JPH073621Y2 - 変圧器用接続線脱着装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は配電線路に設置された
変圧器より電源側の高圧カットアウト、接続線等の取替
え、点検、修理作業を需要家に無停電状態のままで作業
区域を停電状態にしうるように、変圧器のブッシングを
直接保持して接続線の脱着とバイパス線の着脱を絶縁操
作棒による操作で行いうるようにした変圧器用接続線脱
着装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】配電線路に設定された変圧器より電源
側、即、高圧カットアウト、接続線等の取替え、点検、
修理等をする場合には作業区域以外の最寄りの開閉器を
開き、一時的に停電状態として変圧器端子の接続線を外
し、別に備えたバイパスケーブルの接続線と入れ替えて
需要家に電力を供給してから作業を停電状態で行うと
か、変圧器端子への接続線の被覆を剥いでバイパスケー
ブルを接続し、需要家には無停電として作業は充電状態
で行われる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】汎用の変圧器の高圧側
端子には高圧カットアウトからの接続線が磁器の遮蔽栓
で締付けて接続されている。この遮蔽栓を外してバイパ
ス線と入れ替えることは高電圧のため電気事故となるの
で不可能で、従来は前記したような方法がとられている
が、前者では需要家への一時的停電を余儀なくされ、又
後者では手間がかかるだけでなく、作業に危険を伴うの
で問題となっている。

【０００４】この考案は近来電力利用の多様化、高度化
に対応し需要家側は無停電状態のもと、作業区域を停電
状態として作業をすることが要望されていることに鑑
み、ブッシング保持体を用いて絶縁操作棒の操作により
配電用変圧器のブッシングの端子と接続線を固定手段、
押圧手段により一旦拘持し、遮蔽栓の取外しを可能と
し、ブッシングの端子にバイパス線を接続して需要家側
を無停電状態のもと、前記固定手段、押圧手段を解除し
て接続線を外し、作業区域を停電状態とする作業を安
全、迅速かつ確実、容易に行いうる変圧器用接続線脱着
装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案は前記目的を達
成するために、変圧器のブッシングＡを挿入保持する挿
入孔２を形成したブッシング保持体１と、ブッシングＡ
に交叉状に接続した接続線Ｂを挿入保持する凹孔４を前
記ブッシング保持体１の挿入孔２に交叉状に形成した接
続線保持体３とを絶縁材で一体形成し、前記ブッシング
保持体１にブッシングＡを固定する固定手段５を設け、
かつ前記接続線保持体３に接続線Ｂを固定する固定手段
６と接続線ＢをブッシングＡの端子Ｄに接触保持する押
圧手段７を設けてなるものである。

【０００６】

【作用】この考案によれば変圧器用ブッシングＡにブッ
シング保持体１の挿入孔２を挿入するとともにブッシン
グＡの端子Ｄに交叉状に接続された接続線Ｂを凹孔４に
挿入してブッシング保持体１とブッシングＡを固定手段
５で固定するとともに接続線Ｂを固定手段６で凹孔４と
の間に固定し、さらに接続線Ｂを押圧手段７で押圧して
接続線をブッシングＡの端子に接触保持させる。

【０００７】しかる後ブッシングＡの端子Ｄに備えた磁
器等の遮蔽栓Ｅを外し、その端子Ｄに作業区域外の最寄
りの接続部又は移動電源車よりのバイパス線のバイパス
具Ｃを接続して変圧器に電力を供給するようにしてから
前記固定手段５，６および押圧手段７を解除して接続線
ＢをブッシングＡの端子Ｄより抜脱し、作業区域を停電
状態として高圧カットアウト、接続線の取替え、点検、
修理作業を行う。

【０００８】作業終了後は接続線ＢをブッシングＡの端
子Ｄに接続して、前記と同様に固定手段６、押圧手段７
で固定した後、ブッシングＡの端子Ｄに接続したバイパ
ス具Ｃを外して遮蔽栓Ｅを装着して、しかる後固定手段
６、押圧手段７を解除し、さらに固定手段５も解除して
変圧器用接続線脱着装置をブッシングＡから取外すもの
である。

【０００９】

【実施例】実施例について図面を参照して説明する。図
１乃至図６において、Ａは変圧器のブッシング（端子用
碍子）で、汎用の変圧器はその先端に凹部１８を形成
し、かつ内部の導体の端子Ｄに接続線Ｂを交叉状に脱着
する貫通孔２０と遮蔽栓Ｅ又はバイパス線のバイパス具
Ｃを螺合する雄ねじ部２１とを設け、その端子Ｄに座金
２２とばね座２３を備え高圧カットアウト等との接続線
Ｂを凹所１８を通じて貫通孔２０に座金２２とばね座２
３間に挿入して遮蔽栓Ｅを締付けて圧接挟持するように
してある。

