアミンリン酸
塩、ペンタエチレンテトラミンリン酸塩、プロピレンジ
アミンリン酸塩、ブチレンジアミンリン酸塩、ブチルア
ミンリン酸塩、オクチルアミンリン酸塩、オレイルアミ
ンリン酸塩、脂肪酸エステル・エチレノキシド付加物、
リン酸メチルエステル・プロピレノキシド付加物、リン
酸ブチルエステル・プロピレノキシド付加物、リン酸オ
クチルエステル・プロピレノキシド付加物、リン酸オレ
イルエステル・プロピレノキシド付加物などが挙げられ
る。これらのうち1種又は2種以上が使用される。潤滑
剤(未希釈)中の極圧防止剤の含有率は、0.1〜15重量
%、好ましくは1〜10重量%であることが望ましい。
油性剤は、伸線中にワイヤの焼き付きを防止し、ぬれ性
を改善する作用を有するものである。油性剤としては、
一般に脂肪酸のアミン塩が用いられる。例えば、酢酸・
オクチルアミン、ステアリン酸・エタノールアミン、ス
テアリン酸、ジエタノールアミン、オクチル酸・ジエタ
ノールアミン、リノレン酸・ジエタノールアミン、オレ
イン酸・ジエタノールアミン、オレイン酸・ブチルアミ
ンなどが挙げられる。また、油性剤としては、脂肪酸と
エポキシ化合物との反応生成物(例えばオレイン酸テト
ラエチレングリコール、オクチル酸ペンタエチレングリ
コール、ステアリン酸ノナエチレングリコール、エルカ
酸デカエチレングリコール、リノール酸デカエチレング
リコールなど)、脂肪酸エステルとエポキシ化合物との
反応生成物(例えばオクチル酸ブタンジオールエステル
テトラエチレングリコール、オレイン酸ブタンジオール
エステルヘキサエチレングリコール、ステアリン酸ブタ
ンジオールエステルペンタエチレングリコール、カプロ
ン酸ブタンジオールエステルペンタエチレングリコー
ル、カプロン酸ヘキサンジオールエステルペンタエチレ
ングリコールなど)が挙げられる。これらは1種又は2
種以上混合して使用される。潤滑剤(未希釈)中の油性
剤の含有率は、0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量
%であることが望ましい。
乳化剤は極圧防止剤、油性剤、発泡抑制剤などを水に乳
化させる作用を有するものである。乳化剤としては、一
般にアルキルアミンとエポキシ化合物との反応生成物が
用いられる。例えば、オクチルアミンテトラエチレング
リコール、ドデシルアミンデカエチレングリコール、オ
レイルアミンデカエチレングリコール、ステアリルアミ
ンオクタエチレングリコールなどが挙げられる。潤滑剤
(未希釈)中の乳化剤の含有率は、0.1〜10重量%、好
ましくは0.5〜5重量%であることが望ましい。
発泡抑制剤はエマルジョンの発泡を抑制する作用を有す
るものである。発泡抑制剤としては、例えばデカン、オ
クタン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、ノナデカンのよ
うなミネラルスピリットが使用される。潤滑剤(未希
釈)中の発泡抑制剤の含有率は、0.1〜10重量%、好ま
しくは0.5〜5重量%であることが望ましい。
防錆剤は伸線中のワイヤの鉄及び黄銅成分の腐食を防止
する作用を有するものである。防錆剤としては、例えば
パラオキシ安息香酸メチル、ビスフェノールA、ベンゾ
トリアゾール、メチルベンゾトリアゾールなどを挙げる
ことができる。ただし、トリアジンチオール誘導体も防
錆作用を有するので、必ずしも前記の防錆剤を配合する
必要はない。潤滑剤(未希釈)中の防錆剤の含有率は、
0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%であること
が望ましい。
防腐防黴剤は微生物による液の汚染を防止する作用を有
する。防腐防黴剤としては、例えば1,2−ベンゾイソチ
アゾリン−3−オン、塩素化フェノール、ホルムアルデ
ヒド、ホルムアルデヒド放出剤などが挙げられる。ただ
し、トリアジンチオール誘導体も防腐防黴作用を有する
ので、必ずしも前記の防腐防黴剤を配合する必要はな
い。潤滑剤(未希釈)中の防腐防黴剤の含有率は、0.01
〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%であることが望
ましい。
本発明において、スチールワイヤとは、めっきを施して
いない裸スチールワイヤ、銅めっきスチールワイヤ、黄
銅めっきスチールワイヤ、ニッケルめっきスチールワイ
ヤ、スズめっきスチールワイヤ、亜鉛めっきスチールワ
イヤ、銅−スズめっきスチールワイヤ、コバルトめっき
スチールワイヤなどを意味する。伸線前のめっき厚は通
常100〜10000Å、好ましくは1500〜4000Åである。ま
た、めっき量で示せば、通常0.1〜40g/kg、好ましくは
0.5〜10g/kgである。
本発明において、スチールワイヤの伸線は湿式型の伸線
機を用いて行われる。すなわち、湿式伸線機の潤滑槽に
ダイスを取付け、潤滑剤を収容し、前記ダイス中を例え
ば0.1〜10mm径、好ましくは1〜4mm径のスチールワイヤ
を1〜2000m/分の速度で通して、0.01〜5mm径、通常は
0.1〜1mm径まで伸線する。一般に、裸スチールワイヤや
ニッケルめっきスチールワイヤのように硬いスチールワ
イヤの場合には、低速で伸線され、伸線加工度も低い
が、銅めっきスチールワイヤや黄銅めっきスチールワイ
ヤ(めっき中の銅含有率65%以上)のように軟らかいス
チールワイヤの場合には、高速で伸線でき、伸線加工度
も高くすることができる。したがって、前述しためっき
厚、伸線速度、及び伸線の程度の最適値は、当然スチー
ルワイヤの種類によって異なる。
以上のような伸線操作によって、スチールワイヤ表面に
は緻密で強固なトリアジンチオール誘導体の皮膜が形成
される。その詳細な機構については、完全に解明されて
いるわけではないが、以下のように推定される。
まず、スチールワイヤが潤滑剤と接触すると、ワイヤ表
面にトリアジンチオール誘導体が吸着される。この状態
は、従来の浸漬法でワイヤ表面にトリアジンチオール誘
導体の皮膜が形成された状態と大差ないと考えられる。
引き続いて行われる伸線過程では、ワイヤ表面の皮膜
は、瞬時ではあるが高温高圧にさらされる。例えば、黄
銅めっきスチールワイヤを100kgf/mm2の伸線圧力で伸線
すると、表面温度は数百℃に達するといわれている。こ
の結果、トリアジンチオール誘導体の皮膜は緻密でかつ
強固となり、ゴムに対する接着性が良好な性質に変化す
るものと推定される。
以上のようにして伸線と同時に表面処理されたスチール
ワイヤは、単線又はより合せてコードとして使用され
る。より合せ方には種々の方法があるが、現在一般的に
使用されている方法(例えば、福原節雄:繊維と工業,4
0,No.11,627(1984))は全て適用でき、前述した処理
によってより合せに不都合が生じることはない。
これらのスチールワイヤ又はこれをより合せたスチール
コードは、ゴムコンパウンドと接着され、例えばスチー
ルラジアルタイヤ、スチールコード補強コンベアベル
ト、スチールコード補強タイミングベルト、スチールコ
ード補強ホース、スチールコード補強ハンドレールなど
の製品が製造される。
本発明において用いられるゴムコンパウンドの組成は特
に限定されない。ゴムコンパウンドとしては、ゴム、充
填剤、軟化剤、架橋剤、架橋促進剤の各成分を含有する
ものが用いられる。また、ゴムコンパウンドは、前記の
成分のほかにも、滑剤、安定剤、接着助剤(接着促進
剤)などの成分を含有してもよい。
ゴムとしては、各種天然ゴム(NR)、イソプレンゴム、
ブタジエンゴム、溶液重合ブタジエンゴム、溶液重合ブ
タジエン−スチレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブ
タジエン共重合ゴム、エチレン−プロピレン共重合ゴ
ム、エチレン−プロピレン三元共重合ゴム、シリコーン
ゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴ
ム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、ヒドリンゴム、エ
ピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合ゴム、エ
ピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシ
ジルエーテル三元共重合ゴム、エピクロルヒドリン−プ
ロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共
重合ゴム、塩素化ポリエチレン、アクリルゴムとその共
重合ゴム(塩素系、エポキシ系、不飽和系)、エチレン
−酢酸ビニル−アクリル酸エステル三元共重合ゴム、ウ
レタンゴムなどを挙げることができる。
充填剤は増量や補強の目的で配合される。充填剤として
は、例えばカーボンブラック、ゴム増強用カーボンブラ
ック、ホワイトカーボン、ハードクレー、炭酸カルシウ
ム、珪酸塩などが挙げられる。充填剤の配合量は、ゴム
100重量部に対して5〜200重量部、好ましくは30〜100
重量部である。
軟化剤はゴムの加工性や成形性を向上させるために配合
される。軟化剤としては、例えばジオクチルフタレート
やジブチルフタレートのようなフタル酸エステル系可塑
剤、アジピン酸ジオクチルやセバシン酸ジオクチルのよ
うな脂肪酸エステル系可塑剤、トリフェニルリン酸エス
テルやトリクレジルリン酸エステルのようなリン酸エス
テル系可塑剤、塩化パラフィン、プロセスオイル、ナフ
テンオイルなどが挙げられる。軟化剤の配合量は、ゴム
100重量部に対して100重量部以下、好ましくは5〜50重
量部である。
架橋剤はゴム材料の弾性を発揮させるために配合され
る。使用される架橋剤はゴムの種類によって異なるが、
主なものとして以下のようなものが挙げられる。例え
ば、硫黄、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(t−ブ
チルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、α,α′−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロ
ピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペ
ルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルペルオキシ)ヘキシン−3、ペルヘキシモン−F−
40、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、6−ブ
チルアミン−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、エ
チレンチオウレア、ヘキサメチレンジアミン、安息香酸
アンモニウム、ビスフェノールAなどがある。架橋剤の
配合量は個々のゴムによって異なるため、一概に限定で
きないが、一般的にはゴム100重量部に対して0.1〜10重
量部が適当である。
架橋促進剤は架橋剤の作用を促進するために配合され
る。架橋促進剤としては、例えばMgO、ZnO、BaO、Ca(O
H)などの金属活性剤;2−メルカプトベンゾチアゾー
ル、ジベンゾチアゾリルジスルフィドなどのチアゾール
系促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスル
フェナミド、N−モルホニリルベンゾールスルフェナミ
ドなどのスルフェナミド系促進剤;テトラメチルチュウ
ラムジスルフィドなどのチュウラム系促進剤;脂肪酸ア
ミン、4級アンモニウム塩、有機ホスホニウム塩、トリ
アリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ
アクリレート、フタル酸ジアリルなどの多官能性モノマ
ーが挙げられる。これらは1種又は2種以上配合され
る。架橋促進剤の配合量はゴム及び架橋剤の種類によっ
て異なるため、一概に限定できないが、一般的にはゴム
100重量部に対して0.1〜20重量部が適当である。
スチールワイヤ−ゴム接着複合体を製造するためには、
ゴムコンパウンド中に少なくとも前記の各成分が含有さ
