JPH0733459A - フレーク状ガラスとその製造装置 - Google Patents

フレーク状ガラスとその製造装置

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JPH0733459A
JPH0733459A JP17313393A JP17313393A JPH0733459A JP H0733459 A JPH0733459 A JP H0733459A JP 17313393 A JP17313393 A JP 17313393A JP 17313393 A JP17313393 A JP 17313393A JP H0733459 A JPH0733459 A JP H0733459A
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    • C03B37/00Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カール状のフレーク状ガラスの発生率を抑え
た円筒ブロー法を開発すること。 【構成】 溶融ガラス素地を耐火窯槽のガラス取出口7
より中空状に取り出すに際して、該ガラス取出口7の形
状を二つの半円の弦が向き合うように間隔をあけて配置
し、対向する弦の端部同士を直線で接続した楕円類似形
状とするか、または楕円形状として、このガラス取出口
7から溶融ガラスの引き出しを行い、ノズル9からエア
ブローしながら前記した形状の長径方向に沿って回転軸
が配置される一対のロールで引っ張ることで、カール状
のフレーク状ガラスの原因となる風船状ガラスのシワの
発生率を減少させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフレーク状ガラスの製造
装置に関し、特にブロー方法を用いる均一な厚みのフレ
ーク状ガラスの製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】フレーク状のガラスはアスペクト比(粒
子径/厚さ)が約5〜1,000ときわめて表面平滑度
の高い鱗片状ガラスであり、従来から、フレーク状ガラ
スは耐食ライニング材料として、あるいは樹脂成型物、
樹脂フィルム、塗膜等の収縮による反り、ねじれ等の変
形防止を目的として広く使用され、さらに、鱗片状のフ
レーク状ガラスの一枚一枚に金、銀、ニッケル等の高純
度の金属をメッキした金属被覆フレーク状ガラスも前記
樹脂、塗料等に同様の目的で用いられている。
【0003】このフレーク状ガラスの現在、工業レベル
で唯一生産可能な製造方法は円筒ブロー法(特公昭41
−17148号、特公昭45−3541号、特願平4−
210370号等)である。当該円筒ブロー法は、円形
スリットから溶融ガラスを連続的に取り出す際に、円形
スリットの内側のブローノズルから空気等の気体を吹き
込んでガラスを中空状に膨らませながら引っ張ることに
よりガラスを風船化して、その厚みを薄くし、これを一
対の引っ張りロール間に挟み込み、粉砕してフレーク状
ガラスとする方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、近年フレー
ク状のガラスがより精密な製品に使用されるようになっ
たため、円筒ブロー法により得られるフレーク状ガラス
を使用するに際して、次のような問題点がクローズアッ
プされて来た。すなわち、前記樹脂へフレーク状ガラス
を混入して射出成型品の反り防止を図っているが、近年
の樹脂成型品の小形化、精密化によって、これまでのフ
レーク状ガラスを樹脂に混入した場合に、成型金型のス
リット状ゲート部でフレーク状ガラスが詰まったり、所
望の寸法精度の成型品を得られない等の不具合が起きこ
とがあった。この原因を調査したところ、いずれもカー
ル状になったフレーク状ガラスが原因であることが分か
った。
【0005】前記円筒ブロー法により得られるフレーク
状ガラスの形状は図9(a)の平面図と側面図に示すよ
うな鱗片状(平板状)であると言われてきたが、細かく
観察すると、フレークのすべてが鱗片状ではなく図9
