JPH0734387A - 天然黄色系染料を用いた繊維製品の染色方法 - Google Patents
天然黄色系染料を用いた繊維製品の染色方法Info
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- JPH0734387A JPH0734387A JP5173873A JP17387393A JPH0734387A JP H0734387 A JPH0734387 A JP H0734387A JP 5173873 A JP5173873 A JP 5173873A JP 17387393 A JP17387393 A JP 17387393A JP H0734387 A JPH0734387 A JP H0734387A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 微生物により安定に製造されるパイオバディ
ンを用いて、広範囲の繊維製品を染色する。 【構成】 シュードモナス属に属する微生物を液体培地
に接種し、この液体培地で前記微生物を培養して黄色色
素のパイオバディンを生産させる。タンニン酸を繊維製
品に予め含浸しない場合には、このパイオバディンが存
在する培養液にチタン化合物又はジルコニウム化合物を
媒染剤として添加し、タンニン酸を繊維製品に予め含浸
する場合には、この培養液に亜鉛化合物、錫化合物、銅
化合物、クロム化合物、鉄化合物、コバルト化合物、チ
タン化合物又はジルコニウム化合物のいずれか1種又は
2種以上の金属化合物を媒染剤として添加する。添加
後、繊維製品を前記培養液に浸漬し、この液を昇温して
パイオバディンからなる天然黄色系染料により繊維製品
を染色する。
ンを用いて、広範囲の繊維製品を染色する。 【構成】 シュードモナス属に属する微生物を液体培地
に接種し、この液体培地で前記微生物を培養して黄色色
素のパイオバディンを生産させる。タンニン酸を繊維製
品に予め含浸しない場合には、このパイオバディンが存
在する培養液にチタン化合物又はジルコニウム化合物を
媒染剤として添加し、タンニン酸を繊維製品に予め含浸
する場合には、この培養液に亜鉛化合物、錫化合物、銅
化合物、クロム化合物、鉄化合物、コバルト化合物、チ
タン化合物又はジルコニウム化合物のいずれか1種又は
2種以上の金属化合物を媒染剤として添加する。添加
後、繊維製品を前記培養液に浸漬し、この液を昇温して
パイオバディンからなる天然黄色系染料により繊維製品
を染色する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は天然黄色系染料のパイオ
バディン(pyoverdin)を用いた繊維製品の染色方法に関
する。更に詳しくは繊維製品を蛍光性のある黄色に染色
する方法に関するものである。
バディン(pyoverdin)を用いた繊維製品の染色方法に関
する。更に詳しくは繊維製品を蛍光性のある黄色に染色
する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】蛍光性シュードモナス(Pseudomonas)
属に属する微生物の幾種かは、ある条件下において培養
すると、主構成化合物が環状ペプチドと結合したキノリ
ン発色団である水溶性黄色色素のパイオバディン(pyov
erdin)を培養液中に蓄積することが知られている。こ
の色素は親水性が高いために容易に抽出することができ
ず、この色素の工業的生産を目的とした製造特許、或い
はこの色素を利用した用途発明の特許はない。
属に属する微生物の幾種かは、ある条件下において培養
すると、主構成化合物が環状ペプチドと結合したキノリ
ン発色団である水溶性黄色色素のパイオバディン(pyov
erdin)を培養液中に蓄積することが知られている。こ
の色素は親水性が高いために容易に抽出することができ
ず、この色素の工業的生産を目的とした製造特許、或い
はこの色素を利用した用途発明の特許はない。
【0003】
【発明が解決しようとする問題】一方、黄色系の天然染
料としては、例えばクチナシ、サフラン、ウコン等の直
接染料や、キハダ、オウレン等の塩基性染料や、苅安、
エンジュ等の媒染染料がある。しかし、これらは天然物
であるため一般に高価であり、また品質にばらつきある
という問題があった。また、植物染料には蛍光性を有す
るものはなく、広い範囲の繊維製品を染色できるものは
なかった。このような観点から、安定供給可能で、蛍光
性の天然黄色色素の開発が望まれていた。本発明の目的
は、微生物により安定に製造されるパイオバディンを用
いて、広範囲の繊維製品を蛍光性のある黄色に染色する
