JPH0735826A - 原子間力顕微鏡 - Google Patents

原子間力顕微鏡

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JPH0735826A
JPH0735826A JP5179326A JP17932693A JPH0735826A JP H0735826 A JPH0735826 A JP H0735826A JP 5179326 A JP5179326 A JP 5179326A JP 17932693 A JP17932693 A JP 17932693A JP H0735826 A JPH0735826 A JP H0735826A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電子デバイスの電気光サンプリング計測が行
える原子間力顕微鏡を提供する。 【構成】 原子間力顕微鏡の探針または探針と電流検出
回路との間の介挿物に光学活性物質を用いる。この光学
活性物質に探針位置検出用の光が一部照射されるように
する。これにより、光が照射されている間だけ探針が電
流を導通させ、それ以外のときは非導通となる。 【効果】 光学活性物質に光を照射するための光学系が
省略できるので、プローブの信頼性が向上し、しかも安
価に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はきわめて小型で精密な構
造物の観測および測定に利用する。本発明は、機械的構
造がきわめて微細に形成され、隣りの回路との間隔がき
わめて小さい電気回路の電気的特性の測定を行うことが
できる精密測定装置として利用する。本発明は半導体デ
バイスの製造および研究に利用するに適する。本発明
は、特に高速集積電子回路の動作状態を電気的に計測す
るために開発されたものである。
【従来の技術】近年のエレクトロニクスの分野において
扱われる信号の周波数は250GHzにおよび、これら
の高速電気波形を観測する手段が技術の進歩に追いつか
ないというのが現在の高速電気計測技術の現状である。
さらに、素子の微細化が進み時分解能のみならず、電気
計測装置の空間分解能も現在の技術の進歩に追いつかな
いのが現状である。
【0002】微小素子の高速動作状態など高速現象を観
測するには、従来からその代表的なものとしてサンプリ
ング・オシロスコープがある。また、近年では光学結晶
の電気光学効果を利用したEOサンプリング法が研究さ
れている(EOサンプリング神谷武志 高橋亮 半導体
レーザを光源とする電気光学サンプリング 応用物理第
61巻第1号p30,1992)。レーザの分野では、
サブピコ秒領域の光パルスが比較的容易に得られるよう
になってきたことから、このレーザパルスを電気信号の
サンプリングに用いようとするのが光サンプリング法で
ある。この方法により、従来の電子計測よりも高速で、
しかも信号を外に引き出すことなく、測定したい点の電
位を被測定回路に非接触で直接測定することが可能であ
る。この方法は、サンプリング・オシロスコープにおけ
るサンプリング用の電気パルスを光パルスに置き換えた
ものといえる。
【0003】さらに、高空間分解能で、測定したい点の
電位を直接測定する他の方法としては電子ビームテスタ
があり(G.Plows "Electron-Beam Probing"Semiconduct
or and Semimetals Vol.28 (Measurement of High-Spee
d Signals in Solid State Devices)Chap.6,p.336,Edit
ed by R.K.Willardson and Albert C.Beer,AcademicPre
ss.1990) 、ICの動作診断、解析技術においても、電
子ビームテスタがIC内部の電気信号を観測する有力な
手段である。
【0004】高精度空間分解能で被測定物の表面形状を
観察する装置としては、走査型トンネル顕微鏡あるいは
走査型原子間力顕微鏡などが最近急速に発展普及してい
る。これらの装置は原子レベルの超高空間分解能で3次
元的な画像を得ることができるため、半導体集積回路等
の表面形状の観察には非常に適している。これらを応用
して被測定物の電位を測定する方法としてBloom等
