JPH0733505A - 断熱材用ファイバー、その製造方法及び断熱材 - Google Patents

断熱材用ファイバー、その製造方法及び断熱材

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JPH0733505A
JPH0733505A JP18394693A JP18394693A JPH0733505A JP H0733505 A JPH0733505 A JP H0733505A JP 18394693 A JP18394693 A JP 18394693A JP 18394693 A JP18394693 A JP 18394693A JP H0733505 A JPH0733505 A JP H0733505A
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JP
Japan
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fiber
heat insulating
insulating material
radiation suppressing
material particles
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Withdrawn
Application number
JP18394693A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Yoshida
弘 吉田
Hiroshi Ikagawa
弘 五百川
Masayasu Makihara
正泰 牧原
Shoji Seike
捷二 清家
Shunichi Igami
俊市 伊神
Masao Nishioka
正雄 西岡
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NGK Insulators Ltd
Chubu Electric Power Co Inc
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
Chubu Electric Power Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に400℃以上の中高温で、断熱材の断熱
性能が輻射熱伝導によって低下するのを防止し、断熱材
を施工する際に粉塵が発生するのを防止し、断熱材を繰
り返し使用したときに断熱性能が低下するのを、防止す
ることである。 【構成】 断熱材用ファイバー10Aにおいて、セラミ
ックファイバー13A中に、輻射抑制材粒子5がファイ
バー相とは独立した相として存在している。好ましく
は、輻射抑制材粒子5がセラミックファイバー13Aに
融着するか、セラミックファイバー13A内に実質的に
内包されている。好ましくは、断熱材用ファイバー13
Aが綿状に集積されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、断熱材用ファイバー、
その製造方法及び断熱材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、種々の断熱材が知られている。例
えば、特開昭60─205097号公報においては、セ
ラミックファイバーを用いた、1000℃以上の高温に
耐える綿状の断熱材が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、セラミックフ
ァイバーを用いた綿状の断熱材は、400℃以上の中高
温で、輻射熱伝導によって熱伝導率が極めて大きくな
り、断熱性能が大幅に低下する。また、無機繊維と酸化
ホウ素(バインダー)と輻射抑制材粒子とを混合し、こ
の混合物を脱水、成形、焼成して得た断熱材が、特開昭
4─28666号公報に記載されている。この輻射抑制
材粒子としては、ホウ化炭素、炭化珪素、ホウ化アルミ
ニウム等が記載されている。また、セラミックファイバ
ーと超微粒子と輻射抑制材粒子とを混合した断熱材が、
特開昭60─205097号公報に記載されている。し
