JPH06341073A - スチールワイヤ−ゴム接着複合体 - Google Patents

スチールワイヤ−ゴム接着複合体

Info

Publication number
JPH06341073A
JPH06341073A JP84594A JP84594A JPH06341073A JP H06341073 A JPH06341073 A JP H06341073A JP 84594 A JP84594 A JP 84594A JP 84594 A JP84594 A JP 84594A JP H06341073 A JPH06341073 A JP H06341073A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel wire
rubber
weight
parts
wire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP84594A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunio Mori
邦夫 森
Akira Umehara
晟 梅原
Nobunori Shiratori
信令 白鳥
Masaki Katayama
政材 片山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sankyo Kasei Co Ltd
Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
Tokyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Kasei Co Ltd
Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
Tokyo Seiko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sankyo Kasei Co Ltd, Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd, Tokyo Seiko Co Ltd filed Critical Sankyo Kasei Co Ltd
Priority to JP84594A priority Critical patent/JPH06341073A/ja
Publication of JPH06341073A publication Critical patent/JPH06341073A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
    • DTEXTILES; PAPER
    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
    • D07BROPES OR CABLES IN GENERAL
    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/06Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
    • D07B1/0606Reinforcing cords for rubber or plastic articles
    • D07B1/0666Reinforcing cords for rubber or plastic articles the wires being characterised by an anti-corrosive or adhesion promoting coating

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Composite Materials (AREA)
  • Ropes Or Cables (AREA)
  • Metal Extraction Processes (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、耐水性、耐スチーム性、耐疲労性に
優れたスチールワイヤ−ゴム接着複合体を提供する。 【構成】 トリアジンチオール誘導体を含有する潤滑剤
中での伸線により表面にトリアジンチオール誘導体の緻
密で強固な皮膜が形成されたスチールワイヤとゴムコン
パウンドとを接触させて加熱してなるスチールワイヤ−
ゴム接着複合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスチールワイヤを伸線す
る際に用いられるスチールワイヤ伸線用潤滑剤、この潤
滑剤を用いて行われる表面処理方法、及びこの表面処理
が施されたスチールワイヤとゴムとの接着複合体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】スチールラジアルタイヤ、スチールワイ
ヤ補強コンベアベルト、スチールワイヤ補強タイミング
ベルト、スチールワイヤ補強ホース、スチールワイヤ補
強ハンドレールなど、スチールワイヤ又はこれをより合
せたスチールコードとゴムとの接着複合体においては、
スチールワイヤの表面状態が耐食性及びワイヤ−ゴム間
の接着強度に著しい影響を与える。そこで、清浄な表面
状態を保つために、現状では例えばスチールワイヤはポ
リエチレン袋に入れられ、脱水剤を共存させ、窒素を封
入した状態で出荷され、保存されている。このような過
剰包装の結果、スチールワイヤのコストは高くなってい
る。しかも、こうした包装によっても、スチールワイヤ
の表面状態を清浄に保つことは困難であった。したがっ
て、スチールワイヤを使用して得られる従来のスチール
ラジアルタイヤなどの接着複合体においては、ワイヤ−
ゴム間の接着性、製品の耐熱性、耐油性、耐水性に問題
があった。
【0003】これに対して、本発明者らは、金属の表面
をトリアジンチオール誘導体で処理すると、金属の耐食
性、及びゴムに対する接着性が改善できることを明らか
にした(例えば、森 邦夫:実務金属表面技術,37,
373(1989);特公昭60−41084号;特開
昭58−87034号)。これらの公知技術では、トリ
アジンチオール誘導体を水又は有機溶剤に溶解した溶液
に、金属を浸漬することにより、金属表面にトリアジン
チオール誘導体の皮膜を形成して表面処理を行ってい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来
は、浸漬処理工程に長い処理時間を必要としていた。ま
た、浸漬処理により金属表面に形成されたトリアジンチ
オール誘導体の皮膜は緻密性に欠け、これを使用して製
造されたワイヤ−ゴム接着複合体の耐熱性、耐水性、耐
スチーム性、耐疲労性も充分であるとはいえなかった。
【0005】本発明は前記問題点を解決するためになさ
れたものであり、工業生産に適した処理速度を可能にす
る表面処理方法、この表面処理に適したトリアジンチオ
ール誘導体を含有する潤滑剤、及び表面処理が施された
スチールワイヤとゴムとからなり、耐熱性、耐水性、耐
スチーム性、耐疲労性に優れたスチールワイヤ−ゴム接
着複合体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用】本発明のスチール
