JP3566365B2 - 光半導体装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、サブバンド間遷移を利用した光半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、長距離大容量の光通信システムの発展に伴い大容量の光交換システムや光情報処理システムが必要となってきている。このようなシステムでは、超高速で動作する光スイッチや光論理演算素子等の光素子が必要である。
【0003】
光スイッチとしては、例えば、量子井戸構造における励起子の電界下での光学特性を生かしたSelf−Electro−Optic−Device(SEED)(アプライド・フィジクス・レターズ、45巻13頁、1984)ものが知られている。
【0004】
しかしながら、SEEDは、その動作速度がCR時定数に制限されるため、高速応答ができないという問題があった。また、励起子を利用しているが、励起子の寿命はナノ秒程度なので、いったん励起子が生成されると、消滅するのに寿命程度の時間が必要であり、時間応答をナノ秒以下にすることは困難であった。
【0005】
一方、フィジカル・レビュー・レターズ第59巻、第9号(1987)、1014〜1017頁に記されているように、CR時定数によるスイッチング時間の制限がない方法が提案されている。
【0006】
この方法では、例えば、GaAs/AlGaAs量子井戸構造の価電子帯バンドの電子を伝導帯バンドへ非共鳴光で励起し、その結果生じる仮想キャリアが元になって生じる光非線形効果を用いている。仮想キャリアの入射パルス光に対する応答は、ピコ秒以下の超短時間で生じることが知られているため、超高速動作が期待できる。
【0007】
しかしながら、この種の方法には以下のような問題がある。すなわち、非共鳴光が共鳴エネルギーに近い場合は、フォノンを介して実励起が生じたり、実励起が抑制される。したがって、離調エネルギーを大きくすると、十分な仮想励起が起こらなくなるので、十分な光非線形性が得られないという問題が生じる。
【0008】
このような問題を解決する方法として、キャリアの緩和時間がバンド間遷移に比べて格段に速いサブバンド間遷移を利用する方法が提案されている(Y.Hirayama他,Jap. J. Appl. Phys.、 Vol.33 pp890−895, 1994) 。
【0009】
具体的には、従来の光通信波長である1.5μm帯で動作するサブバンド間遷移では、例えば、InGaAs/AlAs量子井戸構造が用いられる。この量子井戸構造を図16に示す。図中、171はInGaAs層を示し、172はAlAs層を示している。
【0010】
バンド間遷移のエネルギー(バンド端エネルギーEedge)は0.8〜0.9eV程度であり、また、動作波長に相当するエネルギーEOPは0.8eVよりも大きい。このため、バンド間吸収は起こらないように思われるが、実際には、2つの光子が関与する過程である2光子吸収が起きてしまう。
【0011】
また、半導体レーザの場合には、従来フェルミ準位またはk空間におけるキャリアの分布に起因したスペクトルの広がりや、バンド間遷移に律速される応答速度の限界があった。
【0012】
このような問題に対し、量子カスケードレーザのような新しいデバイスが研究されている(例えば、R.F.Kazarinov and R.A.Suris: Sov.Phys.Semicond.,5(1971)p.207、F.Capasso, K.Mohammed and A.Y.Cho: IEEE J.Quantum Electron., 22(1986) p.1853)。
【0013】
量子カスケードレーザでは、一つの量子井戸のサブバンド準位と隣接する量子井戸のサブバンドとの間で形成された反転分布を利用してレーザ発振を行なっている。すなわち、半導体レーザの場合のように、電子と正孔の2種類のキャリアの再結合を用いるのではなく、1種類のキャリアの遷移を利用しているので、利得スペクトルは極めて狭くなり、これにより、発振線幅も狭くなる。また、サブバンド間の遷移であるため、応答速度も速い。
【0014】
このようなレーザ発振原理を用いて、低温(90 K)でのレーザ発振が報告されている(J.Faist,F.Capasso,D.L.Sivco,C.Sirtori,A.L.Hutchinson and A.Y.Cho: Science, 264(1994) p.553、J.Faist,F.Capasso,D.L.Sivco,C.Sirtori,A.L.Hutchinson and A.Y.Cho: Electron. Lett., 30(1994) p.865 )。
【0015】