かしこれらの断熱材においては、輻射抑制材粒子がバイ
ンダーによってセラミックファイバーの表面に付着して
いるだけであり、輻射抑制材粒子が容易に剥離する。こ
のため、断熱材を施工する際に粉塵が発生し、工事現場
の作業環境が悪化する。また、断熱材を長期間使用する
と、400℃以上の中高温で断熱性能が低下していた。
【0004】本発明の課題は、400℃以上の中高温で
断熱材の断熱性能が輻射熱伝導によって低下するのを、
防止することである。また、断熱材を施工する際に粉塵
が発生するのを防止することであり、断熱材を繰り返し
使用したときに、特に400℃以上の中高温で断熱性能
が低下するのを、防止することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、セラミックフ
ァイバー中に、輻射抑制材粒子が、ファイバー相とは独
立した相として存在している、断熱材用ファイバーに係
るものである。
【0006】また、本発明に係る断熱材用ファイバーの
製造方法においては、セラミックファイバーの原料から
なる溶融物をスピナーに供給してセラミックファイバー
を生成させるのに際し、溶融物とスピナーとの接触点付
近に輻射抑制材粒子を供給することにより、セラミック
ファイバー中に輻射抑制材粒子を独立した相として存在
させる。
【0007】また、本発明に係る断熱材用ファイバーの
製造方法においては、セラミックファイバーの原料から
なる溶融物の細流を形成し、輻射抑制材粒子を含む圧縮
気体をこの細流に吹きつけることにより、輻射抑制材粒
子がファイバー相とは独立した相として存在しているセ
ラミックファイバーを生成させる。
【0008】また、本発明に係る断熱材は、上記の断熱
材用ファイバーを含有することを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の断熱材用ファイバーによれば、セラミ
ックファイバー中に、輻射抑制材粒子が、ファイバー相
とは独立した相として存在している。従って、特に40
0℃以上の中高温で、輻射熱伝導を輻射抑制材粒子によ
って効果的に抑制することができるので、断熱性能が低
下しない。また、セラミックファイバーから輻射抑制材
粒子が剥離しにくく、断熱材を施工する際に粉塵がほと
んど発生しないし、断熱材を長期間使用しても、400
℃以上の中高温で断熱性能が低下しない。
【0010】なお、従来は、セラミックファイバーが単
一相であったのだが、本発明では、セラミックファイバ
ー中に、輻射抑制材粒子がファイバー相とは独立した相
として存在している。
【0011】この一つの態様においては、輻射抑制材粒
子が、セラミックファイバーに融着している。この際、
好ましくは、輻射抑制材粒子の一部分が、セラミックフ
ァイバーに埋没し、一部分が露出している。
【0012】他の態様においては、輻射抑制材粒子が、
セラミックファイバー内に実質的に内包されている。更
に他の態様においては、輻射抑制材粒子の一部分がセラ
ミックファイバーに埋没している輻射抑制材粒子と、セ
ラミックファイバー内に実質的に内包されている輻射抑
制材粒子とが、両方共に存在する。
【0013】上記の断熱材用ファイバーを製造するに
は、溶融物とスピナーとの接触点付近に輻射抑制材粒子
を供給することにより、セラミックファイバー中に輻射
抑制材粒子を独立した相として存在させる。ここで、接
触点付近に輻射抑制材粒子を供給するのに際し、溶融物
の流れの外側から前記輻射抑制材粒子を供給すると、輻
射抑制材粒子がセラミックファイバーに融着する。ま
た、溶融物の流れの内側に輻射抑制材粒子を供給する
と、輻射抑制材粒子がセラミックファイバー内に実質的
に内包される。
【0014】本発明の断熱材用ファイバーを用いて断熱
材を製造する際には、断熱材用ファイバーを綿状に集積
することが、特に好ましい。この場合には、次の効果が
ある。
【0015】(1)断熱材の嵩密度が、バインダーを用
いた場合に比べて、小さくなる。従って、中高温におけ
る熱伝導率だけでなく、400℃以下、例えば室温にお
ける熱伝導率も、従来のセラミックファイバーからなる
綿状断熱材と同程度にまで、小さくすることができる。