天然黄色系染料を用いた繊維製品の染色方法を提供する
ことにある。
料としては、例えばクチナシ、サフラン、ウコン等の直
接染料や、キハダ、オウレン等の塩基性染料や、苅安、
エンジュ等の媒染染料がある。しかし、これらは天然物
であるため一般に高価であり、また品質にばらつきある
という問題があった。また、植物染料には蛍光性を有す
るものはなく、広い範囲の繊維製品を染色できるものは
なかった。このような観点から、安定供給可能で、蛍光
性の天然黄色色素の開発が望まれていた。本発明の目的
は、微生物により安定に製造されるパイオバディンを用
いて、広範囲の繊維製品を蛍光性のある黄色に染色する
天然黄色系染料を用いた繊維製品の染色方法を提供する
ことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の天然黄色系染料
を用いた第1の染色方法は、シュードモナス属に属する
微生物を液体培地に接種し、この液体培地で前記微生物
を培養して黄色色素のパイオバディンを生産させ、この
パイオバディンが存在する培養液にチタン化合物又はジ
ルコニウム化合物のいずれか又は双方の金属化合物を媒
染剤として添加した後、繊維製品を前記培養液に浸漬
し、この液を昇温して浸漬した繊維製品を染色する方法
である。
を用いた第1の染色方法は、シュードモナス属に属する
微生物を液体培地に接種し、この液体培地で前記微生物
を培養して黄色色素のパイオバディンを生産させ、この
パイオバディンが存在する培養液にチタン化合物又はジ
ルコニウム化合物のいずれか又は双方の金属化合物を媒
染剤として添加した後、繊維製品を前記培養液に浸漬
し、この液を昇温して浸漬した繊維製品を染色する方法
である。
【0005】また本発明の天然黄色系染料を用いた第2
の染色方法は、繊維製品にタンニン酸を先媒染剤として
含浸し、シュードモナス属に属する微生物を液体培地に
接種し、この液体培地で前記微生物を培養して黄色色素
のパイオバディンを生産させ、このパイオバディンが存
在する培養液に亜鉛化合物、錫化合物、銅化合物、クロ
ム化合物、鉄化合物、コバルト化合物、チタン化合物又
はジルコニウム化合物のいずれか1種又は2種以上の金
属化合物を媒染剤として添加した後、前記繊維製品を前
記培養液に浸漬し、この培養液を昇温して浸漬した繊維
製品を染色する方法である。
の染色方法は、繊維製品にタンニン酸を先媒染剤として
含浸し、シュードモナス属に属する微生物を液体培地に
接種し、この液体培地で前記微生物を培養して黄色色素
のパイオバディンを生産させ、このパイオバディンが存
在する培養液に亜鉛化合物、錫化合物、銅化合物、クロ
ム化合物、鉄化合物、コバルト化合物、チタン化合物又
はジルコニウム化合物のいずれか1種又は2種以上の金
属化合物を媒染剤として添加した後、前記繊維製品を前
記培養液に浸漬し、この培養液を昇温して浸漬した繊維
製品を染色する方法である。
【0006】以下、本発明を詳述する。本発明に用いる
微生物は、シュードモナス属に属しかつパイオバディン
を生産しうる菌株であればよく特に制限されない。この
微生物の例として、シュードモナス・フルオレッセンス
(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・プチ
ダ(Pseudomonas putida)などの菌種を挙げることがで
きる。また、その代表例としてシュードモナス・フルオ
レッセンス(Pseudomonas fluorescens)IFO 12032、シ
ュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)IFO 1205
5を挙げることができる。
微生物は、シュードモナス属に属しかつパイオバディン
を生産しうる菌株であればよく特に制限されない。この
微生物の例として、シュードモナス・フルオレッセンス
(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・プチ
ダ(Pseudomonas putida)などの菌種を挙げることがで
きる。また、その代表例としてシュードモナス・フルオ
レッセンス(Pseudomonas fluorescens)IFO 12032、シ
ュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)IFO 1205
5を挙げることができる。
【0007】本発明のパイオバディンを生産する液体培
地としては、例えばキングB培地[培地1リットル当た
り、ペプトン20gとリン酸カリウム1.5gと硫酸マ
グネシウム1.5gとグリセリン10g(pH7.
