JPH0733619B2 - セレクトジヤツクの押圧手段に特徴を有する横編機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、メリヤス編成機に用いられるセレクトジャッ
クの押圧手段に特徴を有する横編機に関する。

［従来の技術］ 編地の編成に際しての編針の選択には、第４図に示す如
くアクチェーター51,セレクター52,セレクトジャック5
3,ジャック54,セレクター突上げカム55等が用いられ、
アクチェーター51の動きによりこれらを介して編針が操
作される。即ち、編組織，柄等に応じ編針を選択するに
は通常次の如くに行なわれる。アクチェーター51の作動
により所望の針に対応するセレクター52が選択され、当
該セレクター52がセレクター突上げカム55により上昇さ
れることにより、セレクトジャック53を所定位置に移動
し、当該位置においてセレクトジャックプレッシャーカ
ム56によりスプリング57の弾発力に打ち勝ってそれを針
溝内に押し下げる。上記セレクトジャック53の押し下げ
によりジャック54が押し下げられ、ジャックバット58は
その高さを変え、それにもとずき所定のカム59により選
択され、ジャック54と一体の針60は選針される。

上記のセレクトジャック53の操作において、セレクトジ
ャック53はセレクトジャックプレッシャーカム56によっ
て押し下げられるが、同カム56との接触がなくなれば、
旧位置にセレクトジャックバット61を突出しなければな
らない。そのため、セレクトジャック53の嵌合されてい
る針溝62の溝底部にコ字形のスプリング57が挿入され
て、ニードルベッド63を長手方向に貫くワイヤー64によ
ってそれが脱落するのを防止されており、コ字形スプリ
ング57の一辺が針溝底と、他辺がセレクトジャック53の
下縁と接し、セレクトジャックバット61を溝外に出すよ
う付勢している。

このスプリング57は、各セレクトジャック53毎に１個ず
つ設けられるが、それを設置するために、ニードルベッ
ド63はニードル60と一体のジャック54が挿入されている
針溝62を延長してその延長部分65に該スプリングを挿入
しており、また、該スプリング57はセレクトジャック53
の下縁に当接することによってセレクトジャックバット
61を針溝外に出すようにしているため、ニードルベッド
63自体の長さが長く高さが大となる事態が生じた。

セレクトジャックバットを針溝外に突出させる別の手段
として特開昭54-88347号が開示されている。これは、ニ
ードルジャック自身の有する弾性を利用し、ニードルジ
ャックの背部にセレクトジャックの下縁を当接し、ニー
ドルジャックによりセレクトジャックバットを針溝外に
突出している。ところがこの方法ではニードルジャック
が針溝内に沈められると、該ニードルジャックにより針
溝外に突出する状態を保持していたセレクトジャックの
バットは針溝内に沈んだ状態となり、この状態ではセレ
クトジャックの位置決め用の凹部とピアノ線からなるク
リックストッパーの係合が緩くなる。この状態でセレク
ターが選針され、該セレクターの頭部によりセレクトジ
ャックが進出されると位置決め用凹部とクリックストッ
パーの係合が緩いため、セレクトジャックに慣性が働き
位置決め用凹部とクリックストッパーが正確な位置に係
合せず、中途半端な位置にとどまったり、誤った位置に
進出される可能性があり問題があった。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明は上記の点に鑑みて、セレクトジャックに付勢す
るスプリングを設けるために必要なニードルベッド内で
セレクトジャックが占める部分を少なくし、それにより
ニードルベッド全体を小型化すること、セレクターを薄
くすることによりアクチェータの反応速度に余裕を持た
せること目的とする。

［課題を解決するための手段］ セレクター及びセレクターに係合するセレクトジャック
を針溝に挿入し、セレクトジャックはその下縁に支点を
当接して揺動自在とし、セレクターの側面に、針溝の溝
底に向け弾性を発揮する弾性支腕を基体部分より岐出し
た薄板状スペーサーを積層状態で重ね、両者を針溝に挿
入し、セレクトジャック上縁に前記弾性支腕を当接し、
セレクトジャックバットが針溝内から上昇するよう付勢
した。

［作用］ セレクターと積層状態に重ねたスペーサーの弾性支腕
は、コ字状のスプリングとしてスペーサー下位に位置す
るセレクトジャックの上縁を弾性時に押圧する。この押
圧位置はセレクトジャックの揺動運動の支点より尾部に
近い位置であるため、頭部のセレクトジャックバットは
針溝より上昇し、針溝外に位置する。セレクトジャック
バットを上昇するように付勢するスペーサーは、上記の
如く、セレクターと積層状態で重ねられているために、
特にスペーサーを配設するための空間を必要とせずセレ
クターの厚さを薄くすることでスペーサー用の空間を確
保できる。

また、バット位置の異なる複数種のセレクターを用いた
場合に同種のセレクター同志にあって、針溝のケージが
同じであっても次の隣接するセレクターとの間隔を広げ
ることになるので、アクチェーターの反応速度に余裕を
持たせ得る。

［実施例］ 本発明の実施例を図面と共に次に説明する。

ニードルベッド１の針溝２内にニードル3,ジャック4,セ
レクトジャック5,セレクター６を挿入する。上記ニード
ル3,ジャック4,セレクトジャック5,セレクター６の関係
は従来例と同様であるので、その詳細の説明は省略す
る。

セレクター６はその先端に設けたフック７をニードルベ
ッド１の幅方向（第１図において紙面と直交する方向）
に延びるワイヤー８に係止し、尾部９を揺動自在とする
と共に、上縁にはバット10,11,12を下方には垂下片13を
それぞれ設けている。上記、尾部９はセレクター復帰カ
ム14と、バット11はアクチェーター15の揺動子16と、バ
ット12は図示しないセレクター引き下げカムとそれぞれ
当接する。