【００１０】１は該ブッシングＡを挿入する円形の挿入
孔２を形成した台形状のブッシング保持体、３はブッシ
ングＡの端子に接続した接続線Ｂを挿入保持する凹孔４
を前記ブッシング保持体１の挿入孔２に直交する方向で
ブッシング保持体１の先端に形成した凹孔２４と連続形
成した長方体の接続線保持体で、前記ブッシング保持体
１上に該接続線保持体３を合成樹脂等の絶縁材で一体形
成する。

【００１１】５はブッシング保持体１にブッシングＡを
固定する固定手段で、実施例では台形状ブッシング保持
体１の隅角より縦横に縁辺に沿って差込み孔８を設け、
差込み孔８を挿入孔２の円弧面を通じて穿設して挿入孔
２に一部開口８ａを設け、取手２５付き固定ピン９をい
ずれかの差込み孔８を通じて差込み、固定ピン９を開口
８ａに露出させてブッシングＡの外周の波型状の凹部１
９にくさび状に係合してブッシングＡを固定する。固定
ピン９は先細状としてブッシングＡと差込み孔８間に差
込みくさび効果を発揮しうるようにするのが好ましい。
又固定ピン９の取手２５には操作用の操作孔２６を設け
る。

【００１２】６は接続線保持体３の凹孔４に接続線Ｂを
固定する固定手段で、実施例では長方体の接続線保持体
３の前面二叉部に凹孔４に直交する方向に長穴状の差込
み孔１０を設け、取手２７付きの偏平な固定ピン１１を
該差込み孔１０に差込み、固定ピン１１の側面で接続線
Ｂを凹孔４に圧接固定するようになす。固定ピン１１は
先端にテーパを付けて挿入し易くするのが好ましい。又
固定ピン１１の取手２７には操作用の操作孔２８を設け
る。

【００１３】７は接続線Ｂの基部を端子Ｄに接触保持す
る押圧手段で、実施例では前記固定手段６とは逆方向よ
り押圧するように、長方体の接続線保持体３の後部傾斜
面より接続線Ｂの先端部に向け斜めに貫通孔１２を設
け、その貫通孔１２に押圧ピン１３、その押圧ピンを作
動する作動ピン１５をばね１４を介在して関連作動可能
に備え、かつ該作動ピン１５に接続線保持体３の後部の
回転軸１６のカム板１７を関連させる。

【００１４】前記押圧ピン１３は接続線を押圧しやすい
ように先端をＶ型とし、かつ押圧ピン１３の基端側に挿
入孔２９を設けて作動ピン１５を挿入し、押圧ピン１３
と作動ピン１５間にばね１４を介在し、かつ、又接続線
保持体１３と作動ピン１５間にばね３０を介在し、さら
に押圧ピン１３に長穴３１を穿設し、作動ピン１５の先
端に設けたスプリングピン３２をその長穴３１に係合
し、押圧ピン１３と作動ピン１５を共動可能とするとと
もに押圧ピン１３を作動ピン１５に対し長穴３１に沿っ
て一定ストローク進退自由に備える。回転軸１６のカム
板１７は接続線保持体３の後部の凹孔３３に位置させ、
回転軸１６の両端に操作つまみ３４を備え、操作つまみ
３４を廻してカム板１７を回動するようになす。

【００１５】なお、３５は接続線脱着装置を拘持するた
めの拘持穴である。

【００１６】Ｃはバイパス線を接続するバイパス具で、
その先端にブッシングＡの端子Ｄの雄ねじ部２１に螺合
する雌ねじ部３６を設け、螺合時に端子をバイパス線に
接続するようになし、又Ｅは磁器等の遮蔽栓でその先端
に同様に雄ねじ部２１に螺合する雌ねじ部３７を設け、
常時は第１図のように螺合して端子を遮蔽しかつ端子に
接続線を挟圧保持させる。

【００１７】なお、実施例のバイパス具Ｃは保護筒３
８、バイパス線を接続するバイパス接続スタッド３９、
保護筒３８を廻す操作ギャー４０、把持部４１等からな
り、操作ギャー４０を操作棒（図示せず）で保護筒３８
を廻して保護筒３８内の先端の雌ねじ部３６をブッシン
グＡの端子Ｄの雄ねじ部２１に螺合してバイパス接続ス
タッド３９を端子Ｄに接続させるようにしてある。