ワイヤ−ゴム接着複合体は、スチールワイヤとゴムコン
パウンドとを接触させて加熱してなるスチールワイヤ−
ゴム接着複合体において、前記スチールワイヤの表面に
下記一般式
【0007】
【化2】 (前記式中、Rは−OR’,−SR’,−NHR’,−
N(R’)2 ;R’はアルキル基、アルケニル基、フェ
ニル基、フェニルアルキル基、アルキルフェニル基、又
はシクロアルキル基、MはH、Na、Li、K、1/2
Mg、1/2Ba、1/2Ca、脂肪族1級、2級もし
くは3級アミン、第4級アンモニウム塩、又はホスホニ
ウム塩)で示されるトリアジンチオール誘導体の皮膜が
形成されていることを特徴とするものである。
【0008】本発明のスチールワイヤ−ゴム接着複合体
は、前記一般式で示されるトリアジンチオール誘導体を
含有するスチールワイヤ伸線用潤滑剤を伸線機に収容し
てスチールワイヤを伸線しながら表面処理し、この表面
処理スチールワイヤとゴムコンパウンドとを接触させて
加熱することにより製造することができる。
【0009】本発明に係る潤滑剤は、いわゆるエマルジ
ョンタイプの潤滑剤である。この潤滑剤は、前記一般式
で示されるトリアジンチオール誘導体、極圧防止剤、油
性剤、乳化剤、発泡抑制剤を含有し、これらの成分を水
(中性もしくはアルカリ性)、又はエチレングリコール
誘導体、ポリエチレングリコールもしくはジグライムな
どのグリコールに分散させた乳濁液からなっている。な
お、前記各成分のほかにも、例えば鉄防錆剤や防腐防黴
剤を含有するものもある。この潤滑剤は、処理時にその
まま使用されるか、又は20倍以内、好ましくは5〜1
0倍に希釈して使用される。
【0010】本発明において用いられるトリアジンチオ
ール誘導体を具体的に示すと、以下のようなものが挙げ
られる。例えば、1,3,5−トリアジン−2,4,6
−トリチオール、1,3,5−トリアジン−2,4,6
−トリチオール・モノソジウム、1,3,5−トリアジ
ン−2,4,6−トリチオール・モノカリウム、1,
3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール・モノ
エタノールアミン、1,3,5−トリアジン−2,4,
6−トリチオール・オクチルアミン、1,3,5−トリ
アジン−2,4,6−トリチオール・テトラブチルアン
モニウム塩、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール、6−アニリノ−1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジチオール・モノソジウム、6−アニ
リノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・
トリエチルアミン、6−ジブチルアミノ−1,3,5−
トリアジン−2,4−ジチオール・トリエチルアミン、
6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4
−ジチオール、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジチオール・モノソジウム、6−ジブ
チルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ
ール・エタノールアミン、6−ジブチルアミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・エチルアミ
ン、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール・テトラブチルホスホニウム塩、6
−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジチオール・ブチルアミン、6−ジアリルアミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・エチレンジ
アミン、6−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン
−2,4−ジチオール・エチレントリアミン、6−ジア
リルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオ
ール、6−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジン−
2,4−ジチオール、6−オクチルアミノ−1,3,5
−トリアジン−2,4−ジチオール・モノソジウムなど
がある。これらのうち1種又は2種以上が使用される。
潤滑剤(未希釈)中のトリアジンチオール誘導体の含有
率は通常0.001〜20重量%、好ましくは0.01
〜5重量%であることが望ましい。
【0011】極圧防止剤は、伸線中にワイヤの焼き付き
を防止する作用を有するものである。極圧防止剤として
は、例えばエチレンジアミンリン酸塩、エチレントリア
ミンリン酸塩、ペンタエチレンテトラミンリン酸塩、プ
ロピレンジアミンリン酸塩、ブチレンジアミンリン酸
塩、ブチルアミンリン酸塩、オクチルアミンリン酸塩、
オレイルアミンリン酸塩、脂肪酸エステル・エチレノキ
シド付加物、リン酸メチルエステル・プロピレノキシド
付加物、リン酸ブチルエステル・プロピレノキシド付加
物、リン酸オクチルエステル・プロピレノキシド付加
物、リン酸オレイルエステル・プロピレノキシド付加物
などが挙げられる。これらのうち1種又は2種以上が使
用される。潤滑剤(未希釈)中の極圧防止剤の含有率
は、0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%で
あることが望ましい。
【0012】油性剤は、伸線中にワイヤの焼き付きを防
止し、ぬれ性を改善する作用を有するものである。油性
剤としては、一般に脂肪酸のアミン塩が用いられる。例
えば、酢酸・オクチルアミン、ステアリン酸・エタノー
ルアミン、ステアリン酸・ジエタノールアミン、オクチ
ル酸・ジエタノールアミン、リノレン酸・ジエタノール
アミン、オレイン酸・ジエタノールアミン、オレイン酸
・ブチルアミンなどが挙げられる。また、油性剤として
は、脂肪酸とエポキシ化合物との反応生成物(例えばオ
レイン酸テトラエチレングリコール、オクチル酸ペンタ
エチレングリコール、ステアリン酸ノナエチレングリコ
ール、エルカ酸デカエチレングリコール、リノール酸デ
カエチレングリコールなど)、脂肪酸エステルとエポキ
シ化合物との反応生成物(例えばオクチル酸ブタンジオ
ールエステルテトラエチレングリコール、オレイン酸ブ
タンジオールエステルヘキサエチレングリコール、ステ
アリン酸ブタンジオールエステルペンタエチレングリコ
ール、カプロン酸ブタンジオールエステルペンタエチレ
ングリコール、カプロン酸ヘキサンジオールエステルペ
ンタエチレングリコールなど)が挙げられる。これらは
1種又は2種以上混合して使用される。潤滑剤(未希
釈)中の油性剤の含有率は、0.1〜20重量%、好ま
しくは1〜15重量%であることが望ましい。
【0013】乳化剤は極圧防止剤、油性剤、発泡抑制剤
などを水に乳化させる作用を有するものである。乳化剤
としては、一般にアルキルアミンとエポキシ化合物との
反応生成物が用いられる。例えば、オクチルアミンテト
ラエチレングリコール、ドデシルアミンデカエチレング
リコール、オレイルアミンデカエチレングリコール、ス