しかしながら、レーザ発振に必要な反転分布を形成するには、極めて大きい注入電流(〜1A)が要求されるという問題がある。さらに、サブバンド間遷移を利用してレーザ発振を行なっているので、以下のような問題がある。すなわち、量子井戸を構成する材料のバンド不連続値より大きいエネルギーに相当する波長のレーザ発振は不可能であるため、これまでの材料では、光通信で用いられる1.55μm、1.3μm等の波長帯域でのレーザ発振は実現されていない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く従来より種々の光半導体素子が提案されていたが、光通信技術に十分対応できる光半導体素子は実現されていなかった。
すなわち、SEED等の光半導体素子とは異なり、CR時定数に動作速度が制限されない光半導体素子として、バンド間遷移を利用したものが提案されていたが、十分な光非線形性が得られないという問題があった。
【0017】
このような問題を解決できる光半導体素子として、サブバンド間遷移を利用したものが提案されていたが、2光子吸収によりバンド間遷移が起こるという問題があった。さらに、サブバンド間遷移を利用した従来のレーザでは、光通信技術に必要な波長帯域のレーザ発振が得られないという問題があった。
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、光通信技術に十分対応できる光半導体装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る光半導体装置(請求項1)は、基板上に形成された第1の半導体層と、この第1の半導体層とのバンドの位置が異なる第2の半導体層とからなる量子井戸、量子細線および量子箱の少なくとも1つを有する光スイッチまたは量子カスケードレーザを備えた光半導体装置であって、前記第1の半導体層の伝導帯および価電子帯の少なくとも一方は、2つ以上のサブバンドを有し、前記第1の半導体層のバンド端エネルギーは、前記第1の半導体層のサブバンド間隔に相当する動作波長のエネルギーの2倍よりも大きく、かつ前記サブバンド間隔に相当する動作波長のエネルギーが0.75eV以上であり、前記第1の半導体層および第2の半導体層が窒化物半導体(In x Ga y Al 1-x-y p (0≦x≦1、0≦y≦1、0≦1−x−y≦1、0<p≦1))から形成されていることを特徴とする。
【0020】
なお、本発明の好ましい実施態様は以下の通りである。
(1)上記発明(請求項1)において、第1の半導体層および第2の半導体のうち少なくとも一方がウルツァイト型の結晶構造を有する。
【0021】
また、本発明をレーザに適用した場合には、サブバンド間のエネルギー差が大きく、かつバンドギャップも大きい材料を用いることにより、光通信で用いられる波長帯での動作するサブバンド間遷移が可能なる。
【0022】
すなわち、本発明をレーザに適用する場合は、上記発明において、第1の半導体層と第2の半導体層との伝導帯または価電子帯におけるバンド不連続値を少なくとも0.8eV以上とし、第1の半導体層のバンド端エネルギーが少なくとも1.6eV以上ある半導体材料を用いる。
【0023】
【作用】
上述の如く、サブバンド間遷移では、バンド端エネルギーEedgeが動作波長に相当するエネルギーEOPよりも大きく、バンド間吸収は起こらないように思われるが、実際には、2つの光子が関与する過程である2光子吸収が起きてしまうという問題があった。
【0024】
そこで、本発明では、第1の半導体層のバンド端エネルギーEedgeを、サブバンド間隔に相当する動作波長のエネルギーEopの2倍よりも大きくしている。このようにすれば、バンド端エネルギーは2つの光子のエネルギーより大きいため、光子が吸収される確率が非常に小さくなる。
【0025】
ここで、Eopは光通信でよく用いられる材料や波長帯を考慮すれば、例えばInPに格子整合するInGaAsのバンドギャップである0.75eV以上に設定する必要がある。特に0.8eV、つまり、1.55μmではファイバー中でのロスも少なく、エルビウムをドープしたファイバーアンプが使用できる領域であるため都合が良い。
【0029】
また、窒化物半導体を用いた場合には、格子不整合の影響をあまり受けずに所望の高品質量子構造が得られるという効果もある。
さらに、本発明(請求項1)をレーザに適用し、かつ第1、第2の半導体層の材料として、バンド不連続値が大きい材料の組合わせを用いれば、光通信で用いられる波長帯で動作するサブバンド間遷移レーザが可能となる、このとき、バンド端エネルギー自身は十分大きいため(Eedge>2EOP)、先に述べたように、2光子吸収過程等によるバンド間遷移の影響を除去できる。
【0030】
