JPH0736065A - 光半導体装置 - Google Patents

光半導体装置

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JPH0736065A
JPH0736065A JP18052293A JP18052293A JPH0736065A JP H0736065 A JPH0736065 A JP H0736065A JP 18052293 A JP18052293 A JP 18052293A JP 18052293 A JP18052293 A JP 18052293A JP H0736065 A JPH0736065 A JP H0736065A
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Akira Takahashi
亮 高橋
Hiroyuki Uenohara
裕行 植之原
Yuichi Kawamura
裕一 河村
Hidetoshi Iwamura
英俊 岩村
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 制御光の照射によって励起されたキャリアの
寿命を極めて短くすることができ、さらに小さな制御励
起光によっても大きな消光比を得ることのできる光半導
体装置を提供する。 【構成】 光非線形材料として、通常の成長温度より低
い温度で成長させるとともにp型元素またはBeをドー
プし、成長後にアニール処理を施した量子井戸層を用い
ることを特徴とする。さらに、小さな励起光に対し大き
な消光比を得るために、この量子井戸層をn型とp型の
半導体DBRミラーで挟むp−i−n構造を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信・光情報処理シ
ステムを構成すると期待される光交換・光中継器などに
利用可能な光論理・光スイッチ動作を行う光半導体装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図1に光非線形材料として半導体量子井
戸層を用いて、高反射膜で挟んだ共振型(面型)光スイ
ッチの構造図を、図2に動作の原理図を示す。この構造
の光スイッチにおいては、制御光パルス3の照射されな
い状態では、共振器の透過スペクトルは図2の実線とな
り、信号光4は透過されない。これに対し、制御光パル
ス3が照射されると、量子井戸層1の屈折率が変化する
ため、共振ピークは点線で示したようにシフトし、その
ため、信号光4は透過するようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記共振器型光スイッ
チを例として説明したように、従来の光スイッチ動作機
能を有する全ての光半導体装置においては、制御光を照
射させることによりキャリアを励起し、材料の屈折率を
変化させ、光スイッチ動作が行なわれる。この時に励起
されたキャリアの寿命は、数ナノ秒と長い。そのため、
従来の光半導体装置では、制御光の照射以前の初期状態
への回復が遅くなり、高速なスイッチ動作が困難とな
る。従って、従来の光半導体装置において、高速な光ス
イッチ動作をさせるには、励起されたキャリアの寿命を
極めて短くすることが必要になる。
【0004】また、このような面型光スイッチでは、相
互作用長が導波路型に比べて極めて小さいため、大きな
消光比を得るには、屈折率を大きく変化させる必要があ
る。そのためには、強い励起光パワーが必要となるた
め、実用的な小電力光スイッチの作成が困難になる。
【0005】これらが、本発明が解決しようとする課題
である。すなわち、本発明の課題は、制御光の照射によ
って励起されたキャリアの寿命を極めて短くすることが
でき、さらに小さな制御励起光によっても大きな消光比
を得ることのできる光半導体装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記光半導体
における課題を解決するために、光非線形材料として、
通常の成長温度より低い温度で成長させるとともにp型
アクセプタをドープし、成長後にアニール処理を施した
量子井戸層を、用いることを特徴とする。さらに、小さ
な励起光に対し大きな消光比を得るために、前記量子井
戸層をn型とp型の半導体DBRミラーで挟むp−i−
n構造を採用したことを特徴とする。
【0007】
【作用】周知のように、ガスソース分子線エピタキシー
(MBE)装置では、量子井戸層の成長を500℃程度
で行なっている。このとき、励起されたキャリアは、発
光再結合過程が支配的となるため、得られた光半導体装
置は、レーザ等の発光デバイスへの応用に極めて有用で
ある。しかし、その反面、発光再結合過程によるキャリ
ア寿命は、極めて長く、数〜数十ナノ秒であるため、こ
の光半導体装置では、初期状態への回復が遅くなり、高
速スイッチの作成が困難である。
【0008】これに対し、本発明でのように、成長温度
を下げて、150℃〜400℃で成長を行うと、深い準
位に再結合中心が形成されると考えられ、そのためキャ
リアの寿命は100ピコ秒程度まで高速化される。この
量子井戸層の成長を150℃未満で行なうと、励起子に
よる吸収の波長変化が生じないと思われる。そのため、
成長温度として利用し難い。また、成長温度が400℃
を越えると、キャリア寿命が長くなり始めるため、40
0℃を越える成長温度も利用できない。また、成長中に
p型ドーパントまたはBeを導入すると、キャリア寿命
