JPH0735761Y2 - ホイールカバーの取付装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は自動車の合成樹脂製のホイールカバーの取付装
置に関するものである。

（従来の技術） 最近，自動車等車両のホイールカバーは装飾目的のため
デザインの多様化ができ，かつ，重量軽減の利点もある
ところから，金属製のものに代わつて合成樹脂製のもの
が広く用いられるようになつた。一方，高速道路の発達
に伴い，自動車の速度は高速化し，ホイールカバーの脱
落事故は大事故を起こしかねない危険をはらんでいる。
したがつて，このような合成樹脂製のホイールカバーを
確実に車輪に取付けて脱落を防止することは，ますます
その必要性を増してきている。

従来，この種の取付装置は多数公知になつており，これ
らの公知の取付装置の構成は，基本的にはばね線又はば
ね板をホイールカバーに固着し，このばね線又はばね板
をホイールリムのハンプ部に係止させるものである。こ
のようにばね線又はばね板を直接ホイールリムに係止さ
せる構成は次のような欠点がある。

（１）ホイールリムへの係止部分の接触面が少ないた
め，係止部分の剛性を強くして嵌合部分の取付けを頑丈
にしてあり，すなわち，ホイールリムとホイールカバー
の取付部分に局部的に強い圧接力が作用するため，走行
時におけるきしみ音発生の要因となり，また，ばね剛性
の強化に伴い，ばねたわみ特性が低くなるとともに，係
止つめ先端の摩耗に伴い固着力が極度に低下する。した
がつて，ホイールカバー初期脱着の際は，極めて大きな
取付け取外し力を必要とするとともに，繰り返し使用後
は極めて小さな外力により簡単に外れてしまう欠点があ
る。

（２）ばね線又はばね板のような金属を車輪の壁面に食
い込ませる形式のものは，壁面を傷つけ，車輪のさび発
生を起こし腐触が進むにつれて極度に安全性を損う状態
にまで進む可能性がある。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は上記（１）（２）の欠点を除去し，ホイールカ
バーを車輪に確実に固着するとともに，脱着の際の適当
な取外し取付け力が長期間にわたり一定の性能を保持す
ることが可能であり，しかも構成の簡単な車両用ホイー
ルカバーの取付装置を提供することを目的とするもので
ある。

（問題点を解決するための手段） 本考案はホイールカバー本体と一体に形成した合成樹脂
製の取付つめをホイールリムのハンプ部に嵌合させ，ホ
イールカバーをホイールリムに取付けるようにし，か
つ，取付つめのホイールリムのハンプ部に対する加圧力
を加圧環状ばねと偏圧環状ばねとのバランス作用によつ
て調整可能の構成としたことを大きな特徴としている。
以下，本考案の一実施例について構成及び作用を図面に
基づき説明する。

（実施例） 第１図ないし第５図において，ホイールカバー本体１と
一体に取付つめ２を形成する。取付つめ２の頂部外側は
ホイールリムのハンプ部に嵌合する形状とし，取付つめ
２の頂部内側に加圧環状ばね３を嵌装する。加圧環状ば
ね３は，ばね線を溶接して環状にし，取付つめ２に嵌装
して取付つめ２を放射状に外側に加圧拡張し，第５図に
示すように，ホイールカバー本体１をホイールリム４に
取付けた場合，取付つめ２をホイールリム４のハンプ部
4aに圧接させ，ホイールカバー１をホイールリム４に固
く取付ける作用をする。なお，加圧環状ばね３は取付つ
め２を外側に放射状に加圧するが，この加圧力を調整す
る必要がある。このため，ホイールカバー本体１と一体
に調整壁５を形成し，調整壁５の外周と取付つめ２の外
周に偏圧環状ばね６を嵌装する。偏圧環状ばね６はばね
線を溶接して環状にし，取付つめ２と調整壁５とを外周
より内方へ向かつて加圧収縮する作用をする。偏圧環状
ばね６は，加圧環状ばね３の加圧拡張力を調整し，二つ
のばねのバランス作用で取付つめ２のハンプ部4aへの加
圧力を調整する。これによつて，ホイールカバーをホイ
ールリムに取付け取外す際の取付け力，取外し力を適当
な力に保持することが可能である。