中高温における熱伝導率も、より一層小さくなる。
【0016】(2)無機繊維と酸化ホウ素(バインダ
ー)と輻射抑制材粒子とを混合し、この混合物を脱水、
成形、焼成して得た断熱材等の場合には、高温でバイン
ダーが収縮するため、断熱材が大きく収縮する。本態様
では、かかる収縮は起こり得ないので、耐熱性が極めて
大きい。
【0017】(3)無機繊維と酸化ホウ素(バインダ
ー)と輻射抑制材粒子とを混合し、この混合物を脱水、
成形、焼成して得た断熱材等の場合には、混合時にセラ
ミックファイバーが切断され、短くなる。このため、曲
げ強度、引っ張り強度が低い。そのうえ、曲げ破壊時に
断熱材が離断し、離断部分から熱が漏れ、断熱性が失わ
れる。本態様では、曲げ強度、引っ張り強度が高いし、
曲げ破壊時に断熱材が離断せず、屈曲するだけである。
【0018】(4)バインダーを用いた上記の断熱材等
の場合には、混合時にセラミックファイバーが切断さ
れ、短くなるため、自己保形性がない。本態様では、綿
状の断熱材に自己保形性があり、焼成しなくとも、柔軟
性に優れた綿状の断熱材として、そのままファイバー炉
等に施工することができる。
【0019】
【実施例】以下、具体的な実施例について述べる。ま
ず、下記の各方法に従って、各例の試料を製造した。
【0020】(試料1:比較例)セラミックファイバー
の原料として、アルミナ、酸化ホウ素及びシリカを使用
した。60重量部のアルミナと、25重量部の酸化ホウ
素と、15重量部のシリカとを混合し、この混合物を約
1800℃で溶かし、溶融炉の底に開けた孔から溶融物
をスピナーに落下させ、ファイバーを生成させた。ファ
イバーを金網上に堆積させることによって、セラミック
ファイバーからなる綿状の断熱材を得た。セラミックフ
ァイバーの平均繊維径は2─5μmとし、平均繊維長を
10─30mmとした。
【0021】そして、この断熱材をアルミナ製試料ホル
ダー中に入れ、耐火煉瓦で荷重をかけながら、300℃
/時間の温度上昇速度で1200度まで上昇させ、12
00℃で2時間保持し、自然放冷させ、試料1を得た。
ここで、1200℃で加熱処理を行ったのは、実際の断
熱材においては、繰り返し加熱後の断熱性能が重要だか
らである。
【0022】(試料2:比較例)試料1と同様にして、
セラミックファイバーを得た。20重量部のセラミック
ファイバーと、9重量部のルチル粉末(平均粒径2μ
m)と、1重量部の硼酸粉末(平均粒径0.1μm以
下)とを、解砕刃付きのロッキングミキサーを用いて乾
式混合し、混合物を得た。
【0023】そして、この混合物をアルミナ製試料ホル
ダー中に入れ、耐火煉瓦で荷重をかけながら、300℃
/時間の温度上昇速度で1200度まで上昇させ、12
00℃で2時間保持し、自然放冷させ、試料2を得た。
ここで、1200℃で加熱処理を行ったのは、上記の混
合物に自己保形性がなく、加熱処理しないと実用の断熱
材が得られないからである。
【0024】(試料3:比較例)試料1と同様にして、
セラミックファイバーを得た。20重量部のセラミック
ファイバーと、9重量部のルチル粉末(平均粒径2μ
m)と、1重量部のホウ酸粉末(平均粒径0.1μm以
下)とを、市販の洗剤を溶かした水溶液中に分散させて
スラリーを製造した。スラリーを良くかき混ぜてファイ
バーを解砕し、かつルチル粉末を分散させた。このスラ
リーを脱水、乾燥し、混合物を得た。
【0025】この混合物を、試料2と同様にして120
0℃で加熱処理し、試料3を得た。ここで、1200℃
で加熱処理を行ったのは、試料2と同じ理由である。
【0026】(試料4:実施例)図1、図2に模式的に
示す装置を用いて、図3に示す断熱材用ファイバー10
Aを得た。ただし、図2は、図1において矢印A方向か
ら状態を示す、模式図である。セラミックファイバーの
原料として、アルミナ、酸化ホウ素及びシリカを使用し
た。60重量部のアルミナと、25重量部の酸化ホウ素
と、15重量部のシリカとを混合し、この混合物を約1
800℃で溶かし、溶融物2を得た。
【0027】溶融炉1の底部に孔1aが設けられてお
り、溶融物2を孔1aから落下させた。溶融物2は、孔
1aの下方に細流3を形成しながら落下した。スピナー