(b)の平面図と側面図に示すカール状のフレークも少
量ながら混入している。カール状のフレーク状ガラスの
混入量はこれまでの使用用途では全く問題とならない
が、カール状のフレーク状ガラスの反りにより曲率半径
にして1,000μm以下のフレーク状ガラスがガラス
の肉厚以上に実効的な厚みを持つため、それが互いにか
らみ合って射出成型金型の狭いクリアランス(0.3〜
0.5mm)のスリット状ゲートに引っ掛かり、詰まり
を発生させることが分かった。
【0006】樹脂成型品の平板部において、フレーク状
ガラスが平面方向に配向してはじめて反り防止効果が出
る。ところが、本発明者らの検討によると、カール状と
なったフレーク状ガラスは、それ自身が樹脂成型品の反
り防止効果をあまり発揮できないだけでなく、金型内の
樹脂の流れの中でカールしたフレーク状ガラスは他の鱗
片状(平板状)のフレーク状ガラスが平面方向に配向す
ることを妨げることが分かった。このようにカールした
フレーク状ガラスが多く存在すると樹脂成型品の寸法精
度が出ない原因となる。カールしたフレーク状ガラスが
平面配向性の妨げになる問題は、樹脂成型品だけでなく
樹脂フィルム塗膜でも生じる。本発明の目的は上記した
ような曲率半径の小さいカール状のフレーク状ガラスの
発生率を抑えた円筒ブロー法を開発することである。ま
た、本発明の目的はフレーク状ガラスの利用用途におい
て、フレーク状ガラスの実効厚みが利用用途の工程上あ
るいは最終製品の性能上問題とならないフレーク状ガラ
スを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は次の
構成によって達成される。すなわち、平均厚みが0.3
μm〜10μm、カール状部分の曲率半径が1,000
μm以上のフレーク状ガラスがその個数割合にして95
%以上含まれ、その内1,000〜10,000μmの
ものが30%以上含まれており、カール状部分の湾曲方
向の粒径が800μm以下であるフレーク状ガラスを用
いることである。上記フレーク状ガラスの平均厚みは一
般に0.3μmから10μmの間にある(図5の厚みt
に相当する)。そして、このような厚みを持つカール状
部分の湾曲方向の粒径とは図5の長さDに相当し、カー
ル状部分の曲率半径とは図5の長さrに相当し、有効厚
みとは図5のdに相当する。
【0008】本発明において、カール状部分の曲率半径
が1,000〜10,000μm(1〜10mm)のも
のがその個数割合にして30%以上存在すると、フレー
ク状ガラスがマトリックス樹脂中で凝集しにくく、流動
性がある程度よいので、マトリックス樹脂中に分散しや
すい。また、曲率半径が1,000μm以下のフレーク
状ガラスをその個数割合にして5%未満とすることで、
有効厚みが大きいフレーク状ガラスが射出成型金型内で
詰まったり、他のフレーク状ガラスが樹脂成型品の平板
部において平面方向に配向することを妨げたりする確率
を減少することができる。また、粒径が800μmを超
える付近からフレーク状ガラスの有効厚みが急激に増加
するが、その傾向が曲率半径1,000μm以上のフレ
ーク状ガラスでも見られるため、これを避けるためにフ
レーク状ガラスのカール状部分の湾曲方向の粒径を80
0μm以下にする。
【0009】本発明の前記形状のフレーク状ガラスを製
造するため、次の構成を採用することができる。すなわ
ち、溶融ガラス素地を耐火窯槽のガラス取出口より中空
状に取り出し、該ガラス取出口の内側に設けたブローエ
アー配管から吹き出すブローエアーにより風船化し、こ
の風船化したガラスを一対のロール間に挟み込み、粉砕
するフレーク状ガラスを製造するフレーク状ガラス製造
装置において、前記耐火窯槽のガラス取出口とブローエ
アー配管と間に形成されるリング状の溶融ガラス取り出
し用のガラス流出口の形状を楕円形状または二つの半円
の弦が向き合うように間隔をあけて配置し、対向する弦
の端部同士を直線で接続した楕円類似形状とし、前記形
状のガラス流出口の長径方向に沿って一対のロールの回
転軸を配置したフレーク状ガラス製造装置、または、前
記構成に加えて、一対のロール間のクリアランスを2m