2)]を挙げることができるが、パイオバディンを生産
する培地であれば特に制限されない。
地としては、例えばキングB培地[培地1リットル当た
り、ペプトン20gとリン酸カリウム1.5gと硫酸マ
グネシウム1.5gとグリセリン10g(pH7.
2)]を挙げることができるが、パイオバディンを生産
する培地であれば特に制限されない。
【0008】本発明の天然染料により染色される繊維製
品は、パイオバディンによって染色されるものであれ
ば、天然繊維、化学繊維又はこれらの混紡繊維を用いる
ことができる。例えばこの繊維製品は、獣毛、麻、綿、
絹、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ア
セテート、レーヨン等の繊維、これらの繊維から作られ
る糸、及び織物、編物、不織布等の布帛である。布帛に
は混紡織物、混紡編物、混用不織布及び交織もしくは交
編物を含む。
品は、パイオバディンによって染色されるものであれ
ば、天然繊維、化学繊維又はこれらの混紡繊維を用いる
ことができる。例えばこの繊維製品は、獣毛、麻、綿、
絹、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ア
セテート、レーヨン等の繊維、これらの繊維から作られ
る糸、及び織物、編物、不織布等の布帛である。布帛に
は混紡織物、混紡編物、混用不織布及び交織もしくは交
編物を含む。
【0009】本発明の第1の染色方法は、タンニン酸を
媒染剤として繊維製品に予め含浸させない方法であっ
て、例えば繊維重量当たり20〜100倍量の培養液に
繊維重量当たり1〜40重量%の金属化合物を溶解し、
その培養液に繊維製品を浸漬し、この培養液を昇温し
て、浸漬した繊維製品を染色する浸染法である。この染
色方法に用いる金属化合物としては、三塩化チタン、
四塩化チタンなどのチタン化合物又はオキシ塩化ジル
コニウム、硝酸ジルコニルなどのジルコニウム化合物を
挙げることができる。上記又はの金属化合物は単独
で又は組合せて用いられる。
媒染剤として繊維製品に予め含浸させない方法であっ
て、例えば繊維重量当たり20〜100倍量の培養液に
繊維重量当たり1〜40重量%の金属化合物を溶解し、
その培養液に繊維製品を浸漬し、この培養液を昇温し
て、浸漬した繊維製品を染色する浸染法である。この染
色方法に用いる金属化合物としては、三塩化チタン、
四塩化チタンなどのチタン化合物又はオキシ塩化ジル
コニウム、硝酸ジルコニルなどのジルコニウム化合物を
挙げることができる。上記又はの金属化合物は単独
で又は組合せて用いられる。
【0010】また本発明の第2の染色方法は、タンニン
酸を媒染剤として繊維製品に予め含浸させておく方法で
あって、例えば繊維重量当たり1〜10重量%のタンニ
ン酸が溶解されたタンニン酸水溶液を用意し、このタン
ニン酸水溶液に繊維製品を浸漬してタンニン酸を含浸さ
せておく。第2の染色方法は第1の染色方法と同様に繊
維重量当たり20〜100倍量の培養液に繊維重量当た
り1〜40重量%の金属化合物を溶解し、その培養液に
タンニン酸を含浸した繊維製品を浸漬し、この培養液を
昇温して、浸漬した繊維製品を染色する浸染法である。
第2の染色方法では金属化合物には上記チタン化合物
や上記ジルコニウム化合物に加えて、硫酸亜鉛など
の亜鉛化合物、塩化第一錫、塩化第二錫、錫酸ナトリ
ウなどの錫化合物、硫酸銅、酢酸銅、塩化銅などの銅
化合物、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、木酢酸鉄などの鉄
化合物、塩化コバルトなどのコバルト化合物、酢酸
クロム、塩化クロムなどのクロム化合物を挙げることが
できる。上記〜の金属化合物は単独で又は組合せて
用いられる。繊維製品へのタンニン酸の含浸方法は、例
えば繊維製品を上記タンニン酸水溶液に50℃で30分
から1時間程度浸漬すればよく、更に酒石酸アンチモニ
ルカリウム水溶液に浸漬すれば、タンニン酸が繊維に多
く固着されるため、好ましい結果を得ることができる。
酸を媒染剤として繊維製品に予め含浸させておく方法で
あって、例えば繊維重量当たり1〜10重量%のタンニ
ン酸が溶解されたタンニン酸水溶液を用意し、このタン
ニン酸水溶液に繊維製品を浸漬してタンニン酸を含浸さ
せておく。第2の染色方法は第1の染色方法と同様に繊
維重量当たり20〜100倍量の培養液に繊維重量当た
り1〜40重量%の金属化合物を溶解し、その培養液に
