JPH0734212Y2 - 携帯型小型汎用エンジンのリコイルスタータ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、エンジンのリコイルスタータ、主に、刈払
機等の原動機として使用される携帯型小型汎用エンジン
に付設されるリコイルスタータに関する。

（従来技術） 携帯型小型汎用エンジンは、刈払機、可搬式ポンプある
いは携帯型発電機等（本明細書において、携帯型作業機
という）の原動機として広く使用されている。

このため、上記携帯型小型汎用エンジンは、軽量である
こと、取扱及びメンテナンスが容易あること、コストが
低いこと等が要求されることに起因して、専ら手でロー
プを牽引してスタートさせる形式のリコイルスタータが
付設される。そして、このリコイルスタータに関して
は、現在種々のものがあり、また種々の出願がなされて
いる。その一つとして、例えば、本出願人にかかるもの
（実開昭62-176481号公報）がある。

リコイルスタータは、エンジンスタート時のロープの牽
引に際し、そのエンジンの搭載される携帯型作業機が使
用される状態あるいは地面等に載置した状態において作
業者がスタートさせ易いように、一般に、牽引方向が作
業者の手元側に引き勝手となるよう牽引の方向（第５図
の矢符Ｓ）が鉛直方向（シリンダの長手方向）に対して
傾きを有するよう構成することが望ましく、例えば第５
図に図示するように45°〜60°等の角度を持っている。

また、一方において、リコイルスタータのロープの牽引
は、主としてロープの疲労を軽減するため、専ら、第５
図あるいは第６図に図示されるように、リコイルスター
タ１のリール２の接線方向（矢符Ｄ）あるいはこれに近
い角度に牽引するような構成になっている。

（考案が解決しようとする課題） ところで、上記携帯型小型汎用エンジンは、携帯型作業
機の種類によっては、回転方向（第５図、第７図、第８
図において矢符Ｒ）が時計方向のものと反時計方向のも
のがあり、このように回転方向が逆のものであっても、
上述のように、リコイルスタータの牽引方向が作業者の
手元側に引き勝手であることが要求される。即ち、牽引
方向が作業者の手元側に引き勝手でない場合、例えば、
第７図に図示するように、牽引方向が水平に近い角度で
ある場合には、作業者は必要以上に腰を落として牽引し
なければならず、また第８図に図示するように、牽引方
向が鉛直方向に近い角度の場合には作業者は上半身をせ
り出した恰好で牽引しなければならず、人間工学的見地
よりしても好ましくなく、且つ共に牽引力が弱くなるこ
とからロープを牽引した際のエンジンの回転数が低く
（十分な回転数が得られず）起動し難くなる。

しかし、携帯型作業機へのエンジンの搭載状態によっ
て、上述のようにエンジンの回転方向が逆の場合には、
上述のようにリコイルスタータのロープの牽引がリール
の接線方向にすることができないか、あるいは接線方向
にあえてすると第７図，第８図に図示するようにロープ
の牽引方向が作業者の手元側に引き勝手とならないとい
う不都合がある。

従って、前者の場合にはロープの疲労が早まり、そうで
ないものと比べてロープの寿命が短くなり、一方後者の
場合には作業者にとって好ましくない姿勢でロープを牽
引しなければならないという不都合が生じる。

本考案は、上記現況に鑑み行われたもので、エンジンの
回転方向に関係なく作業者の手元側に引き勝手となり且
つロープの疲労も軽減できるような構成のリコイルスタ
ータを提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案にかかる携帯型小型汎用エンジンのリコイルスタ
ータは、リコイルスタータ内部のリールに巻装されたロ
ープが、該リールから離れ、途中で転向して取出し穴へ
向かう上記リコイルスタータのカバーケースのロープ転
向部分に、上記ロープをガイド転向させるガイド手段を
備えた、携帯型小型汎用エンジンのリコイルスタータに
おいて、 上記リコイルスタータ（１）のカバーケース（４）の本
体部分の側方に、エンジン側で開口するようロープの取
出口部（4a）を突出形成するとともに、 この取出口部（4a）に、取出し穴（4b）を貫設可能な、
上記転向部分（Ａ）で転向したロープの延長線に直交す
る面（4d）と、この面（4d）に対しリールの回転方向に
おいて90°異なった面（4d′）を形成し、 且つ、この取出口部（4a）の上記転向部分（Ａ）に、凹
状あるいは凸状の被嵌合部（4c）を設けるとともに、 該取出口部（4a）のエンジン側で開口した部位をガイド
部材（６）で閉塞するとともに、 このガイド部材（６）に、上記被嵌合部（4c）に嵌合す
る凸あるいは凹状の嵌合部（6c）を形成するとともに、
該ガイド部材（６）に上記転向部分（Ａ）の内周面とな
る曲面のガイド面（6a）を上記ガイド手段として形成し
たことを特徴とする。