によって最近提案された走査型原子間力顕微鏡(AF
M)を用いた方法がある(A.F.Hou,F.Ho and D.M.Bloom
"Picosecond Electrical Sanpling using a Scanning F
orce Microscope"Electronics Letters Vol.28 No.25,
p.2302.1992)。この方法では、通常のAFMの被測定物
として高速電子回路を用いる。この場合に被測定点の電
位に応じてAFMのカンチレバーと被測定物の間に斥力
あるいは引力が生じ、その力がカンチレバーの位置の微
小な変位を引き起こす。この微小な変位を検出すること
によって被測定点の電位の時間変化を測定しようとする
のがBloom等の方法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、サンプリング
・オシロスコープの時分解能は、サンプリングのための
電気パルスの幅や測定系の持つ電気抵抗および静電容量
で決まる時定数によって計測可能なスピードに限界があ
る。また、被測定信号をケーブルまたは導波路によって
測定点から外に取り出すため、被測定信号を乱してしま
いその信頼性にも問題がある。
【0006】EOサンプリング法は信号の絶対値を測定
することが困難であり、さらにプローブの位置を高い空
間分解でモニタし、制御する方法などに関して実用上問
題がある。
【0007】電子ビームテスタは時分解能が低く、高速
なトランジスタを用いたICの評価には適用することが
できず、また測定環境として高真空が要求される不便さ
がある。
【0008】走査型トンネル顕微鏡あるいは走査型原子
間力顕微鏡は時間分解能については機械系であるカンチ
レバーの応答速度によって限界が決定されるため、高速
電気波形の測定に用いるのは難しい。
【0009】したがって高速電子回路、特に高密度に集
積された電子回路の電気波形の正確な評価のためには新
しい計測手段が求められている。
【0010】本発明は、このような背景に行われたもの
であり、高速電気波形を高速時間分解能、高精度空間分
解能で集積回路の内部等をも含む任意の測定点で計測す
る要求に応えるもので、より高速のより微細な被測定物
にも適用でき、より信頼性の高い高速電気計測方法およ
び計測装置としての原子間力顕微鏡を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、プローブと、
このプローブに取付けられ被測定物に近接させる探針
と、このプローブに光を照射する光源と、前記プローブ
からの反射光により前記探針位置を検出する探針位置検
出手段と、前記探針と前記被測定物との相対位置を制御
する探針位置制御手段とを備えた原子間力顕微鏡であ
る。
【0012】ここで、本発明の特徴とするところは、前
記プローブおよび前記探針の少なくとも一部が、測定環
境下で非導電性であり光を照射することにより導電性を
呈する光学活性物質で形成され、前記光源から照射され
た光をこの光学活性物質に導入する手段を備え、前記探
針と前記被測定物との間の電流を検出する電流検出回路
を備えたところにある。前記探針が光学活性物質により
形成され、前記プローブは導電性物質により形成され、
このプローブが前記電流検出回路に電気的に接続される
ことが望ましい。
【0013】前記導入する手段は前記プローブの先端に
設けられたハーフミラーを含み、このハーフミラーを透
過する光の照射位置に前記探針が配置される構成とする
こともできる。
【0014】前記探針は導電性物質により形成され、前
記プローブには前記探針に接続された電気通路が形成さ
れ、その電気通路の途中に光学活性物質が介挿される構
成とすることもできる。
【0015】
【作用】被測定物の有する電界の時間的変化を超高速で
超高空間分解能で計測するために、被測定物とその近傍
に配置した尖塔形状を有し、電流を計測する手段と光学
活性物質を介して接続される端子のこの光学活性物質
に、短パルス状の光を照射することにより、被測定物と
尖塔形状を有する端子との間の電圧に依存して光が照射
されている間だけ生じ流れる電流を測定する。これによ
り、被測定物の電位をサンプリング計測することができ
る。この端子は、それ自体を光学活性物質としてもよ
い。