テアリルアミンオクタエチレングリコールなどが挙げら
れる。潤滑剤(未希釈)中の乳化剤の含有率は、0.1
〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%であること
が望ましい。
【0014】発泡抑制剤はエマルジョンの発泡を抑制す
る作用を有するものである。発泡抑制剤としては、例え
ばデカン、オクタン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、ノ
ナデカンのようなミネラルスピリットが使用される。潤
滑剤(未希釈)中の発泡抑制剤の含有率は、0.1〜1
0重量%、好ましくは0.5〜5重量%であることが望
ましい。
【0015】防錆剤は伸線中のワイヤの鉄及び黄銅成分
の腐食を防止する作用を有するものである。防錆剤とし
ては、例えばパラオキシ安息香酸メチル、ビスフェノー
ルA、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール
などを挙げることができる。ただし、トリアジンチオー
ル誘導体も防錆作用を有するので、必ずしも前記の防錆
剤を配合する必要はない。潤滑剤(未希釈)中の防錆剤
の含有率は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜
1重量%であることが望ましい。
【0016】防腐防黴剤は微生物による液の汚染を防止
する作用を有する。防腐防黴剤としては、例えば1,2
−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、塩素化フェノー
ル、ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド放出剤などが
挙げられる。ただし、トリアジンチオール誘導体も防腐
防黴作用を有するので、必ずしも前記の防腐防黴剤を配
合する必要はない。潤滑剤(未希釈)中の防腐防黴剤の
含有率は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜1
重量%であることが望ましい。
【0017】本発明において、スチールワイヤとは、め
っきを施していない裸スチールワイヤ、銅めっきスチー
ルワイヤ、黄銅めっきスチールワイヤ、ニッケルめっき
スチールワイヤ、スズめっきスチールワイヤ、亜鉛めっ
きスチールワイヤ、銅−スズめっきスチールワイヤ、コ
バルトめっきスチールワイヤなどを意味する。伸線前の
めっき厚は通常100〜10000オングストローム、
好ましくは1500〜4000オングストロームであ
る。また、めっき量で示せば、通常0.1〜40g/k
g、好ましくは0.5〜10g/kgである。
【0018】本発明において、スチールワイヤの伸線は
湿式型の伸線機を用いて行われる。すなわち、湿式伸線
機の潤滑槽にダイスを取付け、潤滑剤を収容し、前記ダ
イス中を例えば0.1〜10mm径、好ましくは1〜4
mm径のスチールワイヤを1〜2000m/分の速度で
通して、0.01〜5mm径、通常は0.1〜1mm径
まで伸線する。一般に、裸スチールワイヤやニッケルめ
っきスチールワイヤのように硬いスチールワイヤの場合
には、低速で伸線され、伸線加工度も低いが、銅めっき
スチールワイヤや黄銅めっきスチールワイヤ(めっき中
の銅含有率65%以上)のように軟らかいスチールワイ
ヤの場合には、高速で伸線でき、伸線加工度も高くする
ことができる。したがって、前述しためっき厚、伸線速
度、及び伸線の程度の最適値は、当然スチールワイヤの
種類によって異なる。
【0019】以上のような伸線操作によって、スチール
ワイヤ表面には緻密で強固なトリアジンチオール誘導体
の皮膜が形成される。その詳細な機構については、完全
に解明されているわけではないが、以下のように推定さ
れる。
【0020】まず、スチールワイヤが潤滑剤と接触する
と、ワイヤ表面にトリアジンチオール誘導体が吸着され
る。この状態は、従来の浸漬法でワイヤ表面にトリアジ
ンチオール誘導体の皮膜が形成された状態と大差ないと
考えられる。引き続いて行われる伸線過程では、ワイヤ
表面の皮膜は、瞬時ではあるが高温高圧にさらされる。
例えば、黄銅めっきスチールワイヤを100kgf/m
2 の伸線圧力で伸線すると、表面温度は数百℃に達す
るといわれている。この結果、トリアジンチオール誘導
体の皮膜は緻密でかつ強固となり、ゴムに対する接着性
が良好な性質に変化するものと推定される。
【0021】以上のようにして伸線と同時に表面処理さ
れたスチールワイヤは、単線又はより合せてコードとし
て使用される。より合せ方には種々の方法があるが、現
在一般的に使用されている方法(例えば、福原節雄:繊
維と工業,40,No.11,627(1984))は
全て適用でき、前述した処理によってより合せに不都合
が生じることはない。
【0022】これらのスチールワイヤ又はこれをより合
せたスチールコードは、ゴムコンパウンドと接着され、
例えばスチールラジアルタイヤ、スチールコード補強コ
ンベアベルト、スチールコード補強タイミングベルト、
スチールコード補強ホース、スチールコード補強ハンド
レールなどの製品が製造される。
【0023】本発明において用いられるゴムコンパウン
ドの組成は特に限定されない。ゴムコンパウンドとして
は、ゴム、充填剤、軟化剤、架橋剤、架橋促進剤の各成
分を含有するものが用いられる。また、ゴムコンパウン
ドは、前記の成分のほかにも、滑剤、安定剤、接着助剤
(接着促進剤)などの成分を含有してもよい。
【0024】ゴムとしては、各種天然ゴム(NR)、イ
ソプレンゴム、ブタジエンゴム、溶液重合ブタジエンゴ
ム、溶液重合ブタジエン−スチレン共重合ゴム、アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、エチレン−プロピ
レン共重合ゴム、エチレン−プロピレン三元共重合ゴ
ム、シリコーンゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、
臭素化ブチルゴム、クロロプレンゴム、フッ素ゴム、ヒ
ドリンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド
共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド
−アリルグリシジルエーテル三元共重合ゴム、エピクロ
ルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジル
エーテル三元共重合ゴム、塩素化ポリエチレン、アクリ
ルゴムとその共重合ゴム(塩素系、エポキシ系、不飽和
系)、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エステル三元
共重合ゴム、ウレタンゴムなどを挙げることができる。
【0025】充填剤は増量や補強の目的で配合される。
充填剤としては、例えばカーボンブラック、ゴム増強用
カーボンブラック、ホワイトカーボン、ハードクレー、
炭酸カルシウム、珪酸塩などが挙げられる。充填剤の配
合量は、ゴム100重量部に対して5〜200重量部、
好ましくは30〜100重量部である。
【0026】軟化剤はゴムの加工性や成形性を向上させ
るために配合される。軟化剤としては、例えばジオクチ
ルフタレートやジブチルフタレートのようなフタル酸エ