は、分配ロール6、第一回転体7及び第二回転体8から
なる。細流3が分配ロール6に当たり、第一回転体7及
び第二回転体8の表面で、ファイバーが生成する(スピ
ナー法)。
【0028】この際、粉末供給装置4から輻射抑制材粒
子5を、溶融物2のスピナーへの落下点付近に供給し、
輻射抑制材粒子5と溶融物2とが同時にスピナーに当た
るようにした。本実施例では、輻射抑制材粒子5とし
て、ルチル粉末5(平均粒径2μm)を使用した。
【0029】空気供給孔9から矢印Bのように空気を吹
き出させ、断熱材用ファイバー10Aをハウジング11
内に飛散させた。空気は、更に金網12を越えて、ハウ
ジング11の外に流れる。断熱材用ファイバー10A
は、この空気流に乗って流れ、金網12上に堆積し、綿
状の断熱材を自ら形成した。断熱材用ファイバー10A
の平均繊維径は2─5μmとし、平均繊維長を10─3
0mmとした。
【0030】断熱材用ファイバー10Aにおいては、セ
ラミックファイバー13Aに、輻射抑制材粒子(本例で
はルチル粉末)5が融着している。ルチル粉末5の一部
分がセラミックファイバー13Aに埋没し、一部分がセ
ラミックファイバー13Aから露出している。セラミッ
クファイバー13Aに融着しなかったルチル粉末5は、
空気流に乗ってハウジング11内を流れ、金網12を抜
けてハウジング11の外へと流れ、分離された。
【0031】輻射抑制材粒子5のセラミックファイバー
への融着量は、粉末供給装置4のノズルからの供給量を
調節することによって、変更することができる。本実施
例では、断熱材用ファイバー10Aにおいて、重量比
で、アルミナボロシリケートガラス:ルチル粉末=1
0:3となるようにした。
【0032】そして、この綿状の断熱材を、上記と同様
に1200℃で加熱処理した。ここで、1200℃で加
熱処理を行ったのは、試料1と同じ理由である。
【0033】(試料5:実施例)試料4と同じスピナー
を用いて、図5に示す断熱材用ファイバー10Bを得
た。ただし、輻射抑制材粒子(本例では、平均粒径2μ
mのルチル粉末)5の供給方法について、後述の変更を
加えた。即ち、図4に示す溶融炉1を使用した。溶融炉
1の底部に孔1aを設け、粉末供給管15の先端部分
を、孔1aに差し込んだ。
【0034】試料4と同じ溶融物2を製造し、孔1aか
ら溶融物2を落下させた。溶融物2は、孔1aの下方に
細流3を形成しながら落下し、細流3が分配ロール6に
当たり、前記のように、第一回転体及び第二回転体の表
面で、ファイバーが生成した(スピナー法)。この際、
粉末供給管15の内側15aに、加熱された空気ととも
に輻射抑制材粒子5を供給した。
【0035】この結果、細流3の内側に輻射抑制材粒子
5が供給され、溶融物2が輻射抑制材粒子5を包んだ状
態で、細流3が分配ロール6に接触した。この際、溶融
物2の流れは、表面張力によって直径が小さくなり、輻
射抑制材粒子5を包んだ状態でスピナーに当たり、その
ままファイバー化する。そして、図5に示すように、断
熱材用ファイバー10Bにおいて、セラミックファイバ
ー13Bの中に輻射抑制材粒子5が内包されていた。
【0036】この断熱材用ファイバー10Bを金網上に
堆積させ、綿状の断熱材を得た。断熱材用ファイバー1
0Bの寸法も、試料4と同じにした。この綿状の断熱材
を、上記と同様に1200℃で加熱処理した。なお、本
例の方法では、試料4の場合に比べ、セラミックファイ
バー10Bに融着しない輻射抑制材粒子5の量が、極め
て少ない。
【0037】また、輻射抑制材粒子5のセラミックファ
イバーへの融着量は、粉末供給管15への輻射抑制材粒
子5の供給量を調節することによって、変更することが
できる。本実施例では、断熱材用ファイバー10Bにお
いて、重量比で、アルミナボロシリケートガラス:ルチ
ル粉末=10:3となるようにした。
【0038】(試料6:実施例)図6に模式的に示す装
置を使用し、ルチル粉末5が融着した断熱材用ファイバ
ー10Cを得た。試料4と同じ溶融物2を製造し、溶融
炉1の孔1aから溶融物2を落下させた。溶融物2は、
孔1aの下方に細流3を形成しながら落下した。一方、