【0016】すなわち、きわめて被測定物に近接させた
尖塔形状を有する端子は、そのままでは電気的に非導通
であり測定系の持つ電気抵抗および静電容量などの被測
定物に対する電気的影響も皆無である。ここで、この端
子が接続された光学活性物質に光パルスを照射すると、
端子は導体となり被測定物との間に電流が流れて被測定
物の電位が測定できる。
【0017】尖塔形状を有する端子と被測定物との間
は、原子程度の距離だけ離しても接触させてもどちらで
もかまわない。離れている場合には、トンネル効果また
は電界放出によって電流が流れる。接触している場合に
はその界面にバリアが形成されていればトンネル効果に
よって電流が流れ、バリアを形成せずに接触が実現され
ていれば、通常の電流が流れる。接触している場合にも
端子の電流経路の抵抗が充分大きく、光学活性領域の非
導通時の電気容量が充分小さければ被測定物への影響は
充分小さくすることができる。この場合は、検出される
電流の大きさは、この抵抗値で規定され被測定物の電位
に比例する。
【0018】このように構成された原子間力顕微鏡は、
従来不可能であった高速電気波形の計測を可能とし、高
精度空間分解能での端子位置のモニタ、制御、測定点の
特定等を可能とし、信頼性の高い計測を実現することが
できる。
【0019】
【実施例】本発明第一実施例の構成を図1を参照して説
明する。図1は本発明第一実施例装置のブロック構成図
である。
【0020】本発明は、プローブ2と、このプローブ2
に取付けられ被測定物10に近接させる探針1と、この
プローブ2に光を照射する光源として光パルス源3と、
プローブ2からの反射光により探針1の位置を検出する
探針位置検出手段として探針位置検出回路4と、探針1
と被測定物10との相対位置を制御する探針位置制御手
段として探針位置制御回路5とを備えた原子間力顕微鏡
である。
【0021】ここで、本発明の特徴とするところは、プ
ローブ2および探針1の少なくとも一部が、測定環境下
で非導電性であり光を照射することにより導電性を呈す
る光学活性物質で形成され、光パルス源3から照射され
た光をこの光学活性物質に導入する手段を備え、探針1
と被測定物10との間の電流を検出する電流検出回路1
2を備えたところにある。本発明第一実施例では、探針
1が光学活性物質により形成され、プローブ2は導電性
物質により形成され、このプローブ2が電流検出回路1
2に電気的に接続される構成である。また、前記導入す
る手段はプローブ2の先端に設けられたハーフミラーを
含み、このハーフミラーを透過する光の照射位置に探針
1が配置される構成である。
【0022】次に、本発明第一実施例装置の動作を説明
する。探針位置設定回路14は、操作入力により被測定
物10の任意の位置に探針1を近接させる。本発明第一
実施例装置は被測定物10として電子デバイスの電気計
測を目的としている。このため、電子デバイスの所望の
配線位置にあたる凸部を探針1がトレースしているか否
かを探針位置検出回路4が検出してその検出出力を探針
位置設定回路14が入力とし、探針位置制御回路5がピ
エゾ素子13を駆動させて被測定物10の所望の位置に
探針1を近接させることもできる。
【0023】このようにして所望の位置に近接された探
針1は、そのままでは電気的に非導通であり、したがっ
て被測定物10である電子デバイスの動作特性に対して
電気的な影響を与えることはない。ここで、光パルス源
3からの光の照射により探針1を形成する光学活性物質
が電気的に導通となると、探針1に近接した被測定点の
電流が探針1に流れる。これを電流検出回路12が測定
し、電子デバイスの電気測定を行うことができる。光パ
ルス源3からのパルス周期にしたがった光サンプリング
計測が行える。
【0024】次に、本発明第一実施例におけるプローブ
2を図2を参照して説明する。図2は本発明第一実施例
におけるプローブ2の構成図である。プローブ2は金属
で形成されている。図2(a)に示すように、プローブ
2の先端がハーフミラー6に構成されている。光パルス
源3からの光は半分は反射され、半分は探針1に照射さ
れる。探針1は光学活性物質で形成されているため、光
の照射により電気的に導通となる。本発明第一実施例で
用いた光学活性物質はIV族半導体である。他にもIII −