ステル系可塑剤、アジピン酸ジオクチルやセバシン酸ジ
オクチルのような脂肪酸エステル系可塑剤、トリフェニ
ルリン酸エステルやトリクレジルリン酸エステルのよう
なリン酸エステル系可塑剤、塩化パラフィン、プロセス
オイル、ナフテンオイルなどが挙げられる。軟化剤の配
合量は、ゴム100重量部に対して100重量部以下、
好ましくは5〜50重量部である。
【0027】架橋剤はゴム材料の弾性を発揮させるため
に配合される。使用される架橋剤はゴムの種類によって
異なるが、主なものとして以下のようなものが挙げられ
る。例えば、硫黄、ジクミルペルオキシド、1,1−ビ
ス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル
シクロヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキ
シ)イソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、ペルヘキシモン−F−40、1,3,5−トリアジ
ン−2,4,6−トリチオール、6−ブチルアミノ−
1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、エチレ
ンチオウレア、ヘキサメチレンジアミン、安息香酸アン
モニウム、ビスフェノールAなどがある。架橋剤の配合
量は個々のゴムによって異なるため、一概に限定できな
いが、一般的にはゴム100重量部に対して0.1〜1
0重量部が適当である。
【0028】架橋促進剤は架橋剤の作用を促進するため
に配合される。架橋促進剤としては、例えばMgO、Z
nO、BaO、Ca(OH)2 などの金属活性剤;2−
メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾリルジス
ルフィドなどのチアゾール系促進剤;N−シクロヘキシ
ル−2−ベンゾチアジルスルフェナミド、N−モルホニ
リルベンゾールスルフェナミドなどのスルフェナミド系
促進剤;テトラメチルチュウラムジスルフィドなどのチ
ュウラム系促進剤;脂肪酸アミン、4級アンモニウム
塩、有機ホスホニウム塩、トリアリルイソシアヌレー
ト、トリメチロールプロパントリアクリレート、フタル
酸ジアリルなどの多官能性モノマーが挙げられる。これ
らは1種又は2種以上配合される。架橋促進剤の配合量
はゴム及び架橋剤の種類によって異なるため、一概に限
定できないが、一般的にはゴム100重量部に対して
0.1〜20重量部が適当である。スチールワイヤ−ゴ
ム接着複合体を製造するためには、ゴムコンパウンド中
に少なくとも前記の各成分が含有されている必要があ
る。また、下記の滑剤、安定剤、接着助剤などの成分は
スチールワイヤ−ゴム接着複合体を得るためには必ずし
も必要ではないが、これらの成分が含有されていると、
スチールワイヤ−ゴム接着複合体の耐水性、耐熱制、耐
スチーム性、耐疲労性を改善するのに有利となる。
【0029】滑剤は接着複合化の際にゴムコンパウンド
の流れを良くするために配合される。滑剤としては、例
えばステアリン酸、ステアリン酸のNa塩、Mg塩、C
a塩、Ba塩又はZn塩、ステアリン酸エチレンビスア
ミド、エルカ酸エチレンビスアミド、パラフィン、ワッ
クスなどを挙げることができる。滑剤は一般的にはゴム
100重量部に対して0.1〜5重量部配合される。
【0030】安定剤は接着複合体の劣化を防止するため
に配合される。安定剤としては、例えばフェニレンジア
ミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、ニッケル
ジチオカルバメート、ベンゾフェノンなどが挙げられ
る。安定剤は一般的にはゴム100重量部に対して0.
1〜5重量部配合される。
【0031】接着助剤としては、例えば1,3,5−ト
リアジン−2,4,6−トリチオール、6−ブチルアミ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6
−ジアリルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−
ジチオール、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバル
トなどのコバルト酸塩、アミノ安息香酸金属塩(Co、
Mn、Zn、Mo、Cr)、レゾルシン、クレゾール、
レゾルシン−ホルマリンラテックス、レゾールタイプフ
ェノール樹脂(未硬化のものを含む)、ホルマリン−ア
ルキルフェノール樹脂、ホルマリン−クレゾール樹脂
(未硬化のものを含む)、モノメチロールメラミン、ジ
メチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサ
メチロールメラミン、モノメトキシメチロールメラミ
ン、テトラメトキシメチロールメラミン、ペンタメトキ
シメチロールメラミン、モノメチロール尿素、トリメチ
ロール尿素、トリメトキシメチロール尿素、エチレンマ
レイミド、ブチレンマレイミド、フェニレンマレイミ
ド、アビエチン酸金属塩(Co、Ni、Fe、Mn)な
どが挙げられる。接着助剤はゴム100重量部に対して
0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜5重量部配合
される。
【0032】本発明においては、前述した表面処理が施
されたスチールワイヤ(コード)とゴムコンパウンドと
を接触させ、ホットプレス又はスチーム加熱することに
より架橋の終了と同時に接着複合化が行われ、スチール
ワイヤ−ゴム接着複合体が得られる。この工程の条件
は、通常、80〜230℃、好ましくは130〜180
℃で5〜180分、好ましくは10〜60分である。な
お、ゴム又は架橋剤系の種類によっては、更に後架橋を
行う場合もある。
【0033】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。まず、本
発明の実施例において用いられた湿式伸線装置につい
て、図1及び図2を参照して説明する。図1において、
潤滑槽20内には潤滑液21が収容されている。スチー
ルワイヤ22は供給ボビン1からガイドロール2を介し
て、潤滑槽20内部のダイス4を通過するようにフリー
ロール3及び駆動ロール5にかけわたされ、再度前記と
同様にダイス7を通過するようにフリーロール6及び駆
動ロール8にかけわたされ、ダイス9を通過して、潤滑
槽20外部のキャプスタン10及びガイドロール11を
介して巻取ボビン12に巻き取られる。前記ダイス4、
7は複数段のダイスを重ねたものである。これらダイス
4、7を構成する個々のダイスは、図2に示すように、
ダイスケース13内部に超硬チップ14を取付けた構造
を有している。
【0034】実施例1〜5及び比較例1 エチレンジアミン・リン酸塩4重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、オ
クチル酸テトラエチレングリコール2重量部、ドデシル
リン酸ブタンジオールエステルペンタプロピレングリコ
ール5重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.5重量
部、メチルベンゾトリアゾール1重量部、1,2−ベン
ゾイソチアゾリン−3−オン0.5重量部、水72.5
重量部、及び表1に示すトリアジンチオール誘導体0.