【実施例】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
(第1の実施例)
図1は、本発明の第1の実施例に係る光半導体素子(光スイッチ)の素子構造を示す断面図である。
【0031】
図中、11はサファイア基板を示しており、このサファイア基板11上には、バッファ層としてのGaN層12が形成されている。このGaN層12上には、InAlNクラッド層15を介して、GaN量子井戸層13とAlN第1障壁層14とからなる量子井戸構造が形成されている。この量子井戸構造上には、InAlNクラッド層15を介して、ギャップ層としてのGaN層12が形成されている。
【0032】
上記各層12〜15は、機金属気相成長(MOCVD)法により形成され、GaN量子井戸層13の厚さは1.7nm程度、ギャップ層としてのGaN層12の厚さは1μm程度である。
【0033】
このような構成の光スイッチの吸収スペクトルを調べたところ、1483nmに鋭い吸収特性を示することが分かった。これは図2のバンドダイヤグラムに示すように、伝導帯の1番目のサブバンドから2番目のサブバンドへの共鳴吸収によるものである。また、バンドギャップは十分大きいので2光子吸収はほとんど起こらない。
【0034】
すなわち、GaN井戸層13のバンド端エネルギーEedgeが、GaN井戸層13のサブバンド間隔に相当する動作波長のエネルギーEOPの2倍よりも大きいので、2光子吸収が起こる確率は非常に小さくなるからである。
【0035】
この光スイッチに共鳴波長1483nm(836meV)より2meV高いエネルギーを持つ波長1479nm(838meV)の信号光をあてておき、波長1483nm(836meV)、パルス幅1psの共鳴パルス光を照射したときの信号光の変化の様子を調べた。
【0036】
その結果、共鳴パルス光をあてている間だけ、信号光が吸収しやすくなり、信号光の出力強度が光スイッチに入射する前の50%にまで減少することが分かった。また、この変化は共鳴光が消えると同時にもとに戻ることも確認した。
【0037】
この現象は文献アプライド・フィジクス・レターズ第51巻(1987)1670頁に述べられているステップ構造を持つ量子井戸のサブバンド間で実励起をした場合のサブバンド間エネルギーの増加と類似のものと考えられる。
【0038】
すなわち、キャリアの励起によりサブバンド間のエネルギー差が増大し、吸収ピーク波長が短波長側にシフトした結果、信号光が吸収されたことによる。
また、超高速の応答が得られたのは。図2に示すように、2光子吸収が抑えられたことと、また、図3に示すように、GaN/AlNバンド構造においては、Γ点よりA点やM点のエネルギーが十分上にあるため、第2のサブバンド(2番目にエネルギー準位が高いサブバンド)に励起されたキャリアがA点やM点に滞留することなく、Γ点の第1のサブバンド(1番エネルギー準位が低い、つまり、基底準位のサブバンド)に緩和したためと考えられる。
【0039】
かくして本実施例によれば、光通信に十分対応できる高速応答の光スイッチが得られる。したがって、このような光スイッチを用いれば、光信号の利点(例えば、高速、低クロストーク)を十分に生かした光通信システムや光情報処理システム等を構築できるようになる。
(第2の実施例)
図4は、本発明の第2の実施例に係る光半導体素子(光スイッチ)の素子構造を示す断面図である。なお、図1の光半導体素子と対応する部分には図1と同一符号を付してあり、詳細な説明は省略する(以下の図も同様)。
【0040】
本実施例の光スイッチが第1の実施例のそれと異なる点は、量子井戸構造を左右非対称にしたことにある。
製造工程(製造方法)は第1の実施例のそれとほぼ同様であるが、InAlNクラッド層15をGaN量子井戸層13の片側に形成した。本実施例の光スイッチによれば、第1の実施例のそれよりも大きな60%近い消光比が得られることを確認した。これは文献ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス第65巻(1989)4377頁に述べられているように、非対称構造により、シュタルクシフトがより大きくなったためと解される。
【0041】
第1、第2の実施例では、吸収ピークの位置がキャリアの励起により変化することを利用したものであるが、屈折率の変化を利用することも有効である。
(第3の実施例)
図5は、本発明の第3の実施例に係る光半導体素子(光スイッチ)の素子構造を示す断面図である。
【0042】
本実施例の光スイッチが第1の実施例のそれと異なる点は、素子の上部と下部を金薄膜51によりコーティングして、反射鏡を形成したことにある。
本実施例によれば、このように互いに平行な2枚の金薄膜51からなる反射鏡で囲まれた量子井戸構造がエタロンとして働き、その透過ピーク位置は2枚の反射鏡間の光学距離で決まる。