V族系半導体、II−VI族系半導体を用いることができ
る。また、被測定物は半導体デバイスとした。ハーフミ
ラー6は、金属薄膜の上面を鏡面として用いた。金属薄
膜の代わりに誘電体多層膜を用いることもできる。
【0025】微小位置制御により被測定物10を移動さ
せ、探針1を被測定物10の所望の位置に置く。この時
点では、光パルスは照射されていないため、探針1は非
導通となっている。つぎに、光パルス源3から光パルス
を照射する。ハーフミラー6に照射された光は、一部が
透過され探針1に照射される。残りの一部は反射して受
光素子11に入射し、探針1の位置が検出される。探針
1に照射された光のために探針1を形成している光学活
性物質は導通となる。このとき、被測定物10である半
導体デバイスの所望の位置の電流が探針1を介してプロ
ーブ2に流れ、電流検出回路12により測定される。こ
れにより、光パルスの発光間隔により電気信号をサンプ
リング計測できる。このとき、光パルスが照射されてい
ない間は探針1は電気的に非導通であり被測定物10に
電気的影響を与えないので信頼性の高い測定結果を得る
ことができる。
【0026】図2(b)に示すように、探針1を金属で
形成し、この探針1とハーフミラー6との間に介挿物7
として光学活性物質を用いる構成とすることもできる。
探針1が金属である方が適当な被測定物10に用いる。
【0027】次に、図3を参照して本発明第二実施例を
説明する。図3は本発明第二実施例におけるプローブ2
の構成図である。本発明第一実施例においてハーフミラ
ー6を設けた位置に反射面8として光学活性物質を用い
る。本発明第二実施例においては探針1は金属により形
成している。光パルス源3からの光の照射により反射面
8を形成する光学活性物質に光が照射され、それに接続
されている探針1は導通となる。測定原理は、本発明第
一実施例ですでに説明したとおりである。
【0028】次に、図4を参照して本発明第三実施例を
説明する。図4は本発明第三実施例におけるプローブ2
の構成図である。本発明第三実施例ではプローブ2は四
フッ化エチレン樹脂等の絶縁体で形成し、その上に電気
通路9を設ける。その途中に光学活性物質により形成さ
れる反射面8を介挿する。本発明第二実施例と動作は同
じであるが反射面8の位置がプローブ2の任意の位置に
設けることができるためプローブ2を設計する上で自由
度が大きくなる利点がある。
【0029】〔参考実験例〕発明者は、上記作用を説明
するために次の実験を行った。図5および図6は実験配
置を示す図である。図7は測定原理を示す図である。図
8〜図13は実験結果を示す図である。図8〜図13は
横軸に時間をとり、縦軸に電圧をとる。実験は図5およ
び図6に示すように2種類の実験配置により大気中で行
った。この実験では、光学活性物質で被測定物10を形
成し、探針1に白金イリジウム(以下、PtIrとい
う)を用いており、探針1の先端近傍に光を照射するこ
とにより光学活性物質を活性化して電位を測定してい
る。
【0030】被測定物10は半絶縁型の砒化ガリウム
(以下、GaAsという)およびインジウムリン(以
下、InPという)ウェハである。ウェハ表面に金(A
u)をスパッタ蒸着して電極とし、銀ペーストでリード
線を接着した。また、被測定物10の表面の酸化および
または汚染を防ぐため、測定直前に劈開し、その劈開面
を被測定物10として使用した。光源としては波長65
0nmのアルミニウム砒素ガリウム(以下、AlGaA
sという)−LEDからのパルス光を用いた。LED2
3は50Ωになるようにインピーダンスマッチングをと
っており、入力電圧に対する応答速度は45nsであっ
た。
【0031】まず、図5に示す実験例から説明する。半
導体ウェハ(GaAsまたはInP)の被測定物10と
探針1とは大気中で微小距離だけ隔てて設置されてい
る。一方、LED23はパルス発生器24によって駆動
され、被測定物10上の探針1の先端近傍に光を照射す
るよう構成されている。被測定物10には直流バイアス
電圧が電源部25により印加されるようになっている。
【0032】一方、探針1は、ピエゾ駆動素子26によ
って駆動され、探針1および被測定物10の間に流れる
トンネル電流をプリアンプ27およびオペアンプ28、
29から成るフィードバック回路が検出して微小位置制