5重量部からなる、5種の新規なエマルジョンタイプの
潤滑剤を調製した(実施例1〜5)。また、トリアジン
チオール誘導体を含まない以外は前記と同一組成のエマ
ルジョンタイプの潤滑剤を調製した(比較例1)。
【0035】前記6種の潤滑剤を7倍に希釈して、それ
ぞれ湿式伸線装置の潤滑槽に収容し、1.68mm径の
黄銅めっきスチールワイヤ(めっき量4.1g/kg、
めっき中のCu含有率65%)を約850m/分の伸線
速度で引いて、6種の0.30mm径のスチールワイヤ
を得た。これら6種のスチールワイヤを用い、それぞれ
2本より合せて、6種の接着用スチールコード試料を作
製した。
【0036】一方、天然ゴム(NR)100重量部、カ
ーボンブラック(HAF)50重量部、プロセスオイル
5重量部、硫黄5重量部、N−シクルヘキシル−2−ベ
ンゾチアジルスルフェナミド(CBS)0.8重量部、
酸化亜鉛10重量部、ナフテン酸コバルト2重量部、6
−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒド
ロキノン1重量部、レゾルシン3重量部、ヘキサメチロ
ールメラミン4重量部からなるNRコンパウンドを調製
しておいた。
【0037】このNRコンパウンドに前記6種の接着用
コード試料をそれぞれ1.6cm埋込み、140℃で3
0分間加硫を行い、6種の接着複合体試料を複数ずつ作
製した。
【0038】各接着複合体試料について、自動引張試験
機を用いて20℃において50mm/分の引張り速度で
コードを引抜くという方法で、初期及び水蒸気雰囲気中
で所定時間劣化(スチーム劣化)した後の引抜き強度を
測定した。また、引抜かれたコード表面におけるゴムの
付着率を調べた。なお、スチーム劣化は、各接着複合体
試料を湿度100%、120℃の水蒸気雰囲気中にそれ
ぞれ10〜25時間(表1に表示)の範囲で時間を変化
させて放置するという方法で行った。これらの結果をま
とめて表1に示す。
【0039】表1から明らかなように、トリアジンチオ
ール誘導体を含有する潤滑剤を用いて伸線された黄銅ス
チールワイヤとゴムとを接着した実施例1〜5の接着複
合体は、トリアジンチオール誘導体を含有しない潤滑剤
を用いて伸線された黄銅スチールワイヤとゴムとを接着
した比較例1の接着複合体と比較して、初期の引抜き強
度は同程度であるものの、スチーム劣化後の引抜き強度
が著しく向上し、接着性が優れている。
【0040】
【表1】
【0041】実施例6〜10及び比較例2、3 エチレンジアミン・リン酸塩4重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、オ
クチル酸テトラエチレングリコール2重量部、ドデシル
リン酸ブタンジオールエステルペンタプロピレングリコ
ール5重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.5重量
部、メチルベンゾトリアゾール1重量部、及び水72.
5重量部に対して、6−ジブチルアミノ−1,3,5−
トリアジン−2,4−ジチオール・モノエタノールアミ
ン(DBME)を0.15〜3g/100mlの範囲
(表2に表示)で濃度を変化させて配合して、5種の新
規なエマルジョンタイプの潤滑剤を調製した(実施例6
〜10、比較例2)。また、DBMEを含まない以外は
前記と同一組成のエマルジョンタイプの潤滑剤を調製し
た(比較例3)。
【0042】前記6種の潤滑剤を7倍に希釈して、それ
ぞれ湿式伸線装置の潤滑槽に収容し、1.68mm径の
裸(めっきなし)スチールワイヤ又は黄銅めっきスチー
ルワイヤ(めっき厚5800オングストローム、めっき
中のCu含有率65%)を、表2に示すように0.5〜
100m/分の伸線速度で引いて、6種の1.50mm
径の裸スチールワイヤ(実施例6〜10、比較例2)及
び1種の1.50mm径の黄銅めっきスチールワイヤ
(比較例3)を得た。これらをそのまま7種の接着用ス
チールワイヤ試料とした。
【0043】一方、NR100重量部、カーボンブラッ
ク(HAF)50重量部、プロセスオイル5重量部、硫
黄4重量部、N−シクルヘキシル−2−ベンゾチアジル
スルフェナミド(CBS)0.8重量部、酸化亜鉛10
重量部、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,
2−ジヒドロキノン1重量部、レゾルシン3重量部、ヘ
キサメチロールメラミン4重量部からなるNRコンパウ
ンドを調製しておいた。
【0044】このNRコンパウンドに前記7種の接着用
ワイヤ試料をそれぞれ2.54cm埋込み、153℃で
30分間加硫を行い、7種の接着複合体試料を複数ずつ
作製した。
【0045】各接着複合体試料について、自動引張試験
機を用いて20℃において50mm/分の引張り速度で
コードを引抜くという方法で、初期及び水蒸気雰囲気中
で所定時間劣化(スチーム劣化)した後の引抜き強度を
測定した。なお、スチーム劣化は、各接着複合体試料を
湿度100%、120℃の水蒸気雰囲気中にそれぞれ1
0〜25時間(表2に表示)の範囲で時間を変化させて
放置するという方法で行った。これらの結果をまとめて
表2に示す。
【0046】表2から明らかなように、DBMEを含有
する潤滑剤を用いているものの非常に低速で伸線を行っ
た裸スチールワイヤとゴムとを接着した、比較例2の接
着複合体では、引抜き強度が小さい。この引抜き強度の
値は伸線(したがって表面処理)を行っていない裸スチ
ールワイヤとゴムコンパウンドとの接着複合体と同程度
である。従来から、めっきしていない裸スチールワイヤ
はゴムと全く接着しないといわれていることから、比較
例2でも裸スチールワイヤとゴムとはほとんど接着して
いないと考えられる。表2には示していないが、比較例
2の接着複合体から引抜かれたワイヤにはゴムが全く付
着していないことからも裸スチールワイヤとゴムとはほ
とんど接着しないことが明らかである。したがって、比
較例2の接着複合体が示す引抜き強度は、単に加硫ゴム
中に埋め込まれているワイヤを引き抜く時の摩擦のみに
よるものである。
【0047】一方、トリアジンチオール誘導体を含有し
ない潤滑剤を用いて伸線された黄銅めっきワイヤとゴム
とを接着した、比較例3の接着複合体では、初期の引抜
き強度は大きい値を示すが、スチーム劣化後の引抜き強
度は小さい。
【0048】これに対して、DBMEを含有する潤滑剤
を用い、比較例2より伸線速度を速めて(比較例3と同
程度以上)伸線された裸スチールワイヤとゴムとを接着
した、実施例6〜10の接着複合体では、初期の引抜き
強度が比較例2より著しく向上し、スチーム劣化後の引