れている必要がある。また、下記の滑剤、安定剤、接着
助剤などの成分はスチールワイヤ−ゴム接着複合体を得
るためには必ずしも必要ではないが、これらの成分が含
有されていると、スチールワイヤ−ゴム接着複合体の耐
水性、耐熱制、耐スチーム性、耐疲労性を改善するのに
有利となる。
滑剤は接着複合化の際にゴムコンパウンドの流れを良く
するために配合される。滑剤としては、例えばステアリ
ン酸、ステアリン酸のNa塩、Mg塩、Ca塩、Ba塩又はZn
塩、ステアリン酸エチレンビスアミド、エルカ酸エチレ
ンビスアミド、パラフィン、ワックスなどを挙げること
ができる。滑剤は一般的にはゴム100重量部に対して0.1
〜5重量部配合される。
安定剤は接着複合体の劣化を防止するために配合され
る。安定剤としては、例えばフェニレンジアミン系老化
防止剤、フェノール系老化防止剤、ニッケルジチオカル
バメート、ベンゾフェノンなどが挙げられる。安定剤は
一般的にはゴム100重量部に対して0.1〜5重量部配合さ
れる。
接着助剤としては、例えば1,3,5−トリアジン−2,4,6−
トリチオール、6−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジチオール、ナフテン酸コバルト、ステ
アリン酸コバルトなどのコバルト酸塩、アミノ安息香酸
金属塩(Co、Mn、Zn、Mo、Cr)、レゾルシン、クレゾー
ル、レゾルシン−ホルマリンラテックス、レゾールタイ
プフェノール樹脂(未硬化のものを含む)、ホルマリン
−アルキルフェノール樹脂、ホルマリン−クレゾール樹
脂(未硬化のものを含む)、モノメチロールメラミン、
ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキ
サメチロールメラミン、モノメトキシメチロールメラミ
ン、テトラメトキシメチロールメラミン、ペンタメトキ
シメチロールメラミン、モノメチロール尿素、トリメチ
ロール尿素、トリメトキシメチロール尿素、エチレンマ
レイミド、ブチレンマレイミド、フェニレンマレイミ
ド、アビエチン酸金属塩(Co、Ni、Fe、Mn)などが挙げ
られる。接着助剤はゴム100重量部に対して0.1〜20重量
部、好ましくは0.5〜5重量部配合される。
本発明においては、前述した表面処理が施されたスチー
ルワイヤ(コード)とゴムコンパウンドとを接触させ、
ホットプレス又はスチーム加熱することにより架橋の終
了と同時に接着複合化が行われ、スチールワイヤ−ゴム
接着複合体が得られる。この工程の条件は、通常、80〜
230℃、好ましくは130〜180℃で5〜180分、好ましくは
10〜60分である。なお、ゴム又は架橋剤系の種類によっ
ては、更に後架橋を行う場合もある。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
まず、本発明の実施例において用いられた湿式伸線装置
について、第1図及び第2図を参照して説明する。第1
図において、潤滑槽20内には潤滑液21が収容されてい
る。スチールワイヤ22は供給ボビン1からガイドロール
2を介して、潤滑槽20内部のダイス4を通過するように
フリーロール3及び駆動ロール5にかけわたされ、再度
前記と同様にダイス7を通過するようにフリーロール6
及び駆動ロール8にかけわたされ、ダイス9を通過し
て、潤滑槽20外部のキャプスタン10及びガイドロール11
を介して巻取ボビン12に巻き取られる。前記ダイス4、
7は複数段のダイスを重ねたものである。これらダイス
4、7を構成する個々のダイスは、第2図に示すよう
に、ダイスケース13内部に超硬チップ14を取付けた構造
を有している。
実施例1〜5及び比較例1 エチレンジアミン・リン酸塩4重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、オ
クチル酸テトラエチレングリコール2重量部、ドデシル
リン酸ブタンジオールエステルペンタプロピレングリコ
ール5重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.5重量部、