タンク16内から輻射抑制材粒子(本例では、平均粒径
2μmのルチル粉末)5を、圧縮気体ノズル17内へと
落下させた。圧縮気体ノズル17内に、矢印Cのよう
に、圧縮気体を送風した。
【0039】圧縮気体ノズル17内に落下した輻射抑制
材粒子5は、圧縮気体に乗って流れ、ノズルの先端部1
7aより噴射する。この輻射抑制材粒子5を含んだ気体
を、細流3に対して吹きつけ、断熱材用ファイバー10
Cを生成させた。この断熱材用ファイバー10Cを集積
し、綿状の断熱材を得た。本実施例では、断熱材用ファ
イバー10Cにおいて、重量比で、アルミナボロシリケ
ートガラス:ルチル粉末=10:3となるようにした。
この綿状の断熱材を、上記と同様に1200℃で加熱処
理した。
【0040】(熱伝導率の測定)上記の各試料につい
て、熱伝導率を測定した。熱伝導率の測定に際しては、
JIS R2618に準拠した非定常熱線法によって、
室温から1000℃までの熱伝導率を大気中で測定し
た。具体的には、図7に模式的に示す構成体を使用し
た。アルミナ製の置台23の上にアルミナ製の試料ホル
ダー22が載置され、試料ホルダー22のなかに2枚の
試料24が収容されている。2枚の試料24の間に平た
い熱線26が挟まれ、熱線26に、熱電対25の接点が
取り付けられている。上側の試料24の上に、耐火レン
ガ21が載置されている。
【0041】試料24としては、上記の試料1─6をそ
れぞれ50mm×100mm×100mmの寸法に切断
したものを用いた。耐熱レンガ21によって1kg/c
2の荷重をかけながら、電気炉中で測定した。試料ホ
ルダー22の内容積と試料の重量から、試料の密度を算
出した。各試料の密度及び熱伝導率を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】表1から明らかなように、試料1では、4
00℃以上の温度で熱伝導率が急激に上昇する。試料
2、3は、試料1に比べて、室温での熱伝導率が高い。
これは、試料2、3では、混合の際にセラミックファイ
バーが切断されて短くなったために、試料の嵩密度が大
きくなったことと、焼成時にホウ酸(結合材)がファイ
バー同士を結び付け、架橋したために、固体部分を伝わ
る熱伝導が大きくなったためと考えられる。
【0044】試料4、5、6は、室温において、試料1
と同等の低い熱伝導率を示しており、かつ400℃以上
の中高温領域においても熱伝導率の上昇が小さく、試料
1よりも遙かに熱伝導率が低い。また、試料4、5、6
は、全温度領域にわたって、試料2、3よりも遙かに熱
伝導率が低い。
【0045】(熱収縮の測定)各試料1─6を、それぞ
れ1300℃、1400℃、1500℃、1600℃で
48時間加熱し、収縮率(%)を測定した。この結果を
表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】試料1に比べて、試料2、3は、結合材
(ホウ酸粉末)を用いたために、耐熱性が下がってい
る。これに対して、試料4、5、6は、試料1よりも優
れた耐熱性を有している。
【0048】(機械的特性の測定)各試料の機械的特性
を調べるため、柔軟性及び面方向の引っ張り強度を測定
した。測定に際しては、前記の各試料1─6(1200
℃で2時間加熱処理されている。)を用いるのととも
に、試料1─6をそれぞれ1500℃で48時間加熱処
理した試料も準備した。また、測定用の試料の寸法は、
20mm×150mm×50mmとした。ただし、試料
の柔軟性は、試料の曲げ強度及び曲げ破壊時の形態を観
察する事によって、行った。結果を表3、表4に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】1200℃で処理した試料においては、試
料2、3は、他の試料に比べて低い強度を示している。
これは、混合時にセラミックファイバーが切断され、短
くなったことに起因している。試料4、5、6は、試料
1よりも高い曲げ強度及び引っ張り強度を示している。
これは、セラミックファイバーに融着し、又は内包され
ているルチル粉末によって、アンカー効果がもたらさ
れ、セラミックファイバー同士が互いに滑り、離れてい