抜き強度も比較例2及び比較例3より著しく向上してい
る。これらの結果から、トリアジンチオール誘導体を含
有する潤滑剤を用いた伸線処理が有効であることがわか
る。
【0049】
【表2】
【0050】実施例11〜15及び比較例4〜8 エチレンジアミン・リン酸塩3重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、ラ
ウリル酸テトラエチレングリコール2重量部、ドデシル
リン酸ブタンジオールエステルペンタプロピレングリコ
ール5重量部、パラオキシ安息香酸メチル0.5重量
部、ベンゾトリアゾール1重量部、水72.5重量部、
及び1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオー
ル・ジエタノールアミン(FDE)1重量部を配合して
1種の新規なエマルジョンタイプの潤滑剤を調製した
(実施例11〜15)。また、FDEを含まない以外は
前記と同一組成のエマルジョンタイプの潤滑剤を調製し
た(比較例4〜8)。
【0051】前記2種の潤滑剤を7倍に希釈して、それ
ぞれ湿式伸線装置の潤滑槽に収容し、1.60mm径及
び1.00mm径の黄銅めっきスチールワイヤ(めっき
量4.1g/kg、めっき中のCu含有率65%)をそ
れぞれ約800m/分の伸線速度で引いて、0.38m
m径及び0.20mm径黄銅めっきスチールワイヤを得
た。各潤滑剤を用いて伸線されたワイヤを用い、それぞ
れ内側に0.20mm径のワイヤ3本、及び外側に0.
38mm径のワイヤ6本をより合せて、2種の1.26
mm径の接着用スチールコード試料を作製した。
【0052】一方、NR100重量部、カーボンブラッ
ク(HAF)50重量部、プロセスオイル5重量部、硫
黄1〜8重量部(表3に表示)、N−シクルヘキシル−
2−ベンゾチアジルスルフェナミド(CBS)0.8重
量部、酸化亜鉛10重量部、N,N’−ジオクチルフェ
ニレンジアミン(ノンフレックスOD−3)1重量部か
らなり、1.5mm×12mm×10cmの寸法を有す
る5種のNRコンパウンドシートを調製しておいた。
【0053】これら5種のNRコンパウンドシート上
に、前記2種の接着用コード試料をそれぞれ10本ずつ
並べ、153℃で30分間加硫を行い、10種の接着複
合体を作製した。これら10種の接着複合体について、
それぞれ両端のコード1本ずつを切取り、残り8本を接
着複合体試料とした。
【0054】各接着複合体試料について、自動引張試験
機を用いて20℃において50mm/分の引張り速度で
接着複合体から加硫ゴムを剥離して、初期、熱水処理
(水分劣化)後、及び加熱処理(加熱劣化)後の剥離強
度を測定した。なお、熱水処理(水分劣化)は、接着複
合体試料を95℃の熱水中に5日間放置して行った。ま
た、加熱処理(加熱劣化)は、接着複合体試料を100
℃のテストチューブ中に3日間放置して行った。これら
の結果をまとめて表3に示す。
【0055】表3から明らかなように、トリアジンチオ
ール誘導体を含有しない潤滑剤で伸線がなされたコード
を用いた比較例4〜8の接着複合体では、初期の剥離強
度については、ゴムコンパウンド中の硫黄含有量が増加
するほど大きくなっている。また、劣化後の剥離強度に
ついては、ゴムコンパウンド中の硫黄含有量が2重量部
(phr)程度で最大となり、ゴムコンパウンド中の硫
黄含有量がそれ以上大きくなると小さくなる。このた
め、初期及び劣化後の剥離強度がともに良好となるよう
な、適当な組成のゴムコンパウンドの組成が存在しな
い。
【0056】これに対して、FDEを含有する潤滑剤で
伸線(表面処理)がなされたコードを用いた実施例11
〜15の接着複合体では、初期及び劣化後の剥離強度と
もに、変化の傾向は前述したのとほぼ同様であるが、特
にゴムコンパウンド中の硫黄含有量が低い場合の初期の
剥離強度と、ゴムコンパウンド中の硫黄含有量が高い場
合の劣化後の剥離強度が改善されている。この結果、最
適なゴムコンパウンドの組成を設定することにより、接
着複合体の初期及び劣化後の剥離強度をともに満足する
ことができる。
【0057】
【表3】
【0058】実施例16、17及び比較例9、10 エチレンジアミン・リン酸塩3重量部、オレイン酸トリ
エタノールアミン塩8重量部、ラウリルアミンオクタエ
チレングリコール4重量部、オクタデカン3重量部、リ
ノレン酸ブタンジオールエステルテトラエチレングリコ
ール2重量部、ドデシルリン酸ブタンジオールエステル
ペンタプロピレングリコール5重量部、パラオキシ安息
香酸メチル0.5重量部、ベンゾトリアゾール1重量
部、水72.5重量部、及び6−ジブチルアミノ−1,
3,5−トリアジン−2,4−ジチオール・モノエチレ
ンジアミン(DBME)1重量部からなる、1種の新規
なエマルジョンタイプの潤滑剤を調製した(実施例1
6、17)。また、DBMEを含まない以外は前記と同
一組成のエマルジョンタイプの潤滑剤を調製した(比較
例9、10)。
【0059】前記2種の潤滑剤を7倍に希釈して、それ
ぞれ湿式伸線装置の潤滑槽に収容し、1.25mm径の
黄銅めっきスチールワイヤ(めっき量4.1g/kg、
めっき中のCu含有率65%)を約800m/分の伸線
速度で引いて、2種の0.25mm径の黄銅めっきスチ
ールワイヤを得た。これら2種のワイヤを用い、それぞ
れ5本より合せて、2種の接着用スチールコード試料を
作製した。
【0060】前記処理コード(実施例16)及び未処理
コード(比較例9)をそれぞれ70℃、湿度90%の雰
囲気中に3日間放置した後、ハンターの疲労試験機を用
い、ステアケース法により一定圧力下における破断強度
(推定疲労限界)を求めた。
【0061】その結果、破断強度(推定疲労限界)は、
比較例9では81kgf/mm2 であったのに対し、実
施例16では107kgf/mm2 であった。この結果
から明らかなように、処理コード(実施例16)は、未
処理コード(比較例9)と比較して、腐食環境にさらさ
れても高い疲労強度を示すことから、耐食性が著しく改
善されたことがわかる。
【0062】一方、NR70重量部、ブタジエンゴム
(BR)30重量部、カーボンブラック(HAF)50
重量部、プロセスオイル5重量部、硫黄5重量部、N−
シクルヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェナミド
(CBS)0.8重量部、酸化亜鉛10重量部、N−
(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フ
ェニレンジアミン1重量部からなるNR−BRコンパウ
ンドを調製しておいた。