メチルベンゾトリアゾール1重量部、1,2−ベンゾイソ
チアゾリン−3−オン0.5重量部、水72.5重量部、及び
第1表に示すトリアジンチオール誘導体0.5重量部から
なる、5種の新規なエマルジョンタイプの潤滑剤を調製
した(実施例1〜5)。また、トリアジンチオール誘導
体を含まない以外は前記と同一組成のエマルジョンタイ
プの潤滑剤を調製した(比較例1)。
前記6種の潤滑剤を7倍に希釈して、それぞれ湿式伸線
装置の潤滑槽に収容し、1.68mm径の黄銅めっきスチール
ワイヤ(めっき量4.1g/kg、めっき中のCu含有率65%)
を約850m/分の伸線速度で引いて、6種の0.30mm径のス
チールワイヤを得た。これら6種のスチールワイヤを用
い、それぞれ2本より合せて、6種の接着用スチールコ
ード試料を作製した。
一方、天然ゴム(NR)100重量部、カーボンブラック(H
AF)50重量部、プロセスオイル5重量部、硫黄5重量
部、N−シクルヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェ
ナミド(CBS)0.8重量部、酸化亜鉛10重量部、ナフテン
酸コバルト2重量部、6−エトキシ−2,2,4−トリメチ
ル−1,2−ジヒドロキノン1重量部、レゾルシン3重量
部、ヘキサメチロールメラミン4重量部からなるNRコン
パウンドを調製しておいた。
このNRコンパウンドに前記6種の接着用コード試料をそ
れぞれ1.6cm埋込み、140℃で30分間加硫を行い、6種の
接着複合体試料を複数ずつ作製した。
各接着複合体試料について、自動引張試験機を用いて20
℃において50mm/分の引張り速度でコードを引抜くとい
う方法で、初期及び水蒸気雰囲気中で所定時間劣化(ス
チーム劣化)した後の引抜き強度を測定した。また、引
抜かれたコード表面におけるゴムの付着率を調べた。な
お、スチーム劣化は、各接着複合体試料を湿度100%、1
20℃の水蒸気雰囲気中にそれぞれ10〜25時間(第1表に
表示)の範囲で時間を変化させて放置するという方法で
行った。これらの結果をまとめて第1表に示す。
第1表から明らかなように、トリアジンチオール誘導体
を含有する潤滑剤を用いて伸線された黄銅スチールワイ
ヤとゴムとを接着した実施例1〜5の接着複合体は、ト
リアジンチオール誘導体を含有しない潤滑剤を用いて伸
線された黄銅スチームワイヤとゴムとを接着した比較例
1の接着複合体と比較して、初期の引抜き強度は同程度
であるものの、スチーム劣化後の引抜き強度が著しく向
上し、接着性が優れている。
実施例6〜10及び比較例2、3 エチレンジアミン・リン酸塩4重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、オ
クチル酸テトラエチレングリコール2重量部、ドデシル
リン酸ブタンジオールエステルペンタプロピレングリコ
ール5重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.5重量部、
メチルベンゾトリアゾール1重量部、及び水72.5重量部
に対して、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール・モノエタノールアミン(DBME)を0.1
5〜3g/100mlの範囲(第2表に表示)で濃度を変化させ
て配合して、5種の新規なエマルジョンタイプの潤滑剤
を調製した(実施例6〜10、比較例2)。また、DBMEを
含まない以外は前記と同一組成のエマルジョンタイプの
潤滑剤を調製した(比較例3)。
前記6種の潤滑剤を7倍に希釈して、それぞれ湿式伸線
装置の潤滑槽に収容し、1.68mm径の裸(めっきなし)ス
チールワイヤ又は黄銅めっきスチールワイヤ(めっき厚
5800Å、めっき中のCu含有率65%)を、第2表に示すよ
うに0.5〜100m/分の伸線速度で引いて、6種の1.50mm径
の裸スチールワイヤ(実施例6〜10、比較例2)及び1
種の1.50mm径の黄銅めっきスチールワイヤ(比較例3)
を得た。これらをそのまま7種の接着用スチールワイヤ