タンニン酸を含浸した繊維製品を浸漬し、この培養液を
昇温して、浸漬した繊維製品を染色する浸染法である。
第2の染色方法では金属化合物には上記チタン化合物
や上記ジルコニウム化合物に加えて、硫酸亜鉛など
の亜鉛化合物、塩化第一錫、塩化第二錫、錫酸ナトリ
ウなどの錫化合物、硫酸銅、酢酸銅、塩化銅などの銅
化合物、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、木酢酸鉄などの鉄
化合物、塩化コバルトなどのコバルト化合物、酢酸
クロム、塩化クロムなどのクロム化合物を挙げることが
できる。上記〜の金属化合物は単独で又は組合せて
用いられる。繊維製品へのタンニン酸の含浸方法は、例
えば繊維製品を上記タンニン酸水溶液に50℃で30分
から1時間程度浸漬すればよく、更に酒石酸アンチモニ
ルカリウム水溶液に浸漬すれば、タンニン酸が繊維に多
く固着されるため、好ましい結果を得ることができる。
【0011】第1の染色方法も第2の染色方法も、昇温
は例えば徐々に行い、所定時間沸騰する染色法、或いは
高温、高圧条件で行う染色法など通常の染色法を用いる
ことができる。ただし、パイオバディンは酸性条件では
蛍光性の黄色に発色しないため、好ましくは染液のpH
は中性付近に調整される。
は例えば徐々に行い、所定時間沸騰する染色法、或いは
高温、高圧条件で行う染色法など通常の染色法を用いる
ことができる。ただし、パイオバディンは酸性条件では
蛍光性の黄色に発色しないため、好ましくは染液のpH
は中性付近に調整される。
【0012】
【作用】パイオバディンが存在する培養液に繊維製品を
浸漬し、この培養液を昇温すると、培養液に溶解してい
るチタン化合物に代表される金属化合物が媒染剤となっ
て液中のパイオバディンが繊維製品に染着して繊維製品
が蛍光性のある黄色系に染まる。予め繊維製品にタンニ
ン酸を媒染剤として含浸しておくと、培養液に添加する
金属化合物の媒染剤の種類が増える。
浸漬し、この培養液を昇温すると、培養液に溶解してい
るチタン化合物に代表される金属化合物が媒染剤となっ
て液中のパイオバディンが繊維製品に染着して繊維製品
が蛍光性のある黄色系に染まる。予め繊維製品にタンニ
ン酸を媒染剤として含浸しておくと、培養液に添加する
金属化合物の媒染剤の種類が増える。
【0013】
【実施例】次に本発明の実施例を詳しく説明するが、こ
こに挙げた実施例は一例であって、本発明はこれに限定
されるものではない。
こに挙げた実施例は一例であって、本発明はこれに限定
されるものではない。
【0014】<実施例1>シュードモナス・プチダ(Ps
eudomonas putida)IFO 12055が生産するパイオバディ
ンを用いて、タンニン酸を媒染剤として繊維製品に予め
含浸させない第1の染色方法で、金属化合物として三塩
化チタンを用いて、綿糸、ナイロンフィラメント糸、ビ
ニロン紡績糸、アセテートフィラメント糸、そ毛糸、レ
ーヨンフィラメント糸、アクリル紡績糸、生糸、及びポ
リエステル紡績糸の染色を行った。
eudomonas putida)IFO 12055が生産するパイオバディ
ンを用いて、タンニン酸を媒染剤として繊維製品に予め
含浸させない第1の染色方法で、金属化合物として三塩
化チタンを用いて、綿糸、ナイロンフィラメント糸、ビ
ニロン紡績糸、アセテートフィラメント糸、そ毛糸、レ
ーヨンフィラメント糸、アクリル紡績糸、生糸、及びポ
リエステル紡績糸の染色を行った。
【0015】即ち、キングのB培地にシュードモナス・
プチダ(Pseudomonas putida)IFO12055を接種し、30
℃で2日間培養した。糸重量に対して約30倍の培養液
を採取し、この培養液に15%owfの三塩化チタン水
溶液(20%塩酸溶液を水で5倍量に希釈したもの)を
添加しこれを溶解した。上記9種類の糸を上記培養液に
浸漬し、時折撹拌しながら、約20分かけて徐々に昇温
し、沸騰条件で約30分間放置した。放置後、30℃付
近まで温度を下げ、培養液から上記9種類の糸を取出
し、これらを水道水で洗い、続いて50℃の温浴で10
分間洗浄した。その結果、この染色条件ではナイロンフ
ィラメント糸及びアセテートフィラメント糸以外の綿
糸、ビニロン紡績糸、そ毛糸、レーヨンフィラメント
糸、アクリル紡績糸、生糸、及びポリエスエル紡績糸の
7種類の糸を蛍光性のある黄色に染めることができた。
特に、そ毛糸及びアクリル紡績糸が良好に染色された。