【0063】このNR−BRコンパウンドにそれぞれ処
理コード(実施例17)又は未処理コード(比較例9)
を埋込み、これらをそれぞれ金型に入れ、150℃で3
0分間加硫を行い、2種の3mm径×1mの接着複合体
試料を作製した。これらの接着複合体試料をそれぞれ7
0℃、湿度90%の雰囲気中に3日間放置した後、ハン
ターの疲労試験機を用い、ステアケース法により一定圧
力下における破断強度(推定疲労限界)を求めた。その
結果、破断強度(推定疲労限界)は、比較例10では6
8kgf/mm2 であったのに対し、実施例17では1
03kgf/mm2 であった。
【0064】一般に、接着複合体の場合でも、これを腐
食環境下に放置すると、接着複合体中に埋込まれたコー
ドの疲労強度は著しく劣化するといわれており、実際に
比較例10の疲労強度の測定結果はこのことを示してい
る。これに対して、処理コードを用いた接着複合体(実
施例17)は、腐食環境に強いことが明らかである。
【0065】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、表
面処理が施されたスチールワイヤとゴムとを加熱接着さ
せることにより、耐熱性、耐水性、耐スチーム性、耐疲
労性に優れたスチールワイヤ−ゴム接着複合体を提供す
ることができ、その工業的価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において用いられた湿式伸線装
置の概略構成図。
【図2】同湿式伸線装置のダイスを示す断面図。
【符号の説明】
1…供給ボビン、2、11…ガイドロール、3、6…フ
リーロール、4、7、9…ダイス、5、8…駆動ロー
ル、10…キャプスタン、12…巻取ボビン、13…ダ
イスケース、14…超硬チップ、20…潤滑槽、21…
潤滑剤、22…スチールワイヤ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08L 21:00 D06M 101:00 (72)発明者 梅原 晟 大阪府大阪市生野区今里三丁目10の6 (72)発明者 白鳥 信令 茨城県新治郡千代田村大字下稲吉1967の9 (72)発明者 片山 政材 茨城県新治郡千代田村大字下稲吉2296 東 京製綱アパートA1棟401号

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチールワイヤとゴムコンパウンドとを
    接触させて加熱してなるスチールワイヤ−ゴム接着複合
    体において、前記スチールワイヤの表面に、下記一般式 【化1】 (前記式中、Rは−OR’,−SR’,−NHR’,−
    N(R’)2 ;R’はアルキル基、アルケニル基、フェ
    ニル基、フェニルアルキル基、アルキルフェニル基、又
    はシクロアルキル基、MはH、Na、Li、K、1/2
    Mg、1/2Ba、1/2Ca、脂肪族1級、2級もし
    くは3級アミン、第4級アンモニウム塩、又はホスホニ
    ウム塩)で示されるトリアジンチオール誘導体の皮膜が
    形成されていることを特徴とするスチールワイヤ−ゴム
    接着複合体。
JP84594A 1994-01-10 1994-01-10 スチールワイヤ−ゴム接着複合体 Pending JPH06341073A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP84594A JPH06341073A (ja) 1994-01-10 1994-01-10 スチールワイヤ−ゴム接着複合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP84594A JPH06341073A (ja) 1994-01-10 1994-01-10 スチールワイヤ−ゴム接着複合体

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1031354A Division JPH0737630B2 (ja) 1989-02-10 1989-02-10 スチールワイヤの表面処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06341073A true JPH06341073A (ja) 1994-12-13

Family

ID=11484979

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP84594A Pending JPH06341073A (ja) 1994-01-10 1994-01-10 スチールワイヤ−ゴム接着複合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06341073A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998001614A1 (fr) * 1996-07-09 1998-01-15 Nippon Glass Fiber Co., Ltd. Traitement pour fibres de renfort pour caoutchoucs, fibres de renfort, et caoutchoucs renforces
WO2001062460A1 (fr) * 2000-02-23 2001-08-30 The Yokohama Rubber Co.,Ltd. Procede et dispositif de production de fils composites caoutchouc/acier non vulcanises
WO2001072492A1 (fr) * 2000-03-27 2001-10-04 The Yokohama Rubber Co.,Ltd. Procede et dispositif permettant de fabriquer des composites elastomere/fil d'acier
EP1172430A2 (en) * 2000-06-29 2002-01-16 Bridgestone Corporation Lubricant composition for steel filament and rubber-steel filament composite body
JP2005291281A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Bridgestone Corp 油圧ホース
CN103147288A (zh) * 2013-02-22 2013-06-12 江南大学 一种基于三聚氯氰的卤胺类抗菌材料的制备方法