御するようになっている。これは走査型トンネル顕微鏡
と同様な制御系を構成している。
【0033】このときフィードバック回路全体の時定数
はパルス発生器24からのパルス信号の時定数よりも大
きく設計されている。ただし、プリアンプ27はその出
力に接続されたオシロスコープ30により、上記パルス
信号が充分観測できる程度の高速なものである。
【0034】次に、図6に示す実験例を説明する。図6
に示す実験例は、図5において被測定物10に直流電圧
を印加する代わりに交番電場を印加することにより実験
したときの実験配置を示している。
【0035】図6において被測定物10と探針1とは図
5と同様に大気中で微小距離だけ隔てて設定されてい
る。LED23はパルス発生器24によって駆動され、
被測定物10上の探針1の先端近傍に光照射されるよう
に構成されている。
【0036】被測定物10は、オシレータ35により駆
動され、このときのパルス発生器24およびオシレータ
35の繰り返し周波数およびこれらの差周波数Δfは周
波数カウンタ31で観測できる。
【0037】探針1は、ピエゾ駆動素子26によって駆
動され、探針1および被測定物10の間に流れるトンネ
ル電流をプリアンプ27およびオペアンプ28、29か
ら成るフィードバック回路が検出して微小位置制御する
ようになっている。この時の制御系の時定数は図5に示
す実験例と同じとする。
【0038】また、プリアンプ27の出力信号は低域濾
波器32を介してディジタルオシロスコープ33によっ
て観測できるようになっている。また、オシレータ35
は直流電圧がオフセットとして印加できるようになって
いる。
【0039】この実験配置において、被測定物10と接
触させるかまたは原子程度の微小距離(5〜10Å)隔
てて設けた探針1とから成る計測装置の被測定物10と
探針1が対向する部分の近傍に短パルス状の光を照射す
ることにより、被測定物10と探針1との間に生じて流
れる電流を計測して被測定物10の電位をサンプリング
計測することによって被測定物10の動作状態または被
測定物10の電界分布等を計測できるものである。
【0040】図7を参照して測定原理を説明する。図7
(a)に示すように試料DUTの電位VDと尖塔形状を
有する端子tipの電位VtがVD=Vtのとき、尖塔
形状を有する端子tipのバンドギャップの中心と試料
DUTのフェルミ準位が一致していたとする。このよう
なとき、通常はキャリアが少ないのでトンネル電流は流
れない。また、電界放出も起こらない。この状態で尖塔
形状を有する端子tipに光を照射すると、光が当たっ
ている間だけキャリアが生成されトンネル電流が流れ
る。また、トンネルバリアの形状等によっては電界放出
による電流も流れる。この電流の大きさは、図7(b)
および(c)に示すように被測定物DUTと尖塔形状を
有する端子tipとの間電位差すなわちVD−Vtに依
存する。したがってVtを適当に設定し、そのときの電
流を観測することにより試料DUTの電位を知ることが
できる。
【0041】この現象を利用して、照射する光の短パル
スレーザ光とその繰り返し周波数を被測定物10の電気
信号の周波数からわずかにずれた周波数に設定し、この
とき流れる電流を測定することにより、サンプリング動
作をさせることができる。この場合の被測定物10の電
気信号は、上記光パルスの繰り返し周波数と電気信号と
の周波数の差の周波数の信号すなわちビート成分として
ディジタルオシロスコープ33のような通常の測定装置
で容易に測定することができる。
【0042】この端子tipの位置を保持するために
は、走査型トンネル顕微鏡(STM)の場合と同様な手
段によって平均電流が一定になるようにフィードバック
をかけることが有効であるが、このフィードバック制御
系の周波数帯域を充分狭くし、被測定物10の電気信号
の周波数および光パルスの繰り返し周波数およびそれら
のビート周波数がこのフィードバック制御系の周波数帯
域よりも充分高くなるように設定することによって尖塔
形状を有する端子tipの位置を保持しながら被測定物
10の電気信号を測定することができる。
【0043】走査型原子間力顕微鏡(AFM)におい
て、一般に用いられている手法と同様に、被測定物10
とこの端子tipとの間に作用する原子間力を上記端子