試料とした。
一方、NR100重量部、カーボンブラック(HAF)50重量
部、プロセスオイル5重量部、硫黄4重量部、N−シク
ルヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェナミド(CB
S)0.8重量部、酸化亜鉛10重量部、6−エトキシ−2,2,
4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノン1重量部、レゾル
シン3重量部、ヘキサメチロールメラミン4重量部から
なるNRコンパウンドを調製しておいた。
このNRコンパウンドに前記7種の接着用ワイヤ試料をそ
れぞれ2.54cm埋込み、153℃で30分間加硫を行い、7種
の接着複合体試料を複数ずつ作製した。
各接着複合体試料について、自動引張試験機を用いて20
℃において50mm/分の引張り速度でコードを引抜くとい
う方法で、初期及び水蒸気雰囲気中で所定時間劣化(ス
チーム劣化)した後の引抜き強度を測定した。なお、ス
チーム劣化は、各接着複合体試料を湿度100%、120℃の
水蒸気雰囲気中にそれぞれ10〜25時間(第2表に表示)
の範囲で時間を変化させて放置するという方法で行っ
た。これらの結果をまとめて第2表に示す。
第2表から明らかなように、DBMEを含有する潤滑剤を用
いているものの非常に低速で伸線を行った裸スチールワ
イヤとゴムとを接着した、比較例2の接着複合体では、
引抜き強度が小さい。この引抜き強度の値は伸線(した
がって表面処理)を行っていない裸スチールワイヤとゴ
ムコンパウンドとの接着複合体と同程度である。従来か
ら、めっきしていない裸スチールワイヤはゴムと全く接
着しないといわれていることから、比較例2でも裸スチ
ールワイヤとゴムとはほとんど接着していないと考えら
れる。第2表には示していないが、比較例2の接着複合
体から引抜かれたワイヤにはゴムが全く付着していない
ことからも裸スチールワイヤとゴムとはほとんど接着し
ないことが明らかである。したがって、比較例2の接着
複合体が示す引抜き強度は、単に加硫ゴム中に埋め込ま
れているワイヤをき抜く時の摩擦のみによるものであ
る。
一方、トリアジンチオール誘導体を含有しない潤滑剤を
用いて伸線された黄銅めっきワイヤとゴムとを接着し
た、比較例3の接着複合体では、初期の引抜き強度は大
きい値を示すが、スチーム劣化後の引抜き強度は小さ
い。
これに対して、DBMEを含有する潤滑剤を用い、比較例2
より伸線速度を速めて(比較例3と同程度以上)伸線さ
れた裸スチールワイヤとゴムとを接着した、実施例6〜
10の接着複合体では、初期の引抜き強度が比較例2より
著しく向上し、スチーム劣化後の引抜き強度も比較例2
及び比較例3より著しく向上している。これらの結果か
ら、トリアジンチオール誘導体を含有する潤滑剤を用い
た伸線処理が有効であることがわかる。
実施例11〜15及び比較例4〜8 エチレンジアミン・リン酸塩3重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、ラ
ウリル酸テトラエチレングリコール2重量部、ドデシル
リン酸ブタンジオールエステルペンタプロピレングリコ
ール5重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.5重量部、
ベンゾトリアゾール1重量部、水72.5重量部、及び1,3,
5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・ジエタノールア
ミン(FDE)1重量部を配合して1種の新規なエマルジ
ョンタイプの潤滑剤を調製した(実施例11〜15)。ま
た、FDEを含まない以外は前記と同一組成のエマルジョ
ンタイプの潤滑剤を調製した(比較例4〜8)。
前記2種の潤滑剤を7倍に希釈して、それぞれ湿式伸線
装置の潤滑槽に収容し、1.60mm径及び1.00mm径の黄銅め
っきスチールワイヤ(めっき量4.1g/kg、めっき中のCu
含有率65%)をそれぞれ約800m/分の伸線速度で引い
て、0.38mm径及び0.20mm径黄銅めっきスチールワイヤを