【００１８】この考案の構造によれば変圧器より電源側
の高圧カットアウト、接続線の取替え、点検等の作業
は、それぞれの操作工具を備えた絶縁操作棒（図示せ
ず）により、拘持穴３５をつかんで本装置を持ち上げ、
図４に示すように変圧器から突出しているブッシングＡ
にブッシング保持体１の挿入孔２を嵌め、かつブッシン
グＡの端子と高圧カットアウトとの接続線Ｂを接続線保
持体３の凹孔４に挿入し、図５に示すように操作棒で固
定手段５の固定ピン９を差込み孔８に差込み、開口８ａ
とブッシングＡの外周の凹部１９との間にくさび状に差
込んでブッシングＡをブッシング保持体１に固定し、か
つ固定手段６の固定ピン１１を差込み孔１０に差込み、
固定ピン１１の側面で接続線Ｂを凹孔４との間に挟持し
て固定する。

【００１９】しかる後、接続線保持体３後部の操作つま
み３４を廻してカム板１７を回動して作動ピン１５をば
ね１４に抗して押し下げて押圧ピン１３を貫通孔１２よ
り進出させて接続線Ｂの先端部を押圧し、接続線の端子
とブッシングＡの端子Ｄとを確実に接触させる。

【００２０】このように変圧器のブッシングと接続線を
本装置で仮保持して接続線とブッシングの端子との接続
を確保してから、図６に示すようにブッシングＡの端子
Ｄに螺合してある遮蔽栓Ｅを取外し、高圧本線等よりと
ったバイパス線を接続したバイパス具Ｃを端子Ｄに螺合
して接続し、変圧器へバイパス路により電力を供給する
ようになし、しかる後、前記固定手段６の固定ピン１１
を抜き、かつ操作つまみ３４を逆に廻して押圧手段７の
押圧ピン１３を後退させて、接続線ＢをブッシングＡの
端子Ｄより抜き、作業区域の電源側の接続線を外して、
作業区域を停電状態として所定の作業を行う。

【００２１】作業終了後は逆に接続線ＢをブッシングＡ
の端子Ｄに挿入して前記と同様に固定ピン１１で固定
し、かつ操作つまみ３２を廻して押圧ピン１３で押圧し
て保持してから、バイパス具Ｃを外し、端子Ｄに遮蔽栓
Ｅを締付け、しかる後固定手段、押圧手段を解除して本
装置を変圧器用ブッシングより外すようにしたものであ
る。

【００２２】

【考案の効果】この考案によれば絶縁操作棒により本装
置を変圧器のブッシングに簡単に仮保持し、かつ接続線
を端子に接触保持させてから遮蔽栓を外し、そこにバイ
パス線を直接接続して需要家への電力供給回路を確保
し、無停電状態のもと、作業区域である電源側の接続線
を外し、作業区域を停電状態として迅速、安全に取替
え、点検、修理等の作業を行うことができる。

【００２３】この考案による一連の作業は高電圧部に接
近せず絶縁操作棒の操作により安全、迅速、確実、容易
にできること、合わせて大量に汎用されている配電用変
圧器において、無停電工法が可能となり効果が大であ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の変圧器用接続線脱着装置を示す斜視
図である。

【図２】同前部側からの斜視図である。

【図３】接続線を接続したブッシングを示す斜視図であ
る。

【図４】本装置に接続線を接続したブッシングを挿入し
た状態の断面図である。

【図５】本装置にブッシング接続線を固定手段、押圧手
段で固定した状態を示す断面図である。

【図６】その接続線を外し、バイパス具を接続した状態
を示す断面図である。

【符号の説明】

Ａ ブッシング Ｂ 接続線 Ｃ バイパス具 Ｄ 端子 Ｅ 遮蔽栓 １ ブッシング保持体 ２ 挿入孔 ３ 接続線保持体 ４ 凹孔 ５ 固定手段 ６ 固定手段 ７ 押圧手段 ８ 差込み孔 ９ 固定ピン １０ 差込み孔 １１ 固定ピン １２ 貫通孔 １３ 押圧ピン １４ ばね １５ 作動ピン １６ 回動軸 １７ カム板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 変圧器のブッシング（Ａ）を挿入保持す
   る挿入孔（２）を形成したブッシング保持体（１）と、
   接続線（Ｂ）を挿入保持する凹孔（４）を前記ブッシン
   グ保持体（１）の挿入孔（２）に交叉状に形成した接続
   線保持体（３）とを絶縁材で一体成形し、前記ブッシン
   グ保持体（１）にブッシング（Ａ）を固定する固定手段
   （５）を設け、かつ前記接続線保持体（３）に接続線
   （Ｂ）を固定する固定手段（６）と接続線（Ｂ）をブッ
   シング（Ａ）の端子（Ｄ）に接触保持する押圧手段
   （７）を設けたことを特徴とする変圧器用接続線脱着装
   置。