プチダ(Pseudomonas putida)IFO12055を接種し、30
℃で2日間培養した。糸重量に対して約30倍の培養液
を採取し、この培養液に15%owfの三塩化チタン水
溶液(20%塩酸溶液を水で5倍量に希釈したもの)を
添加しこれを溶解した。上記9種類の糸を上記培養液に
浸漬し、時折撹拌しながら、約20分かけて徐々に昇温
し、沸騰条件で約30分間放置した。放置後、30℃付
近まで温度を下げ、培養液から上記9種類の糸を取出
し、これらを水道水で洗い、続いて50℃の温浴で10
分間洗浄した。その結果、この染色条件ではナイロンフ
ィラメント糸及びアセテートフィラメント糸以外の綿
糸、ビニロン紡績糸、そ毛糸、レーヨンフィラメント
糸、アクリル紡績糸、生糸、及びポリエスエル紡績糸の
7種類の糸を蛍光性のある黄色に染めることができた。
特に、そ毛糸及びアクリル紡績糸が良好に染色された。
【0016】<実施例2>シュードモナス・フルオレッ
センス(Pseudomonas fluorescens)IFO 12032が生産す
るパイオバディンを用いて、タンニン酸を媒染剤として
繊維製品に予め含浸させておく第2の染色方法で、金属
化合物として硫酸亜鉛を用いて、綿糸、ナイロンフィラ
メント糸、ビニロン紡績糸、アセテートフィラメント
糸、そ毛糸、レーヨンフィラメント糸、アクリル紡績
糸、生糸、及びポリエステル紡績糸の染色を行った。
センス(Pseudomonas fluorescens)IFO 12032が生産す
るパイオバディンを用いて、タンニン酸を媒染剤として
繊維製品に予め含浸させておく第2の染色方法で、金属
化合物として硫酸亜鉛を用いて、綿糸、ナイロンフィラ
メント糸、ビニロン紡績糸、アセテートフィラメント
糸、そ毛糸、レーヨンフィラメント糸、アクリル紡績
糸、生糸、及びポリエステル紡績糸の染色を行った。
【0017】即ち、キングのB培地にシュードモナス・
フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)IFO 1203
2を接種し、30℃で2日間培養した。糸重量に対して
約30倍の培養液を採取し、この培養液に3%owfの
硫酸亜鉛を添加しこれを溶解した。先ず上記9種類の糸
をそれぞれ5%owfの50℃のタンニン酸水溶液に3
0分浸漬させた。次いでこの水溶液から9種類の糸を引
上げ、水洗した後、上記9種類のタンニン酸を含浸させ
た糸を培養液に浸漬した。この培養液を時折撹拌しなが
ら、約20分かけて徐々に昇温し、沸騰条件で約30分
間放置した。放置後、30℃付近まで温度を下げ、培養
液から上記9種類の糸を取出し、これらを水道水で洗
い、続いて温浴で洗浄した。その結果、この染色方法で
はアセテートフィラメント糸、アクリル紡績糸及びポリ
エステル紡績糸以外の綿糸、ナイロンフィラメント糸、
ビニロン紡績糸、そ毛糸、レーヨンフィラメント糸、及
び生糸の6種類の糸を蛍光性のある黄色に染めることが
できた。特に、ナイロンフィラメント糸及びビニロン紡
績糸が良好に染色された。
フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)IFO 1203
2を接種し、30℃で2日間培養した。糸重量に対して
約30倍の培養液を採取し、この培養液に3%owfの
硫酸亜鉛を添加しこれを溶解した。先ず上記9種類の糸
をそれぞれ5%owfの50℃のタンニン酸水溶液に3
0分浸漬させた。次いでこの水溶液から9種類の糸を引
上げ、水洗した後、上記9種類のタンニン酸を含浸させ
た糸を培養液に浸漬した。この培養液を時折撹拌しなが
ら、約20分かけて徐々に昇温し、沸騰条件で約30分
間放置した。放置後、30℃付近まで温度を下げ、培養
液から上記9種類の糸を取出し、これらを水道水で洗
い、続いて温浴で洗浄した。その結果、この染色方法で
はアセテートフィラメント糸、アクリル紡績糸及びポリ
エステル紡績糸以外の綿糸、ナイロンフィラメント糸、
ビニロン紡績糸、そ毛糸、レーヨンフィラメント糸、及
び生糸の6種類の糸を蛍光性のある黄色に染めることが
できた。特に、ナイロンフィラメント糸及びビニロン紡
績糸が良好に染色された。
【0018】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の染色方法に
よれば、微生物により安定に製造されるパイオバディン
を用いるため、染料の品質にばらつきが少なく、安価に