（作用） このように、構成することにより、取出口部に、ロープ
の取出し穴を、エンジンの搭載状態等に応じて、リール
の回転方向において90°異なる方向に設けることもでき
る。

また、ガイド面を利用してロープを転向させて使用する
場合において、ガイド面がロープとの接触により摩耗等
しても、ガイド部材のみを取り替えることにより補修で
きる。

そして、上記ガイド部材は、カバーケースの取出口部の
被嵌合部に該ガイド部材の嵌合部を嵌合させることによ
って取り付けられているため、簡単に交換することが可
能となる。

そして、ガイド面を利用してロープを転向させて使用す
る場合には、リールから離れるロープの位置が、リール
上のどのような位置にあっても、ロープがガイド面の曲
面にそって屈曲するためロープに無理な屈曲力が作用す
ることなく、上記ガイド面で自由にロープの方向を転向
させることができる。

従って、ロープの牽引方向を、エンジンを搭載した携帯
型作業機の使用態様等にかかわらず、常に人間工学的に
好ましい方向に設定することができる。

（実施例） 以下、本考案にかかる実施例を、図面を参照しながら詳
細に説明する。

第１図は本実施例にかかるリコイルスタータを付設した
携帯型小型汎用エンジンの正面図、第２図はリコイルス
タータのカバーケースをエンジン本体側から見た斜視
図、第３図は第２図を示すカバーケースに取りつけられ
るガイド面を有するガイド部材の斜視図、第４図は第２
図のI-I矢視図である。

第１図において、１はリコイルスタータで、このリコイ
ルスタータはエンジン本体10のクランク室側部にボルト
11によって取着されている。図示しないが、上記エンジ
ン本体のクランク軸の端部と後述するリコイルスタータ
のリール２（第２図の二点鎖線参照）が係脱自在に結合
している。

そして、上記リコイルスタータ１は、第２図に図示する
ように、ケーシングであるカバーケース４の内部にリー
ル２が回転自在に配設されている。上記カバーケース４
は、第１図あるいは第２図に図示するように、全体が、
一方に開口した円筒碗状の本体部分の側方に下記の取出
口部4aが突出した如き形状をしている。また、上記カバ
ーケース４の本体部分と取出口部4aは、エンジン側に開
口している。

上記リール２は、ボルト７で上記カバーケース４の本体
部分の内部に枢着されている。そして、上記リール２と
ボルト７との間には巻きバネ（図示せず）が巻装され、
リール２を一方の回転方向（本実施例の場合には第２図
において反時計方向）に附勢している。

また、上記リール２には牽引用ロープ３の一端（図示せ
ず）が取着され、該リール２の周部の溝内には牽引用ロ
ープ３の伸出部が上記巻きバネの附勢により緊張された
状態で巻装され、またロープ３の他の一端はカバーケー
ス４の周部、つまりカバーケース４の取出口部4aに形成
された一つの面4dに穿設（貫設）された取出し穴4b（図
４参照）から外方に出て、カバーケース４の外部でその
端部に把持体５が取着されている。

従って、通常の状態においては、ロープ３の伸長部は上
記リール２に巻き取られ、緊張された状態にある。

そして、第２図に示すように、上記リール２に巻装され
たロープが、該リール２から離れ、途中で転向して上記
リコイルスタータのカバーケース４の取出口部4aの上記
取出し穴4b（図４参照）へ向かう該転向部分Ａ（第４図
参照）に、ガイド面6aが転向部分の内周面（接触面）と
なるようガイド部材６（第３図参照）が取着されてい
る。この取着は、本実施例の場合、カバーケース４内壁
に設けられた凸部4c（第２図、第４図参照）に、第３図
に示す上記ガイド部材６側の蓋部6bに設けられた凹部6c
が嵌合することによりなされている。

この結果、第４図に示すように、上記ロープ３の転向部
が、第３図に示すガイド部材６のガイド面6aに接触する
こととなる。

上記ガイド部材６は、滑りの良い材質のもの、例えば、
本実施例の場合にはフェノール樹脂が使用され、また形
状的に上記ガイド面6aは連続した曲線からなる曲面で形
成されている。

また、上記ガイド部材６がカバーケース４に取着された
状態において、該カバーケース４の取出口部4aのエンジ
ン側に開口した部位は、ガイド部材６の蓋部6bで閉塞さ
れている。

しかして、上述のように構成すると、第４図に示すよう
に、ロープ３の転向部分Ａに連続した曲線よりなる曲面
のガイド面6aが形成され、この部分でロープ３がガイド
部材６のロープ取出し穴4b方向に湾曲して無理なく転向
させることができる。