m以上としたフレーク状ガラス製造装置である。
【0010】
【作用】本発明者らは従来の円筒ブロー法では曲率半径
の小さいカール状のフレーク状ガラスが多量に鱗片状
(平板状)フレーク状ガラス中に混入する原因につい
て、鋭意検討を重ねて、それが次のような理由によるも
のであることを見い出した。円筒ブロー法では円筒状ガ
ラスを風船状として、この風船状ガラスがまだ冷えずに
柔軟性を維持した状態のまま、2本の引っ張りロールで
挟んで引っ張るので引っ張りロールに最初にタッチする
部分が強く引っ張られ、該ロール下でガラスは図11
(a)のようなシワを発生する。ただし、通常の生産状
態では引っ張りロールのスピードが非常に早いため、風
船状ガラスは前記ロールの下で、直ちに破砕され図7の
フレーク13のようになる。このようなシワを確認する
には、テスト的にガラスの引き出し量をさげて、風船状
ガラスを図11(a)に示すようなフィルム状ガラスに
しておく必要がある。このシワが2本のロール11間に
挟まれて、たたみ込まれて曲率半径の小さなカール状と
なったフレーク状ガラスが発生していることが分かっ
た。
【0011】さらに、前記シワの発生のメカニズムを図
解により説明すると、図10(図10(a)は一対の引
っ張りロール11の近傍での風船状ガラス12の当接状
態を示す図であり、図10(b)のB−B線断面図、図
10(b)は図10(a)のA−A線方向から見た図)
と図11(図11(a)は図10(a)の側面から見た
図、図11(b)は図11(a)のシワ12cの矢印A
方向断面図)に示すように、一対の引っ張りロール11
に当接する風船状ガラスの端部12aと、ロール11間
のクリアランス部分に流下してロール11に当接しない
風船状ガラス部分12bとを比較すると、端部12aは
比較的早く冷えて固化するが、部分12bは端部12a
が冷えてから後に固化する。早く固化した端部12aは
ロール11で早い時期に引っ張られるが、部分12bは
固化した端部12aに引きつられるようにして引っ張ら
れる。こうして、図11(a)に示すように風船状ガラ
ス12の進行方向の外側から内側に向かって斜め向きの
シワ12cができることになる。このシワ12cはロー
ル11間に挟まれているので、その断面は図11(b)
に示すように曲率半径の小さいカールとなる。
【0012】そこで、本発明者らは、このシワ12cの
発生をなくすべく、研究を行ったところ、溶融ガラス素
地を耐火窯槽のガラス取出口より中空状に取り出すのに
際して、該ガラス取出口の形状を図1に示す二つの半円
の弦が向き合うように間隔をあけて配置し、対向する弦
の端部同士を直線で接続した楕円類似形状とするか、ま
たは楕円形状として、このガラス取出口から溶融ガラス
の引き出しを行い、ブローイングしながら前記した形状
の長径方向に沿って回転軸が配置される一対のロールで
挟み込み、粉砕する方法が高い生産性を維持し、シワの
発生をくい止める手段であることが分かった。つまり、
ガラス取出口の形状を二つの弦が向き合うように間隔を
あけて配置し、対向する弦の半円の端部同士を直線で接
続した楕円類似形状または楕円形状として、一対の引っ
張りロール11の上方から該ロール11に当接する風船
状ガラス12を見た図2に示すように、引っ張りロール
11に当接する風船状ガラス部分12a’と引っ張りロ
ール11に当接しない風船状ガラス部分12b’との引
っ張られる時間差を小さくすることができるので、その
分、図11に示すシワ12cの発生率が減少する。
【0013】また、もう一つのフレーク状ガラスが曲率
半径の小さいカール状となる原因は一対の引っ張りロー
ル11間のクリアランスC(図10(a)、(b))が
小さすぎることにも多少影響されているものと考えられ
る。しかし、2本のロール11で引っ張っているため、
必然的に風船状ガラス12の該ロール11に当接しない
端部で2ケ所の折り曲がり部が発生し(図3参照)、こ
の部分がフレーク状ガラス12のカール状の湾曲部分と
なる。したがって、2本の引っ張りロール11間のクリ
アランスCを2mm以上にして、カール状部分の曲率半
径r(図3に示す)を1,000μm以上にすることが