かつ効率的に、広範囲の繊維製品を蛍光性のある黄色に
染色することができる。また、この方法により染色され
た繊維製品は、耐光堅牢度も良いため従来の天然染料に
よる染色加工と比べて、優れた品質を有する。特に、繊
維製品にタンニン酸を先媒染剤として含浸しておくと、
培養液に添加する媒染剤を多くの金属化合物の中から選
定することができる。
よれば、微生物により安定に製造されるパイオバディン
を用いるため、染料の品質にばらつきが少なく、安価に
かつ効率的に、広範囲の繊維製品を蛍光性のある黄色に
染色することができる。また、この方法により染色され
た繊維製品は、耐光堅牢度も良いため従来の天然染料に
よる染色加工と比べて、優れた品質を有する。特に、繊
維製品にタンニン酸を先媒染剤として含浸しておくと、
培養液に添加する媒染剤を多くの金属化合物の中から選
定することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は天然黄色系染料のパイオ
バディン(pyoverdin)を用いた繊維製品の染色方法に関
するものである。
バディン(pyoverdin)を用いた繊維製品の染色方法に関
するものである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正内容】
【0003】
【発明が解決しようとする問題】一方、黄色系の天然染
料としては、例えばクチナシ、サフラン、ウコン等の直
接染料や、キハダ、オウレン等の塩基性染料や、苅安、
エンジュ等の媒染染料がある。しかし、これらは天然物
であるため一般に高価であり、また品質にばらつきある
という問題があった。また、植物染料には蛍光性を有す
るものはなく、広い範囲の繊維製品を染色できるものは
なかった。このような観点から、安定供給可能で、蛍光
性の天然黄色色素の開発が望まれていた。本発明の目的
は、微生物により安定に製造されるパイオバディンを用
いて、広範囲の繊維製品を染色する天然黄色系染料を用
いた繊維製品の染色方法を提供することにある。
料としては、例えばクチナシ、サフラン、ウコン等の直
接染料や、キハダ、オウレン等の塩基性染料や、苅安、
エンジュ等の媒染染料がある。しかし、これらは天然物
であるため一般に高価であり、また品質にばらつきある
という問題があった。また、植物染料には蛍光性を有す
るものはなく、広い範囲の繊維製品を染色できるものは
なかった。このような観点から、安定供給可能で、蛍光
性の天然黄色色素の開発が望まれていた。本発明の目的
は、微生物により安定に製造されるパイオバディンを用
いて、広範囲の繊維製品を染色する天然黄色系染料を用
いた繊維製品の染色方法を提供することにある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【作用】パイオバディンが存在する培養液に繊維製品を
浸漬し、この培養液を昇温すると、培養液に溶解してい
るチタン化合物に代表される金属化合物が媒染剤となっ
て液中のパイオバディンが繊維製品に染着して繊維製品
が染まる。予め繊維製品にタンニン酸を媒染剤として含
浸しておくと、培養液に添加する金属化合物の媒染剤の
種類が増える。
浸漬し、この培養液を昇温すると、培養液に溶解してい
るチタン化合物に代表される金属化合物が媒染剤となっ
て液中のパイオバディンが繊維製品に染着して繊維製品
が染まる。予め繊維製品にタンニン酸を媒染剤として含
浸しておくと、培養液に添加する金属化合物の媒染剤の
種類が増える。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の染色方法に
よれば、微生物により安定に製造されるパイオバディン
を用いるため、染料の品質にばらつきが少なく、安価に
かつ効率的に、広範囲の繊維製品を染色することができ
る。また、この方法により染色された繊維製品は、耐光
堅牢度も良いため従来の天然染料による染色加工と比べ
て、優れた品質を有する。特に、繊維製品にタンニン酸
を先媒染剤として含浸しておくと、培養液に添加する媒
染剤を多くの金属化合物の中から選定することができ
る。
よれば、微生物により安定に製造されるパイオバディン
を用いるため、染料の品質にばらつきが少なく、安価に
かつ効率的に、広範囲の繊維製品を染色することができ
る。また、この方法により染色された繊維製品は、耐光
堅牢度も良いため従来の天然染料による染色加工と比べ