【0043】
このように光非線形をもつ媒質からなるエタロンを光スイッチに利用する原理は、例えば、アプライド・フィジクス・レターズ第49巻(1986)749頁に述べられている。
【0044】
本実施例では、エタロンの透過ピーク位置を波長1550nmとして、共鳴吸収波長より長波長側の透明域に設定した。
このエタロンに透過域波長の1550nmのポンプパルス光(幅1ps)をあてると、シュタルク効果により、サブバンド吸収ピークが短波長側に動くと同時に屈折率が減少し、2枚の反射鏡間の光学距離が減少しエタロンの透過スペクトルが短波長側にシフトする。
【0045】
既に述べたようにサブバンド間遷移における非線形性、つまり、屈折率の変化量は、バンド間遷移に比べ非常に大きいため、エタロンの透過スペクトルも16nmと大きくシフトするのが観測された。また、幅1psのパルス光にも追随して非常に速く変化することも分かった。
【0046】
したがって、オン信号として透過率の時間変動の激しい波長1570nmの信号光を用い、オフ信号として1540nmの信号光を用いることにより、高速にオン状態とオフ状態とを切り替えることができる光スイッチを実現できるようになる。さらに、このような非線形エタロンを使用して、AND、OR、NORといった論理素子を作ることも可能である。
(第4の実施例)
図6は、本発明の第4の実施例に係る光半導体素子(マッハ・ツェンダー型の干渉計)を上から見た平面図ある。
【0047】
本実施例によれば、サファイア基板61上に形成したGaN光導波路62に入射した信号光は、2つの経路に分岐する。その片側にはサブバンド間励起を起こすためのGaN/AlN量子井戸構造63が形成されている。
【0048】
したがって、このGaN/AlN量子井戸構造63に共鳴パルス光を照射することにより、屈折率変化を通して信号光の位相を変化させることができる。この結果、再び合わさった信号光は強めあったり、弱めあったりして出射光の強度が変化する。
(第5の実施例)
図7は、本発明の第5の実施例に係る光半導体素子(方向性結合器)を上から見た平面図ある。
【0049】
本実施例によれば、方向性結合器の片側に、GaN/AlN量子井戸構造63を設けているので、ポンプ光により伝搬定数を変化させることにより、シグナル光の高速スイッチング動作を行なえる。
【0050】
第1〜第5の実施例では、半導体材料としてGaN系の材料を用いているが、後に示す他の適当な材料系でも同様な効果が期待できる。また、価電子帯でサブバンド間励起を生じさせることによっても、超高速光スイッチ動作を得ることもできる。
(第6の実施例)
図8は、本発明の第6の実施例に係る光半導体素子(量子カスケードレーザ)のバンド構造を示すバンドダイアグラムである。
【0051】
図8において、1、2、3、4はエネルギー準位を示しており、1は価電子帯の基底準位、2〜4は伝導帯のサブバンド準位を示している。また、hはプランク定数、ν43はエネルギー準位4からエネルギー準位3に遷移したときに生じる光の振動数であり、hν43はエネルギー準位4からエネルギー準位3に遷移したときに生じる光のエネルギーを示している。また、図8のνxy、hνxy(x、yは自然数で、かつxとyは等しくない)および他の図のνxy、hνxyも同様な意味である。
【0052】
レーザ動作は、サブバンド準位4,3間に形成された反転分布を利用する。サブバンド準位2,3,4は上述したようにいずれも伝導帯におけるサブバンド準位であり、これらサブバンド準位2,3,4は、空間的には、図9に示すように位置されている。
【0053】
サブバンド準位4,3間のエネルギー差が概略0.8eVとなるように量子井戸層が設計されている。また、バンドギャップは1.6eV以上のエネルギー差があるように、量子井戸層、量子障壁層の材料が選ばれている。
【0054】
量子井戸層と量子障壁層とのバンド不連続値は0.8eVより十分大きいため、電子の熱的なオーバーフローを低減でき、これにより、高温、低電流でのレーザ動作が可能となる。
【0055】
本実施例の量子カスケードレーザの具体的な素子構造を図10に示す。
図10において、101はサファイア基板を示しており、このサファイア基板101上には、n型GaNバッファ層102を介して、n側Ti/Al電極104が設けられたn型GaNコンタクト層103が形成されている。
【0056】
このn型GaNコンタクト層103上には、n型AlGaNクラッド層105が形成されており、このn型AlGaNクラッド層105上には、InAlGaN光ガイド層106を介して、活性層107が形成されている。
【0057】
この活性層107は、AlGaN障壁層108とInGaN井戸層とを複数積層してなる量子井戸構造を有し、その上部にはInAlGaN電子ドリフト層110が形成されている。