即ち、ロープ３がリール２から離れる位置Ｂが、カバー
ケース４の取出口部4aの取出し穴4bの延長線上になくと
も、ロープ３を自在に転向できるため、所望の方向に上
記取出口部4aを形成することができる。

また、本実施例の場合には、上記ガイド部材６に、ガイ
ド面6aと共に上記取出口部4aの一方の面を閉塞する蓋部
6bとを設けているため、部品点数が減少でき、上述のよ
うにガイド面をカバーケースと別部材で構成しても、製
造コストを低減することができる。そして、ガイド面が
ロープとの摺接で摩耗しても、簡単に新しいガイド部材
と交換することができる。

上記実施例では、ガイド面をカバーケースと別の部材で
形成しているが、カバーケース自体にガイド面を形成し
てもよい。また、上記実施例とは異なり、ガイド面のみ
を別の部材で形成してカバーケース内壁面に取着し、上
記蓋部6bと別体に構成してもよい。

また、材料的には、上記樹脂に限定されることなく、滑
り易くある程度の強度を有するものであれば、他の材料
であってもよい。

なお、第１図，第２図等に図示する上記実施例のもの
と、ロープの取出し方向がリールの回転方向において90
°異なった方向になったタイプのリコイルスタータのカ
バーケースとしても使用できるよう、上記ロープの取出
し穴4bを形成するための面4d′が、上記実施例で取出し
穴4b（第４図参照）を形成した面4dと約90°異なった部
位にも形成されている。

（考案の効果） 本考案は、上述のように構成され上述のような作用効果
を有するため、従来のリコイルスタータにはない以下の
ような効果を生ずる。

（ａ）．携帯型作業機へのエンジンの搭載状態、あるい
はエンジンの回転方向の如何にかかわらず、常にスター
タのロープの牽引が人間工学的に好ましい作業者の手元
側に引き勝手となるように構成できるので、その結果ロ
ープを強く牽引でき、高いエンジン回転数（十分な回転
数）を得ることができるので、エンジンの起動がし易く
なる。

（ｂ）．また、牽引方向をどのような方向にしても、問
題となる程ロープの疲労が早まることはない。

（ｃ）．従って、これらのリコイルスタータを用いた携
帯型作業機を使用する作業者の作業条件が向上する。

（ｄ）．また、ロープの取出し穴に無用な隙間を生じさ
せないので、リコイルスタータのカバーケース内に草あ
るいは塵芥等が侵入するのを有効に防止することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本実施例にかかるリコイルスタータを付設した
携帯型小型汎用エンジンの正面図、第２図はリコイルス
タータのカバーケースをエンジン本体側から見た斜視
図、第３図は第２図に示すカバーケースに取りつけられ
るガイド面を有するガイド部材の斜視図、第４図は第２
図のI-I矢視図、第５図は従来例を示す正面図、第６図
は第５図のリコイルスタータのカバーケースをエンジン
本体側からみた斜視図、第７図、第８図は他の従来例を
示す正面図である。 １……リコイルスタータ、２……リール、３……ロー
プ、４……カバーケース、５……把持体、６……ガイド
部材、6a……ガイド面、6b……蓋部。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭61−25578（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−86476（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−87371（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】リコイルスタータ内部のリールに巻装され
   たロープが、該リールから離れ、途中で転向して取出し
   穴へ向かう上記リコイルスタータのカバーケースのロー
   プ転向部分に、上記ロープをガイド転向させるガイド手
   段を備えた、携帯型小型汎用エンジンのリコイルスター
   タにおいて、 上記リコイルスタータ（１）のカバーケース（４）の本
   体部分の側方に、エンジン側で開口するようロープの取
   出口部（4a）を突出形成するとともに、 この取出口部（4a）に、取出し穴（4b）を貫設可能な、
   上記転向部分（Ａ）で転向したロープの延長線に直交す
   る面（4d）と、この面（4d）に対しリールの回転方向に
   おいて90°異なった面（4d′）を形成し、 且つ、この取出口部（4a）の上記転向部分（Ａ）に、凹
   状あるいは凸状の被嵌合部（4c）を設けるとともに、 該取出口部（4a）のエンジン側で開口した部位をガイド
   部材（６）で閉塞するとともに、 このガイド部材（６）に、上記被嵌合部（4c）に嵌合す
   る凸あるいは凹状の嵌合部（6c）を形成するとともに、
   該ガイド部材（６）に上記転向部分（Ａ）の内周面とな
   る曲面のガイド面（6a）を上記ガイド手段として形成し
   たことを特徴とするリコイルスタータ。