望ましい。ただし、前記クリアランスCと図1に示すガ
ラス取出口の長径方向の長さaと短径方向の長さbは溶
融ガラスの引出量により変化させる必要があるが、任意
の値を選択できる。しかし、a/bの比は2〜10であ
ることが望ましい。a/bの比は2未満であると、風船
状ガラス12となったガラス取出口7(図7参照)より
下流側の中空状の風船状ガラスの断面が楕円形またはそ
れに類似した形状であったものが、断面が円形状に変化
してしまうおそれがあり、また、風船状ガラス12にシ
ワ12c(図11参照)が発生し易くなるおそれがあ
る。また、a/bの比が10を超えると風船状ガラス1
2の内面同士が接着して中空状のガラスが破損してしま
うことがある。
【0014】また、引っ張りロール11間のクリアラン
スCを2mm以上にして、風船状ガラス12の引っ張り
ロール11に当接する端部で2ケ所の折り曲がり部の曲
率半径が1,000μm以上になるようにしても、フレ
ーク状ガラスのカール状部分の湾曲方向の粒径の大きさ
が大きい場合、フレーク状ガラスの有効厚みは大きくな
り、従来技術で述べたと同じ問題を起こす。このことを
図4に示す5mm厚のフレーク状ガラスの湾曲方向の粒
径の大きさと、その有効厚みとの間の関係図により説明
する。図4の関係は図5のように模式化したカール状部
分を持つフレーク状のガラスから次のようにして得られ
る関係式に基づいて作成したものである。
【0015】図5において、半径rの円形リングの斜線
部が厚みt、曲率半径rのカール状部分を持つフレーク
状ガラスを表し、このフレーク状のガラスの湾曲方向の
粒径の大きさDとその有効厚みdと半径rの円形リング
の中心からフレーク状のガラスの湾曲方向の粒径の端部
を結ぶ直線の成す角度2θとの間には次式の関係式が成
立する。 d=r−(r−t)cosθ (1) D=2rsinθ (2) (1)、(2)式よりθを消去すると、 d=r−(r−t)cosθ(sin-1(D/2r)) (3) あるいは、 D=2rsin(cos-1(r−d)/(r−t)) (4) ただし、D≦2rとする。(4)式にフレーク状ガラス
の厚みt=5μmを代入し、これをグラフ化すると図4
のグラフが得られる。
【0016】図4の実線は各々のカール状部分の曲率半
径rにおけるフレーク状ガラスの湾曲方向の粒径の大き
さ(サイズ)Dと、その有効厚みdとの間の関係を示
す。また、破線aより左側の領域Iにはフレーク状のガ
ラスは存在しない。破線aと破線bとの間の領域IIでは
カールの度合の強いフレーク状ガラスが得られる。ま
た、破線bの右側と破線cの右側に位置する領域IIIに
おけるフレーク状ガラスのカールの度合は小さいが、ガ
ラスの湾曲方向の粒径の大きさDが大きいので、有効厚
みdが大きく、このガラスを混入させた樹脂の成型時に
問題を起こす。残る破線bの右側と破線cの左側に位置
する領域IVのみが、本発明に最適な樹脂の成型時に問題
を起こさないフレーク状ガラスである。
【0017】以上のことから樹脂の成型性、成型品精度
を種々のフレーク状ガラスの大きさにおいて評価したと
ころ、平均厚みが0.3μm〜10μm、カール状部分
の曲率半径が1,000μm以上であるものがその個数
割合にして95%以上含まれ、その内1,000〜1
0,000μmのものが30%以上含まれており、カー
ル状部分の湾曲方向の粒径が800μm以下であるフレ
ーク状ガラスが生産性を考慮して市場の要求に答えるこ
とのできるものであることが分かった。
【0018】
【実施例】本発明の一実施例を図面とともに説明する。
図7は本実施例の円筒ブロー法によるフレーク状ガラス
の製造装置の全体を示す概略図である。図7の装置は本
発明のフレーク状ガラスを製造するための装置の一例に
しか過ぎなく、他の構造をした円筒ブロー法による製造
装置も使用できる。図7の装置において、溶融ガラス素
地1は耐火窯槽2内に収容され、窯槽底部に設けられた
ガラス流出口3から流下する。またガラス流出口3の近
傍に配置されたスターラー4はモーター5により駆動さ
れて一定の回転数で回転する。ガラス流出口3の窯槽底
部の外側には溶融ガラスの肉廻り調節用ブッシング6が