は1ピコ秒程度まで低減することが可能となる。また、
成長後の量子井戸層を500℃程度の温度でアニール処
理を施すと、ドープされたアクセプタが活性化し、低温
成長中に発生したキャリアを補償するため、極めて高抵
抗な量子井戸層とすることができる。よって、この量子
井戸層を上記光スイッチの光非線形材料として用いれ
ば、極めて高速な全光型光スイッチの作成が可能とな
る。
【0009】また、i層である上記量子井戸層をp型と
n型の半導体DBRミラーで挟み、p−i−n構造を構
成し、これに逆バイアスをかけると、量子閉じ込めシュ
タルク効果により吸収端は、図3に示した(a)の吸収
波形から(b)の吸収波形へと長波長側へシフトする。
そこへ制御励起光パルスを照射してキャリアを励起する
と、吸収飽和が生じる。そのため、信号光の吸収は減少
し(c)、クラマースークローニッヒ変換に対応した屈
折率の変化が生じる。さらに、励起された自由電子およ
び正孔は、印加された電界により分離するため、内部電
界が発生して外部電界をスクリーニングする。そのた
め、量子閉じ込めシュタルク効果が減少し、図3の
(d)の波形に示すように吸収端は短波長側に戻り、信
号光波長での吸収が大幅に減少すると同時に、屈折率も
大きく変化する。このように、制御励起光パルスを照射
すると、吸収飽和と量子閉じ込めシュタクル効果によ
り、信号光の吸収が大幅に減少すると同時に、大きな屈
折率変化が得られるため、共振器の共振ピークが大きく
シフトし、その結果として、大きな消光比が得られる。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0011】(実施例1)本発明において目的とする光
半導体装置に好適に用いることのできる量子井戸層をガ
スソース分子線エピタキシー法により成長させた。用い
た装置は、周知の分子線エピタキシー装置であり、下記
の成長条件にて行なった。なお、アクセプタとしては、
Beをドープした。
【0012】 (i) III 族ソース : In,Ga,Al(メタ
ル) (ii) V族ソース : AsH3 ガス(流量2cc
m) (iii) 成長中の真空度 : 1. 3×10-5Torr (iv) 基板回転速度 : 20rpm (v) 成長速度 : 2. 6μm/h (vi) 成長温度 : 200℃ 前記のようにして、ガスソース分子線エピタキシー装置
により200℃で成長され、アクセプタとしてBeをド
ープしたInGaAs/InAlAs量子井戸層の透過
率変化を、ポンプ・プローブ法により測定した例を、図
4に示す。この吸収回復時間は、キャリアの緩和時間を
反映しており、量子井戸層は数ピコ秒で初期状態へ回復
することを意味している。
【0013】前記と同様の条件で、成長温度のみを15
0℃,200℃,300℃,400℃,600℃と変化
させ、量子井戸層を成長させた。各温度により成長させ
た量子井戸層のキャリア寿命を測定したところ、図5の
結果が得られた。図から明らかなように、成長温度が4
00℃を越えると、キャリア寿命が長くなり始めるの
で、成長温度は400℃以下が好ましい。また、150
℃近傍では、キャリア寿命の値に問題はないが、150
℃未満になると、励起子による吸収の波長変化が生じな
くなる可能性が大きいので、150℃未満での成長は避
けるべきである。
【0014】次に、Beドープ量の変化が、キャリア寿
命に及ぼす影響について調べるために、前記と同様の条
件で、Beドープ量のみをドープ量0cm-3から約8c
-3まで4通りに変化させて量子井戸層を成長させ、そ
れぞれのキャリア寿命を測定した。その結果を図6に示
す。なお、比較のために、成長温度500℃において成
長させた量子井戸層のドープ量変化に対するキャリア寿
命の変化も図6に合わせて示した。図から明らかなよう
に、200℃での成長では、Beをドープすることによ
って、キャリア寿命が急激に短くなることがわかる。
【0015】これに対し、図7に、i層として通常の成
長温度で作成したInGaAs/InAlAs量子井戸
層を用いて、逆バイアスを印加したp−i−n構造での
透過率変化の測定例を、示す。前記したように、吸収飽
和と量子閉じ込めシュタルク効果により吸収が大幅に減
少しているのがわかる。しかし、従来の量子井戸層で
は、キャリアの寿命が長いため初期状態への回復は極め
て遅い。
【0016】(実施例2)前記と同様にして構成するB
eドープ低温成長量子井戸層を、光導波路として、図8
に示す構造の面型光スイッチを形成した。この光スイッ
チは、図に示すように、n型InP基板10上に、Si
をドープしたn型InP/InGaAsPDBRの反射
ミラー層11が成長されており、その上に、前記した2
00℃でBeをドープしたInGaAs/InAlAs
量子井戸層12が作成されている。この量子井戸層12
は、500℃でアニール処理が施されている。このよう
にアニール処理を行うと、極めて高抵抗な量子井戸層が
得られる。この量子井戸層12の上には、さらに、Be
をドープしたp型InP/InGaAsP DBR反射
ミラー層13が成長され、この上には、コンタクト層と
してBeをドープしたp型InGaAsP層14が形成
されている。また、表面側にはAuZnNi/Auを用
いて電極15が形成され、基板側にはAuGeNi/A
uを用いて電極16が形成されている。
【0017】この素子に逆バイアスを印加した状態にお
いて、制御励起光の波長には吸収の大きな波長を選び、
信号光波長としては吸収端に少し吸収のある波長を選択
する。さらに、共振器での共振ピークは、信号光波長よ