くことに対する抵抗となっているものと、考えられる。
【0052】1500℃で加熱処理した試料では、試料
2、3も、試料1よりも大きな曲げ強度を示している。
これは、結合材であるホウ酸の溶解が高温で進行して、
セラミックファイバー同士を強く結合したからであろ
う。試料4、5、6は、試料1、2、3よりも高い強度
を示している。
【0053】更に重要なことに、試料2、3は、曲げ破
壊時に試料が離断したのに対して、試料4、5、6は,
屈曲するだけで離断はせず、破壊面で試料がつながった
ままであった。これは、実用的には大変な違いである。
なぜなら、試料2、3では、断熱材が離断して、離断部
分から大きな熱漏れを生じ、実質的に断熱効果がなくな
ってしまうが、試料が屈曲しても、離断しなければ、断
熱性能はかなり保持されるからである。
【0054】また、試料4、5、6の引っ張り強度は、
試料1、2、3の引っ張り強度よりも、遙かに優れてい
る。従って、施工時に断熱材に応力がかかるときに、試
料4、5、6は極めて優れた抵抗を示し、施工時の断熱
材の取扱が極めて良好になることを示している。以上よ
り、試料4、5、6は、断熱材の素材として、極めて優
れた機械的性質を有していることが明らかである。
【0055】(自己保形性)本実験では、試料の加熱処
理を行わない状態で、各試料について、自己保形性を調
べた。1kgの試料を、変形しない厚さ2mmの鉄板上
に置き、プレスして約2kg/cm2 の圧力をかけ、厚
さ20mm程度にならした。そして、各試料の端を持っ
て持ち上げるときの様子を観察することによって、自己
保形性の評価を行った。
【0056】この結果、試料1、4,5,6は、成型後
の試料を持ち上げて振り回しても、試料が切れなかっ
た。試料2、3は、成型後の試料を持ち上げて振り回す
と、試料が切れた。即ち、試料2、3は、混合時にセラ
ミックファイバーが切断されているため、自己保形性が
なく、高温で加熱処理しないと、形状を保持することが
できないことを、示している。試料4、5、6は、生
成、堆積した状態で、綿状の断熱材を自ら形成してお
り、加熱処理をしなくとも、柔軟性に優れた綿状断熱材
として、そのままファイバー炉等に施工することができ
る。
【0057】(粉塵の発生)本実験においても、試料の
加熱処理を行わない状態で、各試料について、粉塵の発
生の有無を調べた。具体的には、金網上に試料を置き、
板で数回叩くことによって、粉塵の発生を調べた。この
結果、試料1、5では、粉塵の発生はなかった。試料
4、6では、粉塵の発生は、極めて少なかった。試料3
では、粉塵の発生が非常に多く、試料2では、粉塵の発
生が最も多かった。
【0058】即ち、試料1では、輻射抑制材粒子が存在
しないので、本問題の対象外である。試料2、3では、
粉末が混合されているだけであり、施工時、成型時に粉
塵が発生する。試料4、6では、セラミックファイバー
自体に単独の相として、ルチル粉末が融着しており、粉
塵がほとんど発生しない。試料5では、セラミックファ
イバー内にルチル粉末が内包されているため、まったく
粉塵が発生しないものである。
【0059】(輻射抑制材粒子の粒径の変化と断熱材の
熱伝導率との関係)上記の試料4と同様の方法で綿状断
熱材を製造した。ただし、輻射抑制材粒子(ルチル粉
末)の粒径のみを、表5に示すように変化させ、断熱材
の熱伝導率に対する影響を調べた。断熱材用ファイバー
10Aにおいて、重量比で、アルミナボロシリケートガ
ラス:ルチル粉末=10:3となるようにした。
【0060】
【表5】
【0061】輻射抑制材粒子の平均粒径が1─6μmの
範囲で熱伝導率が特に低く、1─4μmの範囲で一層低
くなり、2─4μm、特に3μmで突出的に最も熱伝導
率が低くなり、断熱性能が向上した。高温での輻射熱伝
導の媒体である電磁波の波長が2─4μmの赤外線領域
に極大を有している。輻射抑制材粒子の平均粒径がこの
波長に近いと、最も散乱効果が大きいミー散乱が生じ、
赤外線を散乱して減衰させ、輻射熱伝導を効果的に抑制
するものと考えられる。
【0062】(輻射抑制材粒子の材質の変化と断熱材の
熱伝導率との関係)上記の試料4と同様の方法で綿状断
熱材を製造した。ただし、輻射抑制材粒子の材質を、表