【0058】
活性層107上には、InAlGaN光ガイド層111、p型AlGaNクラッド層112が順次形成され、このp型AlGaNクラッド層112は、p型AlGaNコンタクト層113を介して、p側Ni/Au電極にコンタクトしている。
(第7の実施例)
図11は、本発明の第7の実施例に係る光半導体素子(量子カスケードレーザ)のバンド構造を示すバンドダイアグラムである。
【0059】
本実施例は、量子井戸層と量子障壁層の材料として、間接遷移型の材料を用いた例である。この場合も、バンド間の再結合時間をサブバンド間の遷移時間に比べて長くできる。何故ならば、バンド間の遷移を生じるには大きな運動量の変化が必要となるためである。
【0060】
本実施例の量子カスケードレーザの具体的な素子構造を図12に示す。これは材料としてAlGaPを用いた例である。
図12において、122はn型GaP基板を示しており、その裏面にはn側Si/Au電極が設けられている。また、n型GaP基板122の表面にはn型GaPバッファ層123が形成されており、このn型GaPバッファ層123上には、n型AlPクラッド層124、AlGaP光ガイド層125が順次形成されている。
【0061】
このAlGaP光ガイド層125上には、活性層126が形成されている。この活性層126は、AlP障壁層127とGaP量子井戸層128とを複数積層してなる量子井戸構造を有し、その上部にはAlGaP電子ドリフト層129が形成されている。
【0062】
活性層126上には、AlGaP光ガイド層130、p型AlGaP光ガイド層131が順次形成されており、このp型AlGaP光ガイド層131は、p型GaPコンタクト層132を介して、p側Zn/Au電極133にコンタクトしている。
【0063】
なお、このような構成の量子カスケードレーザはSiCとダイヤモンドの組み合わせでも可能である。
(第8の実施例)
図13は、本発明の第8の実施例に係る光半導体素子(量子カスケードレーザ)のバンド構造を示すバンドダイアグラムである。
【0064】
本実施例は、量子井戸層と量子障壁層の材料として、Si上のCaF とCoSi を用いた例である。この場合、伝導帯のオフセットは15eVと非常に大きい。また、基板とほぼ格子整合することから、Si電子デバイスとの集積も容易である。
(第9の実施例)
図14は、本発明の第9の実施例に係る光半導体素子(量子カスケードレーザ)のバンド構造を示すバンドダイアグラムである。
【0065】
本実施例の特徴は、タイプII型の超格子を用いて量子井戸構造を構成したことにある。この場合も、直接再結合の確率を低減できるため、高性能のレーザが得られる。
【0066】
本実施例の量子カスケードレーザの具体的な素子構造を図15に示す。
図15において、152はn型GaAs基板を示しており、その裏面にはn側Ti/Au電極151が設けられている。また、n型GaAs基板152の表面にはn型GaAsバッファ層153、n型ZnSSeクラッド層154、ZnSSe光ガイド層155が順次形成されている。
【0067】
このZnSSe光ガイド層155上には、活性層156が形成されている。この活性層156は、ZnSSe障壁層157とZnTe量子井戸層とを複数積層してなる量子井戸構造を有し、その上部にはZnSe電子ドリフト層159が形成されている。
【0068】
活性層156上には、ZnSe光ガイド層160、p型ZnSSeクラッド層161、p型ZnSe/ZnTe超格子コンタクト層162、p型ZnTeコンタクト層163が順次形成され、このp型ZnTeコンタクト層163にはp側Pd/Au電極が設けられている。
【0069】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではない。例えば、実施例では、動作波長を1550nm付近に設定したが光通信で用いられるもう一つの波長である1300nm付近の領域でも良い。
【0070】
また、同一基板上に多数の光半導体素子を集積化することも可能である。
また、上記実施例では、サブバンドとして完全な束縛状態のものを用いたが、サブバンドは擬束縛状態でも良い。
【0071】
また、上記実施例では、量子井戸構造を用いた場合について説明したが、量子細線、量子箱を用いた場合についても適用できる。