加圧環状ばね３の加圧力を調整する偏圧環状ばね６の構
成及び作用をさらに詳しく説明する。

取付つめ２はホイールカバー本体から一体成形するもの
であり，第４図に示すホイールカバー本体の取付つめ２
に対応する表面部ｙに外観を損なうようなヒケ（凹所）
を出さないようにするためには厚さｔに制約があり，む
やみに厚くすることはできない。

一方，取付つめ２のホイールリムへの押圧力は加圧環状
ばね３の押圧力w₂（第４図に示す）から取付つめ２の剛
性を差し引いたものであり，取付つめ２の押圧力を調整
する手段の一つとして加圧環状ばね３の線径，材質の変
化に加え，偏圧環状ばね６の配置の位置，第４図l₁：l₃
の比率の変化及び線径，材質の変化により極めてバラン
スの良い取付つめ２の押圧力を得ることが可能である。

調整壁５についてもホイールカバー本体の外観に及ぼす
影響は取付つめ２と同じことであるが，取付つめ２の押
圧力をより効果的に調節するため調整壁５を取付つめ２
と取付つめ２との間に配置したものである。

なお，加圧環状ばね３がその材質や線径により強剛に過
ぎる場合は第６図（イ）（ロ）に例示するようにその円
周の一部を適宜屈曲させて柔軟なばね弾性を与えること
ができる。これは加圧環状ばね３を屈曲させ，外圧が加
わつた場合にエネルギーを吸収し弾性力を付与するもの
である。

（考案の効果） 本考案に係るホイールカバーの取付装置は，ホイールカ
バー本体と一体に形成した取付つめによつてホイールリ
ムのハンプ部に係止するので，従来の金属製引つかけに
よつてハンプ部に係止するものと違つて，ホイールリム
にきずやさびを生ずることがなく，また，加圧環状ばね
及び偏圧環状ばねのバランス作用によつて取付つめの圧
接力を調整できるので，運転中はホイールカバーをホイ
ールリムに強固に保持するとともに，ホイールカバーの
取付け，取外し力を適当に保持することができ，さら
に，加圧環状ばね及び偏圧環状ばねは原則としてばね線
を環状に溶接形成するだけの簡単な工作でできるという
極めて優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の一部を示す斜視図，第２図
は第１図の一実施例の平面図，第３図は第２図のA-A断
面図，第４図は第２図のB-B断面図，第５図は第１図の
一実施例をホイールリムに嵌合した状態の一部を示す断
面図，第６図（イ）（ロ）は加圧環状ばねの他の実施例
を示す斜視図である。 1:ホイールカバー本体,2:取付つめ,3:加圧環状ばね,4:
ホイールリム,4a:ハンプ部,5:調整壁,6:偏圧環状ばね。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ホイールカバー本体（１）と一体に取付つ
   め（２）を形成し、該取付つめ（２）の頂部外側はホイ
   ールリム（４）のハンプ部（4a）に嵌合する形状とし，
   頂部内側に加圧環状ばね（３）を嵌装して取付つめ
   （２）を外側に加圧し，頂部外側をホイールリム（４）
   のハンプ部（4a）に圧接させてホイールカバー本体
   （１）をホイールリム（４）に取付ける構成において，
   ホイールカバー本体（１）と一体に調整壁（５）を形成
   し，該調整壁（５）及び上記取付つめ（２）の外周に偏
   圧環状ばね（６）を嵌装し，取付つめ（２）と調整壁
   （５）とを外周より内方へ向かつて加圧収縮し，取付つ
   め（２）の頂部外側がホイールリム（４）のハンプ部
   （4a）に圧接する上記加圧環状ばね（３）による加圧力
   を調整して偏圧環状ばね（６）と加圧環状ばね（３）の
   バランス作用をもつて取付つめ（２）のハンプ部（4a）
   への加圧力を調整することを特徴とするホイールカバー
   の取付装置。
2. 【請求項２】加圧環状ばね（３）はその円周の一部を屈
   曲させて柔軟なばね弾性を付与した実用新案登録請求の
   範囲第１項記載のホイールカバーの取付装置。