の位置のずれとして検出し、それが一定となるようにフ
ィードバックをかけることも有効である。
【0044】また、上記尖塔形状を有する端子tipと
して、被測定物10およびまたは端子tipにそれぞれ
バイアス電圧を印加し、それぞれのバイアス電流を調整
することにより、被測定物10の電位を高精度に計測す
るように構成することも可能である。このとき、上記半
導体で構成した尖塔形状を有する端子tipとしてシリ
コン等IV族半導体、砒素ガリウム等III −V族系半導
体、セレン化亜鉛等II−VI族系半導体等を用いることが
できる。
【0045】図5に戻り、この実験配置により光パルス
に対する系の応答の確認を行った。この実験方法および
結果を説明する。図5において、被測定物10に電源部
25により直流バイアスをかけた状態で、パルス発生器
24によりLED23から矩形のパルス光を出力し、被
測定物10の劈開面に照射してプリアンプ27の出力を
オシロスコープ30を用いて測定し、被測定物10およ
び探針1の間に生ずるトンネル電流のパルス光に対する
応答を観測した。探針1の電位は0Vである。この時平
均トンネル電流は1nAになるように上記フィードバッ
ク回路により制御している。
【0046】このプリアンプ27は1nAのトンネル電
流を10mVの電圧に変換するが周波数帯域は400k
Hz程度である。これに対して走査型トンネル顕微鏡制
御系の周波数帯域は積分回路の時定数で決定され、本実
験例では300Hzに設定した。したがって、これらの
間の周波数領域約1kHz〜400kHzの範囲にある
信号は、フィードバック制御系の動作を乱すことなく印
加され、また検出することができる。
【0047】次に、各種の実験結果を示す。被測定物1
0として半絶縁型InPを用いたときの結果(周波数1
0kHz)を図8に示す。また、半絶縁型GaAsを用
いたときの結果(周波数1kHz)を図9に示す。図8
および図9で、矩形波41および43はLED23の駆
動電圧であり、なまっている波形42および44はトン
ネル電流である。トンネル電流の波形42および44が
完全な矩形波でなく、なまっているのは、プリアンプ2
7の有する通過帯域幅が狭いためで、その時定数が約1
0μsであることによるもので、この値はこれらの波形
から得られる時定数とよく対応している。
【0048】トンネル電流の符号は反転しているので、
下向きの部分が電流の流れている時に対応している。電
流の原点は、プリアンプ27に余分なオフセットがある
ため下にずれてみえるが、平均トンネル電流1nAを中
心に0nAと2nAとの間で変化しており、もっともら
しい振る舞いである。
【0049】ここに示した結果は、電源部25によるバ
イアス電圧が直流で+2Vの場合である。バイアス電圧
は−5Vから+5Vの間で変化させたが、いずれの場合
も光が当たっている間だけ電流が流れるという同様の結
果を得た。さらにこのようなトンネル電流の光に対する
応答は、バイアス電圧が被測定物10のバンドギャップ
よりも充分小さく、ほとんど0Vの場合でも同様に観測
された。
【0050】次に、図6の実験配置において、光パルス
と交流バイアスのビートの検出について実験方法および
結果を記述する。図6において、パルス発生器24によ
り駆動されたLED23からの光パルスの繰り返し周波
数を400kHzとし、オシレータ35によるバイアス
電圧の交流成分の周波数を400kHz+Δfとして、
トンネル電流にビート周波数Δfの成分が見られるか否
かを試した。図10にLED23の駆動パルス(400
kHz)の波形45を示した。また、図11にバイアス
電圧の交流成分(400kHz)の波形46を示す。こ
れにオフセットとして+2Vの直流成分を重ね合わせて
結局+1Vから+3Vの間で変化する正弦波として被測
定物10に印加した。この時平均トンネル電流は1nA
になるようにフィードバック制御を行っている。
【0051】この状態でトンネル電流に対応するプリア
ンプ27からの出力をディジタルオシロスコープ33を
用いてシングルショットで測定した。ビート成分Δfだ
けを検出するために基本周波数である400kHz付近
の成分は低域濾波器32で除去した。光パルスと交流バ
イアス電圧の周波数は周波数カウンタ31で測定した。
【0052】次に、図12に被測定物10として半絶縁