6に示すように変化させ、断熱材の熱伝導率に対する影
響を調べた。ただし、輻射抑制材粒子の平均粒径はすべ
て3μmとした。断熱材用ファイバー10Aにおいて、
重量比で、アルミナボロシリケートガラス:輻射抑制材
粒子=10:3となるようにした。また、1200℃で
24時間保持したときの収縮率も測定した。
【0063】
【表6】
【0064】ただし、試料の密度は、ジルコニア、チタ
ン酸ストロンチウム、酸化クロム、ルチルをもちいた場
合は、0.18g/cm3 であり、他は0.17g/c
3であった。表6から判るように、輻射抑制材粒子と
して、ルチル、クロム鉄酸化物、酸化鉄を用いた場合
が、全温度範囲にわたって、最も熱伝導率が小さくな
り、断熱性能が優れている。この理由は、これらの物質
の赤外線領域における屈折率が、他の物質の屈折率より
も大きいため、前述のミー散乱が効果的に生じ、輻射電
磁波を効率的に遮蔽し、輻射熱伝導を抑制したためと考
えられる。
【0065】また、700℃以下の温度範囲では、チタ
ン酸ストロンチウム及び酸化クロムを用いた場合も、断
熱性能が優れているが、1000℃では、熱伝導率が急
速に上昇しているし、1200℃で加熱すると、大きく
収縮することが判る。チタン酸ストロンチウム及び酸化
クロム粒子は、1000℃以上の高温でアルミノボロシ
リケートファイバーと反応して共融し、断熱材が収縮
し、熱伝導率が上昇したものと考えられる。
【0066】(輻射抑制材粒子の含有量と断熱材の熱伝
導率との関係)上記の試料4と同様の方法で綿状断熱材
を製造した。ただし、断熱材用ファイバー10Aにおい
て、アルミナボロシリケートガラスの重量を100重量
部としたときの輻射抑制材粒子の重量を、表7に示すよ
うに変化させ、断熱材の熱伝導率に対する影響を調べ
た。輻射抑制材粒子の平均粒径はすべて3μmとした。
【0067】
【表7】
【0068】表7から判るように、室温─1000℃の
温度範囲では、断熱材用ファイバー10Aにおいて、フ
ァイバーガラスの重量を100重量部としたときの輻射
抑制材粒子の重量を30─40重量部とすると、最も断
熱性能が良くなる。
【0069】(ロックウールを素材とする断熱材の製
造) (試料7:実施例)図6に模式的に示す装置を使用し、
ルチル粉末5が融着した断熱材用ファイバーを得た。安
山岩に石灰を加え、溶融炉1中で1500℃で溶融させ
た。溶融炉1の孔1aから溶融物2を落下させ、溶融物
2の細流3を形成させた。一方、試料6と同様にして、
圧縮気体(本例では空気)中に輻射抑制材粒子(本例で
は、平均粒径2μmのルチル粉末)5を混入させた。そ
して、試料6と同様にして、輻射抑制材粒子5を含んだ
気体を、細流3に対して吹きつけ、断熱材用ファイバー
を生成させた。この断熱材用ファイバーを集積し、綿状
の断熱材を得た。
【0070】本実施例では、断熱材用ファイバーにおい
て、重量比で、ファイバー用ガラス:ルチル粉末=1
0:3となるようにした。断熱材の繊維長は10─10
0mmであり、繊維径は、2─20μmであった。セラ
ミックファイバーにおける化学組成は、SiO2 42
%、CaO35%、Al2 3 19%、MgO5%であ
った。
【0071】(試料8:比較例)試料7と同様の断熱材
用ファイバーを製造した。ただし、ルチル粉末は全く使
用しなかった。そして、試料7、8について、それぞれ
熱伝導率を測定した。この結果を表8に示す。
【0072】
【表8】
【0073】このように、ロックウール素材の断熱材に
おいても、本発明により、セラミックファイバーに輻射
抑制材粒子を融着させることによって、中高温領域での
熱伝導率が顕著に減少する。
【0074】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、特
に400℃以上の中高温で、輻射熱伝導を輻射抑制材粒
子によって効果的に抑制することができるので、断熱性
能が非常に高い。また、セラミックファイバーから輻射
抑制材粒子が剥離しにくく、断熱材を施工する際に粉塵
がほとんど発生しないし、断熱材を長期間使用しても、