設けられ、このブッシング6には耐火窯槽2のガラス流
出口3に接続する開口部7(本発明のガラス取出口に相
当する)が形成されており、また、ブローエアー配管8
がブッシング6を横方向に貫通して設けられている。ブ
ローエアー配管8には開口部7に下向きに開口したブロ
ーノズル9が接続している。ブローエアー配管8内のエ
アー量はバルブ10により調節される。また、ブッシン
グ6の開口部7下方には一対の引っ張りロール11が配
置されている。なお、耐火窯槽2はブッシング6と一体
となったリメルトタイプの溶融室でも良いし、スターラ
ー4は必須ではない。
【0019】耐火窯槽2内の溶融ガラス素地1はスター
ラー4により撹拌を受け、その組成的、温度的分布の不
均一を解消され、窯槽底部のガラス流出口3を通過した
溶融ガラス素地1は均一化され、ブッシング6を通過
し、中空状になり外界へ流出する。このとき、中空状ガ
ラスを風船化するために、ブローエアーが配管8からブ
ローノズル9に供給され、中空状ガラスの内部へ送り込
まれる。この時外界の温度分布の不均一およびブッシン
グ6の製作時に生ずる伝熱特性分布あるいは発熱特性分
布の不均一を解消するため、バルブ10の開度を変化さ
せ、溶融ガラスの冷却量を放射状にコントロールする。
これにより肉廻りの均一な風船状ガラス12を得ること
ができ、この風船状ガラス12は引っ張りロール11に
より引っ張られ、粉砕されて所望のフレーク状ガラス1
3を得ることができる。ここで、2本の引っ張りロール
11間のクリアランスは2.5mmとした。
【0020】次にブッシング6について図8を用いて詳
細に説明する。図8(a)は上面図、図8(b)は横断
面図である。ブッシング6はコーン類似状金属板15と
断面半円の弦が向き合うように間隔をあけて配置し、対
向する弦の端部同士を直線で接続した楕円類似形状の開
口部を持つ金属板16の端部を接続して一体化させた金
属板とこれらの金属板15、16を表面に配置した耐火
物セメント製からなる耐熱性材料17と該耐熱性材料1
7内に貫通して設けられるブローエアー配管8と該配管
8に接続したブローノズル9から成っている。この配管
8は図8(a)で明らかなように放射状に複数本設けら
れている。配管8はその本数が多いほどきめ細かい温度
分布の制御が可能となるが、構造が複雑になり、温度分
布の制御のための操作を難しくする。そのため、配管8
は少なくとも4本、多くとも12本設けることが好まし
い。
【0021】また、コーン類似状金属板15とブローノ
ズル9との間に位置する水平状の配管8に接触するよう
にパンチング穴18のあけられた金属板19が溶接接続
されている。この金属板19は熱良導体のものを用いる
か、または電流を流すことにより加熱できるようにして
も良い。ブローノズル9内部の配管8との接続部より下
方にはパンチング穴20のあけられた整流板21を設
け、圧力室22を形成する。本実施例では、これらのブ
ッシング6を構成する部材は耐熱性材料17を除きすべ
て白金製である。
【0022】ガラス流出口3より流入してきた溶融ガラ
ス素地1はコーン類似状金属板15とブローノズル9の
作る流路を経て、さらに断面楕円類似形状金属板16と
ブローノズル9の作る流路である開口部7を経て外界へ
中空状ガラスとして流出する。ブローノズル9へは配管
8を経て、空気が送り込まれる。送り込まれた空気は圧
力室22を経てパンチング穴20のあけられた整流板2
1において均一な空気流となり、開口部7から流出する
中空状ガラス内部へ送り込まれ、溶融ガラスを風船化さ
せる。また、パンチング穴18のあけられた金属板19
は電流を流すか、あるいは良好な熱伝導性材料を用いる
ことで、ガラス温度の均一化に寄与する。また、金属板
19は配管8とは溶接されているので、配管8内部の空
気流量を変化させることにより、金属板19の温度分布
を制御することで、溶融ガラスの組成および温度不均一
あるいは外界の影響によるガラス素地の温度不均一に基
づく風船状ガラス12の肉廻りの不均一を解消させるこ
とができる。なお、整流板21を設けることは必須では
なく、この場合はブローノズル9全体が圧力室になる。