り少し長波長側になるように作成する。
【0018】この素子に制御励起光パルスが照射されな
いときは、量子井戸層に吸収が存在する上、共振器の共
振ピークから信号光波長がずれているため、出力光はほ
とんど得られない。
【0019】ところが、制御励起光パルスが照射される
と、前記したように吸収が減少し、屈折率変化による共
振ピークのシフトによって透過率が大幅に増大し、その
ため、出力光が得られるようになる。また、上記したよ
うに、Beドープ低温成長量子井戸層を用いると、従来
デバイスより3桁程度高速な光スイッチを作成すること
が可能となる。
【0020】なお、結晶の材料として、InGaAs/
InAlAs系について述べてきたが、InGaAs/
In(Ga)AlAs系,AlGaAs/GaAs系,
InGaAs/GaAs歪超格子系,InGaAs/I
nGaAsP歪超格子系においても同様の効果が実現で
きることは言うまでもない。
【0021】また、上記実施例では、ガスソース分子線
エピタキシー法により製造を行なったが、本発明は、通
常の分子線エピタキシー法にも適用できるのはもちろん
である。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の光半導体
装置は、光非線形材料として、非線形性が大きく、極め
て高速に緩和するP型元素またはBeをドープした低温
成長量子井戸層を用いて構成したものなので、制御励起
パルスにより励起されたキャリアは、高速に消滅し、そ
れに従って、素早く初期状態へ緩和し、高速な光スイッ
チが可能となる。さらに、本発明の素子は、量子閉じ込
めシュタルク効果の利用により、弱い励起光で大きな消
光比を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の共振型光スイッチの構成図である。
【図2】従来の共振型光スイッチの原理を説明するグラ
フである。
【図3】吸収スペクトルの変化の説明図である。
【図4】本発明の実施例を説明するためのもので、ポン
プ・プローブ法によるBeドープ低温成長量子井戸層の
可飽和吸収回復時間の測定結果を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例を説明するためのもので、本発
明方法により構成した光半導体装置における量子井戸層
の成長温度とその励起キャリアとの関係を示すグラフで
ある。
【図6】本発明を説明するためのもので、量子井戸層へ
のBeドープ量と量子井戸層の励起後の初期状態への緩
和時間(キャリア寿命)との関係を示すグラフである。
【図7】p−i−n構造の面型光スイッチにおいてi層
として従来の量子井戸層を用いたものの吸収回復時間を
測定した結果を示すグラフである。
【図8】本発明にかかる光半導体素子の一実施例を示す
断面構成図である。
【符号の説明】
10 n型InP基板 11 InP/InGaAsP:Si DBRミラー層 12 低温成長InGaAs/InAlAs:Be M
QW層 13 InP/InGaAsP:Be DBRミラー層 14 InGaAsP:Be 15 AuZnNi/Au電極 16 AuGeNi/Au電極
フロントページの続き (72)発明者 岩村 英俊 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n型InP基板上に、SiドープInP
    /InGaAsPDBRミラー層が形成され、 前記SiドープDBRミラー層上に、低温度成長量子井
    戸層が形成され、 前記量子井戸層上に、BeドープInP/InGaAs
    P DBRミラー層が形成され、 前記BeドープDBRミラー層上に、BeドープInG
    aAsPコンタクト層が形成されてなり、 前記低温度成長量子井戸層が、150℃〜400℃で成
    長されたものであることを特徴とする光半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記低温度成長量子井戸層には、ドーパ
    ントとしてp型元素またはBeが添加されていることを
    特徴とする請求項1に記載の光半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記低温度成長量子井戸層は、成長後に
    アニール処理されていることを特徴とする請求項1また
    は2に記載の光半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5974880A (en) * 1997-06-25 1999-11-02 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Capacitance acceleration sensor

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5974880A (en) * 1997-06-25 1999-11-02 Mitsubishi Denki Kabushiki Kaisha Capacitance acceleration sensor
DE19802353B4 (de) * 1997-06-25 2007-08-16 Mitsubishi Denki K.K. Kapazitiver Beschleunigungssensor

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