セレクター６の側面には、中間部分をく字形に屈曲する
ことにより針溝２の幅方向に弾性を有する薄板状のスペ
ーサー20を、積層状体に且つ両者間は摺動自在として、
セレクター6,スペーサー20共に針溝２に挿入する。セレ
クター６自体が屈曲し弾性を有するものである場合は、
スペーサー20は屈曲のない平板状のものとしても差し支
えない。スペーサー20は上記の如く薄板状で頭部及び尾
部にそれぞれフック21,22を有し、針溝２の長手方向に
延びる基体部分23から弾性支腕24を岐出している。弾性
支腕24は第２図に示す実施例では頭部に設けたフック21
付近から尾部方向にコ字状に延び、針溝奥方向に反発す
る如く付勢されている。上記弾性支腕24の先端は、支点
となるワイヤー25より尾部に近い位置でセレクトジャッ
ク５の上縁に当接し、セレクトジャック５の頭部バット
を針溝２外に押し出す作用をしている。

セレクター６は、通常、バットの位置を異にして複数種
が、等間隔でそれぞれ針溝に挿入されている（第５図に
A,B2種のバットを有するセレクターの配置図を示す）
が、アクチェータ15の揺動子16が揺動し、さらに対位す
るセレクター６のバット11と接しセレクター６を選択す
るが揺動子16の上記揺動は、同種のセレクター６間で作
用・不作用位置に切り換えられる。第５図Ａは従来装
置、Ｂは本発明装置を示すが、従来装置はL1の間で上記
切替が行なわれる。L1の間隔は同じ位にバットを備えた
セレクターを制御するアクチェータの反応速度に依存
し、L1が長い程、遅い反応速度のアクチェータの使用が
可能となる。しかしアクチェータの反応速度には限界が
あるため、一般的に複数種（３〜６種）のセレクターを
使用し、その間隔を長くしている。一方、本出願を示す
Ｂ図においてはＡ図のL1にスペーサーの厚みを加えたL2
の間隔がアクチェータを切り換える間隔となり、L2はL1
に比べ広くなる。したがって本出願では従来技術と比較
し、L1の間隔を広くすることで反応速度を補うことが可
能となる。

上記装置において、今、選針作用が行なわれてセレクト
ジャックバット26が押されて、セレクトジャックバット
26が針溝２内に沈むと、セレクトジャック５の尾部27は
逆に上昇し、スペーサー20の弾性支腕24の弾発力を一層
受けることになる。セレクトジャックバット26に対する
押圧力が除かれるとセレクトジャックバット26は針溝外
に上昇する。

［発明の効果］ 本発明横編機は、セレクター及びセレクターに係合する
セレトクジャックを針溝に挿入し、セレクトジャックは
その下縁に支点を当接して揺動自在とし、セレクターの
側面に、針溝の溝底に向け弾性を発揮する弾性支腕を基
体部分より岐出した薄板状スペーサーを積層状態で重
ね、両者を針溝に挿入し、セレクトジャック上縁に前記
弾性支腕を当接し、セレクトジャックバットが針溝内か
ら上昇するよう付勢したので、セレクトジャックに付勢
するためのスプリングのための設置空間をニードルベッ
ド下部或いは端部に設ける必要がなくなり、その分ニー
ドルベッドを小型とすることができるようになった。

また、スペーサーはセレクターと積層状態で針溝に挿入
するものであるから、セレクターを挿入した針溝の溝幅
と針を挿入した部分の針溝幅とが同一の幅であっても、
セレクターの厚味をスペーサーの厚味分だけ薄くし重量
を少なくすることができ、その分セレクターの作動時に
慣性による反発を少なくすることができる。上記の慣性
による妄動はスペーサーとセレクター間の摩擦によって
も押さえられることになる。

更に、本発明にあっては、バット間の間隔を広くするこ
とによりアクチェータの反応速度を補うことで、例えば
従来６種のバットの位置の異なるセレクターを使用して
いたのが本出願に開示される内容により５種で済むよう
になればその分セレクターの長さを短くできるという効
果がある。また針床の針摺動方向の長さが短くなると、
針床上を摺動するキャリッジも小型化することができ、
これにより編成速度を上げることができるという効果も
ある。

現状、７ゲージ〜14ゲージで６種のセレクターを使用
し、５ゲージ,3ゲージでは２種のものを使用している
が、アクチェータの反応速度が高まれば全ゲージに利用
可能で粗ゲージに限定されるものではなく、本発明のメ
リットが更に大きくなる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本発明を示すもので、第１図はニー
ドルベッド全体の縦断側面図、第２図はセレクターの側
面図、第３図はスペーサーの側面図、第４図は従来例の
縦断側面図、第５図はA,B2種のバットを有するセレクタ
ーの配置図を示す。第５図Ａは従来装置、第５図Ｂは本
発明装置である。 １……ニードルベッド,2……針溝,5……セレクトジャッ
ク,6……セレクター,20……スペーサー,24……弾性支腕

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】セレクター及びセレクターに係合するセレ
   クトジャックを針溝に挿入し、セレクトジャックはその
   下縁に支点を当接して揺動自在とし、セレクターの側面
   に、針溝の溝底に向け弾性を発揮する弾性支腕を基体部
   分より岐出した薄板状スペーサーを積層状態で重ね、両
   者を針溝に挿入し、セレクトジャック上縁に前記弾性支
   腕を当接し、セレクトジャックバットが針溝内から上昇
   するよう付勢したことを特徴とするセレクトジャックの
   押圧手段に特徴を有する横編機。