て、優れた品質を有する。特に、繊維製品にタンニン酸
を先媒染剤として含浸しておくと、培養液に添加する媒
染剤を多くの金属化合物の中から選定することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06P 1/673 9356−4H
Claims (3)
- 【請求項1】 シュードモナス属に属する微生物を液体
培地に接種し、 前記液体培地で前記微生物を培養して黄色色素のパイオ
バディンを生産させ、 前記パイオバディンが存在する培養液にチタン化合物又
はジルコニウム化合物のいずれか又は双方の金属化合物
を媒染剤として添加した後、繊維製品を前記培養液に浸
漬し、 前記培養液を昇温して浸漬した繊維製品を染色する天然
黄色系染料を用いた繊維製品の染色方法。 - 【請求項2】 繊維製品にタンニン酸を先媒染剤として
含浸し、 シュードモナス属に属する微生物を液体培地に接種し、 前記液体培地で前記微生物を培養して黄色色素のパイオ
バディンを生産させ、 前記パイオバディンが存在する培養液に亜鉛化合物、錫
化合物、銅化合物、クロム化合物、鉄化合物、コバルト
化合物、チタン化合物又はジルコニウム化合物のいずれ
か1種又は2種以上の金属化合物を媒染剤として添加し
た後、前記繊維製品を前記培養液に浸漬し、 前記培養液を昇温して浸漬した繊維製品を染色する天然
黄色系染料を用いた繊維製品の染色方法。 - 【請求項3】 請求項1又は請求項2の方法により染色
された繊維製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5173873A JP2887047B2 (ja) | 1993-07-14 | 1993-07-14 | 天然黄色系染料を用いた繊維製品の染色方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5173873A JP2887047B2 (ja) | 1993-07-14 | 1993-07-14 | 天然黄色系染料を用いた繊維製品の染色方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0734387A true JPH0734387A (ja) | 1995-02-03 |
JP2887047B2 JP2887047B2 (ja) | 1999-04-26 |
Family
ID=15968719
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5173873A Expired - Lifetime JP2887047B2 (ja) | 1993-07-14 | 1993-07-14 | 天然黄色系染料を用いた繊維製品の染色方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2887047B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018513694A (ja) * | 2015-04-09 | 2018-05-31 | カラーリフィックス・リミテッドColorifix Limited | 微生物を使用して布を染色する方法 |
JP2020515668A (ja) * | 2017-03-20 | 2020-05-28 | アルガライフ リミテッド | 着色プロセスで用いるための培養微細藻類を含む組成物 |
-
1993
- 1993-07-14 JP JP5173873A patent/JP2887047B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018513694A (ja) * | 2015-04-09 | 2018-05-31 | カラーリフィックス・リミテッドColorifix Limited | 微生物を使用して布を染色する方法 |
JP2020515668A (ja) * | 2017-03-20 | 2020-05-28 | アルガライフ リミテッド | 着色プロセスで用いるための培養微細藻類を含む組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2887047B2 (ja) | 1999-04-26 |
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