CN107139415A (zh) * 2017-06-21 2017-09-08 西安西古光通信有限公司 一种表面涂胶磷化钢丝的生产装置及生产方法

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998001614A1 (fr) * 1996-07-09 1998-01-15 Nippon Glass Fiber Co., Ltd. Traitement pour fibres de renfort pour caoutchoucs, fibres de renfort, et caoutchoucs renforces
US6262154B1 (en) 1996-07-09 2001-07-17 Nippon Sheet Glass Co., Ltd. Treatment for rubber-reinforcing fibers, reinforcing fibers, and reinforced rubbers
WO2001062460A1 (fr) * 2000-02-23 2001-08-30 The Yokohama Rubber Co.,Ltd. Procede et dispositif de production de fils composites caoutchouc/acier non vulcanises
WO2001072492A1 (fr) * 2000-03-27 2001-10-04 The Yokohama Rubber Co.,Ltd. Procede et dispositif permettant de fabriquer des composites elastomere/fil d'acier
EP1172430A2 (en) * 2000-06-29 2002-01-16 Bridgestone Corporation Lubricant composition for steel filament and rubber-steel filament composite body
EP1172430A3 (en) * 2000-06-29 2002-04-03 Bridgestone Corporation Lubricant composition for steel filament and rubber-steel filament composite body
JP2005291281A (ja) * 2004-03-31 2005-10-20 Bridgestone Corp 油圧ホース
CN103147288A (zh) * 2013-02-22 2013-06-12 江南大学 一种基于三聚氯氰的卤胺类抗菌材料的制备方法
CN107139415A (zh) * 2017-06-21 2017-09-08 西安西古光通信有限公司 一种表面涂胶磷化钢丝的生产装置及生产方法
CN107139415B (zh) * 2017-06-21 2023-04-07 西安西古光通信有限公司 一种表面涂胶磷化钢丝的生产装置及生产方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5173341A (en) Rubber-reinforcing steel wires and method of manufacturing the same
CN103608513A (zh) 用于补强橡胶制品的补强用帘线及使用其的橡胶制品
WO2011030547A1 (ja) ブラスめっき付きスチールコード及びスチールコード-ゴム複合体並びにこれらを用いたタイヤ
JPH06341073A (ja) スチールワイヤ−ゴム接着複合体
JP6799381B2 (ja) ゴム補強用炭素繊維コード
US20120231193A1 (en) Aramid cord treatment
JPH0737630B2 (ja) スチールワイヤの表面処理方法
JP5452875B2 (ja) スチールコード−ゴム複合体
EP0470280B1 (en) Method for manufacturing polymeric coated steel wires for rubber reinforcement
US4397985A (en) Polyester yarn finish composition
EP0019367B1 (en) Rubber-steel composite article, e.g. a vehicle tire including at least one steel reinforcing element
EP1172430A2 (en) Lubricant composition for steel filament and rubber-steel filament composite body
JP2858967B2 (ja) スチールワイヤの表面処理方法
WO2014208625A1 (ja) アラミド心線及びその製造方法、処理剤、並びに伝動ベルト
WO1998001614A1 (fr) Traitement pour fibres de renfort pour caoutchoucs, fibres de renfort, et caoutchoucs renforces
JP2000355415A (ja) 耐熱性コンベアベルト
JP5745862B2 (ja) 制御された量の水を含有するオイル槽中で金属にシランを適用する方法
JPH07122225B2 (ja) ゴム補強用スチールワイヤ
JP6168850B2 (ja) ゴム−金属複合体
CA2022890C (en) Rubber-reinforcing steel wires and method of manufacturing the same
JP7478576B2 (ja) ゴム補強用アラミド繊維コード
US20210115310A1 (en) Adhesion-improving composition for textile material and associated reinforcing textile material
CN1107750C (zh) 增强软管用的长丝纱帘线及其制造方法和软管
EP3943657A1 (en) Treatment agent for core wires for transmission belts, and core wire and method for producing same
JP3862187B2 (ja) 保護被覆材料及びそれを用いた長尺成形品、多層一体型長尺成形品