【0023】本実施例の特徴の一つはガラス流出口3、
ブッシング6および溶融ガラスの流出用開口部7の形状
が図8で示すように、半円の弦が向き合うように間隔を
あけて配置し、対向する弦の端部同士を直線で接続した
楕円類似形状であり、図1に示す長径方向の大きさaと
短径方向の大きさbの比で表すと、a/b=2.7とし
たものである。ただし、溶融ガラスの流出用開口部7の
形状は半円の弦が向き合うように間隔をあけて配置し、
対向する弦の端部同士を直線で接続した楕円類似形状で
ある必要があるが、ガラス流出口3、ブッシング6は必
ずしも半円の弦が向き合うように間隔をあけて配置し、
対向する弦の端部同士を直線で接続した楕円類似形状で
ある必要はない。
【0024】耐火窯槽2内の溶融ガラス素地1はブッシ
ング6内で均一組成、均一温度となって中空状ガラスと
なって外界に流下するので、これをブローノズル9より
吹き出す空気の圧力により風船化すれば、ガラス素地1
はロール11により均一に引き延ばされ、均一な厚みの
フレーク状ガラス13を得ることができる。このとき、
本実施例の装置の引っ張りロール11と風船状ガラス1
2との配置関係は図2に示す通りであるので、一対の引
っ張りロール11近傍での風船状ガラス12の当接状態
は引っ張りロール11に当接する部分12a’と引っ張
りロール11に当接しない部分12b’の引っ張られる
時間差を小さくすることができ、その分、シワ12c
(図11参照)の発生率が減少する。また、ロール11
間のクリアランスが2.5mmであるため、風船状ガラ
ス12のロール11に当接しない部分12b’で発生す
る2ケ所の折り曲がり部の反りも大きくない。
【0025】表1には、溶融ガラスの流出用開口部7の
形状を円形リング状とした従来の装置を用いて製造した
フレーク状ガラスと本実施例のそれとの比較をしたデー
タを示す。この表1から明らかなように、本実施例の場
合は、問題となる曲率半径を持つカールのあるフレーク
状ガラス13が少なく、互いにからまって詰まることが
ないので、当該フレーク状ガラス13を混入した樹脂の
射出成型において、成型金型のゲート部でフレーク状ガ
ラス13が詰まることがない。また、カールしたフレー
ク状ガラス13が少ないので、当該ガラス13が成型平
板部において板と平行に配向することができ、寸法精度
のよい成型品を得ることができる。
【0026】
【表1】
【0027】表中の数字の注釈 1)得られたフレーク状ガラス13を熱可塑性のPBT
樹脂(ポリプラスチックス(株)製のジュラネックス2
000樹脂の商品名)に30重量%混合させて射出成型
機(日本製鋼所(株)製のN−70BII型)にて12
0mm×120mm×3mmの成型品を試作した場合の
結果である。 2)図6に示すように前記1)と同様にして得られた1
20mm(縦幅)×120mm(横幅)×3mm(厚
み)の成型品を平板上に湾曲部の頂点を下にしておき、
平板と成型品の端部との距離を測定する。 3)測定値はポリエステル樹脂(昭和高分子(株)リゴ
ラック3160B)と3%の硬化剤(日本油脂(株)製
パーメック)を混合した液にフレーク状ガラス25重量
%を混入してコンパウンドとなし、これを厚さ1mm程
度の板状に引き伸ばし、室温硬化して板状の硬化物を得
た後、適当な大きさに切断してその断面を光学顕微鏡写
真に撮影して、1,000枚のフレーク中、曲率半径に
して1,000μm以下のフレークが何枚あるかを数え
て、その値を10分の1にすることによって得た。ただ
し、長さ100μm未満のものは個数に数えないものと
する。 4)日本板硝子(株)製のフレーク状ガラス13の商品
名である。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、曲率半径の大きいカー
ルしたフレーク状ガラスの生成が少ないので、当該ガラ
スを混入した熱可塑性樹脂の射出成型時に、成型金型の
ゲート部がフレーク状のガラスが詰まることがなく、寸
法精度のよい成型品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフレーク状ガラス製造装置の溶融ガ