得た。各潤滑剤を用いて伸線されたワイヤを用い、それ
ぞれ内側に0.20mm径のワイヤ3本、及び外側に0.38mm径
のワイヤ6本をより合せて、2種の1.26mm径の接着用ス
チールコード試料を作製した。
一方、NR100重量部、カーボンブラック(HAF)50重量
部、プロセスオイル5重量部、硫黄1〜8重量部(第3
表に表示)、N−シクルヘキシル−2−ベンゾチアジル
スルフェナミド(CBS)0.8重量部、酸化亜鉛10重量部、
N,N′−ジオクチルフェニレンジアミン(ノンフレック
スOD−3)1重量部からなり、1.5mm×12mm×10cmの寸
法を有する5種のNRコンパウンドシートを調製しておい
た。
これら5種のNRコンパウンドシート上に、前記2種の接
着用コード試料をそれぞれ10本ずつ並べ、153℃で30分
間加硫を行い、10種の接着複合体を作製した。これら10
種の接着複合体について、それぞれ両端のコード1本ず
つを切取り、残り8本を接着複合体試料とした。
各接着複合体試料について、自動引張試験機を用いて20
℃において50mm/分の引張り速度で接着複合体から加硫
ゴムを剥離して、初期、熱水処理(水分劣化)後、及び
加熱処理(加熱劣化)後の剥離強度を測定した。なお、
熱水処理(水分劣化)は、接着複合体試料を95℃の熱水
中に5日間放置して行った。また、加熱処理(加熱劣
化)は、接着複合体試料を100℃のテストチューブ中に
3日間放置して行った。これらの結果をまとめて第3表
に示す。
第3表から明らかなように、トリアジンチオール誘導体
を含有しない潤滑剤で伸線がなされたコードを用いた比
較例4〜8の接着複合体では、初期の剥離強度について
は、ゴムコンパウンド中の硫黄含有量が増加するほど大
きくなっている。また、劣化後の剥離強度については、
ゴムコンパウンド中の硫黄含有量が2重量部(phr)程
度で最大となり、ゴムコンパウンド中の硫黄含有量がそ
れ以上大きくなると小さくなる。このため、初期及び劣
化後の剥離強度がともに良好となるような、適当な組成
のゴムコンパウンドの組成が存在しない。
これに対して、FDEを含有する潤滑剤で伸線(表面処
理)がなされたコードを用いた実施例11〜15の接着複合
体では、初期及び劣化後の剥離強度ともに、変化の傾向
は前述したのとほぼ同様であるが、特にゴムコンパウン
ド中の硫黄含有量が低い場合の初期の剥離強度と、ゴム
コンパウンド中の硫黄含有量が高い場合の劣化後の剥離
強度が改善されている。この結果、最適なゴムコンパウ
ンドの組成を設定することにより、接着複合体の初期及
び劣化後の剥離強度をともに満足することができる。
実施例16、17及び比較例9、10 エチレンジアミン・リン酸塩3重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、リ
ノレン酸ブタンジオールエステルテトラエチレングリコ
ール2重量部、ドデシルリン酸ブタンジオールエステル
ペンタプロピレングリコール5重量部、パラオキシ安息
香酸メチル0.5重量部、ベンゾトリアゾール1重量部、
水72.5重量部、及び6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジチオール・モノエチレンジアミン(DBM
E)1重量部からなる、1種の新規なエマルジョンタイ
プの潤滑剤を調製した(実施例16、17)。また、DBMEを
含まない以外は前記と同一組成のエマルジョンタイプの
潤滑剤を調製した(比較例9、10)。
前記2種の潤滑剤を7倍に希釈して、それぞれ湿式伸線
装置の潤滑槽に収容し、1.25mm径の黄銅めっきスチール
ワイヤ(めっき量4.1/kg、めっき中のCu含有率65%)を
約800m/分の伸線速度で引いて、2種の0.25mm径の黄銅
めっきスチールワイヤを得た。これら2種のワイヤを用
い、それぞれ5本より合せて、2種の接着用スチールコ
ード試料を作製した。
前記処理コード(実施例16)及び未処理コード(比較例
9)をそれぞれ70℃、湿度90%の雰囲気中に3日間放置
した後、ハンターの疲労試験機を用い、ステアケース法