400℃以上の中高温で断熱性能が低下しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】断熱材用ファイバーの製造用設備を模式的に示
す部分断面図である。
【図2】図1の設備を矢印A方向からみた状態を示す模
式図である。
【図3】断熱材用ファイバー10Aを模式的に示す斜視
図である。
【図4】断熱材用ファイバーの製造用設備における溶融
炉1に粉末供給管15を差し込んだ状態を示す断面図で
ある。
【図5】断熱材用ファイバー10Bを模式的に示す斜視
図である。
【図6】断熱材用ファイバーの製造用設備を模式的に示
す部分断面図である。
【図7】熱伝導率の測定装置を模式的に示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 溶融炉 2 溶融物 4 粉末供給装置 5 輻射抑制材粒子 10A、10B、10C 断熱材用ファイバー 13A、13B セラミックファイバー 15 粉末供給管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧原 正泰 愛知県名古屋市緑区大高町字北関山20番地 の1 中部電力株式会社内 (72)発明者 清家 捷二 愛知県名古屋市緑区太子2丁目167番地の 1 (72)発明者 伊神 俊市 愛知県江南市草井町南210番地 (72)発明者 西岡 正雄 愛知県常滑市原松町2丁目141番地の2

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックファイバー中に、輻射抑制材
    粒子が、ファイバー相とは独立した相として存在してい
    る、断熱材用ファイバー。
  2. 【請求項2】 前記輻射抑制材粒子が、前記セラミック
    ファイバーに融着している、請求項1記載の断熱材用フ
    ァイバー。
  3. 【請求項3】 前記輻射抑制材粒子の一部分が、前記セ
    ラミックファイバーに埋没している、請求項1記載の断
    熱材用ファイバー。
  4. 【請求項4】 前記輻射抑制材粒子が、前記セラミック
    ファイバー内に実質的に内包されている、請求項1記載
    の断熱材用ファイバー。
  5. 【請求項5】 セラミックファイバーの原料からなる溶
    融物をスピナーに供給してセラミックファイバーを生成
    させるのに際し、前記溶融物と前記スピナーとの接触点
    付近に輻射抑制材粒子を供給することにより、前記セラ
    ミックファイバー中に前記輻射抑制材粒子を独立した相
    として存在させる、断熱材用ファイバーの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記接触点付近に前記輻射抑制材粒子を
    供給するのに際し、前記溶融物の流れの外側から前記輻
    射抑制材粒子を供給することにより、この輻射抑制材粒
    子を前記セラミックファイバーに融着させる、請求項5
    記載の断熱材用ファイバーの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記接触点付近に前記輻射抑制材粒子を
    供給するのに際し、前記溶融物の流れの内側に前記輻射
    抑制材粒子を供給することにより、この輻射抑制材粒子
    を前記セラミックファイバー内に実質的に内包させる、
    請求項5記載の断熱材用ファイバーの製造方法。
  8. 【請求項8】 セラミックファイバーの原料からなる溶
    融物の細流を形成し、輻射抑制材粒子を含む圧縮気体を
    この細流に吹きつけることにより、輻射抑制材粒子がフ
    ァイバー相とは独立した相として存在しているセラミッ
    クファイバーを生成させる、断熱材用ファイバーの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の断熱材用ファイバーを含
    有することを特徴とする、断熱材。
  10. 【請求項10】 前記断熱材用ファイバーが綿状に集積
    されている、請求項9記載の断熱材。
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