型InPを用いた場合の結果を示す。図13に半絶縁型
GaAsを用いた場合の結果を示す。図12は上述のΔ
fとして9.54kHz、13.96kHz、17.2
7kHz、20.05kHzの場合の出力波形47〜5
0をそれぞれ図12(a)〜(d)に示す。また、図1
3に20kHzの場合の出力波形51を示す。いずれの
場合もビートに対応する凹凸がはっきりと確認できる。
凹凸の数はそれぞれのΔfに対応しており、Δfの増大
とともに凹凸の数が増大するのが分かる。また、振幅も
1nA程度の大きさであり、設定した平均トンネル電流
1nAとよく対応している。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
高速電気波形を高速時間分解能、高精度空間分解能で集
積回路の内部等をも含む任意の測定点で計測する要求に
応えるもので、より高速のより微細な被測定物にも適用
でき、より信頼性の高い高速電気計測方法および計測装
置としての原子間力顕微鏡が実現できる。
【0054】本発明の原子間力顕微鏡では、探針位置検
出用の光の一部を光学活性物質に照射するように構成し
たため、光学活性物質を導通状態にするための余分な光
学系を不要とすることができる。これにより、本来の原
子間力顕微鏡の動作を乱すことなく安価で信頼性の高い
原子間力顕微鏡が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第一実施例装置のブロック構成図。
【図2】本発明第一実施例におけるプローブの構成図。
【図3】本発明第二実施例におけるプローブの構成図。
【図4】本発明第三実施例におけるプローブの構成図。
【図5】実験配置を示す図。
【図6】実験配置を示す図。
【図7】測定原理を示す図。
【図8】実験結果を示す図。
【図9】実験結果を示す図。
【図10】実験結果を示す図。
【図11】実験結果を示す図。
【図12】実験結果を示す図。
【図13】実験結果を示す図。
【符号の説明】 1 探針 2 プローブ 3 光パルス源 4 探針位置検出回路 5 探針位置制御回路 6 ハーフミラー 7 介挿物 8 反射面 9 電気通路 10 被測定物 11 受光素子 12 電流検出回路 13 ピエゾ素子 14 探針位置設定回路 22 同期回路 23 LED 24 パルス発生器 25 電源部 26 ピエゾ駆動素子 27 プリアンプ 28、29 オペアンプ 30 オシロスコープ 31 周波数カウンタ 32 低域濾波器 33 ディジタルオシロスコープ 35 オシレータ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プローブ(2)と、このプローブに取付
    けられ被測定物に近接させる探針(1)と、このプロー
    ブに光を照射する光源(3)と、前記プローブからの反
    射光により前記探針位置を検出する探針位置検出手段
    (4)と、前記探針と前記被測定物との相対位置を制御
    する探針位置制御手段(5)とを備えた原子間力顕微鏡
    において、 前記プローブおよび前記探針の少なくとも一部が、測定
    環境下で非導電性であり光を照射することにより導電性
    を呈する光学活性物質で形成され、 前記光源から照射された光をこの光学活性物質に導入す
    る手段を備え、 前記探針と前記被測定物との間の電流を検出する電流検
    出回路を備えたことを特徴とする原子間力顕微鏡。
  2. 【請求項2】 前記探針が光学活性物質により形成さ
    れ、前記プローブは導電性物質により形成され、このプ
    ローブが前記電流検出回路に電気的に接続された請求項
    1記載の原子間力顕微鏡。
  3. 【請求項3】 前記導入する手段は前記プローブの先端
    に設けられたハーフミラーを含み、このハーフミラーを
    透過する光の照射位置に前記探針が配置された請求項2
    記載の原子間力顕微鏡。
  4. 【請求項4】 前記探針は導電性物質により形成され、
    前記プローブには前記探針に接続された電気通路が形成
    され、その電気通路の途中に光学活性物質が介挿された
    請求項1記載の原子間力顕微鏡。
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