また、上記実施例では、光スイッチ、干渉計、方向性結合器、レーザ(発光素子)等の光半導体素子の場合について説明したが、本発明は受光素子や光増幅器等の他の光半導体素子にも適用できる。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【0072】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、光通信に十分対応できる動作速度(応答速度)を有し、さらに、光通信で用いられる波長帯の光が得られる光半導体素子が得られ、したがって、このような光半導体素子を用いることにより、光信号の利点(例えば、高速、低クロストーク)を十分に生かした光通信システムや光情報処理システム等を構築できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係る光スイッチの素子構造を示す断面図
【図2】図1の光スイッチの動作原理を説明するためのバンドダイヤグラム
【図3】図1の光スイッチのΓ点と対称点の関係を示す図
【図4】本発明の第2の実施例に係る光スイッチの素子構造を示す断面図
【図5】本発明の第3の実施例に係る光スイッチの素子構造を示す断面図
【図6】本発明の第4の実施例に係るマッハ・ツェンダー型の干渉計を示す平面図
【図7】本発明の第5の実施例に係る方向性結合器を示す平面図
【図8】本発明の第6の実施例に係る量子カスケードレーザのバンド構造を示すバンドダイアグラム
【図9】本発明の第6の実施例に係る量子カスケードレーのポテンシャルを示す図
【図10】本発明の第6の実施例に係る量子カスケードレーザの具体的な素子構造を素子断面図
【図11】本発明の第7の実施例に係る量子カスケードレーザのバンド構造を示すバンドダイアグラム
【図12】本発明の第7の実施例に係る量子カスケードレーザの具体的な素子構造を素子断面図
【図13】本発明の第8の実施例に係る量子カスケードレーザのバンド構造を示すバンドダイアグラム
【図14】本発明の第9の実施例に係る量子カスケードレーザのバンド構造を示すバンドダイアグラム
【図15】本発明の第9の実施例に係る量子カスケードレーザの具体的な素子構造を素子断面図
【図16】サブバンド間遷移を利用した従来の従来の半導体レーザのバンド構造を示すバンドダイアグラム
【符号の説明】
11…サファイア基板
12…GaN層
13…GaN井戸層
14…AlN障壁層
15…InAlN層
51…金薄膜
61…サファイア基板
62…GaN導波路
63…GaN/AlN量子井戸層
101…サファイア基板
102…n型GaNバッファ層
103…n型GaNコンタクト層
104…n側Ti/Al電極
105…n型AlGaNクラッド層
106…InAlGaN光ガイド層
107…活性層
108…AlGaN障壁層
109…InGaN井戸層
110…InAlGaN電子ドリフト層
111…InAlGaN光ガイド層
112…p型AlGaNクラッド層
113…p型GaNコンタクト層
114…p側Ni/Au電極
121…n側Si/Au電極
122…n型GaP基板
123…n型GaPバッファ層
124…n型AlPクラッド層
125…AlGaP光ガイド層
126…活性層
127…AlP障壁層
128…GaP量子井戸層
129…AlGaP電子ドリフト層
130…AlGaP光ガイド層
131…p型AlPクラッド層
132…p型GaPコンタクト層
133…p側Zn/Au電極
151…n側Ti/Au電極
152…n型GaAs基板
153…n型GaAsバッファ層
154…n型ZnSSeクラッド層
155…ZnSe光ガイド層
156…活性層
157…ZnSSe障壁層
152…n型GaAs基板
153…n型GaAsバッファ層
154…n型ZnSSeクラッド層
155…ZnSe光ガイド層
156…活性層
157…ZnSSe障壁層
158…ZnTe量子井戸層
159…ZnSe電子ドリフト層
160…ZnSe光ガイド層
161…p型ZnSSeクラッド層
162…p型ZnSe/ZnTe超格子コンタクト層
163…p型ZnTeコンタクト層
164…p側Pd/Au電極

Claims (1)

  1. 基板上に形成された第1の半導体層と、この第1の半導体層とのバンドの位置が異なる第2の半導体層とからなる量子井戸、量子細線および量子箱の少なくとも1つを有する光スイッチまたは量子カスケードレーザを備えた光半導体装置であって、
    前記第1の半導体層の伝導帯および価電子帯の少なくとも一方は、2つ以上のサブバンドを有し、前記第1の半導体層のバンド端エネルギーは、前記第1の半導体層のサブバンド間隔に相当する動作波長のエネルギーの2倍よりも大きく、かつ前記サブバンド間隔に相当する動作波長のエネルギーが0.75eV以上であり、
    前記第1の半導体層および第2の半導体層が窒化物半導体(In x Ga y Al 1-x-y p (0≦x≦1、0≦y≦1、0≦1−x−y≦1、0<p≦1))から形成されていることを特徴とする光半導体装置。
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