により一定圧力下における破断強度(推定疲労限界)を
求めた。
その結果、破断強度(推定疲労限界)は、比較例9では
81kgf/mm2であったのに対し、実施例16では107kgf/mm2
であった。
この結果から明らかなように、処理コード(実施例16)
は、未処理コード(比較例9)と比較して、腐食環境に
さらされても高い疲労強度を示すことから、耐食性が著
しく改善されたことがわかる。
一方、NR70重量部、ブタジエンゴム(BR)30重量部、カ
ーボンブラック(HAF)50重量部、プロセスオイル5重
量部、硫黄5重量部、N−シクルヘキシル−2−ベンゾ
チアジルスルフェナミド(CBS)0.8重量部、酸化亜鉛10
重量部、N−(1,3−ジメチルブチル)−N′−フェニ
ル−p−フェニレンジアミン1重量部からなるNR−BRコ
ンパウンドを調製しておいた。
このNR−BRコンパウンドにそれぞれ処理コード(実施例
17)又は未処理コード(比較例9)を埋込み、これらを
それぞれ金型に入れ、150℃で30分間加硫を行い、2種
の3mm径×1mの接着複合体試料を作製した。これらの接
着複合体試料をそれぞれ70℃、湿度90%の雰囲気中に3
日間放置した後、ハンターの疲労試験機を用い、ステア
ケース法により一定圧力下における破断強度(推定疲労
限界)を求めた。その結果、破断強度(推定疲労限界)
は、比較例10では68kgf/mm2であったのに対し、実施例1
7では103kgf/mm2であった。
一般に、接着複合体の場合でも、これを腐食環境下に放
置すると、接着複合体中に埋込まれたコードの疲労強度
は著しく劣化するといわれており、実際に比較例10の疲
労強度の測定結果はこのことを示している。これに対し
て、処理コードを用いた接着複合体(実施例17)は、腐
食環境に強いことが明らかである。
〔発明の効果〕
以上詳述したように本発明によれば、工業生産に適した
処理速度を可能にするスチールワイヤの表面処理方法、
この表面処理に適したトリアジンチオール誘導体を含有
する潤滑剤、及び表面処理が施されたスチールワイヤと
ゴムからなり、耐熱性、耐水性、耐スチーム性、耐疲労
性に優れたスチールワイヤ−ゴム接着複合体を提供する
ことができ、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例において用いられた湿式伸線装
置の概略構成図、第2図は同湿式伸線装置のダイスを示
す断面図である。 1……供給ボビン、2、11……ガイドロール、3、6…
…フリーロール、4、7、9……ダイス、5、8……駆
動ロール、10……キャプスタン、12……巻取ボビン、1
2、13……ダイスケース、14……超硬チップ、20……潤
滑槽、21……潤滑剤、22……スチールワイヤ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 30:00 Z 40:24 Z (72)発明者 白鳥 信令 茨城県新治郡千代田村大字下稲吉1967―9 (72)発明者 片山 政材 茨城県新治郡千代田村大字下稲吉2296 東 京製綱アパートA1棟401号 (56)参考文献 特開 昭54−33576(JP,A) 特開 昭61−78837(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (前記式中、Rは−OR′,−SR′,−NHR′,−N
    (R′)2;R′はアルキル基、アルケニル基、フェニル
    基、フェニルアルキル基、アルキルフェニル基、又はシ
    クロアルキル基、MはH、Na、Li、K、1/2Mg、1/2Ba、
    1/2Ca、脂肪族1級、2級もしくは3級アミン、第4級
    アンモニウム塩、又はホスホニウム塩) で示されるトリアジンチオール誘導体を含有するスチー
    ルワイヤ伸線用潤滑剤を伸線機に収容し、スチールワイ
    ヤを伸線しながら表面処理することを特徴とするスチー
    ルワイヤの表面処理方法。
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