ラス取出口の形状の一例を示す図である。
【図2】 本発明のフレーク状ガラス製造装置の引っ張
りロール近傍での風船状ガラスの冷却、固化を説明する
図である。
【図3】 本発明のフレーク状ガラス製造装置の引っ張
りロール間のクリアランスを説明する図である。
【図4】 フレーク状ガラスの湾曲方向の粒径の大きさ
と有効厚みとの関係を示す図である。
【図5】 フレーク状ガラスの模式的構造図である。
【図6】 フレーク状ガラスの湾曲部の反りの大きさの
測定方法を示す図である。
【図7】 本発明の一実施例のフレーク状ガラス製造装
置の概略図である。
【図8】 本発明の一実施例のフレーク状ガラス製造装
置のブッシングの構造図である。
【図9】 円筒ブロー法により得られるフレーク状ガラ
スの形状を示す図である。
【図10】 従来のフレーク状ガラス製造装置の引っ張
りロール近傍での風船状ガラスの冷却、固化を説明する
図である。
【図11】 従来のフレーク状ガラス製造装置の引っ張
りロール近傍での風船状ガラスの冷却、固化を説明する
図である。
【符号の説明】
1…溶融ガラス素地、2…耐火窯槽、3…ガラス流出
口、4…スターラー、5…モーター、6…肉廻り調節用
ブッシング、7…開口部、8…ブローエアー配管、9…
ブローノズル、10…バルブ、11…引っ張りロール、
12…風船、13…フレーク状ガラス、15…コーン類
似状金属板(誘導部材)、16…断面半円の弦が向き合
うように間隔をあけて配置し、対向する弦の端部同士を
直線で接続した楕円類似形状の金属板(誘導部材)、1
8…パンチング穴、19…金属板(パンチングスクリー
ン)、20…パンチング穴、21…整流板、22…圧力

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均厚みが0.3μm〜10μm、カー
    ル状部分の曲率半径が1,000μm以上のものがフレ
    ーク状ガラスの個数割合にして95%以上含まれ、その
    内1,000〜10,000μmのものが30%以上含
    まれており、カール状部分の湾曲方向の粒径が800μ
    m以下であるフレーク状ガラス。
  2. 【請求項2】 溶融ガラス素地を耐火窯槽のガラス取出
    口より中空状に取り出し、該ガラス取出口の内側に設け
    たブローエアー配管から吹き出すブローエアーにより風
    船化し、この風船化したガラスを一対のロール間に挟み
    込み、粉砕するフレーク状ガラスを製造するフレーク状
    ガラス製造装置において、 前記耐火窯槽のガラス取出口とブローエアー配管と間に
    形成されるリング状の溶融ガラス取り出し用のガラス流
    出口の形状を楕円形状または二つの半円の弦が向き合う
    ように間隔をあけて配置し、対向する弦の端部同士を直
    線で接続した楕円類似形状とし、前記形状のガラス流出
    口の長径方向に沿って一対のロールの回転軸を配置した
    ことを特徴とするフレーク状ガラス製造装置。
  3. 【請求項3】 溶融ガラス素地を耐火窯槽のガラス取出
    口より中空状に取り出し、該ガラス取出口の内側に設け
    たブローエアー配管から吹き出すブローエアーにより風
    船化し、この風船化したガラスを一対のロール間に挟み
    込み、粉砕するフレーク状ガラスを製造するフレーク状
    ガラス製造装置において、 前記耐火窯槽のガラス取出口とブローエアー配管と間に
    形成されるリング状の溶融ガラス取り出し用のガラス流
    出口の形状を楕円形状または二つの半円の弦が向き合う
    ように間隔をあけて配置し、対向する弦の端部同士を直
    線で接続した楕円類似形状とし、前記形状のガラス流出
    口の長径方向に沿って一対のロールの回転軸を配置し、
    さらに一対のロール間のクリアランスを2mm以上とし
    たことを特徴とするフレーク状ガラス製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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